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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/23 20060101AFI20240524BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240524BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61K8/23
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/891
A61Q1/00
A61Q1/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020033901
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134197
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】多田 文子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-277217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(E)を含有することを特徴とするメイクアップ化粧料。
(A)硫酸バリウム32~60質量%
(B)油剤0.1~20質量%
(C)パール光沢顔料0.1~30質量%
(D)球状粉末((C)成分を除く)0.1~20質量%
(E)平均一次粒子径0.1~1μmの酸化チタン0.4以上10質量%未満
【請求項2】
上記(D)球状粉末は、シリカ、セルロース、炭酸カルシウム、ポリウレタン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粉末、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体粉末、ナイロン末及びシリコーン末からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のメイクアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パウダーファンデーションやリキッドファンデーション等の化粧料は、肌色を整え、シミやくすみ等の色調を補正し、毛穴や小じわ等の凹凸を補正し、さらに光沢感を調整することが求められる。
【0003】
従来、肌のシミやくすみ等の色ムラをカバーするためには屈折率の高い酸化チタンを配合する技術があり、剤型に応じて、水性成分、油性成分、体質顔料等を配合してカバー力(隠蔽力)を調整し、酸化鉄等の着色剤を配合して色を調整してきた。一方、毛穴や小じわ等の凹凸を補正するためには球状粉体等を配合し、光の拡散反射効果を利用して凹凸を目立たなくする等の技術があった。更に、光沢感の調整をするためには板状の大粒径層状粉体やパール顔料等を配合して、ツヤのある化粧仕上がりを演出する技術があった。
【0004】
しかしながら、酸化チタン等の屈折率の高い粉体は、シミやくすみ等の色ムラをカバーできるが、顔の広範囲に多く使用すると厚塗り感が生じ、不自然な仕上がりになり、かえって凹凸が目立つほか、のびが重くなる等の問題があり、素肌感のある仕上がりや立体感のある仕上がりが得られにくかった。
【0005】
特許文献1は、板状粉体に酸化チタンを被覆した粉体と屈折率が1.5以上2.2未満の板状粉体と屈折率が1.3以上1.5未満の球状粉体を配合した肌の凹凸補正用化粧料が開示されており、毛穴や小じわ等の肌の微小な凹凸を目立たなく補正し、自然なツヤ感の仕上がりを演出する技術が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3747369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、肌の色をナチュラルに整えつつ、素肌感があり、また、光沢感を調整して立体感のある仕上がりが得られるメイクアップ化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の成分(A)~(E)を含有することを特徴とするメイクアップ化粧料である。
(A)硫酸バリウム30~90質量%
(B)油剤0.1~20質量%
(C)パール光沢顔料0.1~30質量%
(D)球状粉末((C)成分を除く)0.1~20質量%
(E)平均一次粒子径0.1~1μmの酸化チタン10質量%未満
【0009】
上記(D)球状粉末は、シリカ、セルロース、炭酸カルシウム、ポリウレタン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粉末、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体粉末、ナイロン末及びシリコーン末からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメイクアップ化粧料は、肌の色をナチュラルに整えつつ、素肌感があり、また、光沢感を調整して立体感のある仕上がりが得られるものである。
