(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】廃リチウム電池の連続安全放電方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20240524BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240524BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240524BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H01M10/54
H01M10/613
H01M10/6563
B09B5/00 A ZAB
(21)【出願番号】P 2023552303
(86)(22)【出願日】2022-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022070868
(87)【国際公開番号】W WO2022193803
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】202110294016.8
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523325107
【氏名又は名称】深セン清研リチウム業科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN QINGYAN LITHIUM TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Building A1, Guangming Science And Technology Park, China Merchants Bureau, Sightseeing Road, Fenghuang Community, Fenghuang Street, Guangming District Shenzhen, Guangdong 518000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】陳 建軍
(72)【発明者】
【氏名】田 勇
(72)【発明者】
【氏名】閔 杰
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212033181(CN,U)
【文献】中国実用新案第210403964(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112216893(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111816948(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106229571(CN,A)
【文献】特開平8-306394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/54
H01M 10/613
H01M 10/6563
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃リチウム電池の連続安全放電方法であって、送り機構を用いて複数の廃リチウム電池を1つずつ導電搬送機構に送り、各廃リチウム電池を、前記導電搬送機構におけるそれぞれ閉合してリング状ベルトをなす上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に等間隔で挟持し、前記上導電搬送ベルトの内輪及び前記下導電搬送ベルトの内輪にそれぞれ間隔を置いて配列された複数の導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラが設けられ、前記複数の導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラをそれぞれ上駆動機構及び下駆動機構で駆動して同期に移動させ、且つ導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラを介して直列に接続された調整可能な抵抗、電流計及びスイッチに接続し、放電回路を形成し、これにより前記廃リチウム電池は前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトの搬送による移動過程において連続放電過程を完了する、ことを特徴とする廃リチウム電池の連続安全放電方法。
【請求項2】
前記廃リチウム電池が前記送り機構で前記導電搬送機構に送入される入口部に、視覚認識システムが設置され、前記送り機構は前記視覚認識システムの命令によって前記廃リチウム電池を電極の位置に従って前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に配置する、ことを特徴とする請求項1に記載の廃リチウム電池の連続安全放電方法。
【請求項3】
前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトは、導電層を有し、前記導電層はゴム及び導電性粉末を含み、前記導電性粉末は、導電性炭素粉末及び黒鉛負極粉末のうちの1種または2種の混合物であり、前記ゴムはフッ素ゴム又はニトリルゴム又は加硫ゴムのうちの1種または2種を混合してなり、前記導電性粉末が前記導電層の全質量の20%~60%を占め、前記ゴムが前記導電層の全質量の30%~70%を占め、前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトの抵抗率はいずれも(5.0~18.0)×10
-6Ω.mである、ことを特徴とする請求項1に記載の廃リチウム電池の連続安全放電方法。
【請求項4】
