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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】車両トレーラ角度計算方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20240523BHJP
   G06V 10/46 20220101ALI20240523BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240523BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240523BHJP
【FI】
G06T7/70 B
G06V10/46
G06T7/60 150Z
B60R1/26 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022552585
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020084108
(87)【国際公開番号】W WO2021197649
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】20167186.4
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】プラウマン・ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ライリー・トム
【審査官】稲垣 良一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3552926(EP,A1)
【文献】特開2012-98984(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050210(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016117284(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011113197(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3537382(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0253608(US,A1)
【文献】国際公開第2019/202317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/26
B62D 53/00
G06T 7/00
G06T 7/60
G06T 7/70
G06V 10/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両(1)の前後方向軸線(LAV)に対するトレーラ(2)のヨー角(YA)を決定する方法であって、前記方法が、
- 前記牽引車両(1)に対する前記トレーラ(2)の方向が少なくとも2つの画像上において異なる、カメラ(3)を使い前記トレーラ(2)の少なくとも第1及び第2画像を撮影するステップ(S10)と、
- 第1及び第2画像上で可視の前記トレーラ(2)の少なくとも第1及び第2特徴(F1、F2)を決定するステップ(S11)において、前記第1及び第2特徴(F1、F2)は前記トレーラ(2)の異なる位置に配置される、少なくとも第1及び第2特徴(F1、F2)を決定するステップ(S11)と、
- 第1角度推定(α1)が、前記牽引車両(1)の固定点に対する、前記第1画像上の前記第1特徴(F1)と前記第2画像上の前記第1特徴(F1)との間の水平面内の旋回角度を特徴付ける、第1角度推定(α1)を計算するステップ(S12)と、
- 第2角度推定(α2)が、前記牽引車両(1)の前記固定点に対する、前記第1画像上の前記第2特徴(F2)と前記第2画像上の前記第2特徴(F2)との間の水平面内の旋回角度を特徴付ける、第2角度推定(α2)を計算するステップ(S13)と、
- 前記第1及び第2角度推定(α1、α2)に基づいて前記ヨー角(YA)を計算するステップ(S14)と、
を備え、
前記固定点が前記カメラ(3)の位置である、
牽引車両(1)の前後方向軸線(LAV)に対するトレーラ(2)のヨー角(YA)を決定する方法。
【請求項2】
