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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ガス警報器管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20240524BHJP
   G08B 29/18 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G08B21/16
G08B29/18 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020011598
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021117821
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】桝本 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】松村 圭祐
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-268119(JP,A)
【文献】特開昭56-096397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置されるガス警報器と、前記ガス警報器から送信される状態検出部の検出結果を受信するガス警報器管理装置とを備え、
前記ガス警報器は、
ガス消費機器で消費される燃料ガスの存在を検出するガス検出部と、前記ガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する制御部とを筐体の内部に備え、前記筐体の外部と内部との間での気体の流通を許容して、前記筐体の外部に存在する気体が前記筐体の内部に到達できるようにする通気孔が前記筐体に設けられており
前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽する遮蔽状態から、前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽しない非遮蔽状態へと移動可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材が前記遮蔽状態にあるか又は前記非遮蔽状態にあるかを検出する前記状態検出部とを前記筐体に備え、
前記制御部は、前記状態検出部の検出結果を前記ガス警報器管理装置に送信するように構成され
前記ガス警報器管理装置は、前記ガス警報器が設置されている前記施設に利用者が入居済みであるか否かを示す入居状況情報、及び、当該施設において前記遮蔽部材が前記遮蔽状態にあるか又は前記非遮蔽状態にあるかを示す遮蔽情報を施設毎に記憶するガス警報器管理システム。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記筐体の外部に存在する気体が前記筐体に形成される前記通気孔を介して前記筐体の内部に侵入することを許容した状態で前記筐体の内部で前記ガス検出部を覆うことで、前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽可能に構成される請求項1に記載のガス警報器管理システム
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記筐体に形成される前記通気孔を覆うことで、前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽可能に構成される請求項1に記載のガス警報器管理システム
【請求項4】
前記ガス警報器管理装置は、前記施設毎での前記入居状況情報の内容と前記遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ前記施設での前記入居状況情報の内容から推定できる利用者の活動状態と前記遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合には異常であると判定し、矛盾しない場合には正常であると判定する請求項1~3の何れか一項に記載のガス警報器管理システム。
【請求項5】
前記ガス警報器管理装置は、前記施設毎での前記入居状況情報の内容と前記遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ前記施設において、前記入居状況情報の内容が、利用者が入居済みではないことを示しており、前記遮蔽情報の内容が、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態にあることを示している場合、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態に移動されたという第1異常が発生していると判定する請求項4に記載のガス警報器管理システム。
