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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20240523BHJP
   G07D 5/02 20060101ALI20240523BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20240523BHJP
【FI】
G07D9/00 Z
G07D5/02 104
G07D11/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023028980
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2019075069の分割
【原出願日】2019-04-10
(65)【公開番号】P2023058752
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山出 拓
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸貴
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 聡子
(72)【発明者】
【氏名】松野 信次郎
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208020(JP,A)
【文献】特開2016-009212(JP,A)
【文献】特開2016-177730(JP,A)
【文献】特開2017-228021(JP,A)
【文献】特開2014-071524(JP,A)
【文献】特開2015-060301(JP,A)
【文献】特開2015-018304(JP,A)
【文献】特開平04-124785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D,G07F,G07G,G07B,G06Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の硬貨を載置可能な載置部の全体を撮像して前記載置部に載置された複数の硬貨を同時に撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された硬貨の画像に対し当該硬貨の金種を含む硬貨情報を設定するための設定操作を受け付ける処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、さらに、前記設定操作により設定された前記硬貨情報を承認するための承認操作を受け付ける処理を実行し、前記承認操作を受け付ける処理において、前記撮像部により撮像された複数の硬貨の硬貨情報を一括して承認する操作を受け付ける、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記承認操作を受け付ける処理において、前記撮像部により撮像された複数の硬貨を含む画像を前記硬貨情報とともに表示部に表示させ、表示された複数の前記硬貨情報を一括して承認する操作を受け付ける、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記硬貨情報が信頼性に基づく所定の条件を満たす硬貨の画像と、前記硬貨情報が前記所定の条件を満たさない硬貨の画像とを区別可能に、前記複数の硬貨を含む画像を前記表示部に表示させる、請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された承認対象の硬貨の画像と、当該硬貨の前記硬貨情報に応じたサンプル画像とを前記表示部に表示させる、請求項2または3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記承認操作を受け付ける処理において、複数の前記硬貨情報を一括して承認する操作と、硬貨ごとに前記硬貨情報を個別に承認する操作とを選択可能に受け付ける、請求項1ないし4の何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記承認操作を受け付ける処理において、前記複数の硬貨を含む画像と、前記個別に承認する操作の対象とされる硬貨のみを含む画像とを、表示部に表示させる、請求項5に記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を処理する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、損貨(変形硬貨、汚損硬貨)や記念貨等の、市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う硬貨処理装置が知られている。たとえば、このような硬貨処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の硬貨処理装置では、入金口を介して筐体内部にある入金位置に一枚の硬貨が載置される。載置された硬貨は、入金位置においてカメラで撮像される。撮像された画像は、硬貨の種類および金種に関する候補とともに表示部に表示される。操作者は、硬貨の画像を見ながら、その硬貨の種類および金種を複数の候補の中から選択する。硬貨の種類および金種が選択されると、これら情報が画像に紐付けられて記憶部に記憶される。その後、硬貨は、損貨であるか記念貨であるかに応じて、損貨箱または記念貨箱に振り分けて収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-018304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の硬貨処理装置では、入金時に各硬貨の画像に紐付けられた金種が適正であるか否かを、入金処理後に、管理者等の承認者が確認して承認する操作が行われる。この操作において、承認者は、1枚ずつ硬貨の画像とその金種とを目視により確認する必要があり、承認に大層手間が掛かっていた。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、処理時に撮像された硬貨の画像に対し、金種等の硬貨に関する情報が適正に紐付けられたか否かの承認を、より簡易に行うことが可能な硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る硬貨処理装置は、複数の硬貨を載置可能な載置部の全体を撮像して前記載置部に載置された複数の硬貨を同時に撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された硬貨の画像に対し当該硬貨の金種を含む硬貨情報を設定するための設定操作を受け付ける処理を行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、さらに、前記設定操作により設定された前記硬貨情報を承認するための承認操作を受け付ける処理を実行し、前記承認操作を受け付ける処理において、前記撮像部により撮像された複数の硬貨硬貨情報を一括して承認する操作を受け付ける。
【0008】
本態様に係る硬貨処理装置によれば、操作者は、撮像部により撮像された複数の硬貨について硬貨情報を一括して承認できるため、硬貨ごとに承認を行う場合に比べて、承認操作を顕著に簡略化できる。よって、硬貨情報の承認を極めて簡易に行うことができる。
【0009】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記制御部は、前記承認操作を受け付ける処理において、前記撮像部により撮像された複数の硬貨を含む画像を前記硬貨情報とともに表示部に表示させ、表示された複数の前記硬貨情報を一括して承認する操作を受け付けるよう構成され得る。
【0010】
この場合、前記制御部は、前記硬貨情報が信頼性に基づく所定の条件を満たす硬貨の画像と、前記硬貨情報が前記所定の条件を満たさない硬貨の画像とを区別可能に、前記複数の硬貨を含む画像を前記表示部に表示させるよう構成され得る。
【0011】
この構成によれば、操作者は、複数の硬貨を含む画像を参照することにより、どの硬貨について、硬貨情報が信頼性に基づく所定の条件を満たしていないかを把握できる。よって、操作者は、一括承認の際に、特に、どの硬貨に対して硬貨情報を確認すべきかを把握でき、一括承認の作業をより円滑に進めることができる。
【0012】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記制御部は、前記撮像部により撮像された承認対象の硬貨の画像と、当該硬貨の前記硬貨情報に応じたサンプル画像とを表示部に表示させるよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、操作者は、硬貨の画像とサンプル画像とを対比することにより、硬貨の画像に紐付けられた硬貨情報が適正であるかを容易に確認できる。よって、操作者は、当該硬貨の画像に紐付けられた硬貨情報の適否を容易に確認できる。
【0014】
また、前記制御部は、前記承認操作を受け付ける処理において、複数の前記硬貨情報を一括して承認する操作と、硬貨ごとに前記硬貨情報を個別に承認する操作とを選択可能に受け付けるよう構成され得る。
【0015】
この構成によれば、操作者は、一括承認と個別承認とを任意に選択できる。たとえば、全体画像に含まれる一部の硬貨の画像について硬貨情報が誤っている場合は、一括承認を行えない。このような場合に、操作者は、個別承認を選択して、硬貨ごとに承認または訂正を行う。これにより、操作者は、承認の作業を、円滑に進めることができる。
