(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】冷却装置、および、冷却方法
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20240524BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240524BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240524BHJP
H01M 10/635 20140101ALI20240524BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240524BHJP
H01M 10/659 20140101ALI20240524BHJP
【FI】
F28D20/02 E
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/635
H01M10/6556
H01M10/659
(21)【出願番号】P 2019215257
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(73)【特許権者】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 諒
(72)【発明者】
【氏名】新井 侑太
(72)【発明者】
【氏名】大村 亮
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 亮
(72)【発明者】
【氏名】西塚 史郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮
(72)【発明者】
【氏名】戸村 重男
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184127(JP,A)
【文献】特開2017-141981(JP,A)
【文献】特開2016-025008(JP,A)
【文献】特開2012-241926(JP,A)
【文献】特開2015-045461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/00-20/02,17/00-17/04
H01M 10/60-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリメチロールエタンハイドレートと
外気とを熱交換させる冷媒熱交換部と、
前記
外気と冷媒とを熱交換させる
ことにより、前記外気を冷却する冷却器と、
電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池ユニットの充電中において、前記冷媒熱交換部および前記冷却器のうちのいずれか一方または両方によって熱交換された前記
外気を前記リチウムイオン電池ユニットに供給する冷媒供給部と、
前記充電中において、前記冷媒熱交換部によって熱交換された前記
外気の温度が目標温度未満である場合
に第1冷却モードを実行し、
前記充電中において、前記冷媒熱交換部によって熱交換された前記
外気の温度が目標温度以上である場合
に第2冷却モードを実行し、
前記充電中ではない場合に蓄冷モードを実行する制御部と、
を備え、
前記冷媒熱交換部は、
トリメチロールエタンハイドレートおよびトリメチロールエタンの水溶液のうちの一方または両方を収容する収容部と、
前記収容部内に鉛直方向に延在して配され、上部開口および下部開口を有する複数の管体と、
を有し、
前記第1冷却モードは、前記冷媒熱交換部において、前記管体の前記下部開口から前記上部開口に向かって外気を通過させて、前記収容部に収容されたトリメチロールエタンハイドレートと熱交換させ、前記冷媒熱交換部によって熱交換された前記外気を、前記冷媒供給部を通じて前記リチウムイオン電池ユニットに供給させる運転モードであり、
前記第2冷却モードは、前記冷媒熱交換部によって熱交換された前記外気を前記冷却器によって冷却し、前記冷却器によって冷却された前記外気を、前記冷媒供給部を通じて、前記リチウムイオン電池ユニットに供給させる運転モードであり、
前記蓄冷モードは、前記冷媒熱交換部において、前記管体の前記上部開口から前記下部開口に向かって外気を通過させて、前記収容部に収容されたトリメチロールエタンの水溶液と熱交換させることにより、前記トリメチロールエタンの水溶液から前記トリメチロールエタンハイドレートを生成させる運転モードである、
前記電気自動車の充電スタンドに設置される冷却装置。
【請求項2】
トリメチロールエタンハイドレートおよびトリメチロールエタンの水溶液のうちの一方または両方を収容する収容部と、前記収容部内に鉛直方向に延在して配され、上部開口および下部開口を有する複数の管体と、を有する冷媒熱交換部と、
外気と冷媒とを熱交換させることにより、前記外気を冷却する冷却器と、
を備える充電スタンドにおいて、
電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池ユニットの充電中に、
前記冷媒熱交換部において、前記管体の前記下部開口から前記上部開口に向かって外気を通過させて、前記収容部に収容されたトリメチロールエタンハイドレート
と熱交換させ、
前記冷媒熱交換部によって熱交換された前記
外気の温度が目標温度未満であるか否かを判定し、
前記
冷媒熱交換部によって熱交換された
前記外気の温度が前記目標温度未満である場合、前記
冷媒熱交換部によって熱交換された前記
外気を前記リチウムイオン電池ユニットに供給し、
前記
冷媒熱交換部によって熱交換された
前記外気の温度が前記目標温度以上である場合、
前記冷媒熱交換部によって熱交換された前記外気を前記
冷却器によっ
て冷却し、
前記
冷却器によって
冷却された前記
外気を前記リチウムイオン電池ユニットに供給
し、
前記充電中ではない場合に、
