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特許7493099制御ユニットによる電気光学的機能層の駆動方法、及びそのための構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】制御ユニットによる電気光学的機能層の駆動方法、及びそのための構造
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240523BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240523BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20240523BHJP
   G02F 1/169 20190101ALI20240523BHJP
   G02F 1/19 20190101ALI20240523BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/133 505
G02F1/15 502
G02F1/169
G02F1/19 501
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023512380
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021073860
(87)【国際公開番号】W WO2022058145
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】20196193.5
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【弁理士】
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト シュテルツァー
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ツァイス
(72)【発明者】
【氏名】ドアーネ シェルビー クライク
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-053308(JP,A)
【文献】特開2018-177054(JP,A)
【文献】特開2018-054868(JP,A)
【文献】特開2015-071910(JP,A)
【文献】中国実用新案第2740453(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/1334
G02F 1/15 - 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(ECU)によって電気光学的機能層(FS1)を駆動する方法であって、前記電気光学的機能層は、基材(GS1)に適用されており、前記電気光学的機能層(FS1)は、その透過特性及び/又は反射特性を電場の印加によって変更することができ、前記制御ユニット(ECU)は、供給電圧入力(IN)及びフィード出力(OUT)、並びに電圧測定手段(S)及びエネルギー貯蔵部(C)を有し、
前記方法が、
前記供給電圧入力(IN)において実際に利用可能な電圧(Vin)を測定するステップ(100)、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)より大きい(200)場合、前記フィード出力(OUT)を介してAC電圧(VAC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動しつつ(300)、前記エネルギー貯蔵部(C)を少なくとも部分的に充電するステップ、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)以下である(200)場合、前記フィード出力(OUT)を介してDC電圧(VDC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動しつつ(400)、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部を前記エネルギー貯蔵部(C)から取り出すステップ
を含み、
前記DC電圧(VDC)が、前記AC電圧(VAC)のピーク値より小さい、方法。
【請求項2】
