(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システム
(51)【国際特許分類】
C01F 5/30 20060101AFI20240524BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20240524BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20240524BHJP
B01D 61/44 20060101ALI20240524BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20240524BHJP
C02F 1/20 20230101ALI20240524BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240524BHJP
C02F 1/469 20230101ALI20240524BHJP
C02F 1/58 20230101ALI20240524BHJP
C25C 3/04 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C01F5/30
B01D19/00 F
B01D61/02 500
B01D61/44 500
B01D61/58
C02F1/20 A
C02F1/44 A
C02F1/469
C02F1/58 Q
C25C3/04
(21)【出願番号】P 2020001484
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和久
(72)【発明者】
【氏名】上戸 龍
(72)【発明者】
【氏名】清澤 正志
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-031037(JP,A)
【文献】特開2008-100219(JP,A)
【文献】特開2012-193120(JP,A)
【文献】特開平06-198141(JP,A)
【文献】特開2007-289953(JP,A)
【文献】特開昭59-184729(JP,A)
【文献】特開昭48-103098(JP,A)
【文献】特開2019-214773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 5/30
B01D 19/00-19/04
B01D 61/00-61/58
C02F 1/00-1/78
C25C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去部と、
前記除去部に接続された濃縮部と、を備え、
前記除去部は、海水を原料とする被処理水から硫酸イオン及びナトリウムイオンを除去した原料水を生成し、
前記濃縮部は、前記原料水を濃縮し、塩化マグネシウムが晶析したスラリーを生成し、
前記除去部は、前記被処理水よりも硫酸イオン濃度を低減させる第1除去部と、
前記被処理水よりもナトリウムイオン濃度を低減させる第2除去部と、を有
し、
前記第1除去部は、電気透析槽である塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項2】
前記第2除去部は、前記第1除去部の後に接続され、
前記第2除去部は、前記第1除去部において前記被処理水よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水を、前記原料水と廃水とに分離するナノろ過膜である請求項1に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項3】
前記第1除去部は、前記第2除去部の後に接続され、
前記第2除去部は、前記被処理水よりもナトリウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度を低減させる電気透析槽である請求項1に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項4】
前記除去部は、前記第1除去部の後に接続された第3除去部をさらに有し、
前記第3除去部は、前記第1除去部において前記被処理水よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水から、ナトリウムイオン濃度を低減させるナノろ過膜である請求項3に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項5】
前記電気透析槽は、陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に配置された複数の濃縮室と、複数の処理部と、を有し、
前記陽極と前記陰極との間において、前記濃縮室と前記処理部とが交互に繰り返し配置され、
前記処理部は、前記処理部に対して前記陽極側に配置された前記濃縮室と、陰イオン交換膜を介して隣り合い、且つ前記処理部に対して前記陰極側に配置された前記濃縮室と、1価選択性陽イオン交換膜を介して隣り合い、
前記被処理水は、前記処理部に供給され、
前記処理部から、前記被処理水よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水が排出される請求項1から4のいずれか1項に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記陰イオン交換膜と、前記1価選択性陽イオン交換膜との間に配置された第1濃縮室と、第1希釈室と、第2希釈室とを有し、