前記冷媒熱交換部において、前記管体の前記上部開口から前記下部開口に向かって外気を通過させて、前記収容部に収容されたトリメチロールエタンの水溶液と熱交換させることにより、前記トリメチロールエタンの水溶液から前記トリメチロールエタンハイドレートを生成させる冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ等の冷却対象を冷却する冷却装置、および、冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モーター駆動用のバッテリを搭載した電気自動車が普及し始めている。バッテリがリチウムイオン電池で構成される場合、充放電時にバッテリが発熱する場合がある。
【0003】
そこで、ペルチェ素子および送風機を備え、バッテリを冷却する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されたようなペルチェ素子および送風器を備えた冷却装置は、装置自体のコストおよび消費電力に要するコストが高いという問題がある。
【0006】
そこで、バッテリ等の発熱体、温室等の高温空間等の冷却対象を低コストで冷却する技術の開発が希求されている。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、冷却対象を低コストで冷却することが可能な冷却装置、および、冷却方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の冷却装置は、トリメチロールエタンハイドレートと外気とを熱交換させる冷媒熱交換部と、外気と冷媒とを熱交換させることにより、外気を冷却する冷却器と、電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池ユニットの充電中において、冷媒熱交換部および冷却器のうちのいずれか一方または両方によって熱交換された外気をリチウムイオン電池ユニットに供給する冷媒供給部と、充電中において、冷媒熱交換部によって熱交換された外気の温度が目標温度未満である場合に第1冷却モードを実行し、充電中において、冷媒熱交換部によって熱交換された外気の温度が目標温度以上である場合に第2冷却モードを実行し、充電中ではない場合に蓄冷モードを実行する制御部と、を備え、冷媒熱交換部は、トリメチロールエタンハイドレートおよびトリメチロールエタンの水溶液のうちの一方または両方を収容する収容部と、収容部内に鉛直方向に延在して配され、上部開口および下部開口を有する複数の管体と、を有し、第1冷却モードは、冷媒熱交換部において、管体の下部開口から上部開口に向かって外気を通過させて、収容部に収容されたトリメチロールエタンハイドレートと熱交換させ、冷媒熱交換部によって熱交換された外気を、冷媒供給部を通じてリチウムイオン電池ユニットに供給させる運転モードであり、第2冷却モードは、冷媒熱交換部によって熱交換された外気を冷却器によって冷却し、冷却器によって冷却された外気を、冷媒供給部を通じて、リチウムイオン電池ユニットに供給させる運転モードであり、蓄冷モードは、冷媒熱交換部において、管体の上部開口から下部開口に向かって外気を通過させて、収容部に収容されたトリメチロールエタンの水溶液と熱交換させることにより、トリメチロールエタンの水溶液からトリメチロールエタンハイドレートを生成させる運転モードである、電気自動車の充電スタンドに設置される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の冷却方法は、トリメチロールエタンハイドレートおよびトリメチロールエタンの水溶液のうちの一方または両方を収容する収容部と、収容部内に鉛直方向に延在して配され、上部開口および下部開口を有する複数の管体と、を有する冷媒熱交換部と、外気と冷媒とを熱交換させることにより、外気を冷却する冷却器と、を備える充電スタンドにおいて、電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池ユニットの充電中に、冷媒熱交換部において、管体の下部開口から上部開口に向かって外気を通過させて、収容部に収容されたトリメチロールエタンハイドレートと熱交換させ、冷媒熱交換部によって熱交換された外気の温度が目標温度未満であるか否かを判定し、冷媒熱交換部によって熱交換された外気の温度が目標温度未満である場合、冷媒熱交換部によって熱交換された外気をリチウムイオン電池ユニットに供給し、冷媒熱交換部によって熱交換された外気の温度が目標温度以上である場合、冷媒熱交換部によって熱交換された外気を冷却器によって冷却し、冷却器によって冷却された外気をリチウムイオン電池ユニットに供給し、充電中ではない場合に、冷媒熱交換部において、管体の上部開口から下部開口に向かって外気を通過させて、収容部に収容されたトリメチロールエタンの水溶液と熱交換させることにより、トリメチロールエタンの水溶液からトリメチロールエタンハイドレートを生成させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷却対象を低コストで冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態にかかる冷却装置の概略的な構成を説明する図である。
【
図2】蓄冷ユニットの概略的な構成を説明する図である。
【
図4】予備ユニットの概略的な構成を説明する図である。
【
図5】冷却方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[冷却装置100]
図1は、本実施形態にかかる冷却装置100の概略的な構成を説明する図である。冷却装置100は、例えば、電気自動車(EV、例えば、タクシー)の充電スタンド(充電ステーション)に設置される。
【0019】
図1に示すように、冷却装置100は、蓄冷ユニット110と、第1冷媒通過管112と、開閉弁112aと、冷媒切換弁114と、第2冷媒通過管116と、接続管118と、圧力調整弁116aと、バイパス管120と、予備ユニット150と、制御部160とを含む。なお、
図1中、実線の矢印は、外気および第1冷媒の流れを示す。また、
図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0020】
蓄冷ユニット110は、第1冷媒(冷媒)を冷却する。第1冷媒通過管112は、蓄冷ユニット110と冷媒切換弁114とを接続する。開閉弁112aは、第1冷媒通過管112に設けられる。冷媒切換弁114は、第1冷媒通過管112と第2冷媒通過管116とを接続したり、第1冷媒通過管112とバイパス管120とを接続したりする。
【0021】
