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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】青果物選別システム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/02 20060101AFI20240524BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B07C5/02
B07C5/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020132713
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029381
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000163501
【氏名又は名称】近江度量衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】平野 將
(72)【発明者】
【氏名】安田 学
(72)【発明者】
【氏名】中井 剛
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-058164(JP,U)
【文献】特開2004-050106(JP,A)
【文献】特開2000-084495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/02
B07C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い皮を有する青果物を回転搬送するコンベヤと、
前記コンベヤによる前記青果物の搬送経路に向かって吸引口が設けられた吸引装置と、
前記回転搬送される前記青果物を撮像するカメラを有し、該カメラによって生成された画像に基づいて該青果物の外観品質を判定する外観品質判定装置と、
を備え、
前記搬送経路において、前記吸引口は前記カメラよりも上流側に配置されることを特徴とする、青果物選別システム。
【請求項2】
前記吸引口は、内周面に凹凸が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の青果物選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い皮を有する青果物を選別する青果物選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンベヤで搬送される青果物を回転させながらカメラで撮像し、多面的に撮像された複数の青果物の外観画像に基づいて、青果物の大きさ・形状等の外観品質を判定して青果物を選別する選別システムが開発されている。
【0003】
この選別システムとしては例えば特許文献1記載のシステムが挙げられる。この特許文献1記載の選別システムでは、上流の判定エリアから下流の仕分排出エリアに向けて青果物を搬送するコンベヤと、判定エリアにおいて青果物を撮像する撮像装置と、を備え、コンベヤは判定エリアにおいて青果物を回転させながら搬送する。青果物は判定エリアにおいて回転しながら撮像されるので、多面的に撮像された複数の青果物の外観画像に基づいて、外観品質を判定し選別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6086455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薄い皮を有する青果物を上記選別システムで選別する場合には、上記判定エリアにおける回転搬送時に、青果物の薄皮が浮いた状態やめくれて剥がれ落ちることがあり、この浮いた薄皮や剥がれ落ちた薄皮の影響で外観品質を正常に判定できなくなる問題があった。
【0006】
上記の問題に鑑み、本発明は、薄皮で覆われた青果物であってもコンベヤを汚すことのない青果物選別システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の青果物選別システムは、薄い皮を有する青果物を回転搬送するコンベヤと、前記コンベヤによる前記青果物の搬送経路に向かって吸引口が設けられた吸引装置と、を備える。
【0008】
また、上記の青果物選別システムは、前記回転搬送される前記青果物を撮像するカメラを有し、該カメラによって生成された画像に基づいて該青果物の外観品質を判定する外観品質判定装置をさらに備え、前記搬送経路において、前記吸引口は前記カメラよりも上流側に配置されることを特徴とする。
【0009】