【0016】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記制御部は、前記承認操作を受け付ける処理において、前記複数の硬貨を含む画像と、前記個別に承認する操作の対象とされる硬貨のみを含む画像とを、表示部に表示させるよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、操作者は、複数の硬貨を含む画像を参照することにより、個別承認の対象とされる硬貨の設置位置や設置状態を把握できる。これにより、操作者は、個別承認の対象とされる硬貨硬貨情報に対する承認作業をより円滑に進めることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、本発明によれば、処理時に撮像された硬貨の画像に対し、金種等の硬貨に関する情報が適正に紐付けられたか否かの承認を、より簡易に行うことが可能な硬貨処理装置を提供することができる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る貨幣処理システムの外観を示す正面図である。
図2図2(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図3図3(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の構成および動作を模式的に示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置および操作端末の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図6図6(a)~(d)は、それぞれ、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図7図7(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨の画像に対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
図8図8(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨情報データベースの構成を示す図である。
図9図9(a)、(b)は、実施形態に係る、各硬貨に紐付けられた硬貨情報を自動承認済みに設定する処理を示すフローチャートである。
図10図10(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。
図11図11(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。
図12図12(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。
図13図13(a)、(b)は、変更例1に係る、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。
図14図14(a)、(b)は、変更例2に係る、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。
図15図15(a)、(b)は、変更例3に係る、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。
図16図16は、他の変更例に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図17図17は、さらに他の変更例に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態において、特殊硬貨処理装置7が、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理装置」に対応する。また、カメラ51が、特許請求の範囲に記載の「撮像部」に対応する。
【0023】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0024】
図1は、本実施形態に係る、貨幣処理システム1の外観を示す正面図である。
【0025】
貨幣処理システム1は、束紙幣処理装置2と、バラ紙幣処理装置3と、バラ硬貨処理装置4と、包装硬貨処理装置5と、有価媒体処理装置6と、特殊硬貨処理装置7と、操作端末8と、貨幣保管装置9と、を備える。
【0026】
束紙幣処理装置2は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束紙幣(帯封紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。バラ紙幣処理装置3は、バラ紙幣を金種別に収納できる紙幣収納部を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。束紙幣処理装置2は、バラ紙幣処理装置3と接続されており、バラ紙幣処理装置3から送られてきたバラ紙幣をもとに束紙幣形成部で束紙幣を生成して外部に投出し、あるいは、生成した束紙幣を束紙幣収納部に収納する。
【0027】
バラ硬貨処理装置4は、バラ硬貨を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。包装硬貨処理装置5は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装硬貨を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置5は、バラ硬貨処理装置4と接続されており、バラ硬貨処理装置4から送られてきたバラ硬貨をもとに包装硬貨形成部で包装硬貨に生成して外部に投出し、あるいは、生成した包装硬貨を装硬貨収納部に収納する。
【0028】
有価媒体処理装置6は、束紙幣処理装置2およびバラ紙幣処理装置3で取り扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置6は、損券収納部、有価証券収納部を有し、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券および汚れや破れによってバラ紙幣処理装置3で処理できない損傷券を損券収納部に対して入出金する処理、および、小切手や手形などの特定の有価証券を有価証券収納部に対して入出金する処理を行う。また、有価媒体処理装置6は、新券収納部を有し、未使用の紙幣である新券を新券収納部から出金する処理を行う。
【0029】
特殊硬貨処理装置7は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨等の市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う。これら特殊な硬貨は、バラ硬貨処理装置4では、取り扱うことができない。
【0030】
操作端末8は、操作表示部301と、プリンタ302とを備える。ユーザは、操作端末8を用いて、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理のための操作や出金処理のための操作を行う。
【0031】
貨幣保管装置9は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、旧貨、記念貨等の市場の流通に適さない特殊な硬貨等の保管に用いられる。また、貨幣保管装置9は、束紙幣処理装置2に収納しきれない束紙幣や包装硬貨処理装置5に収納しきれない包装硬貨の保管に用いられる。
【0032】
図2(a)(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。
【0033】
特殊硬貨処理装置7は、直方体形状の筐体10により、外郭が形成される。筐体10の上部前側に開口11が形成されている。この開口11が、シャッター12により開閉される。図2(a)には、開口11がシャッター12により閉じられた状態が示され、図2(b)には、開口11が開放された状態が示されている。シャッター12は、筐体10の左右の内側面に形成されたガイド溝13に沿って、前後方向に移動可能に筐体10に支持されている。
【0034】
シャッター12が開放されると、左右に並ぶ第1載置部21と第2載置部22が、外部に露出する。第1載置部21と第2載置部22は、仕切り23によって仕切られている。第1載置部21の直下に、第1載置部21に載置された硬貨を収納するための第1収納庫31が前方に引き出し可能に設置されている。また、第2載置部22の直下に、第2載置部22に載置された硬貨を収納するための第2収納庫32が前方に引き出し可能に設置されている。すなわち、第1載置部21と第2載置部22にそれぞれ対応付けられて、第1収納庫31と第2収納庫32が設けられている。
【0035】
本実施形態では、第1載置部21が損貨の載置領域に設定され、第2載置部22が記念貨の載置領域に設定されている。したがって、第1収納庫31には損貨が収納され、第2収納庫32には記念貨が収納される。第1収納庫31と第2収納庫32の真上の位置に、それぞれ、第1載置部21と第2載置部22に載置されるべき硬貨の種類を示すラベル33、34が付設されている。操作者は、これらのラベル33、34を参照することにより、第1載置部21と第2載置部22に載置されるべき硬貨の種類を把握できる。
【0036】
なお、第1載置部21および第2載置部22に載置されるべき硬貨の種類は、任意に設定可能である。各載置領域に載置されるべき硬貨の種類は、たとえば、所定の設定画面を用いて設定される。設定された各載置領域の硬貨の種類は、特殊硬貨処理装置7内の記憶部に記憶される。ラベル33、34は設定に応じて付設される。たとえば、第1載置部21と第2載置部22が、何れも、損貨が載置される領域に設定されてもよく、あるいは、何れも、記念貨が載置される領域に設定されてもよい。
【0037】
図3(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成および動作を模式的に示す断面図である。図3(a)、(b)には、それぞれ、図2(a)のA-A’断面図が示されている。図3(a)は、第1載置部21と第2載置部22に対象の硬貨が載置された後、シャッター12が閉じられた直後の状態が示され、図3(b)には、その後、収納動作が開始された状態が示されている。
