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特許7493058有機EL表示素子用封止材、その硬化物および有機EL表示装置
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  • 特許-有機EL表示素子用封止材、その硬化物および有機EL表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】有機EL表示素子用封止材、その硬化物および有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/844 20230101AFI20240523BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240523BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20240523BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240523BHJP
   C08F 228/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K50/844 445
H10K59/10
H10K71/00
G09F9/30 365
G09F9/30 309
C08F228/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022563724
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2021041696
(87)【国際公開番号】W WO2022107692
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2020191965
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】富田 裕介
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0002093(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0115118(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0168671(US,A1)
【文献】特開2019-014867(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082996(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/105177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00 - 50/88
H10K 59/00 - 59/95
H10K 71/00
G09F 9/30
C08F 228/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される(メタ)アクリルチオ基を有する化合物(A)を含有し、
(メタ)アクリル基を有する化合物(B)(但し前記化合物(A)を除く。)をさらに含有し、
前記化合物(A)と前記化合物(B)の合計100質量部に対し、前記化合物(A)の含有量が50質量部以上である、有機EL表示素子用封止材。
【化1】
[上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、*は結合位置を表す。]
【請求項2】
前記化合物(A)が前記(メタ)アクリルチオ基を2個以上有する化合物である、請求項1に記載の有機EL表示素子用封止材。
【請求項3】
前記化合物(B)が、置換されてもよい芳香族基をさらに有する化合物である、請求項1または2に記載の有機EL表示素子用封止材。
【請求項4】
E型粘度計で測定される25℃、20rpmにおける粘度が、5mPa・s以上50mPa・s以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の有機EL表示素子用封止材。
【請求項5】
インクジェット法による塗布に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の有機EL表示素子用封止材。
【請求項6】
有機EL表示素子、第1の無機材料膜、封止層、第2の無機材料膜がこの順序で積層された構造を有する有機EL表示装置において、前記封止層の形成に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の有機EL表示素子用封止材。
【請求項7】
ダム材とフィル材を用いた封止構造において、前記フィル材として用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の有機EL表示素子用封止材。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の有機EL表示素子用封止材を硬化してなる硬化物。
【請求項9】
有機EL表示素子と、
前記有機EL表示素子を被覆する封止層と、
を含み、前記封止層が、請求項に記載の硬化物を含有する、有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示素子用封止材、その硬化物および有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示素子の分野において、有機EL表示素子を封止する封止材の特性を向上させるための検討がなされている。
【0003】
有機EL表示素子は、消費電力が少ないことから、ディスプレイや照明装置などに用いられつつある。有機EL表示素子は、大気中の水分や酸素によって劣化しやすいことから、各種シール部材で封止されて使用されており、実用化に向けては各種シール部材の水分や酸素の耐久性の向上が望まれている。
【0004】
有機EL表示素子の封止方法としては、無機材料と有機材料とを交互に積層して封止する方法が挙げられる。たとえば、素子上に1層目の無機材料膜を被覆させた上に封止層を形成し、さらに2層目の無機材料膜を被覆させる方法が用いられている。
これらの無機材料膜は屈折率が高いため、無機材料膜に接する封止層には、無機材料膜との界面で生じる光の反射を抑えるため、高い屈折率が求められる。
【0005】
ここで、封止層を無機材料膜で被覆する方法としては、たとえば、窒化珪素や酸化珪素からなる無機材料膜を蒸着により形成する方法が挙げられる。蒸着方法としては、スパッタリング法や電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法等が挙げられる。
