(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】圧力センサと電子機器
(51)【国際特許分類】
G01L 1/26 20060101AFI20240523BHJP
G01L 1/20 20060101ALI20240523BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G01L1/26 D
G01L1/20 Z
G01L5/00 Z
(21)【出願番号】P 2023507448
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2021110833
(87)【国際公開番号】W WO2022028525
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】202010788347.2
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0041281(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0368952(US,A1)
【文献】中国実用新案第208653681(CN,U)
【文献】中国実用新案第204856438(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-1/26
G01L 5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサであって、フレキシブル回路基板と複数の感圧接着剤抵抗を含み、前記複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1と、感圧接着剤抵抗R2と、感圧接着剤抵抗R3と、感圧接着剤抵抗R4と、感圧接着剤抵抗R5と、感圧接着剤抵抗R6とを含み、
前記フレキシブル回路基板は、対向する第一の表面と第二の表面を含み、
前記感圧接着剤抵抗R1、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R5は、前記第一の表面上に設置され、前記感圧接着剤抵抗R2、前記感圧接着剤抵抗R4と前記感圧接着剤抵抗R6は、前記第二の表面上に設置され、
前記フレキシブル回路基板上に前記第一の表面と前記第二の表面とを連通する貫通孔が設けられ、前記感圧接着剤抵抗R1、前記感圧接着剤抵抗R2、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R4は、少なくとも部分的に前記貫通孔を覆い、
前記感圧接着剤抵抗R1、前記感圧接着剤抵抗R2、前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第一のホイートストンブリッジを形成し、前記感圧接着剤抵抗R3、前記感圧接着剤抵抗R4、前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第二のホイートストンブリッジを形成する、圧力センサ。
【請求項2】
前記感圧接着剤抵抗R1と前記感圧接着剤抵抗R2との比の値、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R4との比の値は、前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R6との比の値に等しい、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記感圧接着剤抵抗R1は、前記感圧接着剤抵抗R2と電気的に接続され、前記感圧接着剤抵抗R1と前記感圧接着剤抵抗R2との間に第一の電圧信号が発生し、
前記感圧接着剤抵抗R3は、前記感圧接着剤抵抗R4と電気的に接続され、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R4との間に第二の電圧信号が発生し、
前記感圧接着剤抵抗R5は、前記感圧接着剤抵抗R6と電気的に接続され、前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R6との間に第三の電圧信号が発生し、
前記第一のホイートストンブリッジが出力する信号は、前記第一の電圧信号と前記第三の電圧信号との差であり、前記第二のホイートストンブリッジが出力する信号は、前記第二の電圧信号と前記第三の電圧信号との差であり、前記圧力センサが出力する信号は、前記第一のホイートストンブリッジが出力する信号と前記第二のホイートストンブリッジが出力する信号との和である、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R1及び前記感圧接着剤抵抗R3との間の距離は、予め設定される閾値より小さく、前記感圧接着剤抵抗R5の温度を前記感圧接着剤抵抗R1の温度及び前記感圧接着剤抵抗R3の温度と一致させ、前記感圧接着剤抵抗R6と前記感圧接着剤抵抗R2及び前記感圧接着剤抵抗R4との間の距離は、前記予め設定される閾値より小さく、前記感圧接着剤抵抗R6の温度を前記感圧接着剤抵抗R2の温度及び前記感圧接着剤抵抗R4の温度と一致させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記貫通孔は、第一の貫通孔と第二の貫通孔とを含み、前記感圧接着剤抵抗R1と前記感圧接着剤抵抗R2は、少なくとも部分的に前記第一の貫通孔を覆い、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R4は、少なくとも部分的に前記第二の貫通孔を覆う、請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧力センサを含み、前記圧力センサは、隠しボタンとして機器ケースの内側に固定される、電子機器。
【請求項7】
