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特許7493142薬剤鑑査支援装置、薬剤鑑査支援システム及び薬剤鑑査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】薬剤鑑査支援装置、薬剤鑑査支援システム及び薬剤鑑査方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021524894
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2020022064
(87)【国際公開番号】W WO2020246534
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019107302
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】湯山 裕之
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047295(WO,A1)
【文献】特開2013-048705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤収集装置及び/又は手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置において、
複数の薬剤鑑査手段を有し、
精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施可能であり、
第一情報と第二情報を取得する情報取得手段を有し、
前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、
前記第二情報は、薬剤の収集に関与した作業者に関する情報であり、
前記第一情報及び前記第二情報に基づいて、前記複数の薬剤鑑査プランの中から特定の薬剤鑑査プランを選定するプラン選定手段を有し、
前記プラン選定手段で選定された前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されるものであり、
画像を利用して実施する鑑査に加えて薬剤の数を計数する計数鑑査を実施可能であり、
前記薬剤収集装置は複数の薬剤カセットが装着され、当該薬剤カセットの内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しており、
前記薬剤カセットには薬剤を投入する薬剤投入部があり、当該薬剤投入部を施錠することができるものがあり、
前記プラン選定手段は、収集された全ての薬剤が、薬剤投入部を施錠することができる薬剤カセットから供給されたものであることを条件の一つして、画像を利用して実施する鑑査を略して計数鑑査のみを実施する薬剤鑑査プランを選定することを特徴とする薬剤鑑査支援装置。
【請求項2】
前記薬剤収集装置は、内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有するものであり、前記第二情報には、前記薬剤収集装置に薬剤を収容する作業に従事した作業者に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の薬剤鑑査支援装置。
【請求項3】
前記第二情報には次の情報(A1)と(A2)の少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤鑑査支援装置。
(A1)公的資格の有無。
(A2)経験の多寡。
【請求項4】
薬剤収集装置及び/又は手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置において、
複数の薬剤鑑査手段を有し、
精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施可能であり、
第一情報を取得する情報取得手段を有し、
前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、
前記第一情報に基づいて、前記複数の薬剤鑑査プランの中から特定の薬剤鑑査プランを選定するプラン選定手段を有し、
前記プラン選定手段で選定された前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されるものであり、
画像を利用して実施する鑑査に加えて薬剤の数を計数する計数鑑査を実施可能であり、
前記薬剤収集装置は複数の薬剤カセットが装着され、当該薬剤カセットの内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しており、
前記薬剤カセットには薬剤を投入する薬剤投入部があり、当該薬剤投入部を施錠することができるものがあり、
前記プラン選定手段は、収集された全ての薬剤が、薬剤投入部を施錠することができる薬剤カセットから供給されたものであることを条件の一つして、画像を利用して実施する鑑査を略して計数鑑査のみを実施する薬剤鑑査プランを選定することを特徴とする薬剤鑑査支援装置。
【請求項5】
前記第一情報には次の情報(B1)が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置。
(B1)収集された全ての薬剤が薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しているか否か。
【請求項6】
前記第一情報には次の情報(C1)が含まれることを特徴とする請求項5に記載の薬剤鑑査支援装置。
(C1)前記収集された全ての薬剤が前記薬剤収集装置に収容されていたものであるか否か。
【請求項7】
前記第一情報には次の情報(D1)が含まれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置。
(D1)収集された薬剤の少なくとも一部が薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は手蒔き部を有し、当該手蒔き部は複数の薬剤投入部を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を当該薬剤投入部に投入するものであり、
収集された薬剤の少なくとも一部が前記手蒔き部を経由して収集されたものであるか否か。
【請求項8】
収集された薬剤が薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、
前記薬剤収集装置は手蒔き部と、複数の薬剤カセット装着部があり、
前記手蒔き部は、複数の薬剤投入部を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を当該薬剤投入部に投入するものであり、
前記薬剤カセット装着部には少なくとも二種類の薬剤カセットが装着され、少なくとも一種類の薬剤カセットは、特定の薬剤専用に使用される固定カセットであり、少なくとも他の一種類の薬剤カセットは、複数種類の薬剤に対して使用される汎用カセットであり、
前記第一情報には次の(E1)~(G1)の区別が含まれることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置。
(E1)収集された薬剤の全てが固定カセットに収容されていた薬剤である。
(F1)収集された薬剤の一部又は全部が汎用カセットを経由するものであり、他の全ては固定カセットに収容されていた薬剤である。