前記参照値(Vref)が、規定電圧(Vspec)より規定電圧(Vspec)の少なくとも半分は小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記AC電圧の周波数が、25Hzより大きいか、25Hzに等しい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記AC電圧の周波数が、100Hzより小さいか、100Hzに等しい、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定するステップ(100)が、前記AC電圧の周期の半分未満を要する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法のうちの1つを実施するための構造(1)であって、前記構造は、
基材(GS1)、
電気光学的機能層(FS1)、
制御ユニット(ECU)
を含み、
前記電気光学的機能層(FS1)は、前記基材(GS1)に適用されており、前記電気光学的機能層(FS1)は、その透過特性及び/又は反射特性を電場の印加によって変更することができ、
前記制御ユニット(ECU)は、供給電圧入力(IN)及びフィード出力(OUT)、並びに電圧測定手段(S)及びエネルギー貯蔵部(C)を有し、
前記電圧測定手段(S)は、前記供給電圧入力(IN)において実際に利用可能な電圧(Vin)を測定する(100)ように構成されており、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)より大きい(200)場合、前記制御ユニット(ECU)は、前記フィード出力(OUT)を介してAC電圧(VAC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動する(300)ように構成されており、前記エネルギー貯蔵部(C)は、少なくとも部分的に充電されるようになっており、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)以下である(200)場合、前記制御ユニット(ECU)は、前記フィード出力(OUT)を介してDC電圧(VDC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動する(400)ように構成されており、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部は、前記エネルギー貯蔵部(C)から取り出されるようになっており、
前記DC電圧(VDC)は、前記AC電圧(VAC)のピーク値より小さい、構造。
【請求項9】
前記参照値(Vref)が、規定電圧(Vin)より規定電圧(Vin)の少なくとも半分は小さい、請求項8に記載の構造。
【請求項10】
前記AC電圧の周波数が、25Hzより大きいか、25Hzに等しい、請求項8又は9に記載の構造。
【請求項11】
前記AC電圧の周波数が、100Hzより小さいか、100Hzに等しい、請求項8~10のいずれか一項に記載の構造。
【請求項12】
前記電圧測定手段(S)が、前記測定するステップ(100)前記AC電圧の周期の半分未満で実行する、請求項8~11のいずれか一項に記載の構造。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、請求項8~12のいずれか一項に記載の構造。
【請求項14】
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、請求項8~13のいずれか一項に記載の構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
先行技術から、特に、自動車工学から、制御ユニットによって電気光学的機能層を駆動することが知られている。
【0002】
通常、AC電圧が駆動のために用いられる。なぜならば、DC電圧は、電気光学的機能層のより速い老化をもたらす可能性があるからである。
【0003】
しかし、振幅電圧及び/又は振幅周波数に変化がある場合、これは、光学特性の変化として認識されることがある。
【0004】
しかし、この光学特性の変化は、邪魔になると考えられる。
【0005】
そのような変化には、様々な原因が考えられる。
【0006】
これは、乗り物の例を用いて説明される。
【0007】
そこでは、バッテリーの低い入力DC電圧Vin(例えば、12V又は24V)は、通常、レギュレーターによって、より高い交流電圧Vout(例えば、60V(又はそれより高い))に変換される。交流電圧は、オフセットあり又なしのAC電圧であってよい。
【0008】
ここで大きい負荷がオンにされる場合、入力DC電圧の低下がもたらされる可能性がある。これは、例えば、図1において見ることができる。そこでは、入力電圧Vinは、期間Δtの間低下している。
【0009】
これは、次いで、光学特性のちらつき又は不連続として認識することができる。なぜならば、出力AC電圧が、もはや所望の振幅及び/又は所望の周波数を有さないからである。
【0010】
現在まで、これを回避するためのアプローチは、入力電圧をバッファリングして、そのような入力電圧の低下の期間Δtを埋められるようにすることであった。
【0011】