第2冷媒通過管116は、冷媒切換弁114と圧力調整弁116aとを接続する。接続管118は、圧力調整弁116aに接続される。接続管118は、可撓性を有する材質で構成されたホースである。接続管118の端部開口は、冷却対象10または冷却対象10の近傍に臨む。本実施形態において、冷却対象10は、電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池ユニットである。圧力調整弁116aは、二次側(接続管118側)の圧力を所定の圧力に維持する。
【0022】
バイパス管120は、冷媒切換弁114と第2冷媒通過管116とを接続する。予備ユニット150は、バイパス管120に設けられる。
【0023】
制御部160は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。制御部160は、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)からCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。制御部160は、ワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory:読み書き可能なメモリ)や他の電子回路と協働して冷却装置100全体を管理および制御する。本実施形態において、制御部160は、蓄冷ユニット110、冷媒切換弁114、および、予備ユニット150を制御する。制御部160による具体的な制御処理については、後に詳述する。
【0024】
冷却装置100において、蓄冷ユニット110および予備ユニット150は、第1冷媒を冷却する。そして、蓄冷ユニット110によって冷却された第1冷媒は、第1冷媒通過管112、第2冷媒通過管116、接続管118を通じて、冷却対象10に供給される。また、予備ユニット150によって冷却された第1冷媒は、バイパス管120、第2冷媒通過管116、接続管118を通じて、冷却対象10に供給される。したがって、冷却対象10は、蓄冷ユニット110または予備ユニット150によって冷却された第1冷媒によって冷却される。なお、本実施形態では、第1冷媒として空気(外気)を例に挙げて説明する。以下、蓄冷ユニット110および予備ユニット150について詳述する。
【0025】
[蓄冷ユニット110]
図2は、蓄冷ユニット110の概略的な構成を説明する図である。
図2に示すように、蓄冷ユニット110は、冷媒熱交換部210と、外気供給管230と、開閉弁232と、第1外気通過管240と、第1切換弁242と、第2外気通過管250と、第2切換弁252と、開放管254と、第3外気通過管260と、第3切換弁262と、開放管264と、第4外気通過管270と、ブロワ280と、バイパス管282と、ブロワ284とを含む。
【0026】
冷媒熱交換部210は、トリメチロールエタンハイドレート(以下「TMEハイドレート」と称する。)と第1冷媒とを熱交換させる。TMEハイドレートは、ゲスト分子としてトリメチロールエタン(CH3C(CH2OH)3)が包接されたハイドレートである。また、冷媒熱交換部210は、トリメチロールエタンの水溶液(以下、「TME水溶液」と称する。)と、外気とを熱交換させる。つまり、冷媒熱交換部210は、外気熱交換部としても機能する。冷媒熱交換部210は、収容部212と、流体通過部220とを含む。
【0027】
図3は、冷媒熱交換部210を説明する図である。
図3(a)は、冷媒熱交換部210の鉛直断面図である。
図3(b)は、収容部212、管体222、および、フィン224のXY断面図である。また、本実施形態の
図3(a)、
図3(b)をはじめとする以下の図では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。なお、
図3(a)、
図3(b)中、TME水溶液、および、TMEハイドレートを灰色で示す。
【0028】
図3(a)に示すように、収容部212は、筒形状の断熱容器である。収容部212は、軸方向が
図3(a)、
図3(b)中、Z軸方向となるように配される。収容部212の内径は、例えば、1664mmであり、収容部212の高さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、736mmである。
【0029】
収容部212内には、TME水溶液、および、TMEハイドレートが収容される。本実施形態において、収容部212は、0.600質量分率のTMEハイドレートを収容する。つまり、収容部212は、TMEが0.600質量分率のTME水溶液を収容する。0.600質量分率のTMEハイドレートの生成温度(大気圧)、および、分解温度(大気圧)は、30℃である。また、0.600質量分率のTMEハイドレートの生成熱は、190kJ/kgである。
【0030】
流体通過部220は、1または複数の管体222と、複数のフィン224と、第1マニホールド226と、第2マニホールド228とを含む。
【0031】
管体222は、収容部212内に配される。管体222は、
図3(a)、
図3(b)中、Z軸方向に延在する。また、
図3(b)に示すように、管体222は、千鳥格子状に収容部212内に配される。具体的に説明すると、複数の管体222は、Y軸方向に並んだグループA~Eに分類できる。各グループは、1または複数の管体222を含む。そして、1のグループを構成する管体222と、当該1のグループに隣接するグループを構成する管体222とは、X軸方向の位置が異なる。例えば、グループAを構成する管体222とグループBを構成する管体222とは、X軸方向の位置が異なる。
【0032】
フィン224は、
図3(a)、
図3(b)に示すように、管体222の外周面に設けられる。フィン224は、管体222の外周から立設する。フィン224は、
図3(a)、
図3(b)中、Z軸方向に延在する。本実施形態において、1の管体222に6つのフィン224が設けられる。
【0033】
第1マニホールド226は、管体222と外気供給管230とを接続する。第1マニホールド226は、管体222のうち、上部に位置する上部開口222aに接続される。第2マニホールド228は、管体222と第1外気通過管240とを接続する。第2マニホールド228は、管体222のうち、下部に位置する下部開口222bに接続される。
【0034】
