(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】シールドされた電気ケーブル組立体
(51)【国際特許分類】
H02G 15/10 20060101AFI20240524BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H02G15/10
H02G1/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023041286
(22)【出願日】2023-03-15
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310022361
【氏名又は名称】ヤザキ・ヨーロッパ・リミテッド
【住所又は居所原語表記】Beechwood House, 2-3 Commercial Way, Christy Close, Basildon, Essex, SS15 6EF United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ミゲル ビラル マルティンス ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ マヌエル マチャド レグフェ
(72)【発明者】
【氏名】セルヒオ ペドロ ダ シルバ ソアレス フェルナンデス
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-222713(JP,A)
【文献】米国特許第03787607(US,A)
【文献】特開平09-223524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0229115(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/10
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドされた電気ケーブル組立体であって、
-導体(3,6)を有する少なくとも1本のワイヤ(2,5)、及び、前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第1シールド導体(8)を有し、且つ、前記第1シールド導体(8)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第1絶縁ジャケット(9)を有する第1のシールドされた電気ケーブル(1)と、
-導体(12,15)を有する少なくとも1本のワイヤ(11,14)、及び、前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第2シールド導体(17)を有し、且つ、前記第2シールド導体(17)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第2絶縁ジャケット(18)を有する第2のシールドされた電気ケーブル(10)と、を備え、
-前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)の前記導体(3,6)と、 前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)の前記導体(12,15)とが互いに導電的に接合されて接合部(28,29)を形成し、
-前記接合部(28,29)を覆う内側絶縁体(30)であって、前記第1シールド導体(8)及び前記第2シールド導体(17)は前記内側絶縁体(30)を軸方向に部分的に覆う、内側絶縁体(30)と、
-前記第1シールド導体(8)及び前記第2シールド導体(17)に導電接触して前記内側絶縁体(30)を少なくとも軸方向に部分的に覆うシールド要素(34)と、
-前記シールド要素(34)を全体的に覆い、且つ、前記第1絶縁ジャケット(9)及び前記第2絶縁ジャケット(18)を軸方向に部分的に覆うハウジング(35)と、
-前記ハウジング(35)と前記第1絶縁ジャケット(9)との間の第1シーリング要素(36)と、
-前記ハウジング(35)と前記第2絶縁ジャケット(18)との間の第2シーリング要素(37)と、を備えるシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項2】
前記内側絶縁体(30)は、前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)が挿入される第1開口部と、前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)が挿入される反対側の第2開口部とを有する軸方向通路を画成していることを特徴とする、請求項1に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項3】
前記シールド要素(34)は、前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)が挿入される第1開口部と、前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)が挿入される反対側の第2開口部とを有する軸方向通路を画成していることを特徴とする、請求項
1に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項4】
前記ハウジング(35)は、前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)が挿入される第1開口部(54)と、前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)が挿入される反対側の第2開口部(55)とを有する軸方向通路を画成していることを特徴とする、請求項
1に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項5】
前記シーリング要素(36,37)は、ポッティング化合物から作られることを特徴とする、請求項
1に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項6】
