(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】高耐電圧のRCスナバ回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240524BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240524BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20240524BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 C
H01G4/33 102
H01G4/40 301A
H01L27/04 R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019210198
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】10 2018 219 994.9
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】エアルバッヒャー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】シュレッツ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ラットマン グートルン
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0163950(US,A1)
【文献】特開2015-111671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0274014(US,A1)
【文献】特開2010-205997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/10
H01G 4/14-4/22
H01G 4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-17/00
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(1)に一体的に組み込まれたRCスナバ回路によって形成される電気回路装置であって、
前記RCスナバ回路の第1のコンデンサー(C
vert)及び抵抗(R)は、前記半導体基板(1)の第1のドープ型の半導体領域において縦方向に形成され、
少なくとも1つの更なるコンデンサー(C
lat)は、前記第1のコンデンサー(C
vert)と直列に接続され、
前記更なるコンデンサー(C
lat)は、前記第1のドープ型の前記半導体領域に隣接する第2のドープ型の半導体領域において、前記第1のコンデンサーに対して横方向に組み込まれ、前記ドープ型が異なることによって、前記更なるコンデンサー(C
lat)は、前記第1のドープ型の前記半導体領域から電気的に絶縁される、電気回路装置。
【請求項2】
前記第2のドープ型の前記半導体領域は、前記第1のドープ型の前記半導体領域におけるウェル領域(3)として形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電気回路装置。
【請求項3】
前記ウェル領域(3)の周りにエッジ終端(11)が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の電気回路装置。
【請求項4】
前記第1のドープ型の前記半導体領域は、前記コンデンサー(C
vert、C
lat)が形成される前記半導体基板(1)の前面から、前記半導体基板(1)の裏側まで延在し、該裏側には、裏側メタライゼーション(9)が施され、前記RCスナバ回路の前記抵抗(R)は、前記裏側メタライゼーション(9)を介して電気的接触が可能であり、前記前面には、少なくとも1つの電気コンタクト(7)が設けられ、前記少なくとも1つの更なるコンデンサー(C
lat)は、前記少なくとも1つの電気コンタクト(7)を介して電気的接触が可能であることを特徴とする、請求項1
~3のいずれか1項に記載の電気回路装置。
【請求項5】
前記半導体基板(1)は、前記コンデンサー(C
vert、C
lat)を形成するために、前記前面に、電気的に絶縁された誘電体層(4)又は積層によって被覆され、導電性材料(5)によって充填される凹部の配列をそれぞれ有することを特徴とする、請求項
4に記載の電気回路装置。
【請求項6】
前記コンデンサー(C
vert、C
lat)は、電気絶縁性の共通の誘電体層(4)又は積層を有することを特徴とする、請求項