図2に戻って説明すると、外気供給管230は、一端が開放され、他端が冷媒熱交換部210(第1マニホールド226)に接続される。開閉弁232は、外気供給管230に設けられる。また、第1冷媒通過管112は、外気供給管230における開閉弁232と冷媒熱交換部210との間に接続される。
【0035】
第1外気通過管240は、冷媒熱交換部210(第2マニホールド228)と第1切換弁242とを接続する。第1切換弁242は、第1外気通過管240と第2外気通過管250とを接続したり、第1外気通過管240と第4外気通過管270とを接続したりする。第2外気通過管250は、第1切換弁242と第2切換弁252とを接続する。
【0036】
第2切換弁252は、第2外気通過管250と第3外気通過管260とを接続したり、開放管254と第3外気通過管260とを接続したりする。開放管254は、一端が開放され、他端が第2切換弁252に接続される。第3外気通過管260は、第2切換弁252と第3切換弁262とを接続する。
【0037】
第3切換弁262は、第3外気通過管260と開放管264とを接続したり、第3外気通過管260と第4外気通過管270とを接続したりする。開放管264は、一端が開放され、他端が第3切換弁262に接続される。第4外気通過管270は、第3切換弁262と第1切換弁242とを接続する。
【0038】
ブロワ280は、第3外気通過管260に設けられる。バイパス管282は、第3外気通過管260における第2切換弁252とブロワ280との間から分岐され、第3外気通過管260におけるブロワ280と第3切換弁262との間に再接続される。ブロワ284は、バイパス管282に設けられる。ブロワ280、284の吸入側は、第3外気通過管260における第2切換弁252側に接続され、吐出側は、第3外気通過管260における第3切換弁262側に接続される。
【0039】
[予備ユニット150]
図4は、予備ユニット150の概略的な構成を説明する図である。
図4に示すように、予備ユニット150は、ブロワ310と、冷却器320と、冷媒貯留部330と、流量調整弁332と、圧縮機340と、送風部350と、凝縮器360とを含む。なお、
図4中、実線の矢印は、第1冷媒の流れを示す。
図4中、一点鎖線の矢印は、第2冷媒の流れを示す。また、
図4中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0040】
ブロワ310は、バイパス管120に設けられる。ブロワ310の吸入側は、バイパス管120における冷媒切換弁114側に接続され、吐出側は、第2冷媒通過管116側に接続される。
【0041】
冷却器320は、バイパス管120におけるブロワ310と第2冷媒通過管116との間に設けられる。冷却器320は、第1冷媒と第2冷媒とを熱交換させる。冷却器320は、第1冷媒を第2冷媒で冷却する。また、冷却器320は、第1冷媒が有する熱で第2冷媒を気化させる。第2冷媒は、例えば、R-245faである。
【0042】
ブロワ310と、冷却器320との間には、逆止弁322が設けられる。
【0043】
冷媒貯留部330は、第2冷媒(液体)を貯留する。冷媒貯留部330は、冷却器320に接続される。流量調整弁332は、冷媒貯留部330と冷却器320との間に設けられる。
【0044】
圧縮機340は、吸入側が冷却器320に接続され、吐出側が凝縮器360に接続される。圧縮機340は、第2冷媒を圧縮(昇圧)する。
【0045】
送風部350は、凝縮器360に外気を送風する。送風部350によって、外気が送風されることにより、凝縮器360を通過する第2冷媒が冷却される。これにより、凝縮器360において第2冷媒の潜熱が奪われ、第2冷媒が凝縮される。凝縮器360によって凝縮された第2冷媒は、冷媒貯留部330に導かれる。
【0046】
[冷却方法]
続いて、冷却装置100を用いた冷却方法について説明する。
図5は、冷却方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態の冷却方法は、充電判定工程S110と、開弁工程S120と、冷却モード実行工程S130と、冷媒温度判定工程S140と、予備ユニット運転工程S150と、予備ユニット運転判定工程S160と、予備ユニット運転停止工程S170と、閉弁工程S180と、ハイドレート量判定工程S190と、蓄冷モード実行工程S200とを含む。本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって冷却方法が繰り返し遂行される。以下、各工程について説明する。
【0047】
[充電判定工程S110]
制御部160は、冷却対象10(リチウムイオン電池ユニット)が充電中であるか否かを判定する。その結果、充電中であると判定した場合(S110におけるYES)に、制御部160は、開弁工程S120に処理を移す。一方、充電中ではないと判定した場合(S110におけるNO)に、制御部160は、予備ユニット運転判定工程S160に処理を移す。
【0048】
[開弁工程S120]
制御部160は、開閉弁112aが閉弁されていれば、開閉弁112aを開弁する。また、制御部160は、開閉弁112aが既に開弁されていれば、開弁状態を維持する。そして、制御部160は、冷媒切換弁114を制御して、第1冷媒通過管112と第2冷媒通過管116とを接続する。
【0049】
[冷却モード実行工程S130]
制御部160は、蓄冷ユニット110を冷却モードでの運転を開始させる。冷却モードは、蓄冷ユニット110を構成する冷媒熱交換部210が、収容部212に収容されたTMEハイドレートと第1冷媒とを熱交換させるモードである。なお、冷却モード実行工程S130において、蓄冷ユニット110が既に冷却モードで運転されている場合、当該冷却モードでの運転を維持する。
【0050】
図6は、冷却モードを説明する図である。
図6中、黒い塗りつぶしの三角は閉弁を示す。また、
図6中、第1冷媒(外気)の流れを実線の矢印で示す。
【0051】
図6に示すように、制御部160は、冷却モードにおいて、第2切換弁252を制御して、開放管254と第3外気通過管260とを接続する。また、制御部160は、第3切換弁262を制御して、第3外気通過管260と第4外気通過管270とを接続する。制御部160は、第1切換弁242を制御して、第4外気通過管270と第1外気通過管240とを接続する。また、制御部160は、開閉弁232を閉弁する。制御部160は、ブロワ280、284を運転させる。