第1又は第2画像上で、前記牽引車両(1)に対する前記トレーラ(2)の前記ヨー角(YA)はゼロ、又は基準角度として使用できる任意の既知のヨー角(YA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1及び第2角度推定(α1、α2)を計算するステップは、前記固定点と第1及び第2画像における前記第1及び第2特徴(F1、F2)との間の光線(R)を決定することを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1特徴(F1)と第2特徴(F2)との少なくとも一方の位置を光線へと変換するために、カメラ較正情報が使われる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ヨー角(YA)を計算するステップに、前記第1及び第2特徴(F1、F2)に加えて、前記トレーラ(2)の少なくとも1つのさらなる特徴が使われる、請求項1からの何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ヨー角(YA)は、前記少なくとも2つの角度推定に基づいて中央値を設定することにより計算される、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ヨー角(YA)は、前記少なくとも2つの角度推定の平均値を設定することにより、又は前記角度推定に適用される統計的方法を使うことにより計算される、請求項1からの何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
角度窓を決定し、前記角度窓は、ヨー角(YA)の周りに上方境界と下方境界とを備え、
前記角度窓内の角度推定につながる1セットの特徴を決定し、
将来のヨー角(YA)計算に、決定された前記セットの特徴を使う
ステップをさらに備える、請求項1からの何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
過小評価を矯正するために、計算されたヨー角(YA)の値は、ある程度分又はある割合分、増加される、請求項1からの何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記カメラ(3)は、前記牽引車両(1)のリアビューカメラである、請求項1からの何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
牽引車両(1)の前後方向軸線(LAV)に対するトレーラ(2)のヨー角(YA)を決定するシステムであって、
前記システムが、
前記トレーラ(2)の画像を撮影するカメラ(3)と、前記撮影された画像を処理する処理実体と、を備え、
前記システムが、
- 前記牽引車両(1)に対する前記トレーラ(2)の方向が少なくとも2つの画像上において異なる、前記カメラ(3)を使い前記トレーラ(2)の少なくとも第1及び第2画像を撮影するステップと、
- 第1及び第2画像上で可視の前記トレーラ(2)の少なくとも第1及び第2特徴(F1、F2)を決定するステップにおいて、前記第1及び第2特徴(F1、F2)は前記トレーラ(2)の異なる位置に配置される、少なくとも第1及び第2特徴(F1、F2)を決定するステップと、
1角度推定(α1)が、前記牽引車両(1)の固定点に対する、前記第1画像上の前記第1特徴(F1)と前記第2画像上の前記第1特徴(F1)との間の水平面内の旋回角度を特徴付ける、第1角度推定(α1)を計算するステップと、
- 第2角度推定(α2)が、前記牽引車両(1)の前記固定点に対する、前記第1画像上の前記第2特徴(F2)と前記第2画像上の前記第2特徴(F2)との間の水平面内の旋回角度を特徴付ける、第2角度推定(α2)を計算するステップと、
- 前記第1及び第2角度推定(α1、α2)に基づいて前記ヨー角(YA)を計算するステップと、
を実行するようにさらに構成されていて、
前記固定点が前記カメラ(3)の位置である、
牽引車両(1)の前後方向軸線(LAV)に対するトレーラ(2)のヨー角(YA)を決定するシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、車両支援システムの分野に関する。特に、本発明は、牽引車両と連結されているトレーラのヨー角を車両のカメラにより提供される画像情報に基づいて計算する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