各シールドされた電気ケーブル(1,10,19)は、それぞれの前記シールドされた電気ケーブル(1,10,19)の前記絶縁ジャケット(9,18,27)上に軸方向に部分的に着座し、且つ前記シールド要素(34)上に軸方向に部分的に着座するケーブルブッシング(42,43)を含み、各ケーブルブッシング(42,43)は、それぞれの前記シーリング要素(36,37)と前記シールド要素(34)との間に軸方向に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項7】
各ケーブルブッシング(42,43)は、前記シールド要素(34)上にクランプされ、且つ、前記シールド要素(34)をそれぞれの前記シールド導体(8,17,26)上にクランプしている複数のタブ(45,49)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項8】
各ケーブルブッシング(42,43)は、前記シーリング要素(36,37)のうちの1つを受け入れる収容チャンバ(50,51)を制限する分離壁(44,46)を有し、前記収容チャンバ(50,51)は、外部に対して開放され、且つ、前記ハウジング(35)と、それぞれの前記シールドされた電気ケーブル(1,10,19)の前記絶縁ジャケット(9,18,27)との間に配置されていることを特徴とする、請求項
6に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項9】
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)は、第1導体(3)を有する第1ワイヤ(2)と、第2導体(6)を有する第2ワイヤ(5)とを含み、且つ、
前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)は、第1導体(12)を有する第1ワイヤ(11)と、第2導体(15)を有する第2ワイヤ(14)とを含み、且つ、
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)及び前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記第1ワイヤ(2,11)は互いに導電接合されて第1接合部(28)を形成し、且つ、
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)及び前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記第2ワイヤ(5,14)は互いに導電接合されて第2接合部(29)を形成していることを特徴とする、請求項
1に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項10】
前記シールドされた電気ケーブル組立体は、さらに、導体(21,24)を有する少なくとも1本のワイヤ(20,23)、及び、前記少なくとも1本のワイヤ(20,23)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第3シールド導体(26)を備え、この第3シールド導体(26)が、第3絶縁ジャケット(27)により少なくとも軸方向に部分的に覆われている第3のシールドされた電気ケーブル(19)を備えることと、
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)の前記導体(3,6)と、前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)の前記導体(12,15)と、前記第3のシールドされた電気ケーブル(19)の前記少なくとも1本のワイヤ(20,23)の前記導体(21,24)とが互いに導電接続されて接合部(28,29)を形成していることと、を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のシールドされた電気ケーブル組立体。
【請求項11】
シールドされた電気ケーブル組立体を製造する方法であって、
-導体(3,6)を有する少なくとも1本のワイヤ(2,5)と、前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第1シールド導体(8)とを有する第1のシールドされた電気ケーブル(1)を提供するステップであって、前記第1シールド導体(8)は、第1絶縁ジャケット(9)により少なくとも軸方向に部分的に覆われる、ステップと、
-導体(12,15)を有する少なくとも1本のワイヤ(11,14)と、前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)を少なくとも軸方向に部分的に覆う第2シールド導体(17)とを有する第2のシールドされた電気ケーブル(10)を提供するステップであって、前記第2シールド導体(17)は、第2絶縁ジャケット(18)により少なくとも軸方向に部分的に覆われる、ステップと、
-前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)の前記導体(3,6)と、前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)の前記導体(12,15)とを互いに導電接合して接合部(28,29)を形成するステップと、
-前記接合部(28,29)の上に内側絶縁体(30)を配置することにより前記接合部(28,29)を覆うステップと、
-前記第1シールド導体(8)及び前記第2シールド導体(17)を前記内側絶縁体(30)の上に軸方向に部分的に配置するステップと、
-前記内側絶縁体(30)の上にシールド要素(34)を配置して、前記内側絶縁体(30)を少なくとも軸方向に部分的に覆い、且つ前記第1シールド導体(8)及び前記第2シールド導体(17)に電気的に接触させるステップと、
-前記シールド要素(34)の上にハウジング(35)を配置して、前記シールド要素(34)の全体を覆い、且つ、前記第1絶縁ジャケット(9)及び前記第2絶縁ジャケット(18)を軸方向に部分的に覆うステップと、
-第1シーリング要素(36)を前記ハウジング(35)と前記第1絶縁ジャケット(9)との間に配置するステップと、
-第2シーリング要素(37)を前記ハウジング(35)と前記第2絶縁ジャケット(18)との間に配置するステップと、を含む、方法。
【請求項12】
