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特許7493245クッション材、及びそのクッション材を有するマットレス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】クッション材、及びそのクッション材を有するマットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20240524BHJP
   A43B 7/32 20060101ALI20240524BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A47C27/15 A
A47C27/15 B
A43B7/32
A47G9/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021183690
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023071090
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2021-11-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-15
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045602
【氏名又は名称】株式会社レーベン
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高部 篤
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】北中 忠
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-28553(JP,A)
【文献】登録実用新案第3094228(JP,U)
【文献】特開2013-13671(JP,A)
【文献】特開2000-197539(JP,A)
【文献】特開2016-2829(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0142272(KR,A)
【文献】特開2005-52181(JP,A)
【文献】実公平4-17146(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
A43B 7/00
A47G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、
第一の支持部材と、第二の支持部材と、を有し、
前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、前記第一の支持部材の孔に嵌り込んでおり、
前記第一の支持部材と前記第二の支持部材は、同質の部材であって、同じ原型材から構成され、同等の厚さを有し、
前記第二の支持部材は、間に前記第一の支持部材を挟むようにして複数並び、そのうちの一の内側の前記第二の支持部材に対する略同大の周囲の8つの前記第二の支持部材が、隣同士の間隔が、自身の幅より小さくなるように形成されている
ことを特徴とするクッション材。
【請求項2】
請求項に記載のクッション材を有するマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション材、そのクッション材を有する健康器具、マットレス、靴の中敷き、座布団、椅子の座、背中面、及び枕、並びに、クッション材に用いられる交換用の支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、身体を快適に支持するクッション材が開発されてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、表面のクッション層に凸部を設けることで、体圧を分散する効果を狙ったクッション材が記載されている(図1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-63316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが上記のようなクッション材では、体圧によって凸部が倒れてしまうと、支持効果が十分に発揮されない可能性があった。一方で凸部が固すぎると、快適に使用できなくなる可能性もある。
【0006】
そこで本発明は、身体を快適に支持することが可能なクッション材及びその関連物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係るクッション材は、
弾性素材を含んで形成され、押圧により凹む変形をするクッション材であって、第一の支持部材と、第二の支持部材と、を有し、前記第二の支持部材は、少なくとも押圧面において、前記第一の支持部材から独立しており、前記第一の支持部材の孔に嵌り込んでいる。
【0008】
また、前記第二の支持部材の押圧面には、前記第二の支持部材の押圧面よりも盛り上がった上面ピンが配されていてもよい。
【0009】
前記第一の支持部材、又は、前記第二の支持部材の少なくとも一方は、導電性を有していてもよい。
【0010】
生体に貼り付けるための貼付テープを、さらに有していてもよい。
【0011】
前記第二の支持部材の根本は、前記第一の支持部材と連結していてもよい。
【0012】
前記クッション材を有する健康器具、マットレス、敷き、座布団、椅子の座、背中面、または枕、前記クッション材に用いられる交換用の前記第二の支持部材も本願発明に含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、身体を快適に支持することが可能なクッション材及びその関連物を提供することができる。
【0014】
なお、上記以外の課題、構成および効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第一実施形態に係るクッション材100の一例を示した上面図である。
図2図2(a)は、第一実施形態に係るクッション材100の透視図、図2(b)は、クッション材100の断面図である。
図3図3(a)は、一体的に形成されたクッション材Aを、押圧体(例えば人体)で押圧した場合の説明図、図3(b)は、押圧面に凸部を設けたクッション材Bを押圧した場合の説明図、図3(c)は、袋にビーズを詰めたクッション材Cを押圧した場合の説明図、図3(d)は、低反発材で形成されたクッション材Dを押圧した場合の説明図である。