しかし、このアプローチは、大きいコンデンサを要求し、これは、1つには、設置スペースを要求し、さらには、高価でもある。加えて、これらの要素は、使用のために、最初に帯電させなければならないため、それらは、高い(初期)帯電電流も要求する。
【0012】
この問題は、自動車工学だけでなく、建築のグレージングの場合にも知られている。
【0013】
DE 10 2010 056203 A1は、可変レベルの透過率を有する透明表面要素の動作方法を開示し、ここで電源電圧は、第一のAC電圧に、コンバーターのアナログ発振回路を用いて変換される。
【0014】
CN 2740453 Yは、液晶パネルを含む太陽遮光デバイスを開示しているようである。
【0015】
WO2020/152075 A1は、液晶に基づいた機能素子を有するラミネートペイン構造を開示し、ここで機能素子の光学特性、及び1つの平面電極の電気抵抗加熱は、2つの異なるAC電圧によって制御される。
【発明の概要】
【0016】
これから出発して、本発明の目的は、定義された期間にわたって、低コストでちらつき効果を回避する方法、及びをこの方法実施するための構造を提供することである。
【0017】
この目的は、制御ユニットによって電気光学的機能層を駆動する方法によって達成され、ここで機能層は、基材に適用されており、電気光学的機能層は、その透過特性及び/又は反射特性を電場の印加によって変更することができ、制御ユニットは、供給電圧入力及びフィード出力、並びに電圧測定手段及びエネルギー貯蔵部を有する。方法は、供給電圧入力において実際に利用可能な電圧を測定するステップを有する。利用可能な電圧が参照値より大きい場合、電気光学的機能層は、フィード出力を介してAC電圧で駆動され、エネルギー貯蔵部は、少なくとも部分的に充電される。一方、利用可能な電圧が参照値以下である場合、電気光学的機能層は、フィード出力を介してDC電圧で駆動され、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部は、エネルギー貯蔵部から取り出され、DC電圧は、AC電圧のピーク値より小さい。
【0018】
これにより、有利には、ちらつき効果が回避される。なぜならば、ここでは、DC電圧が、電気光学的機能層に印加されるからである。これが起こる期間は比較的短いため、全体の耐用年数に対する耐用年数の損失は小さい。DC電圧を用いる場合には、電気的光学層を再帯電させる必要はないため、エネルギー貯蔵部の寸法を小さくすることができる。なぜならば、それは、もはや予想される期間Δtにわたってバッファリングする必要はなく、電気光学的機能層において所望のDC電圧を達成するのに十分なエネルギーを貯蔵しさえすればよいからである。このように、電気光学的機能層は、エネルギー貯蔵部も構成する。
【0019】
本発明の1つの実施態様において、参照値は、規定電圧、例えば、搭載電気系統の規定電圧の少なくとも半分は小さい所定値である。
【0020】
言いかえれば、本発明は、電圧かく乱及び電圧源の様々な状況に適合させることができる。
【0021】
本発明の別の実施態様において、AC電圧の周波数は、好ましくは、25Hz以上である。言いかえれば、周波数は、25Hzより大きいか、25Hzに等しくてよい。
【0022】
言いかえれば、(人間の)目の認識性能より高い周波数を選択することによって、ちらつき効果は防止される。
【0023】
本発明の別の実施態様において、AC電圧の周波数は、好ましくは100Hz以下であり、すなわち、周波数は、100Hzより小さいか、100Hzに等しくてよい。
【0024】
低い周波数を選択することによって、エネルギー必要量が低減される。なぜならば、周波数が増加すると、再帯電のエネルギー消費が増えるからである。その結果として、方法は、かく乱されていない場合にさえ効率的に機能することができる。
【0025】
本発明の別の実施態様において、測定するステップは、AC電圧の周期の半分未満を要する。
【0026】
言いかえれば、半周期内で、入力電圧が低下していることが検出される場合、方法は、直ちにDC電圧に変更し、かつしたがって、エネルギー貯蔵を小さく保つことができる。
【0027】
本発明の別の実施態様において、エネルギー貯蔵部は、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、電気光学的機能層を駆動することを可能にする。
【0028】
本発明の1つの実施態様によれば、エネルギー貯蔵部は、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、電気光学的機能層を駆動することを可能にする。
【0029】
言いかえれば、典型的な電圧変動は、容易に補正することができる。
【0030】