蒸着に際して、封止層の表面がプラズマにさらされるので、封止層には、耐プラズマ性、即ちプラズマ処理等で劣化しにくいことも求められている。
【0006】
特許文献1には、硫黄系光硬化性モノマー、非-硫黄系光硬化性モノマー、および重合開始剤を含有する有機発光素子封止用組成物が記載されている。
特許文献2には、環状(メタ)アクリレート化合物及び重合開始剤を含有する樹脂組成物が記載されている。
特許文献3には、チオエポキシ基含有フルオレン誘導体、及びジチオール化合物を重合して得られるチオエポキシ樹脂を含む硬化性組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2019-537217号公報
【文献】特開2014-229496号公報
【文献】特開2019-172880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、無機材料膜との界面で生じる光の反射を抑えるため、有機EL表示装置の封止材の硬化物には高い屈折率が求められる。この点、特許文献1および2に記載された樹脂組成物の硬化物は、いずれも屈折率が1.60未満と低く改善の余地があった。
また、特許文献2にされた樹脂組成物は、(メタ)アクリレート化合物の種類によっては、耐プラズマ性が低い場合があった。
さらに、特許文献3に記載された樹脂組成物は、粘度が高いため、スクリーン印刷やインクジェットでの塗布性に改善の余地があった。
【0009】
本発明はこれらの特許文献の記載に鑑みてなされたものであり、粘度、プラズマ耐性および硬化物にした際の屈折率のバランスに優れた有機EL表示素子用封止材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下に示す有機EL表示素子用封止材、その硬化物および有機EL表示装置が提供される。
[1] 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリルチオ基を有する化合物(A)を含有する、有機EL表示素子用封止材。
【化1】
[上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、*は結合位置を表す。]
[2] 上記化合物(A)が上記(メタ)アクリルチオ基を2個以上有する化合物である、[1]に記載の有機EL表示素子用封止材。
[3] (メタ)アクリル基を有する化合物(B)(但し上記化合物(A)を除く。)をさらに含有する、上記[1]又は[2]に記載の有機EL表示素子用封止材。
[4] 上記化合物(B)が、置換されてもよい芳香族基をさらに有する化合物である、上記[3]に記載の有機EL表示素子用封止材。
[5] E型粘度計で測定される25℃、20rpmにおける粘度が、5mPa・s以上50mPa・s以下である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の有機EL表示素子用封止材。
[6] インクジェット法による塗布に用いられる、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の有機EL表示素子用封止材。
[7] 有機EL表示素子、第1の無機材料膜、封止層、第2の無機材料膜がこの順序で積層された構造を有する有機EL表示装置において、上記封止層の形成に用いられる、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の有機EL表示素子用封止材。
[8] ダム材とフィル材を用いた封止構造において、上記フィル材として用いられる、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の有機EL表示素子用封止材。
[9] 上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の有機EL表示素子用封止材を硬化してなる硬化物。
[10] 有機EL表示素子と、
上記有機EL表示素子を被覆する封止層と、
を含み、上記封止層が、上記[9]に記載の硬化物を含有する、有機EL表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘度、プラズマ耐性および硬化物にした際の屈折率のバランスに優れた有機EL表示素子用封止材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、本実施形態において、各成分について、それぞれ、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、数値範囲を表す「~」は、以上、以下を表し、上限値および下限値をいずれも含む。
【0014】
<有機EL表示素子用封止材>
(化合物(A))
本実施形態において、有機EL表示素子用封止材(以下、適宜単に「封止材」とも呼ぶ。)は、下記一般式(1)で示す(メタ)アクリルチオ基を有する化合物(A)を含有する。本実施形態の封止材は、粘度、プラズマ耐性および硬化物にした際の屈折率のバランスに優れる。
【化1】
[上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、*は結合位置を表す。]
【0015】
封止材の硬化物の屈折率を大きくさせる観点から、化合物(A)は、(メタ)アクリルチオ基を2個以上有する化合物であることが好ましい。
【0016】
化合物(A)としては、以下の一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【化2】
[上記一般式(2)中、Rは一般式(1)の定義と同義であり、Rは置換されてもよい脂肪族基、置換されてもよい脂環族基、置換されてもよい芳香族基または置換されてもよい複素環基を表し、上記脂肪族基および上記脂環族基は、酸素原子または硫黄原子を有してもよく、nは1以上の整数を示す。]
【0017】
封止材の粘度を低減させる観点から、Rは炭素数1~20であることが好ましく、炭素数1~12であることがより好ましく、炭素数1~10であることがさらに好ましい。
【0018】
封止材の重合速度を調整させる観点、封止材の硬化物の屈折率を大きくさせる観点から、一般式(2)において、nは2以上であることが好ましい。また、nの上限に制限はないが、たとえば12以下、6以下または3以下とすることができる。
【0019】
封止材の硬化物の屈折率を大きくさせる観点、また封止材の硬化物の耐プラズマ性を改善させる観点から、一般式(2)において、Rは置換されてもよい脂肪族基であり且つ硫黄原子を有するものであることが好ましい。
【0020】