(G1)収集された薬剤の一部又は全部が手蒔き部を経由するものである。
【請求項9】
前記第一情報には次の要件(H1)を具備するか否かの情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置。
(H1)薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は複数の薬剤カセットが装着され、当該薬剤カセットの内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有している。
【請求項10】
前記第一情報には次の情報(I1)が含まれることを特徴とする請求項8又は9に記載の薬剤鑑査支援装置。
(I1)前記薬剤カセットの構造別区分
【請求項11】
前記薬剤カセットは、薬剤を投入する薬剤投入部があり、当該薬剤投入部を施錠することができるものとできないものがあることが、前記構造別区分に含まれることを特徴とする請求項10に記載の薬剤鑑査支援装置。
【請求項12】
適応可能な薬剤の種類が多いものと少ないものがあることが、前記構造別区分に含まれることを特徴とする請求項10又は11に記載の薬剤鑑査支援装置。
【請求項13】
前記第一情報には次の情報(J1)が含まれることを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置。
(J1)前記薬剤カセットの用途別区分
【請求項14】
前記薬剤カセットには特定の薬剤専用に使用される固定カセットと、複数種類の薬剤に対して使用される汎用カセットがあることが、前記用途別区分に含まれることを特徴とする請求項13に記載の薬剤鑑査支援装置。
【請求項15】
前記情報取得手段によって取得された情報が特定の具体的情報を含み、当該情報に基づいて特定の薬剤鑑査プランが選定されて当該薬剤鑑査プランが実施され、
その後、前記具体的情報を含む情報によって前記と同じ薬剤鑑査プランが複数回選定されて当該薬剤鑑査プランが複数回実施された結果、全ての実施回において収集された薬剤に誤りが無かったことを条件として、薬剤鑑査プランの精度を下方修正するプラン変更制御が実施されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の薬剤鑑査支援装置と、薬剤収集装置とを有する薬剤鑑査支援システムであって、
前記薬剤収集装置は手蒔き部と、複数の薬剤カセット装着部があり、
前記手蒔き部は、複数の薬剤投入部を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を当該薬剤投入部に投入するものであり、
前記薬剤カセット装着部には少なくとも二種類の薬剤カセットが装着され、少なくとも一種類の薬剤カセットは、特定の薬剤専用に使用される固定カセットであり、少なくとも他の一種類の薬剤カセットは、複数種類の薬剤に対して使用される汎用カセットであることを特徴とする薬剤鑑査支援システム。
【請求項17】
薬剤鑑査支援装置を使用して薬剤収集装置及び/又は作業者の手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査方法において、
前記薬剤鑑査支援装置は、複数の薬剤鑑査手段を有し、精度の異なる薬剤鑑査プランを実施可能であり、
第一情報及び前記第二情報に基づいて、前記薬剤鑑査プランを選定し、
前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されるものであり、
前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、
前記第二情報は、薬剤の収集に関与した作業者に関する情報であり、
原則的に画像を利用して実施する鑑査に加えて薬剤の数を計数する計数鑑査を実施する薬剤鑑査プランを選定し、
前記薬剤収集装置は複数の薬剤カセットが装着され、当該薬剤カセットの内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しており、
前記薬剤カセットには薬剤を投入する薬剤投入部があり、当該薬剤投入部を施錠することができるものがあり、
収集された全ての薬剤が、薬剤投入部を施錠することができる薬剤カセットから供給されたものであることを条件の一つして、画像を利用して実施する鑑査を略して計数鑑査のみを実施する薬剤鑑査プランを選定することを特徴とする薬剤鑑査支援方法。
【請求項18】
薬剤収集装置及び/又は手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置において、
複数の薬剤鑑査手段を有し、
精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施可能であり、
第一情報と第二情報を取得する情報取得手段を有し、
前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、
前記第二情報は、薬剤の収集に関与した作業者に関する情報であり、
前記第一情報及び前記第二情報に基づいて、前記複数の薬剤鑑査プランの中から特定の薬剤鑑査プランを選定するプラン選定手段を有し、
前記プラン選定手段で選定された前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されるものであり、
前記情報取得手段によって取得された情報が特定の具体的情報を含み、当該情報に基づいて特定の薬剤鑑査プランが選定されて当該薬剤鑑査プランが実施され、
その後、前記具体的情報を含む情報によって前記と同じ薬剤鑑査プランが複数回選定されて当該薬剤鑑査プランが複数回実施された結果、全ての実施回において収集された薬剤に誤りが無かったことを条件として、薬剤鑑査プランの精度を下方修正するプラン変更制御が実施されることを特徴とする薬剤鑑査支援装置。
【請求項19】
薬剤収集装置及び/又は手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置において、
複数の薬剤鑑査手段を有し、
精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施可能であり、
第一情報を取得する情報取得手段を有し、
前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、
前記第一情報に基づいて、前記複数の薬剤鑑査プランの中から特定の薬剤鑑査プランを選定するプラン選定手段を有し、
前記プラン選定手段で選定された前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されるものであり、
前記情報取得手段によって取得された情報が特定の具体的情報を含み、当該情報に基づいて特定の薬剤鑑査プランが選定されて当該薬剤鑑査プランが実施され、
その後、前記具体的情報を含む情報によって前記と同じ薬剤鑑査プランが複数回選定されて当該薬剤鑑査プランが複数回実施された結果、全ての実施回において収集された薬剤に誤りが無かったことを条件として、薬剤鑑査プランの精度を下方修正するプラン変更制御が実施されることを特徴とする薬剤鑑査支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤が処方通りに集められているかを鑑査する際に使用される薬剤鑑査支援装置に関するものである。また本発明は、薬剤鑑査支援装置と薬剤収集装置を備えた薬剤鑑査支援システムに関するものである。また本発明は、薬剤鑑査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局等では、医師が発行した処方箋に基づいて薬剤を取り集め、処方通りに取り集めができているかを鑑査した後、患者等に提供される。