【請求項6】
前記ガス警報器管理装置は、前記第1異常が発生していると判定した前記施設へ作業員を派遣する必要があると決定する請求項5に記載のガス警報器管理システム。
【請求項7】
前記ガス警報器管理装置は、前記施設毎での前記入居状況情報の内容と前記遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ前記施設において、前記入居状況情報の内容が、利用者が入居済みであることを示しており、前記遮蔽情報の内容が、前記遮蔽部材が前記遮蔽状態にあることを示している場合、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態に移動されていないという第2異常が発生していると判定する請求項4に記載のガス警報器管理システム。
【請求項8】
前記ガス警報器は音声を出力する音声出力部を備え、
前記ガス警報器管理装置は、前記第2異常が発生していると判定した場合、前記遮蔽部材を前記非遮蔽状態に移動させることを促すデータを、前記第2異常が発生していると判定した前記施設の前記ガス警報器に送信して、当該データに基づく音声を当該ガス警報器の前記音声出力部から出力させる請求項7に記載のガス警報器管理システム。
【請求項9】
前記ガス警報器管理装置は、
前記入居状況情報として、前記ガス警報器が設置されている前記施設に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を用い、
前記施設に燃料ガスの供給が行われている場合、当該施設に利用者が入居済みであると判定し、
前記施設に燃料ガスの供給が行われていない場合、当該施設に利用者が入居済みではないと判定する請求項1~8の何れか一項に記載のガス警報器管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス警報器とガス警報器管理装置とを備えるガス警報器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2006-268119号公報)には、ガス消費機器で消費されるメタン等の燃料ガスの存在を検出するガス検出部(ガス検出素子)と、そのガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する制御部とを筐体の内部に備えるガス警報器が記載されている。
【0003】
加えて、特許文献1では、ガス検出部と煙検出部とを備えるガス警報器に対して有煙式検査を行った場合に、ガス検出部が煙によって被毒することが問題視されている。そして、特許文献1に記載のガス警報器は、ガス検出部をガス警報器の外部の気体に対して遮蔽するための遮蔽手段を備えることで、有煙式検査を行った場合にガス検出部を煙から保護してその被毒を防止することを特徴としている。
【0004】
また、特許文献1には、シャッター(遮蔽手段)の開閉の有無を公知の検知手段にて検知し、ガス警報器の電源がONになっているにも関わらずシャッターが閉じているような場合には、CO警報ランプを点滅又は点灯させることで、使用時におけるシャッターの開け忘れを防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-268119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新築の住宅や事業所などの施設にガス警報器が設置された場合、ガス警報器の設置後、利用者が施設に入居するまでの間に長い時間が経過することがある。その場合、施設内では建材から出た揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compounds)が拡散し、ガス警報器の筐体内に設置されたガス検出部に付着することがある。そして、ガス検出部にVOCが付着した場合、ガス検出部が劣化(例えば、鋭敏化又は鈍化など)することがある。
【0007】
特許文献1に記載のガス警報器のように、ガス検出部をガス警報器の外部の気体に対して遮蔽するための遮蔽手段を備えていれば、利用者が施設に入居するまでの間に遮蔽手段を閉じておくことでガス検出部が例えばVOC等を含む気体に曝されることを回避できる。但し、遮蔽手段が、ガス警報器の設置後に開けられたまま放置された場合、利用者が施設に入居するまでの間、ガス検出部がVOC等を含む気体に曝され続けることになる。尚、建材からVOCが排出されるとしても、利用者が施設への入居後に換気装置等を稼働させれば、施設内のVOC濃度はガス検出部が劣化しないレベルに低下する。
【0008】
また、特許文献1には、ガス警報器に設けられたCO警報ランプを点滅又は点灯させることで、ガス警報器に設けられている遮蔽手段が閉じ続けられている状態であることを施設内で報知することは記載されている。しかし、ガス警報器のCO警報ランプは、利用者が施設に未入居の状態では確認することができない。
【0009】