前記濃縮室は、第2濃縮室であり、
前記陽極と前記陰極との間において、前記陽極の側から前記陰極の側に、前記第1希釈室、前記第1濃縮室、前記第2希釈室及び前記第2濃縮室がこの順で繰り返し配置され、
前記第1希釈室は、前記陰イオン交換膜を介して前記第2濃縮室と隣り合い、且つ陽イオン交換膜を介して前記第1濃縮室と隣り合い、
前記第2希釈室は、前記1価選択性陽イオン交換膜を介して前記第2濃縮室と隣り合い、且つ1価選択性陰イオン交換膜を介して前記第1濃縮室と隣り合っており、
前記被処理水は、前記第1希釈室及び前記第2希釈室に供給され、
前記第1濃縮室から、前記処理水が排出され、
前記第1希釈室及び前記第2希釈室から、前記被処理水よりもナトリウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度を低減させた希釈水が排出される請求項5に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項7】
前記第1除去部において前記被処理水よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水を、前記第1除去部から前記第2除去部へ供給する経路内に設けられ、前記希釈水の少なくとも一部と前記処理水とを混合する混合部と、
前記希釈水を前記第1除去部から前記混合部へ供給する供給管を有する請求項6に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項8】
前記供給管の経路内に、前記希釈水を純水と濃縮水とに分離する逆浸透膜を有し、
前記純水を前記混合部へ供給する請求項7に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項9】
前記被処理水に含まれる少なくとも一部の炭酸を除去する脱炭酸部を有する請求項1から8のいずれか1項に記載の塩化マグネシウムの製造システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の塩化マグネシウムの製造システムと、
前記スラリーから水を分離し塩化マグネシウムを生成する生成部と、
前記塩化マグネシウムを溶融塩電解し金属マグネシウムを得る電解部と、を有するマグネシウムの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海水に溶解したマグネシウムを回収する方法として、Dow法と称される方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。Dow法では、まず海水にアルカリを添加して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を得る。次いで、得られたMg(OH)2に塩酸を添加して塩化マグネシウム(MgCl2)を得る。さらに、得られたMgCl2を溶融塩電解することで金属マグネシウムを得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】軽金属、Vol.18、No.2(1968)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記Dow法では、Mg(OH)2を得る反応で大量のアルカリを使用し、MgCl2を得る反応で大量の塩酸を使用する。これらの薬品に係る費用が、海水からマグネシウムを製造する際のコストを高める原因となっている。そのため、製造コストを低減可能とする改善が求められていた。
【0005】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであって、従来の方法よりも薬品の使用量を低減可能とする塩化マグネシウムの製造システムを提供することを目的とする。また、従来の方法よりも薬品の使用量を低減可能とするマグネシウムの製造システムを提供することを併せて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本開示に係る塩化マグネシウムの製造システムは、除去部と、前記除去部に接続された濃縮部と、を備え、前記除去部は、海水を原料とする被処理水から硫酸イオン及びナトリウムイオンを除去した原料水を生成し、前記濃縮部は、前記原料水を濃縮し、塩化マグネシウムが晶析したスラリーを生成し、前記除去部は、前記被処理水よりも硫酸イオン濃度を低減させる第1除去部と、前記被処理水よりもナトリウムイオン濃度を低減させる第2除去部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、従来の方法よりも薬品の使用量を低減可能とする塩化マグネシウムの製造システムを提供することができる。また、従来の方法よりも薬品の使用量を低減可能とするマグネシウムの製造システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム1及びマグネシウムの製造システム100を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る塩化マグネシウムの製造システムの原理を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の第1除去部11を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の第2実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム2及びマグネシウムの製造システム100を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の第1除去部11を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本開示の第3実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム3及びマグネシウムの製造システム100を示す模式図である。