特許文献1には、薬剤師が行う鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置が開示されている。
【0003】
また特許文献1には、薬剤分包装置が開示されている。薬剤分包装置は、複数の薬剤カセットが収容されており、当該薬剤カセットから所定量の固形剤が自動的に排出される。薬剤分包装置は薬剤包装装置を有し、薬剤カセットから排出された薬剤が一服用分ずつ包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2014/129526号公報
【文献】WO2016/47569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤師の鑑査業務は、患者等に薬剤を提供する最終確認業務であり、一連の調剤行為の中で最も需要であり、慎重を要する業務である。
その一方で、薬剤鑑査は手間の掛かる作業である。
例えば特許文献1に開示された様な薬剤鑑査支援装置を使用しても、鑑査を終えるには相当の時間が掛かる。
本発明は上記した問題に注目し、鑑査の精度を維持しつつ、鑑査に要する時間を短縮することができる薬剤鑑査支援装置を開発することを課題とするものである。また本発明は、同様の課題を解決する薬剤鑑査支援システム及び薬剤鑑査方法を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための態様は、薬剤収集装置及び/又は手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置において、複数の薬剤鑑査手段を有し、精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施可能であり、第一情報と第二情報を取得する情報取得手段を有し、前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、前記第二情報は、薬剤の収集に関与した作業者に関する情報であり、前記第一情報及び前記第二情報に基づいて、前記複数の薬剤鑑査プランの中から特定の薬剤鑑査プランを選定するプラン選定手段を有し、前記プラン選定手段で選定された前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されることを特徴とする薬剤鑑査支援装置である。
【0007】
薬剤鑑査プランは、使用すべき薬剤鑑査手段を選定したものである。薬剤鑑査プランには使用すべき薬剤鑑査手段が一つである場合もあれば複数である場合もある。
薬剤鑑査プランを実施するとは、薬剤鑑査プランに含まれる薬剤鑑査手段を使用して鑑査を行うことを意味している。
プラン選定に際しては、第一情報と第二情報以外の情報が加味されてもよい。
【0008】
上記した態様において、前記薬剤収集装置は、内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有するものであり、前記第二情報には、前記薬剤収集装置に薬剤を収容する作業に従事した作業者に関する情報が含まれることが望ましい。
【0009】
上記した各態様において、前記第二情報には次の情報(A1)と(A2)の少なくとも1つが含まれることが望ましい。
(A1)公的資格の有無。
(A2)経験の多寡。
【0010】
また同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、薬剤収集装置及び/又は手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査支援装置において、複数の薬剤鑑査手段を有し、精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施可能であり、第一情報を取得する情報取得手段を有し、前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、前記第一情報に基づいて、前記複数の薬剤鑑査プランの中から特定の薬剤鑑査プランを選定するプラン選定手段を有し、前記プラン選定手段で選定された前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されることを特徴とする薬剤鑑査支援装置である。
【0011】
プラン選定に際しては、第一情報以外の情報が加味されてもよい。
【0012】
上記した各態様において、前記第一情報には次の情報(B1)が含まれることが望ましい。
(B1)収集された全ての薬剤が薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しているか否か。
【0013】
上記した各態様において、前記第一情報には次の情報(C1)が含まれることが望ましい。
(C1)前記収集された全ての薬剤が前記薬剤収集装置に収容されていたものであるか否か。
【0014】
上記した各態様において、前記第一情報には次の情報(D1)が含まれることが望ましい。
(D1)収集された薬剤の少なくとも一部が薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は手蒔き部を有し、当該手蒔き部は複数の薬剤投入部を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を当該薬剤投入部に投入するものであり、収集された薬剤の少なくとも一部が前記手蒔き部を経由して収集されたものであるか否か。
【0015】
上記した各態様において、収集された薬剤が薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は手蒔き部と、複数の薬剤カセット装着部があり、前記手蒔き部は、複数の薬剤投入部を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を当該薬剤投入部に投入するものであり、前記薬剤カセット装着部には少なくとも二種類の薬剤カセットが装着され、少なくとも一種類の薬剤カセットは、特定の薬剤専用に使用される固定カセットであり、少なくとも他の一種類の薬剤カセットは、複数種類の薬剤に対して使用される汎用カセットであり、前記第一情報には次の(E1)~(G1)の区別が含まれることが望ましい。
(E1)収集された薬剤の全てが固定カセットに収容されていた薬剤である。
(F1)収集された薬剤の一部又は全部が汎用カセットを経由するものであり、他の全ては固定カセットに収容されていた薬剤である。
(G1)収集された薬剤の一部又は全部が手蒔き部を経由するものである。
【0016】
上記した各態様において、前記第一情報には次の要件(H1)を具備するか否かの情報が含まれることが望ましい。
(H1)薬剤収集装置を使用して収集されたものであり、前記薬剤収集装置は複数の薬剤カセットが装着され、当該薬剤カセットの内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有している。
【0017】
上記した態様において、前記第一情報には次の情報(I1)が含まれることが望ましい。
(I1)前記薬剤カセットの構造別区分
【0018】