本発明のメイクアップ化粧料に配合される硫酸バリウムは、肌のシミやくすみ、凹凸をナチュラルに整え、併用されるパール光沢顔料や球状粉末によって、更にツヤっぽく立体感があり素肌感のある仕上がりを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
化粧料用の粉体における視覚的効果は、主に可視光の透過・反射・吸収によって決定されるものであり、例えば、可視光の反射率が非常に高い顔料を使用した場合、顔料自体の透明性が低くなるため、皮膚表面の隠蔽性の高い顔料となる。このような顔料は、化粧料においても重要な役割を果たすものである一方、透明感の高い自然な仕上がりを得ることが困難となるものである。また、肌の凹凸に対してはかえって明暗の差が生じ、目立ってしまうことがある。屈折率が2.0を超え、粒径が0.1μm以上の顔料級粒子である場合、このような性質を有するものとなりやすい。
【0012】
一方、可視光の反射率が低く、透明感の高い顔料は、皮膚表面の色むらの隠蔽性が低いばかりか、肌の凹凸等を隠蔽する能力が十分に得られない場合がある。
【0013】
ところで、素肌の表層にある角層は、10~20μm程度の組織で水分を生体内に保持するのに重要な役割を果たしている。角層深部の水分量は高く、表層では低いという勾配が存在する。角層表層における水分は約20~30質量%であると言われている。角層の主成分ケラチンの屈折率は1.54、水の屈折率は1.33で、角層は水分含有量が高いほど低い屈折率を示すことが知られている。したがって屈折率1.5程度の物質で化粧膜表層を形成すると素肌表層の屈折率と近似し、素肌感のある化粧仕上がりになり、凹凸補正効果を得ることができる。しかしながら、シミやくすみを隠蔽するには事足りない場合がある。一方、屈折率が2.0より大きい顔料級粉体のみで化粧膜表層を形成すると、シミやくすみを隠蔽することができるが厚ぼったい不自然な仕上がりとなる。
【0014】
本発明の目的である肌のシミやくすみ、凹凸をナチュラルに整えるためには、可視光が肌に当たった際に適度に透過及び散乱して、肌のシミやくすみ、凹凸をぼかす必要がある。
【0015】
本発明のメイクアップ化粧料においては、(A)硫酸バリウム30~90質量%を配合する。硫酸バリウムの屈折率は1.64であるとされ、多方向への拡散反射をしやすい素材であるため、肌のシミやくすみ、凹凸をナチュラルに整えるのに優れており、メイクアップ化粧料に30~90質量%配合するとその効果が得られる。好ましくは32~60質量%、更に好ましくは35~50質量%である。配合量が30質量%未満であると、硫酸バリウムの特徴である肌をナチュラルに整える効果が発揮されず、90質量%超であると、肌に塗布した際の仕上がりにおいて、立体感を付与し難くなり、また、固形状にする場合にはメイクアップ化粧料の小道具への取れが悪くなる。
【0016】
硫酸バリウムの形状は、板状であると、肌に塗布した際の仕上がりや使用感触が良好となるため好ましい。硫酸バリウムに酸化チタンを被覆した粉体等を用いてもよい。硫酸バリウムの平均粒子径は3~30μmであることが好ましく、5~25μmであることが更に好ましい。平均粒子径が3μm未満であると、肌への塗布時のすべり性が悪くなる傾向があり、30μm超であると、透明感が高くなり、肌のシミやくすみを整えるのが難しくなる。また、固形状にする場合はメイクアップ化粧料の成型性が悪くなる傾向がある。
ここで、硫酸バリウム粉末の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡の写真上に無作為に引いた直線上にある粒子20個の最大径を平均して得られた粒子の粒子径である。
なお、本発明に用いる(A)硫酸バリウムは、(C)パール光沢顔料に該当しないものである。
【0017】
また、本発明のメイクアップ化粧料においては、(B)油剤0.1~20質量%を配合する。油剤としては、一般に化粧料に用いられる、油脂類、ロウ類、硬化油類、炭化水素類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0018】
油剤の配合量は、0.1~20質量%である。配合量が0.1質量%未満であると、肌への付着性が悪いばかりか、固形状にする場合にはメイクアップ化粧料の成型性が悪くなり、20質量%超であると、肌へ塗布した後の化粧持続性が悪くなり、固形状の場合にはメイクアップ化粧料の小道具への取れが悪くなる。
【0019】
本発明のメイクアップ化粧料は、上記硫酸バリウムの他に、(C)パール光沢顔料0.1~30質量%を配合することで、より立体感のある化粧仕上がりを演出する。パール光沢顔料は、強い反射と真珠光沢とを生じる光輝性を有する顔料であり、具体的には、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆合成金雲母等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0020】
パール光沢顔料の配合量は、0.1~30質量%であり、好ましくは1~25質量%、更に好ましくは2~20質量%である。配合量が0.1質量%未満であると、光沢感を得ることができず、30質量%超であると、光沢感が強く不自然な仕上がりとなる。
【0021】
パール光沢顔料の平均粒子径は、5~30μmであることが好ましく、10~25μmであることが更に好ましい。5μm未満であると、光沢感のある仕上がりを演出することが難しくなることがあり、30μm超であると、ギラついた不自然な仕上がりとなることがある。
【0022】
