(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0068 20190101AFI20240523BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20240523BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20240523BHJP
F28F 17/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F24F1/0068
F24F13/24 242
F28F21/08 A
F28F17/00 501D
(21)【出願番号】P 2023574631
(86)(22)【出願日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2023030326
【審査請求日】2023-12-04
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】其田 光希
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 仁
(72)【発明者】
【氏名】細井 真太郎
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-086464(JP,A)
【文献】特開平06-194006(JP,A)
【文献】特開2001-349626(JP,A)
【文献】特開2014-119158(JP,A)
【文献】特開2018-115774(JP,A)
【文献】実開昭60-101665(JP,U)
【文献】国際公開第2019/082300(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/053553(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012205058(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0068
F24F 13/24
F28F 21/08
F28F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される伝熱管を有する
室内熱交換器と、
前記伝熱管から流出する冷媒、または、前記伝熱管へ流入する冷媒が通り、少なくとも一部がアルミニウムまたはアルミニウム合金製のアルミ配管で形成される接続配管とを備え、
前記伝熱管に設けられた2つの冷媒出入口それぞれに接続する前記接続配管のうち少なくとも一方の前記アルミ配管の少なくとも一部は、防音材、吸音材、または遮音材で覆われ、
前記アルミ配管と前記防音材、吸音材、または遮音材とを含む合計の重量は、前記アルミ配管を銅で形成したと仮定した場合の重量よりも、重くなるように構成される
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、
前記
室内熱交換器が蒸発器になる際の冷媒出口に接続する前記接続配管のうち、前記アルミ配管であって前記冷媒出口から最も近い曲げ配管は、防音材、吸音材、または遮音材で覆われている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記伝熱管に設けられた2つの冷媒出入口それぞれに接続する前記接続配管の両方の前記アルミ配管の少なくとも一部は、防音材、吸音材、または遮音材で覆われている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項
3に記載の空気調和機において、
前記
室内熱交換器が蒸発器になる際の冷媒出口に接続する前記接続配管のうち前記防音材、吸音材、または遮音材で覆われる部分の前記アルミ配管の長さは、前記
室内熱交換器が蒸発器になる際の冷媒入口に接続する前記接続配管のうち前記防音材、吸音材、または遮音材で覆われる部分の前記アルミ配管の長さよりも長い
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記防音材、前記吸音材、または前記遮音材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりも柔らかい材質であることを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1に記載の空気調和機において、
前記伝熱管と前記接続配管との接続部は、外側面が前記伝熱管の内側面に接する縮管部、または、内側面が前記伝熱管の外側面に接する拡管部であることを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記防音材、吸音材、または遮音材の厚みは、前記アルミ配管の肉厚より厚いことを特徴とする空気調和機。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記防音材、前記吸音材、または前記遮音材の下方に、凝縮水を受け止める露皿を備えていることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機(ルームエアコン)の熱交換器は、銅管の適用が主流である。しかし、近年、室外機の熱交換器にはアルミニウム管の適用が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器と接続配管にアルミニウム管またはアルミニウム合金管を適用したところ、冷媒が流れる音が漏れる問題が発生した。