上記した態様において、前記薬剤カセットは、薬剤を投入する薬剤投入部があり、当該薬剤投入部を施錠することができるものとできないものがあることが、前記構造別区分に含まれることが望ましい。
【0019】
上記した各態様において、適応可能な薬剤の種類が多いものと少ないものがあることが、前記構造別区分に含まれることが望ましい。
【0020】
上記した各態様において、前記第一情報には次の情報(J1)が含まれることが望ましい。
(J1)前記薬剤カセットの用途別区分
【0021】
上記した態様において、薬剤カセットには特定の薬剤専用に使用される固定カセットと、複数種類の薬剤に対して使用される汎用カセットがあることが、前記用途別区分に含まれることが望ましい。
【0022】
上記した各態様において、前記第一情報及び/又は前記第二情報が特定の具体的情報を含み、当該第一情報及び/又は当該第二情報に基づいて特定の薬剤鑑査プランが選定されて当該薬剤鑑査プランが実施され、その後、前記具体的情報を含む前記第一情報及び/又は前記第二情報によって前記と同じ薬剤鑑査プランが複数回選定されて当該薬剤鑑査プランが複数回実施された結果、全ての実施回において収集された薬剤に誤りが無かったことを条件として、薬剤鑑査プランの精度を下方修正するプラン変更制御が実施されることが望ましい。
上記した各態様において、前記情報取得手段によって取得された情報が特定の具体的情報を含み、当該情報に基づいて特定の薬剤鑑査プランが選定されて当該薬剤鑑査プランが実施され、その後、前記具体的情報を含む情報によって前記と同じ薬剤鑑査プランが複数回選定されて当該薬剤鑑査プランが複数回実施された結果、全ての実施回において収集された薬剤に誤りが無かったことを条件として、薬剤鑑査プランの精度を下方修正するプラン変更制御が実施されることが望ましい。
【0023】
薬剤鑑査支援システムに関する態様は、上記した各態様の薬剤鑑査支援装置と、薬剤収集装置とを有する薬剤鑑査支援システムであって、前記薬剤収集装置は手蒔き部と、複数の薬剤カセット装着部があり、前記手蒔き部は、複数の薬剤投入部を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を当該薬剤投入部に投入するものであり、前記薬剤カセット装着部には少なくとも二種類の薬剤カセットが装着され、少なくとも一種類の薬剤カセットは、特定の薬剤専用に使用される固定カセットであり、少なくとも他の一種類の薬剤カセットは、複数種類の薬剤に対して使用される汎用カセットであることが望ましい。
【0024】
薬剤鑑査方法についての態様は、薬剤鑑査支援装置を使用して薬剤収集装置及び/又は作業者の手作業によって収集された薬剤の鑑査を支援する薬剤鑑査方法において、前記薬剤鑑査支援装置は、複数の薬剤鑑査手段を有し、精度の異なる薬剤鑑査プランを実施可能であり、第一情報及び前記第二情報に基づいて、前記薬剤鑑査プランを選定し、前記薬剤鑑査プランに従って、1又は複数の前記薬剤鑑査手段による鑑査が実施されるものであり、前記第一情報は、薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する情報であり、前記第二情報は、薬剤の収集に関与した作業者に関する情報であることを特徴とする薬剤鑑査方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の薬剤鑑査支援装置等を使用すると、鑑査の精度を維持しつつ、鑑査に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態の薬剤鑑査支援システムの正面図である。
図2】A形カセット(固定カセツト)の断面図である。
図3】B形カセット(汎用カセット)の斜視図である。
図4】手蒔き部の斜視図である。
図5】薬剤カセットに内蔵された蓋ロック手段を概念的に表した説明図であり、蓋ロック手段が施錠状態である場合を示す。
図6】薬剤カセットに内蔵された蓋ロック手段を概念的に表した説明図であり、蓋ロック手段が開錠状態である場合を示す。
図7】カセット載置部の斜視図である。
図8】カセット載置部に薬剤カセットを装着した状態における両者の関係を示す説明図である。
図9】薬剤鑑査支援装置の内部を示す概略図である。
図10】薬剤鑑査支援装置の制御装置のブロック図である。
図11】薬剤鑑査プランの選定表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。本実施形態の薬剤鑑査支援システム1は、薬剤払出し装置(薬剤収集装置)2と、薬剤鑑査支援装置3によって構成されている。
薬剤払出し装置2は、大きくカセット装着部5と、手蒔き部6と、薬剤包装部8に分かれている。
またカセット装着部5には、固定カセット装着領域10と、汎用カセット装着領域11がある。
固定カセット装着領域10には、A形カセット(固定カセット)13が装着されている。また汎用カセット装着領域11にはB形カセット(汎用カセット)15が装着されている。
【0028】
薬剤払出し装置2では、複数種類の薬剤カセットが使用されている。
薬剤カセットは、構造上、A形カセット13と、B形カセット15に区分される。また可変形Aカセットも使用可能である。
さらに薬剤カセットは、構造上、施錠機能を有するものと施錠機能を有しないものがある。
また薬剤カセットは、用途上、固定カセットと汎用カセットに区分される。A形カセット13は、固定カセットとしてのみ使用可能である。B形カセット15は、主として汎用カセットとして使用されるが、固定カセットとして使用することも可能である。
半可変A形カセットは、主として固定カセットとして使用されるが、汎用カセットとして使用することも可能である。
【0029】
A形カセット13及びB形カセット15は、図2図3の様にいずれも錠剤やカプセル等の固形薬剤を多数収容することができる薬剤収容部16、17を有している。
A形カセット13及びB形カセット15は、いずれも薬剤収容部16、17内の薬剤を一個ずつ排出させる機能を有している。
また薬剤払出し装置2は、図示しない計数手段を有し、A形カセット13及びB形カセット15から排出された固形薬剤の数を数えることができる。
A形カセット13及びB形カセット15から排出された薬剤は、裏面に設けられた薬剤払出し通路(図示せず)を落下し、下部の薬剤包装部8に送られる。そして薬剤包装部8で一服用分ずつ包装される。
【0030】
A形カセット13とB形カセット15は、構造が異なり機能も相違する。また本実施形態では、A形カセット13とB形カセット15は、用途も異なる。
A形カセット13は、図2の様に薬剤収容部16内にロータ22が内蔵されている。そしてロータ22には、錠剤を収容する縦溝状のポケット21が形成されている。
モータ23で薬剤収容部16内のロータ22を回転させることによって薬剤収容部16内の薬剤が一個ずつ排出される。
【0031】
A形カセット13は、ロータ22に形成されたポケット21が払出し経路の一部となり、ポケット21に薬剤を落とし込んで薬剤排出口18から薬剤を排出する。A形カセット13は、払出し経路固定形のカセットとも言え、原則的にはポケット(払出し経路)21の大きさを変更することができない。そのため排出可能な薬剤の大きさは、ポケット21の大きさに依存する。
そのためA形カセット13は、一定範囲の大きさや形状の固形薬剤に限って排出することができる。
なお半可変A形カセット(図示せず)は、ポケット21や薬剤排出口18等の大きさを変えることができる様に改造したものである。半可変A形カセットは、払出し経路半可変形のカセットとも言える。