本実施形態の有機EL表示素子用封止材は、1種類の化合物(A)のみを含有してもよいし、複数種類の化合物(A)を含有してもよい。
封止材の硬化物の屈折率を大きくさせる観点、また封止材の硬化物の耐プラズマ性を改善させる観点から、本実施形態の有機EL表示素子用封止材は、一般式(2)におけるnの値が異なる複数種類の化合物(A)を含有するのが好ましい。
【0021】
一般式(2)の化合物は、例えば、一般式(3)で表されるチオール化合物と(メタ)アクリル酸ハライドとから脱ハロゲン化脱水素化により製造される。
【化3】
[上記一般式(3)中、Rおよびnはそれぞれ一般式(2)のRおよびnの定義と同様である。]
【0022】
一般式(3)で表されるチオール化合物は、メルカプト基以外に、例えばヒドロキシ基を有していてもよい。
【0023】
下記に一般式(3)で表されるチオール化合物の具体例を列挙する。なお、一般式(2)におけるRの具体例としては、下記の化合物由来の基を挙げることができる。
【0024】
一般式(3)で表されるチオール化合物のうち、チオール基を1つ有するモノチオール化合物として、具体的には、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、アミルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ウンデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、セチルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、アリルメルカプタン、2-ブテン-1-チオール、1-ブテン-4-チオール、メタリルメルカプタン、1-ペンテニルメルカプタン、2-i-ペンテニルメルカプタン、オレイルメルカプタン、シクロペンチルメルカプタン、シクロへキシルメルカプタン、シクロペンチルメチルメルカプタン、シクロヘプチルメルカプタン、3-メチルシクロペンチルメチルメルカプタン、2-メチルシクロヘキシルメルカプタン、3-メチルシクロヘキシルメルカプタン、4-メチルシクロヘキシルメルカプタン、3-メチルシクロヘキシルメチルメルカプタン、1-シクロペンチルメルカプタン、2-シクロヘキセニルメルカプタン、β-シクロヘキシルエチルメルカプタン、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシルメルカプタン、ε-シクロヘキシルアミルメルカプタン、コレステリルメルカプタン、フルフリルメルカプタン、メチルフルフリルメルカプタン、2-メルカプトチオフェン、3-メルカプトチオフェン、2-エチル-3-メルカプトチオフェン、チオフェノール、チオクレゾール、エチルチオフェノール、2,4-チオキシレノール、2,5-チオキシレノール、プロピルチオフェノール、アリルチオフェノール、2-アリル-4-メチルチオフェノール、フェニルチオフェノール、クロルチオフェノール、ブロモチオフェノール、ヨードチオフェノール、ニトロチオフェノール、トリニトロチオフェノール、ジニトロチオフェノール、ニトロブロモチオフェノール、ニトロクロルチオフェノール、メチルスルホニルチオフェノール、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、ニトロベンジルメルカプタン、α-フェニルエチルメルカプタン、β-フェニルエチルメルカプタン、α-フェニルプロピルメルカプタン、γ-フェニルプロピルメルカプタン、β-フェニルプロピルメルカプタン、β-フェニル-i-プロピルメルカプタン、D-β-フェニルブチルメルカプタン、ε-フェニルアミルメルカプタン、α,β-ジフェニルエチルメルカプタン、メチルベンジルメルカプタン、2-ニトロ-p-トリルメルカプタン、α-(o-トリル)ベンジルメルカプタン、α-(p-トリル)ベンジルメルカプタン、クロルベンジルメルカプタン、ジクロルベンジルメルカプタン、ブロモベンジルメルカプタン、α-フェニル-p-クロルベンジルメルカプタン、3-ヒドロキシ-5-メチルベンジルメルカプタン、シンナミルメルカプタン、β-γ-ジフェニルアリルメルカプタン、4,4′-ジクロルベンズヒドリルメルカプタン、トリフェニルメチルメルカプタン、α-チオナフトール、β-チオナフトール、4-クロル-α-チオナフトール、4-ブロモ-α-チオナフトール、1-ニトロ-β-チオナフトール、4-ニトロ-α-チオナフトール等が挙げられる。
【0025】
一般式(3)で表されるチオール化合物のうち、チオール基を2つ以上有するポリチオール化合物として、具体的には、
メタンジチオール、1,2-ケタンジチオール、1,1-プロパンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ-エクソ-シス-2,3-ジチオール、1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等の脂肪族ポリチオール、並びにそれらの塩素置換体及び臭素置換体等のハロゲン置換脂肪族ポリチオール;
1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2′-ジメルカプトビフェニル、4,4′-チオビス-ベンゼンチオール、4,4′-ジメルカプトビフェニル、4,4′-ジメルカプトビベンジル、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,4-ナフタレンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2,7-ナフタレンジチオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、4,5-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、9,10-アントラセンジメタンチオール、1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、フェニルメタン-1,1-ジチオール、2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタン、ビス(4-メルカプトフェニル)スルフィド等の芳香族ポリチオール;
2,5-ジクロロベンゼン-1,3-ジチオール、1,3-ジ(p-クロロフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、3,4,5-トリブロム-1,2-ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6-テトラクロル-1,5-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等芳香族ポリチオールの塩素置換体及び芳香族ポリチオールの臭素置換体等のハロゲン置換芳香族ポリチオール;