前記上導電搬送ベルトの外輪と前記下導電搬送ベルトの外輪との対向する位置に、それぞれ廃リチウム電池の正負極に合う複数の凹み又はストッパが間隔を置いて設置され、これにより前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に挟まれた各廃リチウム電池を前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトの凹み又はストッパ内に位置決めする、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の廃リチウム電池の連続安全放電方法。
【請求項5】
廃リチウム電池の放電プロセス中に発生する熱を低減するために、放電プロセスでの各前記廃リチウム電池に冷気を吹き付るための空冷システムが設置される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の廃リチウム電池の連続安全放電方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の廃リチウム電池の連続安全放電方法に基づいて設計された廃リチウム電池の連続安全放電装置であって、送り機構及び導電搬送機構を備え、前記導電搬送機構はそれぞれ閉合してリング状ベルトをなす上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトを有し、放電対象である廃リチウム電池を前記送り機構によって前記導電搬送機構に送入し、1つずつ前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に等間隔で挟持し、前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトを上下に間隔を置いて設置し、それぞれ上駆動機構及び下駆動機構で駆動して同期に移動させ、前記上導電搬送ベルトの内輪に間隔を置いて配列されて当該上導電搬送ベルトと組み合わせられた複数の導電性黒鉛押さえローラが設けられ、前記下導電搬送ベルトの内輪に間隔を置いて配列されて当該下導電搬送ベルトと組み合わせられた複数の導電性黒鉛受けローラが設けられ、前記導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは、直列に接続された調整可能な抵抗、電流計及びスイッチに接続され、前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に挟持された各廃リチウム電池とともに放電回路を形成する、ことを特徴とする廃リチウム電池の連続安全放電装置。
【請求項7】
前記廃リチウム電池が前記導電搬送機構に送入される入口部に、前記送り機構によって前記廃リチウム電池を電極の位置に従って前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に配置する視覚認識システムが設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の廃リチウム電池の連続安全放電装置。
【請求項8】
前記上導電搬送ベルトの外輪と前記下導電搬送ベルトの外輪との対向する位置に、それぞれ廃リチウム電池の正負極に合う複数の凹み又はストッパが間隔を置いて設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の廃リチウム電池の連続安全放電装置。
【請求項9】
前記導電搬送機構は、前記廃リチウム電池を送入する入口部に各前記廃リチウム電池を配置しやすい導入角が設けられ、前記廃リチウム電池の出口部に、放電を完了した各前記廃リチウム電池が落下しやすい導出角が設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の廃リチウム電池の連続安全放電装置。
【請求項10】
空冷システムをさらに備え、前記空冷システムは、放電中の前記廃リチウム電池を急速に降温するために、冷気を前記導電搬送機構で移動している前記廃リチウム電池へ吹き付けるための複数の送風口を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の廃リチウム電池の連続安全放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃リチウム電池の回収技術の分野に関し、特に廃リチウム電池の連続安全放電方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウム電池は大量の廃棄回収の問題に直面している。しかしながら、廃棄された廃リチウム電池にはまだ一定の残留電力があり、適切に放電しないと、電池の積み重ねプロセスや処理プロセスで爆発的な燃焼事故が発生しやすくなっている。
【0003】
塩水溶液を用いて廃リチウム電池に安全な放電を実現することは、従来技術では広く採用されている方法の一つとなっている。しかしながら、塩水放電にも比較的深刻な環境汚染問題があり、例えば、大量のガスが発生すると周辺環境に二次汚染が発生する。塩水で複数回放電した後、塩水溶液は、廃リチウム電池中のスチールケース、アルミケース、正極アルミ箔、負極銅箔、電極シート活物質、タブなどに深刻な電気化学的腐食を生じ、しかも大量の不純物を導入し、これらの不純物は危険な廃棄物であり、二次汚染を生じることがある。同時に、複数回の放電後の塩水溶液には、多くの場合、茶色の綿状沈殿物が多く含まれており、これらの物質は廃リチウム電池で破壊および選別され、正極と負極の混合物、つまり黒色粉末は、その後の有価金属の不純物除去と精製に大きな影響を与え、プロセスフローは複雑であり、より多くの他の化学薬品の使用、廃水処理量の増加、不純物除去のコストが大幅に増加しまう。
【0004】