【0032】
一方、B形カセット15は、図3の様に多数の錠剤が収容される薬剤収容部17と薬剤収容部内に内側回転体25と外側回転体26を有している。
B形カセット15は、各種の形状や構造の錠剤やカプセル剤に対応し、これらを一個ずつ又は複数個ずつ排出することができるものである。
【0033】
内側回転体25は、図示しないモータによって回転する。また内側回転体25は、昇降して薬剤を外側回転体26に受け渡す。
【0034】
外側回転体26は、薬剤収容部17の上部側にある。前記した内側回転体25の上端部は、外側回転体26と同一水平面上に位置している。
外側回転体26についても、図示しないモータによって回転する。
【0035】
外側回転体26の一部は、薬剤収容部17から錠剤を排出する薬剤排出口27につながっている。外側回転体26によって構成される払出し経路28上に、高さ規制部材30及び幅規制部材32が配されている。
前記した高さ規制部材30は、外側回転体26の搬送面から上の高さを規制するものである。高さ規制部材30は、当該部位を通過する物の高さを制限するものである。高さ規制部材30は、外側回転体26により薬剤排出口27まで搬送可能な錠剤の高さ方向のサイズを規制するものである。
【0036】
一方、幅規制部材32は外側回転体26の側方側から外側回転体26の領域(払出し経路28)に張り出すものであり、外側回転体26の払出し経路28の幅を一時的に狭めるものである。幅規制部材32は、外側回転体26により薬剤排出口27まで搬送可能な錠剤の幅方向のサイズを規制するものである。
【0037】
B形カセット15では、高さ及び幅が、薬剤収容部17に収容される錠剤の1錠分の高さ及び幅である場合に、その錠剤を1個単位で払い出すことができる。
またB形カセット15は、図示しない部材を操作することにより、高さ規制部材30と幅規制部材32を移動させ、搬送可能な錠剤の高さ方向のサイズと、幅方向のサイズを変更することができる。
従ってB形カセット15は、各種サイズに対応することができる。
【0038】
B形カセット15は、払出し経路可変形のカセットとも言える。
B形カセット15は、高さ規制部材30と幅規制部材32を移動させ、搬送可能な錠剤の高さ方向のサイズと、幅方向のサイズを変更することができるので、A形カセット13に比べて、対応可能な固形薬剤の範囲が広い。
【0039】
各カセットの構造を比較するとA形カセット13及び半可変A形カセットは、内部にロータ22を有しロータ22のポケット21が払出し経路の一部となっていて通過する薬剤の大きさを規制するものである。
これに対してB形カセット15は、高さ規制部材30と幅規制部材32を有し、これらによって通過する薬剤の大きさを規制するものである。
【0040】
各カセットの機能を比較するとA形カセット13は、特定の形状の薬剤に限って排出することができる。これに対してB形カセット15は、あらゆる大きさの薬剤を排出することができる。半可変A形カセットは、適用可能な薬剤の形状範囲がB形カセット15と同様である。
即ちA形カセット13は、一定範囲の大きさや形状の固形薬剤に限って排出することができるが、B形カセット15は、高さ規制部材30と幅規制部材32を調節することにより、より大きい薬剤やより小さい薬剤、カプセルその他、幅広い形状の薬剤を排出することができる。また、半可変A形カセットもB形カセット15と同様に、ロータ22のポケットの幅(円周方向)、高さ、厚み(径方向)を調節する事によって幅広い形状の薬剤を排出することができる。
A形カセット13は、適応可能な薬剤の種類が少ない。これに対して、B形カセット15は適応可能な薬剤の種類が多い。
【0041】
本実施形態では、固定カセット装着領域10にA形カセット13が装着され、汎用カセット装着領域11にB形カセット15が装着されている。固定カセット装着領域10に装着されたA形カセット13を用途上、固定カセットと称し、汎用カセット装着領域11に装着されたB形カセット15を用途上、汎用カセットと称する。
【0042】
固定カセット装着領域10に装着された固定カセット(A形カセット13)は、特定の薬剤専用に使用される。例えば、一つの固定カセット(A形カセット13)には、必ずA薬が収容され、他の薬剤が入れられることはない。また他の一つの固定カセット(A形カセット13)には、必ずB薬が収容され、他の薬剤が入れられることはない。
【0043】
これに対して汎用カセット装着領域11に装着された汎用カセット(B形カセット15)には、複数の種類の薬剤を入れて使用される。
本実施形態では、汎用カセット(B形カセット15)が5基設置されているが、それぞれに、異なる薬剤を入れて使用される場合がある。
例えば処方された薬剤が、A薬、B薬、C薬とし、固定カセット装着領域10に、A薬用の固定カセット(A形カセット13)と、B薬用の固定カセット(A形カセット13)があり、C薬用のそれが無いと仮定する。
この場合には、いずれかの汎用カセット(B形カセット15)にC薬を充填し、B形カセット15からC薬を排出する。
また固定カセットにD薬が無く、処方がD薬を含む場合には、いずれかの汎用カセット(B形カセット15)にD薬を充填し、B形カセット15からD薬を排出する。
従って汎用カセット(B形カセット15)には、その時々に応じて各種の薬剤が充填される。
【0044】
またA形カセット13及びB形カセット15には、施錠機能を有するものと施錠機能を有しないものがある。
施錠機能を有するロック付きA形カセット13L及びロック付きB形カセット15Lは、固形剤収容部を封鎖する蓋部材を有し、且つ前記蓋部材を施錠した状態で保持する蓋ロック手段がある。
ここで「蓋部材を施錠した状態」とは、蓋部材が開かない状態をいう。「施錠した状態」にある蓋部材は、器具を使用したり、複雑な操作を行わなければ、開くことができない。
また本実施形態で採用するロック付きA形カセット13L及びロック付きB形カセット15Lは、特定の載置台等に置き、且つ開錠する資格を有するものが認証を行い、特定の操作をした場合に限り蓋部材を開いて中に薬剤を充填することができる。
【0045】
ロック付きA形カセット13L及びロック付きB形カセット15Lにおけるロック機構は、おなじものであるから、代表してロック付きB形カセット15L(以下 単にB形カセット15L)について説明する。
B形カセット15Lは、図5図6の様に本体70の内部に、蓋部材71をロックするロック機構72を有している。ロック機構72には、操作レバー65がある。
またB形カセット15Lの本体70の底面に、孔73が設けられている。
【0046】
そして薬剤払出し装置2又はその近傍には、図7図8の様なカセット載置部75がある。カセット載置部75は、B形カセット15Lに薬剤を補充するためにB形カセット15Lを仮置き(載置)する部分である。
【0047】
カセット載置部75には蓋ロック操作手段76がある。蓋ロック操作手段76は、図7図8の様にロッド78を有している。ロッド78は常時、開口80内に没入しており、必要に応じ垂直に突出する。
本実施形態では、蓋ロック操作手段76からロッド78が突出してB形カセット15Lの孔73に挿通される。そしてロッド78が孔73を経てロック機構72の操作レバー65を操作し、蓋部材71のロックを解除する。
またロッド78が操作レバー65から離れると、ロック機構72が施錠状態に復帰する。
【0048】