図4図4は、クッション材100を押圧体で押圧した場合の説明図である。
図5図5は、クッション材100を実際に押圧した場合の写真を示す。
図6図6は、六方向に展開した支柱部102を有するクッション材100Aの上面図である。
図7図7(a)および図7(b)は、支柱部102に補助部材としてのピンを設けたクッション材100の断面図である。
図8図8(a)板状のクッション材と組み合わせたクッション材100Bの断面図であり、図8(d)は、板状のクッション材と組み合わせたクッション材100Cの断面図である。
図9図9(a)は、上面側に切断部113を設けたクッション材100Dの斜視図であり、図9(b)は、クッション材100Dの断面図である。図9(c)は、下面にも切断部113を設けたクッション材100Eの断面図である。
図10図10(a)は、クッション材100Eに上面ピン106Aを嵌め込んだ例の断面図、図10(b)は、クッション材100Eにキャップ状の上面ピン115を嵌め込んだ断面図、図10(c)は、凸部116を有するクッション材100Fの断面図、図10(d)は、凸部117を設けた上で、孔104に上面ピン106Aを嵌め込んだクッション材100Gの断面図である。
図11図11(a)は、クッション材100の支柱部102を入れ替え可能とした例の説明図であり、図11(b)は、複数の層を積層して形成された支柱部120A~120Cの断面図であり、図11(c)は、高さが基部119の中ほどまでの支柱部118を有するクッション材100Hの断面図である。
図12図12(a)は、円柱の中心を球状に構成した支柱部122を有するクッション材100Iの断面図であり、図12(b)は、図12(b)は、球状の支柱部122Bを備えるクッション材100Jの断面図である。
図13図13(a)は、球状の支柱部124を、基部101に複数詰め込んで使用するクッション材100Kの断面図、図13(b)は、上下面に保護部材125を設け、孔103に蓋をしたクッション材100Lの断面図である。
図14図14(a)は、孔103の側面部分に貫通孔である孔128を別途設ける例の説明図、図14(b)は、孔103と支柱部102の間に、隙間を設ける例の説明図、図14(c)は、六角形の孔103と、楕円柱状の支柱部129を設けた例の説明図である。
図15図15(a)は、本発明の変形例1に係るクッション材100Mを利用したストレッチポール130の分解図、図15(b)は、ストレッチポール130の斜視図である。
図16図16は、本発明の変形例2に係るクッション材100Jの斜視図である。
図17図17は、本発明の変形例3に係るクッション材100Oの斜視図である。
図18図18は、本発明の第二実施形態に係るクッション材200の断面図である。
図19図19は、本発明の変形例4に係るクッション材200Aの斜視図である。
図20図20は、本発明の変形例5に係るクッション材200Bの断面図である。
図21図21は、本発明の変形例6に係るクッション材200Cの断面図である。
図22図22は、本発明の変形例7に係るクッション材200Dの断面図である。
図23図23は、本発明の変形例8に係るクッション材200Eの断面図である。
図24図24(a)は、切断部224を設けたクッション材200Fの断面図であり、図24(b)は、切断部225を設けたクッション材200Gの断面図であり、図24(c)は、切断部225Aを設けたクッション材Hの断面図であり、図24(d)は、差込孔230を設けたクッション材200Iの断面図である。
図25図25は、電源208を備えたクッション材200Hの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例である各実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係るクッション材100の一例を示した斜視図、図2(a)は、クッション材100の透視図、図2(b)は、クッション材100の断面図である。図示するように、クッション材100は、第一の支持部材としての基部101と、第二の支持部材としての支柱部102と、を有するものである。第二の支持部材としての支柱部102は、少なくとも押圧面において、第一の支持部材としての基部101から切り離されて独立しており、第一の支持部材の孔に嵌り込んでいる。なお、ここではカバー105がクッション材100を覆っていてもよいものとする。カバー105には、例えば布、皮、合皮等を使用できる。なお、「押圧面」とは、クッション材100を凹ませる物体(押圧体)が押し付けられる面である。また、「孔」とは、貫通孔を指す場合と、非貫通孔を指す場合がある。
【0018】
基部101には、一定の間隔で円柱状の貫通孔である孔103があけられており、孔103にはそれぞれ、孔と略同形状(ここでは、円柱形状)の支柱部102が嵌っている。また支柱部102には、円中心部に貫通孔である孔104が形成されていてもよい。
【0019】
孔103と支柱部102は、本実施形態では円柱形状としているが、どのような形状としてもよい。しかし角を減らすことで損壊しにくくなるため、円柱形状の他にも、楕円柱形や丸角の角形としたりすることで、破断や亀裂が生じるのを防ぐことができる。なお、基部101や支柱部102は、合成樹脂等を利用した弾性体で形成されている。例えば、ポリエチレンフォームやゴムスポンジ等の単泡や半連泡構造のフォーム材、ウレタンフォーム等の連泡構造のフォーム材である。なお、両者には必ずしも全て同じ材質や性質である必要はなく、硬さや弾性の異なる別々のものであってもよい。同じものを使用する場合には、例えばトムソン加工による打ち抜き等により、まず原型材から支柱部102を切り出し、残り部分を基部101とすることで簡便に製造することができる。すなわち、支柱部102は、基部101を含む素材から切れ込みにより切断された部分である。
【0020】
円柱状の支柱部102の大きさは、クッション材100の用途に応じて、適宜定めることができるが、例えば、直径が1.5cm~12cmであり、長さ(クッションの厚さ)は、2cm~12cmである。特に、マットレスの場合は、直径を、2cm~15cmとし、長さ(クッションの厚さ)を、3cm~25cmとすることができる。
【0021】