牽引車両に対するトレーラの角度を車両のカメラにより提供される画像情報に基づいて計算する方法は既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に、既知の方法は、演算の複雑さは低いが、画質が不良の場合ロバストな角度情報は提供されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態の課題は、トレーラのヨー角を高いロバストネスと高い信頼性で計算する方法であって、トウボール場所を得ることを必要としない方法を提供することである。本課題は、独立請求項の特徴により解決される。好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。明示的に記載されていないが、本発明の実施形態は互いに自由に組み合わせ可能である。
【0005】
1つの態様によると、本発明は、牽引車両の前後方向軸に対するトレーラのヨー角を決定する方法に関する。本方法は以下の方法を備える。
【0006】
まず、カメラを使い、トレーラの少なくとも第1及び第2画像が撮影される。第1及び及び第2画像は、車両に対するトレーラの方向が少なくとも2つの画像上において異なるように撮影される。
【0007】
この画像の撮影後、トレーラの少なくとも第1及び第2特徴が決定される。この第1及び第2特徴は第1及び第2画像上において可視である必要がある。加えて、この第1特徴は、第2特徴とは異なるトレーラの位置に配置される。例えば、第1特徴は第1場所における明らかな第1特徴であってよく、第2特徴は第2場所における明らかな第2特徴であってよい。
【0008】
この決定された第1及び第2特徴に基づいて、第1角度推定は計算される。第1角度推定は、牽引車両の固定点に対する、第1画像上の第1特徴と第2画像上の第1特徴との間の水平面における旋回角度を特徴付ける。言い換えれば、第1角度推定は、第1画像上の第1特徴の位置とこの固定点の位置との間に延在する第1線と、第2画像上の第1特徴の位置とこの固定点の位置との間に延在する第2線との間に限定される旋回角度に関する。この旋回角度は車両からトレーラに向かって開口している。
【0009】
加えて、第2角度推定計算される。第2角度推定は、牽引車両の固定点に対する、第1画像上の第2特徴と第2画像上の第2特徴との間の水平面における旋回角度を特徴付ける。言い換えれば、第1角度推定は、第1画像上の第2特徴の位置とこの固定点の位置との間に延在する第1線と、第2画像上の第2特徴の位置とこの固定点の位置との間に延在する第2線との間に限定される旋回角度を意味する。この旋回角度は車両からトレーラに向かって開口している。
【0010】
「第1画像(又は第2画像)上の第1又は第2特徴の位置」の記載は、この画像上の点についてではなく、画像が撮影されるある時点各トレーラ特徴の場所がある、牽引車両の周辺内のある場所を意味することは言及に値する。
【0011】
最後に、トレーラのヨー角はこの第1及び第2角度推定に基づいて計算される。
【0012】
この方法が有利であるのは、角度推定を計算するために、2つ又はそれより多い画像を使いかつ2つ又はそれより多いトレーラ特徴を使う用いるからであり、トレーラ特徴の検出が高ノイズを有し、画質が劣悪である場合でさえも、ヨー角決定の結果は非常に信頼性高くロバストである。
【0013】
固定点の場所を考慮に入れてよい他の方法は、多くの場合、正確な角度を生成するために、特徴の場所について三角法を使う必要がある。その結果、これら特徴は、追跡されている特徴におけるノイズ又は不正確さの影響を受けやすくなる。これら特徴が不正確な場合、そのような方法は数学的に不安定であるか、全く結果を生成しない場合がある。
【0014】
実施形態によると、第1又は第2画像において、車両に対するトレーラのヨー角はゼロである。これにより、この画像を「ゼロポーズ画像」として、つまり車両の前後方向軸とトレーラの前後方向軸との厳密な位置合わせの基準として使ってよいしかしながら、別のヨー角も基準値として使ってよい。この別のヨー角が既知ではない場合、システムは絶対トレーラ角度ではなく、むしろトレーラ角度の変化を計算してよい。
【0015】
実施形態によると、この固定点はカメラの位置又はトウボールの位置である。カメラを使って画像を撮影するため、カメラを固定点として使うことは技術的に単純である。しかしながらトウボールを固定点として使うことがより厳密である場合がある。このようにして、固定点、例えばトウボール場所使って光線を調整することにより正確度の損失を緩和するために、カメラにより撮影された画像に含まれる情報は変換されてよい。しかしながらトウボールがカメラ比較的近く、トレーラ特徴が比較的遠く離れている場合、提案される方法は、トウボールの位置を調節することなく自動化トレーラ反転システムにとって十分に正確であるトレーラ角度を計算してよい。トウボールがカメラの場所の近(例えば水平方向において0.3mm未満)、トレーラ特徴が水平方向において2m又はそれより長い距離離れている場合、提案される方法により、結果が改善される場合がある。