パール光沢顔料の形状は、板状であることが好ましい。板状パール光沢顔料の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡の写真上に無作為に引いた直線上にある粒子20個の最大径を平均して得られた粒子の粒子径である。
【0023】
本発明のメイクアップ化粧料は、上記成分に加えて、(D)球状粉末0.1~20質量%を配合することで、可視光の拡散反射効果を付与し、ふんわりとした化粧仕上がりになり、更に化粧料塗布時の使用感が滑らかになる。
球状粉末の配合量は1~15質量%であることが好ましい。配合量が0.1質量%未満では、ふんわりとした素肌感のある仕上がりが得られず、塗布時ののび広がりも良くない。20質量%超であると、拡散反射効果が高く、ツヤを感じにくくなり、メイクアップ化粧料の落下強度も低下する。
【0024】
球状粉末の材質は、シリカ、セルロース、炭酸カルシウム、ポリウレタン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粉末、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体粉末、ナイロン末、シリコーン末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
上記ポリウレタン粉末は、ポリウレタンからなる樹脂粉末であり、樹脂粉末を構成するポリウレタン樹脂の組成は特に限定されず任意のものを使用することができる。また、上記ポリ(メタ)アクリル酸エステル粉末は、アクリル酸アルキル(C1-C4)、メタクリル酸アルキル(C1-C4)、アクリル酸又はメタクリル酸から選択される1種又は2種以上のモノマー及び必要に応じて使用されるジビニル単量体を主体として構成される重合体をいう。また、上記エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体粉末は、エチレンとアクリル酸アルキル(C1-C4)、メタクリル酸アルキル(C1-C4)、アクリル酸又はメタクリル酸から選択される1種又は2種以上のモノマー及び必要に応じて使用されるジビニル単量体の共重合体をいう。
【0026】
球状粉末の平均粒子径は、1~20μmであることが好ましく、3~15μmであることが更に好ましい。平均粒子径が1μm未満であると、可視光の拡散反射によるふんわりとした素肌感のある仕上がりは得られるが、使用感触が悪くなる傾向がある。20μm超であると、メイクアップ化粧料の落下強度が低下する傾向がある。
ここで、硫酸バリウム粉末の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡の写真上に無作為に引いた直線上にある粒子20個の最大径を平均して得られた粒子の粒子径である。
【0027】
また、本発明のメイクアップ化粧料には、(E)平均一次粒子径0.1~1μmの酸化チタン10質量%未満を配合する。好ましくは8質量%未満である。配合量が10質量%以上であると、本発明のメイクアップ化粧料の特徴である肌のシミやくすみをナチュラルに整えることができず、隠蔽感の強い仕上がりになる。
【0028】
なお、平均一次粒子径0.1~1μmの酸化チタンは、一般的に顔料級酸化チタンと称され、白色顔料として使用されるものである。一方、平均一次粒子径0.1μm未満の微粒子酸化チタンは、一般的に透明性が高く、紫外線防御効果があるものであり、別途配合してもよい。特に、本発明のメイクアップ化粧料に平均一次粒子径0.1μm未満の微粒子酸化チタンを配合すると、上記範囲の配合量の硫酸バリウムによりメイクアップ化粧料の肌への密着性が向上し、肌上に均一な塗布膜が作られるため、UVB紫外線防御指数(SPF)が上昇する傾向が確認されている。ここで、上記平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡(TEM)により任意の粒子200個の長辺を測定し、平均して得られた粒子の粒子径である。
【0029】
また、前述した本発明に配合される硫酸バリウム、パール光沢顔料、球状粉末、酸化チタンは、官能特性の向上、化粧持続性の向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用してもよい。
【0030】
また、本発明のメイクアップ化粧料においては、一般に化粧料に用いられる粉末成分を配合することができる。具体的には、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、酸化チタン、酸化亜鉛等の粉末が例示される。官能特性の向上、化粧持続性の向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用することが好ましい。
【0031】
本発明のメイクアップ化粧料では、更に、化粧料において一般に用いられるその他の成分、例えば、多価アルコールのような水性成分、界面活性剤、薬効成分、着香剤、清涼剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、抗酸化剤、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤等を配合するものであってもよい。これらの成分の添加時期は特に限定されない。
【0032】