【
図7】
図7は、海水中のイオン比率を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本開示の第4実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム3及びマグネシウムの製造システム100の製造システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、
図1,2を参照しながら、本開示の第1実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システムについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0010】
図1は、本開示の第1実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム1及びマグネシウムの製造システム100を示す模式図である。
【0011】
(塩化マグネシウムの製造システム)
塩化マグネシウムの製造システム1は、除去部10と、濃縮部20とを有する。除去部10は、第1除去部11と、第2除去部12とを有する。
【0012】
さらに、塩化マグネシウムの製造システム1は、第1除去部11に接続する配管P1、第1除去部11と第2除去部12とを接続する配管P2、第2除去部12と濃縮部20とを接続する配管P3とを有する。
【0013】
以下、本開示の機能について原理を説明した後に、装置構成を順に説明する。
【0014】
(原理説明)
図2は、本開示に係る塩化マグネシウムの製造システム1の原理を説明する図であり、海水100mlを濃縮する際に、濃縮に伴って析出する塩の種類を示す図である。
図2は、27℃の海水についての挙動を示す。
【0015】
図2は、横軸の右辺端部が海水100ml、すなわち濃縮前の状態を示し、横軸が左辺に近づくに従って海水が濃縮されていることを示す。
【0016】
図2に示すように、海水を濃縮すると水に対する溶解度の違いから、まず少量の酸化鉄(Fe
2O
3)が析出する。次いで、炭酸カルシウム(CaCO
3)が析出し、さらに硫酸カルシウム(CaSO
4)、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸マグネシウム(MgSO
4)が順に析出する。
【0017】
上記塩の析出量は、NaClが最も多く、次いでMgSO4、CaSO4の順に多い。CaCO3の析出量は、CaSO4の析出量よりも一桁少ない。Fe2O3の析出量は、CaCO3の析出量よりも二桁少ない。
【0018】
図2からは、本開示の塩化マグネシウムの製造システム1において製造の目的とするMgCl
2は、これらの塩が析出した後に析出することが分かる。
【0019】
ここで、上述したMgCl2の前に析出する塩について着目すると、海水に含まれる硫酸イオン(SO4
2-)を選択的に減らすことができれば、MgSO4、CaSO4の析出を抑制できると考えられる。同様に、海水に含まれるナトリウムイオン(Na+)を選択的に減らすことができれば、NaClの析出を抑制できると考えられる。本開示の塩化マグネシウムの製造システム1は、上記考えに基づいた構成を有する。
【0020】
(第1除去部)
第1除去部11は、海水を原料とする被処理水L1から硫酸イオン濃度を低減させる装置である。被処理水L1は、配管P1を介して第1除去部11に供給される。
【0021】
被処理水は、海水のほか、海水から水を除去して濃縮した濃縮海水も含む。濃縮海水は、例えば、海水を逆浸透膜処理し、水を分離して生じる濃縮液が該当する。
【0022】
さらに、被処理水は、海水または濃縮海水に脱炭酸処理を施し、炭酸を低減させた液も含む。
【0023】
第1除去部11は、公知の電気透析槽を採用することができる。電気透析槽により、2価の陰イオンを除去することで、被処理水L1中の硫酸イオン濃度を低減することができる。
【0024】
図3は、電気透析槽である第1除去部11を示す模式図である。第1除去部11は、陽極118と、陰極119と、陽極118と陰極119との間に交互に配置された複数の濃縮室111と希釈室112と、を有する。希釈室112は、本開示における「処理部」に該当する。
【0025】
希釈室112(処理部)、希釈室112に対して陽極118側に配置された濃縮室111と、陰イオン交換膜A2を介して隣り合う。また、希釈室112は、希釈室112に対して陰極119側に配置された濃縮室111と、1価選択性陽イオン交換膜C1を介して隣り合う。
【0026】
また、本開示において、「1価選択性陽イオン交換膜」は、1価の陽イオンを選択的に透過させ、多価の陽イオン及び価数によらず陰イオンを透過させないイオン交換膜を指す。
なお、本開示において、「陰イオン交換膜」は、価数によらず陰イオンを透過させ、陽イオンを透過させないイオン交換膜を指す。
【0027】