このように、特許文献1に記載のガス警報器では、利用者が施設に未入居である間に遮蔽手段が開かれ続けることで、ガス検出部がガス警報器の外部の気体に曝され続けたとしても、施設外からそれを知る術はない。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者が施設に未入居の状態であっても、施設に設置されたガス警報器のガス検出部がガス警報器の外部の気体に曝されているか否かを別の場所で認識させることができるガス警報器を備えるガス警報器管理システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器管理システムの特徴構成は、施設に設置されるガス警報器と、前記ガス警報器から送信される状態検出部の検出結果を受信するガス警報器管理装置とを備え、
前記ガス警報器は、
ガス消費機器で消費される燃料ガスの存在を検出するガス検出部と、前記ガス検出部の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する制御部とを筐体の内部に備え、前記筐体の外部と内部との間での気体の流通を許容して、前記筐体の外部に存在する気体が前記筐体の内部に到達できるようにする通気孔が前記筐体に設けられており
前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽する遮蔽状態から、前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽しない非遮蔽状態へと移動可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材が前記遮蔽状態にあるか又は前記非遮蔽状態にあるかを検出する前記状態検出部とを前記筐体に備え、
前記制御部は、前記状態検出部の検出結果を前記ガス警報器管理装置に送信するように構成され
前記ガス警報器管理装置は、前記ガス警報器が設置されている前記施設に利用者が入居済みであるか否かを示す入居状況情報、及び、当該施設において前記遮蔽部材が前記遮蔽状態にあるか又は前記非遮蔽状態にあるかを示す遮蔽情報を施設毎に記憶する点にある。
前記遮蔽部材は、前記筐体の外部に存在する気体が前記筐体に形成される前記通気孔を介して前記筐体の内部に侵入することを許容した状態で前記筐体の内部で前記ガス検出部を覆うことで、前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽可能に構成されていてもよい。
前記遮蔽部材は、前記筐体に形成される前記通気孔を覆うことで前記ガス検出部を前記筐体の外部に存在する気体から遮蔽可能に構成されていてもよい。
【0012】
上記特徴構成によれば、遮蔽部材は、ガス検出部を筐体の外部に存在する気体から遮蔽する遮蔽状態から、ガス検出部を筐体の外部に存在する気体から遮蔽しない非遮蔽状態へと移動可能になっている。つまり、ガス警報器が設置されている施設に利用者が未だ入居していない間は遮蔽部材を遮蔽状態にしておくことで、ガス検出部が例えばVOC等を含む気体に曝されることを回避できる。また、例えば利用者が施設に入居した後は遮蔽部材を非遮蔽状態にすることで、筐体の外部に存在する気体がガス検出部に到達できるようにして、ガス検出部での燃料ガスの検出が確実に行われる。
加えて、ガス警報器は、遮蔽部材が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを検出する状態検出部とを筐体に備え、制御部は、遮蔽部材が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを示す検出結果を、ガス警報器からガス警報器管理装置へ送信する。つまり、ガス警報器管理装置では、ガス警報器の遮蔽部材が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを示す検出結果を知ることができる。その結果、利用者が施設に未入居の状態であっても、施設に設置されたガス警報器のガス検出部がガス警報器の外部の気体に曝されているか否かを別の場所で認識させることができる。
【0013】
記ガス警報器管理装置は、前記施設毎での前記入居状況情報の内容と前記遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ前記施設での前記入居状況情報の内容から推定できる利用者の活動状態と前記遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合には異常であると判定し、矛盾しない場合には正常であると判定してもよい。
【0014】