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)の前記導体(3,6)と前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)の前記導体(12,15)とを接合する前に、前記シールド要素(34)を前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)上に配置するステップと、
その後、前記シールド要素(34)を前記接合部(28,29)の上で軸方向に移動させるステップと、を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)の前記少なくとも1本のワイヤ(2,5)の前記導体(3,6)と前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)の前記少なくとも1本のワイヤ(11,14)の前記導体(12,15)とを接合する前に、前記ハウジング(35)を前記第1のシールドされた電気ケーブル上に配置するステップと、
その後、前記ハウジング(35)を前記シールド要素(34)の上で軸方向に移動させるステップと、を含むことを特徴とする、請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)上で前記ハウジング(35)と前記第2のシールドされた電気ケーブル(10)との間に前記シールド要素(34)が配置される前に、前記ハウジング(35)が前記第1のシールドされた電気ケーブル(1)上に配置されることを特徴とする、請求項1
1に記載の方法。
【請求項15】
ポッティング化合物は、前記ハウジング(35)と前記第1絶縁ジャケット(9)との間、及び、前記ハウジング(35)と前記第2絶縁ジャケット(18)との間に注入されて前記第1シーリング要素(36)及び前記第2シーリング要素(37)を形成していることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドされた電気ケーブル組立体に関し、この組立体は、少なくとも1つの導体を有する第1のシールドされた電気ケーブルと、少なくとも1つの導体を有する第2のシールドされた電気ケーブルとを備え、これらの導体は互いに導電接合されて接合部を形成している。内側絶縁体が接合部を覆っている。シールド要素が内側絶縁体上に配置されて、第1のシールドされた電気ケーブルの第1シールド導体、及び、第2のシールドされた電気ケーブルの第2シールド導体に電気的に接続されている。
【背景技術】
【0002】
このようなシールドされた電気ケーブル組立体は、特許文献1より知られている。内側絶縁体は、熱収縮チューブである。複数のフェルールが、第1ケーブルの第1シールド導体及び絶縁カバーと、第2ケーブルの第2シールド導体及び絶縁カバーとの上に重なっている。複数のリングカラーが複数のフェルールの上に重なり、複数のフェルールに固定されている。シールド要素は、第1ケーブル、第2ケーブル、複数のフェルール、及び複数のリングカラーの上に重なり、第1ケーブルと第2ケーブルの導体間の接合部を電磁気的にシールしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、容易に製造することができる、シールドされた電気ケーブル組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、シールドされた電気ケーブル組立体により達成され、このシールドされた電気ケーブル組立体は、
-導体を有する少なくとも1本のワイヤ、及び、少なくとも1本のワイヤを少なくとも軸方向に部分的に覆う第1シールド導体を有し、且つ、第1シールド導体を少なくとも軸方向に部分的に覆う第1絶縁ジャケットを有する第1のシールドされた電気ケーブルと、
-導体を有する少なくとも1本のワイヤ、及び、少なくとも1本のワイヤを少なくとも軸方向に部分的に覆う第2シールド導体を有し、且つ、第2シールド導体を少なくとも軸方向に部分的に覆う第2絶縁ジャケットを有する第2のシールドされた電気ケーブルと、を備え、
-第1のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体と、第2のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体とが互いに導電的に接合されて接合部を形成し、さらに、
-接合部を覆う内側絶縁体であって、第1シールド導体及び第2シールド導体は内側絶縁体を軸方向に部分的に覆う、内側絶縁体と、
-第1シールド導体及び第2シールド導体に導電接触して内側絶縁体を少なくとも軸方向に部分的に覆うシールド要素と、
-シールド要素を全体的に覆い、且つ、第1絶縁ジャケット及び第2絶縁ジャケットを軸方向に部分的に覆うハウジングと、
-ハウジングと第1絶縁ジャケットとの間の第1シーリング要素と、
-ハウジングと第2絶縁ジャケットとの間の第2シーリング要素と、を備える。
【0006】
シールド導体が軸方向に部分的に内側絶縁体を覆っていることにより、シールド要素とシールド導体との容易な接続が提供される。
【0007】
本発明の実施形態によれば、シールド要素は、第1のシールドされた電気ケーブルが挿入される第1開口部と、第2のシールドされた電気ケーブルが挿入される反対側の第2開口部とを有する軸方向通路を画成している。
【0008】
ハウジングは、第1のシールドされた電気ケーブルが挿入される第1開口部と、第2のシールドされた電気ケーブルが挿入される反対側の第2開口部とを有する軸方向通路を画成し得る。
【0009】
本発明の一実施形態において、各シールドされた電気ケーブルは、それぞれのシールドされた電気ケーブルの絶縁ジャケット上に軸方向に部分的に着座し、且つシールド要素上に軸方向に部分的に着座するケーブルブッシングを含み、各ケーブルブッシングは、それぞれのシーリング要素とシールド要素との間に軸方向に配置されている。
【0010】
各ケーブルブッシングは、シールド要素上にクランプされ、且つ、シールド要素をそれぞれのシールド導体上にクランプしている複数のタブを含む。それによって、タブは、シールド要素をそれぞれのシールドされた電気ケーブルのシールド導体上にクランプし、シールド導体とシールド要素との間の確実な導電性を保証する。
【0011】