中国特許文献にはリチウム電池のクリーン放電設備及び方法を開示している。当該設備及び方法は、二回の放電方式を採用し、複数の中間変換機構を必要とし、構造が複雑で、敷地面積が大きく、且つ二回目の放電は、外付けの導電剤の塗布によって実現する必要があるが、廃電池の正負極の短絡溝内に導電剤がスムーズに入るにくく、個々の単一セルの導通効果が十分に確保できず、放電効率が低く、長時間使用後の廃電池の正、負極表面には不明な有機、無機汚染物が大量に吸着し、導電剤の導通に大きな影響があり、効果的な放電を保証することは難しい。また、導電剤の使用量が多く、循環不可能であるとともに、新たな不純物化学成分を導入すると、後続の廃リチウム電池の有価化学成分の分離と選別が困難になっている。さらに、廃リチウム電池は、互いに積み重ねられている場合に材料供給及び放電を行うため、正負の衝突や接触が発生しやすく、燃焼や爆発の事故につながる可能性がある。
【0005】
また、中国特許文献には、廃円筒型リチウムイオン電池放電装置及びその放電方法が開示されている。その中でも、特殊金属材料からなる複合ボードはコストが高く、放電あたりの電池の数が制限されており、廃電池の材料供給と材料排出が非常に不便であり、作業効率が低い。
【0006】
電池の急速放電を達成するために放電媒体として導電性マイカ粉末を使用する廃リチウム電池急速放電装置もある。しかし、導電性マイカ粉末は微細で、比表面積が大きく、吸着性が非常に強く、単一セルの表面に吸着しやすく、放電後、大量の水で洗浄する必要がある。同時に、導電性マイカ粉末中の導電性成分は、単一セルの正極と負極の短絡溝に不純物としてしっかりと蓄えられ、後続の電池の選別と精製の難しさが増し、分離精製プロセス及び運行コストが大幅に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の不足を克服するために、放電が十分で、完全で、一度に廃リチウム電池の放電過程を完了できて、量産化、連続化、自動化ができて、しかもプロセスが簡単で、コストが低くて、工業化生産を実現できる廃リチウム電池の連続安全放電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による廃リチウム電池の連続安全放電方法は、送り機構を用いて複数の廃リチウム電池を1つずつ導電搬送機構に送り、各廃リチウム電池を等間隔で前記導電搬送機構におけるそれぞれ閉合してリング状ベルトをなす上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に挟持させ、前記上導電搬送ベルトの内輪及び前記下導電搬送ベルトの内輪にそれぞれ間隔を置いて配列された複数の導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラが設けられ、且つ複数の導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラをそれぞれ上駆動機構及び下駆動機構で駆動して同期に移動させ、且つ導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラを介して直列に接続された調整可能な抵抗、電流計及びスイッチに接続し、放電回路を形成し、前記廃リチウム電池は、前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトの搬送による移動過程において連続放電過程を完了する。
【0009】
上記方法において、前記廃リチウム電池が前記送り機構で前記導電搬送機構に送入される入口部に、視覚認識システムを設置してもよく、これにより前記送り機構は、前記視覚認識システムの命令によって前記廃リチウム電池を電極の位置に従って前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に配置する。
【0010】
上記方法において、前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトは、導電層を有し、前記導電層はゴム及び導電性粉末を含み、前記導電性粉末は、導電性炭素粉末及び黒鉛負極粉末のうちの1種または2種の混合物であり、前記ゴムはフッ素ゴム又はニトリルゴム又は加硫ゴムのうちの1種または2種を混合してなり、前記導電性粉末が前記導電層の全質量の20%~60%を占め、前記ゴムが前記導電層の全質量の30%~70%を占め、前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトの抵抗率はいずれも(5.0~18.0)×10-6Ω.mである。
【0011】
上記方法において、前記上導電搬送ベルトの外輪と前記下導電搬送ベルトの外輪との対向する位置に、それぞれ廃リチウム電池の正負極に合う凹み又はストッパを間隔を置いて複数設置し、前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に挟まれた各廃リチウム電池を前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトの凹み又はストッパ内に位置決めする。
【0012】
上記方法において、廃リチウム電池の放電プロセス中に発生する熱を低減するために、放電プロセスでの各前記廃リチウム電池に冷気を吹き付る空冷システムをさらに設置してもよい。
【0013】
本発明は上記廃リチウム電池の連続安全放電方法に基づいて設計された装置をさらに提供し、送り機構及び導電搬送機構を備え、前記導電搬送機構はそれぞれ閉合してリング状ベルトをなす上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトを有し、放電対象である廃リチウム電池を前記送り機構によって前記導電搬送機構に送入し、1つずつ前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に等間隔で挟持し、前記上導電搬送ベルト及び前記下導電搬送ベルトを上下に間隔を置いて設置し、それぞれ上駆動機構及び下駆動機構で駆動して同期に移動させ、前記上導電搬送ベルトの内輪に間隔を置いて配列されて当該上導電搬送ベルトと組み合わせられた複数の導電性黒鉛押さえローラが設けられ、前記下導電搬送ベルトの内輪に間隔を置いて配列されて当該下導電搬送ベルトと組み合わせられた複数の導電性黒鉛受けローラが設けられ、前記導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは直列に接続された調整可能な抵抗、電流計及びスイッチに接続され、前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に挟持された各廃リチウム電池とともに放電回路を形成する。