本発明のメイクアップ化粧料は、固形状、粉状のどちらでもよく、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ等として好適に使用することができる。特に、固形状とした場合には、本発明のメイクアップ化粧料は耐衝撃性にも優れている。
【0033】
本発明のメイクアップ化粧料は、一般的なプレス成型で製造するものであっても、湿式法によって製造するものであってもよい。
【0034】
上記湿式法としては、上記(A)~(E)及び水を含有するスラリー状組成物を調整し、これを容器に充填し、次いで水を除去する方法が好適である。製造工程において使用する揮発性溶媒として水を用いることから、溶媒の除去に特別な装置を用いる必要がない。また、水は化粧料基剤中の油剤成分と混和しないため、溶媒の除去により、成型品の表層と下層において油剤成分の濃度勾配を生じることがない。そのため、表層と下層における使用感が異ならず、また、ひび割れや収縮を起こさない点でも好ましい。
【0035】
製造工程において化粧料基剤に加える水の割合は、化粧料基剤100質量部に対して20~200質量部が好ましく、より好ましくは30~150質量部である。水の添加量が20質量部未満であると、粉体が充分に水に濡れず、不均一となり成型性が悪くなることがある。水の添加量が200質量部を超えると、水を充分に揮散させるために要する時間が長くなり生産効率が低下する傾向にある。
【0036】
上記方法は、より具体的には例えば、以下のようにして行うことができるが、この限りではない。まず、上記(A)~(E)を含有する化粧料原料を常法によって均一に混合して化粧料基剤を調整する。次いで、この化粧料基剤を水と混合してスラリー状組成物とする。次いで、このスラリー状組成物を容器に充填する。充填容器は金皿等の通常の固形粉末化粧料用容器を使用することができる。更にまた、充填時にスラリー状組成物の容器等への拡がりが悪い場合には、充填物がこぼれない程度に軽い振動を与えると均一に充填することができる。このようにして容器等に充填した後、上記スラリー状組成物から水を除去する。水の除去は常法、例えば、自然乾燥、加温乾燥、温風乾燥、真空吸引等によって行われる。これらの製造方法の詳細は特公昭57-60004号公報、特公昭61-54766号公報等に記載されている。
【実施例
【0037】
以下に、実施例を示して本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、単位の記載のない配合量はすべて質量%を表す。
【0038】
実施例に先立ち、本発明で用いた試験方法、評価方法を説明する。
(評価方法1):化粧品評価パネル20名に実施例1~6及び比較例1~5の化粧料を使用してもらい、使用時ののびの滑らかさ、仕上がり時の肌の色むらの目立ちにくさ、立体感、ふんわりとした素肌感について各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、化粧料毎に評点を付し、さらに全パネルの評点の平均点を以下の4段階の判定基準に従って判定した。
【0039】
(評価基準)
評価結果 : 評点
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
評点の平均点 : 判定
4.5以上 : ◎
3.5以上~4.5未満 : ○
1.5以上~3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0040】
(評価方法2:耐衝撃性)
実施例及び比較例の化粧料をそれぞれ5個用意し、コンパクト内に収容した状態で、40cmの高さからアクリル板上に正立方向で繰り返し5回自由落下させ、落下後の中味表面状態を目視にて以下の基準に従って4段階評価した。そして化粧料毎に評点を付し、さらにn=5の評点の平均点を以下の4段階の判定基準に従って判定した。
【0041】
(評価基準)
内容 : 評点
変化なし : 4点
僅かにヒビ割れがあるが、使用性に問題なし: 3点
ヒビ割れ、スキマ有り : 2点
大きなヒビ割れやスキマ有り : 1点
(判定基準)
n=5の評点の平均点 : 判定
3.5以上 : ◎
3.0以上~3.5未満 : ○
2.0以上~3.0未満 : △
2.0未満 : ×
【0042】
(実施例1~6、比較例1~5)
表1に示した各原料を用いて以下に示す製法に従ってメイクアップ化粧料を製造した。
【0043】
(製法)
1. 油剤成分17~21を75℃に加熱溶解し、均一に分散する。
2. 粉末成分1~16をヘンシェルミキサーで均一に分散する。
3. 2の粉末成分をヘンシェルミキサーで攪拌しながら、1の油剤成分を添加し、均一分散して化粧料基剤を得る。
4. 3の化粧料基剤を加圧成型し、パウダーファンデーションを得た。
【0044】
表1、2から明らかなように、実施例1~6のパウダーファンデーションは、使用時ののびの滑らかさ、仕上がり時の肌の色むらの目立ちにくさ、立体感、ふんわりとした素肌感、耐衝撃性において優れたものであった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
なお、表1、2の中の各成分は、以下のものを使用した。
*1 NAI-S-150 (三好化成社製)
*2 SA-タルクJA-46R (三好化成社製)
*3 SA-チタンCR-50(80%) (三好化成社製) 0.25μm
*4 SI-2チタンMT-500SA (大東化成工業社製) 35nm