【0052】
これにより、ブロワ280、284は、開放管254から外気を吸引して流体通過部220に供給する。そして、外気は、流体通過部220を通過し、外気供給管230を通じて、第1冷媒通過管112に送出される。
【0053】
なお、冷却モードにおいて、収容部212にTMEハイドレートが収容されていれば、外気は流体通過部220の通過過程でTMEハイドレートによって冷却され、第1冷媒として機能する。具体的に説明すると、収容部212にTMEハイドレートが収容されている場合、管体222の外表面に付着したTMEハイドレートと外気とが熱交換される。そうすると、外気は、冷却され、TMEハイドレートは、加熱される。これにより、TMEハイドレートは、TMEと水と(TME水溶液)に熱分解される。
【0054】
こうして、蓄冷ユニット110によって冷却された第1冷媒は、第1冷媒通過管112、第2冷媒通過管116、接続管118を通じて、冷却対象10に供給される。そして、冷却対象10は、第1冷媒によって冷却される。つまり、冷却モードにおける、開放管254、第3外気通過管260、バイパス管282、ブロワ280、284、第4外気通過管270、第1外気通過管240、外気供給管230、第1冷媒通過管112、第2冷媒通過管116、接続管118が冷媒供給部として機能する。
【0055】
[冷媒温度判定工程S140]
図5に戻って説明すると、制御部160は、不図示の温度センサの測定結果を参照し、第1冷媒通過管112を通過する第1冷媒(外気)の温度が目標温度未満であるか否かを判定する。その結果、制御部160は、第1冷媒の温度が目標温度未満であると判定した場合に(S140におけるYES)、当該冷却方法を終了する。一方、制御部160は、第1冷媒の温度が目標温度未満ではない(目標温度以上である)と判定した場合に(S140におけるNO)、予備ユニット運転工程S150に処理を移す。なお、目標温度は、冷却対象10を所定の温度まで冷却可能な第1冷媒の上限温度であり、例えば、32℃である。
【0056】
[予備ユニット運転工程S150]
制御部160は、冷媒切換弁114を制御して、バイパス管120と第2冷媒通過管116とを接続する。そして、制御部160は、予備ユニット150を運転させる。具体的に説明すると、制御部160は、予備ユニット150を構成するブロワ310、圧縮機340、および、送風部350を運転させる。また、制御部160は、冷却器320によって冷却される第1冷媒の温度が目標温度未満になるように、予備ユニット150を構成する流量調整弁332の開度を調整する。なお、予備ユニット運転工程S150において、予備ユニット150が既に運転している場合、予備ユニット150の運転を維持する。
【0057】
[予備ユニット運転判定工程S160]
充電判定工程S110において、充電中ではないと判定すると(S110におけるNO)、制御部160は、予備ユニット150が運転中であるか否かを判定する。その結果、予備ユニット150が運転中であると判定した場合に(S160におけるYES)、制御部160は、予備ユニット運転停止工程S170に処理を移す。一方、予備ユニット150が運転中ではないと判定した場合に(S160におけるNO)、制御部160は、閉弁工程S180に処理を移す。
【0058】
[予備ユニット運転停止工程S170]
制御部160は、予備ユニット150を構成するブロワ310、圧縮機340、および、送風部350を停止させる。
【0059】
[閉弁工程S180]
制御部160は、開閉弁112aが開弁されていれば、開閉弁112aを閉弁する。また、制御部160は、開閉弁112aが閉弁されていれば、閉弁状態を維持する。
【0060】
[ハイドレート量判定工程S190]
制御部160は、収容部212に収容されたTMEハイドレートが所定量以上であるか否かを判定する。その結果、所定量以上であると判定した場合に(S190におけるYES)、制御部160は、蓄冷モード実行工程S200に処理を移す。一方、所定量以上ではない(所定量未満である)と判定した場合に(S190におけるNO)、制御部160は、当該冷却方法を終了する。なお、所定量は、外気(第1冷媒)を目標温度未満に冷却できるTMEハイドレートの下限量である。
【0061】
[蓄冷モード実行工程S200]
制御部160は、蓄冷ユニット110を蓄冷モードで運転させ、当該冷却方法を終了する。蓄冷モードは、蓄冷ユニット110を構成する冷媒熱交換部210が、収容部212に収容されたTME水溶液と、外気とを熱交換させるモードである。つまり、蓄冷モードは、冷媒熱交換部210を外気熱交換部として機能させるモードである。なお、蓄冷モード実行工程S200において、既に蓄冷ユニット110が蓄冷モードで運転されている場合、当該蓄冷モードでの運転を維持する。
【0062】
図7は、蓄冷モードを説明する図である。
図7中、黒い塗りつぶしの三角は閉弁を示す。また、
図7中、第1冷媒(外気)の流れを実線の矢印で示す。
【0063】
図7に示すように、制御部160は、蓄冷モードにおいて、開閉弁232を開弁する。また、制御部160は、第1切換弁242を制御して、第1外気通過管240と第2外気通過管250とを接続する。また、制御部160は、第2切換弁252を制御して、第2外気通過管250と第3外気通過管260とを接続する。制御部160は、第3切換弁262を制御して、第3外気通過管260と開放管264とを接続する。制御部160は、ブロワ280、284を運転させる。
【0064】
これにより、ブロワ280、284は、外気供給管230から外気を吸引して流体通過部220に供給する。そして、外気は、流体通過部220を通過し、第1外気通過管240、第2外気通過管250、第3外気通過管260、バイパス管282、開放管264を通じて、外部に排気される。
【0065】
なお、蓄冷モードにおいて、外気温がTMEハイドレートの生成温度未満である場合、外気が流体通過部220を通過することによって、外気とTME水溶液とが熱交換される。これにより、外気によってTME水溶液が冷却され、TMEハイドレートが生成される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の冷却装置100およびこれを用いた冷却方法は、TMEハイドレートの分解熱(吸熱)で冷却対象10を冷却する。