濃縮室111は、濃縮室111から排出される処理済みの水を再度濃縮室111に戻す循環用の配管を有していてもよい。
【0028】
このような構成の第1除去部11において、希釈室112に被処理水L1を供給し電気透析を行うと、希釈室112から、SO4
2-等の2価の陰イオン濃度が低減した処理水L2が排出される。また、処理水L2は、Na+、塩化物イオン(Cl-)等の1価のイオン濃度が低減している。
【0029】
一方、濃縮室111にはSO4
2-、Na+、Cl-等が濃縮される。濃縮室111から排出される液体は、廃水Wとして処理される。
【0030】
また、第1除去部11は、塩化カルシウムを添加する反応槽であってもよい。被処理水L1に塩化カルシウムを添加すると、カルシウムイオン(Ca2+)とSO4
2-とが反応してCaSO4が生じて沈殿する。生じたCaSO4を除去することで被処理水L1中の硫酸イオン濃度を低減することができる。
【0031】
第1除去部11の構成としては、塩化カルシウムの添加による運転費の増加がない電気透析槽であることが好ましい。
【0032】
第1除去部11は、上述の処理により、被処理水L1よりも硫酸イオン濃度を低減された処理水L2を生成する。処理水L2は、配管P2を介して第2除去部12に供給される。
【0033】
(第2除去部)
第2除去部12は、第1除去部11の後に接続され、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度を低減させる装置である。本開示の塩化マグネシウムの製造システム1においては、処理水L2からNa+を除去し、ナトリウムイオン濃度を低減させる。
【0034】
第2除去部12は、公知のナノろ過膜を採用することができる。処理水L2は、ナノろ過膜を透過することで、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度が低減された原料水L3と、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度が増加した廃水Wと、に分離する。
【0035】
塩化マグネシウムの製造システム1では、第2除去部12で処理する処理水L2は、上流側の第1除去部11においてSO4
2-が低減されている。これにより、塩化マグネシウムの製造システム1は、第2除去部12において硫酸カルシウム(石膏)などのスケールが析出しにくく、安定した連続運転が可能となる。
【0036】
第1除去部11は、上述の処理により、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度を低減された原料水L3を生成する。原料水L3は、配管P3を介して濃縮部20に供給される。
【0037】
(濃縮部)
濃縮部20は、原料水L3から水分を除去し濃縮する装置である。濃縮部20としては、公知の装置を採用することができる。例えば、濃縮部20は、原料水L3を加熱、減圧、送風及びこれらの組み合わせにより処理し、水分を蒸発させる構成を採用することができる。
【0038】
濃縮部20では、原料水L3を濃縮することにより原料水L3に溶解したイオンが塩となり析出する。ここで、塩化マグネシウムの製造システム1では、除去部10においてNa
+及びSO4
2-を低減させている。そのため、
図2において説明したとおり、濃縮部20においては、少量のFe
2O
3及びCaCO
3の他には、目的とするMgCl
2が析出し、MgCl
2が晶析したスラリーSが得られる。
【0039】
濃縮部20では、さらにMgCl2が高濃度に含まれる下層と、MgCl2が低濃度で含まれる上澄み(上層)とに分離してもよい。上澄みは、廃水Wとして廃棄される。
【0040】
(マグネシウムの製造システム)
マグネシウムの製造システム100は、上述の塩化マグネシウムの製造システム1に加え、生成部80と、電解部90とを有する。
【0041】
さらに、マグネシウムの製造システム100は、濃縮部20と生成部80を接続する配管P4とを有する。
【0042】
(生成部)
生成部80は、MgCl2が晶析したスラリーSから水を分離しMgCl2を得る装置である。スラリーSは、配管P4を介して濃縮部20から生成部80に供給される。
【0043】
生成部80では、スラリーSを加熱、減圧、送風及びこれらの組み合わせにより処理し、水分を蒸発させる構成を採用することができる。
【0044】
生成部80で生じたMgCl2は、電解部90に供給される。
【0045】
(電解部)
電解部90は、MgCl2を溶融塩電解し、金属マグネシウムを得る装置である。電解部90の構成としては、公知の溶融塩電解設備を採用することができる。
【0046】
以上のような塩化マグネシウムの製造システム1によれば、従来の方法よりも薬品の使用量を低減した上で塩化マグネシウムを製造することができる。
【0047】
また、以上のようなマグネシウムの製造システム100によれば、従来の方法よりも薬品の使用量を低減した上でマグネシウムを製造することができる。
【0048】
[第2実施形態]
図4,5は、本開示の第2実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システムの説明図である。本実施形態の塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システムは、第1実施形態の塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システムと一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