【0005】
特許文献1には、アルミニウムによって形成された伝熱管と接続配管をロウ付けする際、コストを上げない製造方法に関しては記載されている。しかし、伝熱管と接続配管の中を流れる冷媒によって発生する音の低減については記載がない。
【0006】
そこで、本発明は、アルミニウム管またはアルミニウム合金管を熱交換器及び接続配管の少なくとも一部に適用しても冷媒音を抑制できる空気調和機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される伝熱管を有する室内熱交換器と、前記伝熱管から流出する冷媒、または、前記伝熱管へ流入する冷媒が通り、少なくとも一部がアルミニウムまたはアルミニウム合金製のアルミ配管で形成される接続配管とを備え、前記伝熱管に設けられた2つの冷媒出入口それぞれに接続する前記接続配管のうち少なくとも一方の前記アルミ配管の少なくとも一部は、防音材、吸音材、または遮音材で覆われ、前記アルミ配管と前記防音材、吸音材、または遮音材とを含む合計の重量は、前記アルミ配管を銅で形成したと仮定した場合の重量よりも、重くなるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アルミニウム管またはアルミニウム合金管を熱交換器及び接続配管の少なくとも一部に適用しても冷媒音を抑制できる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の室内ユニットを右上前方から見た際の斜視図。
【
図2】空気調和機の室内ユニットを右前下方から見た場合の斜視図。
【
図3】空気調和機の室内ユニット及び室外機を含む構成図。
【
図7】防音材等を貼った後の室内熱交換器の概略図。
【
図10】第2実施形態の防音材、吸音材、または遮音材を貼った後の室内熱交換器の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
<空気調和機Aの構成>
図1に、本発明の第1実施形態に係る空気調和機Aの室内ユニット1を右上前方から見た際の斜視図を示す。
【0011】
図2に、空気調和機Aの室内ユニット1を右前下方から見た場合の斜視図を示す。
空気調和機Aは、室内の冷房運転や暖房運転等の空気調和を行う機器である。
空気調和機Aは、室内に設置される室内機10(
図1参照)と、屋外に設置される室外機20(
図3参照)とを具備している。
図3に、空気調和機Aの室内ユニット1及び室外機20を含む構成図を示す。
【0012】
図1に示す室内機10は、空調運転を行う室内ユニット1を有している。
【0013】
図3に示す室内ユニット1は、冷媒が循環する接続配管r0を介して、室外機20に接続されている。接続配管r0とは、室内ユニット1内の室内熱交換器15と室外機20の冷媒配管r20を接続する配管をいう。
また、室内ユニット1は、電力線や通信線を介して、室外機20に接続されている。
【0014】
図1に示す室内ユニット1は、外郭を形成するパネル11と、室内の空気の塵埃を除去するフィルタ12とを備えている。
パネル11は、室内熱交換器15(
図3参照)や室内ファン16(
図3参照)等を収容する樹脂製の箱体である。
フィルタ12(
図1参照)は、室内熱交換器15(
図3参照)に向かって流れる空気から塵埃を捕集する。フィルタ12は、室内熱交換器15への空気の流れ方向の上流側の室内ユニット1(
図1参照)の上側および前側に設けられている。
【0015】
また、室内ユニット1は、表示ランプ13(
図2参照)と、上下風向板14(
図2参照)と、室内熱交換器15(
図3参照)と、室内ファン16(
図3参照)とを備えている。
図2に示す表示ランプ13は、室内ユニット1の空調運転の状態等を表示する。
【0016】
上下風向板14は、室内ユニット1から吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する板状部材である。そして、風向板モータ(図示せず)の駆動によって上下風向板14の回動角が変化する。その他、室内ユニット1から吹き出される空気の左右方向の風向きを調整する左右風向板(図示せず)が設けられる場合がある。
【0017】
図3に示す実線矢印は、暖房サイクルにおける冷媒の流れを示している。
図3に示す破線矢印は、冷房サイクルにおける冷媒の流れを示している。
空気調和機Aは、室外機20に設けられる構成として、圧縮機21と、室外熱交換器22と、室外ファン23と、膨張弁24と、四方弁25とを備えている。また、空気調和機Aは、室内ユニット1に設けられる構成として、室内熱交換器15と、室内ファン16とを備えている。
【0018】
圧縮機21は、低温・低圧のガス冷媒を圧縮し、高温・高圧のガス冷媒として吐出する機器である。なお、