手蒔き部6は、公知のそれと同様であり、図4の様に複数の薬剤投入部33を有し、作業者の手作業によって所定数の薬剤を服用時期(朝、昼、夕など)ごとに薬剤投入部33に投入する。そして薬剤投入部33の底が一つずつ開き、薬剤投入部33内の薬剤を薬剤投入部33ごとに落下させて下部の薬剤包装部8に送られる。
【0049】
次に薬剤払出し装置2の使用方法について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置2では、各固定カセット(A形カセット13)にそれぞれ専用の薬剤が充填される。
薬剤の充填作業は、薬剤師等やテクニシャンと称される作業者によって行われる。具体的には、薬剤瓶からA形カセット13に薬剤を投入するのであるが、その際に、薬剤瓶に付されたバーコードや二次元コード等の読み取り可能な識別手段をコードリーダ等で読み出す。なお薬剤瓶に付されたコード等の読み出しは、薬剤払出し装置2に付属する読み取り装置と、携帯用の読み取り端末を使用する。多くの場合、棚等から薬剤瓶を選び出す際に携帯用の読み取り端末を使用し、実際に薬剤瓶からA形カセット13に薬剤を移す際に薬剤払出し装置2に付属する読み取り装置を使用する。
【0050】
またA形カセット13に付されたRFID(Radio Frequency Identification)等に書き込まれたデータが読みだされ、当該A形カセット13が薬剤瓶内の薬剤を充填すべきものであるか否かが確認される。
また充填を行った作業者がだれであったのかが記録される。この情報は、図示しない上位装置や薬剤払出し装置2に記録される。
【0051】
汎用カセット(B形カセット15)の幾つかには薬剤が充填される。この際の作業は固定カセット(A形カセット13)に薬剤を充填する場合と同じである。
汎用カセット(B形カセット15)の幾つかは空の状態となっている。
【0052】
薬剤払出し装置2は、処方データに応じて薬剤を払出し、一服用ずつ包装するものである。
処方データに含まれる薬剤の全てが、薬剤払出し装置2に内蔵されており、且つその全てが固定カセット装着領域10の固定カセット(A形カセット13)に内蔵されているものであれば、固定カセット(A形カセット13)から所望の薬剤が排出されて一服用ずつ包装される。
処方データに含まれる薬剤の全てが、薬剤払出し装置2に内蔵されているが、一部又は全部の薬剤が汎用カセット(B形カセット15)に内蔵されているならば、固定カセット(A形カセット13)と汎用カセット(B形カセット15)から所望の薬剤が排出されて一服用ずつ包装される。
【0053】
処方データに含まれる薬剤に薬剤払出し装置2に内蔵されていないものが含まれている場合には、汎用カセット(B形カセット15)又は手蒔き部6が使用される。
汎用カセット(B形カセット15)を使用する場合には、処方に含まれる薬剤瓶を捜し出し、汎用カセット(B形カセット15)に薬剤を充填する。このとき、薬剤瓶に付されたバーコードや二次元コード等をコードリーダで読み出し、記録される。また充填を行った作業者がだれであったのかが記録される。
【0054】
手蒔き部6を使用する場合には、処方に含まれる薬剤瓶を捜し出し、処方に従って所定個数の薬剤を手蒔き部6の薬剤投入部33に投入する。
そして薬剤投入部33の底が一つずつ開き、薬剤投入部33内の薬剤を薬剤投入部33ごとに落下させて下部の薬剤包装部8に送る。
このときも、薬剤瓶に付されたバーコードや二次元コード等をコードリーダで読み出し、記録される。また手蒔きを行った作業者がだれであったのかが記録される。
【0055】
次に薬剤鑑査支援装置3について説明する。
薬剤鑑査支援装置3は、鑑査対象の薬剤の数量及び種類を鑑査する装置である。薬剤鑑査支援装置3では、分包紙に一服用分ずつ分包された状態で供給された鑑査対象の薬剤の数量及び種類を、一包ずつ鑑査することができる。
図1に示すように、薬剤鑑査支援装置3は、筐体40の側面に鑑査対象の薬剤を導入するための導入部41を有し、正面に表示装置(操作パネル)42を有している。薬剤は、透光性を有する分包紙によって包装され、外部から視認可能な状態で薬剤鑑査支援装置3に供給される。また、薬剤鑑査支援装置3は、一服用分の薬剤を包装した分包袋が複数、連続するように形成された分包袋連続体の状態で分包袋を供給し、各分包袋について順次鑑査を行うことができる。
【0056】
薬剤鑑査支援装置3の内部には、図9の様に、搬送手段45、46、鑑査部47がある。また薬剤鑑査支援装置3は、制御装置50を有している。
鑑査部47には撮影装置51と、照明装置52があり、鑑査部47に配置された分包袋及びこれに収容されている薬剤を撮影するものである。
【0057】
制御装置50は、各分包袋に収容されている薬剤が処方通りであるかを鑑査する薬剤鑑査処理や、分包袋を帯状に連続するように連続させた分包袋連続体を薬剤鑑査支援装置3に供給する供給制御等の処理を実行させることができる。
【0058】
制御装置50は、公知のCPU及びメモリーを有するものである。
制御装置50は、機能上、図10の様に通信部53、第一記憶部55、第二記憶部56、プラン選定プログラム57及び鑑査用データベース58を有している。
通信部53は、図示しない上位装置や、薬剤払出し装置2との間で相互通信することができるものであり、上位装置や、薬剤払出し装置2から処方情報や後記する第一情報及び第二情報を得る手段であり、情報取得手段として機能する。
第一記憶部55には、情報取得手段たる通信部53を経由して取得した第一情報が記憶される。第二記憶部56には、情報取得手段たる通信部53を経由して取得した第二情報が記憶される。
鑑査用データベース58は、鑑査の実施に必要な薬剤についての情報が集積されている。具体的には、薬剤の画像がマスター画像として記憶されている。また薬剤に付された刻印や、薬剤の形状、寸法等の薬剤を特定するための情報が記憶されている。
【0059】
薬剤鑑査支援装置3は、複数の薬剤鑑査手段を有している。また薬剤鑑査支援装置3は、薬剤鑑査手段を選択的に実施して精度の異なる複数の薬剤鑑査プランを実施することができる。
具体的には、薬剤鑑査支援装置3は、次の薬剤鑑査手段を有している。
【0060】
(1)刻印鑑査
固形剤が錠剤であれば、錠剤の表面に刻印や印刷により形成された定形剤識別子(定形剤の種類を特定するためのもの)が設けられている。固形剤がカプセル剤であればカプセル剤の表面に印刷により形成された定形剤識別子が設けられている。
本実施形態の薬剤鑑査支援装置3では、撮影装置51で固形剤を撮影する。そして映像から刻印を認識する。
薬剤鑑査支援装置3は、各固形剤と各固形剤に形成された定形剤識別子を紐づけた情報を予め記憶している。そして、抽出した画像と、処方データで指定された刻印錠剤と紐づけて記憶されている定形剤識別子とに基づいて、撮影された刻印錠剤が処方データで指定された薬剤であるか否かを判断する。この判断は、抽出した画像に現れる刻印と、定形剤識別子との一致率に基づいて行うことができる。すなわち、撮影された刻印錠剤の刻印が、処方データで指定された薬剤の定形剤識別子と合致しているか否かを、例えば、画面に並べて表示することによりユーザが判断できるようにする。この場合、薬剤名、写真等の薬剤データを表示することにより比較しやすくするのが好ましい。また、一致率の低い場合、その旨を表示色の変更等により報知するのがより好ましい。
【0061】
(2)形状鑑査
制御装置50は、薬剤の画像をマスター画像として蓄積した鑑査用データベース58を備えている。制御装置50は、鑑査用データベース58に登録されているマスター画像と、撮影装置51によって取得された薬剤の画像とをマッチングする処理(画像マッチング処理)を実行し、分包袋に処方通りに薬剤が包装されているか否かを鑑査する鑑査業務を実施することができる。