(塩化マグネシウムの製造システム)
図4は、塩化マグネシウムの製造システム2及びマグネシウムの製造システム100を示す模式図である。塩化マグネシウムの製造システム2は、除去部10と、濃縮部20とを有する。除去部10は、第1除去部11と、第2除去部12と、逆浸透膜30とを有する。
【0050】
(第1除去部)
図5は、第2実施形態の第1除去部11を示す模式図である。第1除去部11は、電気透析槽であり、陽極118と、陰極119と、陽極118及び陰極119の間に配列した、複数の第1濃縮室111A、第2濃縮室111B、第1希釈室112A及び第2希釈室112Bを有する。第1濃縮室111A、第2濃縮室111B及び第1希釈室112Aは、本開示における「処理部」に該当する。
【0051】
第2濃縮室111Bは、第1実施形態の濃縮室111に対応する。
【0052】
第1濃縮室111Aは、第1濃縮室111Aから排出される処理済みの水を再度第1濃縮室111Aに戻す循環用の配管を有していてもよい。
同様に、第2濃縮室111Bは、第2濃縮室111Bから排出される処理済みの水を、再度第2濃縮室111Bに戻す循環用の配管を有していてもよい。
【0053】
第1濃縮室111Aは、陽イオン交換膜C2と1価選択性陰イオン交換膜A1とで囲まれている。
第2濃縮室111Bは、1価選択性陽イオン交換膜C1と陰イオン交換膜A2とで囲まれている。
【0054】
なお、本開示において、「陽イオン交換膜」は、価数によらず陽イオンを透過させ、陰イオンを透過させないイオン交換膜を指す。
また、本開示において、「1価選択性陰イオン交換膜」は、1価の陽イオンを選択的に透過させ、多価の陰イオン及び価数によらず陽イオンを透過させないイオン交換膜を指す。
【0055】
第1希釈室112Aは、陽イオン交換膜C2と陰イオン交換膜A2とで囲まれている。
第2希釈室112Bは、1価選択性陽イオン交換膜C1と1価選択性陰イオン交換膜A1とで囲まれている。
【0056】
第1濃縮室111Aは、陽イオン交換膜C2を介して第1希釈室112Aと隣り合っている。また、第1濃縮室111Aは、1価選択性陰イオン交換膜A1を介して第2希釈室112Bと隣り合っている。
【0057】
第1希釈室112Aは、陰イオン交換膜A2を介して第2濃縮室111Bと隣り合っている。また、第1希釈室112Aは、陽イオン交換膜C2を介して第1濃縮室111Aと隣り合っている。
【0058】
第2希釈室112Bは、1価選択性陰イオン交換膜A1を介して第1濃縮室111Aと隣り合っている。また、第2希釈室112Bは、1価選択性陽イオン交換膜C1を介して第2濃縮室111Bと隣り合っている。
【0059】
第2濃縮室111Bは、1価選択性陽イオン交換膜C1を介して第2希釈室112Bと隣り合っている。また、第2濃縮室111Bは、陰イオン交換膜A2を介して第1希釈室112Aと隣り合っている。
【0060】
また、第1希釈室112A、第1濃縮室111A、第2希釈室112B及び第2濃縮室111Bは、陽極118と陰極119との間において、この順で繰り返し配置されている。
【0061】
このような構成の第1除去部11において、被処理水L1は、第1希釈室112A及び第2希釈室112Bに供給される。
【0062】
第1希釈室112Aに供給された被処理水L1に含まれる陽イオンは、陽イオン交換膜C2を介して、隣接する第1濃縮室111Aに移動する。
また、第1希釈室112Aに供給された被処理水L1に含まれる陰イオンは、陰イオン交換膜A2を介して、隣接する第2濃縮室111Bに移動する。
【0063】
第2希釈室112Bに供給された被処理水L1に含まれる1価の陽イオンは、1価選択性陽イオン交換膜C1を介して、隣接する第2濃縮室111Bに移動する。
また、第1希釈室112Aに供給された被処理水L1に含まれる1価の陰イオンは、1価選択性陰イオン交換膜A1を介して、隣接する第1濃縮室111Aに移動する。
【0064】
これにより、第1濃縮室111Aでは、陽イオンと1価の陰イオンが濃縮する。すなわち、第1濃縮室111Aから排出される処理水L2は、SO4
2-などの2価の陰イオンが除去されている。
【0065】
また、第1除去部11においては、第1希釈室112A、第1濃縮室111A、第2希釈室112B及び第2濃縮室111Bが繰り返し配列しているため、電気透析が並列処理となり、効率的に被処理水L1の硫酸イオン濃度を低減させることができる。
【0066】
また、第2濃縮室111Bでは、1価の陽イオンと陰イオンが濃縮する。すなわち、第2濃縮室111Bでは、塩化マグネシウムの製造システムで不要とするNa+とSO4
2-とを含むイオンが濃縮する。そのため、第2濃縮室111Bから排出される液体は、廃水Wとして処理される。
【0067】
第1希釈室112A及び第2希釈室112Bからは、被処理水L1から陽イオン及び陰イオンが低減した希釈水L21が排出される。希釈水L21は、供給管P21を介して、処理水L2を第1除去部11から第2除去部12へ供給する配管P2内に設けられた混合部19に供給される。本実施形態において混合部19は、配管P2と供給管P21とが接続する箇所を指す。
【0068】
(逆浸透膜)
逆浸透膜30は、供給管P21の経路内に設けられている。逆浸透膜30は、希釈水L21を純水PWと濃縮水CWとに分離する。すなわち、逆浸透膜30は、供給管P21を介して配管P2に純水PWを供給する。
【0069】
