(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】液晶コヒーレント表示透明スクリーン及び液晶レーザー透明表示システム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240524BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240524BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20240524BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240524BHJP
G03B 21/60 20140101ALI20240524BHJP
G03B 21/62 20140101ALI20240524BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20240524BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240524BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1335 520
G02F1/1337 525
G02F1/13357
G03B21/60
G03B21/62
G09F9/35
G09F9/00 336Z
H04N5/74 C
(21)【出願番号】P 2023029196
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202211656478.0
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519406865
【氏名又は名称】シャンシィ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】トン ジャオミン
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/039859(WO,A1)
【文献】特開平05-273509(JP,A)
【文献】特開2020-166055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0241301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02F 1/1337
G02F 1/13357
G03B 21/60
G03B 21/62
G09F 9/35
G09F 9/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示透明スクリーンであって、
対向配置された第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の、前記第2基板と対向する側に位置する第1電極層と、
前記第1電極層の、前記第2基板と対向する側に位置する第1部分反射鏡と、
前記第1部分反射鏡の、前記第2基板と対向する側に位置する第1配向層と、
前記第2基板の、前記第1基板と対向する側に位置する第2電極層と、
前記第2電極層の、前記第1基板と対向する側に位置する第2部分反射鏡と、
前記第2部分反射鏡の、前記第1基板と対向する側に位置する第2配向層と、
前記第1配向層と前記第2配向層との間に位置する液晶層と、
を含むことを特徴とする
液晶表示透明スクリーン。
【請求項2】
前記第1基板は、ガラス基板であり、前記第2基板は、ガラス基板である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
液晶表示透明スクリーン。
【請求項3】
前記第1電極層は、酸化インジウムスズ電極層であり、前記第2電極層は、酸化インジウムスズ電極層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
液晶表示透明スクリーン。
【請求項4】
前記第1配向層は、ポリイミド配向層であり、前記第2配向層は、ポリイミド配向層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
液晶表示透明スクリーン。
【請求項5】
前記第1部分反射鏡は、高屈折率材料膜層であり、前記第2部分反射鏡は、高屈折率材料膜層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
液晶表示透明スクリーン。
【請求項6】
液晶レーザー透明表示システムであって、
光源、光学コンポーネント及び請求項1から5のいずれか1項に記載の
液晶表示透明スクリーンを含
み、
前記光源は、レーザー光源である、
ことを特徴とする液晶レーザー透明表示システム。
【請求項7】
前記光学コンポーネントは、前記光源から発せられた光をシミング処理するためのシミング光学コンポーネントを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の液晶レーザー透明表示システム。
【請求項8】
前記光学コンポーネントは、前記シミング光学コンポーネントから出力された光を整形処理するための整形光学コンポーネントをさらに含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の液晶レーザー透明表示システム。
