(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】光演算装置及び光演算方法
(51)【国際特許分類】
G02F 3/00 20060101AFI20240523BHJP
G06E 3/00 20060101ALI20240523BHJP
G06N 3/067 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G02F3/00
G06E3/00
G06N3/067
(21)【出願番号】P 2023500629
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2022001048
(87)【国際公開番号】W WO2022176459
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2021025679
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】日下 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】柏木 正浩
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-511475(JP,A)
【文献】米国特許第6522403(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0050391(US,A1)
【文献】国際公開第2019/009260(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/153504(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/173383(WO,A1)
【文献】特開平8-262516(JP,A)
【文献】Li et al.,Massively parallel universal linear transformations using a wavelength-multiplexed diffractive optical network,Advanced Photonics,2023年01月09日,Vol.5, No.1,pp.016003-1~016003-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
G06E 3/00
G02B 5/18
G02B 27/46
G06N 3/067
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光演算機能を有する
複数の光回折素子からなる光回折素子群と、
前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する受光部と、
を備え、
各前記光回折素子は、前記光回折素子群に入力する信号光が各前記光回折素子を順に通過するように、当該信号光の光路上に並んでいる、
ことを特徴とする光演算装置。
【請求項2】
前記受光部は、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の2次元強度分布を個別に検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光演算装置。
【請求項3】
前記光回折素子群に入力する信号光であって、同じ2次元強度分布を有する複数の波長成分を含む信号光を生成する発光部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の光演算装置。
【請求項4】
前記光回折素子
群に入力する信号光であって、異なる2次元強度分布を有する複数の波長成分を含む信号光を生成する発光部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の光演算装置。
【請求項5】
前記受光部は、マルチスペクトルカメラである、
ことを特徴とする請求項2~4の何れか一項に記載の光演算装置。
【請求項6】
前記受光部は、
特定の点において、当該信号光に含まれる複数の波長成分の各々
の強度を個別に検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光演算装置。
【請求項7】
前記受光部の出力信号に基づき、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる波長成分のうち、どの波長成分を前記受光部が検出したかを特定する演算部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項6に記載の光演算装置。
【請求項8】
前記光回折素子は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の光演算装置。
【請求項9】
光演算機能を有する
複数の光回折素子からなる光回折素子群
であって、信号光の光路上に前記複数の光回折素子が並んでいる光回折素子群を用いた光演算方法であって、
前記信号光が各前記光回折素子を順に通過する工程と、
前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する工程
と、を含んでいる、