さらに目的は、本発明に係る方法のうちの1つを実施するための構造によって達成される。この場合、構造は、基材と、電気光学的機能層と、制御ユニットとを有し、機能層は、基材に適用されており、電気光学的機能層は、その透過特性及び/又は反射特性を電場の印加によって変更することができ、制御ユニットは、供給電圧入力及びフィード出力、並びに電圧測定手段及びエネルギー貯蔵部を有し、電圧測定手段は、供給電圧入力において実際に利用可能な電圧を測定するように構成されており、利用可能な電圧が参照値より大きい場合、制御ユニットは、フィード出力を介してAC電圧で電気光学的機能層を駆動するように構成されており、エネルギー貯蔵部は、少なくとも部分的に充電されるようになっており、利用可能な電圧が参照値以下である場合、制御ユニットは、フィード出力を介してDC電圧で電気光学的機能層を駆動するように構成されており、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部は、エネルギー貯蔵部から取り出されるようになっており、DC電圧は、AC電圧のピーク値より小さい。
【0031】
その結果として、有利には、ちらつき効果が回避される。なぜならば、ここでは、DC電圧が、電気光学的機能層に印加されるからである。これが起こる期間は比較的短いため、全体の耐用年数に対する耐用年数の損失は小さい。DC電圧を用いる場合には、電気的光学層を再帯電させる必要はないため、エネルギー貯蔵部の寸法を小さくすることができる。なぜならば、それは、もはや予想される期間Δtにわたってバッファリングする必要はなく、電気光学的機能層において所望のDC電圧を達成するのに十分なエネルギーを貯蔵しさえすればよいからである。このように、電気光学的機能層は、エネルギー貯蔵部も構成する。
【0032】
本発明の1つの実施態様において、参照値は、規定電圧、例えば、搭載電気系統の規定電圧の少なくとも半分は小さい所定値である。
【0033】
言いかえれば、本発明は、電圧かく乱及び電圧源の様々な状況に適合させることができる。
【0034】
本発明の1つの実施態様において、AC電圧の周波数は、好ましくは、25Hz以上である。AC電圧の周波数は、25Hzより大きいか、25Hzに等しくてよい。
【0035】
言いかえれば、(人間の)目の認識性能より高い周波数を選択することによって、ちらつき効果は防止される。
【0036】
本発明の別の実施態様において、AC電圧の周波数は、好ましくは、100Hz以下である。したがって、AC電圧の周波数は、100Hzより小さいか、100Hzに等しくてよい。
【0037】
低い周波数を選択することによって、エネルギー必要量が低減される。なぜならば、周波数が増加すると、再帯電のエネルギー消費が増えるからである。その結果として、方法は、かく乱されていない場合にさえ効率的に機能することができる。
【0038】
言いかえれば、半周期内で、入力電圧が低下していることが検出される場合、方法は、直ちにDC電圧に変更し、かつしたがって、エネルギー貯蔵を小さく保つことができる。
【0039】
本発明の別の実施態様において、エネルギー貯蔵部は、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、電気光学的機能層を駆動することを可能にする。
【0040】
本発明の1つの実施態様によれば、エネルギー貯蔵部は、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、電気光学的機能層を駆動することを可能にする。
【0041】
言いかえれば、典型的な電圧変動は、このようにして、容易に補正することができる。
【0042】
本発明の1つの実施態様において、電気光学的機能層は、高分子分散型液晶(PDLC)、懸濁粒子デバイス(SPD)、液晶、又はエレクトロクロミックを含む群から選択される。
【0043】
言いかえれば、本発明は、すべての一般的な電気光学的機能層で用いることができる。
【0044】
本発明の1つの実施態様において、制御ユニットは、電気光学的機能層を駆動するための制御ユニットである。
【0045】
言いかえれば、駆動部は、有利には、既存のシステムに統合することができる。必要なデバイスが存在する場合、本発明は、ソフトウエア更新として提供することもできる。
【0046】
本発明の別の実施態様によれば、基材は、板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又は透明プラスチック、好ましくは、剛直な透明プラスチック、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はこれらの混合物を含む群の中から選択される。
【0047】
したがって、本発明は、乗り物のグレージングのすべての領域、及び建築のグレージングのすべての領域において用いることができる。
【0048】
特に、実施態様は、基材と電気光学的機能層とを有する複合ペインにおいて実装することもでき、基材は、中間層を介して別の基材に連結される。
【0049】