2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-エチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-モルホリノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-シクロヘキシルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-フェノキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-チオベンゼンオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-チオブチルオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール等の複素環を含有したポリチオール;
1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等の芳香族化合物の核アルキル化物由来のポリチオール;
ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピル)エタン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等の脂肪族ポリチオール、並びにそれらのチオグリコール酸エステル及びメルカプトプロピオン酸エステル;
ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4-チオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4-ジチオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)等の脂肪族ポリチオールのエステル;
2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、グルセリンジ(メルカプトアセテート)、1-ヒドロキシ-4-メルカプトシクロヘキサン、2,4-ジメルカプトフェノール、2-メルカプトハイドロキノン、4-メルカプトフェノール、3,4-ジメルカプト-2-プロパノール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、1,2-ジメルカプト-1,3-ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル-トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1-ヒドロキシエチルチオ-3-メルカプトエチルチオベンゼン、4-ヒドロキシ-4′-メルカプトジフェニルスルホン、2-(2-メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3-メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル-トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、2,2'-((3-メルカプトプロパン-1,2-ジイル)ビス(スルファンジイル))ビス(エタン-1-チオール)、3,3'-チオビス(2-((2-メルカプトエチル)チオ)プロパン-1-チオール)等のポリチオール;
が挙げられる。
さらには、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体が挙げられる。
【0026】
(化合物(B))
本実施形態の有機EL表示素子用封止材は、化合物(B)をさらに含んでもよい。化合物(B)は(メタ)アクリル基含有化合物(但し上記化合物(A)を除く。)である。
ここで、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基のうちの少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルのうちの少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートのうちの少なくとも一方を意味する。
【0027】
(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物の具体例として、1官能のモノ(メタ)アクリル化合物、2官能のジ(メタ)アクリル化合物、3官能以上の多官能(メタ)アクリル化合物が挙げられる。
【0028】
モノ(メタ)アクリル化合物の具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ-ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジキシルエチル(メタ)アクリレート、エチルジグリコール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノ(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド付加物、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド付加物、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、及び3-(メタ)アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、モノ(メタ)アクリル化合物の具体的な製品名および入手先としては、エトキシ化オルトフェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10、新中村化学工業社製)、m-フェノキシベンジルアクリレート(ライトアクリレートPOB-A、共栄社化学社製)等が挙げられる。
【0029】