ここで、クッション材100の機能を説明するために、既存のクッション材の押圧時の作用について説明する。図3(a)は、一体的に形成されたクッション材Aを、押圧体P(例えば人体)で押圧した場合の説明図である。図示するように、一体的に形成されているクッション材Aを押圧すると、クッション材Aの上側面(押圧面)が、押圧体の中心方向に引っ張られる。すると、押圧体Pはこれに反発するために外側方向への応力が生じる。このような応力は、例えばクッション材Aに利用者が座って使用する場合、臀部(押圧体P)への引っ張り感となって快適な使用を妨げる要因となってしまう。
【0022】
図3(b)に、このような応力を低減するために押圧面に凸部BPを設けたクッション材Bを示す。図示するように、クッション材Bを押圧すると、押圧面の凸部が外側方向へ倒れるように移動する。その際、押圧体に対しても外側に引く力が働く。これにより利用者は、臀部への引っ張り感が継続した状態での使用を余儀なくされる。
【0023】
ここではクッション材にカバーを設けた例や臀部にズボンなどの衣類を重ねた場合の状況を図示説明していないが、これらのカバーやズボンの様な周辺を布材などで覆った場合にも、これらがクッション材や殿部の間に大きな厚みや大きな伸縮性を持たせた時を除き、一般にはこれらの布材などは、互いの押圧により、クッション材や、臀部と密着すると考えられる。このように密着した時には、クッション材や臀部表面に直接接触するのと同等と考えられ、上記で説明した場合と大きな差異は発生しないと考える事が出来る。これらの事から、以後説明にも、布材などで覆ったケースを省略する。
【0024】
図3(c)は、ビーズを利用したクッション材Cを押圧した場合の説明図である。クッション材Cは、袋状のカバー内にビーズCBを詰め込んだ、所謂ビーズクッションである。このようなクッション材Cを押圧体Pで押圧すると、袋の中でビーズが外側へと移動して全体が横に広がり、押圧体Pがクッション材Cに深く沈み込んで固定される。また、押圧体Pが動くとビーズCBが自由に移動してその力を吸収してしまい、例えばマットレスとした場合に寝返りや身動きがとりづらく、抵抗力が少なく体勢を変えるのにかなりの力が必要となる。
【0025】
図3(d)は、低反発のクッション材Dを押圧した場合の説明図である。クッション材Dは、反発力が低い素材を用いた、所謂低反発クッションである。このようなクッション材Dを押圧体Pで押圧すると、押圧体Pはクッション材Dに深く沈み込む。その際、クッション材Dの押圧面が、押圧体Pの中心方向に引っ張られ、押圧体Pはこれに反発するために外側方向への応力が生じる。このような応力は利用者に引っ張り感を感じさせ、快適な使用を妨げる。また反発力が低いために、立ち上がったり体勢を変えたりするのに力が必要となる。
【0026】
次に、本発明のクッション材100を上記と同様に押圧する場合について説明する。図4は、第一実施形態に係るクッション材100を押圧体Pで押圧した際の説明図である。図5に、22×22×6cmのウレタンフォーム材に、直径40mmの通貫孔を設けたクッション材を、押圧体Pで押圧した際の写真を示す。
【0027】
図4および図5に示すように、押圧体Pによりクッション材100の押圧面Mに圧力がかかると、基部101と各支柱部102とが独立して変形するため、両者間には空隙Fが生じて圧を分散し、押圧体Pを支える。すなわち、中心部では支柱部102が基部101から独立して荷重を受け、主に下方向へと圧縮される。圧縮された支柱部102は、荷重を受けて中心への引き込みが生じる基部101が倒れ込まないよう支え、全体が中心に沈み込むのを抑制する。一方、外側部分では、押し広げられて外方向に倒れようとする支柱部102を、中心方向へ引っ張られる周囲の基部101が支えて力を相殺する。これにより、支柱部102の倒れ込みや、基部101の引き込みを防ぐことで、撓みや潰れを抑制して元の形状を維持する。さらに、支柱部102に孔104が形成されていることで、支柱部102内で力が分散し、破断や亀裂が生じるのを防ぐことができる。
【0028】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。本実施形態によれば、クッション材100は、基部101と支柱部102がそれぞれ独立して荷重を受けることで、相互に支え合って一体的な変形を防ぎ、使用時に身体への負担が小さい。また、皮膚に引っ張り感のない快適な座り心地や寝心地を提供することができる。
【0029】
なお、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。本発明の技術的思想の範囲内でさらなる様々な変形が可能である。
【0030】
例えば、基部101に対する支柱部102の位置や数は上記に限らず、どのような配置としてもよい。図6は、六方向に展開した支柱部102を有するクッション材100Aの上面図である。クッション材100Aは例えば円形のクッションであり、円の内部に描かれた正六角形の6つの角方向に向けて支柱部102が並んでいる。また最も外側の支柱部102の間にもそれぞれ1つずつ設けられており、計19個の支柱部102が等間隔に並んでいる。すなわち、基部101は、複数の支柱部102の周囲に配されており、複数の支柱部102の周囲に渡って連結して枠を形成しているといえる。
このような構成によれば、各支柱部102(孔103)の周囲を他の支柱部102(孔103)が等間隔に取り囲んでおり、その壁面が効率的に互いを支え合うことで変形が抑えられる。特に内側の支柱部102は周囲6方向を他の支柱部102に支えられるため、より緩衝性が高い。このような作用により、全体の変形や歪みが押えられ、長時間の利用においても身体への負担を減らすことができる。
【0031】
また、支柱部102は、使用者の着脱を用意にし、交換可能にすることができる。弾性が劣化した支柱部102を基部101から抜きとり、新しい支柱部102を嵌め、交換することで、クッション材の耐久性を長く維持することができる。また、好みの硬さの支柱部102に交換可能とすることで、使用者の多様な好みに対応することができる。交換用の支柱部をクッション材とセットで販売しても良いし、スペアとして個別に販売しても良い。
【0032】
また、ここでは示さないが、クッション材100Aの周囲に、例えば、ゴムやプラスチック材、布、網、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(集合した繊維が互いに溶着した構造物を含む)、金属などやそれらの組み合わせによりリング状のフレームや補強部を設けたりする事により、より丈夫にする事が出来る。
【0033】