【請求項9】
前記光学コンポーネントは、前記整形光学コンポーネントから出力された光を前記
液晶表示透明スクリーンに伝送するためのレーザー伝送コンポーネントをさらに含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の液晶レーザー透明表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術分野に関し、より具体的に、液晶コヒーレント表示透明スクリーン及び液晶レーザー透明表示システムに関している。
【背景技術】
【0002】
科学技術の継続的な発展につれて、様々な表示技術は既に人々の生活及び仕事に広く適用され、人々の日常生活に大きな利便性をもたらす。
【0003】
透明表示は、画像を透明媒体上に表示する表示技術であり、表示内容と応用シーンとの融合を実現することができ、例えば、ガラス上に内容と応用シーンを表示して仮想・現実結合の表示を実現する。
【0004】
液晶表示による透明表示は、通常の透明表示技術であり、液晶透明表示システムは主に広帯域スペクトル照明光源と液晶透明ディスプレイとからなり、その基本的な表示原理は、非偏光の広帯域スペクトル照明光が偏光子を介して偏光を発生させ、電界によって液晶状態及び光の偏光状態を変更し、偏光子と直交するアナライザを結合して、輝度変調及び比較表示を実現することであり、また、カラー画像情報を生成するために、広帯域スペクトル照明光をフィルタ処理し、赤、緑、青の三原色を生成する必要があるので、さらに光学フィルタを使用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明らかに、従来の液晶透明表示システムは、偏光子、アナライザ及び光学フィルタを使用するため、液晶透明表示時の光透過率は比較的に低く、一般的に5%~10%である。
【0006】
これに鑑みると、上記問題を解决するために、本発明は、液晶コヒーレント表示透明スクリーン及び液晶レーザー透明表示システムを提供し、その技術案は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
液晶コヒーレント表示透明スクリーンであって、
対向配置された第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の、前記第2基板と対向する側に位置する第1電極層と、
前記第1電極層の、前記第2基板と対向する側に位置する第1部分反射鏡と、
前記第1部分反射鏡の、前記第2基板と対向する側に位置する第1配向層と、
前記第2基板の、前記第1基板と対向する側に位置する第2電極層と、
前記第2電極層の、前記第1基板と対向する側に位置する第2部分反射鏡と、
前記第2部分反射鏡の、前記第1基板と対向する側に位置する第2配向層と、
前記第1配向層と前記第2配向層との間に位置する液晶層と、を含む。
【0008】
好ましくは、上記液晶コヒーレント表示透明スクリーンにおいて、前記第1基板は、ガラス基板であり、前記第2基板は、ガラス基板である。
【0009】
好ましくは、上記液晶コヒーレント表示透明スクリーンにおいて、前記第1電極層は、酸化インジウムスズ電極層であり、前記第2電極層は、酸化インジウムスズ電極層である。
【0010】
好ましくは、上記液晶コヒーレント表示透明スクリーンにおいて、前記第1配向層は、ポリイミド配向層であり、前記第2配向層は、ポリイミド配向層である。
【0011】
好ましくは、上記液晶コヒーレント表示透明スクリーンにおいて、前記第1部分反射鏡は、高屈折率材料膜層であり、前記第2部分反射鏡は、高屈折率材料膜層である。
【0012】
液晶レーザー透明表示システムであって、
光源、光学コンポーネント及び上記のいずれか1項に記載の液晶コヒーレント表示透明スクリーンを含む。
【0013】
好ましくは、上記液晶レーザー透明表示システムにおいて、前記光学コンポーネントは、前記光源から発せられた光をシミング処理するためのシミング光学コンポーネントを含む。
【0014】
好ましくは、上記液晶レーザー透明表示システムにおいて、前記光学コンポーネントは、前記シミング光学コンポーネントから出力された光を整形処理するための整形光学コンポーネントをさらに含む。
【0015】
好ましくは、上記液晶レーザー透明表示システムにおいて、前記光学コンポーネントは、前記整形光学コンポーネントから出力された光を前記液晶コヒーレント表示透明スクリーンに伝送するためのレーザー伝送コンポーネントをさらに含む。
【0016】
好ましくは、上記液晶レーザー透明表示システムにおいて、前記光源は、レーザー光源である。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べると、本発明によって実現される有益な効果は以下の通りである。
本発明によって提供される液晶コヒーレント表示透明スクリーンは、対向配置された第1基板及び第2基板と、前記第1基板の、前記第2基板と対向する側に位置する第1電極層と、前記第1電極層の、前記第2基板と対向する側に位置する第1部分反射鏡と、前記第1部分反射鏡の、前記第2基板と対向する側に位置する第1配向層と、前記第2基板の、前記第1基板と対向する側に位置する第2電極層と、前記第2電極層の、前記第1基板と対向する側に位置する第2部分反射鏡と、前記第2部分反射鏡の、前記第1基板と対向する側に位置する第2配向層と、前記第1配向層と前記第2配向層との間に位置する液晶層と、を含む。当該液晶コヒーレント表示透明スクリーンは、従来技術の偏光子、アナライザ及び光学フィルタに代えて、第1部分反射鏡と第2部分反射鏡とからなる光共振微小キャビティを採用し、さらに、その液晶透明表示時の光透過率を高める。