ジ(メタ)アクリル化合物の具体例としては、ジオールのジ(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ジ(メタ)アクリル化合物の具体的な製品名および入手先としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(NKエステルA-HD-N、新中村化学工業社製;ライトアクリレート1,6HX-A、共栄社化学社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(NKエステルA-NOD-N、新中村化学工業社製;ライトアクリレート1,9ND-A、共栄社化学社製)、1,10-デカンジオールジアクリレート(NKエステルA-DOD-N、新中村化学工業社製)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NKエステルA-NPG、新中村化学工業社製;ライトアクリレートNP-A、共栄社化学社製)、エチレングリコールジアクリレート(SR206NS、アルケマ社製)、ポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA-400、新中村化学工業社製)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(NKエステルAPG-400、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(別名:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート)(NKエステルA-DCP、新中村化学工業社製;ライトアクリレートDCP-A、共栄社化学社製)、1,3-ブタンジオールジメタクリレート(NKエステルBG、新中村化学工業社製)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(NKエステルBD、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(NKエステルHD-N、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジメタクリレート(NKエステルNOD-N、新中村化学工業社製)、1,10-デカンジオールジメタクリレート(NKエステルDOD-N、新中村化学工業社製)、1,12-ドデカンジオールジアクリレート(SR262、サートマー社製)ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NKエステルNPG、新中村化学工業社製)等が挙げられる。
【0030】
多官能(メタ)アクリル化合物の具体的な製品名および入手先としては、
トリメチロールプロパントリアクリレート(NKエステルA-TMPT、新中村化学工業社製;ライトアクリレートTMP-A、共栄社化学社製)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(NKエステルA-TMPT-EO、新中村化学工業社製)、エトキシ化グリセリントリアクリレート(NKエステルA-GLY-6E、新中村化学工業社製)、プロポキシ化グリセリントリアクリレート(NKエステルA-GLY-3P、新中村化学工業社製)等の3官能(メタ)アクリル化合物;
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(NKエステルA-TMMT、新中村化学工業社製)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(NKエステルATM-4E、新中村化学工業社製)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(NKエステルAD-TMP-L、新中村化学工業社製)等の4官能(メタ)アクリル化合物;
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(M-402、東亞合成社製)等の5官能(メタ)アクリル化合物;
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(GM66G0H、國精化學社製)等の官能(メタ)アクリル化合物;
等が挙げられる。
【0031】
封止材の硬化物の屈折率を大きくさせる観点から、化合物(B)が、置換されてもよい芳香族基をさらに有する化合物であることが好ましい。化合物(B)における置換されてもよい芳香族基の具体例としては、上記において一般式(3)で表されるチオール化合物として例示した化合物由来の基のうち、置換されてもよい芳香族基であるものを適用することができる。
【0032】
封止材の硬化物の強度を大きくする観点から、化合物(A)と化合物(B)の合計量は、本実施形態の封止材の全組成に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上である。
【0033】
化合物(A)と化合物(B)の合計100質量部に対し、化合物(A)は好ましくは50質量部以上100質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以上100質量部以下である。
また、化合物(A)と化合物(B)の合計100質量部に対し、化合物(A)を、例えば70質量部以上100質量部以下、80質量部以上100質量部以下とすることもできる。
【0034】
化合物(A)と化合物(B)の合計100質量部に対し、化合物(B)は好ましくは0質量部以上で50質量部以下であり、さらに好ましくは0質量部以上40質量部以下である。
また、化合物(A)と化合物(B)の合計100質量部に対し、化合物(B)を、例えば0質量部以上30質量部以下、例えば0質量部以上20質量部以下とすることもできる。
【0035】
(重合開始剤)
本実施形態の封止材は重合開始剤をさらに含んでもよい。低温で安定的に硬化物を形成する観点から、重合開始剤は、好ましくは、紫外線または可視光線の照射によりラジカルまたは酸を発生する化合物である光重合開始剤である。
光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤、ベンゾイルギ酸系開始剤およびヒドロキシフェニルケトン系開始剤等が挙げられる。
【0036】