【0016】
実施形態によると、第1及び第2角度推定を計算することは、この固定点と第1及び第2画像におけるこの第1及び第2特徴との間の光線を決定することを備える。この光線は、この固定点とこの第1及び第2特徴との間に延在する線を意味する。この光線に基づいて、現在の旋回角度を、例えば幾何的方法に基づいて、演算コストを抑えつつ決定可能である。
【0017】
実施形態によると、この第1特徴と第2特徴との少なくとも一方の位置を光線へと変換するために、カメラ較正情報が使われ。例えば、カメラ較正情報を使ってカメラ位置を得ることで、画像上のある特徴の位置を、カメラの位置に応じて又はそれに相関付けて場所の情報に変換できる。
【0018】
実施形態によると、ヨー角を計算するために、この第1及び第2特徴に加えて、トレーラの少なくとも1つのさらなる特徴が使われる。3つ又はそれより多い特徴を使うことで、ヨー角決定のロバストネスと信頼性がさらに向上する。
【0019】
実施形態によると、ヨー角は、少なくとも2つの角度推定に基づいて中央値を設定することにより計算される。これにより、非常に安定したヨー角決定を得られる
【0020】
他の実施形態によると、ヨー角は、少なくとも2つの角度推定の平均値を設定することにより又はこの角度推定に適用される統計的方法を使うことにより計算される。
【0021】
実施形態によると、本方法は、角度窓を決定するステップをさらに備える。この角度窓は、このヨー角の周りに上方境界と下方境界とを備えてよい。加えて、1セットの特徴が決定される。このセットの特徴内の複数の特この角度窓内に場所がある角度推定につながる。この決定されたセットの特徴、好ましくはこのセットの特徴に含まれる特徴のみが将来のヨー角計算に使われる。従って、言い換えれば、以前のヨー角決定の情報を使うことにより、決定されたヨー角に非常に近い角度推定(つまり角度窓内)となるトレーラの2つ又はそれより多い特徴を決定し、決定されたヨー角から著しく逸脱する角度推定(つまり角度窓外)となるような特徴は追跡されない。これにより、角度推定の演算の複雑さと正確度を著しく低減できる。
【0022】
実施形態によると、過小評価を矯正するために、計算されたヨー角の値はある程度分又は又はある割合分、増加される。計算結果の過小評価を矯正するために、例えば、計算されたヨー角は5%から15%分、特に10%分スケールアップされてよい。
【0023】
実施形態によると、カメラは、車両のリアビューカメラである。リアビューカメラに基づいて、技術的費用を抑えてトレーラの画像を撮影できる
【0024】
さらなる1観点では、牽引車両の前後方向軸に対するトレーラのヨー角を決定するシステムが開示される。本システムは、トレーラの画像を撮影するカメラと、この撮影された画像を処理する処理実体と、を備える。本システムは、
- 車両に対するトレーラの方向が少なくとも2つの画像上において異なる、カメラを使いトレーラの少なくとも第1及び第2画像を撮影するステップと、
- 第1及び第2画像上において可視のトレーラの少なくとも第1特徴を決定するステップにおいて、この第1及び第2特徴はトレーラの異なる位置に配置される、第1及び第2画像上において可視のトレーラの少なくとも第1特徴を決定するステップと、
- 第1角度推定が、牽引車両の固定点に対する、第1画像上の第1特徴と第2画像上の第1特徴との間の水平面における旋回角度を特徴付ける、第1角度推定を計算するステップと、
- 第2角度推定が、牽引車両の固定点に対する、第1画像上の第2特徴と第2画像上の第2特徴との間の水平面における旋回角度を特徴付ける、第2角度推定を計算するステップと、
- この第1及び第2角度推定に基づいてヨー角を計算するステップと、を実行するようにさらに構成される。
【0025】
本方法の1実施形態として記載された上記特徴の何れも、本開示のシステムにおけるシステム特徴としても適用可能である。
【0026】
さらに別の形態によると、上記形態の何れか1つによるシステムを備える車両が開示される。
【0027】
本開示で使われる「車両」の用語は、乗用車、貨物自動車、バス、列車又は任意の他の船舶を意味してよい。
【0028】
本開示で使われる「ヨー角」の用語は、車用の前後方向軸とトレーラの前後方向軸との間の旋回角度を意味してよい。
【0029】
本開示で使われる「中央値」の用語は、データサンプル又は確率分布の上半分と下半分を分ける値を意味してよい。
【0030】
本発明で使われる用語「本質的に」又は「略」は、
厳密な値に対する+/-10%、好ましくは+/-5%の逸脱意味することと、