【0038】
図3(a)、(b)に示すように、第1載置部21は、枠部材24と載置部材25とで構成されている。枠部材24の内側面は、仕切り23の側面とともに、第1載置部21の内側面を構成し、載置部材25の上面は、第1載置部21の底面、すなわち、第1載置部21における硬貨の載置面を構成する。枠部材24は、筐体10内部に固定され、載置部材25は、前後に移動可能に、支持フレーム41に支持されている。支持フレーム41には、枠部材24の内側面と第1収納庫31とを連通させる開口41aが設けられている。第2載置部22も、図3(a)、(b)と同様の構成である。
【0039】
シャッター12の上部内側面には、第1載置部21および第2載置部22の両方を画角に含むカメラ51が設置されている。すなわち、第1載置部21および第2載置部22に載置された硬貨は、全て、1つのカメラ51で同時に撮像される。
【0040】
さらに、筐体10の内部には、第1載置部21および第2載置部22を照明するための発光ユニット61が設置されている。発光ユニット61は、左右方向に長い形状を有する。発光ユニット61は、たとえば、白色光を放射する。発光ユニット61から放射される光の色が白色以外の色であってもよい。
【0041】
発光ユニット61は、たとえば、複数のLED(Light Emitting Diode)を左右方向に並べて集積化した構成である。LEDの並び方向に光を均一化させるディフューザがさらに配置されてもよい。また、発光ユニット61の短手方向に光の放射角を広げる拡大レンズが配置されてもよい。拡大レンズは、たとえば、凹状のシリンドリカル面を有し、シリンドリカル面の母線が発光ユニット61の長手方向に平行となるように配置される。発光ユニット61が、他の線光源により構成されてもよい。
【0042】
発光ユニット61は、図示しない設置部材によって、シャッター12の奥側に設置されている。発光ユニット61の左右方向の発光領域の長さは、第1載置部21および第2載置部22の両方を合わせた長さよりやや広い。発光ユニット61は、斜め上方から第1載置部21および第2載置部22の両方に同時に光を照射する。すなわち、第1載置部21および第2載置部22に設置された全ての硬貨に対して、発光ユニット61から同時に光が照射される。図3(a)の破線は、光の照射状態を示し、一点鎖線は、発光ユニット61の短手方向における照射光の広がり角の中心軸を示している。
【0043】
なお、発光ユニット61が第1載置部21および第2載置部22ごとに個別に設けられてもよい。また、第1載置部21に対して複数の発光ユニット61が設けられてもよく、第2載置部22に対して複数の発光ユニット61が設けられてもよい。たとえば、第1載置部21の前側の領域と後側の領域に対してそれぞれ発光ユニット61が設けられてもよい。この場合、第1載置部21に照射される光の強度が前側の領域と後側の領域とでなるべく均一化されるように、各発光ユニット61の出射光量が個別に設定されてもよい。
【0044】
図3(a)の状態から、載置部材25が図示しない駆動機構により後方に移動されると、第1載置部21の底面が徐々に開放される。これにより、図3(b)に示すように、硬貨C1が、開放された底面から開口41aを介して第1収納庫31の内部に落下する。載置部材25は、前端が枠部材24の後端側の内側面の位置まで移動する。これにより、第1載置部21に載置された全ての硬貨C1が、第1収納庫31の内部に落下して、第1収納庫31に収納される。第2載置部22に載置された硬貨も、同様の動作により、第2収納庫32に収納される。
【0045】
図4は、特殊硬貨処理装置7および操作端末8の構成を示すブロック図である。
【0046】
特殊硬貨処理装置7は、撮像処理部201と、シャッター駆動部202と、載置部材駆動部203と、発光ユニット駆動部204と、通信部205と、制御部206と、記憶部207と、を備える。
【0047】
撮像処理部201は、制御部206からの制御によりカメラ51を駆動するとともに、カメラ51からの画像データを処理して制御部206に送信する。シャッター駆動部202は、シャッター12を駆動するためのモータ、駆動機構および駆動回路を備え、制御部206からの制御により、シャッター12を開閉する。載置部材駆動部203は、図3(a)、(b)に示した載置部材25を駆動するためのモータ、駆動機構および駆動回路を備え、制御部206からの制御により、載置部材25を駆動する。発光ユニット駆動部204は、発光ユニット61を駆動する駆動回路を備え、制御部206からの制御により、発光ユニット61を駆動する。通信部205は、制御部206からの制御により、操作端末8の通信部304との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0048】
制御部206は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部207に記憶されたプログラムに従って、撮像処理部201、シャッター駆動部202、載置部材駆動部203、発光ユニット駆動部204および通信部205を制御する。記憶部207は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部206の制御プログラムを記憶し、また、制御部206の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0049】
操作端末8は、上述した操作表示部301およびプリンタ302の他、カードリーダ303、通信部304、制御部305および記憶部306を備える。
【0050】
操作表示部301は、ディスプレイ301aとタッチセンサ301bとを備えたタッチパネルで構成される。ディスプレイ301aは、各種情報を表示する。タッチセンサ301bは、ディスプレイ301aに対するユーザのタッチ操作を検出する。プリンタ302は、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理、出金処理等の各種処理の結果を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
【0051】
カードリーダ303は、IDカードを読み取り、読み取ったデータ(ID情報)を制御部305に出力する。通信部304は、特殊硬貨処理装置7の通信部205との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。この他、通信部304は、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6および貨幣保管装置9の各通信部との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0052】
制御部305は、CPU等の演算回路を備え、記憶部306に記憶されたプログラムに従って、操作表示部301、プリンタ302、カードリーダ303、通信部304を制御する。さらに、制御部305は、通信部304を介して、束紙幣処理装置2、バラ紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9との間で各種の指令や情報のやり取りを行うことにより、これら装置の動作を制御する。
【0053】
記憶部306は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部305の制御プログラムを記憶し、また、制御部305の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、記憶部306は、損貨および記念貨の参照画像と金種とを対応付けた硬貨画像データベース306aを保持している。硬貨画像データベース306aは、硬貨の種類(損貨/記念貨)ごとに準備されている。硬貨画像データベース306aは、カメラ51により撮像された硬貨の画像の金種を判定する際に、制御部305により参照される。
【0054】
この他、記憶部306は、特殊硬貨処理装置7に入金された硬貨の画像と当該硬貨に関する情報(以下、「硬貨情報」という)とを紐付けて記憶する硬貨情報データベース306bを備えている。ここでは、硬貨情報として、硬貨の種類(損貨、記念貨)と金種(500円、100円、50円、10円、5円、1円)が記憶される。また、硬貨情報データベース306bには、入金の取引ごとに、取引の日時や、担当者(操作者)のID情報等の情報が記憶される。
【0055】
次に、特殊硬貨処理装置7へ特殊な硬貨である損貨および記念貨を入金するための処理について説明する。
【0056】
図5は、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、操作端末8の制御部305において実行される。
【0057】
特殊硬貨の入金処理において、操作者は、まず、図6(a)に示すメニュー画面410を操作する。メニュー画面410には、処理項目の選択候補を表示する領域411が含まれている。操作者は、領域411中の“特殊硬貨”の処理項目を選択する。これにより、領域412に含まれた貨幣の種類のうち、処理対象とされる損貨/旧貨および記念貨の項目がハイライト表示される。さらに、領域413に、当該硬貨の入金を行うための特殊硬貨処理装置7の画像413aが表示される。操作者は、画像413aを参照することにより、どの装置に対して入金を行えばよいかを円滑に把握できる。その後、操作者は、ボタン414を操作する。これにより、図5に示す処理が開始される。
【0058】
図5を参照して、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S101)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。また、制御部305は、操作表示部301にセット要求画面を表示させる。これにより、操作表示部301の画面が、図6(a)のメニュー画面410から図6(b)のセット要求画面420に切り替わる。