加えて、ガス警報器管理装置は、入居状況情報及び遮蔽情報を施設毎に記憶する。入居状況情報の内容に関して、施設に利用者が入居済みではない場合、施設で利用者が活動していない可能性が高く、施設に利用者が入居済みである場合、施設で利用者が活動している可能性が高い。また、遮蔽情報の内容に関して、施設においてガス警報器の遮蔽部材が遮蔽状態にあれば、施設で利用者が活動していない可能性が高く、施設においてガス警報器の遮蔽部材が非遮蔽状態にあれば、施設で利用者が活動している可能性が高い。このように、ガス警報器管理装置は、施設毎に記憶した入居状況情報の内容及び遮蔽情報の内容に基づいて、各施設で利用者が活動しているのか又は活動していないのかを推定できる。そして、ガス警報器管理装置は、施設毎での入居状況情報の内容と遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ施設での入居状況情報の内容から推定できる利用者の活動状態と遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合には異常であると判定でき、矛盾しない場合には正常であると判定できる。
【0015】
本発明に係るガス警報器管理システムの更に別の特徴構成は、前記ガス警報器管理装置は、前記施設毎での前記入居状況情報の内容と前記遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ前記施設において、前記入居状況情報の内容が、利用者が入居済みではないことを示しており、前記遮蔽情報の内容が、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態にあることを示している場合、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態に移動されたという第1異常が発生していると判定する点にある。
【0016】
入居状況情報の内容が、施設に利用者が入居済みではないことを示している場合、施設で利用者が活動していないと推定できる。また、遮蔽情報の内容が、遮蔽部材が非遮蔽状態にあることを示している場合、施設で利用者が活動していると推定できる。このように、同じ施設での入居状況情報の内容から推定できる利用者の活動状態と遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合、本特徴構成では、遮蔽部材が非遮蔽状態に移動されたという異常(第1異常)が発生していると判定できる。
【0017】
本発明に係るガス警報器管理システムの更に別の特徴構成は、前記ガス警報器管理装置は、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態に移動されたという第1異常が発生していると判定した前記施設へ作業員を派遣する必要があると決定する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、ガス警報器管理装置は、上述したように遮蔽部材が非遮蔽状態に移動されたという異常(第1異常)が発生していても、施設へ作業員を派遣させることで、その異常が解消されることを期待できる。
【0019】
本発明に係るガス警報器管理システムの更に別の特徴構成は、前記ガス警報器管理装置は、前記施設毎での前記入居状況情報の内容と前記遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ前記施設において、前記入居状況情報の内容が、利用者が入居済みであることを示しており、前記遮蔽情報の内容が、前記遮蔽部材が前記遮蔽状態にあることを示している場合、前記遮蔽部材が前記非遮蔽状態に移動されていないという第2異常が発生していると判定する点にある。
【0020】
入居状況情報の内容が、施設に利用者が入居済みであることを示している場合、施設で利用者が活動していると推定できる。また、遮蔽情報の内容が、遮蔽部材が遮蔽状態にあることを示している場合、施設で利用者が活動していないと推定できる。このように、同じ施設での入居状況情報の内容から推定できる利用者の活動状態と遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合、本特徴構成では、遮蔽部材が非遮蔽状態に移動されていないという異常(第2異常)、即ち、遮蔽部材が遮蔽状態のままになっているという異常が発生していると判定できる。
【0021】
本発明に係るガス警報器管理システムの更に別の特徴構成は、前記ガス警報器は音声を出力する音声出力部を備え、
前記ガス警報器管理装置は、前記第2異常が発生していると判定した場合、前記遮蔽部材を前記非遮蔽状態に移動させることを促すデータを、前記第2異常が発生していると判定した前記施設の前記ガス警報器に送信して、当該データに基づく音声を当該ガス警報器の前記音声出力部から出力させる点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、ガス警報器管理装置は、前記第2異常が発生していると判定した場合遮蔽部材を非遮蔽状態に移動させることを促すデータを、その第2異常が発生していると判定した施設のガス警報器に送信して、そのデータに基づく音声を音声出力部から出力させる。その結果、ガス警報器の音声出力部から出力された音声を聞いた利用者が遮蔽部材を非遮蔽状態に移動させて、異常(第2異常)が解消されることを期待できる。
【0023】