以下において、本発明は、図面及び例示的な実施態様を参照して詳細に説明される。図面は概略図であり、縮尺どおりではない。図面は本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
それらは、次のものを表す:
図1図1は、先行技術による入力電圧曲線及び可能な出力電圧曲線の概略比較である。
図2図2は、本発明の実施態様による入力電圧曲線及び可能な出力電圧曲線の概略比較である。
図3図3は、本発明の実施態様に係るユニットの概略図である。
図4図4は、本発明の実施態様に係る例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下において、本発明は、図面を参照して、より詳細に示される。異なる側面が記載されており、その各々を、個別に又は組み合わせにおいて用いることができることに留意されたい。言いかえれば、純粋な代替案として明示的に示されていない限り、任意の側面を、本発明の異なる実施態様と共に用いることができる。
【0052】
方法が以下に記載されている限り、方法の個々のステップは、文脈が明示的に示さない限り、任意の順序及び/又は組み合わせにおいて配置することができる。さらに、方法は、別段の示唆がない限り、互いに組み合わせることができる。
【0053】
数値を含む記述は、通常、正確な値としてではなく、+/-1%、最大で+/-10%の許容差を含むと理解されるべきである。
【0054】
標準、仕様などが本件において言及される限りにおいて、少なくとも出願日に適用可能な標準、仕様などが常に参照される。言いかえれば、標準/仕様などが更新されるか、後継版によって置き換えられた場合、本発明は、それらにも適用可能である。
【0055】
様々な実施態様が、図面において表される。
【0056】
以下において、制御ユニットECU(いわゆる「電子制御ユニット」)によって電気光学的機能層FS1を駆動するための本発明に係る方法は、図4を参照して示される。
【0057】
本発明に係る方法、又は図3の本発明に係る構造において、機能層FS1は、基材GS1に適用される。電場を電気光学的機能層FS1に印加することによって、電気光学的機能層FS1は、その透過特性及び/又は反射特性を変更することができる。制御ユニットECUは、少なくとも1つの供給電圧入力IN及び少なくとも1つのフィード出力OUT、並びに電圧測定手段S及びエネルギー貯蔵部Cを有する。
【0058】
本発明に係る方法は、供給電圧入力INにおいて実際に利用可能な電圧Vinを測定するステップ100を有する。供給電圧入力INにおいて利用可能な電圧は、例えば、DC電圧又はAC電圧であってよい。典型的な電圧は、乗り物の搭載電気系統で見られるような、12VのDC電圧又は24VのDC電圧又は48VのDCである。
【0059】
ステップ200において、本発明に係る方法は、ここで、利用可能な電圧Vinと参照値Vrefとを比較する。例えば、参照値は、例えば、既定の透過率及び/又は反射率を提供するために、出力電圧のあらかじめ選ばれた目標値に依存することができる。言いかえれば、参照値は変更可能である。
【0060】
ステップ200において、利用可能な電圧Vinが参照値Vrefより大きい場合、電気光学的機能層FS1は、ステップ300において、フィード出力OUTを介してAC電圧VACで駆動されることができ、エネルギー貯蔵部Cは、少なくとも部分的に充電される。言いかえれば、通常動作の期間中、小さいエネルギー貯蔵部Cは、十分なエネルギーが障害の場合に利用可能であるように、十分に充電された状態で維持される。
【0061】
しかし、ステップ200において、利用可能な電圧Vinが参照値Vref以下である場合、電気光学的機能層FS1は、ステップ400においてフィード出力OUTを介してDC電圧VDCで駆動されることができ、ここで、エネルギーの少なくとも一部、又は駆動のためのエネルギーのすべては、エネルギー貯蔵部Cから取り出される。言いかえれば、障害の期間中、電気光学的機能層FS1の帯電状態に応じて、エネルギーが、DC電圧動作中に電気光学的機能層FS1を目標値まで帯電させるように依然として要求される。
【0062】
DC電圧VDCは、AC電圧VACのピーク値より小さい。通常、DC電圧の値は、AC電圧VACのピーク値の50%~80%、特にAC電圧VACのピーク値の65%~75%である。値は経験的に決定され、例えば、単純な計算規則として、又は制御ユニットにおける参照テーブルとして保存することができる。
【0063】