【0059】
図6(b)を参照して、領域421には、図6(a)の領域411と同様の画像が表示される。領域422には、特殊硬貨処理装置7の硬貨載置領域における硬貨の種類の割り当て形態を示す画像422aが表示される。ここでは、左側の硬貨載置領域(第1載置部21)が損貨を載置するための領域に割り当てられ、右側の硬貨載置領域(第2載置部22)が記念貨を載置するための領域に割り当てられている。操作者は、画像422aを参照することにより、各載置領域に載置すべき硬貨の種類を的確に把握できる。
【0060】
領域423には、特殊硬貨処理装置7に処理対象の硬貨をセットすること、および、セット完了後にボタン424を操作することを促すメッセージ423aが含まれる。操作者は、メッセージ423aを参照して、特殊硬貨処理装置7の第1載置部21および第2載置部22に、それぞれ、処理対象の損貨および記念貨を載置する。処理対象の全ての損貨および記念貨をセットすると、操作者は、ボタン424を操作する。これにより、図5のステップS103の判定がYESとなる。
【0061】
こうして、ステップS103の判定がYESとなると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S104)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。さらに、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部206に対して、硬貨を撮像させる指示を送信する(S105)。これにより、特殊硬貨処理装置7において、第1載置部21および第2載置部22に載置された硬貨が、カメラ51により撮像される。こうして、第1載置部21および第2載置部22に載置された全ての硬貨の画像を含む全体画像が取得される。特殊硬貨処理装置7の制御部206は、取得した全体画像を操作端末8に送信する。操作端末8の制御部305は、受信した全体画像を、記憶部306に一時記憶させる。
【0062】
次に、制御部305は、特殊硬貨処理装置7から受信した複数の全体画像を処理して、当該全体画像に含まれる各硬貨の画像を切り出す(S106)。このとき、制御部305は、切り出した各硬貨の画像に対して歪み補正を行い、真円に近い各硬貨の画像を取得する。そして、制御部305は、ステップS106で切り出した各硬貨の画像と、硬貨画像データベース306aに保持された基準画像とを照合して、各硬貨の画像の金種を識別する(S107)。
【0063】
具体的には、制御部305は、各硬貨の画像について、マッチング度合いが所定の閾値以上で且つ最高の基準画像を硬貨画像データベース306aから抽出し、この基準画像に対応付けられた金種を、当該硬貨の画像に割り当てる。このとき、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた基準画像が、損貨と記念貨の何れの種類に属するかを示す区分を、各硬貨の画像にさらに割り当てる。また、マッチング度合いが閾値以上の基準画像がない硬貨の画像については、金種が不明との識別結果が割り当てられる。
【0064】
こうして各硬貨の画像について金種を識別した後、制御部305は、第1載置部21および第2載置部22に対して、対応する種類(損貨/記念貨)の硬貨が適正にセットされたか否かを判定する(S108)。すなわち、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた硬貨の種類の区分を参照し、損貨が載置されるべき第1載置部21から取得された各硬貨の画像の何れかに記念貨の区分が割り当てられた場合、および、記念貨が載置されるべき第2載置部22から取得された各硬貨の画像の何れかに損貨の区分が割り当てられた場合に、第1載置部21および第2載置部22に対して硬貨の置き間違いが生じたと判定する。
【0065】
硬貨の置き間違いが生じた場合(S108:YES)、制御部305は、図6(c)に示す確認要求画面430を操作表示部301に表示させる(S109)。確認要求画面430では、図6(b)に示したセット要求画面420に領域431の画像が重ねて表示される。領域431には、硬貨の置き間違いがあること、および、硬貨の再セットを行うことを促すメッセージ431aと、ボタン432が含まれる。操作者は、メッセージ431aを参照して、硬貨の置き間違いを把握した後、ボタン432を操作する。これにより、図5のステップS110の判定がYESとなる。
【0066】
これに応じて、制御部305は、処理をステップS101に戻して、ステップS101以降の処理を再度実行する。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放されて、硬貨の置き直しが可能となる。操作者は、ステップS102で表示されるセット要求画面420等を参照しながら、適正な載置領域に硬貨を置き直す。その後、操作者は、上記と同様の操作を行う。
【0067】
硬貨の置き間違いがない場合(S108:NO)、制御部305は、図6(d)に示す入金処理画面440を、操作表示部301に表示させる(S111)。
【0068】
図6(d)を参照して、入金処理画面440は、領域441、442と、ボタン443~445とを含んでいる。領域441には、硬貨の入金結果441a、441bが金種ごとに表示される。領域442には、図5のステップS106において切り出した各硬貨の画像442cが表示される。表示される各硬貨の画像442cは、歪み補正後の画像である。領域442は、損貨の画像を表示させるためのタブ442aと、記念貨の画像を表示させるためのタブ442bとを備えている。タブ442aが選択されると、第1載置部21にセットされた損貨の各画像が表示され、タブ442bが選択されると、第2載置部22にセットされた記念貨の各画像が表示される。
【0069】
硬貨の各画像442cの直下の位置に、各画像の金種を示す項目442dが表示される。入金処理画面440の表示開始時には、図5のステップS107で識別された各硬貨の画像442cの金種が項目442dに表示される。ステップS107で金種が不明と判定された硬貨の画像442cには、“?”の記号が項目442dに表示される。“?”の記号が付された画像442c以外の画像442cについて、金種ごとに枚数が計数され、計数結果が、入金結果441a、441bとして、領域441に表示される。領域442には、画像442cをスクロールさせるためのスクロールバー442eが設けられている。
【0070】
なお、金種を示す項目442dは、必ずしも、各画像442cの直下に配置されなくてもよく、画像442cに対応付けられた形態であれば、他の位置に配置されてもよい。たとえば、画像442cの一部に重なるように項目442dが配置されてもよい。
【0071】
操作者は、項目442dに対する操作により、各硬貨の画像442cの金種を設定できる。
【0072】
図7(a)、(b)は、硬貨の画像442cに対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
【0073】
たとえば、金種が不明と識別された画像442cに対して金種を設定する場合、操作者は、まず、当該画像442cを参照して、当該画像442cの硬貨の金種を目視により確認する。次に、操作者は、図7(a)に示すように、当該画像442cに対応付けられた項目442dに指でタッチし、そのまま指を下方にドラッグさせる。これにより、ドラッグの距離に応じて項目442dに表示される金種が変化する。
【0074】
たとえば、指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が1円となり、さらに指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が5円となる。その後、同様に、指を所定距離だけドラッグさせるごとに、項目442dの金種が、10円、50円、…と変化する。指を逆方向(上方)にドラッグさせると、金種の変化が反転する。
【0075】
こうして、操作者は、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されるまで、指をドラッグさせる。そして、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されると、操作者は、指を画面から離す。これにより、図7(b)のように、項目442dに金種が設定される。このとき、操作者により金種が設定された項目442dは、図5のステップS107で金種が識別された項目442dと区別可能な形態で表示される。たとえば、操作者により金種が設定された項目442dは、他の項目442dとは異なる色が付されて表示される。
【0076】
操作者は、金種が不明と識別された他の画像442cについても、同様の操作により金種を設定する。また、操作者は、図5のステップS107で金種が識別された項目442dについても、適宜、上記と同様の操作により、金種を修正する。こうして、各画像442cの金種が操作者により設定されると、これに応じて、領域441に表示される各金種の入金結果441a、441bが更新される。
【0077】
なお、図7(a)、(b)に示した例では、指をドラッグさせることにより金種の候補が変更されたが、金種の候補を変化させる方法は、これに限られるものではない。たとえば、項目442dをタップするごとに金種の候補が変化する構成であってもよい。
【0078】
図6(d)に戻り、ボタン443は、全体画像を表示させるためのボタンである。全体画像を確認する際、操作者は、適宜、図6(d)のボタン443を操作する。これにより、図5のステップS105の撮像処理において取得された全体画像が、操作表示部301のディスプレイ301a全体に表示される。すなわち、第1載置部21および第2載置部22の両方を上方から撮像した画像が、ディスプレイ301aに表示される。操作者は、全体画像を参照することにより、各載置部に載置された硬貨の内容を正確に確認することができる。確認の後、操作者は、画面を図6(d)の入金処理画面に戻すためのボタンを操作する。これにより、画面が、図6(d)の入金処理画面440に戻る。