各ケーブルブッシングは、シーリング要素のうちの1つを受け入れる収容チャンバを制限する分離壁を有し、収容チャンバは外部に対して開放され、且つ、ハウジングと、それぞれのシールドされた電気ケーブルの絶縁ジャケットとの間に配置されている。
【0012】
シーリング要素はポッティング化合物から作ることができ、これを、ハウジングとシールドされた電気ケーブルの絶縁ジャケットとの間に形成される収容チャンバに注入することができる。分離壁は、ポッティング化合物が分離壁を越えてハウジング内に入らないことを保証する。
【0013】
少なくとも1つのシーリングリングを、シールドされた電気ケーブルのうちの1本の絶縁ジャケット上に配置することができ、シーリングリングは、それぞれのシーリング要素のポッティング化合物によりオーバーモールドされる。シーリングリングは、全てのシールドされた電気ケーブルの絶縁ジャケット上に適用されてもよく、或いは、シールドされた電気ケーブルの一部の本数の絶縁ジャケット上にのみ適用されてもよい。シーリングリングは、詳細には、絶縁ジャケットの1つが柔軟な材料から作られて、異なる材料の弾性率の違いにより、ポッティング化合物と絶縁ジャケットの材料との間のシール効果の確実性が低下する場合に使用される。特に、絶縁ジャケットの1つが非接着性材料(例えばシリコーンベースの材料など)から作られ、ポッティング材料の、絶縁ジャケットの材料への接着性が乏しくなる可能性がある用途においては、シーリングリングがシール効果を高める。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤが、第1導体を有する第1ワイヤと、第2導体を有する第2ワイヤとを含む。第2のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤが、第1導体を有する第1ワイヤと、第2導体を有する第2ワイヤとを含む。この実施形態において、第1のシールドされた電気ケーブル及び第2のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤが互いに導電接合されて第1接合部を形成する。第1のシールドされた電気ケーブル及び第2のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤが互いに導電接合されて第2接合部を形成する。
【0015】
シールドされた電気ケーブル組立体は、さらに、導体を有する少なくとも1本のワイヤ、及び、少なくとも1本のワイヤを少なくとも軸方向に部分的に覆う第3シールド導体を有し、この第3シールド導体は、第3絶縁ジャケットにより少なくとも軸方向に部分的に覆われている。第1のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体と、第2のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体と、第3のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体とが互いに導電接続されて接合部を形成している。
【0016】
また、本発明の目的は、シールドされた電気ケーブル組立体を製造する方法によっても達成され、この方法は、
-導体を有する少なくとも1本のワイヤと、少なくとも1本のワイヤを少なくとも軸方向に部分的に覆う第1シールド導体とを有する第1のシールドされた電気ケーブルを提供するステップであって、第1シールド導体は、第1絶縁ジャケットにより少なくとも軸方向に部分的に覆われる、ステップと、
-導体を有する少なくとも1本のワイヤと、少なくとも1本のワイヤを少なくとも軸方向に部分的に覆う第2シールド導体とを有する第2のシールドされた電気ケーブルを提供するステップであって、第2シールド導体は、第2絶縁ジャケットにより少なくとも軸方向に部分的に覆われる、ステップと、
-第1のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体と、第2のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体とを互いに導電接合して接合部を形成するステップと、
-接合部の上に内側絶縁体を配置することにより接合部を覆うステップと、
-第1シールド導体及び第2シールド導体を内側絶縁体の上に軸方向に部分的に配置するステップと、
-内側絶縁体の上にシールド要素を配置して、内側絶縁体を少なくとも軸方向に部分的に覆い、且つ第1シールド導体及び第2シールド導体に電気的に接触させるステップと、
-シールド要素の上にハウジングを配置して、シールド要素の全体を覆い、且つ、第1絶縁ジャケット及び第2絶縁ジャケットを軸方向に部分的に覆うステップと、
-第1シーリング要素をハウジングと第1絶縁ジャケットとの間に配置するステップと、
-第2シーリング要素をハウジングと第2絶縁ジャケットとの間に配置するステップと、を含む。
【0017】
シールド要素は、第1導体と第2導体とを接合する前に第1のシールドされた電気ケーブル上に配置され、その後、接合部の上を軸方向に移動し得る。
【0018】
ハウジングは、第1のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体と、第2のシールドされた電気ケーブルの少なくとも1本のワイヤの導体とを接合する前に、第1のシールドされた電気ケーブル上に配置され得る。その後、ハウジングは、シールド要素の上を軸方向に移動することができる。
【0019】
本方法の一実施形態によれば、シールド要素が、第1のシールドされた電気ケーブル上でハウジングと第2のシールドされた電気ケーブルとの間に配置される前に、ハウジングは、第1のシールドされた電気ケーブル上に配置される。
【0020】
第1シーリング要素及び第2シーリング要素を形成するために、ポッティング化合物が、ハウジングと第1絶縁ジャケットとの間、及びハウジングと第2の絶縁ジャケットとの間に注入され得る。
【0021】
ここで、本発明を、添付の図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明によるシールドされた電気ケーブル組立体の第1実施形態の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1による組み立てられたシールドされた電気ケーブル組立体の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第1段階における上面図である。