【0067】
冷却対象10としてのリチウムイオン電池ユニットは、電気自動車の動力源として利用されている。リチウムイオン電池ユニットを充電(急速充電)する場合、リチウムイオン電池ユニットが発熱してしまう。リチウムイオン電池ユニットが35℃以上になると、リチウムイオン電池ユニットの劣化が進んでしまう(例えば、自動車技術会論文集 Vol.47,No.1,January 2016)。
【0068】
そこで、冷却装置100は、TMEハイドレートの分解熱で冷却対象10を冷却する。上記したように、本実施形態において、TMEハイドレートの分解熱は、30℃である。したがって、冷却装置100は、第1冷媒を30℃とすることができ、第1冷媒によってリチウムイオン電池ユニット(冷却対象10)を冷却することが可能となる。これにより、リチウムイオン電池ユニットを35℃未満に維持することができ、リチウムイオン電池ユニットの劣化を抑制することが可能となる。したがって、電気自動車において、リチウムイオン電池ユニットの交換頻度を低減させることができる。これにより、電気自動車におけるリチウムイオン電池ユニットの交換に要するコストを低減することが可能となる。
【0069】
また、蓄冷ユニット110を冷却モードで運転させてリチウムイオン電池ユニット(冷却対象10)を冷却させる場合と、予備ユニット150でリチウムイオン電池ユニットを冷却する場合とを比較すると、蓄冷ユニット110を冷却モードで運転させる方が、COP(Coefficient Of Performance:エネルギー消費効率)および消費電力が少ない。具体的に説明すると、蓄冷ユニット110を冷却モードで運転させてリチウムイオン電池ユニットを冷却させる場合のCOPは、予備ユニット150でリチウムイオン電池ユニットを冷却する場合の1.4倍である。また、蓄冷ユニット110を冷却モードで運転させてリチウムイオン電池ユニットを冷却させる場合の消費電力は、予備ユニット150でリチウムイオン電池ユニットを冷却する場合の0.28倍である。つまり、R-245fa等の凝縮冷媒を用いた従来の冷却装置や、送風機およびペルチェ素子を備えた従来の冷却装置と比較して、本実施形態の冷却装置100は、低コストで冷却対象10を冷却することができる。
【0070】
また、日本の殆どの地域において、夜間の外気温は25℃未満となる。したがって、制御部160は、蓄冷ユニット110を夜間に蓄冷モードで運転することにより、外気の冷熱でTMEハイドレートを生成することが可能となる。また、夜間は、昼間と比較して電力の料金が低い。したがって、制御部160が、蓄冷ユニット110を夜間に蓄冷モードで運転することにより、効率よくTMEハイドレートを生成することができる。
【0071】
そして、充電スタンドが頻繁に稼働される昼間に、制御部160は、蓄冷ユニット110を冷却モードで運転させる。これにより、低コストで生成されたTMEハイドレートを用いて、冷却対象10を効率よく冷却することが可能となる。
【0072】
また、上記したように、冷却モードにおいて、第1冷媒として機能する外気は、下部開口222bから上部開口222aに向かって管体222内を流れる。つまり、冷却モードにおいて、流体通過部220の管体222は、第1冷媒が通過する冷媒通過路として機能する。また、冷却モードにおいて下部開口222bは、冷媒入口として機能する。冷却モードにおいて上部開口222aは、冷媒出口として機能する。
【0073】
TMEハイドレートの比重は、1.11である。一方、TMEハイドレートが分解することで生じたTME水溶液の比重は、1.003である。つまり、TME水溶液は、TMEハイドレートよりも軽い(比重差0.107)。したがって、下部開口222bを冷媒入口として機能させることにより、収容部212の下部からTMEハイドレートを分解させることができる。これにより、第1冷媒(外気)と熱交換されることで溶解したTME水溶液は、収容部212内を上昇する(上昇流となる)。TME水溶液の上昇流は、TMEハイドレートの層を崩壊させるため、TMEハイドレートと管体222との接触頻度を向上させることができる。これにより、冷媒熱交換部210は、管体222内の第1冷媒を効率よく冷却することができる。また、TMEハイドレートの層が崩壊する際に対流が生じ、対流伝熱となる。これにより、冷媒熱交換部210は、管体222内の第1冷媒を効率よく冷却することが可能となる。
【0074】
一方、上記したように、蓄冷モードにおいて、外気は、上部開口222aから下部開口222bに向かって管体222内を流れる。つまり、蓄冷モードにおいて、外気熱交換部としての冷媒熱交換部210の管体222は、外気が通過する外気通過路として機能する。また、蓄冷モードにおいて上部開口222aは、外気入口として機能する。蓄冷モードにおいて下部開口222bは、外気出口として機能する。
【0075】
したがって、上部開口222aを外気入口として機能させることにより、収容部212の上部からTMEハイドレートを生成させることができる。生成されたTMEハイドレートは、収容部212内を下降する(下降流となる)。これにより、収容部212内において対流が生じ、対流伝熱となる。したがって、外気熱交換部(冷媒熱交換部210)は、管体222内の外気と、TME水溶液とを効率よく熱交換させることが可能となる。
【0076】
また、上記構成とすることにより、TMEハイドレートを落下させることができる、つまり、最も低温の外気と接触する収容部212の上部からTMEハイドレートを排除することができる。これにより、外気熱交換部(冷媒熱交換部210)は、TME水溶液から外気への伝熱の阻害を抑制することができ、効率よくTMEハイドレートを生成することが可能となる。
【0077】
また、蓄冷モードにおいて、ブロワ280、284は、吸入側が第2マニホールド228(下部開口222b)に接続される。これにより、ブロワ280、284によって加熱された外気が冷媒熱交換部210(外気熱交換部)に供給される事態を回避することができる。したがって、外気熱交換部(冷媒熱交換部210)は、効率よくTMEハイドレートを生成することが可能となる。
【0078】
また、上記したように、冷媒熱交換部210を構成する流体通過部220は、管体222の外周にフィン224を備える。これにより、冷媒熱交換部210は、外気(第1冷媒)とTMEハイドレートとの熱交換効率、および、外気とTME水溶液との熱交換効率を向上させることができる。また、フィン224は、収容部212内のTME水溶液の流れをスムーズにすることが可能となる。