【0018】
本発明の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において使用される必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本発明の実施例にすぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、提供された図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施による液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例による別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例によるさらに別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【
図4】本発明の実施例によるさらに別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例によるさらに別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【
図6】本発明の実施例による液晶コヒーレント表示透明スクリーンの原理構造模式図である。
【
図7】本発明の実施例による画素の反射スペクトルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の図面を結合して本発明の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載する。明らかに、記載された実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例のみであり、本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として、取得した他の全ての実施例はいずれも本発明の保護範囲に属している。
【0021】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下、図面及び具体的な実施形態を結合して本発明をさらに詳しく説明する。
【0022】
図1を参照して、
図1は、本発明の実施例による液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図であり、当該液晶レーザー透明表示システムは、
光源11、光学コンポーネント12及び以下の実施例に記載の液晶コヒーレント表示透明スクリーン13を含む。
【0023】
具体的に、本発明の実施例において、光源11から発せられた光は、光学コンポーネント12を通過した後、液晶コヒーレント表示透明スクリーン13を照明し、液晶コヒーレント表示透明スクリーン13は、反射モードで動作し、
図1に示すように、観察者の目及び物体は、液晶コヒーレント表示透明スクリーン13の正面及び裏面にそれぞれ位置し、偏光素子及び光学フィルタなしのLC―LTD(LiquidCrystal―Laser TransparentDisplay、液晶レーザー透明表示)技術を実現し、当該LC―LTD技術は、偏光素子及び光学フィルタを必要としないため、非コヒーレントな環境光に対して高光透過率を有するという利点がある。
【0024】
ここで、本発明の実施例において、液晶コヒーレント表示透明スクリーン13が反射モードで動作する場合を例として説明するが、液晶コヒーレント表示透明スクリーン13を透過モードで動作させてもよい。
【0025】
好ましくは、本発明の別の実施例において、
図2を参照し、
図2は、本発明の実施例による別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【0026】
前記光源11は、レーザー光源14である。
【0027】
具体的に、本発明の実施例において、レーザー光源14を液晶レーザー透明表示システムの照明光源として使用し、単色性がよく、色が非常に純粋であるなどの利点を有し、表示画像に広色域の利点を持たせ、レーザー光源14から発せられるレーザーの方向性がよいので、より高い光効果使用率を実現し、表示画像に高輝度の利点を持たせることができる。
【0028】
好ましくは、本発明の別の実施例において、
図3を参照し、
図3は、本発明の実施例による別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【0029】
前記光学コンポーネント12は、シミング光学コンポーネント15を含む。
【0030】
前記シミング光学コンポーネント15は、前記光源11から発せられた光をシミング処理する。
【0031】
好ましくは、本発明の別の実施例において、
図4を参照し、
図4は、本発明の実施例による別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【0032】
前記光学コンポーネント12は、整形光学コンポーネント16をさらに含む。
【0033】
前記整形光学コンポーネント16は、前記シミング光学コンポーネント15から出力された光を整形処理する。