【0014】
上記装置において、前記廃リチウム電池を前記導電搬送機構に送入する入口部に、前記送り機構によって前記廃リチウム電池を電極の位置に従って前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に配置させるための視覚認識システムが設けられてもよい。
【0015】
上記装置において、前記上導電搬送ベルトの外輪及び前記下導電搬送ベルトの外輪との対向する位置に、それぞれ間隔を置いて廃リチウム電池の正負極に合う複数の凹み又はストッパが設けられてもよい。
【0016】
上記装置において、前記導電搬送機構は、前記廃リチウム電池を送入する入口部に各前記廃リチウム電池を配置しやすい導入角が設けられ、前記廃リチウム電池の出口部に、放電を完了した各前記廃リチウム電池が落下しやすい導出角が設けられる。
【0017】
上記装置において、空冷システムをさらに備え、前記空冷システムは、放電中の前記廃リチウム電池を急速に降温するために、冷気を前記導電搬送機構で移動している前記廃リチウム電池へ吹き付ける複数の送風口を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の技術的効果を有する。
(1)本発明は、廃リチウム電池を閉合して等間隔を置いて設置された上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に挟持させ、これにより廃リチウム電池は、上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの搬送による移動過程において1つずつ放電過程を完了し、廃リチウム電池の量産化および連続放電処理を実現し、廃リチウム電池の放電を自動化し、廃リチウム電池の放電効率を大幅に向上させるだけでなく、各廃リチウム電池の放電が一度に完了し、放電が完全かつ十分であり、良好な放電効果がある。
(2)本発明は、廃リチウム電池を上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に移動する過程において廃リチウム電池が間隔を置いて設置されることにより、廃リチウム電池の放電過程の安全性を効果的に確保する。上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの長さと移動速度を必要に応じて設定することができ、廃電池の放電時間と速度を調整することができ、調整可能な抵抗によって放電時間及び放電速度を調整制御することによって、生産効率と安全性を向上させることができる。
(3)本発明は、導電搬送機構に利用された上導電搬送ベルト、下導電搬送ベルト、導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは、廃リチウム電池を搬送して放電させる移動部材としてもよいし、放電回路における導電素子としてもよい。また、各部材は安価で入手しやすい黒鉛導電性材料を採用しており、放電プロセスにおいて新しい不純物が導入されないため、放電の完全性が保証されるだけでなく、廃リチウム電池の回収コストも削減される。
(4)本発明は、放電過程全体において、物理的方法を採用して、放電設備の設計構造及び達成された導電性を最大限に活用し、任意の化学原料を必要としなくて、市場の主流技術である塩水放電において大量の廃ガスと液体などによる環境汚染現象の発生を回避し、二次汚染を引き起こさないため、放電過程は環境に優しい。
(5)本発明は、簡便な工程と低コストを有し、廃リチウム電池の放電工程の効率及び安全性を向上させ、工業的な大量生産に資するものである。
【0019】
本発明の方法は、現在の産業のニーズを満たし、非常に広範囲の応用見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。ここで記載の実施例は本発明を解釈するためのものだけで、本発明を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0022】
本発明の実施例は、まず、廃リチウム電池の連続安全放電方法を提供し、送り機構を採用して複数の放電対象である廃リチウム電池を1つずつ導電搬送機構に送入し、前記導電搬送機構は上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトを備え、前記上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトは、いずれも閉合したリング状ベルトであり、上下に間隔を置いて設置し、その間隔により、複数の放電対象である廃リチウム電池が上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に挟持され、前記上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトをそれぞれ上駆動機構及び下駆動機構で駆動して同期に移動させ、上導電搬送ベルトの内輪に、間隔を置いて配列された複数の導電性黒鉛押さえローラが設けられ、同時に、下導電搬送ベルトの内輪に、それぞれ間隔を置いて配列された複数の導電性黒鉛受けローラが設けられ、導電性黒鉛押さえローラと導電性黒鉛受けローラとは対向して設置され、両者の中心は同一の直線上にあり、導電性黒鉛押さえローラの周辺と導電性黒鉛受けローラの周辺とはそれぞれ上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトに接するとともに、上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトと組み合わせて回転する。同時に、導電性黒鉛受けローラ及び導電性黒鉛押さえローラがそれぞれ直列に接続された調整可能な抵抗、電流計及びスイッチに接続されることにより、下導電搬送ベルト、各廃リチウム電池、上導電搬送ベルトとともに放電回路を形成する。