5に記載の電気回路装置。
【請求項7】
前記電気
的に絶縁
された誘電体層(4)又は積層は、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素から形成されることを特徴とする、請求項
5又は
6に記載の電気回路装置。
【請求項8】
前記コンデンサー(C
vert、C
lat)間に平衡抵抗が形成されることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の電気回路装置。
【請求項9】
前記半導体領域は、前記コンデンサー(C
vert、C
lat)の領域において、5E18cm
-3以上のドープ量を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の電気回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に一体的に組み込まれたRCスナバ回路による電気回路装置であって、RCスナバ回路の第1のコンデンサー及び抵抗は、半導体基板の第1のドープ型の半導体領域において縦方向に形成され、少なくとも1つの更なるコンデンサーは、第1のコンデンサーと直列に接続される、電気回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スナバ回路は、電気回路において、例えば、誘導負荷の切替え時に発生するような、妨げとなる高周波又はピーク電圧を抑制するために使用される。このために、コンデンサーと抵抗との直列接続によって形成される、いわゆるRCスナバ回路が利用されることが多い。パワーエレクトロニクスにおける使用に関しては、良好な放熱性(Entwaermbarkeit)と高い耐電圧(Spannungsfestigkeit)とを有する低インダクタンスのスナバ回路が必要とされる。
【0003】
縦型のRCスナバ回路を半導体基板に一体的に組み込むことで、高い放熱性が可能となる。そのようなRCスナバ回路が、例えば、特許文献1に記載されている。このRCスナバ回路のコンデンサーは、半導体基板におけるトレンチ構造を、誘電体層で被覆し、導電性材料で充填することによって形成される。このトレンチ構造と基板の裏側との間のドープ領域は、RCスナバ回路の抵抗を形成する。前面側及び裏側における好適なコンタクトメタライゼーションによって、RCスナバ回路が接点を持つことが可能になる。そのようにして得られるRCスナバチップは、例えば、DCB基板(DCB:Direct Copper Bonding)上に実装することができる。しかしながら、そのようなRCスナバ回路の、例えば1200Vという高耐電圧には、非常に厚い誘電体が必要であり、それに関連する機械的応力の問題も伴う。
【0004】
DCB基板上に2つのRCスナバ回路を直列接続することで、各RCスナバ回路の電圧負荷は半分に低減されるものの、これには上面に2つのボンディング箇所が必要となり、それにより、インダクタンスの増加につながる。さらに、そのような構造には、個々の構成要素間の必要な隙間のため、更なる表面スペースを必要とする。
【0005】
コンデンサーの電圧負荷は、複数のコンデンサーを直列接続することによって低減することができる。そのため、例えば、特許文献2において、第1のコンデンサーを半導体基板の前面側のトレンチ構造として形成し、第2のコンデンサーを半導体基板の裏側のトレンチ構造として形成した、縦型構成が一体的に組み込まれたコンデンサーが提案されている。そうした実現化は、半導体基板の両面処理によって可能になる。しかしながら、この場合、裏面電位は、基板電位に対応しない。さらに、モジュール構造に関して、このような形態の場合、絶縁の複雑さが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7,738,226号
【文献】米国特許第9,917,146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低インダクタンスであるとともに、良好な放熱性、高い耐電圧、及び高い集積密度を有するRCスナバ回路による電気回路装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求項1に記載の電気回路装置によって解決される。回路装置の有利な形態は、従属請求項の主題であるか、又は以下の記載及び実施例から見て取れる。
【0009】