図3では図示を省略しているが、冷媒を気液分離するアキュムレータが圧縮機21の吸込側に設けられている。
【0019】
室外熱交換器22は、その伝熱管(図示せず)を流れる冷媒と、外気との間で熱交換が行われる熱交換器である。
図3に示す室外ファン23は、室外熱交換器22に外気を送り込むファンである。室外ファン23は、室外ファンモータ23aを駆動源とし、室外熱交換器22の近くに設置されている。
膨張弁24は、「凝縮器」(室外熱交換器22及び室内熱交換器15の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁である。なお、膨張弁24で減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器22及び室内熱交換器15の他方)に送られる。なお、蒸発器の出口の冷媒はガス又はガスの割合が多いので、流速が速い現象がある。例えば、室内熱交換器15が蒸発器となる場合、室内熱交換器15の出口の冷媒はガス又はガスの割合が多く、室内熱交換器15の出口の流速が速い。
【0020】
図4に、室内熱交換器15の概略図を示す。
室内熱交換器15は、その伝熱管r1を流れる冷媒と室内空気との間で熱交換が行われる機器である。室内ファン16は、室内熱交換器15に室内空気を送り込むファンである。室内ファン16は、室内ファンモータ16aが駆動源であり、室内熱交換器15の近くに設置されている。
【0021】
四方弁25は、空気調和機Aの運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える。例えば、
図3の破線矢印で示す冷房運転時には、冷媒回路Q1において、圧縮機21、室外熱交換器22(凝縮器)、膨張弁24、及び室内熱交換器15(蒸発器)を順次、冷媒が循環する。また、
図3の実線矢印で示す暖房運転時には、冷媒回路Q1において、圧縮機21、室内熱交換器15(凝縮器)、膨張弁24、及び室外熱交換器22(蒸発器)を順次、冷媒が循環する。
【0022】
<室内熱交換器15>
図5に、
図4のI部拡大断面図を示す。
室内熱交換器15は、伝熱管r1と伝熱管r1に形成されるフィン27(
図5参照)とを有している。伝熱管r1はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。伝熱管r1には、熱交換される冷媒が流れる。フィン27は、熱交換面積を広げる部材である。
熱交換を担う伝熱管r1に接続配管r0を接続する際、接続配管r0の径を小さく縮管して縮管部r01を伝熱管r1に挿入することが考えれる。ここで、アルミニウム管(アルミニウム合金管)は、銅管よりも強度が低いために銅管よりも肉厚を大きくとることが考えられる。アルミニウム管を室内機10の室内熱交換器15に適用した場合、銅管の場合よりも伝熱管r1の内径s1と接続配管の縮管部の内径s2との比率である内径比率s2/s1が増大することが考えれる。これにより、圧力損失が増大し、冷媒音が大きくなる。室内機10は、生活スペースのような静かな空間で使用される。そのため、室内機10の室内熱交換機15にアルミニウム管を適用すると、冷媒音が生活スペースに漏れるおそれがある。
【0023】
伝熱管r1には隣接して、強度部材であるプレート28が設けられている。伝熱管r1はプレート28に支持されている。
室内熱交換器15の伝熱管r1には、冷媒回路Q1(
図3参照)を冷媒が移動するための接続配管r0が接続されている。
【0024】
図5に示すように、接続配管r0は、縮管された縮管部r01を有している。
接続配管r0は、接続配管r0の折れ防止のため、プレート28の奥の伝熱管r1まで挿入されている。つまり、接続配管r0の外側面r0aが伝熱管r1の内側面r1aに接している。接続配管r0が縮管部r01を有し、接続配管r0の外側面r0aが伝熱管r1の内側面r1aに接することで、接続配管r0をプレート28の奥の伝熱管r1まで挿入でき確実に固定され、接続配管r0が折れるのを抑制できる。
ここで、伝熱管r1の内径s1(
図5参照)とし、接続配管r01の内径s2とすると、アルミニウム管の接続配管r0は強度が低いことから、肉厚が銅管の場合より厚く形成されている。
【0025】
そのため、伝熱管r1と接続配管r0とも銅管の場合に比較し、伝熱管r1と接続配管r0とがアルミニウム管の場合、伝熱管r1の内径s1と接続配管r01の内径s2との差s9が大きい。
すなわち、s1/s2=s9 が大となっている。
【0026】
<急縮小管K1>
以下、
図6に示す急縮小管K1の流れについて説明する。
図6に、急縮小管K1の流れの模式図を示す。なお、
図6では、急縮小管K1の流れの現象を過大に強調して表現している。
断面積A11の太い管k11から、断面積A12の細い管k12に流路が変化する。
詳細には、太い管k11の流れ(
図6の矢印α11)から、細い管k12の流れ(
図6の矢印α13)に流れが急変する。
【0027】
太い管k11の流れ(
図6の矢印α11)から、細い管k12の流れ(
図6の矢印α13)に流れが急変する過程で、渦が発生し(
図6の矢印α12)エネルギの損失、言い換えると圧力損失が生じる。
【0028】