好ましい態様としては、放電対象である廃リチウム電池は、上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に搬送されるとき、その軸方向中心と導電性黒鉛受けローラ及び導電性黒鉛押さえローラの中心とは同一の直線にあり、その間隔が導電性黒鉛受けローラ及び導電性黒鉛押さえローラの間隔を置いて配列された間隔と一致することにより、各廃リチウム電池が上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間にある場合、その底端が導電性黒鉛受けローラによって支持され、頂端が導電性黒鉛押さえローラによって挟圧され、移動している過程において始終に上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に挟持され、且つ、同一の直線に設置された導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは、最小の押さえ力で廃リチウム電池をしっかりと押さえ、廃リチウム電池が移動中に転倒しないようにすることができる。このように、放電対象である廃リチウム電池が送り機構によって導電搬送機構に送入されるとき、1つずつ間隔を置いて導電性黒鉛受けローラと導電性黒鉛押さえローラとで上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に挟持され、且つ上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの連動により、絶えず移動しているうちに放電過程を次第に完了する。本発明の上記方法は、廃リチウム電池の自動化、量産化、連続の放電処理を実現し、移動中に一度に放電を完了することができる。同時に、廃リチウム電池を連動して移動させる部材である、上導電搬送ベルト、下導電搬送ベルト、導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラはいずれも導電素子であり、つまり、上導電搬送ベルト、下導電搬送ベルト、導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは、廃リチウム電池を放電過程において連動して移動させる部材としてもよいし、導電部材としてもよい。これにより放電設備全体はいずれも導電性能を有し、廃リチウム電池の放電を確実に確保する。そして、リチウム電池の正負極と上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトとの接触面積が大きく、且つ導電性黒鉛押さえローラと導電性黒鉛受けローラとの対向設置によって各廃リチウム電池を上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間にしっかりと挟持し、廃リチウム電池が移動中に転倒しないようにすることができるとともに、放電回路は放電プロセス中にスムーズであり、各廃リチウム電池の放電が確実かつ十分に保障されているとともに、優れた放電効果がある。また、各廃リチウム電池は上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に配置され、これにより各単一リチウムセルの間に有効な間隔を形成することにより、各リチウム電池が互いに衝突することによる安全上の懸念を回避し、持続的な放電時間を確保することができ、一般的には2~4時間で、電池の残留電圧は1.0ボルトの安全電圧を下回り、安全性が高く、放電効率が高いなどの特徴がある。且つ、上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの長さと移動速度は、放電の必要に応じて設定されることができ、廃リチウム電池の放電時間と速度を調整することができ、調整可能な抵抗によって放電時間及び放電速度を調整することもできる。同時に、本発明の方法は、プロセスが簡単で、低コストで、上記各部材からなる連続放電設備は、化学工業原料を一切必要とせず、塩水放電による大量の排気廃液の発生などの環境汚染現象を回避し、二次汚染を発生せず、環境に配慮し、廃リチウム電池の放電過程の効率と安全性を高め、現在の廃リチウム電池回収産業の需要を満たし、工業化・大規模生産に有利である。
【0023】
本発明による方法の具体的な実施形態において、廃リチウム電池が送り機構で導電搬送機構に送入される廃リチウム電池の入口部に、視覚認識システムを設置することができ、視覚認識システムにおける画像取得装置CCDによって、送り機構でピックアップされた廃リチウム電池を画像信号に変換して、画像処理システムに伝送し、画像処理システムは画像信号に基づいてリチウム電池の外観及びサイズ特徴をすばやく識別し、サイズに基づいてリチウム電池の正極と負極を区別し、そして、送り機構に制御命令を送信することにより、送り機構は材料取得クランプによって廃リチウム電池を電極の位置に従って上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に配置する。視覚認識システムを採用して、送り機構による自動供給により、手動を必要とせずに、廃リチウム電池の正極と負極を迅速かつ効率的に識別でき、手動配置誤差によって引き起こされる潜在的な安全上の問題を回避し、高精度、高安全性、優れた操作性の特性を備えている。生産効率と廃リチウム電池の放電自動化の程度を大幅に向上させることができ、電池放電移動プロセスの安全性と安定性の向上に役立つ。
【0024】