本発明に係るガス警報器管理システムの更に別の特徴構成は、前記ガス警報器管理装置は、前記入居状況情報として、前記ガス警報器が設置されている前記施設に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を用い、前記施設に燃料ガスの供給が行われている場合、当該施設に利用者が入居済みであると判定し、前記施設に燃料ガスの供給が行われていない場合、当該施設に利用者が入居済みではないと判定する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、ガス警報器管理装置は、上記入居状況情報として、ガス警報器が設置されている前記施設に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を用いる。そして、ガス警報器管理装置は、施設に燃料ガスの供給が行われている場合、その施設に利用者が入居済みであると判定し、施設に燃料ガスの供給が行われていない場合、その施設に利用者が入居済みではないと判定する。つまり、施設に燃料ガスの供給が行われていない場合、その施設で利用者が活動していない可能性が高く、施設に燃料ガスの供給が行われている場合、施設で利用者が活動している可能性が高い。このように、ガス警報器管理装置は、施設毎に記憶したガス供給情報の内容及び遮蔽情報の内容に基づいて、各施設で利用者が活動しているのか又は活動していないのかを推定できる。そして、ガス警報器管理装置は、施設毎でのガス供給情報の内容と遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ施設でのガス供給情報の内容から推定できる利用者の活動状態と遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合には異常であると判定でき、矛盾しない場合には正常であると判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ガス警報器とガス警報器管理装置とを備えるガス警報器管理システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態のガス警報器の断面を概略的に示す図である。
図3】第1実施形態のガス警報器の断面を概略的に示す図である。
図4】第2実施形態のガス警報器の断面を概略的に示す図である。
図5】第2実施形態のガス警報器の断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係るガス警報器20及びガス警報器管理システムについて説明する。
図1は、ガス警報器20とガス警報器管理装置10とを備えるガス警報器管理システムの構成を示す図である。図2及び図3は、施設2に設置された第1実施形態のガス警報器20の断面を概略的に示す図である。図示するように、ガス警報器管理装置10は、住宅や事業所などの施設2に設置されるガス警報器20との間で通信回線1を介して情報通信可能に構成される。図1に示す例では、4つの施設2(2A,2B,2C,2D)を記載し、各施設2にガス警報器20(20A,20B,20C,20D)がそれぞれ設けられている。また、各施設2には、ガス供給管32(32A,32B,32C,32D)を介して燃料ガス(例えば都市ガスなど)がそれぞれ供給され、その燃料ガスはガス消費機器33(33A,33B,33C,33D)でそれぞれ消費される。
【0027】
ガス警報器20は、ガス消費機器33で消費される燃料ガス(例えば都市ガスなど)の存在を検出するガス検出部23と、ガス検出部23の検出結果に基づいて、警報出力するか否かを決定する制御部としての機器側制御部24とを筐体21の内部に備える。また、筐体21には、筐体21の外部と内部との間での気体の流通を許容して、筐体21の外部に存在する気体が筐体21の内部に到達できるようにする通気孔22が設けられている。加えて、本実施形態では、ガス警報器20は、機器側通信部27と、表示部28と、音声出力部29と、ガス警報器20で取り扱われる情報を記憶する機器側記憶部30と、電源部31とを備える。
【0028】
電源部31は、ガス警報器20の各部に電力を供給する。ガス警報器20が電池式の場合、電源部31は電池を用いて構成される。ガス警報器20が受電式の場合、電源部31は、変圧回路や定電圧回路や交流から直流への電力変換回路などを用いて構成され、電気コンセントなどに接続される電気コードを介して交流電力を受電する受電部となる。
【0029】
機器側通信部27は、有線又は無線による通信機能を実現する。機器側通信部27が動作することで、ガス警報器20は、施設2に設置されたルーターなどの他の通信装置(図示せず)を介して通信回線1に接続され、ガス警報器管理装置10などとの間で情報通信を行うことができる。
【0030】
表示部28は、例えば電力供給が行われている場合に点灯する電源用ランプや、ガス検出用ランプなどを備える。例えば、機器側制御部24は、自身に対して電力が供給されている場合、電源用ランプを点灯させる。また、機器側制御部24は、ガス検出部23の検出結果に基づいて、所定値以上の濃度の燃料ガスが検出されたと判定するとガス検出用ランプを点灯又は点滅させるといった警報表示を行わせ、所定値未満の濃度の燃料ガスしか検出されていなければガス検出用ランプを消灯させる。