前記機器ケースは、金属ケースであり、前記圧力センサは、両面テープによって前記機器ケースの内側に固定される、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器は、携帯電話と、タブレットパソコンと、車載コンピュータと、ウェアラブルデバイスと、スマートロボットとのうちの少なくとも一つを含む、請求項7に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2020年08月07日に中国特許局で提出された、出願番号が202010788347.2であり、発明名称が「圧力センサと電子機器」である中国特許出願の優先権を主張しており、同出願の内容のすべては、本発明に参照として取り込まれる。
【0002】
本出願はセンサ技術分野に関し、特に圧力センサと電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
製品の外観に対する人々の要求がますます高くなるにつれて、隠しボタンの設計は、ますますスマートフォンのフラッグシップ機種と高級機に現れ、その中でよく見られるのは、圧力センサを隠しボタンとする設計案である。
【0004】
圧力センサを隠しボタンとする設計案は、通常、感圧接着剤抵抗を採用してホイートストンブリッジを構成して、受けた圧力を電圧差に変換して出力する。感圧接着剤抵抗の抵抗率が温度に伴って変化するため、スマートフォンが長時間高温又は低温環境にある場合、例えば、夏にスマートフォンを常に屋外の日差しの下に置き、又は冬にスマートフォンを常に低温の屋外に置く場合、ユーザがスマートフォンを持ち上げて隠しボタンを押すと、ユーザの指が既に持ち上がっているが、温度効果の影響を受けるため、隠しボタンの感圧接着剤抵抗は、依然として電圧差を発生して出力することにより、スマートフォンは、ユーザが隠しボタンをリリースしておらず、ずっと隠しボタンを押し続けると認識し、それによって、スマートフォンがシャットダウンするか、又はユーザが隠しボタンを再び押すことに応答しないという問題が出てくる。
【0005】
本出願において、温度効果とは、熱い又は冷たいスマートフォンの筐体がユーザの指又は他の恒温物体と接触する時、異なる位置の感圧接着剤と指との間の距離が異なることにより、異なる位置の感圧接着剤の抵抗率変化が一致しない現象を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の実施例の目的は、圧力センサの温度効果により発生する信号に対して補正し、圧力センサ測定の正確性を保証できる圧力センサと電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様によれば、本出願の実施例は、フレキシブル回路基板と複数の感圧接着剤抵抗とを含む圧力センサを提供し、前記複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1と、感圧接着剤抵抗R2と、感圧接着剤抵抗R3と、感圧接着剤抵抗R4と、感圧接着剤抵抗R5と、感圧接着剤抵抗R6とを含み、前記フレキシブル回路基板は、対向する第一の表面と第二の表面を含み、前記感圧接着剤抵抗R1、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R5は、前記第一の表面上に設置され、前記感圧接着剤抵抗R2、前記感圧接着剤抵抗R4と前記感圧接着剤抵抗R6は、前記第二の表面上に設置され、前記フレキシブル回路基板上に前記第一の表面と前記第二の表面とを連通する貫通孔が設けられ、前記感圧接着剤抵抗R1、前記感圧接着剤抵抗R2、前記感圧接着剤抵抗R3と前記感圧接着剤抵抗R4は、少なくとも部分的に前記貫通孔を覆い、ここで、前記感圧接着剤抵抗R1、前記感圧接着剤抵抗R2、前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第一のホイートストンブリッジを形成し、前記感圧接着剤抵抗R3、前記感圧接着剤抵抗R4、前記感圧接着剤抵抗R5と前記感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第二のホイートストンブリッジを形成する。
【0008】
第二の態様によれば、本出願の実施例は、電子機器を提供し、この電子機器は、第一の態様に記載の圧力センサを含み、前記圧力センサは、隠しボタンとして機器ケースの内側に固定される。
【発明の効果】
【0009】
本出願の実施例による圧力センサと電子機器は、フレキシブル回路基板上に複数の感圧接着剤抵抗を設置する。ここで、複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1と、感圧接着剤抵抗R2と、感圧接着剤抵抗R3と、感圧接着剤抵抗R4と、感圧接着剤抵抗R5と、感圧接着剤抵抗R6とを含み、フレキシブル回路基板は、対向する第一の表面と第二の表面を含み、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5を第一の表面上に設置し、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6を第二の表面上に設置し、フレキシブル回路基板上にさらに第一の表面と第二の表面とを連通する貫通孔が設けられ、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が少なくとも部分的にこの貫通孔を覆うようにし、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を電気的に接続することにより、第一のホイートストンブリッジを形成し、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を電気的に接続することで第二のホイートストンブリッジを形成し、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6が温度効果の影響を受けて発生する電圧信号を利用し、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が温度効果の影響を受けて発生する電圧信号に対して補正し、圧力センサが出力する電圧信号に圧力作用を受けて発生する電圧信号のみを含ませることができ、それによって、温度による圧力センサの出力する電圧信号への影響を除去し、圧力センサに対する温度補正を実現し、圧力センサの高温又は低温環境における測定の正確性を保証することができ、温度効果による圧力センサの誤報又は遅延リリースなどの問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本出願の実施例の圧力センサの構成構造の概略図である。