本発明による方法の具体的な実施形態において、前記上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトは、ベルトコアと導電層とから構成されてもよく、前記ベルトコアは、単層で縦方向に配置された鋼線ロープから構成され、前記導電層は、ゴム及び導電性粉末を含み、前記導電層は、ゴム、導電性粉末及び添加剤をプレス又は混合することにより構成されていてもよい。前記導電性粉末は導電性炭素粉末及び黒鉛負極粉末のうちの1種または2種の混合物であり、前記ゴムはフッ素ゴム又はニトリルゴム又は加硫ゴムのうちの1種または2種を混合してなり、前記導電性粉末が前記導電層の全質量の20%~60%を占め、前記ゴムが前記導電層の全質量の30%~70%を占め、残りの添加剤は、フタル酸ジブチル、3~5mmの短炭素繊維などを採用することができる。前記上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの抵抗率はいずれも(5.0~18.0)×10-6Ω.mであり、良い導電性を有し、導電性黒鉛の導電性能と同様である。前記導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは、黒鉛材料をプレスし高温処理してなり、廃リチウム電池から回収された負極黒鉛粉末を採用することができ、製造コストを削減し、リソースを節約できる。導電性黒鉛押さえローラ及び導電性黒鉛受けローラは高導電性を有するとともに、耐食性、高温耐性、高強度、軽量などの特徴を有する。
【0025】
本発明による方法の具体的な実施形態において、前記上導電搬送ベルトの外輪及び前記下導電搬送ベルトの外輪との対向する位置に、つまり上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの、各廃リチウム電池と接触する外側に、それぞれ規則的に配列された複数の凹み又はストッパが間隔を置いて設置され、凹み又はストッパの周辺サイズは、円筒形タイプ18650、円筒形タイプ26650、正方形リチウム電池などの廃リチウム電池のモデルに合わせることができ、且つ互いに位置合わせすることにより、前記上導電搬送ベルトと前記下導電搬送ベルトとの間に挟まれた各廃リチウム電池は嵌め込まれ、前記上導電搬送ベルト及び下導電搬送ベルトの凹み又はストッパ内に位置決めされ、これにより、各廃リチウム電池は、搬送中に始終に上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの間に安定的に挟まれ、垂直状態を保ち、転倒現象を起こさないことで、このように廃リチウム電池は始終に上導電搬送ベルトと下導電搬送ベルトとの接触を保つことができ、放電プロセスの円滑な進行を確保すると同時に、搬送中の安全も保証する。
【0026】
本発明による方法の具体的な実施形態において、空冷システムをさらに設置してもよく、空冷システムによって、廃リチウム電池の放電熱管理を効果的に制御することができる。具体的には、前記空冷システムには、廃リチウム電池の放電プロセス中に発生する熱を低減するために、搬送中の各廃リチウム電池に位置合わせて、冷気を放電過程における廃リチウム電池に吹き付けることにより、放電過程における安全性をさらに確保するための複数の送風口が設置されている。
【0027】
図1を参照されたい。本発明は、上記方法に基づいて廃リチウム電池の連続安全放電装置を設計し、前記廃リチウム電池の連続安全放電装置は送り機構2及び導電搬送機構4を備え、前記送り機構2の具体的な実施例において、ベース23、回動アーム22及び材料取得クランプ21を備え、ベース23は、送り機構2全体を支持することに用いられ、回動アーム22の一端がベース23にヒンジ接続され、ベース23の周りを回転することができ、他端は材料取得クランプ21の一端にヒンジ接続され、且つ材料取得クランプ21を連動して回転させることができる。材料取得クランプ21は、回動アーム22の周りを回転することができ、これにより材料取得クランプ21は複数の自由度を有し、廃リチウム電池3の送り要件を満たすことができる。材料取得クランプ21の他端は、廃リチウム電池3を導電搬送機構4における等間隔で設置された配置位置に1つずつ自動的に送入することができるロボットアームを有する。前記導電搬送機構4は上下に間隔を置いて設置された上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411を備え、前記上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411はそれぞれ閉合して設置されたリング状ベルトであり、2つのリング状ベルトの間の対向する表面の間隔により廃リチウム電池を上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間に挟持する。前記上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411は具体的に前記方法に記載のベルトコア及び導電層から構成されてもよく、ベルトコアは単層で縦方向に配列された鋼線ロープから構成され、導電層はベルトコアに被覆されてもよいし、又はベルトコアと混合してもよい。導電層は、ゴム、導電性粉末及び添加剤を上記に記載の配合割合で混合してなり、上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411の抵抗率は(5.0~18.0)×10
-6Ω.mである。前記上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411をそれぞれ上駆動機構及び下駆動機構で駆動して同期に移動させ、前記上駆動機構はそれぞれ上導電搬送ベルト421の前、後端(廃リチウム電池の入口部及び出口部)に設けられた上駆動輪426及び上従動輪425を含み、下駆動機構はそれぞれ下導電搬送ベルト411の前、後端に設けられた下駆動輪416及び下従動輪418を含む。上駆動輪426及び下駆動輪416を動力機構の連動によって同期回転させることができ、その動力機構はガバナステッピングモータ415を含み、ガバナステッピングモータ415は伝動機構(未図示)によってそれぞれ上駆動輪426及び下駆動輪416に連結され、動力を上駆動輪426及び下駆動輪416に伝達することができ、上駆動輪426及び下駆動輪416を同期回転させることにより、さらに上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411を連動して同期移動させ、同時に上導電搬送ベルト421内の各導電性黒鉛押さえローラ422及び下導電搬送ベルト411内の導電性黒鉛受けローラ412と組み合わせて回転させる。