【0031】
音声出力部29は、音声を出力できるスピーカなどを用いて実現される。例えば、機器側制御部24は、ガス検出部23の検出結果に基づいて、所定値以上の濃度の燃料ガスが検出されたと判定した場合、例えば予め機器側記憶部30に記憶されているガス(メタン)濃度の異常を知らせるための音声を音声出力部29から音声出力させることができる。
【0032】
図2及び図3に示すように、ガス警報器20の筐体21は、天面21aが天井に相対して設置される。筐体21の底面21bには通気孔22が設けられ、筐体21の外部に存在する気体が通気孔22を通って筐体21の内部に侵入可能になっている。ガス警報器20の筐体21の内部には電気回路基板34が設けられ、その電気回路基板34に、表示部28、音声出力部29、ガス検出部23、状態検出部26などが接続される。尚、図示は省略するが、電気回路基板34には、電源部31、機器側制御部24、機器側通信部27、機器側記憶部30なども接続される。
【0033】
筐体21に、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽する遮蔽状態から、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽しない非遮蔽状態へと移動可能な遮蔽部材25が設けられる。図2は遮蔽部材25が遮蔽状態にある場合の例であり、図3は遮蔽部材25が非遮蔽状態にある場合の例である。図2及び図3に示す例では、遮蔽部材25は、シート状の絶縁性材料を用いて構成される。図示するように、遮蔽部材25は、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽する遮蔽状態(図2)から、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽しない非遮蔽状態(図3)へと移動可能である。このような構成により、ガス警報器20が設置されている施設2に利用者が未だ入居していない間は遮蔽部材25を遮蔽状態にしておくことで、ガス検出部23が例えばVOC等を含む気体に曝されることを回避できる。また、例えば利用者が施設2に入居した後は遮蔽部材25を非遮蔽状態にすることで、筐体21の外部に存在する気体がガス検出部23に到達できるようにして、ガス検出部23での燃料ガスの検出が確実に行われる。
【0034】
本実施形態では、遮蔽部材25は、筐体21の外部に存在する気体が筐体21に形成される通気孔22を介して筐体21の内部に侵入することを許容した状態で筐体21の内部でガス検出部23を覆うことで、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽可能に構成される。例えば、図2に示すように、筐体21の内部には仕切部21dが形成されており、天面21aと側面21cと仕切部21dと遮蔽部材25とでガス検出部23の周囲がすべて囲われる。それにより、ガス検出部23は、筐体21の外部に存在する気体から遮蔽されるため、筐体21の外部に存在する気体がガス検出部23に付着することもない。
【0035】
尚、遮蔽部材25は、一部がガス検出部23の下方側(底面21b側)でガス検出部23を覆うと共に、別の一部は筐体21の側面21cから突出している。従って、筐体21の側面21cから遮蔽部材25が突出している場合、それを見た利用者は、遮蔽部材25によってガス検出部23が遮蔽された遮蔽状態にあると認識できる。
【0036】
また、利用者は、図3に示すように、遮蔽部材25を筐体21から引き抜くこともできる。遮蔽部材25が筐体21から引き抜かれた場合、ガス検出部23の下方側(底面21b側)は遮蔽部材25によって覆われなくなる。それにより、ガス検出部23は、筐体21の外部に存在する気体から遮蔽されないため、筐体21の外部に存在する気体がガス検出部23に付着する可能性がある。特に、ガス消費機器33に供給される燃料ガスが漏れ出してガス検出部23に付着した場合には、その燃料ガスの存在をガス検出部23は検出できる。
【0037】
筐体21には、遮蔽部材25が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを検出する状態検出部26が設けられる。図2及び図3に示す例では、状態検出部26は、導電性の接点26a、26bを備え、接点26aと接点26bとが接触している導通状態にあるか、又は、接点26aと接点26bとが接触していない非導通状態にあるかを検出できる。
【0038】
具体的に説明すると、図2では、遮蔽部材25が遮蔽状態にある場合に遮蔽部材25の一部が接点26aと接点26bとの間に介在するように、遮蔽部材25は筐体21に設置されている。そして、絶縁性材料で形成された遮蔽部材25の一部が接点26aと接点26bとの間に介在しているため、状態検出部26は非導通状態を検出している。その結果、状態検出部26が非導通状態を検出している場合というのは、状態検出部26が遮蔽状態を検出している場合であると言える。