提案される電気回路装置において、RCスナバ回路が半導体基板に組み込まれ、RCスナバ回路の第1のコンデンサー及び抵抗が、半導体基板の第1のドープ型の半導体領域において縦方向に形成される。少なくとも1つの更なるコンデンサーが、第1のコンデンサーと直列に接続される。この更なるコンデンサーは、第1のドープ型の半導体領域に隣接する第2のドープ型の半導体領域において、第1のコンデンサーに対して横方向に組み込まれる。ドープ型が異なることによって、上記更なるコンデンサーは、第1のドープ型の半導体領域から、したがってRCスナバ回路の抵抗から、pn接合を介して電気的に絶縁される。
【0010】
したがって、提案される電気回路装置は、半導体基板における縦型コンデンサーと少なくとも1つの横型コンデンサーとの組合せによって特徴付けられ、そのため、前面接触に必要なボンディングワイヤは1本のみである。これは、RCスナバ回路として作用するこの回路装置の低インダクタンスにつながる。ただ1つの縦型RCスナバが一体的に組み込まれていることによって、半導体基板を介した熱損失が更に導かれ、それにより、回路装置の良好な放熱性が保証される。また、RCスナバ回路の抵抗を、第1のドープ型の半導体領域において、第1のコンデンサーと半導体基板の裏側との間にドープを行うことによって、更に調整可能である。抵抗の接点のために裏側に施されたメタライゼーションにおける裏面電位は、基板電位に対応する。
【0011】
横型コンデンサーとして更なるコンデンサーを設けることにより、電気回路装置のブロッキング電圧(Sperrspannung)が複数のコンデンサーに分配される。それにより、コンデンサーにおいてより薄い誘電体を使用することができ、それにより、機械的応力も少なくなる。したがって、縦型コンデンサーと横型コンデンサーとを直列接続する場合、耐電圧を約400V~約2000Vにするには、誘電体の厚さを、好ましくは500nm~2000nmにすることができる。例えば、20nmのSiO2及び500nmのSi3N4の場合の層厚では、耐電圧は400Vになり、330nmのSiO2及び1000nmのSi3N4の場合の層厚では、耐電圧は1200Vになり、330nmのSiO2及び1500nmのSi3N4の場合の層厚では、耐電圧は1800Vになる。2つ以上の横型コンデンサーの場合、必要な層厚はそれに応じて小さくなる。同じ層厚である場合、耐電圧はそれに応じて高くなる。
【0012】
1つ又は複数の横型コンデンサーの絶縁は、pn接合によって行われ、これは、RCスナバ回路における電圧の極性が適切である場合、ブロッキング方向のダイオードとして機能する。また、異なるドープ型の半導体領域間のpn接合は、印加電圧の約50%のみをブロックすればよい。また、提案される回路装置は、より厚い誘電体に起因して僅かな穴深さしか可能でないことで、同じ静電容量のためにより大きな表面積が必要となる1つのみのコンデンサーを備える場合で、耐電圧が同じである形態に比して、より高い集積密度を可能にする。
【0013】
好ましい形態において、更なるコンデンサーが形成される第2のドープ型の半導体領域は、第1のドープ型の半導体領域におけるウェル領域として形成される。複数の横型コンデンサーを直列接続する場合、第1のドープ型の半導体領域内に、複数の互いに分離された第2のドープ型のウェル領域が形成されることが好ましい。
【0014】
第1のドープ型の半導体領域は、コンデンサーが形成される半導体基板の前面から、半導体基板の裏側まで延在することが好ましい。また、裏側には、裏側メタライゼーションが施され、RCスナバ回路の抵抗は、その裏側メタライゼーションを介して電気的接触が可能である。前面には、少なくとも1つの電気コンタクトが設けられ、更なるコンデンサー又は(更なるコンデンサーが複数ある場合には)直列接続の最後のコンデンサーを少なくとも介して、電気的接触が可能である。
【0015】
提案される回路装置において、コンデンサーは、既知の方法で、半導体基板の前面における凹部の配列によって、それらの凹部を、電気絶縁性の誘電体層又は積層で被覆し、導電性材料で充填することでそれぞれ形成されることが好ましい。凹部は、例えば、隣り合って延在する、特に平行又は同心円状の配置のトレンチとして形成することができる。凹部として、六角形状に配置された穴構造が用いられることが好ましい。別の幾何形状、例えば、表面における断面が矩形の凹部等も可能である。ここでは、全てのコンデンサーは、共通の誘電体、すなわち共通の誘電体層又は積層を有することが好ましい。この誘電体は、例えば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素から形成することができる。
【0016】
提案される回路装置において、pn接合によって形成されるpnダイオードの漏れ電流を平衡化するために、コンデンサー間にオーム抵抗又は非線形抵抗(更なるダイオード構造)として平衡抵抗を形成することができる。さらに、他のコンデンサーのウェル領域の周りに、ブロッキング用のpn接合のエッジ終端(Randabschluss)を形成することができる。