本発明はさらに、本発明に係る方法のうちの1つを実施するための構造を提供する。構造は、図3に示されるように、基材GS1、電気光学的機能層FS1、制御ユニットECUを有する。機能層FS1は、基材GS1に適用される。電気光学的機能層FS1は、その透過特性及び/又は反射特性を電場又は電圧を印加することによって変更することができる。言いかえれば、機能層FS1は、電場又は電圧を印加することによって、その透過特性及び/又は反射特性において可変である。制御ユニットECUは、供給電圧入力IN及びフィード出力OUT、並びに電圧測定手段S及びエネルギー貯蔵部Cを有し、電圧測定手段Sは、供給電圧入力INにおいて実際に利用可能な電圧Vinを測定する(100)ように構成されている。ステップ200において、利用可能な電圧Vinが参照値Vrefより大きい場合、制御ユニットECUは、フィード出力OUTを介してAC電圧VACで電気光学的機能層FS1を駆動する(300)ように構成されており、エネルギー貯蔵部Cは、少なくとも部分的に充電されるようになっている。ステップ200において、利用可能な電圧Vinが参照値Vref以下である場合、制御ユニットECUは、フィード出力OUTを介してDC電圧VDCで電気光学的機能層FS1を駆動する(400)ように構成されており、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部は、エネルギー貯蔵部Cから取り出されるようになっており、DC電圧VDCは、AC電圧VACのピーク値より小さい。
【0064】
その結果として、有利には、ちらつき効果が回避される。なぜならば、ここでは、DC電圧が、電気光学的機能層に印加されるからである。これが起こる期間は比較的短いため、全体の耐用年数に対する耐用年数の損失は小さい。DC電圧を用いる場合には、電気的光学層を再帯電させる必要はないため、エネルギー貯蔵部の寸法を小さくすることができる。なぜならば、それは、もはや予想される期間Δtにわたってバッファリングする必要はなく、電気光学的機能層において所望のDC電圧を達成するのに十分なエネルギーを貯蔵しさえすればよいからである。このように、電気光学的機能層は、エネルギー貯蔵部も構成する。
【0065】
ここで、本発明は、電気光学的機能層FS1がコンデンサのように主に作用するという事実を利用しており、その結果、コンデンサを帯電させるだけでよいようになる。理想的なコンデンサの理論的な場合では、DC電圧が印加される場合、電圧は、印加されたDC電圧に向かって漸近的に変化し、電流は減少し続ける。実際には、電流は、無視できる値まで急速に低下する。
【0066】
したがって、図2に示されるように、ここでの挙動は、図1とは異なる。電気光学的機能層FS1に、通常動作のフェーズにおいて、(ステップ300に従って)フィード出力OUTを介してAC電圧VACが供給された後、ステップ200の時点t1で、入力電圧Vinが参照値Vrefを下回ることが検出される。ここで、電気光学的機能層FS1に、(ステップ400に従って)フィード出力OUTを介してDC電圧VDCが供給される。後の時点t2で、(再びステップ200において)参照値Vrefを超える入力電圧Vinの復帰が検出された場合、電気光学的機能層FS1に、(ステップ300に従って)フィード出力OUTを介してAC電圧VACが再び供給される。電圧が全くない場合、すなわち、入力電圧Vin=0ボルトの場合、方法は、任意選択的に終了することができる。
【0067】
本発明の1つの実施態様において、AC電圧動作からDC電圧動作への切り替えが生じる参照値Vrefは、規定電圧Vspecより規定電圧Vspecの少なくとも半分は小さい。すなわち、規定電圧Vspecが、例えば12Vである場合、参照値Vrefは、例えば、6V以下であり、例えば5Vである。この参照値Vrefは、例えば、AC電圧の電流目標値に依存することができる。
【0068】
言いかえれば、本発明は、電圧かく乱及び電圧源の様々な状況に適合させることができる。
【0069】
本発明の別の実施態様において、AC電圧の周波数は、好ましくは、25Hz以上である。
【0070】
言いかえれば、(人間の)目の認識性能より高い周波数を選択することによって、ちらつき効果は防止される。
【0071】
本発明の別の実施態様において、AC電圧の周波数は、好ましくは、100Hz以下である。
【0072】
低い周波数を選択することによって、エネルギー必要量が低減される。なぜならば、周波数が増加すると、電気光学的機能層FS1の再帯電のエネルギー消費が増えるからである。その結果として、方法は、かく乱されていない場合にさえ効率的に機能することができる。
【0073】
本発明の別の実施態様において、測定するステップ100は、AC電圧の周期の半分未満を要する。
【0074】
言いかえれば、半周期内で、入力電圧Vinが低下していることが検出される場合、方法は、直ちにDC電圧VDCに変更し、かつしたがって、エネルギー貯蔵を小さく保つことができる。
【0075】
本発明の別の実施態様において、エネルギー貯蔵部Cは、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、電気光学的機能層FS1を駆動することを可能にする。
【0076】