【
図4】
図4は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第2段階における上面図である。
【
図5】
図5は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第3段階における上面図である。
【
図6】
図6は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第4段階における上面図である。
【
図7】
図7は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第5段階における上面図である。
【
図8】
図8は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第6段階における上面図である。
【
図9】
図9は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第7段階における上面図である。
【
図10】
図10は、
図1によるシールドされた電気ケーブル組立体の、製造の第8段階における上面図である。
【
図11】
図11は、本発明によるシールドされた電気ケーブル組立体の第2実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び
図2は、本発明によるシールドされた電気ケーブル組立体の第1実施形態を開示しており、これらを併せて説明する。
【0024】
シールドされた電気ケーブル組立体は、導体3及び絶縁カバー4を有する第1ワイヤ2を有する第1のシールドされた電気ケーブル1を備える。第1ワイヤ2の絶縁カバー4は、第1ワイヤ2の導体3を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第1のシールドされた電気ケーブル1は、さらに、導体6及び絶縁カバー7を有する第2ワイヤ5を含む。第2ワイヤ5の絶縁カバー7は、第2ワイヤ5の導体6を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第1ワイヤ2及び第2ワイヤ5は、それぞれの導体3,6と共に、第1シールド導体8により少なくとも軸方向に部分的に覆われている。第1シールド導体8は、編組された管状要素の形態で提供することができる。或いは、第1シールド導体8は、導体3,6を外部環境から電子的にシールド(遮蔽)することができる導電性材料から作られた箔又はその他の任意の要素の形態で設けることができる。第1シールド導体8は、第1絶縁ジャケット9により少なくとも軸方向に部分的に覆われている。絶縁カバー4,7及び第1絶縁ジャケット9は電気絶縁材料から作られている。
【0025】
シールドされた電気ケーブル組立体は、さらに、導体12及び絶縁カバー13を有する第1ワイヤ11を有する第2のシールドされた電気ケーブル10を備える。第1ワイヤ11の絶縁カバー13は、第1ワイヤ11の導体12を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第2のシールドされた電気ケーブル10は、さらに、導体15及び絶縁カバー16を有する第2ワイヤ14を含む。第2ワイヤ14の絶縁カバー16は、第2ワイヤ14の導体15を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第1ワイヤ11及び第2ワイヤ14は、それぞれの導体12,15と共に、第2シールド導体17により少なくとも軸方向に部分的に覆われている。第2シールド導体17は、編組された管状要素の形態で提供することができる。或いは、第2シールド導体17は、導体12,15を外部環境から電子的にシールドできる導電性材料から作られた箔又はその他の任意の要素の形態で提供することができる。第2シールド導体17は、第2絶縁ジャケット18により少なくとも軸方向に部分的に覆われている。絶縁カバー13,16及び第2絶縁ジャケット18は電気絶縁材料から作られている。
【0026】
シールドされた電気ケーブル組立体は、さらに、導体21及び絶縁カバー22を有する第1ワイヤ20を有する第3のシールドされた電気ケーブル19を備える。第1ワイヤ20の絶縁カバー22は、第1ワイヤ20の導体21を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第3のシールドされた電気ケーブル19は、さらに、導体24及び絶縁カバー25を有する第2ワイヤ23を含む。第2ワイヤ23の絶縁カバー25は、第2ワイヤ23の導体24を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第1ワイヤ20及び第2ワイヤ23は、それぞれの導体21,24と共に、第3シールド導体26により少なくとも軸方向に部分的に覆われている。第3シールド導体26は、編組された管状要素の形態で提供することができる。或いは、第3シールド導体26は、導体21,24を外部環境から電子的にシールドできる導電性材料から作られた箔又はその他の任意の要素の形態で提供することができる。第3シールド導体26は、第3絶縁ジャケット27により少なくとも軸方向に部分的に覆われている。絶縁カバー22,25及び第3絶縁ジャケット27は電気絶縁材料から作られている。
【0027】
また、シールドされた電気ケーブル組立体は、第1のシールドされた電気ケーブル1及び第2のシールドされた電気ケーブル10のみを含んでもよい。また、シールドされた電気ケーブル組立体が、4本以上のシールドされた電気ケーブルを有することも考えられる。後に第2の実施形態で開示するように、各シールドされた電気ケーブルは、1本のみのワイヤを有してもよい。また、シールドされた電気ケーブルは3本以上のワイヤを有することも考えられる。
【0028】
全ての第1ワイヤ2,11,20の導体3,12,21は、互いに導電的に接合されて第1接合部28を形成している。詳細には、これは、第1のシールドされた電気ケーブル1の第1ワイヤ2の導体3と、第2のシールドされた電気ケーブル10の第1ワイヤ11の導体12と、第3のシールドされた電気ケーブル19の第1ワイヤ20の導体21とが互いに導電的に接合されて第1接合部28を形成していることを意味する。
【0029】