また制御装置50は、画像マッチング処理により分包袋に包装されている薬剤と類似する薬剤(類似薬)が鑑査用データベース58に存在するか否かの判定(類似判定)を実行し、類似薬が存在する場合に警告を発することができる。すなわち、薬種照合鑑査を実行することにより、薬種合致判定及び類似判定が実施される。
また色彩についても比較することができる。
【0062】
(3)計数鑑査
薬剤鑑査支援装置3は、各分包袋内の固形薬剤の数を係数することができる。そして分包袋に処方通りの個数の薬剤が包装されているか否かを鑑査する鑑査業務を実施することができる。
【0063】
また薬剤鑑査支援装置3は、全数鑑査と抜き取り鑑査を行うことができる。全数鑑査は、全ての分包袋内の固形薬剤を鑑査する方法である。抜き取り鑑査は、例えば帯状に繋がった分包袋の先頭、中間、最後尾といった特定箇所の分包袋内の固形薬剤を鑑査する方法である。
【0064】
本実施形態の薬剤鑑査支援装置3では、前記した薬剤鑑査手段を適宜選択し、精度の異なる薬剤鑑査プランを実施することができる。
プランの選定は任意であり、可能性のある組み合わせは、夥しい数にのぼるが。例えば、上級鑑査プラン、中級鑑査プラン、簡易鑑査プランの3種類を実施することを可能とすることが考えられる。
上級鑑査プランでは、例えば全ての分包袋を対象として、前記した「刻印鑑査」「形状鑑査」「計数鑑査」の全てを実施する。
中級鑑査プランでは、例えば全ての分包袋を対象として、前記した「形状鑑査」「計数鑑査」を実施する。
簡易鑑査プランでは、例えば全ての分包袋を対象として、「計数鑑査」だけを実施する。
薬剤鑑査プランは上記したものに限定されるものではなく、「刻印鑑査」の精度や、「形状鑑査」における類似判定の対象薬の広狭、全数鑑査と抜き取り鑑査の別等を組み合わせ、より多数の薬剤鑑査プランを設定してもよい。
【0065】
本実施形態の薬剤鑑査支援装置3では、前記した「上級鑑査プラン」「中級鑑査プラン」「簡易鑑査プラン」のいずれかを選定するプラン選定手段を有している。
具体的には、プラン選定手段は、制御装置50に格納されたプラン選定プログラム57によって実現されている。
本実施形態では、薬剤鑑査プランの選定は、第一情報と第二情報に基づいて行われる。
【0066】
ここで第二情報は、薬剤の収集に関与した作業者に関する情報である。第二情報には、薬剤払出し装置(薬剤収集装置)2に薬剤を収容する作業に従事した作業者に関する情報を含む。
前記した様に、薬剤払出し装置(薬剤収集装置)2は、A形カセット13とB形カセット15を有し、これらに薬剤を充填し、その状態のA形カセット13とB形カセット15を所定の位置に装着する。
第二情報には、A形カセット13又はB形カセット15に薬剤を充填した作業者が誰であり、その作業者の情報が含まれている。
【0067】
また第二情報には、作業者が有する資格と、経験の多寡が含まれる。資格は、薬剤師、医師、歯科医師、看護師、臨床検査技師、放射線技師等の公的資格であってもよく、薬局や病院が認定した認定資格であってもよい。例えば、担当、主任、係長、課長といった役職であってもよい。
第二情報として取得すべき作業者が有する資格は、薬剤師であるか否かの情報であることが望ましい。
経験の多寡は、具体的な経験年数や、実際に薬剤充填作業を行った回数、研修会等への参加回数が考えられる。
【0068】
薬剤の収集に関与した作業者がだれであるかは、通信手段(情報取得手段)53によって図示しない上位装置や、薬剤払出し装置2から入手され、第二記憶部56に記憶される。また作業者が有する資格についても図示しない上位装置から入手され、第二記憶部56に記憶される。
【0069】
第一情報は、薬剤の収集経路や、薬剤の収集に係わった機材に関する情報である。
第一情報には、集められた薬剤が、薬剤払出し装置(薬剤収集装置)2を使用して収集されたものであるか否かの情報が含まれている。
また集められた薬剤が、薬剤払出し装置(薬剤収集装置)2を使用して収集されたものである場合、全ての薬剤が薬剤払出し装置2から供給されたものであるか否かという情報も含まれている。
さらに手蒔き部6を使用して集められたものであるか否か、全ての薬剤がA形カセット13内にあったものであるか、B形カセット15から供給された薬剤を含むか否かの情報が第一情報に含まれている。
また薬剤が充填されていたA形カセット13又はB形カセット15が施錠機能を有するものであるか否かの情報も第一情報に含まれている。
【0070】
簡単にまとめると、第一情報には次の情報が含まれている。
(i)収集された全ての薬剤が薬剤払出し装置2を使用して収集されたものであり、薬剤払出し装置2は内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しているか否か。
(ii)収集された全ての薬剤が薬剤払出し装置2に収容されていたものであるか否か。
(iii)収集された薬剤の少なくとも一部が薬剤払出し装置2を使用して収集されたものであり、薬剤払出し装置2は手蒔き部6を有し、収集された薬剤の少なくとも一部が手蒔き部6を経由して収集されたものであるか否か。
(iv)収集された薬剤の全てが固定カセットに収容されていた薬剤であるか否か。
(v)収集された薬剤の一部又は全部が汎用カセットを経由するものであり、他の全ては固定カセットに収容されていた薬剤であるか否か。
(vi)収集された薬剤の一部又は全部が手蒔き部経由するものであるか否か。
(vii)収集された薬剤が薬剤払出し装置2を使用して収集されたものであり、薬剤払出し装置2は複数の薬剤カセットが装着され、薬剤カセットの内部に複数種類の薬剤を収容し、自動で所望の薬剤を払い出す機能を有しているものであるか否か。
(viii)薬剤カセットの種類
A形カセット13、B形カセット15、施錠機能の有無等。
【0071】
プラン選定手段たるプラン選定プログラムは、上記した第一情報と第二情報の組み合わせによって「上級鑑査プラン」「中級鑑査プラン」「簡易鑑査プラン」の中からいずれか一つを選定する。
薬剤鑑査プランの選定は、間違いが発生する蓋然性に応じて行われる。
第二情報たる作業者に関する事項に注目すると、ベテランの薬剤師は間違いを起こしにくく、ベテランの薬剤師が行った充填作業や手蒔き作業は最も信頼性が高い。
次いで経験が少ない薬剤師が行った作業の信頼性が高い。
資格は持たないが、ベテランの作業者が行った作業も経験が少ない薬剤師が行った作業と同等の信頼性があると想像される。
これに対して、資格を持たず、且つ経験の少ない作業員が行って作業は、信頼性が低い。
【0072】
また第一情報たる薬剤の収集経路及び/又は薬剤の収集に係わった機材に関する事項に注目すると、ロック付きA形カセット(固定カセット)13Lから排出された薬剤の信頼性が最も高く、信頼性は、ロック無しのA形カセット(固定カセット)13、ロック付きの半可変A形カセット(固定カセット)、ロック無しの半可変A形カセット(固定カセット)、ロック付きB形カセット(汎用カセット)15L、ロック無しのB形カセット(汎用カセット)、手蒔き部6の順に低下する。
またB形カセット15を固定カセットとして使用する場合は、B形カセット15を汎用カセットとして使用する場合に比べて信頼性が高い。
【0073】
例えば、次の条件が揃っている場合には、間違いが発生している確率が少ないので、「簡易鑑査プラン」が選定される。
(a)集められた全ての薬剤が、薬剤払出し装置2から供給されたものである。