【0079】
操作者は、領域442に対する金種の設定操作の際にも、適宜、ボタン443を操作して、全体画像を表示させる。これにより、操作者は、各硬貨の画像の金種をより円滑に目視により確認することができる。
【0080】
図5に戻り、制御部305は、入金処理画面440を表示させた後(S111)、金種受付処理(S112)および詳細確認受付処理(S113)を実行する。金種受付処理(S112)において、制御部305は、図7(a)、(b)に示した操作を受け付け、操作者により当該操作がなされた場合に、上記のように、項目442dの金種を変更する。また、詳細確認受付処理(S113)において、制御部305は、図6(d)のボタン443に対する操作を受け付け、ボタン443に対する操作がなされた場合に、全体画像を操作表示部301に表示させる。
【0081】
ステップS112、S113の処理とともに、制御部305は、入金処理画面440に対して、操作者により、やりなおし操作がなされたか否かを判定する(S114)。具体的には、制御部305は、図6(d)の入金処理画面440中のボタン444が操作者により操作されたか否かを判定する。
【0082】
操作者は、処理対象の硬貨の一部を第1載置部21または第2載置部22にセットし忘れた場合や、全体画像により各載置部に対する硬貨のセットが適切でなかったことを把握した場合等、入金処理をやり直す必要性を確認した場合に、ボタン444を操作する。これにより、制御部305は、ステップS114の判定をYESとして、処理をステップS101に戻す。これに応じて、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。これにより、操作者は、第1載置部21または第2載置部22にアクセスして、硬貨入金のための操作をやり直す。
【0083】
やりなおし操作が行われることなく(S114:NO)、図6(d)の入金処理画面440において、操作者により、全ての硬貨の画像442cに対して金種が設定され、その後、処理を確定させるボタン445が操作されると(S115:YES)、制御部305は、入金確定処理を実行する(S116)。これにより、制御部305は、当該入金取引に関する情報を記憶部306の硬貨情報データベース306bに記憶させる。硬貨情報データベース306bに記憶される情報は、追って、図8(a)、(b)を参照して説明する。
【0084】
こうして、入金確定処理を完了すると、制御部305は、通信部304を介して、各載置部に載置された硬貨を収納させる指示を特殊硬貨処理装置7に送信する。これに応じて、特殊硬貨処理装置7の制御部206は、載置部材駆動部203を制御して、載置部材25を最後方位置へと移送させる。これにより、第1載置部21および第2載置部22に載置された硬貨が、それぞれ、第1収納庫31および第2収納庫32に落下して収納される。その後、制御部206は、載置部材25を最前方位置(初期位置)へと移送させる。これにより、硬貨の入金処理が終了する。
【0085】
図8(a)、(b)は、図5のステップS116において硬貨情報データベース306bに記憶される情報の構成を示す図である。
【0086】
図8(a)に示すように、硬貨情報データベース306bには、入金取引を管理するための管理情報が記憶される。通番の項目には、各取引に付される通番が格納される。管理情報は、取引の通番と、取引の日時と、取引種別と、取引担当者(操作者)のID情報(担当者ID)と、全体画像と、承認有無とからなっている。日時の項目には、各取引がなされた日時が格納される。取引種別の項目には、取引の種別(ここでは入金)が格納される。担当者IDの項目には、当該取引の際にカードリーダ303で読み取られたIDカードのID情報が格納される。全体画像は、当該取引の際に図5のステップS105で撮像された全体画像である。
【0087】
承認有無の項目には、当該取引に対して管理者(上長や責任者等)が承認を行ったか否かの情報が格納される。上記のように、図6(d)に示した入金処理画面440を介して、操作者(取引担当者)により、各硬貨の画像に硬貨情報(硬貨の種類、金種)が紐付けられる。こうして紐付けられた硬貨情報は、入金処理後に、管理者によって確認され承認される。図8(a)の承認有無の項目には、各取引について、この確認が完了しているか否かの情報が格納される。
【0088】
さらに、硬貨情報データベース306bには、図8(a)の取引ごとに、図8(b)の個別情報が記憶される。図8(b)には、図8(a)の通番0007の取引に対応する個別情報が示されている。ここでは、通番0007の取引において、100円、500円、1円の損貨が入金されている。
【0089】
図8(b)に示すように、個別情報は、硬貨の種別と、硬貨の金種と、硬貨の画像と、信頼度と、金種変更の有無と、承認有無が、当該取引において入金された硬貨ごとからなっている。種別の項目には、当該硬貨の種別(損貨/記念貨)が格納され、金種の項目には、当該硬貨の金種(500円、100円、50円、10円、5円、1円)が格納される。上記のとおり、硬貨の種別と硬貨の金種が、硬貨情報を構成する。硬貨画像は、当該取引の際に図5のステップS106で全体画像から切り出された各硬貨の画像である。
【0090】
信頼度の項目には、硬貨情報の信頼度に関する値が硬貨ごとに格納される。上記のように、図5のステップS107において、各硬貨の画像と基準画像とのマッチング率が取得されている。たとえば、各基準画像に対するマッチング率のうち最高のマッチング率が、硬貨情報の信頼度に関する値として、信頼度の項目に格納される。
【0091】
金種変更有無の項目には、図5のステップS107の処理により各硬貨の画像に設定された金種が、ステップS112の処理において、操作者により変更されたか否かを示す情報が格納される。図5のステップS107の処理により金種を識別できなかった硬貨の画像に対し、図7(a)、(b)の操作により金種が設定された場合、金種変更有無の項目は“有”となる。また、図5のステップS107の処理により金種が識別された硬貨の画像に対し、図7(a)、(b)の操作により金種が変更された場合も、金種変更有無の項目は“有”となる。図7(a)、(b)の操作により金種が変更されなかった場合は、金種変更有無の項目は“無”となる。
【0092】
承認有無の項目には、上述の承認操作により、管理者が、当該硬貨の画像について承認を行ったか否かの情報が格納される。管理者による承認が完了している場合、承認有無の項目は“済”となる。また、管理者による承認が完了していない場合、承認有無の項目は“未”となる。
【0093】
なお、承認操作では、硬貨の画像とその硬貨情報(硬貨の種類、金種)とが、管理者により目視で確認される。すなわち、管理者は、硬貨の画像を1枚ずつ表示させながら、その金種や硬貨の種類を目視で確認する。このような操作は、煩雑であり、大層手間が掛かる。
【0094】
そこで、本実施形態では、硬貨情報が信頼性に基づく所定の条件を満たす場合は、当該硬貨情報の承認操作の少なくとも一部を省略するよう構成されている。具体的には、硬貨情報が信頼性に基づく所定の条件を満たす場合、当該硬貨情報は、装置による自動承認が完了しているとして、管理者による承認を省略するよう構成されている。この場合、図8(b)の承認有無の項目は“自動”と設定される。
【0095】
図9(a)、(b)は、各硬貨に紐付けられた硬貨情報を自動承認済みに設定する処理を示すフローチャートである。この処理は、図5のステップS116において、操作端末8の制御部305により行われる。
【0096】
まず、図9(a)を参照して、制御部305は、各硬貨の画像に対する金種の識別結果が、図7(a)、(b)の操作によって、操作者により変更されたか否かを判別する(S211)。金種の識別結果が変更された場合(S211:YES)、制御部305は、当該硬貨の画像に対する硬貨情報を未承認に設定する(S214)。これにより、当該硬貨の画像に対する承認有無の項目(図8(b)参照)が、“未”に設定される。
【0097】
金種の識別結果が変更されなかった場合(S211:NO)、制御部305は、さらに、当該硬貨の画像に対する金種の識別結果の信頼度が、所定の閾値以上であるか否かを判定する(S212)。ここで、信頼度とは、図8(b)に示した信頼度のことである。閾値は、たとえば、80%に設定される。管理者等により閾値が任意に設定されてもよい。この場合、管理者等は、操作表示部301に表示される設定画面を介して、ステップS212の閾値を設定する。これにより、店舗ごとの運用に応じて自動承認のレベルを設定でき、装置の利便性を高めることができる。
【0098】
信頼度が閾値以上である場合(S212:YES)、制御部305は、当該硬貨の画像に対する硬貨情報を自動承認済みに設定する(S213)。これにより、当該硬貨の画像に対する承認有無の項目(図8(b)参照)が、“自動”に設定される。信頼度が閾値以上でない場合(S212:NO)、制御部305は、当該硬貨の画像に対する硬貨情報を未承認に設定する(S214)。これにより、当該硬貨の画像に対する承認有無の項目(図8(b)参照)が、“未”に設定される。
【0099】
次に、図9(b)を参照して、制御部305は、当該入金の取引が、上長や管理者等の所定権限を有する操作者(権限担当者)により行われたか否かを判定する(S311)。記憶部306には、予め、権限担当者のID情報のリストが記憶されている。権限担当者のID情報は、所定の登録画面を介して登録される。制御部305は、当該取引時にIDカードから読み取ったID情報(図8(a)の担当者ID)が、記憶部306に記憶されている権限担当者のID情報に含まれている場合に、ステップS311の判定をYESとする。
【0100】