関数交通法規との少なくとも一方に重要ではない変化の形での逸脱を意味すること
との少なくとも一方を意味する。
【0031】
その具体的な特徴と有利な点とを含む本発明の様々な観点は、以下の詳細な説明と添付の図面から容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、トレーラを牽引する車両の例示的な上面図を示す。
図2図2は、トレーラと牽引車両との間の異なる旋回角度でカメラ画像により捕捉された第1及び第2特徴に基づく角度推定を概略的に示す。
図3図3は、牽引車の前後方向軸に対するトレーラのヨー角を決定する方法のステップを示す概略的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、例示的な実施形態が示される添付の図面を参照して本発明をより完全に説明する。図中の実施形態は好ましい実施形態に関する一方、実施形態に関連して説明される全ての要素及び特徴は、適切である限り、特に上記した任意の他の実施形態に関連する、本明細中において説明される任意の他の実施形態及び特徴とも組み合わせて使われてよい。しかしながら、本発明は、本明細書に記載されている実施形態に限定されると見なされるべきではない。以下の説明を通して、同様の参照符号は、該当する場合、同様の要素、部材、アイテム又は特徴を示すために使われている。
【0034】
明細書、特許請求の範囲、実施形態例、及び又は図面の少なくともいずれかにより開示されている本発明の特徴は、別個とその任意の組み合わせの両方において、その様々な形態において本発明を実現する材料であってよい。
【0035】
図1は、トレーラ2を牽引する車両1の上面図を示す。車両1は、車両1の中心を通る前後方向軸LAVを備える。同様に、トレーラ2は、トレーラ2の中心を通る前後方向軸LATを備える。トレーラ2は、トウボール4を備えるトレーラヒッチを使って車両1と連結されている。
【0036】
いくつかの走行状況において、車両1の前後方向軸LAV及びトレーラ2の前後方向軸LATは平行に配置されていない場合があり、互いに一致しない場合があるが、これらの軸はヨー角YAを限定し得る。言い換えれば、ヨー角YAは、車両1の前後方向軸LAVに対するトレーラ2の前後方向軸LATの角度の逸脱を定義している。ヨー角YAは、トレーラ2の前後方向軸LATと車両1の前後方向軸LAVとを含む水平方向平面において測定されてよい。
【0037】
ヨー角YAを得ることは、とりわけ、例えばトレーラ支援システムにおいて有利である。
【0038】
ヨー角YA決定に、トレーラ2の少なくとも一部の複数の画像がカメラ3を使って撮影される。カメラ3は、例えば、車両のリアビューカメラであってよく、リアビューカメラは後退時に車両の周辺の画像の撮影にも使用されてよい
【0039】
図2は、トレーラ2が牽引車両1に対して異なるヨー角YAを有する異なる時点におけるトレーラの第1及び第2特徴F1、F2の角度関係を示す概略図を示す。
【0040】
カメラ3は、車両1に対するトレーラ2の角度位置が異なっている、異なる時点における2つ又はそれより多い画像を撮影してよい。例えば、画像系列が撮影されてよい。
【0041】
本例において、第2画像は、ヨー角YA=0°における、車両に対するトレーラ2の方向を示してよい。しかしながら、他の実施形態において、ヨー角YAは、既知のものであって、現在のヨー角の決定に使い得る他の任意の基準ヨー角であってもよい。
【0042】
トレーラの特徴は、特徴検出及びマッチングアルゴリズムを使って、場所を特定してマッチングされる。例えば、ハリスのコーナー検出法、スケール不変特徴変換(SIFT)アルゴリズム、高速化ロバスト特徴(SURF)アルゴリズム、バイナリロバスト不変スケーラブルキーポイント(BRISK)アルゴリズム、バイナリロバスト独立基本特徴(BRIEF)、方向付きFAST及び回転BRIEF(ORB)アルゴリズム又は他の好適な特徴検出及びマッチングアルゴリズムを使用できるだろう
【0043】
特徴検出及びマッチングアルゴリズムはトレーラ上にあるか又はトレーラ上にはない画像特徴を検出してよい。トレーラ特徴を非トレーラ特徴から区分けるために、複数の異なる方法を使ってよいだろう。例えば、直線前進走行の場合、トレーラ特徴は、経時的に同一位置のままである特徴を探すことにより非トレーラ特徴から区分けてよい。代替的に、背景特徴の運動(モーション)は車両の既知のモーションを使って経時的にモデル化てよい。これは、速度と操舵に関するCANデータから抽出されてよい。この場合、基本行列のエピポーラ拘束に当てはまらない特徴をトレーラ特徴として考慮してよい。
【0044】