ことを特徴とする光演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回折素子を用いて光演算を行う光演算装置及び光演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のマイクロセルを有し、各マイクロセルを透過した信号光を相互に干渉させることによって、予め定められた演算を光学的に実行するように設計された光回折素子が知られている。光回折素子を用いた光学的な演算には、プロセッサを用いた電気的な演算と比べて高速且つ低消費電力であるという利点がある。特許文献1には、入力層、中間層、及び出力層を有する光ニューラルネットワークが開示されている。上述した光フィルタは、例えば、このような光ニューラルネットワークの中間層として利用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光演算装置は、光回折素子に特定波長を有する信号光を入力したときに、その光回折素子が所期の光演算を実行するように設計されていた。光演算に利用されるのは、信号光に含まれる複数(離散スペクトル)又は無数(連続スペクトル)の波長成分のうち、特定波長を有する波長成分のみであり、それ以外の波長成分は、光演算に利用されることなく無駄になっていた。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信号光に含まれる複数の波長成分を光演算に利用することが可能な光演算装置及び光演算方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る光演算装置は、光演算機能を有する複数の光回折素子からなる光回折素子群と、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する受光部と、を備え、各前記光回折素子は、前記光回折素子群に入力する信号光が各前記光回折素子を順に通過するように、当該信号光の光路上に並んでいる。
【0007】
本発明の一態様に係る光演算方法は、光演算機能を有する複数の光回折素子からなる光回折素子群であって、信号光の光路上に前記複数の光回折素子が並んでいる光回折素子群を用いた光演算方法であって、前記信号光が各前記光回折素子を順に通過する工程と、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、信号光に含まれる複数の波長成分を光演算に利用することが可能な光演算装置又は光演算方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す光演算装置が備える光回折素子の構成を示す平面図である。
【
図3】
図2に示す光回折素子の一部を拡大した斜視図である。
【
図4】
図1に示す光演算装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔光演算装置の構成〕
本発明の一実施形態に係る光演算装置1について、
図1を参照して説明する。
図1は、光演算装置1の構成を示す斜視図である。
【0011】
光演算装置1は、
図1に示すように、発光部11と、光回折素子群12と、受光部13と、を備えている。
【0012】
発光部11は、複色光である信号光を生成するための構成である。ここで、信号光とは、信号に応じた2次元強度分布を有する光のことを指す。また、複色光である信号光とは、複数の波長成分を含む信号光のことを指す。本実施形態においては、可視光帯域に属する複数の波長成分を含む信号光を生成するディスプレイを、発光部11として用いる。一例として、青色成分、緑色成分、及び赤色成分を含む信号光を生成するディスプレイを、発光部11として用いる。以下、発光部11から出力される信号光のことを、「入力信号光」とも記載する。
【0013】
光回折素子群12は、入力信号光の光路上に配置されている。光回折素子群12は、n個の光回折素子12a1~12anの集合である。ここで、nは、1以上の自然数である。各光回折素子12aiは、予め定められた光演算を実行するための構成、換言すると、信号光の2次元強度分布を予め定められた変換規則に従って変換するための構成である。ここで、iは、1以上n以下の各自然数である。本実施形態においては、2個の光回折素子12a1,12a2の集合を、光回折素子群12として用いている。光回折素子12aiの構成については、参照する図面を代えて後述する。
【0014】
光回折素子群12においては、光回折素子12a1~12anが、入力信号光の光路上に一直線に並んで配置されている。このため、入力信号光は、第1の光回折素子12a1、第2の光回折素子12a2、…、第nの光回折素子12anを、この順に通過する。したがって、光回折素子群12においては、入力信号光に対して、第1の光回折素子12a1による第1の光演算、第2の光回折素子12a2による第2の光演算、…、第nの光回折素子12anによる第nの光演算がこの順に実行される。光回折素子群12から出力される信号光の強度分布は、これらの演算の演算結果を表す。以下、光回折素子群12から出力される信号光のことを、「出力信号光」とも記載する。
【0015】
受光部13は、出力信号光の光路上に配置されている。受光部13は、出力信号光に含まれる複数の波長成分の各々の2次元強度分布を個別に検出するための構成である。本実施形態においては、可視光帯域に属する複数の波長成分の各々の2次元強度分布を個別に検出するマルチスペクトルカメラを、受光部13として用いる。一例として、青色成分、緑色成分、及び赤色成分の各々の2次元強度分布を個別に検出するマルチスペクトルカメラを、受光部13として用いる。なお、マルチスペクトルカメラとは、2次元強度分布を個別に検出することが可能な波長帯域(バンド)を10個以上有するカメラのことを指す。また、出力信号光に含まれるより多くの波長成分を検出する必要がある場合には、受光部13としてハイパースペクトルカメラを用いるとよい。ここで、ハイパースペクトルカメラとは、2次元強度分布を個別に検出することが可能な波長帯域(バンド)を100個以上有するカメラのことを指す。