【
図2】本出願の実施例の圧力センサにおけるホイートストンブリッジの作動原理の概略図である。
【
図3】本出願の実施例の圧力センサが圧力作用を受ける概略図である。
【
図4】本出願の実施例の圧力センサの別の構成構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記説明した図面は、本出願に対するさらなる理解を提供するために用いられ、本出願の一部を構成し、本出願の例示的な実施例及びその説明は、本出願を説明するためのものであり、本出願への不適切な限定を構成するものではない。以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述する。明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0012】
図1は本出願の実施例の圧力センサの構成構造の概略図であり、本出願の実施例の圧力センサは、フレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit、FPC)110と複数の感圧接着剤抵抗とを含み、複数の感圧接着剤
抵抗をフレキシブル回路基板上に印刷することによってフレキシブル回路基板アセンブリ(Flexible Printed Circuit Assembly、FPCA)を形成することができる。ここで、複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1と、感圧接着剤抵抗R2と、感圧接着剤抵抗R3と、感圧接着剤抵抗R4と、感圧接着剤抵抗R5と、感圧接着剤抵抗R6とを含む。フレキシブル回路基板110は、対向する第一の表面Aと第二の表面Bを含み、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5は、第一の表面A上に設置され、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6は、第二の表面B上に設置される。フレキシブル回路基板110にさらに第一の表面Aと第二の表面Bとを連通する貫通孔Cが設けられ、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4は、少なくとも部分的に貫通孔Cを覆う。ここで、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第一のホイートストンブリッジを形成し、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第二のホイートストンブリッジを形成する。
【0013】
本出願の実施例の圧力センサは、フレキシブル回路基板上に複数の感圧接着剤抵抗を設置し、ここで、複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1と、感圧接着剤抵抗R2と、感圧接着剤抵抗R3と、感圧接着剤抵抗R4と、感圧接着剤抵抗R5と、感圧接着剤抵抗R6とを含む。フレキシブル回路基板は、対向する第一の表面と第二の表面を含み、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5を第一の表面上に設置し、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6を第二の表面上に設置する。フレキシブル回路基板上にさらに第一の表面と第二の表面とを連通する貫通孔が設けられ、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が少なくとも部分的にこの貫通孔を覆うようにし、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を電気的に接続することにより、第一のホイートストンブリッジを形成し、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を電気的に接続することで第二のホイートストンブリッジを形成する。感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6が温度効果の影響を受けて発生する電圧信号を利用し、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が温度効果の影響を受けて発生する電圧信号に対して補正し、圧力センサが出力する電圧信号に圧力作用を受けて発生する電圧信号のみを含ませることができる。それによって、温度による圧力センサの出力する電圧信号への影響を除去し、圧力センサに対する温度補正を実現し、圧力センサの高温又は低温環境における測定の正確性を保証することができ、温度効果による圧力センサの誤報又は遅延リリースなどの問題を解決することができる。
【0014】
以下は、
図2から
図3を結び付けながら、本出願の実施例の圧力センサの作動原理を説明する。
【0015】
図2は、本出願の実施例の圧力センサにおけるホイートストンブリッジの作動原理の概略図である。