【0034】
好ましくは、本発明の別の実施例において、
図5を参照し、
図5は、本発明の実施例による別の液晶レーザー透明表示システムの原理構造模式図である。
【0035】
前記光学コンポーネント12は、レーザー伝送コンポーネント17をさらに含む。
【0036】
前記レーザー伝送コンポーネント17は、前記整形光学コンポーネント16から出力された光を前記液晶コヒーレント表示透明スクリーン13に伝送する。
【0037】
好ましくは、本発明の別の実施例において、
図6を参照し、
図6は、本発明の実施例による液晶コヒーレント表示透明スクリーンの原理構造模式図である。
【0038】
当該液晶コヒーレント表示透明スクリーン13は、
対向配置された第1基板21及び第2基板22と、
前記第1基板21の、前記第2基板22と対向する側に位置する第1電極層23と、
前記第1電極層23の、前記第2基板22と対向する側に位置する第1部分反射鏡24と、
前記第1部分反射鏡24の、前記第2基板22と対向する側に位置する第1配向層25と、
前記第2基板22の、前記第1基板21と対向する側に位置する第2電極層26と、
前記第2電極層26の、前記第1基板21と対向する側に位置する第2部分反射鏡27と、
前記第2部分反射鏡27の、前記第1基板21と対向する側に位置する第2配向層28と、
前記第1配向層25と前記第2配向層28との間に位置する液晶層29と、を含む。
【0039】
具体的に、本発明の実施例において、2つの画素を例として説明し、当該液晶コヒーレント表示透明スクリーン13の基本的な構造は、
図6に示すように、主に第1基板21、第2基板22、第1電極層23、第1部分反射鏡24、第1配向層25、第2電極層26、第2部分反射鏡27、第2配向層28及び液晶層29を含み、第1電極層23及び第2電極層26は、電界信号を液晶層29における液晶に印加し、第1配向層25及び第2配向層28は、液晶層29における液晶に対してアンカー操作を行う。
【0040】
さらに、本発明の実施例において、当該液晶コヒーレント表示透明スクリーン13は、従来技術の偏光子、アナライザ及び光学フィルタに代えて、第1部分反射鏡24と第2部分反射鏡27とからなる光共振微小キャビティを採用し、さらに、液晶透明表示時の光透過率を高めることができる。
【0041】
図6に示すように、第1電極層23及び第2電極層26により左画素及び右画素に印加される電圧信号は異なり、それぞれV
on及びV
offとなるため、左画素及び右画素内の液晶状態及び液晶等価屈折率が異なり、対応する光共振微小キャビティに、異なる等価キャビティ長及び反射スペクトルを持たせる。
【0042】
さらに、
図7を参照し、
図7は、本発明の実施例による画素の反射スペクトルの模式図であり、
図7は、レーザー波長が520nmである場合、「全開」及び「全閉」の電圧を液晶コヒーレント表示透明スクリーン13のある画素に印加した後の、当該画素の反射スペクトルの模式図である。
【0043】
ここで、
図7において、電圧印加前後の液晶の屈折率変化範囲は1.58~1.67であり、第1部分反射鏡24及び第2部分反射鏡27の反射率は0.15であり、液晶層29の厚さは1.5μmであり、レーザーの入射角は9.2°である。
【0044】
「全開」の電圧を当該画素に印加した場合、当該画素の反射スペクトルのピーク位置はレーザーの波長位置と重なり、この時、当該画素の輝度は最も明るく、「全閉」の電圧を当該画素に印加した場合、当該画素の反射スペクトルの谷値位置は、レーザーの波長位置と重なり、この時、当該画素の輝度は最も暗い。
【0045】
上記記載から分かるように、本発明の実施例によって提供される偏光素子及び光学フィルタなしのLC―LTD技術は、レーザー光源の高コヒーレントスペクトル特徴を十分に利用し、液晶等価屈折率の調節を結合して、光共振微小キャビティの反射スペクトルを変更し、輝度変調及び比較表示を実現する。
【0046】
好ましくは、本発明の別の実施例において、前記第1基板21は、ガラス基板であり、前記第2基板22は、ガラス基板であってもよい。
【0047】
ここで、当該第1基板21及び第2基板22は、他の透明材料の基板であってもよく、本発明の実施例において、第1基板21及び第2基板22はいずれもガラス基板であることを例として説明する。
【0048】
好ましくは、本発明の別の実施例において、前記第1電極層23は、酸化インジウムスズ電極層であり、前記第2電極層26は、酸化インジウムスズ電極層であってもよい。
【0049】
ここで、当該第1電極層23及び第2電極層26は、他の透明材料の電極層であってもよく、本発明の実施例において、第1電極層23及び第2電極層26はいずれも酸化インジウムスズ透明電極層であることを例として説明する。
【0050】
好ましくは、本発明の別の実施例において、前記第1配向層25は、ポリイミド配向層であり、前記第2配向層28は、ポリイミド配向層であってもよい。
【0051】
ここで、当該第1配向層25及び第2配向層28は、他の汎用材料の配向層であってもよく、本発明の実施例において、第1配向層25及び第2配向層28はいずれもポリイミド配向層であることを例として説明する。
【0052】
好ましくは、本発明の別の実施例において、前記第1部分反射鏡24は、高屈折率材料膜層であり、前記第2部分反射鏡27は、高屈折率材料膜層であってもよい。
【0053】
ここで、当該第1部分反射鏡24は、単層のTa2O5などの高屈折率材料の膜層であってもよく、当該第2部分反射鏡27は、単層のTa2O5などの高屈折率材料の膜層であってもよい