【0016】
入力信号光に含まれる各波長成分は、(1)同じ2次元強度分布を有する、すなわち、同じ信号を表すものであってもよいし、(2)異なる2次元強度分布を有する、すなわち、異なる信号を表すものであってもよい。
【0017】
入力信号光及び出力信号光がm個の波長成分を含み、入力信号光に含まれるm個の波長成分の2次元強度分布が同じ入力信号xを表す場合、光演算装置1によれば、入力信号xに対するm個の演算結果f1(x),f2(x),…,fm(x)を得ることができる。一例として、入力信号光に含まれるm個の波長成分の2次元強度分布が同じ入力画像xを表す場合、入力画像xに含まれる被写体の分類結果として、m個の分類結果f1(x),f2(x),…,fm(x)を得ることができる。したがって、光演算装置1によれば、単一波長光演算よりも正確な又は詳細な演算結果を得ることができる。より正確な演算結果f(x)が必要な場合は、例えば、m個の演算結果f1(x),f2(x),…,fm(x)の平均を取ればよい。また、より詳細な演算結果f(x)が必要な場合は、例えば、m個の演算結果f1(x),f2(x),…,fm(x)の直積を取ればよい。
【0018】
一方、入力信号光及び出力信号光がm個の波長成分を含み、入力信号光に含まれるm個の波長成分の2次元強度分布が異なる入力信号x1,x2,…,xmを表す場合、光演算装置1によれば、m個の入力信号x1,x2,…,xmの各々に対する演算結果f1(x1),f2(x2),…,fm(xm)を得ることができる。一例として、入力信号光に含まれるm個の波長成分の2次元強度分布が異なる入力画像x1,x2,…,xmを表す場合、入力画像x1,x2,…,xmの各々に含まれる被写体の分類結果として、m個の分類結果f1(x1),f2(x2),…,fm(xm)を得ることができる。したがって、光演算装置1によれば、単一波長光演算よりも多様な演算結果を得ることができる。
【0019】
〔光回折素子の構成〕
光回折素子12aiの構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、光回折素子12aiの構成を示す平面図である。
図3は、光回折素子12aiの一部(
図2において点線で囲んだ部分)を拡大した斜視図である。
【0020】
光回折素子12aiは、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。光回折素子12aiに信号光が入射すると、各マイクロセルにて回折された位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算(予め定められた変換規則に従う2次元強度分布の変換)が行われる。なお、本明細書において、「マイクロセル」とは、例えば、セルサイズが10μm未満のセルのことを指す。また、本明細書において、「セルサイズ」とは、セルの面積の平方根のことを指す。例えば、マイクロセルの平面視形状が正方形である場合、セルサイズとは、セルの一辺の長さである。セルサイズの下限は、例えば、1nmである。
【0021】
図2に例示した光回折素子12aiは、マトリックス状に配置された200×200個のマイクロセルにより構成されている。各マイクロセルの平面視形状は、500nm×500nmの正方形であり、光回折素子12aiの平面視形状は、100μm×100μmの正方形である。
【0022】
(1)マイクロセルの厚みをセル毎に独立に設定することによって、又は、(2)マイクロセルの屈折率をセル毎に独立に選択することによって、マイクロセルを透過する光の位相変化量をセル毎に独立に設定することができる。本実施形態においては、ナノインプリントにより実現可能な(1)の方法を採用している。この場合、各マイクロセルは、
図3に示すように、各辺の長さがセルサイズと等しい正方形の底面を有する四角柱状のピラーにより構成される。この場合、マイクロセルを透過する光の位相変化量は、このピラーの高さに応じて決まる。すなわち、高さの高いピラーにより構成されるマイクロセルを透過する光の位相変化量は大きくなり、高さの低いピラーにより構成されるマイクロセルを透過する光の位相変化量は小さくなる。
【0023】
なお、各マイクロセルの厚み又は屈折率の設定は、例えば、機械学習を用いて実現することができる。この機械学習において用いられるモデルとしては、例えば、光回折素子12aiに入力される信号光の2次元強度分布を入力とし、光回折素子12aiから出力される信号光の2次元強度分布を出力とするモデルであって、各マイクロセルの厚み又は屈折率をパラメータとして含むモデルを用いることができる。ここで、光回折素子12aiに入力される信号光の2次元強度分布とは、光回折素子12aiを構成する各マイクロセルに入力される信号光の強度の集合のことを指す。また、光回折素子12aiから出力される信号光の2次元強度分布とは、光回折素子12aiの後段に配置された光回折素子12ai+1を構成する各マイクロセルに入力される信号光の強度の集合、又は、光回折素子12aiの後段に配置された受光部13を構成する各マイクロセルに入力される信号光の強度の集合のことを指す。
【0024】
〔光演算装置の変形例〕
光演算装置1の一変形例(以下、光演算装置1Aと記載する)について、
図4を参照して説明する。
図4は、光演算装置1Aの構成を示す斜視図である。
【0025】
光演算装置1Aは、
図4に示すように、発光部11と、光回折素子群12と、受光部13Aと、を備えている。
図4に示す光演算装置1Aが備える発光部11及び光回折素子群12は、