図2に示すように、感圧接着剤抵抗R1は、感圧接着剤抵抗R2と電気的に接続され、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2との間に第一の電圧信号Vp11が発生し、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2は、分圧回路を形成する。分圧回路は、電源VCCと接地端GNDとの間に接続されるため、第一の電圧信号Vp11は、感圧接着剤抵抗R2上の電圧である。感圧接着剤抵抗R3は、感圧接着剤抵抗R4と電気的に接続され、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4との間に第二の電圧信号Vp12が発生し、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4は、分圧回路を形成する。分圧回路は、電源VCCと接地端GNDとの間に接続されるため、第二の電圧信号Vp12は、感圧接着剤抵抗R4上の電圧である。感圧接着剤抵抗R5は、感圧接着剤抵抗R6と電気的に接続され、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6との間に第三の電圧信号Vp13が発生し、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、分圧回路を形成する。分圧回路は、電源VCCと接地端GNDとの間に接続されるため、第三の電圧信号Vp13は、感圧接着剤抵抗R6上の電圧である。第一のホイートストンブリッジが出力する信号△U1は、第一の電圧信号Vp11と第三の電圧信号Vp13との差であり、即ち、△U1=Vp11-Vp13である。第二のホイートストンブリッジが出力する信号は、第二の電圧信号Vp12と第三の電圧信号Vp13との差であり、即ち、△U2=Vp12-Vp13である。圧力センサが出力する信号△Uは、第一のホイートストンブリッジが出力する信号△U1と第二のホイートストンブリッジが出力する信号△U2との和であり、即ち、△U=△U1+△U2である。
【0016】
本出願の実施例の圧力センサは、圧力作用と温度効果の影響を受けていない場合、第一の電圧信号Vp11、即ち、感圧接着剤抵抗R2上の電圧は、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2の分圧に基づいて発生する電圧である。第二の電圧信号Vp12、即ち、感圧接着剤抵抗R4上の電圧は、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4の分圧に基づいて発生する電圧であり、第三の電圧信号Vp13、即ち、感圧接着剤抵抗R6上の電圧は、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6の分圧に基づいて発生する電圧である。感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2との比の値、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4との比の値は、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6との比の値に等しいため、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧は等しく、即ち、Vp11=Vp12=Vp13である。この時、第一のホイートストンブリッジが出力する電圧信号△U1=Vp11-Vp13=0であり、第二のホイートストンブリッジが出力する電圧信号△U2=Vp12-Vp13=0であり、圧力センサが最終的に出力する電圧信号△U=△U1+△U2=0であり、圧力センサは、信号を出力しない。
【0017】
本出願の実施例の圧力センサは、圧力作用を受けて、温度効果の影響を受けていない場合、第一の電圧信号Vp11、即ち、感圧接着剤抵抗R2上の電圧は、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2の分圧に基づいて発生する電圧である。第二の電圧信号Vp12、即ち、感圧接着剤抵抗R4上の電圧は、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4の分圧に基づいて発生する電圧であり、第三の電圧信号Vp13、即ち、感圧接着剤抵抗R6上の電圧は、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6の分圧に基づいて発生する電圧である。感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4は、少なくとも部分的に貫通孔Cを覆い、即ち、フレキシブル回路基板の圧力作用を受ける領域に位置する。
図3に示すように、圧力の作用で、フレキシブル回路基板の圧力作用を受ける領域の曲率が変化するため、フレキシブル回路基板の圧力作用を受ける領域の曲率の変化に伴って、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R3が押圧され、感圧接着剤抵抗R2と感圧接着剤抵抗R4が引張される。それによって、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R3の抵抗率が小さくなり、感圧接着剤抵抗R2と感圧接着剤抵抗R4の抵抗率が大きくなり、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が圧力作用を受け、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R3が分圧により発生する電圧が減少し、感圧接着剤抵抗R2と感圧接着剤抵抗R4が分圧により発生する電圧が増大する。感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、貫通孔Cを覆わない。即ち、フレキシブル回路基板の圧力作用を受けていない領域に位置する。
図3に示すように、圧力の作用で、フレキシブル回路基板の圧力作用を受けていない領域の曲率は変化しないため、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、押圧や引張されず、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6の抵抗率は変化せず、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、圧力作用を受けておらず、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧は、変化しない。
【0018】