前記したように、銅管からアルミニウムまたはアルミニウム合金の管にした場合、アルミニウム管は強度が低いことから厚さを厚くする。そのため、断面積比率A12/A11が大きくなる。すると、渦の発生が大きくなる。つまり、アルミニウム管に変更することで、圧力損失が増加する。
そのため、アルミニウムまたはアルミニウム合金の接続配管r0は銅管よりも圧力損失で失われるエネルギが引き起こす接続配管r0の振動が大きくなり、騒音つまり冷媒音が増大する。
【0029】
<防音材、吸音材、または遮音材19a、19b、19cと室内熱交換器15>
【0030】
図7に、防音材、吸音材、または遮音材19a、19b、19cを貼った後の室内熱交換器15の概略図を示す。以下、防音材、吸音材、または遮音材19a、19b、19cを防音材等19a、19b、19cと称す。
そこで、アルミニウムまたはアルミニウム合金の接続配管r0に生じる渦によって発生する音を低減するため、下記の構成を有している。すなわち、縮管されている接続配管r0の音が発生する箇所r01、r02に防音材等19a、19bを貼っている。
前記したように、蒸発器となる室内熱交換器15の出口の冷媒はガス又はガスの割合が多いので、流速が速い。そのため、蒸発器となる室内熱交換器15の出口の縮管部r01(
図5参照)から離れた位置の接続配管r0からも騒音が発生する。
そこで、室内熱交換器15が蒸発器になる際の冷媒出口に接続する接続配管r0のうち防音材、吸音材、または遮音材(19a、19bの何れか一方)で覆われる部分の接続配管r0のアルミ配管の長さは、室内熱交換器15が蒸発器になる際の冷媒入口に接続する接続配管r0のうち防音材、吸音材、または遮音材(19a、19bの何れか他方)で覆われる部分の接続配管r0のアルミ配管の長さよりも長くしている。これにより、室内熱交換器15が蒸発器になる際の冷媒出口に接続する接続配管r0の騒音が低減される。
その他、
図7に示す室内熱交換器15の伝熱管r1の冷媒出入口(
図5に示す伝熱管r1と接続配管r0との接続箇所)に最も近い曲げ配管の箇所r03からも振動が伝わって騒音が発生する。
そこで、渦の発生箇所から近く、振動が伝わって音が発生する箇所r03にも、防音材等19cを貼っている。防音材等19cにより、振動が伝わって音が発生する箇所r0の騒音が低減される。
すなわち、
図7に示す伝熱管r1に設けられた2つの冷媒出入
口それぞれに接続する接続配管r0のうち少なくとも一方のアルミ配管の接続配管r0のうち冷媒出入口から最も近い曲げ配管(r03)は、防音材、吸音材、または遮音材
19a、19bで覆われている。
【0031】
防音材等19a、19b、19cは、ゴム、例えばブチルゴムで形成されている。例えば、ブチルゴム(防音材等19a、19b、19c)の肉厚3mmであり、接続配管r0を形成するアルミ配管の肉厚1mmである。ブチルゴム(防音材等19a、19b、19c)の肉厚がアルミ配管の肉厚より厚いことで防音効果が高まる。
なお、防音材等19a、19b、19cは、ブチルゴム以外のものを採用してもよい。
防音材等19a、19b、19cは、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりも柔らかい材質である。なぜなら、防音材等19a、19b、19cは、ある程度柔らかくないと接続配管r0を覆うことはできないからである。
防音材等19a、19b、19cを貼ることで、冷媒による音が遮音される。例えば、接続配管r0の縮管部r01、r02の少なくとも一部を防音材等19a、19bで覆う。
【0032】
防音材等19a、19b、19cで接続配管r0を覆うことで、接続配管r0が振動して生じる音を遮断する。また、接続配管r0の重量を増加させ、接続配管の振動を抑えられることにより、部屋に響く音を抑制できる。
また、防音材等19a、19b、19cにより接続配管r0の重量を増加させ、接続配管r0の振動を抑えられる。これにより、部屋に響く音を抑制できる。例えば、アルミまたはアルミニウム合金によって形成された接続配管r0および防音材等19a,19b,19cの合計重量が銅によって形成された接続配管r0の重量と同等または重くなるような防音材等19a、19b、19cを重りを付けて構成する。
【0033】
<凝縮水>
また、縮管部r01、r02、曲げ配管の箇所r03に貼った防音材等19a、19b、19cは断熱効果が小さく、縮管部r01,r02,曲げ配管の箇所r03は周囲温度と差が大きく、防音材等19a,19b,19cに凝縮水が生じる。
そのため、
図7に示すように、防音材等19a、19b、19cが全て収まるような下方の位置に、凝縮水を受け止める露皿30を備えている。換言すれば、凝縮水を受け止める露皿30の垂直上方向の範囲内に、防音材等19a、19b、19cが位置している。これにより、防音材等19a、19b、19cに生じる凝縮水を露皿30で受け止めることができる。
【0034】
≪第2実施形態≫
図8に、第2実施形態の急拡大管K2の流れの模式図を示す。なお、
図8では、急拡大管K2の流れの現象を過大に強調して表現している。
第1実施形態では、接続配管r0が急縮小管K1(
図6参照)の場合を説明したが、第2実施形態では、接続配管r2(