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-4'-イソプロピルプロピオフェノン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4'-トリ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ジ(メトキシカルボニル)-4,4'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4'-ジ(メトキシカルボニル)-4,3'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'-ジ(メトキシカルボニル)-3,3'-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2-(4'-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3',4'-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2',4'-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2'-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4'-ペンチルオキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-[p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)]-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(2'-クロロフェニル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(4'-メトキシフェニル)-s-トリアジン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、3,3'-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、2-(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、3-(2-メチル-2-ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6-ビス(2-メチル-2-モルフォリノプロピオニル)-9-n-ドデシルカルバゾール、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-プロパノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステル、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン-1-(O-アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0037】
封止材の硬化性を向上させる観点から、光重合開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(TPO)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステルから成る群から選択される1または2以上の化合物であることが好ましい。
【0038】
光重合開始剤の具体的な製品名および入手先としては、Irgacure184、Irgacure651、Irgacure127、Irgacure1173、Irgacure500、Irgacure2959、Irgacure754、IrgacureMBF、IrgacureTPO(以上、BASF社製)、Omnirad TPO H(IGM Resins社製)等が挙げられる。
【0039】
封止材の硬化性を向上させる観点から、重合開始剤の含有量は、封止材の全組成に対し、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは2質量%以上である。
【0040】
また、封止材の着色を抑制する観点から、重合開始剤の含有量は、封止材の全組成に対し、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下である。
【0041】
(その他の成分)
本実施形態の封止材は、上記以外の成分(その他の成分)として、粘着付与剤、充填剤、硬化促進剤、可塑剤、界面活性剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、レベリング剤および紫外線吸収剤からなる群から選択される1または2以上の成分を含んでいてもよい。
その他の成分の含有量は、封止材の全組成に対し、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
【0042】
封止材の熱安定性を向上させる観点から、封止材は熱安定剤を含有することが好ましい。
熱安定剤としてはヒンダードフェノール化合物を用いることができる。
ヒンダードフェノール化合物としては、ジブチルヒドロキシトルエン(別名:2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール)(製品名BHT、和光純薬社製)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、ペンタエリトリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名IRGANOX1010、BASF社製;製品名アデカスタブAO-60、ADEKA社製)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(製品名IRGANOX1076、BASF社製)などが挙げられる。
封止材の熱安定性をより向上させる観点から、封止材は熱安定剤としてジブチルヒドロキシトルエンおよびペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0043】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤を用いることができる。
リン系酸化防止剤としては、亜リン酸エステルが挙げられ、例えば、2,2-メチレンビス(4,6-ジt-ブチルフェニル)オクチルホスファイト(製品名アデカスタブHP-10、ADEKA社製)、トリス(2,4-ジt-ブチルフェニル)ホスファイト(製品名IRGAFOS168、BASF社製)などが挙げられる。
【0044】
(封止材の特性)
本実施形態の封止材の性状は限定されないが、インクジェット法等の塗布に好適であるという観点から、好ましくは液状である。
【0045】
また、実施形態において、封止層を安定的に形成する観点から、封止材は、好ましくは塗布に用いられる封止材であり、より好ましくはインクジェット法による塗布に用いられる封止材である。
【0046】
E型粘度計を用いて25℃、20rpmにて測定される封止材の粘度は、インクジェット吐出性向上の観点から、好ましくは5mPa・s以上であり、より好ましくは8mPa・s以上、さらに好ましくは10mPa・s以上である。
また、インクジェット吐出性向上の観点から、上記封止材の粘度は、好ましくは50mPa・s以下であり、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下である。
【0047】
(封止材の製造方法)