また、圧力作用を受ける前に、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2との比の値、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4との比の値は、それぞれ感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6との比の値に等しいため、圧力作用を受けた後、感圧接着剤抵抗R2と感圧接着剤抵抗R4が分圧により発生する電圧は、それぞれ感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧より大きく、即ち、Vp11>Vp13、Vp12>Vp13である。この時、第一のホイートストンブリッジが出力する電圧信号△U1=Vp11-Vp13>0であり、第一のホイートストンブリッジが受けた圧力により生成される電気信号であり、第二のホイートストンブリッジが出力する電圧信号△U2=Vp12-Vp13>0であり、第二のホイートストンブリッジが受けた圧力により生成される電気信号であり、圧力センサが最終的に出力する電圧信号△U=△U1+△U2>0であり、圧力センサは、受けた圧力を電気信号に変換して出力する。
【0019】
本出願の実施例の圧力センサは、圧力作用を受け且つ温度効果の影響を受ける時、第一の電圧信号Vp11、即ち、感圧接着剤抵抗R2上の電圧は、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2の分圧に基づいて発生する電圧であり、第二の電圧信号Vp12、即ち、感圧接着剤抵抗R4上の電圧は、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4の分圧に基づいて発生する電圧であり、第三の電圧信号Vp13、即ち、感圧接着剤抵抗R6上の電圧は、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6の分圧に基づいて発生する電圧である。圧力センサが長時間高温環境にある場合、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6の抵抗率は、環境温度の上昇に伴って増大する。温度が環境温度より低いユーザの指が圧力センサを押す場合、
図4に示すように、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5は、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6よりユーザの指に近いため、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5の温度は、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6の温度より低く、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5の抵抗率は、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6の抵抗率より小さく、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、温度効果の影響を受け、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5が分圧により発生する電圧を減少させ、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧を増大させる。
【0020】
また感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R1及び感圧接着剤抵抗R3との間の距離が予め設定される閾値より小さく、感圧接着剤抵抗R6と感圧接着剤抵抗R2及び感圧接着剤抵抗R4との間の距離が予め設定される閾値より小さい。そのため、この時に感圧接着剤抵抗R5の温度が感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R3の温度とが任意の条件で常に一致するように保持し、感圧接着剤抵抗R6の温度が感圧接着剤抵抗R2と感圧接着剤抵抗R4の温度とが任意の条件で常に一致するように保持すると考えられる。そのため、温度効果の影響を受け、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5が分圧により発生する電圧の減少量は等しく、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧の増大量は等しい。ここで、予め設定される閾値は、感圧接着剤抵抗の体積などにより決定でき、本出願の実施例は、これを限定しない。
【0021】
この時、第一のホイートストンブリッジが出力する電圧信号△U1=Vp11-Vp13であり、感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧における温度効果の影響を受けて発生する電圧の増大量により、感圧接着剤抵抗R2が分圧により発生する電圧における温度効果の影響を受けて発生する電圧の増大量を除去する。△U1が、第一のホイートストンブリッジが受けた応力により発生する電気信号のみを含むようにし、第二のホイートストンブリッジが出力する電圧信号△U2=Vp12-Vp13であり、感圧接着剤抵抗R6が分圧により発生する電圧における温度効果の影響を受けて発生する電圧の増大量により、感圧接着剤抵抗R4が分圧により発生する電圧における温度効果の影響を受けて発生する電圧の増大量を除去し、△U2が、第二のホイートストンブリッジが受けた応力により発生する電気信号のみを含むようにする。それによって、圧力センサが最終的に出力する電圧信号△U=△U1+△U2であり、圧力センサが受けた応力を変換した電気信号のみとなる。
【0022】