本発明の上記構造の設置において、上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411のリング状長さ、上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間の間隔及び導電性黒鉛押さえローラ421、導電性黒鉛受けローラ412の数量及び配列は実際の生産中の需要と放電要求に基づいて確定されることができ、10~35個の単一廃リチウムセルを収容することができる。且つ、動力機構はガバナモータを採用することにより、上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411の移動速度は放電の必要に基づいて調整されてもよく、これにより廃リチウム電池3が移動中に一度で十分に放電できるようになり、放電の要求を満たすだけでなく、非常に便利である。
【0028】
本発明の装置の好ましい態様として、各前記導電性黒鉛押さえローラ422と各導電性黒鉛受けローラ412とは対向して設置され、中心が同一の直線上にあり、廃リチウム電池3は、導電性黒鉛押さえローラ422と各導電性黒鉛受けローラ412との間の上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間に挟まれる場合、同一の直線に設置された導電性黒鉛押さえローラ422及び導電性黒鉛受けローラ412は、最小の押さえ力で廃リチウム電池3をしっかりと押さえることができ、廃リチウム電池3が移動中に転倒することを回避する。操作者の安全を保護するために、各導電性黒鉛押さえローラ422及び導電性黒鉛受けローラ412の外への両側端に、それぞれ押さえローラ絶縁保護スリーブ423及び受けローラ絶縁保護スリーブ413が嵌設される。導電性黒鉛押さえローラ422及び導電性黒鉛受けローラ412の軸方向中心に、それぞれ導電可能な上バインディングポスト424及び下バインディングポスト414が設けられ、前記上バインディングポスト424及び下バインディングポスト414はリード線を介してスイッチS1、電流計A及び調整可能な抵抗Rと直列に接続され、各廃リチウム電池3が1つずつ上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間に間隔を置いて挟まれるとき、スイッチS1、電流計A、調整可能な抵抗Rは上バインディングポスト424及び下バインディングポスト414によって導電性黒鉛押さえローラ422、導電性黒鉛受けローラ412、上導電搬送ベルト421、下導電搬送ベルト411及び各廃リチウム電池と直列に接続され、放電回路を形成する。上記放電回路は調整可能な抵抗を採用して、放電時間及び放電速度を調整することができ、廃リチウム電池3の放電が十分で完全であることをできるだけ保証する。
【0029】
図1を参照されたい。本発明による装置の具体的な実施形態において、送り機構2と導電搬送機構4との間に、材料箱9が設けられ、複数の放電対象であるリチウム電池は材料箱9内に均一に配置され、送り機構2のピックアップが易くなり、導電搬送機構4の後端に、排出キャビティ6が設けられ、放電し終わった廃リチウム電池3は当該排出キャビティ6内に自動に落下することができる。前記導電搬送機構4は導電性黒鉛固定床8に設置され、導電搬送機構4、動力機構、駆動機構及び他の部材などを支持することに用いられ、導電性黒鉛固定床8も導電性および熱伝導性の黒鉛をプレスしてなり、放電性を高めるための補助導電素子として用いることができるとともに、廃リチウム電池3の放熱を助長する。導電性黒鉛固定床8を機械ベースとし、地面に接触する支持脚の底部に絶縁保護パッド7が設けられ、放電過程の安全性を確保し、作業者への傷害を避ける。
【0030】
さらに、
図1を参照されたい。本発明による装置の具体的な実施形態において、廃リチウム電池3を導電搬送機構4に送入する入口部に、視覚認識システム1が設けられてもよい。視覚認識システム1における画像取得装置CCDにより、送り機構2の材料取得クランプ21は材料箱9から廃リチウム電池3をピックアップするとき、材料取得クランプ21での電池の正極と負極を認識することができ、そして、中央コントローラ(未図示)により送り機構2に制御命令を送信することにより、材料取得クランプ21はピックアップされた廃リチウム電池3を1つずつ電極の位置に従って上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間に配置し、配置誤差による安全上の懸念を避ける。
【0031】
図1を参照されたい。本発明による装置の具体的な実施形態において、前記上導電搬送ベルト421の外輪と下導電搬送ベルト411の外輪との対向する位置に、つまり上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との廃リチウム電池3を挟持する外側に、それぞれ規則的に配列された複数の凹み又はストッパ(
図1の実施例に示されるものは凹みである)が間隔を置いて設置され、その凹みは上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411の外側から内へ凹んでいる。上導電搬送ベルト421に廃リチウム電池3の正極と合わせる上凹み420又は上ストッパが設置され、下導電搬送ベルト411に廃リチウム電池3の負極と合わせる下凹み417又は下ストッパが設置され、上凹み420又は上ストッパ及び下凹み417又は上ストッパが廃リチウム電池3の型番と一致しており、且つ互いに位置合わせし、廃リチウム電池3が移動するとき上凹み420又は下ストッパ及び下凹み417又は上ストッパ内に嵌め込まれて位置決めされる。