全ての第2ワイヤ5,14,23の導体6,15,24は、導電的に接合されて第2接合部29を形成している。詳細には、これは、第1のシールドされた電気ケーブル1の第2ワイヤ5の導体6と、第2のシールドされた電気ケーブル10の第2ワイヤ14の導体15と、第3のシールドされた電気ケーブル19の第2ワイヤ23の導体24とが導電的に接合されて第2接合部29を形成していることを意味する。
【0030】
内側絶縁体30が、第1接合部28及び第2接合部29を覆って、第1及び第2の接合部28,29を外部に対して電気的に絶縁している。内側絶縁体30は、互いに接合された第1絶縁シェル31と第2絶縁シェル32とを含む。第1絶縁シェル31は壁部33を含み、壁部33は、第1接合部28と第2接合部29との間に配置され、接合部28,29を互いに電気的に絶縁している。
【0031】
シールド要素34が、内側絶縁体30を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。シールド要素34は、外部環境から第1及び第2の接合部28,29を電子的にシールドできる導電性材料から作られた、編組された管状要素、ハウジング、箔又はその他の任意の要素により形成され得る。シールド要素34は、第1シールド導体8と、第2シールド導体17と、第3シールド導体26とに導電接触している。
【0032】
シールドされた電気ケーブル組立体は、さらに、シールド要素34を全体的に覆うハウジング35を含む。ハウジング35は、第1絶縁ジャケット9及び第2絶縁ジャケット18を軸方向に部分的に覆っている。言い換えれば、ハウジング35は、第1のシールドされた電気ケーブル1の第1絶縁ジャケット9上、シールド要素34上、及び、第2のシールドされた電気ケーブル10の第2絶縁ジャケット18上に位置決めされている。
【0033】
第1シーリング要素36が、ハウジング35と第1のシールドされた電気ケーブル1の第1絶縁ジャケット9との間に配置されている。第2シーリング要素37が、ハウジング35と第2のシールドされた電気ケーブル10の第2絶縁ジャケット18との間に配置されている。第2シーリング要素37はまた、第3のシールドされた電気ケーブル19の第3絶縁ジャケット27上に位置決めされて、第3電気ケーブル19をハウジング35に対してシールしている。
【0034】
ハウジング35は、第1及び第2の接合部28,29、内側絶縁体30及びシールド要素34を受け入れるためのレセプタクル38を形成している。このレセプタクル38は、第1及び第2のシーリング要素36,37により外部に対してシールされ、水又はその他の要素がレセプタクル38に侵入することを防止する。
【0035】
内側絶縁体30は軸方向通路を画成し、軸方向通路は、第1スリーブ部39により画成された第1開口部、第2スリーブ部40により画成された第2開口部、及び、第3スリーブ部41により画成された第3開口部を有する。第1スリーブ部39は、シールドされた電気ケーブル組立体の長手方向軸Lの方向において、第2スリーブ部40及び第3スリーブ部41とは反対側に配置される。第1のシールドされた電気ケーブル1の第1及び第2のワイヤ2,5は、第1スリーブ部39により画成された第1開口部を通して内側絶縁体30内に挿入される。第1及び第2のワイヤ2,5は、本実施形態によれば、第1絶縁カバー59により覆われる。しかしながら、第1及び第2のワイヤ2,5を第1絶縁カバー無しで内側絶縁体30内に直接導くことも可能である。
【0036】
第2のシールドされた電気ケーブル10の第1及び第2のワイヤ11,14は、第2スリーブ部40により画成された第2開口部を通して内側絶縁体30内に挿入される。図示の実施形態によれば、第2のシールドされた電気ケーブル10の第1及び第2のワイヤ11,14は、第2絶縁カバー60により覆われている。しかしながら、第1及び第2のワイヤ11,14を第2絶縁カバー無しで内側絶縁体30内に直接導くことも可能である。
【0037】
第3のシールドされた電気ケーブル19の第1及び第2のワイヤ20,23は、第3スリーブ部41により画成された第3開口部を通して内側絶縁体30内に挿入される。図示の実施形態によれば、第3のシールドされた電気ケーブル19の第1及び第2のワイヤ20,23は第3絶縁カバー61により覆われている。しかしながら、第1及び第2のワイヤ20,23を第3絶縁カバー無しで内側絶縁体30内に直接導くことも可能である。
【0038】
第1シールド導体8は、内側絶縁体30の第1スリーブ部39を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第2シールド導体17は、内側絶縁体30の第2スリーブ部40を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。第3シールド導体26は、内側絶縁体30の第3スリーブ部41を少なくとも軸方向に部分的に覆っている。
【0039】
シールド要素34は内側絶縁体30を覆い、第1、第2及び第3のスリーブ部39,40,41の上に少なくとも軸方向に部分的に到達し、第1、第2及び第3のシールド導体8,17,26に接触している。
【0040】
シールド要素34と第1、第2及び第3のシールド導体8,17,26との間の確実な電気的接触を得るために、第1ケーブルブッシング42及び第2ケーブルブッシング43が設けられている。第1ケーブルブッシング42は、第1のシールドされた電気ケーブル1の第1絶縁ジャケット9の周囲に配置されている。第1ケーブルブッシング42は、第1絶縁ジャケット9の外周回りに分離壁44を有する。シールド要素34に向かう方向において、第1ケーブルブッシング42は、分離壁44から長手方向軸Lに平行に軸方向に延在するタブ45を有する。タブ45は、内側絶縁体30の第1スリーブ部39上のシールド要素34を部分的に覆っている。
【0041】
第2ケーブルブッシング43は、2つのスルーホール47,48(この中を第2のシールドされたケーブル10及び第3のシールドされたケーブル19がガイドされる)を有する分離壁46を有する。シールド要素34に向かう方向において、第2ケーブルブッシング43は、分離壁46から長手方向軸Lに平行に軸方向に延在するタブ49を有する。タブ49は、内側絶縁体30の第2及び第3のスリーブ部40,41上のシールド要素34を部分的に覆っている。
【0042】