ステップS311の判定がYESの場合、制御部305は、当該入金の取引において処理された全ての硬貨の画像の硬貨情報を自動承認済みに設定する。これにより、当該取引における全ての硬貨の画像に対する承認有無の項目(図8(b)参照)が、“自動”に設定される。この場合、当該取引に対する承認有無の項目(図8(a)参照)が、承認済みを示す“済”に設定されてもよい。ステップS311の判定がNOの場合、制御部305は、処理を終了する。
【0101】
なお、図9(a)の処理よりも、図9(b)の処理が先に行われてもよい。この場合、図9(b)の処理において、ステップS311の判定がYESとなりステップS312の処理が行われた場合は、図9(a)の処理が省略されてもよい。また、図9(a)、(b)の処理の何れか一方のみが行われてもよい。図9(b)の処理のみが行われる場合、ステップS311の判定がNOであると、当該取引における全ての硬貨の画像の硬貨情報が未承認に設定される。硬貨情報を自動承認済みに設定する処理として、図9(a)、(b)以外の処理が行われてもよい。また、図9(a)のステップS212が省略されてもよい。
【0102】
次に、硬貨情報の承認操作について説明する。
【0103】
図10(a)~図12(b)は、硬貨情報の承認処理において表示される画面を示す図である。これらの画面は、制御部305による処理により、操作表示部301に表示される。制御部305は、図8(a)、(b)に示した硬貨情報データベース306bから、対象の取引に関する情報を取得して、これらの画面を操作表示部301に表示させる。
【0104】
承認操作を行うための操作が行われると、制御部305は、図10(a)に示す一覧画面510を操作表示部301に表示させる。一覧画面510は、リスト511と、送りキー512a、512bと、ボタン513~515を含んでいる。
【0105】
リスト511は、取引ごとに、番号、通番、取引種別、担当者および確認状況の項目が互いに対応づけられた構成となっている。番号の項目は、各取引の順序を示しており、制御部305によって自動付番される。通番および取引種別の項目には、それぞれ、図8(a)に示した通番および取引種別の項目の情報が表示される。担当者の項目には、図8(a)に示した担当者IDの項目のID情報に対応する担当者の氏名が表示される。記憶部306には、予め、ID情報と担当者の氏名とが対応づけられて登録されている。確認状況の項目には、図8(a)の承認有無の項目の情報に基づき、各取引に対して硬貨情報の承認が完了しているか否かの情報が表示される。
【0106】
リスト511には、たとえば、承認操作のタイミングから所定期間前までの取引が表示される。たとえば、承認操作と同一の日に行われた取引が、リスト511に表示される。あるいは、確認状況が未確認の取引のみがリスト511に表示されてもよい。リスト511に表示されるべき取引が多数あり、対象領域に全ての取引を表示できない場合、送りキー512a、512bの操作に応じて、リスト511に表示される取引が前後に送られる。
【0107】
番号の項目には、チェックボックス511aが含まれている。承認者は、承認しようとする取引のチェックボックス511aを操作して、当該チェックボックス511aにチェックを入れる。図10(a)の例では、番号0003の取引が承認者により選択されている。その後、承認者は、承認を開始するためのボタン513を操作する。これにより、制御部305は、承認対象の取引について、図10(b)に示す承認画面520を操作表示部301に表示させる。
【0108】
承認画面520は、領域521~523と、送りキー524a、524bと、ボタン525、526と、送りキー527a、527bと、表示部527cと、ボタン528とを含んでいる。
【0109】
領域521には、当該取引における処理内容が表示される。すなわち、領域521には、取引種別521aと、取引日時521bと、操作者名521cと、通番521dと、入金明細521eと、硬貨種別521fと、処理対象硬貨521gが表示される。取引種別521aと、取引日時521bと、操作者名521cと、通番521dは、それぞれ、図8(a)の取引種別、日時、操作者ID、通番の項目の情報に基づいて表示される。入金明細521e、硬貨種別521fおよび処理対象硬貨521gは、図8(b)の金種および種別の情報に基づいて表示される。承認者は、領域521の表示を参照することにより、取引の内容を把握できる。
【0110】
入金された硬貨が多数あり、領域521に全ての情報を表示できない場合、送りキー524a、524bの操作に応じて、領域521に表示される情報が上下に送られる。これにより、承認者は、取引の内容を全て円滑に把握できる。
【0111】
領域522には、承認対象の硬貨の画像P1が表示される。ここでは、図8(b)に示すように、当該取引において、100円、500円、1円の損貨が入金されている。図8(b)に示すように、これら損貨のうち500円、1円の損貨は、図9(a)、(b)の処理によって未承認に設定され、100円の損貨は、図9(a)、(b)の処理によって自動承認済みに設定されている。したがって、ここでは、500円、1円の損貨が、承認対象の硬貨となる。
【0112】
図10(b)の表示例では、これら承認対象の硬貨のうち、500円の損貨の画像P1が、硬貨情報データベース306b(図8(a)参照)から読み出されて表示されている。さらに、硬貨情報データベース306b(図8(a)参照)において、この画像P1に紐付けられた硬貨情報(種別、金種)522aが、領域522に表示される。硬貨情報522aには、撮像により画像P1が取得されたことを示す文字(撮像)が含まれている。
【0113】
領域523には、硬貨情報(種別、金種)522aに対応する基準画像の表裏の画像が、サンプル画像S1、S2として表示される。制御部305は、硬貨情報(種別、金種)522aに対応する表裏の基準画像を硬貨画像データベース306a(図4参照)から抽出し、抽出した基準画像をサンプル画像S1、S2として表示させる。さらに、これらサンプル画像の硬貨情報(種別、金種)523aが、領域523に表示される。硬貨情報522aには、サンプル画像S1、S2がサンプル(基準画像)であることを示す文字(サンプル)が含まれている。
【0114】
承認者は、領域522に表示された画像P1と硬貨情報522aとを参照して、画像P1と硬貨情報522aとの紐付けが適正であるか否かを判断する。このとき、承認者は、適宜、領域523に表示されたサンプル画像S1、S2を参照して、装置による識別結果が適正であるか否かを確認する。硬貨情報522aが適正でない場合、承認者は、ボタン525を操作して、硬貨情報522aの訂正を行う。ボタン525が操作されると、制御部305は、当該硬貨の画像について、硬貨の種別と金種を選択するための画面を操作表示部301に表示させる。承認者は、この画面に従って、硬貨情報522aを訂正する。訂正を確定させる操作が行われると、制御部305は、訂正後の内容で、再び、承認画面520を表示させる。
【0115】
硬貨情報522aが適正である場合、承認者は、ボタン526を操作する。硬貨情報522aを訂正した場合、承認者は、訂正後の硬貨情報522aを確認して、ボタン526を操作する。これに応じて、制御部305は、承認画面520を、図11(a)の内容に切り替える。図11(a)の承認画面520では、図10(b)のボタン526が省略され、新たに承認者名N1が含まれている。承認者名N1には、当該硬貨の画像P1に対して承認操作を行った承認者の氏名が表示される。承認者名N1は、承認操作の際にIDカードから読み取ったID情報に基づいて表示される。
【0116】
こうして500円の損貨に対して承認を行った後、承認者は、表示部527cを参照して、全ての硬貨に対して承認を行ったか否かを判断する。表示部527cには、当該取引により入金処理された硬貨の総枚数と、領域522に表示されている硬貨の画像P1の順番が、順番/総枚数の形式で表示されている。
【0117】
承認者は、表示部527cを参照して他の硬貨の画像が存在すると判断した場合、送りキー527a、527bを操作して、他の硬貨に対する承認を行う。制御部305は、送りキー527aが操作されると、領域522、523に表示される画像を前の順番の硬貨に関する画像に切り替え、送りキー527bが操作されると、領域522、523に表示される画像を次の順番の硬貨に関する画像に切り替える。
【0118】
たとえば、送りキー527bが操作されると、制御部305は、承認画面520を図11(b)の内容に切り替える。ここでは、領域522に、1円の損貨の画像P1とその硬貨情報522aが表示される。領域522には、1円の損貨のサンプル画像S1、S2が表示される。その他の表示項目は、図10(b)と同様である。承認者は、領域522、523の表示を参照して、硬貨情報522aが適正であるか否かを判断する。そして、承認者は、その判断結果に応じて、ボタン525、526の何れかを操作する。ボタン525、526が操作された場合の処理は、図10(b)の場合と同様である。こうして、承認者は、1円の損貨に対する承認を行う。
【0119】
その後、承認者は、送りキー527aを2回操作して、未確認の1番目の硬貨の画像を表示させる。これにより、制御部305は、承認画面520を図12(a)の内容に切り替える。
【0120】
図8(b)に示したように、1番目の100円の損貨については、承認有無の項目が“自動”に設定され、硬貨情報が自動承認済みとなっている。この場合、承認画面520は、図12(a)に示すように、承認者名N1の項目に“自動承認”が表示され、承認のためのボタン526が省略される。領域522、523には、それぞれ、100円の損貨の画像P1と、100円の損貨のサンプル画像S1、S2が表示される。
【0121】
承認者は、承認者名N1の項目を参照することにより、100円の損貨については、自動承認済みのため承認が不要であることを把握する。この確認の後、承認者は、ボタン528を操作する。これに応じて、制御部305は、図12(b)に示す一覧画面510を表示させる。ここでは、図10(b)~図12(a)の操作により通番0007の全ての硬貨に対する承認が完了したため、通番0007の確認状況の項目が、確認済みに変更されている。