【0017】
半導体領域は、コンデンサーの領域において、低いESR(ESR:Ersatzserienwiderstand:等価直列抵抗)を達成するために、十分な量のドープを行うことが好ましい。
【0018】
提案される回路装置は、パワーエレクトロニクスにおいて、RCスナバ回路による電圧抑制及び同様の用途のために非常に有利に用いることができる。この回路装置は、半導体チップとして、パワー半導体基板、特にDCB基板上に、簡単な方法で実装することができる。半導体チップの裏側にわたる熱接触面積が大きいため、非常に良好な放熱性が得られる。
【0019】
以下、提案される電気回路装置を、実施例に基づき、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る電気回路装置の断面図及び等価回路図である。
【
図2】本発明の第2の実施例に係る電気回路装置の断面図及び等価回路図である。
【
図3】本発明の第3の実施例に係る電気回路装置の断面図及び等価回路図である。
【
図4】本発明の第4の実施例に係る電気回路装置の断面図及び等価回路図である。
【
図5】本発明に係る電気回路装置の縦型コンデンサー及び1つ又は複数の横型コンデンサーの配置に関する2つの例を示す上面図である。
【
図6】本発明の第5の実施例に係る電気回路装置の断面図及び等価回路図である。
【
図7A】提案される電気回路装置を製造する方法ステップの例示的な順序を示す断面図である。
【
図7B】提案される電気回路装置を製造する方法ステップの例示的な順序を示す断面図である。
【
図7C】提案される電気回路装置を製造する方法ステップの例示的な順序を示す断面図である。
【
図7D】提案される電気回路装置を製造する方法ステップの例示的な順序を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、提案される電気回路装置について、縦型コンデンサー及び1つ又は複数の横型コンデンサーを備えるRCスナバ回路を半導体チップとして形成した、複数の実施例に基づいて詳細に記載する。このために、
図1は、第1の実施例の断面図、及びこの形態の対応する等価回路図を示している。ここでは、RCスナバ回路は、等価回路図から見て取れるように、抵抗Rと、縦型コンデンサーC
vertと、横型コンデンサーC
latとの直列接続によって形成される。このために、p型ドープされる半導体基板1の前面には、p
+型ドープされるウェル2と、n
+型ドープされるウェル3とが設けられる。これらのウェル内には、トレンチが形成され、それらのトレンチは、誘電体層4によって被覆され、導電性材料5、例えばポリシリコンによって充填される。このようにして形成された双方のコンデンサーは、メタライゼーション6によって互いに直列に接続され、横型コンデンサーC
latは、対応する前面側電極7を介して電気的接触が可能である。半導体基板1の裏側には、p
+型コンタクト8を形成するp
+型層があり、このp
+型層には、裏側メタライゼーション9が施される。この裏側メタライゼーションは、RCスナバ回路に接触する裏側電極を形成する。等価回路図において見て取れるように、横型コンデンサーC
latのウェル領域3をn
+型ドープすることによって、pnダイオードD
iso,1が形成される。この等価回路図の個々の構成要素は、断面図にも示されている。コンデンサーの極性は、pnダイオードD
iso,1の逆極性(Sperrpolung)によって決められる。半導体基板1のp型ドープ及びこの基板の厚さによって、抵抗Rの大きさが設定される又は調整可能である。
【0022】
そのような電気回路装置は、
図1とは逆のドープによって実現することもできる。これは、
図2において、断面図及び対応する等価回路図に概略的に示されている。
【0023】
提案される電気回路装置は、2つ以上の横型コンデンサーを用いて実現することもできる。この場合、複数の横型コンデンサーC
latが、縦型コンデンサーC
vertに対して直列に接続される。これは、
図3において、例として2つの横型コンデンサーC
latを備えるように示されている。ここでは、第2の横型コンデンサーは、半導体基板におけるn
+型ドープされるウェル3内に、第1の横型コンデンサーと同じ方法で形成される。個々のコンデンサーの接続は、ここでも、対応するメタライゼーション6を介して行われる。直列接続における最後の横型コンデンサーのpnダイオードD
iso,2又はD
iso,nのブロッキング強度は、発生する電圧に耐えるのに十分高くなければならない。
【0024】