図1に示す光演算装置1が備える発光部11及び光回折素子群12と同様に構成されている。一方、
図1に示す光演算装置1が備える受光部13は、出力信号光に含まれる各波長成分の2次元強度分布を個別に検出するのに対して、
図4に示す光演算装置1Aが備える受光部13Aは、出力信号光に含まれる各波長成分の特定の点における強度を個別に検出する。
【0026】
本変形例においては、例えば、出力信号光に含まれる波長成分のうち、どの波長成分を受光部13が検出したかを特定することによって、演算結果を得ることができる。このような演算方法を実現するためには、例えば、光回折素子群12を構成する各光回折素子12aiを、演算結果に対応する波長成分が受光部13Aに入射し、且つ、演算結果に対応しない波長成分が受光部13Aに入射しないように設計すればよい。また、受光部13Aの出力信号に基づき、出力信号光に含まれる波長成分のうち、どの波長成分を受光部13Aが検出したかを特定する演算部を、光演算装置1の構成要素に追加すればよい。
【0027】
本変形例によれば、受光部13Aの構成を簡素化することが可能であり、その結果、光演算装置1Aの製造コストを低下させることができる。
【0028】
(まとめ)
本発明の態様1に係る光演算装置は、光演算機能を有する少なくとも1つの光回折素子からなる光回折素子群と、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する受光部と、を備えている。
【0029】
上記の構成によれば、信号光に含まれる複数の波長成分を光演算に利用することが可能な光演算装置を実現することができる。
【0030】
本発明の態様2に係る光演算装置においては、態様1の構成に加えて、前記受光部は、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の2次元強度分布を個別に検出する、という構成が採用されている。
【0031】
上記の構成によれば、光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々が表す情報をより有効に活用することができる。
【0032】
本発明の態様3に係る光演算装置においては、態様2の構成に加えて、前記光回折素子群に入力する信号光であって、同じ2次元強度分布を有する複数の波長成分を含む信号光を生成する発光部を更に備えている、という構成が採用されている。
【0033】
上記の構成によれば、光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々が表す情報を有効に活用して、より正確な、又は、より詳細な演算結果を得ることができる。
【0034】
本発明の態様4に係る光演算装置においては、態様2の構成に加えて、前記光回折素子群に入力する信号光であって、異なる2次元強度分布を有する複数の波長成分を含む信号光を生成する発光部を更に備えている、という構成が採用されている。
【0035】
上記の構成によれば、光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々が表す情報を有効に活用して、より多様な演算結果を得ることができる。
【0036】
本発明の態様5に係る光演算装置においては、態様2~4の何れかの構成に加えて、前記受光部は、マルチスペクトルカメラである、という構成が採用されている。
【0037】
上記の構成によれば、光回折素子群から出力される信号光に含まれる10個以上の波長成分の各々が表す情報を有効に活用して、より多様な演算結果を得ることができる。
【0038】
本発明の態様6に係る光演算装置においては、態様1の構成に加えて、前記受光部は、特定の点において、当該信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する、という構成が採用されている。
【0039】
上記の構成によれば、受光部を簡素化することが可能であり、その結果、光演算装置の製造コストを低下させることができる。
【0040】
本発明の態様7に係る光演算装置においては、態様6の構成に加えて、前記受光部の出力信号に基づき、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる波長成分のうち、どの波長成分を前記受光部が検出したかを特定する演算部を更に備えている、という構成が採用されている。
【0041】
上記の構成によれば、新規な光演算装置、すなわち、前記受光部が検出した波長成分に応じて演算結果を特定する光演算装置を実現することができる。
【0042】
本発明の態様8に係る光演算装置においては、態様1~7の何れか一態様の構成に加えて、前記光回折素子は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている、という構成が採用されている。
【0043】
上記の構成によれば、ナノインプリント技術等を用いて光回折素子を容易に製造することができる。
【0044】
本発明の態様9に係る光演算方法は、光演算機能を有する少なくとも1つの光回折素子からなる光回折素子群を用いた光演算方法であって、前記光回折素子群から出力される信号光に含まれる複数の波長成分の各々の強度を個別に検出する工程を含んでいる。
【0045】
上記の構成によれば、信号光に含まれる複数の波長成分を光演算に利用することが可能な光演算方法を実現することができる。
【0046】
〔付記事項〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 光演算装置
11 発光部
12 光回折素子群
12a1,12a2 光回折素子
13 受光部