さらに、上記の青果物選別システムは、前記吸引口の内周面に凹凸が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る青果物選別システムによれば、薄皮で覆われた青果物であっても、コンベヤを汚すことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る青果物選別システムの全体構成を示す模式図である。
図2図1のa部分の拡大図を示す模式図である。
図3】青果物選別システムが有する回転機構を示す模式図である。
図4】青果物選別システムが有する吸引装置の吸引口を示す模式図である。
図5】青果物選別システムが有する吸引装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の青果物選別システムの一実施形態について、以下、図面を用いながら詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の青果物選別システム1は、青果物の中でも特に薄い皮で覆われた青果物100を、その外観品質に応じて選別することに適した青果物選別システム1であって、図1に示すように、薄皮に覆われた青果物100を搬送する搬送経路2aが設けられたコンベヤ2と、搬送中にめくれた薄皮等の不要物を吸引する吸引装置4と、搬送される青果物100の形状やサイズなどの外観品質を判定する外観品質判定装置5と、当該外観品質に応じて青果物100を仕分排出する仕分排出装置(不図示)と、を備える。
【0014】
コンベヤ2は、青果物100を搬入する搬入エリアA、青果物100の外観品質を判定する判定エリアB、青果物100を外観品質毎に仕分けて排出する仕分排出エリア(不図示)の順に青果物100を搬送する搬送経路2aが設けられたものである。
【0015】
搬入エリアAでは、図1に示すようにコンベヤ2の略中央部にV字状の溝部6が設けられており、当該溝部6の各傾斜面に沿って一対のコンベヤベルトが並行に配置されている。この溝部6および一対のコンベアベルトにより搬入エリアAの搬送経路2aが構成されている。複数の青果物100はこの溝部6上のコンベヤベルトに載置されることで、一列に整列された状態で次の判定エリアBへと搬送される。
【0016】
判定エリアBでは、図1に示すようにコンベヤ2の略中央部分に回転機構3が設けられている。この回転機構3は、青果物を搬送方向に対して後転させながら搬送するものであり、搬入エリアAのコンベヤ2に設けられた溝部6と連続して設けられる。
【0017】
回転機構3は、図2及び図3に示すように、等間隔を隔てて配置される複数の回転ローラ7と、回転ローラ7の間に配置される複数の係止部8と、回転ローラ7及び係止部8を搬送方向に周回させる移動装置9と、回転ローラ7を回転させる駆動装置10とを備える。
【0018】
回転ローラ7は、一対の円錐台を互いの上底面が対向するように連結したものであって、該上底面がコンベヤ2上に起立するように一定間隔を隔てて配置される。一対の円錐台の間隔は青果物100の直径よりも狭くなるように構成されている。
【0019】
係止部8は、青果物100が回転ローラ7の回転によって回転機構3からはみ出さないように一時的に青果物100を載置するものであって、回転ローラ7に挟まれる空間に配置される。係止部8は、両端部が上方に湾曲する湾曲部8aと、湾曲部8aと面一に構成されて搬送経路2aに沿って延伸する延伸部8bとを備える。回転ローラ7と係止部8とは、交互に配置された状態で連結された連結体11を構成する。
【0020】
移動装置9は、図3に示すように、回転ローラ7及び係止部8からなる連結体11を搬送方向に周回させるものであって、例えばスプロケット12やプーリ(不図示)等を用いることができる。本実施形態ではプーリと、スプロケット12とに連結体11を引っ掛けてモータ(不図示)等を用いてプーリ及びスプロケット12を回転させることで連結体11を搬送方向に周回させる。
【0021】
駆動装置10は、回転ローラ7を搬送方向に回転させるものであって、例えば図3に示すように、回転ローラ7と回転ローラ7の下部に配置されたベルト13との摩擦によって回転ローラ7を回転させるものを挙げることができる。また、駆動装置10は、それぞれの回転ローラ7に設けられた歯付きベルト(不図示)及び歯付きプーリ(不図示)で構成してもよいし、それぞれの回転ローラ7に内蔵されたモータ(不図示)等で構成することもできる。
【0022】
外観品質判定装置5は、判定エリアBを通過するコンベヤ2の上方に配置されるカメラ(不図示)を備える。当該カメラは、代表的にはCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサであり、判定エリアBを回転搬送される青果物100を複数回撮像する。これにより、青果物100を多面的に撮像することができ、青果物の全周の画像が生成される。なお、鮮明な外観画像を得るために、例えば、光源が適宜配置されていてもよく、カメラはコンベヤ2の上方だけではなく、コンベヤ2の側方にも備えて構わない。このカメラはコンピュータと通信可能に接続されており、コンピュータは、カメラから取得した複数の外観画像に基づいて画像処理を行い、青果物100の外観品質を判定する。