【0079】
また、冷却装置100は、予備ユニット150を備える。上記したように、日本の殆どの地域において、夜間の外気温は25℃未満となるため、予備ユニット150は、殆ど運転されることはない。しかし、外気温が常時30℃以上になる地域や、異常気象によって外気温が一日中30℃以上になる場合に、予備ユニット150を運転させることで、TMEハイドレートを生成することができる。
【0080】
[変形例]
上記実施形態において、冷媒熱交換部210が収容部212と管体222とを含む構成を例に挙げて説明した。しかし、冷媒熱交換部の形状に限定はない。冷媒熱交換部は、例えば、プレート熱交換器で構成されてもよい。
【0081】
図8は、変形例の冷媒熱交換部410を説明する図である。
図8(a)は、冷媒熱交換部410の分解斜視図である。
図8(b)は、第1プレート420の前面420aを示す平面図である。
図8(c)は、第2プレート430の前面430aを示す平面図である。
図8(d)は、第1プレート420の後面420b、および、第2プレート430の後面430bを示す平面図である。なお、
図8(a)中、理解を容易にするために、第1プレート420、第2プレート430を実際より少なく示す。また、
図8(a)中、実線の矢印は、冷却モードで運転する際の外気(第1冷媒)の流れを示す。
【0082】
図8(a)に示すように、冷媒熱交換部410は、複数の第1プレート420と、複数の第2プレート430と、封止板440と、出入板450とを含んでいる。第1プレート420、第2プレート430、封止板440、出入板450は、金属等の熱伝導率が大きい材料で構成される。具体的に説明すると、冷媒熱交換部410は、封止板440と出入板450との間に、第1プレート420と第2プレート430とが交互に積層されて構成される。
【0083】
第1プレート420は、
図8(b)に示すように、略矩形形状の平板である。第1プレート420には、前面420aから後面420bに貫通した2つの貫通孔422a、422bが形成されている。貫通孔422aは、第1プレート420の上部に形成され、貫通孔422bは第1プレート420の下部に形成される。貫通孔422bは、貫通孔422aの鉛直下方に形成される。また、第1プレート420の前面420aには、
図8(a)、
図8(b)中、-Y軸方向に突出した突出部424が設けられる。突出部424は、第1プレート420の外縁に設けられる。突出部424の内側には、
図8(a)、
図8(b)中、+Y軸方向に陥没した溝部426が形成される。つまり、溝部426に貫通孔422a、422bが形成される。
【0084】
第2プレート430は、
図8(c)に示すように、略矩形形状の平板である。第2プレート430には、前面430aから後面430bに貫通した2つの貫通孔432a、432bが形成されている。貫通孔432aは、第2プレート430の上部に形成され、貫通孔432bは第2プレート430の下部に形成される。貫通孔432bは、貫通孔432aの鉛直下方に形成される。また、第2プレート430の前面430aには、
図8(a)、
図8(c)中、-Y軸方向に突出した突出部434が設けられる。突出部434は、第2プレート430の前面430aのうち、貫通孔432aが形成された領域と、貫通孔432bが形成された領域とをそれぞれ囲繞し、これらの領域を区画する。突出部434の内側には、
図8(a)、
図8(c)中、+Y軸方向に陥没した溝部436a、436bが形成される。
【0085】
また、
図8(d)に示すように、第1プレート420の後面420b、および、第2プレート430の後面430bは、
図8(d)中、XZ平面に沿った平面形状である。
【0086】
図8(a)に戻って説明すると、封止板440は、第1プレート420、第2プレート430と実質的に同じ形状、同じ大きさの平板である。封止板440には、貫通孔は形成されていない。
【0087】
出入板450は、第1プレート420、第2プレート430と実質的に同じ形状、同じ大きさの平板である。出入板450には、上部開口452a、および、下部開口452bが形成される。第2プレート430と接続されたときに、上部開口452aは貫通孔432aに、下部開口452bは貫通孔432bに連通するように出入板450に形成される。なお、冷媒熱交換部410は、上部開口452aの下方に下部開口452bが位置するように設置される。
【0088】
図8(a)に示すように、第1プレート420の前面420aには、第2プレート430の後面430bが接続(例えば、ろう付け)される。詳細には、第1プレート420の突出部424が第2プレート430の後面430bに接続される。また、第2プレート430の前面430aには、第1プレート420の後面420bが接続される。詳細には、第2プレート430の突出部434が第1プレート420の後面420bに接続される。このようにして、第1プレート420、第2プレート430が交互に積層された積層体が形成される。そして、積層体の一方の端部に位置する第1プレート420の後面420bに封止板440が接続される。また、積層体の他方の端部に位置する第2プレート430の前面430a(突出部434)に出入板450の後面が接続される。
【0089】
このように、第1プレート420、第2プレート430、封止板440、出入板450が積層されることにより、上部開口452a、貫通孔422a、貫通孔432aによって流路412が形成される。つまり、流路412は、一端に上部開口452aが形成され、他端が封止板440によって封止された流路である。また、下部開口452b、貫通孔422b、貫通孔432bによって流路414が形成される。つまり、流路414は、一端に下部開口452bが形成され、他端が封止板440によって封止された流路である。なお、流路412、流路414は、水平方向に延在している。また、流路412と、流路414とは、溝部436aによって連通される。
【0090】
また、第2プレート430の前面430aと、第1プレート420の後面420bとの間であって、貫通孔432a、432bが形成されない溝部436bにTMEハイドレート、および、TME水溶液が収容される。つまり、第2プレート430の前面430aと、第1プレート420の後面420bとの間の溝部436bが収容部として機能する。