(b)且つその薬剤の全てが、ロック付きA形カセット13Lから供給されたものである。
(c)ロック付きA形カセット13Lに薬剤を充填した作業者は、薬剤師であり、相当の経験を積んでいる。
【0074】
逆に次の条件が揃っている場合には、間違いが無いとは言い切れないので、「上級鑑査プラン」が選定される。
(a)集められた全ての薬剤が、薬剤払出し装置2から供給されたものである。
(d)収集された薬剤の一部に手蒔き部を経由して収集されたものが含まれている。
(e)手蒔き作業を行った者は薬剤師の資格を持つ。
【0075】
また作業者が新人である場合等は、間違いを起こす蓋然性が高いので、薬剤鑑査支援装置3による鑑査には適さない。そのため表示装置にその旨が表示され、目視による鑑査に回される。
【0076】
第一情報と第二情報の組み合わせは多岐に渡るので、その一例を図11に示し、個々の説明を省略する。
原則として、薬剤の収集に関与した作業者が複数人いる場合には、最も信頼性が低い作業者の間違いが発生する蓋然性に合わせて薬剤鑑査プランを選定する。例えばA薬、B薬、C薬が処方され、A薬とB薬は最も信頼性の高いベテランの薬剤師がA形カセット13に充填したものであるが、C薬は信頼性がやや劣る新人の薬剤師がA形カセット13に充填したものである場合、新人の薬剤師の間違いが発生する蓋然性に合わせて薬剤鑑査プランを選定する。
同様に、収集された薬剤の収集経路や収集に係わった機材が異なる場合には、最も信頼性が低い収集経路や機器における間違いが発生する蓋然性に合わせて薬剤鑑査プランを選定する。
そして、薬剤鑑査支援装置3は、選定された薬剤鑑査プランを自動的に実施する。
なお、薬剤鑑査プランが実行される前に、当該薬剤鑑査プランが選定された旨を表す表示をし、確認を促す構成とすることが推奨される。また手動で、薬剤鑑査プランを変更することができる制御を採用することが望ましい。
【0077】
各薬剤鑑査プランを実施した結果、集められた薬剤が処方データ通りであるならば、図1に示す表示装置(操作パネル)42にその旨を表示する。
薬剤に間違いがあったり、個数に間違いがあれば、鑑査結果が「NG」となり、表示装置42に誤りの内容を表示する。その際、作業者が特定して併せて表示してもよい。
なお鑑査用データベース58に形状その他の記録が無い薬剤(未登録薬剤とも称される)が処方されている場合は、鑑査結果が「NG」となるが、前記した様な誤りによる「NG」と区別する表示がなされることが望ましい。
また同様に透明薬剤が処方されている場合も、鑑査結果が「NG」となる。透明薬剤は、撮影装置51で撮影した際に、外郭線が特定できなかったり、バックの模様が写ってしまうことがあり、画像処理による鑑査には適さない。
そのため同様に透明薬剤が処方されている場合は、鑑査結果が「NG」となるが、この場合にも前記した様な誤りによる「NG」と区別する表示がなされることが望ましい。
【0078】
例えば「未照合薬品が含まれています。」「透明薬剤が含まれています。」といった表示を表出させ、且つジャーナル用紙にもその様な記載がなされることが望ましい。
また処方に未照合薬品が含まれていることや、透明薬剤が含まれていることは、鑑査を行う前に分かっているので、未照合薬品や透明薬剤以外の薬剤について、数量、形状、刻印等によって必要な鑑査を行うことが望ましい。
【0079】
未登録薬剤や透明薬剤が処方されている場合は、目視による鑑査を行う必要があるが、通常の誤りによる「NG」と区別されることにより、鑑査作業を円滑に進めることが可能となり、目視による鑑査の誤りを防止する効果も期待できる。
【0080】
原則として、第一情報と第二情報の双方が同じであるならば、同じ薬剤鑑査プランが選定されるが、時間の経過(鑑査回数)を考慮して、薬剤鑑査プランを変更してもよい。
例えば、特定のA形カセット13に新人の無資格者が薬剤Aを充填した場合、当初は「上級鑑査プラン」による薬剤鑑査が実施されるが、同じA形カセット13から異なる患者の処方として複数回に渡って薬剤が排出され、それぞれ「上級鑑査プラン」による薬剤鑑査を行った結果、誤りが発見されなかった様な場合が想定される。
その様な場合には、当該A形カセット13への薬剤充填に誤りがあったとは想定しにくい。この様な場合は、鑑査精度のランクを下げ、例えば「中級鑑査プラン」を行ってもよい。
また前記した様に、棚等から薬剤瓶を選び出す際に携帯用の読み取り端末を使用するが、この作業を行わなかった場合には、鑑査精度のランクを上げ、同じA形カセット13から異なる患者の処方として複数回に渡って薬剤が排出され、それぞれ薬剤鑑査を行った結果、誤りが発見されなかった様な場合には鑑査精度のランクを下げてもよい。
【0081】
本実施形態の薬剤鑑査支援装置3では、上記した様に鑑査精度のランクを下げるプラン変更制御プログラム48が、制御装置50に内蔵されている。
上記した設例に従うと、第二情報に特定の作業者である「新人の無資格者」という特定の具体的情報が含まれている。
また第一情報に特定のA形カセット13を経由しているという特定の具体的情報が含まれている。
この場合には、「上級鑑査プラン」が実施される。
しかしながら、その後、前記した特定の具体的情報を含む第一情報と第二情報によって「上級鑑査プラン」が2回、3回と複数回に渡って繰り返され、全ての実施回において収集された薬剤に誤りが無かった場合には、薬剤鑑査プランの精度を下方修正して「中級鑑査プラン」が行われる。
【0082】
また処方された薬剤の中に、形状等が類似する薬剤がある場合と無い場合とで、鑑査精度のランクを変更してもよい。
例えば、形状等が類似する薬剤がある場合には、形状鑑査だけでは完全を期すことができないと予想される場合があり、その様な場合には、鑑査精度のランクを上げて刻印鑑査を実施してもよい。
例えば、鑑査用データベース58が有する薬剤の画像に、違う薬剤であって形状の似た薬剤がある場合、例えばこのデータにフラグを付する等によって抽出しやすくしておく。そして処方された薬剤であって、特定の照合対象薬剤クループ内に似た形状の薬剤が存在しない場合には形状鑑査を行い、照合対象薬剤クループ内に似た形状の薬剤がある場合には鑑査精度のランクを上げて刻印鑑査を実施する。
照合対象薬剤クループは、例えば同一の服用時期の薬剤とする。照合対象薬剤クループの選定は任意であり、例えば同一処方に範囲を広げたり、さらに薬剤払出し装置2に実装されている薬剤、さらに広げて薬局等が保有している薬剤に対象を広げてもよい。
【0083】
以上説明した実施形態は、薬剤払出し装置(薬剤収集装置)2と、薬剤鑑査支援装置3を組み合わせた薬剤鑑査支援システム1であり、薬剤を分包袋に入れた後に薬剤を鑑査するものであるが、包装前に集めた薬剤を鑑査する用途に薬剤鑑査支援装置3を使用してもよい。
また手作業で集めた薬剤の鑑査に薬剤鑑査支援装置3を使用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1;薬剤鑑査支援システム、2;薬剤払出し装置(薬剤収集装置)、3;薬剤鑑査支援装置、5;カセット装着部、6;手蒔き部、10;固定カセット装着領域、11;汎用カセット装着領域、13;A形カセット、13L;ロック付きA形カセット、15;B形カセット、15L;ロック付きB形カセット、33;薬剤投入部、47;鑑査部、50;制御装置、53;通信手段、57;プラン選定プログラム(プラン選定手段)、58;鑑査用データベース、71;蓋部材、75;カセット載置部
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