図10参照)が急拡大管K2(
図8参照)の場合を説明する。
【0035】
<急拡大管K2>
急拡大管K2では、断面積A21の細い管k21から、断面積A22の太い管k22に流路が変化する。
詳細には、細い管k21の流れ(
図8の矢印α21)から、太い管k22の流れ(
図8の矢印α23)に流れが急変する。
そして、細い管k21の流れ(
図8の矢印α21)から、太い管k22の流れ(
図8の矢印α23)に流れが急変する過程で、渦が発生し(
図8の矢印α22)、損失が生じる。
【0036】
第1実施形態と同様、伝熱管r1と接続配管r2とを、銅管からアルミニウム管に変更するとアルミニウム管は強度が低いことから厚さを厚くする必要がある。厚さが厚いと断面積比率A22/A21が大きく、渦の発生が大きく、渦による音が大きくなる。つまり、伝熱管r1と接続配管r2とを、アルミニウムまたはアルミニウム合金の管に変更することで、圧損が増加する。
【0037】
図9に、第2実施形態の
図4のI部拡大断面相当図を示す。
第2実施形態は、第1実施形態の接続配管r0(
図5参照)の縮管部r01に代えて、接続配管r2が拡管部r2aを有する構成とした場合である。
室内熱交換器15の伝熱管r1には、冷媒が移動するための接続配管r2が接続されている。
接続配管r2は、拡管された拡管部r2aを有している。接続配管r2は、接続配管r2の折れ防止のため、伝熱管r1に深く挿入されている。つまり、接続配管r2は内側面r2bが伝熱管r1の外側面r1bに接する拡管部r2aを有している。
接続配管r2が拡管部r2aを有し、接続配管r2の内側面r2bが伝熱管r1の外側面r1bに接することで、接続配管r2を伝熱管r1に確実に固定できる。
【0038】
ここで、アルミニウム管の伝熱管r1の内径s1とし、アルミニウム管の接続配管r2の内径s3とすると、アルミニウム管の伝熱管r1は強度が低いため、肉厚が厚くなっている。
そのため、伝熱管r1と接続配管r2とも銅管の場合に比較し、アルミニウム管の接続配管r2の内径s3とアルミニウム管の伝熱管r1の内径s1との差s10が大きい。
すなわち、 s3/s1=s10 が大である。
【0039】
そのため、断面比率A32/A31が大きい。すると、渦の発生が大きく、渦によって発生する音が大きくなる。
図10に、第2実施形態の防音材等(防音材、吸音材、または遮音材)29a、29b、29cを貼った後の室内熱交換器15の概略図を示す。
第2実施形態においても、上述の渦によって発生する音を低減するため、拡管されている接続配管r2の音が発生する箇所r21、r22に防音材等29a、29bを貼っている。例えば、接続配管r2の拡管部r2aの少なくとも一部を防音材等29a、29bで覆う。
【0040】
その他、渦の発生箇所から近く、振動が伝わって音が発生する箇所r23にも、防音材等29cを貼っている。防音材等29a、29b、29cを貼ることで、冷媒による音が遮音される。
第1実施形態と同様、防音材等29a、29b、29cは、ゴム、例えばブチルゴムで形成されている。防音材等29a、29b、29cは、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりも柔らかい材質である。
また、
図10に示す防音材等29a、29b、29cは断熱効果が小さく、箇所r21,r22,r23は周囲温度と差が大きく、防音材29a、29b、29cに凝縮水が生じる。
【0041】
そのため、防音材等29a、29b、29cが全て収まる下方の位置に、凝縮水を受け止める露皿31を備えている。換言すれば、凝縮水を受け止める露皿31の垂直上方向の範囲内に、防音材等29a、29b、29cが位置している。これにより、防音材等29a、29b、29cに生じる凝縮水を露皿31で受け止めることができる。
なお、前記第1、第2実施形態では、室内ユニット1の室内熱交換器15に本発明を適用した場合を示したが、本発明を室外機20の室外熱交換器22(
図3参照)に適用してもよい。この場合、室外熱交換器22に接続される冷媒配管r20が接続配管に相当する。
【0042】
また、前記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0043】
15 室内熱交換器
19a~19c、29a~29c 防音材、吸音材、または遮音材
30、31 露皿
A 空気調和機
r0、r2 接続配管
r01、r02 縮管部(冷媒出入口)
r0a 接続配管の外側面
r1 伝熱管
r1a 伝熱管の内側面
r1b 伝熱管の外側面
r2a 拡管部
r2b 接続配管の内側面
【要約】
本発明の空気調和機(A)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される伝熱管(r1)を有する熱交換器(15)と、伝熱管(r1)から流出する冷媒、または、伝熱管(r1)かへ流入する冷媒が通り、少なくとも一部がアルミニウムまたはアルミニウム合金製のアルミ配管で形成される接続配管(r0)とを備え、伝熱管(r1)に設けられた2つの冷媒出入口それぞれに接続する接続配管(r0)のうち少なくとも一方のアルミ配管の少なくとも一部は、防音材、吸音材、または遮音材(19a、19b)で覆われている。