【0023】
吸引装置4は、図1及び図5に示すように、搬送されている青果物100から剥がれた薄皮等の不要物を吸引するものであって、搬送経路2aにおいて外観品質判定装置5のカメラよりも上流側に配置される。本実施形態では2台の吸引装置4がコンベア2の両側方に設けられている。吸引装置4は、開口端縁に向けて開口幅が広がる略円錐台形状(漏斗形状)に形成された吸引口14を備えている。この吸引口14は、コンベア2の側方において開口を搬送経路2aに向けて配置される。吸引装置4は、当該吸引口14に接続されたホース16と、ホース16の終端部に接続された袋体20と、ホース16に分岐接続された真空ポンプ18と、を備えており、真空ポンプ18によってホース16内に負圧が生じることで、吸引口14から薄皮などの不要物が吸引される。当該吸引された不要物は袋体20内に収集される。
【0024】
吸引口14は、その内周面14aが平滑にならないように構成されており、本実施形態では、図4に示すように開口の内周面14aに蛇腹状の凹凸15が設けられている。吸引口14の内周面14aが平滑であると、吸引力によって吸引された薄皮等の不要物が吸引口14の内周面14aとの間で真空状態となり、不要物が吸引口14の内周面14aにはり付いて不要物を吸引することが出来なくなるが、本実施形態の吸引口14は内周面14aが平滑とならないように蛇腹状の凹凸15が設けられているので、不要物と内周面14aとの間が真空とならずに不要物を吸引して袋体で収集することができる。
【0025】
上述のように構成した青果物選別システム1の選別動作について、以下に薄皮に覆われた青果物100の一例としてタマネギを例に説明する。
【0026】
まず、搬入エリアAにおいてタマネギがコンベヤ2に搬入されると、タマネギはコンベヤ2により判定エリアBへと搬送される。判定エリアBに搬送されたタマネギはコンベヤ2に設けられた回転機構3によって後転しながら外観品質判定装置5へと搬送されるが、このとき、回転機構3との摩擦によって薄皮が剥けた状態となる。ここで、剥けた薄皮がタマネギに残った場合であっても、外観品質判定装置5の手前に設けられた吸引装置5によって当該薄皮が吸引され、薄皮が剥がされるので、外観品質判定装置5は、薄皮がない状態でタマネギを撮像し、その外観品質を判定することができる。このようにして外観品質が判定されたタマネギは、その外観品質に応じて仕分排出される。
【0027】
以上のように構成された青果物選別システム1は、以下のような格別な効果を奏する。
【0028】
本実施形態の青果物選別システム1は、外観品質判定装置5の上流に吸引装置4を設けているので、回転機構3において剥けてタマネギに残った状態の薄皮等の不要物を吸引装置4で吸引して、タマネギから剥がした後に外観品質判定装置5へと搬送することができるので、判定精度を向上させることができる。
【0029】
本発明は上述の実施形態に限られたものではない。
【0030】
上記実施形態において、吸引装置はコンベヤの両側方に配置されていたが、例えば一側方のみに配置されていてもよいし、両側方または一側方に所定間隔を隔てて複数配置されていてもよい。
【0031】
吸引口の内周面は、蛇腹状に限られず、例えば所定間隔を隔てて放射状に複数の溝が形成されていてもよく、内周面を粗面となるように加工されていてもよい。
【0032】
上記の実施形態では、吸引装置を外観品質判定装置の上流に設けていたが、当該態様に限定されず、コンベヤに沿って複数箇所に設けても構わない。このように吸引装置を設けることで、搬送過程で剥けた薄皮や、剥がれ落ちた薄皮を吸引することができ、コンベヤに薄皮が散乱することを防止でき、コンベヤの搬送経路を清潔に保つことができる。
【0033】
また、薄皮をさらに剥けやすくするため、長尺なローラの周面に無数のブラシが埋め込まれた皮むき用ローラをコンベヤに配置してもよい。このとき、皮むき用ローラは搬送経路において外観品質判定装置の上流側に配置する。これにより、確実に青果物の薄皮をはがして外観品質判定装置へと搬送することができるとともに、剥がれた薄皮は吸引装置で吸引されるので検出精度をさらに向上させることができる。
【0034】
本発明の青果物選別システムに使用される薄皮に覆われた青果物は、タマネギに限られない。
【0035】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用または効果が生じる範囲内で何れかの発明事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1・・・青果物選別システム
2・・・コンベヤ
2a・・搬送経路
3・・・回転機構
4・・・吸引装置
5・・・外観品質判定装置
14・・吸引口
14a・内周面
100・青果物

図1
図2
図3
図4
図5