【0054】
好ましくは、本発明の別の実施例において、液晶層29における液晶がネマティック液晶、例えば、5CB液晶であることを例として説明する。
【0055】
第1部分反射鏡24及び第2部分反射鏡27は、単層のTa2O5などの高屈折率材料の膜層であってもよく、それが屈折率の差によって液晶と形成された反射鏡の反射率は、低いため、当該液晶レーザー透明表示システムは非コヒーレントな環境光に対して高光透過率を有する。
【0056】
さらに、以下、具体的な実施形態で、本発明の実施例によって提供される液晶コヒーレント表示透明スクリーン及び液晶レーザー透明表示システムの原理をさらに説明する。
【0057】
レーザーが光共振微小キャビティを照明する時、第1部分反射鏡24及び第2部分反射鏡27の表面で複数回の反射、透過、及びマルチビーム干渉が発生し、透過光が同相である場合、当該光共振微小キャビティ透過スペクトルのピーク(即ち、反射スペクトルの谷値)に対応するように、建設的干渉があり、透過光が逆相でる場合、当該光共振微小キャビティ透過スペクトルの谷値(即ち、反射スペクトルのピーク)に対応するように、破壊的干渉がある。
【0058】
光共振微小キャビティにおける液晶の等価屈折率はnであり、液晶層29の厚さはLであり、レーザー入射角はθであると仮定すると、隣接する2つの反射光の間の光路差はΔL=2nLcosθである。
【0059】
位相シフトを配慮しない場合の位相差はδ=(4π/λ)nLcosθである。
【0060】
第1部分反射鏡24の反射率と第2部分反射鏡27の反射率が同じであり、Rに等しいと仮定すると、当該光共振微小キャビティの透過率関数は、以下の公式で与えられる。
【0061】
【0062】
そのうち、
【0063】
【0064】
媒体の光に対する吸収を配慮しない場合、当該光共振微小キャビティの反射率はR=1-Tである。
【0065】
液晶は、電圧変化時に、その液晶分子が回動して、液晶の等価屈折率nを変更させることで、光共振微小キャビティの等価キャビティ長nL及び反射スペクトルRを変更させる。
【0066】
レーザースペクトルが、光共振微小キャビティの反射スペクトルのピーク、谷値とそれぞれ重なった場合、最も明るい及び最も暗い画像を取得し、他の電圧信号は、中間輝度状態に対応する。
【0067】
以上は、本発明によって提供される液晶コヒーレント表示透明スクリーン及び液晶レーザー透明表示システムを詳しく紹介し、本明細書は、具体的な例によって本発明の原理及び実施形態を説明し、以上の実施例の説明はただ本発明の方法及びその主旨の理解を支援するためのものであり、同時に、当業者であれば、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲に対していずれも変更でき、以上のように、本明細書の内容は本発明の制限として理解されるべきではない。
【0068】
ここで、本明細書の各実施例に対していずれも漸進の方式で記載され、各実施例はいずれも他の実施例との相違点を主に説明し、各実施例の間の同様又は類似の部分について互いに参照すればよい。実施例に開示された装置にとって、実施例に開示された方法に対応するため、その記載は簡単であり、関するところについて、方法部分の説明を参照すればよい。
【0069】
また、ここで、本明細書において、第1及び第2のような関係用語はただ1つのエンティティ又は操作を別のエンティティ又は操作に区別するためのものであり、これらのエンティティ又は操作同士の間にはこのような実際の関係又は順序があるように要求又は暗示するとは限らない。そして、「含む」「包含」という用語又はそれらの他の任意の変形は非排他的包含を含むように意図され、それにより、一連の要素を含む過程、方法、品物又は機器は、それらの要素を含むだけでなく、或いは、さらにこれらの過程、方法、品物又は設備の固有の要素を含む。これ以上限定しない限り、「○○を含む」という文で限定された要素は、当該要素を含む過程、方法、品物又は設備にはさらに他の同じ要素があることを排除しない。
【0070】
開示された実施例に対する上記説明によって、当業者は本発明を実現又は使用できる。これらの実施例に対する様々な補正は当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現されることができる。従って、本発明は本明細書のこれらの実施例に限定されず、本明細書に開示された原理及び新規特点と一致する最も幅広い範囲に合う。
【要約】 (修正有)
【課題】液晶コヒーレント表示透明スクリーン及び液晶レーザー透明表示システムを提供する。
【解決手段】液晶コヒーレント表示透明スクリーンは、対向配置された第1基板及び第2基板と、第1基板の、第2基板と対向する側に位置する第1電極層と、第1電極層の、第2基板と対向する側に位置する第1部分反射鏡と、第1部分反射鏡の、第2基板と対向する側に位置する第1配向層と、第2基板の、第1基板と対向する側に位置する第2電極層と、第2電極層の、第1基板と対向する側に位置する第2部分反射鏡と、第2部分反射鏡の、第1基板と対向する側に位置する第2配向層と、第1配向層と第2配向層との間に位置する液晶層と、を含む。
【効果】液晶コヒーレント表示透明スクリーンは、従来技術の偏光子、アナライザ及び光学フィルタに代えて、第1部分反射鏡と第2部分反射鏡とからなる光共振微小キャビティを採用し、その液晶透明表示時の光透過率を高める。
【選択図】
図6