カメラ3により撮影された画像上において、複数の異なる特徴が識別可能であろう図2、車両1の固定点に対して異なる角度位置で識別されている特徴F1、F2が示されている。このようにして、(特徴F1、F2をカメラ3と結ぶ実線の光線に関係する)第1及び第2特徴F1、F2の上方の対が第1画像に識別され、(特徴F1、F2をカメラ3と結ぶ破線の光線に関係する)第1及び第2特徴F1、F2の下方の対が異なる時点で第2画像に識別される。特徴F1、F2をカメラ3と結ぶ光線Rを決定するために、画像座標における特徴の場所を光線へと変換すべくカメラ3の較正情報を使ってよい。言い換えれば、カメラ位置と特徴位置とを関連付けるために、画像上の特徴の場所は、カメラ3の較正情報に基づいて、車両の固定点の位置と結合される。
【0045】
固定点と第1及び第2画像における少なくとも2つの特徴との間の光線Rを決定した後、第1特徴F1及び第2特徴F2の旋回角度が決定される。図2において、α1は2つの撮影画像間の第1特徴F1の旋回角度を示し、α2はこれら画像間の第2特徴F2の旋回角度を示す。好ましくは、トレーラの2つより多い特徴が決定され、複数の画像にわたって追跡される。加えて、好ましくは、ヨー角推定の結果を向上させるために、2つより多い画像が異なる時点で撮影される。
【0046】
この旋回角度α1、α2の決定後、この旋回角度α1、α2に基づいてヨー角YAを計算できる。ヨー角YAは様々な方法で展開可能である。
【0047】
第1実施形態において、ヨー角YAはこの展開された旋回角度α1、α2の中央値として計算されてよい。別の実施形態において、ヨー角YAは展開された旋回角度α1、α2の算術平均を計算することにより決定されてよい。さらなる別の実施形態において、確率過程を使って計算されてよい。例えば、各特徴の角度の分散を考慮し、小さい分散を有する特徴のみを使って中央値を導出してよい。
【0048】
ヨー角は、カルマンフィルタ又は車両速度及び操舵情報に基づく動的モデルによりさらに洗練可能である。速度及び操舵はCANデータから導出可能であり、又は例えば画像データを処理する視覚方法を使って導出可能である。
【0049】
中央値を使うことの1つの有利な点は、方法が非常にロバストであることである。照明条件が不良である場合、追跡されている特徴は1つのみであっても、中央値は信頼性が高く一貫した角度推定を提供し続ける。中央値は、特徴追跡が不良又は画像が特に雑然としている場合に生じることがある外れ値に対しても、非常にロバストである。
【0050】
撮影画像上において可視の全ての特徴がヨー角YAの計算に等しく好適であるわけではないようであった。演算の複雑さとロバストネスを小さくするために、ヨー角YAの決定にそれら特徴が選択されて、さらに使われる。これが、実際のヨー角に非常に近い旋回角度を提供する。特徴選択には実際のヨー角の周りの一定の窓における旋回角度α1、α2を提供するそれ以降の画像内に、それこれらの特徴のみが追跡され得る。例えば、窓は上方境界と下方境界により定義されてよく、この上方及び下方境界はこの実際のヨー角の周りの角度窓を定義する。例えば、窓は2°から10°、特に3°から5°の距離にわたって広がっているものであり得る。最後の2つ又はそれより多いヨー角決定ステップで、この窓内の旋回角度を導いた特徴、次の撮影画像内でさらに追跡される。
【0051】
加えて、実際のヨー角YAと比較して、計算されたヨー角YAの推定が低過ぎる場合、計算されたヨー角YAは、過小評価を緩和するために、ある程度分又はある割合分、増加される(スケールアップされる)
【0052】
図3は、牽引車1の前後方向軸LAVに対するトレーラ2のヨー角YAを決定する方法の方法ステップを示すブロック図を示す。
【0053】
第1ステップとして、トレーラの第1及び第2画像が撮影される(S10)。
【0054】
画像撮影後、第1及び第2画像上において可視のトレーラの特徴が決定される(S11)。
【0055】
特徴決定後、第1及び第2角度推定が、決定された第1及び第2特徴に基づいて計算される(S12、S13)。
【0056】
最後に、ヨー角が、第1及び第2角度推定に基づいて計算される(S14)。
【0057】
細書と図面は提案される発明の原理を例示するに過ぎないことに留意すべきである。当業者であれば、明示的に本開示において説明又は図示されていなくても、本発明の原理を具現化する様々な構成を実施できるだろう。
【符号の説明】
【0058】
1 車両
2 トレーラ
3 カメラ
トウボール
α1 第1角度推定
α2 第2角度推定
F1 第1特徴
F2 第2特徴
LAT トレーラの前後方向軸
LAV 車両の前後方向軸
R 光線
YA ヨー角
図1
図2
図3