【0122】
承認者は、未確認の通番0011の取引に対しても、上記と同様の操作により承認を行う。こうして、リスト511に表示された全ての取引に対して承認を行うと、操作者は、ボタン514、515の何れかを操作する。これにより、承認操作が終了する。
【0123】
なお、操作者は、図12(a)の承認画面520において、適宜、ボタン525を操作して、硬貨情報522aを訂正することもできる。この場合は、訂正の終了に応じてボタン526が表示される。承認者は、訂正後の硬貨情報522aを確認した後、ボタン526を操作する。これにより、訂正後の硬貨情報522aに対して承認が行われる。硬貨情報522aが訂正された場合は、領域521に表示される内容も、訂正に応じて修正される。
【0124】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0125】
設定操作により硬貨の画像に紐付けて記憶部306に記憶された硬貨情報が信頼性に基づく所定の条件(図9(a)のS211、S212、図9(b)のS311)を満たす場合に、硬貨情報の承認のための操作の一部(図10(b)のボタン526の操作)が省略される。これにより、承認操作の手間を省くことができ、承認をより簡易に行うことができる。また、信頼度が所定の条件を満たす場合に操作が省略されるため、硬貨情報の信頼性を担保できる。よって、硬貨情報の信頼性が担保しながら、硬貨情報の承認をより簡易に行うことができる。
【0126】
図5のステップS107において、制御部305は、カメラ51により撮像された硬貨の画像に基づき当該硬貨の金種を識別する処理を行う。そして、図9(a)に示すように、金種の識別結果が操作者により設定された硬貨情報に一致すること(S211)が、自動承認済み(S213)の設定条件に含まれている。金種の識別結果と、操作者により設定された硬貨情報とが一致する場合、設定された硬貨情報は、信頼性が高いと言える。すなわち、この場合、硬貨情報は、恰も、装置と操作者とによるダブルチェックを受けて設定された状態となる。よって、この構成によれば、自動承認済みに設定された硬貨情報(すなわち、承認操作が省略された硬貨情報)に対する信頼性を担保することができる。
【0127】
図5のステップS107において、制御部305は、金種の識別結果とともに識別結果の信頼度を取得する。そして、図9(a)に示すように、識別結果の信頼度が所定の閾値以上であること(S212)が、さらに、自動承認済み(S213)の設定条件に含まれている。これにより、自動承認済みに設定された硬貨情報(すなわち、承認操作が省略された硬貨情報)に対する信頼性をさらに高めることができる。
【0128】
図5の入金処理の際に、制御部305は、カードリーダ303を介して、操作者のID情報(操作者情報)を取得する。そして、図9(b)に示すように、ID情報(操作者情報)が、予め記憶部306に登録されている所定権限を有する操作者のID情報に一致すること(S311)が、さらに、自動承認済み(S313)の設定条件に含まれている。上長や管理責任者等の所定権限を有する者自身が、硬貨情報の設定を行った場合、設定された硬貨情報の信頼性は高く、別途、承認を行う必要はないと言える。よって、この構成によれば、自動承認済みに設定された硬貨情報(すなわち、承認操作が省略された硬貨情報)の信頼性を担保することができる。
【0129】
制御部305は、図10(b)の承認画面において、カメラ51により撮像された承認対象の硬貨の画像P1と、当該硬貨の硬貨情報に応じたサンプル画像S1、S2とを操作表示部301に表示させる。これにより、操作者は、硬貨の画像P1とサンプル画像S1、S2とを対比することにより、硬貨の画像P1に紐付けられた硬貨情報522a(識別結果)が適正であるかを容易に確認できる。よって、操作者は、当該硬貨の画像P1に紐付けられた硬貨情報の適否を容易に確認できる。
【0130】
制御部305は、承認操作を受け付ける処理において、硬貨情報が自動承認済みの条件を満たさない場合は、図10(b)に示すように、承認画面520において、硬貨の画像P1および硬貨情報522aを表示させるとともに、硬貨情報を訂正する操作(ボタン525)と、硬貨情報を確定させる操作(ボタン526)とを受け付け、硬貨情報が自動承認済みの条件を満たしている場合は、図12(a)に示すように、これら2つの操作のうち、少なくとも、硬貨情報を確定させる操作(ボタン526)の受け付けを省略する。この構成によれば、承認者は、硬貨情報の信頼性が高い場合に、少なくとも、硬貨情報を確定させる操作を行う必要がない。よって、承認操作をより簡易に行うことができる。
【0131】
<変更例1>
上記実施形態では、承認画面520において、承認対象の硬貨の画像P1と、硬貨情報522aに対応する硬貨のサンプル画像S1、S2とが表示されたが、変更例1では、さらに、承認対象の硬貨と同時に撮像された複数の硬貨の画像を含む全体画像が表示される。
【0132】
すなわち、本変更例1では、図13(a)に示すように、承認画面520に、全体画像を表示させるためのボタン529が含まれている。承認者がボタン529を操作すると、制御部305は、図13(b)に示すように、領域523の画像を全体画像P2に切り替える。この場合、ボタン529に代えて、サンプル画像S1、S2を表示させるためのボタン530が含まれる。承認者がボタン530を操作すると、制御部305は、図13(a)の表示に戻す。
【0133】
操作者は、図13(b)の承認画面520において、承認対象の硬貨の画像P1とともに全体画像P2を参照できる。これにより、操作者は、承認対象の硬貨の設置位置や設置状態を把握できる。よって、硬貨情報の承認作業をより円滑に進めることができる。
【0134】
<変更例2>
変更例1では、全体画像P2が表示されたが、変更例2でが、さらに、全体画像P2に含まれる硬貨の硬貨情報を一括して承認可能となっている。すなわち、本変更例2では、図14(a)に示すように、全体画像P2に含まれる全ての硬貨の硬貨情報を一括して承認するためのボタン531が、承認画面520に含まれている。
【0135】
図13(a)の承認画面520において、ボタン529が操作されると、制御部305は、承認画面520の表示内容を、図14(a)の表示内容に切り替える。承認者は、全体画像P2に表示された各硬貨の画像と、領域521に表示されたこれら硬貨の硬貨情報(硬貨種別521f、処理対象硬貨521g)を参照し、各硬貨の画像に硬貨情報が適正に紐付けられているか否かを判断する。そして、承認者は、各硬貨の画像に硬貨情報が適正であると判断して、これら硬貨情報を一括して承認する場合に、ボタン531を操作する。なお、承認者は、ボタン526の操作により、硬貨ごとに硬貨情報の承認を進めることもできる。
【0136】
承認者がボタン531を操作すると、制御部305は、全体画像P2に含まれている全ての硬貨の画像に紐付けられている硬貨情報を、承認済みに確定させる。この場合、制御部305は、全体画像P2に含まれている各硬貨の画像の硬貨情報のうち、承認済みの硬貨情報(既に承認操作か確定された硬貨情報、自動承認済みの硬貨情報)以外の硬貨情報を、承認済みに設定する。なお、一括承認がなされた場合は、自動承認済みの硬貨情報が、承認者による承認の状態に変更されてもよい。
【0137】
本変更例2によれば、承認者は、複数の硬貨の画像について硬貨情報を一括して承認できるため、硬貨ごとに承認を行う場合に比べて、承認操作を顕著に簡略化できる。よって、硬貨情報の承認をより簡易に行うことができる。
【0138】
また、承認者は、承認画面520において、複数の硬貨情報を一括して承認する操作(ボタン531)と、硬貨ごとに硬貨情報を個別に承認する操作(ボタン526)とを任意に選択できる。たとえば、全体画像に含まれる一部の硬貨の画像について硬貨情報が誤っている場合は、一括承認を行えない。このような場合に、承認者は、個別承認を選択して、硬貨ごとに承認または訂正を行う。これにより、承認者は、承認の作業を、円滑に進めることができる。
【0139】
なお、全体画像P2においては、さらに、承認済みの有無を区別可能な表示が、各硬貨の画像に付されてもよい。たとえば、図14(b)に示すように、承認済みでない硬貨の画像P21、P22に、未承認であることを示すハイライト表示E21、E22(たとえば、所定の色の囲み枠)が付されてもよい。これにより、承認者は、承認済みの硬貨の画像P23と、未承認の硬貨の画像P21、P22を容易に識別できる。よって、承認者は、一括承認の際に、特に、どの硬貨に対して硬貨情報を確認すべきかを把握でき、一括承認の作業をより円滑に進めることができる。
【0140】
なお、図14(b)の例では、100円の損貨の硬貨情報が自動承認済みであるため、100円の損貨の画像P23にはハイライト表示が付されていない。ただし、ハイライト表示が付される画像は、必ずしも、硬貨情報が未承認の硬貨の画像に限られるものではない。たとえば、硬貨情報が自動承認済みの硬貨の画像にハイライト表示が付されてもよく、あるいは、未承認および自動承認済みの両方の硬貨の画像に対して互いに異なるハイライト表示が付されてもよい。
【0141】
また、全体画像P2の表示において、図14(b)に示すように、各硬貨の画像P21~P23に対して、硬貨情報(ここでは金種)のラベルK21~K23が付記されてもよい。これにより、承認者は、各硬貨の画像に紐付けられた硬貨情報の適否を容易に把握でき、一括承認の作業をより円滑に進めることができる。
【0142】
なお、変更例2の構成は、自動承認済みの処理が行われない場合においても有効である。すなわち、変更例2に係る発明は、必ずしも、自動承認済みの処理を含まなくてもよく、それ単独で成立し得るものである。この場合も、承認者は、複数の硬貨の画像について硬貨情報を一括して承認できるため、硬貨ごとに承認を行う場合に比べて、承認操作を顕著に簡略化できる。
【0143】
<変更例3>