【0039】
それに対して、図3では、遮蔽部材25が非遮蔽状態にある場合に、遮蔽部材25は接点26aと接点26bとの間には介在しない。そして、遮蔽部材25は接点26aと接点26bとの間に介在しておらず、接点26aと接点26bとが接触しているため、状態検出部26は導通状態を検出している。その結果、状態検出部26が導通状態を検出している場合というのは、状態検出部26が非遮蔽状態を検出している場合であると言える。
【0040】
以上のようにして、状態検出部26は、遮蔽部材25が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを検出でき、その検出結果を機器側制御部24に伝達する。そして、機器側制御部24は、状態検出部26の検出結果を機器側通信部27から通信回線1を介して他の装置に送信する。本実施形態では、機器側制御部24は、状態検出部26の検出結果を、予め機器側記憶部30に記憶されているガス警報器20に固有の識別子などと共に、所定のタイミングでガス警報器管理装置10に送信する。このような構成により、ガス警報器管理装置10などの他の装置では、ガス警報器20の遮蔽部材25が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを示す検出結果を知ることができる。その結果、利用者が施設2に未入居の状態であっても、施設2に設置されたガス警報器20のガス検出部23がガス警報器20の外部の気体に曝されているか否かを別の場所で認識させることができる。
【0041】
ガス警報器管理装置10は、ガス警報器20が設置されている施設2に利用者が入居済みであるか否かを示す入居状況情報、及び、当該施設2において遮蔽部材25が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを示す遮蔽情報を施設2毎に記憶する。
【0042】
本実施形態では、ガス警報器管理装置10は、管理側通信部13によって、複数の施設2にそれぞれ設置されたガス警報器20から、状態検出部26の検出結果と識別子とを含む遮蔽情報を受信して、管理側記憶部12に記憶する。例えば、ガス警報器管理装置10は、上記入居状況情報として、ガス警報器20が設置されている施設2に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を用いることができる。
以下に、ガス警報器管理装置10が、上記入居状況情報として、ガス警報器20が設置されている施設2に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を用いる場合を例に説明する。
【0043】
本実施形態では、ガス警報器管理装置10は、管理側通信部13によって、複数の施設2にそれぞれ設置されたガス警報器20から、状態検出部26の検出結果と識別子とを含む遮蔽情報を受信して、管理側記憶部12に記憶する。
また、各施設2に利用者が入居する場合、例えば利用者から依頼を受けた燃料ガスの供給事業者がガス供給管32の開栓作業を行う。その結果、各施設2では、開栓されたガス供給管32を介してガス消費機器33に燃料ガスが供給される。このように、燃料ガスの供給事業者は、ガス警報器20が設置されている施設2に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を保有している。或いは、複数の施設2を有する集合住宅や建物などを管理等する施設管理者等が、各施設2に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を保有している場合もある。そして、燃料ガスの供給事業者や施設管理者などが保有しているガス供給情報を取得するなどして、ガス警報器管理装置10は、管理側記憶部12でガス供給情報を施設2毎に記憶できる。尚、燃料ガスの供給事業者や施設管理者などと、ガス警報器管理装置10の運用主体とが同一であってもよい。そして、ガス警報器管理装置10は、施設2に燃料ガスの供給が既に行われている場合、利用者がその施設2に入居済みであると判定でき、施設2に燃料ガスの供給が未だ行われていない場合、利用者はその施設2に入居済みではないと判定できる。
【0044】
補足すると、施設2へのガス警報器20の設置が完了した時点で、どの位置(例えば住所、建物の階数、部屋番号など)の施設2に何という識別子のガス警報器20が設置されたのかが定まるため、ガス警報器管理装置10は、位置を示す情報(例えばガス警報器20の設置場所を示す住所、建物の階数、部屋番号など)とガス警報器20の識別子とを関連付けて管理側記憶部12に記憶できる。また、ガス警報器管理装置10は、その位置の施設2にガス供給管32が敷設されていれば、その位置を示す情報とガス供給情報とを関連付けて管理側記憶部12に記憶できる。このようにして、ガス警報器管理装置10は、施設2のそれぞれについて、ガス供給情報及び遮蔽情報を関連付けて記憶できる。
【0045】