各シールドされた電気ケーブル1、10,19ごとに、ケーブルブッシング42,43は、シールド要素34上にクランプされる複数のタブ45,49を有する。それによって、タブ45,49は、シールド要素34を、それぞれのシールドされた電気ケーブル1,10,19のシールド導体8,17,26上にクランプして、第1、第2及び第3のシールド導体8,17,26とシールド要素34との間の確実な導電性を保証する。ハウジング35は、タブ45,49に追加の半径方向の力を加え、シールド要素34に押し付けられた後のクランプ効果を増大することにより、この効果を高めることができる。
【0043】
分離壁44,46は各々、それぞれの第1、第2及び第3の絶縁ジャケット9,18,27とハウジング35との間に半径方向に延在している。分離壁44,46は、それによって、第1及び第2のシーリング要素36,37を収容するための収容チャンバ50,51を制限する。収容チャンバ50,51は、第1及び第2のシーリング要素36,37が収容チャンバ50,51にポッティング化合物を注入することにより製造することができるように、軸方向において外部に対して開放されている。
【0044】
図2による実施形態において、シーリングリング56,57,58が、それぞれ、第1のシールドされた電気ケーブル1、第2のシールドされた電気ケーブル10及び第3のシールドされた電気ケーブル19上に配置されている。シーリングリング56,57,58は、ポッティング化合物によりオーバーモールドされている。
【0045】
シーリングリング56,57,58は、第1、第2又は第3の絶縁ジャケット9,18,27が可撓性材料から作られている場合に特に適用される。特に、第1、第2又は第3の絶縁ジャケット9,18,27が非接着性材料(例えばシリコーンベースの材料など)から作られ、それにより、ポッティング材料が、第1、第2又は第3の絶縁ジャケット9,18,27の材料への接着性が乏しくなる可能性がある用途では、シーリングリング56,57,58がシール効果を高める。シーリングリングは、シールドされた電気ケーブル1,10,19の一部のみに適用することが考えられる。
【0046】
シールド要素34は、第1スリーブ部52により画成された第1開口部と、第2スリーブ部53により画成された第2開口部とを有する軸方向通路を画成している。第1開口部を画成している第1スリーブ部52は、第2開口部を画成している第2スリーブ部53に対向して配置されている。第1のシールドされた電気ケーブル1は、第1スリーブ部52により画定された第1開口部を通ってスリーブ要素34内にガイドされる。第2及び第3のシールドされた電気ケーブル10,19は、第2スリーブ部53により画成された第2開口部を通ってシールド要素34内にガイドされる。
【0047】
ハウジング35は、また、第1開口部54及び第2開口部55を有する軸方向通路も画成している。第1及び第2の開口部54,55は、互いに対向した側に配置されている。第1のシールドされた電気ケーブル1は、第1開口部54を通ってハウジング35内にガイドされる。第2及び第3のシールドされた電気ケーブル10,19は、第2開口部55を通ってハウジング35内にガイドされる。
【0048】
図3~
図10は各々、シールドされた電気ケーブル組立体を製造するための様々な製造ステップの後のシールドされた電気ケーブル組立体の上面図を開示している。
【0049】
第1ステップにおいて、第1のシールドされた電気ケーブル1、第2のシールドされた電気ケーブル10、及び、第3のシールドされた電気ケーブル19が提供される。第1、第2及び第3の絶縁ジャケット9,18,27を、第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19の端部セクションにおいて軸方向に部分的に除去して、それぞれの第1、第2及び第3のシールド導体8,17,26を露出させる。さらに、それぞれの第1及び第2のワイヤ2,5,11,14,20,23の端部セクションも露出される。これらの端部セクションにおいて、第1及び第2のワイヤ2,5,11,14,20,23の絶縁カバー4,7,13,16,22,25が軸方向に部分的に除去されて、それぞれの導体3,6,12,15,21,24が露出される。第1、第2及び第3の絶縁ジャケット9,18,27が、第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19のそれぞれの端部セクションから、それぞれの第1、第2及び第3の絶縁ジャケット9,18,27の上に引き戻される。
【0050】
次いで、第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19の第1ワイヤ2,11,20を互いに導電接合させて第1接合部28を形成する。また、第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19の第2ワイヤ5,14,23を互いに導電接合させて第2接合部29を形成する。
【0051】
図3は、これらの製造ステップ後の、製造の第1段階を開示している。
【0052】
次のステップでは、第1絶縁シェル31を、第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19の端部セクション上に配置して、第1及び第2の接合部28,29を覆う。第1絶縁シェル31の壁部33は、第1接合部28と第2接合部29との間に位置決めされて、第1及び第2の接合部28,29間の意図しない電気接触を回避する。
【0053】
図4は、これらの製造ステップ後の、製造の第2段階を開示している。
【0054】
続いて、第2絶縁シェル32を第1絶縁シェル31に接続し、第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19の端部セクション上に位置決めされて、第1及び第2の接合部28,29を覆う。
【0055】
図5は、これらの製造ステップ後の、製造の第3段階を開示している。
【0056】
次のステップでは、第1シールド導体8が、第1電気ケーブル1の端部セクションに向かって押し進められて、内側絶縁体30の第1スリーブ部39を少なくとも軸方向に部分的に覆う。第2シールド導体17が、第2電気ケーブル10の端部セクションに向かって押し進められて、内側絶縁体30の第2スリーブ部40を少なくとも軸方向に部分的に覆う。また、第3シールド導体26が、第3電気ケーブル19の端部セクションに向かって押し進められて、内側絶縁体30の第3スリーブ部41を少なくとも軸方向に部分的に覆う。