好ましい手段として、上凹み420又は上ストッパ及び下凹み417又は下ストッパの設置位置はそれぞれ導電性黒鉛押さえローラ422及び導電性黒鉛受けローラ412に位置合わせられ、つまり上凹み420又は上ストッパ及び下凹み417又は下ストッパの設置中心と導電性黒鉛押さえローラ422及び導電性黒鉛受けローラ412の中心とは同一の直線にあり、これにより導電性黒鉛押さえローラ422及び導電性黒鉛受けローラ412は上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411によって移動している廃リチウム電池3に押し付けられることができ、挟持効果が良い。廃リチウム電池3の移動中の有効な間隔を実現することができ、廃リチウム電池を積み重ねた際に正負極の衝突や接触による燃焼、爆発事故を起こしやすいことを避けるだけでなく、廃リチウム電池3の移動放電中の転倒を防止することができ、これにより廃リチウム電池3の放電過程の信頼性及び安定性を確保することができる。さらに導電性黒鉛押さえローラ422と導電性黒鉛受けローラ412との間の挟持力により、各廃リチウム電池3が移動過程において始終に上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411との接触を保持し、電流がスムーズな放電閉回路を形成し、各廃リチウム電池3の放電の完全、確実性を保証する。前記上凹み420及び下凹み417は、
図1に示される上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411の外側に内へ開口する凹溝、又は弧状溝であってもよいし、他の凹み構造であってもよい。前記ストッパは上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との外側に外方に突出する少なくとも2つのストッパであり、ストッパは固定設置または調節設置が可能で、高さは廃リチウム電池3の高さの1/10~1/5であり、接続具により上導電搬送ベルト421及び下導電搬送ベルト411の外側に固定され、廃リチウム電池の様々な異なる仕様に適合させ、本発明の装置の使用の汎用性を向上させることができるように、廃リチウム電池3の型番に基づいて固定位置を調整することができる。廃リチウム電池3が上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間に安定的に挟まれることを確保することができる限り、凹み又はストッパの他の構造と類似する設計は、いずれも本発明の保護範囲に属することが理解される。
【0032】
図1を参照されたい。本発明による装置の具体的な実施形態において、廃リチウム電池3が上導電搬送ベルト421と下導電搬送ベルト411との間に送入される入口部に、導入角αが設けられ、各廃リチウム電池3の配置を容易にする。廃リチウム電池3の出口部に導出角βが設けられ、放電を完了した各廃リチウム電池3の落下を容易にし、前記導入角α及び導出角βがいずれも75°よりも小さい。具体的な構造の実施例において、廃リチウム電池3の入口部、上導電搬送ベルト421のリング状ベルトの内輪の前端にフロントテンショナ427が設置されてもよく、フロントテンショナ427は入口部の第1の導電性黒鉛押さえローラ422に近接して設置され、且つ上駆動輪426と第1の導電性黒鉛押さえローラ422との間に位置し、同時に、上駆動輪426の設置高さをフロントテンショナ427よりも高くし、上導電搬送ベルト421の前端に導入角αを形成する。フロントテンショナ427と上駆動輪426との組み合わせ設置により、上導電搬送ベルト421の前端での移動方向(斜め移動が水平移動に変換される)を改変することができ、同時にテンション機構を構成することができることにより、上導電搬送ベルト421の前端全体が崩壊することなくまっすぐになり、締め付けられ、これにより上導電搬送ベルト421が前端で異なる角度の方向転換を生成し、下導電搬送ベルト411とともに廃リチウム電池3の入口部に導入角αを形成し、送り機構2の材料取得クランプ21が廃リチウム電池3を下導電搬送ベルト411に送入することに有利であり、上導電搬送ベルト421に対する衝突を避ける。同様に、廃リチウム電池3の出口部において、上導電搬送ベルト421のリング状ベルトの内輪の後端に、リアテンショナ428が設置され、リアテンショナ428が上導電搬送ベルト421のリング状ベルトの後端の上従動輪425と最後の導電性黒鉛押さえローラ422との間に設けられ、同時に、上従動輪425の設置高さがリアテンショナ428よりも高いようにする。このように、リアテンショナ428と上従動輪425との組み合わせ設置により、上導電搬送ベルト421の後端での移動方向を改変することができ、同時にフロントテンショナ427とともに締め付けられ、フロントテンション機構及びリアテンション機構を形成し、リング状の上導電搬送ベルト421全体が崩壊することなくまっすぐになり、締め付けられ、挟持された各廃リチウム電池3とともに電流がスムーズである閉回路を形成することを確保し、且つ上導電搬送ベルト421が後端で異なる角度の方向転換を生成し、下導電搬送ベルト411とともに廃リチウム電池3の出口部に導出角βを形成する。放電し終わった後、導出角βにより、上導電搬送ベルト421が出口部の廃リチウム電池3に対する挟圧を解除し、これにより廃リチウム電池3の頂部に押圧された圧力が突然解放され、廃リチウム電池3は、自重により、下導電搬送ベルト411から排出キャビティ6内に自動に脱落する。
【0033】
図1を参照されたい。本発明による装置の具体的な実施形態において、空冷システム5をさらに備え、前記空冷システム5はコンプレッサに接続され、搬送中の各廃リチウム電池3の方向に向かって複数の送風口52が開口された送風ダクト51を備えており、送風口52が放電中の各廃リチウム電池3に冷気を吹き付けることができ、放電中の廃リチウム電池3を急速に降温し、廃リチウム電池3の放電中に発生する熱を低減し、放電中の安全を確保するために用いられる。
【0034】
本発明の上記実施例は、本発明の好ましい実施例の一部に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、本発明の本質から逸脱することなく、当業者によってなされたいかなる修正、同等の置換および改良なども、本発明の保護の範囲内にある。