【0091】
そして、外気供給管230は、上部開口452aに接続され、第1外気通過管240は、下部開口452bに接続される。
【0092】
したがって、冷却モードで運転される場合、外気(第1冷媒)は、
図8(a)に示すように、下部開口452bから導入され、流路414を(貫通孔432b、貫通孔422bを交互に)
図8(a)中、+Y軸方向に通過するとともに、溝部426を上昇する。溝部426を上昇した外気は、流路412を(貫通孔422a、貫通孔432aを交互に)
図8(a)中、-Y軸方向に通過して上部開口452aから排出される。つまり、第1プレート420の前面420aと第2プレート430の後面430bとの間に形成される溝部426と、貫通孔422a、422b、432a、432bとが、冷媒通過路として機能する。
【0093】
そして、冷媒熱交換部410内において、溝部426を上昇流となって流れる外気と、溝部436bに収容されたTME水溶液とで熱交換が為される。具体的に説明すると、溝部426と、溝部436bとは、第1プレート420または第2プレート430によって区画されている。つまり、溝部426と、溝部436bとは、第1プレート420または第2プレート430によって熱伝達可能に設けられている。このため、溝部426を流れる外気と、溝部436bに収容されたTMEハイドレートとで熱交換が為されることになる。こうして、溝部436bにおいてTMEハイドレートが分解される。
【0094】
一方、蓄冷モードで運転される場合、上部開口452aから導入された外気は、流路412を(貫通孔422a、貫通孔432aを交互に)通過するとともに、溝部426を下降する。溝部426を下降した外気は、流路414を(貫通孔432b、貫通孔422bを交互に)通過して下部開口452bから排出される。つまり、第1プレート420の前面420aと第2プレート430の後面430bとの間に形成される溝部426と、貫通孔422a、422b、432a、432bとが、外気通過路として機能する。
【0095】
そして、冷媒熱交換部410内において、溝部426を下降流となって流れる外気と、溝部436bに収容されたTME水溶液とで熱交換が為される。こうして、溝部436bにおいてTMEハイドレートが生成される。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0097】
例えば、上記実施形態において、第1冷媒として外気を例に挙げて説明した。しかし、第1冷媒に限定はない。例えば、第1冷媒は、水であってもよい。例えば、一般的に15℃以上20℃以下である地下水、一般的に27℃以下である河川の水(河川水)、海水、または、冷水塔の再生水を第1冷媒として利用してもよい。この場合、冷媒熱交換部210と外気熱交換部とは別体である。
【0098】
また、上記実施形態において、冷媒熱交換部210の上部開口222aに外気供給管230が接続され、下部開口222bに第1外気通過管240が接続される構成を例に挙げて説明した。しかし、上部開口222aに第1外気通過管240が接続され、下部開口222bに外気供給管230が接続されてもよい。つまり、冷媒出口は、冷媒入口の下方に設けられてもよい。また、冷媒熱交換部210を外気熱交換部として機能させる場合に、外気出口は、外気入口の上方に設けられてもよい。
【0099】
また、上記実施形態において、管体222が鉛直方向に延在する構成を例に挙げて説明した。しかし、管体222の延在方向に限定はない。管体222は、例えば、水平方向に延在してもよい。
【0100】
また、上記実施形態において、冷却装置100は、1つの蓄冷ユニット110を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、冷却装置100は、2以上の蓄冷ユニット110を備えてもよい。
【0101】
また、上記実施形態において、蓄冷ユニット110が、ブロワ280、284を2つ備える構成を例に挙げて説明した。しかし、ブロワの数に限定はない。例えば、蓄冷ユニット110は、ブロワを1つ、または、3つ以上備えてもよい。
【0102】
また、上記実施形態において、冷却対象10として、リチウムイオン電池ユニットを例に挙げて説明した。しかし、冷却対象10に限定はない。例えば、冷却対象10は、リチウムイオン電池ユニット以外の発熱体、温室等の高温空間であってもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、0.600質量分率のTMEハイドレートを例に挙げて説明した。しかし、TMEハイドレート中のTMEの量に限定はない。
【0104】
また、上記実施形態において、TMEハイドレートを例に挙げて説明した。しかし、ハイドレートのゲスト分子は、TMEに限定しない。ハイドレートのゲスト分子は、第1冷媒の温度に応じて適宜設定可能である。例えば、冷却装置100は、ハイドレートの生成に使用する第1冷媒が、地下水、河川水、湖水、海水、または、深層水のように比較的低温である場合、TMEハイドレートとは分解温度が異なるハイドレートを採用してもよい。例えば、冷却装置100は、ゲスト分子として、フレオン、塩素、または、アクリレート等が包接されたイオン性セミクラスレートを採用してもよい。これにより、冷却装置100は、より効率よく冷却対象10を冷却することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、冷却装置、および、冷却方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
100 冷却装置
112 第1冷媒通過管(冷媒供給部)
116 第2冷媒通過管(冷媒供給部)
118 接続管(冷媒供給部)
210 冷媒熱交換部(外気熱交換部)
212 収容部
222 管体(冷媒通過路、外気通過路)
222a 上部開口(冷媒出口、外気入口)
222b 下部開口(冷媒入口、外気出口)
230 外気供給管(冷媒供給部)
240 第1外気通過管(冷媒供給部)
250 第2外気通過管
254 開放管(冷媒供給部)
260 第3外気通過管(冷媒供給部)
270 第4外気通過管(冷媒供給部)
280 ブロワ(冷媒供給部)
282 バイパス管(冷媒供給部)
284 ブロワ(冷媒供給部)