本発明の1つの実施態様によれば、エネルギー貯蔵部Cは、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、電気光学的機能層FS1を駆動することを可能にする。
【0077】
言いかえれば、典型的な電圧変動、たとえば、電力を大量消費する負荷がオンになった際に生じる可能性がある電圧変動は、容易に補正することができる。
【0078】
本発明の1つの実施態様において、電気光学的機能層FS1は、高分子分散型液晶(PDLC)、懸濁粒子デバイス(SPD)、液晶、又はエレクトロクロミックを含む群から選択される。
【0079】
言いかえれば、本発明はすべての一般的な電気光学的機能層で用いることができる。
【0080】
本発明の1つの実施態様において、制御ユニットECUは、電気光学的機能層を駆動するための制御ユニットである。制御ユニットECUは、例えば、(内部)電圧測定手段Sと、マイクロコントローラμCとを有する。エネルギー貯蔵部Cは、図示されるように、制御ユニットECUの内部、及び/又は制御ユニットの外部に実装することができる。マイクロコントローラμCは、本発明に係る方法を実行することができる。これらは、静的メモリ又は可変メモリに保存され、マイクロコントローラμCで実行されることができる。この目的のために、マイクロコントローラμCは、例えば、電圧測定手段Sからデータを受信又は照会することができる。DC電圧VDC又はAC電圧VACをフィード出力OUTに供給するために、マイクロコントローラμCの影響下で、ドライバステージPAを駆動することができる。
【0081】
本発明の別の実施態様によれば、基材GS1は、板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又は透明プラスチック、好ましくは、剛直な透明プラスチック、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はこれらの混合物を含む群から選択される。
【0082】
したがって、本発明は、乗り物のグレージングのすべての領域、及び建築のグレージングのすべての領域において用いることができる。
【0083】
特に、実施態様は、基材GS1と電気光学的機能層FS1とを有する複合ペインにおいて実装することもでき、基材GS1は、少なくとも1つの中間層ZSを介して別の基材GS2に連結される。中間層は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメチレンメタクリル酸、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、FR6、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドを含む群から選択される少なくとも1種の材料を含むことができる。同様に、中間層(図示せず)は、基材GS1と電気光学的機能層FS1との間に配置することができる。
【0084】
したがって、本発明は、特に、一時的な電圧低下の条件下でさえ、ちらつきがない動作を提供することを可能にし、先行技術とは異なり、ここでは、大きいバッファーを省くことができる。
本開示は以下も包含する。
[態様1]
制御ユニット(ECU)によって電気光学的機能層(FS1)を駆動する方法であって、前記機能層は、基材(GS1)に適用されており、前記電気光学的機能層(FS1)は、その透過特性及び/又は反射特性を電場の印加によって変更することができ、前記制御ユニット(ECU)は、供給電圧入力(IN)及びフィード出力(OUT)、並びに電圧測定手段(S)及びエネルギー貯蔵部(C)を有し、
前記方法が、
前記供給電圧入力(IN)において実際に利用可能な電圧(Vin)を測定するステップ(100)、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)より大きい(200)場合、前記フィード出力(OUT)を介してAC電圧(VAC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動しつつ(300)、前記エネルギー貯蔵部(C)を少なくとも部分的に充電するステップ、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)以下である(200)場合、前記フィード出力(OUT)を介してDC電圧(VDC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動しつつ(400)、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部を前記エネルギー貯蔵部(C)から取り出すステップ
を含み、
前記DC電圧(VDC)が、前記AC電圧(VAC)のピーク値より小さい、方法。
[態様2]