上記変更例1では、図12(a)に示すように、自動承認済みの硬貨情報に対して承認操作を確定させる操作(ボタン526)が省略されたが、自動承認済みの硬貨情報に対して、硬貨情報の訂正(ボタン526)を含む全ての承認操作が省略されてもよい。
【0144】
この場合、承認画面520は、たとえば、図15(a)、(b)の構成に変更される。ここで、取引において入金された硬貨は、100円、500円、1円の3枚の損貨である。しかし、100円の損貨については、図9(a)、(b)の処理により硬貨情報が自動承認済みに設定されているため、表示部527cには、承認対象の硬貨が500円、1円の損貨の2枚であることが表示される。また、承認対象の硬貨が500円、1円の損貨の2枚であるため、図15(a)では、送りキー527aが操作不能にグレイアウトされており、図15(b)では、送りキー527bが操作不能にグレイアウトされている。承認者は、送りキー527a、527bを操作しても、100円の損貨を承認対象として領域522に表示させることができない。すなわち、硬貨情報が自動承認済みの硬貨の画像は、承認対象として、領域522に表示されない。
【0145】
承認者は、領域521の表示により、当該取引において処理された硬貨が、500円、100円、1円の損貨であることを把握できる。また、承認者は、表示部527cの表示により、これら3枚の損貨のうち何れかが、自動承認済みにより承認不要であることを把握できる。承認者は、送りキー527a、527bを操作することにより、承認対象の硬貨が、500円、1円の損貨であり、100円の損貨については承認不要であることを把握できる。承認者は、送りキー527a、527bを操作して未承認の500円、1円の損貨の画像P1を領域522に表示させ、これら損貨の硬貨情報の承認を行う。
【0146】
このように、変更例3では、自動承認済みの硬貨(ここでは、100円損貨)の画像に対する承認操作が完全にスキップされる。したがって、承認者は、承認操作をさらに簡易に進めることができる。
【0147】
なお、自動承認済みの硬貨の画像は領域522に表示されるが、ボタン525、526の両方が省略されてもよい。この場合、承認者は、当該硬貨情報の訂正はできないものの、自動承認済みの硬貨の画像とその硬貨情報を、確認することができる。
【0148】
<その他の変更例>
上記実施形態では、複数の硬貨を載置可能に載置部が構成されたが、1枚の硬貨のみを載置可能に載置部が構成されてもよい。
【0149】
図16は、この場合の特殊硬貨処理装置7の構成を示す図である。
【0150】
筐体14の前面には、入金口15が設けられる。入金口15は、左右方向に移動可能なシャッター16により開閉される。筐体14内には、入金口15の奥に載置部17が設けられる。操作者は、シャッター16を開放して、入金口15から載置部17上の載置位置17aに硬貨を載置する。
【0151】
載置位置17aの上方にカメラ51が設置されている。載置位置17aの奥方に発光ユニット61が設置されている。発光ユニット61は、載置位置17aに載置された硬貨に光を照射する。発光ユニット61により硬貨に光を照射させながら、カメラ51により硬貨の画像が撮像される。制御部305は、撮像された硬貨の画像を操作表示部301に表示させて硬貨情報の設定を受け付ける。硬貨情報の設定方法は、図7(a)、(b)と同様である。制御部305は、設定された硬貨情報を硬貨の画像に紐付けて記憶部306に記憶させる。このとき、図9(a)、(b)の処理により硬貨情報が自動承認済みまたは未承認に設定される。
【0152】
さらに、硬貨は、撮像画像に基づき、損貨と記念貨の何れであるかが判別され、振り分け機構(図示せず)によって、第1収納庫31または第2収納庫32に収納される。損貨と記念貨の何れでもない硬貨は、返却用の第3収納庫35に収納される。この場合、当該硬貨の画像と硬貨情報は、記憶部306に記憶されない。
【0153】
この構成においても、図9(a)、(b)の処理により、硬貨情報が自動承認済みまたは未承認に設定される。また、図10(b)~図12(a)の場合と同様、自動承認済みの硬貨情報に対しては、承認操作が省略される。これにより、承認者は、承認操作を簡易に進めることができる。なお、この構成においても、上記変更例3と同様、自動承認済みの硬貨情報に対する承認操作が完全にスキップされてもよい。
【0154】
また、上記実施形態では、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7と別体であったが、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7に一体的に設けられてもよい。この構成においては、さらに、図5および図9(a)、(b)の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部206によって行われてもよい。
【0155】
この場合、特殊硬貨処理装置7は、たとえば、図17のように構成される。特殊硬貨処理装置7は、ディスプレイ208aおよびタッチセンサ208bからなる操作表示部208を備える。記憶部207は、図4に示した硬貨画像データベース306aおよび硬貨情報データベース306bと同様の硬貨画像データベース207aおよび硬貨情報データベース207bを保持する。
【0156】
制御部206は、図6(a)~(d)の画面を操作表示部208に表示させながら、図5の処理を実行する。また、制御部206は、図9(a)、(b)の処理により硬貨情報を自動承認済みまたは未承認に設定する。処理結果に基づく硬貨情報は、記憶部207の硬貨情報データベース207bに記憶される。承認操作は、特殊硬貨処理装置7の操作表示部208において、図10(a)~図12(d)の画面に従って行われる。この場合も、変更例1~3の構成が適用され得る。なお、硬貨情報が、操作端末8側に送信されて、操作端末8側の記憶部306(硬貨情報データベース306b)に記憶されてもよい。この場合、承認操作は、上記実施形態と同様、操作端末8側で行われる。
【0157】
また、上記実施形態では、第1載置部21および第2載置部22の2つの載置部が設けられたが、第1載置部21および第2載置部22の何れか一方が省略されてもよい。載置領域の数は、必ずしも2つに限られるものではない。
【0158】
また、発光ユニット61の配置位置は、上記実施形態の位置に限られるものではなく、筐体10の左右の内側面やシャッター12の上側内側面であってもよい。発光ユニット61の数も1つに限らず複数であってもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、図5のステップS107で識別された硬貨の種別と金種が、図6(d)の入金処理画面440において、硬貨情報の設定候補として表示され、表示された設定候補を、適宜、操作者が修正する構成であったが、識別結果による硬貨情報が設定候補として表示されなくてもよい。この場合、操作者は、各硬貨の画像に対して、目視により、硬貨情報(種別、金種)を設定する。この場合、制御部305は、図9(a)のステップS211において、操作者が設定した硬貨情報と、図5のステップS107で取得した硬貨情報とは一致するか否かを判定する。制御部305は、両硬貨情報が一致しない場合に、ステップS211の判定をYESとする。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0160】
なお、このように、識別結果による硬貨情報が設定候補として表示されない場合、以下の効果がさらに期待され得る。たとえば、上記実施形態のように、識別結果による硬貨情報が設定候補として表示される場合、操作者は、日々の業務に慣れることにより、設定候補が表示された硬貨について、目視による確認を正確に行わずに、設定候補を当該硬貨の硬貨情報として、そのまま確定させる可能性が生じ得る。これに対し、識別結果による硬貨情報が設定候補として表示されない場合、操作者は、各硬貨に対して必ず目視による確認を行った上で硬貨情報を設定する。よって、識別結果による硬貨情報を設定候補として表示させないことにより、硬貨情報の設定精度を高めることができる。
【0161】
また、上記実施形態のように、識別結果による硬貨情報が設定候補として表示される場合、その設定候補が間違っていると、操作者は、当該間違いを利用して不正を行う可能性もあり得る。これに対し、識別結果による硬貨情報が設定候補として表示されない場合には、このような不正は行われ得ない。よって、この観点から、識別結果による硬貨情報を設定候補として表示させないことが好ましいと言える。
【0162】
また、変更例1、2では、領域523に全体画像P2が表示されたが、領域522、523を統合した領域に全体画像P2が表示されてもよい。この場合、図14(a)のボタン525、526は省略され、全体画像P2の表示状態では一括承認のみが可能とされてもよい。この構成によれば、より大きな全体画像P2により、各硬貨の画像を確認できる。よって、一括承認をより円滑に進めることができる。
【0163】
また、図14(b)の全体画像P2において、硬貨の画像がタッチされると、当該硬貨の硬貨情報を訂正する画面に切り替えられてもよい。これにより、承認者は、硬貨情報の訂正を円滑に進めることができる。
【0164】
さらに、上記実施形態において、特殊硬貨処理装置7に対し、特殊な硬貨として、外国硬貨を入金できてもよい。また、特殊硬貨処理装置7と操作端末8との組み合わせによって、本発明の貨幣処理システムが構成されてもよい。また、特殊硬貨に限らず、通常の硬貨を処理する硬貨処理装置に本発明が適用されてもよい。また、硬貨に限らず、紙幣を処理する紙幣処理装置に本発明が適用されてもよい。
【0165】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0166】
7 特殊硬貨処理装置(貨幣処理装置)
8 操作端末
51 カメラ(撮像部)
206 制御部
305 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17