*5 SIRS-4 ZnO-610 (大東化成工業社製) 35nm
*6 板状硫酸バリウムH (堺化学工業社) 7μm
*7 板状硫酸バリウムHM (堺化学工業社) 10μm
*8 Ronaflair Balance Red (メルク社製) 8μm
*9 Ronaflair Balance Yellow (メルク社製) 8μm
*10 Ronaflair Balance Blue (メルク社製) 8μm
*11 Timiron Supersilk MP-1005 (メルク社製) 6.5μm
*12 コスメシリカCQ10 (富士シリシア社製) 10μm
*13 KSP-300 (信越化学社製) 5μm
*14 ノムコートHP-100 (日清オイリオ社製)
【0048】
実施例7:パウダーファンデーション
(1)ジメチコン2.0%処理ベンガラ 0.66
(2)ジメチコン2.0%処理黄酸化鉄 2.40
(3)ジメチコン2.0%処理黒酸化鉄 0.24
(4)ジメチコン3.0%処理 セリサイト (*15) 残量
(5)ジメチコン2.0%処理 酸化チタン(80%)・タルク(20%)混合品(*3) 5.0
(6)メチコン2.0%処理 微粒子酸化チタン (*4) 5.0
(7)ハイドロゲンジメチコン4.0%処理 微粒子酸化亜鉛 (*5)3.0
(8)硫酸バリウム(*6) 40.0
(9)酸化チタン被覆マイカ(*16) 3.0
(10)球状シリカ (*12) 2.0
(11)球状セルロース(*17)3.0
(12)ワセリン 1.0
(13)リンゴ酸ジイソステアリル 3.0
(14)イソノナン酸イソノニル 3.0
(15)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 4.0
*15 SA-S-150(三好化成社製)
*16 Timiron Supersheen MP-1001(メルク社製) 11μm
*17 CELLULOBEADS D-5(大東化成工業社製) 5μm
(製法)上記実施例1と同様の方法でパウダーファンデーションを得た。
【0049】
実施例8:ルースパウダー
(1) ジメチコン2.0%処理ベンガラ 0.1
(2) ジメチコン2.0%処理黄酸化鉄 0.2
(3) ジメチコン2.0%処理黒酸化鉄 0.05
(4) アシルグルタミン酸塩3.5%処理群青 0.05
(5) アシルグルタミン酸塩3.5%処理タルク(*18) 残量
(6) ジメチコン2.0%処理 酸化チタン(80%)・タルク(20%)混合品(*3) 0.5
(7) 硫酸バリウム(*6) 50.0
(8) 酸化チタン被覆マイカ(*19) 3.0
(9) 球状シリコーン末(*13) 4.0
(10) 水添ポリデセン(*14) 1.0
(11) ジメチコン(20cs) 1.0
(12) イソノナン酸イソノニル 2.0
*18 NAI‐タルクJA‐46R(三好化成社製)
*19 Flamenco Super Pearl 120C(BASF社製) 25μm
(製法)上記実施例1の工程1~3と同様の方法でルースパウダーを得た。
【0050】
実施例9:パウダーファンデーション
(1)ジメチコン2.0%処理ベンガラ 0.66
(2)ジメチコン2.0%処理黄酸化鉄 2.40
(3)ジメチコン2.0%処理黒酸化鉄 0.24
(4)アシルグルタミン酸塩3.5%処理タルク(*18) 残量
(5)ジメチコン2.0%処理 酸化チタン(80%)・タルク(20%)混合品(*3) 5.0
(6)メチコン2.0%処理 微粒子酸化チタン (*4) 3.0
(7)ハイドロゲンジメチコン4.0%処理 微粒子酸化亜鉛 (*5)3.0
(8)硫酸バリウム(*6) 32.0
(9)酸化チタン被覆マイカ(*16) 3.0
(10)球状シリカ (*12) 2.0
(11)球状シリコーン末 (*13) 5.0
(12)ラウロイルリシン 2.0
(13)チッカホウ素 3.0
(14)ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)(*20) 3.0
(15)リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
(16)イソノナン酸イソノニル 3.0
(17)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 3.0
(18) ジプロピレングリコール 2.0
(19)モノイソステアリン酸ソルビタン(*21) 0.5
*20 LUSPLAN PI-DA(日本精化社)
*21 SI-10RV(日光ケミカルズ社)
(製法)
1.油剤成分14~19を75℃に加熱溶解し、均一に分散する。
2.粉末成分1~13をヘンシェルミキサーで均一に分散する。
3.2の粉末成分をヘンシェルミキサーで攪拌しながら、1の油剤成分を添加し、均一分散して化粧料基剤を得る。
4.3の化粧料基剤100質量部に対して、精製水110質量部を添加し、均一混合して、スラリー状とする。
5.4を樹脂皿に充填し、吸水シートを介在して圧縮成型する。
6.5を70℃の恒温槽に一晩放置し、精製水を完全に除去して、パウダーファンデーションを得た。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のメイクアップ化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ等として好適に使用することができる。