配管P2では、処理水L2と純水PWとが混合され、処理水L2の濃度が下がる。これにより、処理水L2の浸透圧が低減され、第2除去部12において処理しやすくなる。また、処理水L2の希釈に純水PWを用いるため、第2除去部12においてCaSO4(石膏)などのスケールが析出しにくく、安定した連続運転が可能となる。
【0070】
なお、本実施形態においては、混合部19は配管P2と供給管P21との接続箇所としたが、混合部として処理水L2と純水PWとを混合する混合槽を配管P2の経路内に設けてもよい。
【0071】
濃縮水CWは、
図4に示すように、配管P22を介して第1除去部11に接続する配管P1に供給してもよい。また、濃縮水CWは廃棄してもよい。
【0072】
このような構成の塩化マグネシウムの製造システム2においても、従来の方法よりも薬品の使用量を低減した上で塩化マグネシウムを製造することができる。
【0073】
なお、本実施形態で示した第1除去部11の構成は、第1実施形態の塩化マグネシウムの製造システム1においても採用することができる。
【0074】
また、本実施形態で採用した逆浸透膜30は、省略することもできる。
【0075】
[第3実施形態]
図6,7は、本開示の第3実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム及びマグネシウムの製造システムの説明図である。本実施形態において第1,第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0076】
(塩化マグネシウムの製造システム)
図6は、塩化マグネシウムの製造システム3及びマグネシウムの製造システム100を示す模式図である。塩化マグネシウムの製造システム3は、除去部10と、濃縮部20とを有する。
【0077】
塩化マグネシウムの製造システム3の除去部10は、第1除去部11と、第2除去部12と、第3除去部13と、逆浸透膜30とを有する。また、除去部10において、第2除去部12、第1除去部11、第3除去部13の順に接続されている。
【0078】
図7は、海水中のイオン比率を示すグラフである。
図7では、海水中の陽イオン及び陰イオンについて、それぞれ総量を100%とし、モル当量でのイオン比を示している。
【0079】
図7から明らかなように、海水中にはNa
+及びCl
-が多量に含まれている。そのため、第1実施形態及び第2実施形態の塩化マグネシウムの製造システムのように、被処理水L1から第1除去部11においてまずSO
4
2-を除去する処理を行う場合には、これら多量のNa
+及びCl
-が処理の邪魔になることが想定される。
【0080】
そのため、本実施形態の塩化マグネシウムの製造システム3においては、第1除去部11の前に第2除去部12を配置し、予めNa+及びCl-を除去する。
【0081】
第2除去部12は、1価選択性陽イオン交換膜と1価選択性陰イオン交換膜とを有し、1価陽イオンと1価陰イオンとを選択的に除去する公知の電気透析槽を採用することができる。これにより、第2除去部12からは、Na+及びCl-が除去された処理水L11が排出される。処理水L11は、配管P11を介して第2除去部12から第1除去部11に供給される。
【0082】
第1除去部11は、第2除去部12から供給された処理水L11から、SO4
2-を除去する。処理水L2は、配管P2を介して第1除去部11から第3除去部13に供給される。
【0083】
(第3除去部)
第3除去部13は、第1除去部11の後に接続され、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度を低減させる装置である。本開示の塩化マグネシウムの製造システム3においては、処理水L2からNa+を除去し、ナトリウムイオン濃度を低減させる。
【0084】
第3除去部13は、公知のナノろ過膜を採用することができる。処理水L2は、ナノろ過膜を透過することで、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度が低減された原料水L3と、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度が増加した廃水Wと、に分離する。
【0085】
塩化マグネシウムの製造システム3では、第3除去部13で処理する処理水L2は、上流側の第1除去部11においてSO4
2-が低減されている。これにより、塩化マグネシウムの製造システム3は、第3除去部13においてCaSO4(石膏)などのスケールが析出しにくく、安定した連続運転が可能となる。
【0086】
また、第3除去部13で処理する処理水L2は、上流側の第2除去部12においてNa+が低減されている。これにより、塩化マグネシウムの製造システム3は、第2除去部12及び第3除去部13において処理負荷が軽減され、安定した連続運転が可能となる。
【0087】
なお、例えば第2除去部12においてNa+を低減し、処理水L11にほぼNa+が含まれていない場合には、第3除去部13を省略することができる。
【0088】
また、例えば第2除去部12においてNa+を低減して、処理水L11に含まれる1価陽イオンと2価陽イオンとを等量とし、さらに、第1除去部11において処理水L11を上述のように処理することで、第3除去部13を省略することができる。
【0089】
このような構成の塩化マグネシウムの製造システム3においても、従来の方法よりも薬品の使用量を低減した上で塩化マグネシウムを製造することができる。
【0090】
[第4実施形態]