【0057】
図6は、これらの製造ステップ後の、製造の第4段階を開示している。
【0058】
その後、シールド要素34が内側絶縁体30上に押し込まれ、内側絶縁体30を覆い、シールド要素34は、第1、第2及び第3のシールド導体8,17,26に電気的に接触する。
【0059】
これらの製造ステップ後の第5段階が
図7に見られる。
【0060】
さらなるステップにおいて、第1のシールドされた電気ケーブル1の第1絶縁ジャケット9の周りに配置されている第1ケーブルブッシング42が、そのタブ45を用いて軸方向において内側絶縁体30の第1スリーブ部39上に押し付けられて、シールド要素34を第1シールド導体8上にクランプする。
【0061】
第2絶縁ジャケット18の周囲及び第3絶縁ジャケット27の周囲に配置された第2ケーブルブッシング43は、そのタブ49を用いて軸方向において内側絶縁体30の第2スリーブ部40及び第3スリーブ41上に押し付けられて、シールド要素34を第2シールド導体17及び第3シールド導体26上にクランプする。
【0062】
これらの製造ステップ後の第6段階が
図8に示されている。
【0063】
そして、第1のシールドされた電気ケーブル1上に配置されたハウジング35がシールド要素34上に押し付けられて、シールド要素34の全体と第1及び第2のケーブルブッシング42,43を覆う。
【0064】
図9に、シールドされた電気ケーブル組立体の製造の第7段階が示されている。
【0065】
最後に、第1シーリング要素36及び第2シーリング要素37を、ハウジング35の第1開口部54及び第2開口部55に配置する。同封の実施形態では、第1及び第2のシーリング要素36,37は、ハウジング35の収容チャンバ50,51にポッティング化合物を射出成形することにより製造される。
【0066】
シールドされた電気ケーブル組立体を製造する最後の第8段階を
図10に示す。
【0067】
図11は、本発明によるシールドされた電気ケーブル組立体の第2実施形態を開示している。第1実施形態と同一の構成要素及び要素には同じ参照番号が付され、第1実施形態に関連して説明される。
【0068】
第1実施形態とは対照的に、第2実施形態は、各々に1本のワイヤ2,11,20のみが設けられた第1、第2及び第3のシールドされた電気ケーブル1,10,19を備える。また、1本のシールドされた電気ケーブルにつき3本以上のワイヤを有する実施形態も考えられる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1のシールドされた電気ケーブル
2 第1のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤ
3 第1のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤの導体
4 第1のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤの絶縁カバー
5 第1のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤ
6 第1のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤの導体
7 第1のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤの絶縁カバー
8 第1シールド導体
9 第1絶縁ジャケット
10 第2のシールドされた電気ケーブル
11 第2のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤ
12 第2のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤの導体
13 第2のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤの絶縁カバー
14 第2のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤ
15 第2のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤの導体
16 第2のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤの絶縁カバー
17 第2シールド導体
18 第2絶縁ジャケット
19 第3のシールドされた電気ケーブル
20 第3のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤ
21 第3のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤの導体
22 第3のシールドされた電気ケーブルの第1ワイヤの絶縁カバー
23 第3のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤ
24 第3のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤの導体
25 第3のシールドされた電気ケーブルの第2ワイヤの絶縁カバー
26 第3シールド導体
27 第3絶縁ジャケット
28 第1接合部
29 第2接合部
30 内側絶縁体
31 第1絶縁シェル
32 第2絶縁シェル
33 壁部
34 シールド要素
35 ハウジング
36 第1シーリング要素
37 第2シーリング要素
38 レセプタクル
39 内側絶縁体の第1スリーブ部
40 内側絶縁体の第2スリーブ部
41 内側絶縁体の第3スリーブ部
42 第1ケーブルブッシング
43 第2ケーブルブッシング
44 第1ケーブルブッシングの分離壁
45 第1ケーブルブッシングのタブ
46 第2ケーブルブッシングの分離壁
47 スルーホール
48 スルーホール
49 第2ケーブルブッシングのタブ
50 収容チャンバ
51 収容チャンバ
52 シールド要素の第1スリーブ部
53 シールド要素の第2スリーブ部
54 第1開口部
55 第2開口部
56 シーリングリング
57 シーリングリング
58 シーリングリング
59 第1絶縁カバー
60 第2絶縁カバー
61 第3絶縁カバー