図7(a)および図7(b)は、クッション材100の支柱部102に、補助部材としてのピンを設けた例の断面図である。図示するように、支柱部102の有する孔104の上側開口(押圧面側)には上面ピン106Aが、孔104の下側開口には下面ピン106Bが嵌め込まれている。上面ピン106Aは、円形表面がなだらかに盛り上がった頭部108Aと、頭部の裏面に設けられた突起である足部109とを有しており、当該足部109を孔104に嵌め込むことで、支柱部102の上面に固定される。すなわち、上面ピン106Aは、支柱部102の押圧面側の表面の面積よりやや小さく、支柱部102の押圧面側の表面より盛り上がっている。また、上面ピン106Aは、基部101
の押圧面側の表面より盛り上がっている。図7(a)に示す下面ピン106Bは、例えば床面に置いた時に安定するよう平らな円形の頭部108Bと、足部109とを有しており、当該足部109を下面側から孔104の下側開口に嵌め込むことで、支柱部102の下面に固定される。
【0034】
このような補助部材を利用することで、支柱部102の強度を高め、倒れ込みを防ぐことが可能である。なお、下面ピンはそれぞれが独立していなくともよい。図7(b)に示すように、複数の頭部を一体的に形成し、板状の頭部108Cに複数の足部109を有する下面ピン107を使用することも可能である。このような下面ピン107を利用することで、床面での安定性をさらに高めるとともに、全体が横方向へと広がるのを抑え元の形状を維持することができる。上面ピン106A及び下面ピン106Bは、支柱部102や基部101より硬い素材で形成することができる。このようなピンの材質は、弾性体であってもよいし、プラスチック材、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)、金属等の比較的変形しづらい部材であってもよい。また例えば、身体が接触する押圧面側に位置する上面ピンのみを弾性体で形成し、下面ピンには硬度の高い材質を利用することもできる。また、頭部のみを弾性体で形成し、足部に硬度の高い材質を利用してもよい。
【0035】
なお、クッション材100を、他のクッション材と組み合わせて利用してもよい。図8(a)および図8(b)は、クッション材100を板状のクッション材と組み合わせたクッション材100Bおよび100Cの断面図である。図8(a)に示すクッション材100Bは、板状クッション材110の上面にクッション材100を積層して2層構造とした例であり、図8(b)に示すクッション材100Cは、クッション材100で板状クッション材110を挟んで積層し、3層構造とした例である。
クッション材110は、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)とすることで、通気性を保つことができる。さらに、通気性を良くするために、図において縦穴や横穴を設けても良い。
【0036】
また、空気や水を入れた袋状としてよりクッション性を持たせても良い。さらに、これらを組み合わせて複数の積層とすることで、クッション性を高めたり横に可動しやすくしても良い。
なお、積層したクッションは、例えば形状に合わせたカバーによってずれないようにしてもよいし、貼り合わせ等や、別途設けた固定部材によって固定しても良い。このようなクッション材100Bおよびクッション材100Cによれば、組み合わせによって多様な使用感のクッション材を製造できる。これにより、利用者の体調や好みにより適した製品を提供することが可能である。また、上面ピン106Aはクッション材100より硬い材料を使用することで、頭部108Aを肌などへのマッサージ押圧刺激部としても良い。
【0037】
図9(a)および図9(b)に、孔103の代わりに切断部113を設けた例を示す。図9(a)に示すように、クッション材100Dには、貫通孔である孔103に代えて、円筒状の切れ込みである、切断部113が設けられている。切断部113は、押圧面から基部111の中ほどまでの高さがあり、ここでは、基部111と連続した部分(図9(b)の破線で囲んで示す部分)を支柱部112と称する。すなわち、支柱部112の根本は、基部111と連結している。なお、このような切れ込みは、弾性体を成形する際に予め切れ込みを形成してもよいし、後から基部111を切断することで形成してもよい。
【0038】
このような構成によれば、支柱部112の円柱側面が基部111から切り離されているため、押圧面からの荷重を、隣接する基部111に伝えることなく受けることができる。これにより、基部111の倒れ込みを抑制し、形状を保つことができる。なお、図9(c)に示すように、上下両側に切断部113を設けてもよい。これにより、利用者がどちら側の面を押圧面として使用しても、変わらずに効果を発揮できる。
【0039】
なお、このような切断部を設けたクッション材においても、補助部材を設けることができる。図10(a)は、クッション材100Eの孔104に上面ピン106Aを嵌め込んだ例である。また、図10(b)に示すように、キャップ形状の上面ピン115を利用してもよい。上面ピン115は、円筒状の切断部113に嵌め込むことが可能な足部114を有するキャップ形状になっており、より安定的に装着可能である。さらに、図10(c)に示すクッション材100Fのように、孔104の周囲を盛り上げた凸部116を形成することで、ピンの代わりとしてもよい。また、図10(d)に示すクッション材100Gのように、凸部116を設けた上で、孔104に上面ピン106Aを嵌め込むこともできる。なお、本例では上面側に行くに従ってその幅が大きくなる切断部113が形成されており、押圧面側でより緩衝作用が大きくなるようになっている。
上面ピン106Aは、クッション材以外に、ゴム、プラスチック材、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)、布、金属などで形成されても良い。
【0040】
さらに、図11に示すように、支柱部を入れ替えられるような構成としてもよい。図11(a)に、クッション材100の支柱部102を入れ替え可能に構成した場合の例を示す。図示するように、クッション材100の孔103に挿し込まれている支柱部102は、出し入れが可能に構成されており、基部101から支柱部102を引っ張り出し、別の支柱部に入れ替えることができる。このように支柱部102を入れ替え可能にすることで、弾性や形状を選択して好みの使用感のクッション材を構成したり、劣化した部品を新しいものに替えたりすることができる。
【0041】