図4は、本出願の実施例の圧力センサの別の構成構造の概略図であり、本出願の実施例の圧力センサは、フレキシブル回路基板110と複数の感圧接着剤抵抗を含む。ここで、複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を含む。フレキシブル回路基板110は、対向する第一の表面Aと第二の表面Bを含み、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5は、第一の表面A上に設置され、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6は、第二の表面B上に設置される。フレキシブル回路基板110にさらに第一の表面Aと第二の表面Bとを連通する貫通孔が設けられる。この貫通孔は、第一の貫通孔Dと第二の貫通孔Eを含み、感圧接着剤抵抗R1と感圧接着剤抵抗R2は、少なくとも部分的に第一の貫通孔Dを覆い、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4は、少なくとも部分的に第二の貫通孔Eを覆う。ここで、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第一のホイートストンブリッジを形成し、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6は、電気的に接続されて第二のホイートストンブリッジを形成する。本実施例の圧力センサにおけるホイートストンブリッジの作動原理は、
図1における圧力センサにおけるホイートストンブリッジの作動原理と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0023】
同じ技術的構想に基づき、本出願の実施例は、電子機器をさらに提供する。この電子機器は、上記各実施例における圧力センサを含み、この電子機器は、携帯電話、タブレットパソコン、車載コンピュータ、ウェアラブルデバイス、スマートロボット等のうちの少なくとも一つであってもよく、本出願の実施例は、電子機器のタイプに対して限定しない。
図3に示すように、この電子機器では、圧力センサが隠しボタンとして機器ケース210の内側に固定されている。いくつかの選択的な例では、機器ケース210は、金属ケースであり、圧力センサは、両面テープ220によって機器ケース210の内側に固定される。
【0024】
本出願の実施例の電子機器は、フレキシブル回路基板上に複数の感圧接着剤抵抗を設置する。ここで、複数の感圧接着剤抵抗は、感圧接着剤抵抗R1と、感圧接着剤抵抗R2と、感圧接着剤抵抗R3と、感圧接着剤抵抗R4と、感圧接着剤抵抗R5と、感圧接着剤抵抗R6とを含む。フレキシブル回路基板は、対向する第一の表面と第二の表面を含み、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R5を第一の表面上に設置し、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R4と感圧接着剤抵抗R6を第二の表面上に設置し、フレキシブル回路基板上にさらに第一の表面と第二の表面とを連通する貫通孔が設けられる。感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が少なくとも部分的にこの貫通孔を覆うようにし、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を電気的に接続することにより、第一のホイートストンブリッジを形成し、感圧接着剤抵抗R3、感圧接着剤抵抗R4、感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6を電気的に接続することで第二のホイートストンブリッジを形成する。感圧接着剤抵抗R5と感圧接着剤抵抗R6が温度効果の影響を受けて発生する電圧信号を利用し、感圧接着剤抵抗R1、感圧接着剤抵抗R2、感圧接着剤抵抗R3と感圧接着剤抵抗R4が温度効果の影響を受けて発生する電圧信号に対して補正し、圧力センサが出力する電圧信号に圧力作用を受けて発生する電圧信号のみを含ませることができる。それによって、温度による圧力センサの出力する電圧信号への影響を除去し、圧力センサに対する温度補正を実現し、圧力センサの高温又は低温環境における測定の正確性を保証することができ、温度効果による圧力センサの誤報又は遅延リリースなどの問題を解決することができる。
【0025】
説明すべきこととして、本明細書では、用語である「含む」、「包含」又はその他の任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものであり、それによって一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素を含むだけではなく、明確にリストアップされていない他の要素も含み、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素も含む。それ以上の制限がない場合に、「・・・を1つ含む」という文章で限定された要素について、この要素を含むプロセス、方法、物品又は装置には他の同じ要素も存在することが排除されるものではない。
【0026】
以上の実施の形態の記述によって、当業者であればはっきりと分かるように、上記実施例の方法は、ソフトウェアと必要な汎用ハードウェアプラットフォームの形態によって実現されることができる。無論、ハードウェアによって実現されてもよいが、多くの場合、前者は、より好適な実施の形態である。このような理解を踏まえて、本出願の技術案は、実質には又は従来の技術に寄与した部分がソフトウェア製品の形式によって具現化されてもよい。このコンピュータソフトウェア製品は、一つの記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、一台の端末(携帯電話、コンピュータ、サーバ、エアコン、又はネットワーク機器などであってもよい)に本出願の各実施例に記載の方法を実行させるための若干の命令を含む。
【0027】
以上は、図面を結び付けながら、本出願の実施例を記述したが、本出願は、上記の具体的な実施の形態に限らない。上記の具体的な実施の形態は、例示的なものに過ぎず、制限性のあるものではない。当業者は、本出願の示唆で、本出願の趣旨と請求項が保護する範囲から逸脱しない限り、多くの形式を行うこともでき、いずれも本出願の保護範囲に属する。