封止材の製造方法を説明する。封止材の製造方法は限定されず、たとえば、化合物(A)、および、適宜化合物(B)、その他の成分、たとえば必要に応じて添加する各種添加剤を混合することを含む。
各成分を混合する方法として、たとえば、遊星式撹拌装置、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独または併用して、常温下または加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下または不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法が挙げられる。
【0048】
<硬化物>
本実施形態の封止材の硬化物は、本実施形態の封止材を硬化してなるものである。
例えば、本実施形態の封止材の硬化物は、本実施形態の封止材を基材上に塗布し、硬化することで得られる。塗布には、インクジェット法、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等の公知の手法を用いることができる。
【0049】
基材上に塗布した封止材を乾燥させることにより硬化することができる。封止材を乾燥させる方法としては、たとえば化合物(A)が重合しない温度に加熱すること等により行うことができる。封止材を硬化して得られる硬化物の形状に制限はなく、たとえば膜状または層状とすることができる。
【0050】
また、基材上に塗布した封止材を光硬化することもできる。封止材を光硬化する方法としては、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、UV-LED等のLEDランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等の光源を使用して光照射して硬化する方法が挙げられる。
【0051】
本実施形態の封止材の硬化物の室温(25℃)でのd線(波長587.6nm)における屈折率(nd)は、好ましくは1.60以上であり、より好ましくは1.61以上、さらに好ましくは1.62以上、さらに好ましくは1.63以上、さらに好ましくは1.64以上、さらに好ましくは1.65以上である。また、屈折率の上限に制限はないが、たとえば2.00以下、1.90以下または1.80以下とすることができる。硬化後の封止材の屈折率はアッベ屈折計により測定することができる。
【0052】
封止材の硬化物は、有機EL表示素子を封止する封止材料として用いることができる。本実施形態の封止材の硬化物によれば、屈折率が高く、耐プラズマ性に優れるため、封止材料として好ましい。
【0053】
<有機EL表示装置>
本実施形態の有機EL表示装置は、有機EL表示素子と、本実施形態の封止材の硬化物を含有する封止層とを有する。封止層を有することで、基板上に配置された有機EL表示素子が封止層により封止されることになり、有機EL表示素子内への水分の浸入が充分に防止され、有機EL表示素子の性能および耐久性を高く維持することができる。
【0054】
封止層は、無機材料膜で被覆されていてもよい。また、基板上に配置された有機EL表示素子は、封止層で封止される前に、あらかじめ無機材料膜で被覆されていてもよい。
【0055】
具体的には、有機EL表示素子、第1の無機材料膜、封止層、第2の無機材料膜がこの順序で積層された構造を有する有機EL表示装置において、本実施形態の封止材が当該封止層の形成に用いられるということである。
【0056】
図1は、本実施形態における有機EL表示装置の構成例を示す断面図である。
図1に示した有機EL表示装置100では、基材50上に有機EL表示素子10が配置され、有機EL表示素子10の表面は、第1の無機材料膜21で被覆されている。
第1の無機材料膜21で被覆された有機EL表示素子10は、第1の封止層22により封止されている。
第1の封止層22の表面は、第2の無機材料膜23でさらに被覆されている。
第2の無機材料膜23で被覆された第1の封止層22は、第2の封止層24によりにさらに封止されている。
第2の封止層24の表面には表面保護層25が設けられている。
【0057】
有機EL表示装置100は、トップエミッション構造であっても、ボトムエミッション構造であってもよい。
【0058】
基材50の材料は限定されず、たとえば、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板等種々のものを用いることができる。基板上に複数のTFT(薄膜トランジスタ)および平坦化層を備えたTFT基板を用いることもできる。
【0059】
第1の無機材料膜21および第2の無機材料膜23を構成する無機材料としては、たとえば、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。無機材料膜は、1層でもよく、複数種の層の積層体でもよい。
【0060】
第1の無機材料膜21および第2の無機材料膜23による被覆方法としては、たとえば上記無機材料膜が窒化珪素や酸化珪素からなる場合には、スパッタリング法や電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法等が挙げられる。
【0061】
このうち、スパッタリング法は、たとえば、キャリアガスとしてアルゴンや窒素等の単独または混合ガスを用い、室温、電力50~1000W、圧力0.001~0.1Torrの条件でおこなうことができる。
【0062】
また、電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法は、たとえば、SiHとOとの混合ガス又はSiHとNとの混合ガスを用い、温度30℃~100℃、圧力10mTorr~1Torr、周波数2.45GHz、電力10~1000Wの条件でおこなうことができる。
【0063】
本実施形態の封止層は耐プラズマ性に優れるため、その表面に電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法等のプラズマ処理により無機材料膜を成膜したとしても、樹脂層が劣化しづらく、有機EL発光素子へのダメージが抑制される。
【0064】
第1の無機材料膜21および第2の無機材料膜23の厚さは限定されないが、バリア性能を向上させる観点から、たとえば0.01~10μmであり、好ましくは0.1~5μmである。
【0065】
封止層を得る方法としては、封止材を塗工し硬化する方法等が挙げられる。塗工する方法としては、インクジェット法を用いることができる。また、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布、インクジェット印刷、スリットコーティング、スプレーコーティング等の手法により、封止材を面状に塗布することができる。