なお、様々な選択ができるように、多様な支柱部を用意してもよい。ここではその一例として、図11(b)に、複数の層を積層して形成された支柱部120A、120B、120Cを示す。各支柱部120A~120Cの第一層は、頂部が凸状に形成されており、支柱部の上側に位置する。このような凸状の頂部は、座面やマットレス表面だけでなく、ソファー等の背もたれや肘掛け等に使用すればピンポイントに身体を押圧しマッサージ効果を提供することができる。第一層の下層には、各支柱部とも第二層が形成されている。第二層は、第一層からの圧力を受け止める役割をするため、当該第二層の材質を選択することによって、反発の強さや硬さ等を調整することができる。支柱部120Bおよび120Cには、さらに第二層の下層として第三層が形成されている。第三層は、第二層の中心部を貫いて第一層まで到達する軸としての役割と、底面で全体を支える役割を有している。このような第三層に硬度の高い材質を利用することで、強度と安定性の向上を図ることができる。また、図11(c)に示すように、高さが基部119の中ほどまでの支柱部118を独立して設け、入れ替え可能としたクッション材100Hとしてもよい。
【0042】
なお、支柱部は必ずしも円柱状である必要はない。支柱部は、押圧面よりも内部に、押圧面に露出している部分よりも大きい部分がある形状であってもよい。図12(a)は、円柱の中心を球状に構成した支柱部122を備えるクッション材100Iの断面図である。このような支柱部122を収めるため、基部121に構成される孔123も同様の形状となっている。このような構成によれば、球状部分が孔123の壁面に引っ掛かって支柱部122の上下への移動が抑制され、支柱部が孔内でずれて表面に大きな凹凸が発生するのを防ぐことができる。なお、支柱部122は、押圧面側の上部がなだらかに盛り上がっており、硬めの材質を利用することでマッサージ効果を兼ね備えることも可能である。
【0043】
さらに、図12(b)は、球状の支柱部122Bを備えるクッション材100Jの断面図である。基部121Bの孔126は、このような支柱部の形状に合わせて一部が開口する球状となっており、支柱部122Bの球径が孔126の開口よりも大きいため、孔126から支柱部122Bが飛び出ないようになっている。また、このような支柱部122Bは、孔126内で回転させることが可能であり、長期間の使用で一方向に変形してしまった場合でも、回転させて弾性が残っている方向で使用を継続することができる。また、球面の一部が孔126の開口から飛び出ていることで、利用者に適度な刺激を与えることも可能である。
【0044】
また、複数の支柱部を組み合わせて使用してもよい。例えば、図13(a)は、球状の支柱部122Cを、基部101に複数詰め込んで使用するクッション材100Kの断面図である。なお、孔103の径は、支柱部124が飛び出したりしない程度に、球面の両側に密着し挟み込むよう形成されている。図13(b)は、上下面に保護部材125を設け、孔103に蓋をしたクッション材100Lの断面図である。なお、保護部材125には、例えば弾性体やシート等、どのようなものを用いてもよい。また保護部材125には、支柱部を交換するための取り出し口を設けてもよく、保護部材125そのものを取り外し可能に設けてもよい。
【0045】
さらに、支柱部を収める孔についても、自由に設計が可能である。例えば、図14(a)に示すように、孔103の側面部分に、貫通孔である孔128を別途設けても良い。孔128は、孔103の側面と支柱部127の側面とに設けられた半円柱状の溝を組み合わせることで形成される。なお、ここでは孔103の円周において等分の位置に4箇所設ける構成としているが、どのような数、どのような配置で設けてもよい。このような貫通孔を設けることにより、孔103の側面と支柱部127の摩擦を低減し、弾性体の摩耗や破断を防ぐことができる。これは、単泡構造のフォーム材を利用する場合に特に有効である。
【0046】
なお、孔128の円の直径は、例えば5mm~40mm、好ましくは、10mm~30mmである。また、クッション材の長さ(厚さ)30mm~250mm、好ましくは25mm~180mmであることが望ましい。
【0047】
図14(b)に示すように、孔103と支柱部102の間に、隙間CLを設けるようにしてもよい。このような空隙CLが緩衝することで、孔103の側面と支柱部102の摩擦を低減することができる。なお、空隙CLの大きさは0.5mm~5mm、好ましくは0.5mm~3mmである。
【0048】
なお、孔や支柱部を他の形状(例えば六角などの多角形状や楕円)としてもよい。図14(c)に、六角形の孔103と、楕円柱状の支柱部129を設けた例を示す。本例においては、孔103と支柱部129の間には当然に空隙が生じるため、両者の側面の摩擦を低減することができる。
【0049】
以上、本発明の第一実施形態に係るクッション材について説明した。本実施形態のクッション材によれば、基材から支柱部を少なくとも一部切り離すことで、全体の変形や歪みが押えられ、身体への負担を減らし快適な使い心地の製品を提供することができる。なお、本発明はクッションだけでなく、座布団、座椅子、マット、乗り物の座面、枕等、様々なものに応用できる。
【0050】
<変形例1>
次に、本発明の第一実施形態に係る変形例および使用例について説明する。図15(a)は、本発明の変形例1に係るクッション材100Mを利用したストレッチポール130の分解図、図15(b)は、ストレッチポール130の斜視図である。なお、ストレッチポールとは、理学療法やストレッチ等に使用するフォームローラーの一種であり、主に身体に圧を加えるための健康器具である。
【0051】
図示するように、ストレッチポール130は、芯材131と、芯材131の外周面に装着するクッション材100Mとからなり、芯材131は、例えばプラスチック材、フィラメント(長繊維)やステープル(短繊維)の構造物(上述の溶着した構造物を含む)、や金属等からなる円筒状の部材である。クッション材100Mは、二つの半円柱状の基部132からなり、二分割したものを芯材131の周面に貼り付けてなる。基部132の表面には、複数の角丸四角形の切断部133が形成されている。このような構成により、利用者はストレッチポール130を身体に押し付けた際に、引っ張り感を感じにくく、快適な使用感で身体に圧を加えることができる。なお、クッション材100Mは、本例では二分割したものを芯材131の周面に貼り付ける構成であるが、分割せずに円筒状に形成し芯材131を差し込んでもよく、また更に細かく分割して貼り付けてもよい。
【0052】