前記参照値(Vref)が、規定電圧(Vspec)より規定電圧(Vspec)の少なくとも半分は小さい、上記態様1に記載の方法。
[態様3]
前記AC電圧の周波数が、25Hzより大きいか、25Hzに等しい、上記態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記AC電圧の周波数が、100Hzより小さいか、100Hzに等しい、上記態様1~3のいずれかに記載の方法。
[態様5]
前記測定するステップ(100)が、前記AC電圧の周期の半分未満を要する、上記態様1~4のいずれかに記載の方法。
[態様6]
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、上記態様1~5のいずれかに記載の方法。
[態様7]
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、上記態様1~6のいずれかに記載の方法。
[態様8]
上記態様1~7のいずれかに記載の方法のうちの1つを実施するための構造(1)であって、前記構造は、
基材(GS1)、
電気光学的機能層(FS1)、
制御ユニット(ECU)
を含み、
前記機能層(FS1)は、前記基材(GS1)に適用されており、前記電気光学的機能層(FS1)は、その透過特性及び/又は反射特性を電場の印加によって変更することができ、
前記制御ユニット(ECU)は、供給電圧入力(IN)及びフィード出力(OUT)、並びに電圧測定手段(S)及びエネルギー貯蔵部(C)を有し、
前記電圧測定手段(S)は、前記供給電圧入力(IN)において実際に利用可能な電圧(Vin)を測定する(100)ように構成されており、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)より大きい(200)場合、前記制御ユニット(ECU)は、前記フィード出力(OUT)を介してAC電圧(VAC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動する(300)ように構成されており、前記エネルギー貯蔵部(C)は、少なくとも部分的に充電されるようになっており、
前記利用可能な電圧(Vin)が参照値(Vref)以下である(200)場合、前記制御ユニット(ECU)は、前記フィード出力(OUT)を介してDC電圧(VDC)で前記電気光学的機能層(FS1)を駆動する(400)ように構成されており、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部は、前記エネルギー貯蔵部(C)から取り出されるようになっており、
前記DC電圧(VDC)は、前記AC電圧(VAC)のピーク値より小さい、構造。
[態様9]
前記所定値(Vref)が、規定電圧(Vin)より規定電圧(Vin)の少なくとも半分は小さい、上記態様8に記載の構造。
[態様10]
前記AC電圧の周波数が、25Hzより大きいか、25Hzに等しい、上記態様8又は9に記載の構造。
[態様11]
前記AC電圧の周波数が、100Hzより小さいか、100Hzに等しい、上記態様8~10のいずれかに記載の構造。
[態様12]
前記電圧測定手段(S)が、前記測定するステップ(100)のために前記AC電圧の周期の半分未満を要する、上記態様8~11のいずれかに記載の構造。
[態様13]
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、0.25秒以上の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、上記態様8~12のいずれかに記載の構造。
[態様14]
前記エネルギー貯蔵部(C)が、充電状態において、1秒以下の期間にわたって、前記電気光学的機能層(FS1)を駆動することを可能にする、上記態様8~13のいずれかに記載の構造。
【符号の説明】
【0085】
参照番号のリスト
1 構造
μC マイクロコントローラ
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
GS1 基材
GS2 基材
ZS 中間層
FS1 電気光学的機能層
ECU 制御ユニット
IN 供給電圧入力
OUT フィード出力
S 電圧測定手段
C エネルギー貯蔵部
Vin 利用可能な電圧
PA ドライバステージ
方法のステップ
100 供給電圧入力(IN)において実際に利用可能な電圧(Vin)を測定すること
200 利用可能な電圧(Vin)と参照値(Vref)とを比較すること
300 フィード出力(OUT)を介してAC電圧(VAC)で電気光学的機能層(FS1)を駆動しつつ、エネルギー貯蔵部(C)を少なくとも部分的に充電すること
400 フィード出力(OUT)を介してDC電圧(VDC)で電気光学的機能層(FS1)を駆動しつつ、駆動のためのエネルギーの少なくとも一部を、エネルギー貯蔵部(C)から取り出すこと
図1
図2
図3
図4