直列接続における最後のコンデンサーのみが接点を持つのではなく、一形態において、コンデンサーC
vert、C
latのそれぞれにも、対応するコンタクト電極7を設けることができる。これは、例として
図4の断面図及び等価回路図に示されている。こうして個々のコンデンサーに接触可能にすることにより、例えば、チャージポンプ又は容量性分圧器を実現することができる。ここでは、個々のコンデンサーは、異なる静電容量値を有することもできる。
【0025】
個々のコンデンサーは、異なる様式で横型に配置することができる。これに関して、
図5は、そのような配置の2つの例を、半導体基板の上面図において非常に概略的に示している。1つのみの横型コンデンサーC
latを有する左側の形態において、横型コンデンサーC
latは、縦型コンデンサーC
vertの領域内に対称的に配置されている。この図には、横型コンデンサーのウェルの湾曲部における降伏(Durchbruch)を防ぐためのエッジ終端11も示されている。このエッジ終端は、フィールドリングによるpnダイオードのバリア層絶縁(Sperrschichtisolation)をなす。図の右側部分には、4つの横型コンデンサーを備える一形態が、例として示されている。
【0026】
最後に、
図6は、提案される電気回路装置のもう1つの更なる実施例を示している。ここでは、更なるpnダイオードD
iso,nを形成するために、半導体基板1に更にもう1つのn
+型ウェル10が設けられている。提案される回路装置では、平衡化のために高電圧用の対応するツェナーダイオードを直列接続することも可能である。個々のpnダイオードの漏れ電流は、それぞれの構成要素表面を介して設計することができる。また、平衡化のために個々のコンデンサー間に更なるポリ抵抗を設けることも可能である。
【0027】
各pnダイオードのブロッキング強度は、ドープ及びドリフト領域の幅(基板厚さ)によって調整することができる。ここでは、基板厚さに対応する縦方向の大きさは、200μmを超えることが好ましい。横方向の大きさ、すなわち、横方向における個々のコンデンサー間の距離は、PT効果を回避するためにドーピングを適切に調整する場合、200μm未満にすることができる。
【0028】
以下の表は、基板厚さが650μmである場合の様々な電圧に対する可能な抵抗範囲(各最低抵抗)の一例を示している。
【0029】
【0030】
それに応じて、より薄い基板又はエピタキシーによって、より低い抵抗も可能である。
【0031】
以下、
図1による縦型コンデンサー及び横型コンデンサーを備える本発明に係る電気回路装置の製造の一例を、簡潔に説明する。まず、基板1の表面において、マスクを用いて、双方のコンデンサーにそれぞれトレンチ構造を形成する。このトレンチ構造は、コンデンサーを形成するための表面積を拡大する役目を果たし、その形成は、例えば、シリコン基板においてドライエッチング(異方性)によって行うことができる。これに関して、
図7Aは、p型ドープされる半導体基板1の対応するトレンチ構造を示している。次に、各ウェル2、3を形成するために、コンデンサー領域のドープを行う。縦型コンデンサーのウェル2は、ここでは、例えば、ホウ素注入又はホウ素ガラス堆積によってp
+型ドープされる。横型コンデンサーのウェル3のn
+型ドープは、例えば、リン注入又はPOCl
3堆積によって行うことができる。続いて、アニーリングが行われ、その間にドーパントを活性化させ、表面濃度が低減する、アニールを行う。
図7Bは、このドープステップの結果を断面図で示している。さらに、n
+型ドープされるウェル3のエッジ終端にも注入が可能である。次のステップにおいて、コンデンサー誘電体4の堆積及びポリシリコン5のトレンチへの充填を行う。これは、
図7Cに概略的に示されている。コンデンサー誘電体4は、窒化ケイ素堆積と併せて熱酸化によって形成される。次いで、ポリシリコン堆積(例えば、in-situドープ)、及び堆積した層の構造化を行う。最後に、後の電気的接触用のコンタクトホールのエッチングを更に行う。
図7Dには、最終的な電極形成及びパッシベーションが示されている。次に、前面のメタライゼーションを、金属6及びポリシリコン5の構造化と併せて行う。続いて、裏側のメタライゼーション、及び、例えばポリイミドによるパッシベーションの堆積を行う。結果として、
図1に示されているような電気回路装置が得られる。
【符号の説明】
【0032】
1 半導体基板
2 縦型コンデンサーのウェル
3 横型コンデンサーのウェル
4 誘電体層
5 導電性材料
6 メタライゼーション
7 コンタクト電極
8 p+型コンタクト又はn+型コンタクト
9 裏側メタライゼーション
10 n+型ドープされるウェル
11 エッジ終端