なお、クッション材100Mを帯状に形成し、丸めて芯材131の外周面に巻き付けてもよい。また例えば、細い帯状に形成して斜め方向に巻き付けることも可能である。また、切断部133以外にも、支柱部を設けて同様の効果を得るようにしてもよい。さらに、カバーを装着することも可能である。
【0053】
<変形例2>
図16は、本発明の変形例2に係るクッション材100Nの斜視図である。クッション材100Nは、略球形をした器具であり、理学療法やストレッチ等に用いられる健康器具、所謂ストレッチボールである。クッション材100Nは、五角形平面と六角形平面を組み合わせて球状とした、サッカーボール様の形状となっている。また、五角形平面と六角形平面には様々な形状の切断部や孔が形成されている。図示するように、平面内に二重に切断部134を設けたり、切断部134内の様々な位置に孔135を設けたりすることができる。また、切断部や孔を設けない面を作ってもよい。このように、孔や切断部の形状や組み合わせは、使用感やデザイン性を考慮しながら自由に設計することができる。このような構成により、利用者は使用面を選ぶことで多様な使用感を得ることができる。
【0054】
なお、平面を組み合わせずに全体を完全な球状としてもよい。さらに、球内部に芯材を設けて、弾性力の有無や強弱を調整することで、利用者の好みの硬さや弾力を提供することができる。さらに、カバーを装着することも可能である。
【0055】
<変形例3>
図17は、本発明の変形例3に係るクッション材100Oの斜視図である。図示するように、クッション材100Oは一般的なベッドマットレスであり、長方体の基部101と、支柱部102と、基部101および支柱部102を支える基礎および枠として機能するフレーム210を有している。なお、ここでは3分割された部材を組み合わせてクッション材100Oを形成する例を示しているが、一体型に形成してもよく、折りたたみ可能としても良い。
【0056】
さらに、このようなクッション材100Oにアロマを含ませてリラックス効果を持たせたり、石やセラミック、炭等を内蔵して遠赤外線効果を持たせることもできる。
【0057】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
図18は、本発明の第二実施形態に係るクッション材200の断面図である。図示するように、クッション材200は、上述のクッション材100Oと同様の形状をしたベッドマットレスであり、長方体の基部201と、基部201の底面一面に設けられている導電層205と、基部201の孔203に嵌め込まれた支柱部202と、基部201を支えるフレーム210を有している。また、基部201には、換気のための空気穴として、通気孔204が設けられている。また、通気穴は図上において縦方向になっているが、横方向や横方向と縦方向を組み合わせても良い。
【0059】
支柱部202は、押圧面が盛り上がった円柱形状の部材であり、基部201に開けられた貫通孔である孔203に嵌め込まれている。また支柱部202は、導電性ゴムや導電性スポンジ、例えば導電性ポリエチレン樹脂発泡体等の、導電性を有する弾性材からなる。なお、先端に別途、導電性の上面ピンを設けてもよい。
【0060】
導電層205は、支柱部202と同様に、導電性スポンジや電線や網線、電極箔等の導電性を有する素材から形成されており、両者は常に接触し電気的に接続されている。また導電層205は配線206によって大地アースされている。アースは、例えば予め設けられた三口のアースコンセントや、ネジ式コンセントにアースコードを繋いで行うことができる。
【0061】
ここで、このようなクッション材200の作用について説明する。現在、生体に蓄積された静電気が、身体に様々な影響を及ぼすことが知られ
ている。特に近年は電化製品の増加により、暴露する電磁波が増加して静電気が帯電し易い環境となっている。そこで本実施形態のクッション材200によれば、利用者がマットレスに横たわって支柱部202に接触すると、帯電した静電気が支柱部202から導電層205、配線206を介してアースへと放電され、生体の電位を下げるとともに、帯電を防ぐことができる。さらに、導電層205が電磁波を吸収、反射、防御する事で電磁波の暴露量を減少する事が出来る。
また、ここでは、導電層205を設けたが、フレーム210を、例えば、導電性スポンジなどで構成し導電層205としても良い。さらに、フレーム210をアースしても良い。
また、ここでは図示していないが、支柱部202の上部に、金属などの上面ピンを設けることでし、押圧刺激を高めるとともに導通を強化ことができる。
【0062】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。本実施形態によれば、クッション材200は、支柱部102に導電性を持たせてアースすることで、睡眠時に自然に身体から放電させて健康的な生活をサポートすることができる。
【0063】
次に、本発明の第二実施形態に係る変形例について説明する。
【0064】
<変形例4>
図19に、第二実施形態の変形例4に係るクッション材200Aの斜視図を示す。図示するように、クッション材200Aは、電源からの電流を生体に流すことが可能なクッション材である。クッション材200Aでは、各支柱部202に接する一定の範囲ごとに導電層205が区切られており、各区画が短絡しないよう、各区画の周囲は絶縁体からなるスペーサー207に囲まれている。スペーサー207によって区切られた各区画の導電層205は、それぞれが配線206によって電源208の正極または負極に接続されている。なお、配線は必ずしもこの限りではなく、使用時に正負各電極に繋がる支柱部202が少なくとも一つの正負極が対で同時に生体に接触する構成であれば、どのようなものであってもよい。
【0065】
また、電源供給は、支柱部202に対し個別に供給しても、複数の支柱部202からなるグループごとに供給しても良い。また、複数の支柱部202に対する電源供給の順番を、支柱部202の配置に対して円を描く順番にしたり、直線を描く順番にしたり、ランダムに変化する順番にしたり、これらの順番で電流強度を徐々に変化したりすることで、生体に与える電気刺激を回転するように変化させたり、直線状に変化させたり、ランダムに変化させたり、それらの電流強度を徐々に変化させたりして、例えば撫でる様な刺激を与えることができる。また、構造は、例えば、スペーサー207と導電層205の下にさらに導電層を設け、配線板を巡らしても良い。また、支柱部202の縦列や横列ごと等にグループにわけて区画とし、各グループごとに配線して電源208に接続することも可能である。
【0066】