図8は、本開示の第4実施形態に係る塩化マグネシウムの製造システム3及びマグネシウムの製造システム100の製造システムの説明図である。本実施形態において第1~3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0091】
(脱炭酸部)
本実施形態の塩化マグネシウムの製造システム4は、被処理水L1に溶解する炭酸を除去する脱炭酸部40を有する。
図8では、第1実施形態の塩化マグネシウムの製造システム1における除去部10の上流側に、脱炭酸部40を有することとして示している。脱炭酸部40には配管P1と配管P41とが接続されている。配管P41は、脱炭酸部40と第1除去部11とを接続している。
【0092】
脱炭酸部40は、公知の構成を採用することができる。例えば、脱炭酸部40は、被処理水L1に酸を加えた後、被処理水L1に曝気することで、被処理水L1に含まれる炭酸を除去する脱炭酸塔を挙げることができる。被処理水L1に加える酸として、塩酸または硫酸を用いることができる。
【0093】
脱炭酸部40で脱炭酸処理された被処理水(被処理水L41)は、配管P41を介して除去部10(第1除去部11)に供給される。除去部10より下流側の処理は、第1実施形態で説明したとおりに行われる。
【0094】
このような構成の塩化マグネシウムの製造システム4においては、除去部10において除去するNa
+及びSO
4
2-に加え、さらに被処理水L1に含まれる炭酸イオンも除去される。そのため、
図2に示すように、濃縮部20において原料水L3を濃縮した際、CaCO
3の析出も抑制することができる。
【0095】
そのため、塩化マグネシウムの製造システム4においても、従来の方法よりも薬品の使用量を低減した上で塩化マグネシウムを製造することができる。さらに、得られる塩化マグネシウムに混入するCaCO3を低減し、高純度の塩化マグネシウムを製造することができる。
【0096】
なお、本実施形態で示した脱炭酸部40の構成は、第2実施形態の塩化マグネシウムの製造システム2及び第3実施形態の塩化マグネシウムの製造システム3においても採用することができる。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施の形態例について説明したが、本開示は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0098】
<付記>
各実施形態に記載の塩化マグネシウムの製造システムは、例えば以下のように把握される。
【0099】
[1]第1の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、除去部10と、除去部10に接続された濃縮部20と、を備え、除去部10は、海水を原料とする被処理水L1から硫酸イオン及びナトリウムイオンを除去した原料水L3を生成し、濃縮部20は、原料水L3を濃縮し、塩化マグネシウムが晶析したスラリーを生成し、除去部10は、被処理水L1よりも硫酸イオン濃度を低減させる第1除去部11と、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度を低減させる第2除去部12と、を有する。
【0100】
上記構成によれば、被処理水L1からナトリウムイオン及び硫酸イオンを除去して得られる原料水L3を濃縮することで、塩化マグネシウムが晶析したスラリーSが得られる。そのため、従来の方法よりも薬品の使用量を低減可能とする塩化マグネシウムの製造システムとすることができる。
【0101】
[2]第2の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、第2除去部12は、第1除去部11の後に接続され、第2除去部12は、第1除去部11において被処理水L1よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水L2を、原料水L3と廃水Wとに分離するナノろ過膜である。
【0102】
上記構成によれば、ナノろ過膜である第2除去部12において処理を行う前に第1除去部11において硫酸イオンを低減させる処理を行うことができるため、ナノろ過膜(第2除去部12)における石膏などのスケールの析出を抑制することができ、長期間安定して運転させることができる。
【0103】
[3]第3の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、第1除去部11は、第2除去部12の後に接続され、第2除去部12は、被処理水L1よりもナトリウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度を低減させる電気透析槽である。
【0104】
上記構成によれば、第1除去部11において処理を行う前に第2除去部12においてナトリウムイオンを低減させる処理を行うことができるため、第2除去部12における処理負荷が軽減する。
【0105】
[4]第4の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、除去部10は、第1除去部11の後に接続された第3除去部13をさらに有し、第3除去部13は、第1除去部11において被処理水L1よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水L2から、ナトリウムイオン濃度を低減させるナノろ過膜である。
【0106】