【0066】
封止層の厚さは限定されないが、封止性能とフレキシブル性能を向上させる観点から、たとえば0.1~50μmであり、好ましくは1~20μmである。
【0067】
なお、有機EL表示素子を封止する方法として、有機EL表示素子の周りに高粘度の硬化性樹脂(ダム材)によりダムを形成し、その中に低粘度の硬化性樹脂(フィル材)を流し込んで硬化させる方法がある。このようなダム材とフィル材を用いた封止構造において、本実施形態の封止材をフィル材として用いることができる。本実施形態の封止材は、粘度が低減され流動性に優れるため、フィル材として好適に用いることができる。
【実施例
【0068】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
(封止材の作製)
はじめに、以下の例において用いた材料を示す。
【0070】
化合物(A)としては以下のチオ化合物A1~A5を用いた。
チオ化合物A1:特公平7-91262号公報の実施例2の記載にしたがい調製された下記式の化合物
【化4】
チオ化合物A2:特許2708607号公報の実施例3の記載にしたがい調製された下記式の化合物
【化5】
チオ化合物A3:特開平9-324023号公報の合成例6の記載にしたがい調製された下記式の化合物
【化6】
チオ化合物A4:特許2708607号公報の実施例1の4,4'-チオビス-ベンゼンチオール25.0部(0.10モル)をベンジルメルカプタン24.8部(0.20モル)に代えた以外は特許2708607号公報の実施例1と同様の操作をすることにより調整された下記式の化合物
【化7】
チオ化合物A5:特許2708607号公報の実施例1の記載にしたがい調製された下記式の化合物
【化8】
【0071】
化合物(B)としては、下記の(メタ)アクリル化合物B1~B4を用いた。
(メタ)アクリル化合物B1:エトキシ化オルトフェニルフェノールアクリレート、製品名NKエステルA-LEN-10、新中村化学工業社製
(メタ)アクリル化合物B2:m-フェノキシベンジルアクリレート、製品名ライトアクリレートPOB-A、共栄社化学社製
(メタ)アクリル化合物B3:ベンジルアクリレート、製品名ビスコート♯160、共栄社化学社製
(メタ)アクリル化合物B4:1,9-ノナンジオールジアクリレート、製品名ライトアクリレート1,9-ND-A、共栄社化学社製
【0072】
熱安定剤としては、ペンタエリトリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名アデカスタブAO-60、ADEKA社製)を用いた。光ラジカル開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(製品名Omnirad TPO H、IGM Resins社製)を用いた。
【0073】
表1に示した配合組成となるように各成分を配合して、液状の封止材を得た。
表1における化合物(A)および化合物(B)の配合組成の単位は、化合物(A)と化合物(B)の合計100質量部に対する化合物(A)または化合物(B)の質量部である。また、表1における熱安定剤および光ラジカル開始剤の配合組成の単位は封止材の全組成に対する質量%である。
【0074】
得られた封止材の物性を以下の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
【0075】
(粘度)
得られた封止材について、E型粘度計(LV DV-II+ Pro、BROOKFIELD社製)を用いて25℃、20rpmの条件で粘度を測定した。評価は下記の基準で行った。結果を表1に示す。
〇:5~50mPa・s
×:5mPa・s未満または50mPa・sより大きい
【0076】
(屈折率)
得られた封止材を硬化させてなる硬化フィルムの屈折率を以下の方法で評価した。
100μm厚のテフロン(登録商標)シートを型枠として、透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に当該型枠を置き、そこに上記の方法で得られた封止材を流し込み、その上にさらに透明PETフィルムを載せることで、2枚の透明PETフィルムの間に封止材を挟みこみ、波長395nmのUV-LEDで照度1000mW/cm、積算光量1500mJ/cmの条件で硬化させることで硬化フィルムを得た。
得られた硬化フィルムについて、室温(25℃)でのd線(波長587.6nm)における硬化後のフィルムの屈折率(nd)をアッベ屈折計(アタゴ社製、DR-M4)により測定した。評価は下記の基準で行った。結果を表1に示す。
〇:1.60以上
×:1.60未満
【0077】
(耐プラズマ性)
耐プラズマ性として、平行平板型の電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD装置を用いたプラズマ処理工程における素子ダメージを以下の方法で評価した。
上記の方法により得られた封止材を、インクジェットカートリッジDMC-11610(富士フイルムDimatix社製)に導入した。そのインクジェットカートリッジをインクジェット装置DMP-2831(富士フイルムDimatix社製)にセットし、吐出状態の調整を行った後、ガラス基板に、硬化後の厚みが10μmとなるように、15mm×15mmのサイズで塗布した。
得られた塗膜を、窒素がフローされ且つ室温(25℃)に調整されたボックスに入れ、5分間静置し、次いで波長395nmのUV-LEDを用い照度1000mW/cm、積算光量1500mJ/cmの条件で照射をし、硬化膜を形成した。
硬化膜の表面に、平行平板型の電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD装置を用いて、出力100W、硬化膜表面温度100℃の条件で、膜厚1μmの無機材料膜(SiN膜)を蒸着した。
得られたサンプルを85℃85%の恒温恒湿槽に投入して240時間後の外観を観察した。評価は下記の基準で行った。結果を表1に示す。
〇:白化しなかった
×:白化した
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示された通り、各実施例で得られた封止材およびその硬化物は、プラズマ照射に対する素子ダメージの抑制効果に優れるとともに、屈折率が高く、塗布に適した低い粘度を有するものであった。
【0080】
この出願は、2020年11月18日に出願された日本出願特願2020-191965号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0081】
10 有機EL表示素子
21 第1の無機材料膜
22 第1の封止層
23 第2の無機材料膜
24 第2の封止層
25 表面保護層
50 基材
100 有機EL表示装置
図1