電源208は例えば、電流を発生させる電池や当該電池と接続される回路、またはコンセントから電源を供給可能な回路である。なお、電池は二次電池や太陽電池であってもよい。また、配線206を一時切断するためのスイッチを設けても良い。これにより、使用時に過剰に電流が流れるのを防止できる。また、電流量を制御する電流制限ダイオードや抵抗などを設けても良い。さらに、電流制限ダイオードや抵抗などによって電流量を制御する場合、それらを設けた制御回路を接続することで、電流量を制御できる。
さらに、マットレスとした場合、例えば、頭部、肩部、背中部、腰部、足部の様にブロック別に分けて、各ブロック部材が上述の基部および複数の支柱部を備え、ブロック単位でマットレス本体にはめ込む仕組みとし、回路を設けたブロック部材と回路を設けていないブロック部材を選択できる構成としても良い。
【0067】
またその波形は、低周波である基底波の上端にパルス波を重畳させたものであってもよい。波形は、波形の周期における立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一部が、緩慢に立ち上がる又は立ち下がるものであってもよい。パルス波の振幅が周期的に変動し、その振幅の変動周期が基底波の周期より大きいまたは小さくてもよい。
【0068】
また、電流に音声や音楽、およびその倍音を用いても良い。これにより、さらに生体を活性化させ、高いマッサージやリラックス効果を得ることができると考えられる。また、音声や音楽をスピーカーから出力し、同期をとって、電流としても良い。さらに、タイミングを少しずらすことで、スピーカーからの空気振動が体内に浸透する感覚を与えることもできる。さらには、例えばスピーカー音が音楽、電流を音声として同期するなどの操作を組み合わせても良い。
【0069】
例えば、1/fゆらぎや、愛の周波数と呼ばれている528Hz音楽などがある。また、波長によってδ波(0.5~3Hz)、θ波(4~7Hz)、α波(8~13Hz)、β波(14~30Hz)に分類され、δ波は深い睡眠時、θ波はまどろみ時、α波は安静時、β波は覚醒・興奮時に主に出現するといわれている。リラックスした状態のときは、α波が優位になるといわれている。これらの状態に導くために、波長をコントロールする制御装置を設けても良い。また、さらに、寝返りや呼吸、脈拍などを計測し睡眠状態を予測し、睡眠時間などから現状の状態を継続や変化の必要性を推測し、睡眠状態を誘導するように波長や電流、音声強度をコントロールしても良い。
【0070】
このようなクッション材200Aによれば、利用者がクッション材200Aの上に横たわり、正極または負極と接続された支柱部202の両方が、同時に皮膚に接触すると、電源208の正極からの電流が、接続された区画の導電層205と支柱部202を介して生体へと流れ込む。その後、電流は負極に接続された区画の支柱部202と導電層205を介して、電源208の負極へと向かう。これにより、クッション材200Aの使用時に電流が生体へと流れ、生体活動を活性化させることができる。このような電気刺激では、身体の細胞組織のイオン配列を調整したり、交感神経を刺激することによって身体の調子を整えたり、病気の治癒や予防をしたりする効果が期待できる。なお、就寝時に導電性素材からなる服を着ることで、全身に電流を受けることができる。
また、例えばパルス波は直接肌に触れなくとも、電磁波として体に刺激を与えることができる。
【0071】
<変形例5>
次に、電位差のある補助部材を利用することで、生体に微弱電流を流すことが可能なクッション材200Bについて説明する。図20は、第二実施形態の変形例5に係るクッション材200Bの断面図である。図示するように、クッション材200Bは、支柱部209の押圧面側に、電極ピンが挿し込まれ固定されている。なお、電極ピンの足部211Pの先端は、支柱部209からの抜け落ち防止のために膨らんだアンカー状になっている。
【0072】
電極ピンは、互いに異なる金属で形成された、第一電極ピン211と、第二電極ピン212とからなる。具体的に、第一電極ピン211には、第二電極ピン212で選択された金属よりもイオン化傾向が小さい金属、例えば、金、白金、銀または銅などが用いられ、第二電極ピン212には、第一電極ピン211で選択された金属よりもイオン化傾向が大きい素材、例えば、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、ステンレス、銀または銅などが用いられる。なお、電極ピンとして利用できる物質は、金属に限られない。電位差(イオン化傾向)の違いを利用して、生体内に微弱電流を発生させることができる組合せであればどのようなものを用いてもよい。例えば異種金属に限らず、導電性高分子、導電性酸化物などを組み合わせてもよい。また、半導体と呼ばれるものであってもよい。
【0073】
さらに、第一電極ピン211と第二電極ピン212とは、支柱部209と導電層205を介して、相互に電気的に接続されている。接続方法はこれに限らず、例えば配線等で接続してもよい。また、本実施形態においては、ベッドマットレスの横方向に並ぶ列をひとつのグループとして同種の電極ピンが配置されており、列毎に第一電極ピン211と第二電極ピン212とが交互に並ぶ構成である。しかしながらこれに限らず、電気的に接続された両電極ピンが、同時に皮膚にあたる位置に存在すれば、どのような配置であってもよい。
【0074】
このようなクッション材200Bは、第一電極ピン211と第二電極ピン212とが電位差を有しているため、肌に当たると両電極と肌との間で電気的閉回路を形成して生体内に微弱電流を流すことができる。具体的には、第一電極ピン211と第二電極ピン212が接触した身体の一部が電池における電解質の役割を果たし、負極として機能する一方の電極ブラシ(ここでは、第二電極ピン212とする)から正イオンが電離し、電子が正極として機能するもう一方の電極ピン(ここでは、第一電極ピン211とする)に移動し、両電極ピンに電位差が生じる。この電位差により、生体内には微弱電流が流れる。微弱電流は、皮膚面の状況、外部環境(温度や湿度など)あるいは押圧強度などによって異なるが、例えば0.1μA~50μAであり、好ましくは0.3μA~20μAである。また、両極間に発生する電圧は、例えば100mV~3Vであり、好ましくは200mV~2.6Vである。
【0075】
このようなクッション材200Bによれば、微弱電流が皮膚の表面の組織を損傷させずに皮膚の真皮層に入り、身体の細胞組織のイオン配列を整える。また、交感神経を刺激することによって身体の調子を整えたり、病気の治癒や予防したりする効果が期待できる。さらに、金属材料の抗菌・抗ウイルス作用により、皮膚を健康に保つことができる。