上記構成によれば、ナノろ過膜である第3除去部13において処理を行う前に第1除去部11において硫酸イオンを低減させる処理を行うことができる。そのため、ナノろ過膜(第3除去部13)における石膏などのスケールの析出を抑制することができ、長期間安定して運転させることができる。
【0107】
また、予め第2除去部12においてナトリウムイオンを低減させているため、第3除去部13における処理負荷を軽減し、長期間安定して運転させることができる。
【0108】
[5]第5の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、第1除去部11は、電気透析槽であり、電気透析槽は、陽極118と、陰極119と、陽極118と陰極119との間に配置された複数の濃縮室111と、複数の処理部と、を有し、陽極118と陰極119との間において、濃縮室111と処理部とが交互に繰り返し配置され、処理部は、処理部に対して陽極118側に配置された濃縮室111と、陰イオン交換膜A2を介して隣り合い、且つ処理部に対して陰極119側に配置された濃縮室111と、1価選択性陽イオン交換膜C1を介して隣り合い、被処理水L1は、処理部に供給され、処理部から、被処理水L1よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水L2が排出される。
【0109】
上記構成によれば、電気透析により被処理水L1から硫酸イオン濃度を低減させた処理水L2を得ることができる。
【0110】
[6]第6の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、処理部は、陰イオン交換膜と、1価選択性陽イオン交換膜C1との間に配置された第1濃縮室111Aと、第1希釈室112Aと、第2希釈室112Bとを有し、濃縮室は、第2濃縮室111Bであり、陽極118と陰極119との間において、陽極118の側から陰極119の側に、第1希釈室112A、第1濃縮室111A、第2希釈室112B及び第2濃縮室111Bがこの順で繰り返し配置され、第1希釈室112Aは、陰イオン交換膜A2を介して第2濃縮室111Bと隣り合い、且つ陽イオン交換膜C2を介して第1濃縮室111Aと隣り合い、第2希釈室112Bは、1価選択性陽イオン交換膜C1を介して第2濃縮室111Bと隣り合い、且つ1価選択性陰イオン交換膜A1を介して第1濃縮室111Aと隣り合っており、被処理水L1は、第1希釈室112A及び第2希釈室112Bに供給され、第1濃縮室111Aから、処理水L2が排出され、第1希釈室112A及び第2希釈室112Bから、被処理水よりもナトリウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度を低減させた希釈水L21が排出される。
【0111】
上記態様によれば、電気透析が並列処理となり、効率的に被処理水L1の硫酸イオン濃度を低減させることができる。
【0112】
[7]第7の態様に係る塩化マグネシウムの製造システム1は、第1除去部11において被処理水L1よりも硫酸イオン濃度を低減させた処理水L2を、第1除去部11から第2除去部12へ供給する経路内に設けられ、希釈水L21の少なくとも一部と処理水とを混合する混合部19と、希釈水L21を第1除去部11から混合部へ供給する供給管P21を有する。
【0113】
上記態様によれば、処理水L2と希釈水L21とが混合され、処理水L2の濃度が下がる。これにより、第2除去部12における処理負担が軽減する。
【0114】
[8]第8の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、供給管P21の経路内に、希釈水L21を純水と濃縮水とに分離する逆浸透膜30を有し、純水を混合部19へ供給する。
【0115】
上記態様によれば、処理水L2と希釈水L21とが混合され、処理水L2の濃度が下がる。これにより、第2除去部12における処理負担が軽減する。
【0116】
[9]第9の態様に係る塩化マグネシウムの製造システムは、被処理水L1に含まれる少なくとも一部の炭酸を除去する脱炭酸部40を有する。
【0117】
上記態様によれば、濃縮部20において析出する塩化マグネシウムに混入する炭酸カルシウム量を低減することができ、純度が高い塩化マグネシウムを得ることができる。
【0118】
また、各実施形態に記載のマグネシウムの製造システムは、例えば以下のように把握される。
【0119】
[10]第10の態様に係るマグネシウムの製造システムは、第1の態様から第9の態様のいずれか1つの態様の塩化マグネシウムの製造システムと、スラリーSから水を分離し塩化マグネシウムを生成する生成部80と、塩化マグネシウムを溶融塩電解し金属マグネシウムを得る電解部90と、を有する。
【0120】
上記態様によれば、従来の方法よりも薬品の使用量を低減可能とするマグネシウムの製造システム100を提供することができる。
【符号の説明】
【0121】
1,2,3,4…塩化マグネシウムの製造システム、10…除去部、11…第1除去部、12…第2除去部、13…第3除去部、19…混合部、20…濃縮部、30…逆浸透膜、40…脱炭酸部、80…生成部、90…電解部、100…マグネシウムの製造システム、111…濃縮室、111A…第1濃縮室、111B…第2濃縮室、112…希釈室、112A…第1希釈室、112B…第2希釈室、118…陽極、119…陰極、A1…1価選択性陰イオン交換膜、A2…陰イオン交換膜、C1…1価選択性陽イオン交換膜、C2…陽イオン交換膜、CW…濃縮水、L1,L41…被処理水、L2,L11…処理水、L3…原料水、L21…希釈水、P21…供給管、PW…純水、S…スラリー、W…廃水