【0076】
<変形例6>
図21は、第二実施形態の変形例6に係るクッション材200Cの断面図である。クッション材200Cは、例えば靴の中敷き等に使用する薄手の弾性体である。図示するように、クッション材200Cは、基部217に形成される孔216に嵌め込むことが可能な導電性の支柱部215を有する。なお、孔216は,ここでは基部217を貫通しないものとする。
【0077】
支柱部215には、少なくとも1つずつの第一電極ピン211と第二電極ピン212とが、離れた位置に挿し込んで固定されている。なお、第一電極ピン211と第二電極ピン212との間には、両ピンが接触して短絡するのを防止するための溝214が形成されている。なお、溝部分に絶縁体からなる部材を設けてもよい。
【0078】
このようなクッション材200Cによれば、靴底に使用した際に、足裏等が両電極ピンに接触することで、生体内に微弱電流を流すことができる。なお、裸足で利用したり、導電性の素材を用いた靴下を利用したりすることで、より効果が高まる。また、必ずしも靴底に使用する必要はなく、例えば靴下や手袋、レーシングパンツのクッションとして利用したり、ポケット、下着、手袋等の内部に入れて身に付けることも可能である。
【0079】
<変形例7>
図22は、第二実施形態の変形例7に係るクッション材200Dの断面図である。クッション材200Dは、例えば首や腕、胴体、足等に巻くためのバンド状の弾性体である。図示するように、クッション材200Dは,バンド状の基部218に設けられた孔219に嵌め込むことが可能な導電性の支柱部220を有する。また、支柱部220には貫通孔である差込孔221Aが少なくとも2つ設けられており、基部218にも、孔219の底面から基部218の底面を貫通する差込孔221Bが設けられている。支柱部220を孔219に嵌め込むと、これら差込孔221Aおよび差込孔221Bの開口がぴったり合うように構成されており、両孔を貫くようにして第一電極ピン211と第二電極ピン212を固定することができる。なお、1つの支柱部220に対し、第一電極ピン211と第二電極ピン212とが少なくとも1つずつ設けられている。
【0080】
このようなクッション材200Dによれば、バンドを身体に巻いて使用した際、身体が両電極ピンに接触することで、生体内に微弱電流を流すことができる。なお、利用法としては、例えば時計のバンドや、ブレスレット、ネックレス、ベルト、コルセット、アンクレット等、身体に巻き付ける様々なものに応用できる。
【0081】
<変形例8>
図23は、第二実施形態の変形例8にかかるクッション材200Eの断面図である。図示するようにクッション材200Eは、上記のクッション材200Dの支柱部220が少なくとも1つ含まれる一片であり、これを貼付テープ222で身体に貼り付けて使用するものである。
【0082】
このようなクッション材200Eによれば、貼付テープで身体のあらゆる位置に貼り付けることができ、生体内に微弱電流を流す押圧器具として使用することができる。
【0083】
なお、図24(a)に示すように、支柱部220に代わり、切断部224を設けた基部223を使用してもよい。図示するように、身体の曲面に貼付テープ222を貼付した場合、クッション材200Fは肌に押し付けられて曲がろうとするが、切断部224が屈曲方向への力を緩衝することで、基部223が過度に折れ曲がるのを防ぐことができる。これにより、両電極ピンが接触しづらくなり短絡が防止されるとともに、利用者は突っ張り感なく快適な使用が可能となる。また、クッション材を使用することで、軽量な押圧器具とすることができるとともに、収縮性があるため肌に密着させやすい。これらにより、例えば、器具貼り付けテープにて貼り付ける時において、筋肉などの伸び縮み時の肌の収縮による器具貼り付けテープのテンション増強から、肌に刺激が発生し肌障害を起こすことを防止できる。
【0084】
さらに、図24(b)~図25(d)に示すようなクッション材を設けてもよい。図24(b)に示すクッション材200Gは、電極ピンの差込孔226と、基部227を縦方向に貫通する切断部225を設けた例である。なお、切断部225は基部227を完全に切り離すものではなく、図示しない部分で基部227は連続しているものとする。また、図24(c)に示すように、基部228の途中部分までの切断部225Aを設けたクッション材200Hとしてもよいし、図24(d)に示すように、基部229に電極ピンの頭部231が収まる大きさの差込孔230を設け、電極ピンの出っ張り部分を下げたクッション材200Iとしてもよい。電極ピンの頭部231を差込孔230に収めることで、短絡防止効果がさらに高まる。
【0085】
また、図25に示すように、電極ピン232に電流を流す電源208を備えたクッション材200Gとしてもよい。なお、電極ピン232は印加を前提としているため別素材を使用する必要はなく、基部223の内部には、各電極ピン232に接続される電源208が設けられている。なお、電源208と電極ピン232との接続には、例えば金属箔や金属筒等の通電部材233を用いるとよい。互いが接触するように通電部材233で足部234の周囲を囲み、通電部材233に電源208を接続することで、足部234が大きく動いた場合でも接続が途切れるのを防止することができる。このようなクッション材200Gは、簡単な電気治療だけでなく、EMS等の救命器具に用いることも可能である。
【0086】
以上、本発明に係る生体電気刺激具について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明には、上記の各実施形態や変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0087】
100,200・・・クッション材、101,201・・・基部、102,202・・・支柱部、103,104,203・・・孔、105・・・カバー、106A・・・上面ピン、106B,107・・・下面ピン、110・・・板状クッション材、113・・・切断部、130・・・ストレッチポール、204・・・通気孔、205・・・導電層、206・・・配線、207・・・スペーサー、208・・・電源、210・・・フレーム、211・・・第一電極ピン、212・・・第二電極ピン、222・・・貼付テープ。
図1
図2
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