ガス警報器管理装置10の管理側制御部11は、ガス供給情報の内容を検証することで、ガス供給情報の内容から推定できる利用者の活動状態を決定できる。例えば、管理側制御部11は、特定の施設2で燃料ガスの供給を未実施の場合、その施設2には利用者が入居済みではなく、その施設2で利用者が活動してないと推定できる。それに対して、管理側制御部11は、特定の施設2で燃料ガスの供給を実施した場合、その施設2には利用者が入居済みであり、その施設2で利用者が活動していると推定できる。
【0046】
また、ガス警報器管理装置10の管理側制御部11は、遮蔽情報の内容を検証することで、遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態を決定できる。例えば、管理側制御部11は、特定の施設2で遮蔽部材25が遮蔽状態にある場合(即ち、未だ遮蔽部材25が筐体21から引き抜かれていない場合)、その施設2には利用者が入居済みではなく、その施設2で利用者が活動してないと推定できる。それに対して、管理側制御部11は、特定の施設2で遮蔽部材25が非遮蔽状態である場合(即ち、既に遮蔽部材25が筐体21から引き抜かれた場合)、その施設2には利用者が入居済みであり、その施設2で利用者が活動していると推定できる。
【0047】
表1は、施設2A,2B,2C,2Dのそれぞれでのガス供給情報及び遮蔽情報の例である。また、表1には、施設2でのガス供給情報の内容から推定できる利用者の活動状態と遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾するか否かに基づく判定結果の例も併せて記載している。
【0048】
【表1】
【0049】
ガス警報器管理装置10は、施設2毎でのガス供給情報の内容と遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ施設2でのガス供給情報の内容から推定できる利用者の活動状態と遮蔽情報の内容から推定できる利用者の活動状態とが矛盾する場合には異常であると判定し、矛盾しない場合には正常であると判定する。
【0050】
具体的に説明すると、ガス警報器管理装置10は、施設2毎でのガス供給情報の内容と遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ施設2において、ガス供給情報の内容が、燃料ガスの供給が行われていないことを示しており、遮蔽情報の内容が、遮蔽部材25が非遮蔽状態にあることを示している場合、遮蔽部材25が非遮蔽状態に移動されたという第1異常が発生していると判定する。
【0051】
例えば、表1に示した施設2Bの場合、施設2Bへの燃料ガスの供給を未実施であるのに、施設2Bに設置されたガス警報器20では遮蔽部材25が非遮蔽状態になっている。つまり、未だ施設2Bで利用者が活動していない(未入居である)のに、既に遮蔽部材25はガス警報器20の筐体21から引き抜かれている(入居済みである)というように、推定できる利用者の活動状態に矛盾が生じている。そして、ガス警報器管理装置10の管理側制御部11は、施設2Bに関して、遮蔽部材25が非遮蔽状態に移動されたという第1異常が発生していると判定する。このような矛盾が発生している理由として、利用者が施設2Bへ入居する前のガス警報器20の設置工事時に、設置作業者が遮蔽部材25を誤って引き抜いたこと等が考えられる。
【0052】
そこで、ガス警報器管理装置10は、遮蔽部材25が非遮蔽状態に移動されたという第1異常が発生していると判定した施設2Bへ作業員を派遣する必要があると決定する。例えば、ガス警報器管理装置10は、そのガス警報器20の設置場所を示す情報(例えば住所、建物の階数、部屋番号など)と異常内容(例えば遮蔽部材25の異常など)とを作業員へ通知する。その結果、施設2Bへ作業員を派遣させることで、その異常が解消されることを期待できる。
【0053】
また、ガス警報器管理装置10は、施設2毎でのガス供給情報の内容と遮蔽情報の内容との組み合わせを検証し、同じ施設2において、ガス供給情報の内容が、燃料ガスの供給が行われていることを示しており、遮蔽情報の内容が、遮蔽部材25が遮蔽状態にあることを示している場合、遮蔽部材25を非遮蔽状態に移動させることを促すデータを当該施設2のガス警報器20に送信して、当該データに基づく音声を音声出力部29から出力させる。この場合、ガス警報器管理装置10が、遮蔽部材25を非遮蔽状態に移動させることを促す音声データをガス警報器20に送信し、ガス警報器20が、音声出力部29でその音声データを音声として出力してもよい。或いは、ガス警報器管理装置10が、遮蔽部材25を非遮蔽状態に移動させることを促す命令データをガス警報器20に送信し、ガス警報器20が、自身の機器側記憶部30に予め記憶してある音声データの中からその命令データに基づいて選択される音声データを読み出して、音声出力部29でその音声データを音声として出力してもよい。
【0054】
例えば、表1に示した施設2Cの場合、施設2Cへの燃料ガスの供給を実施したのに、施設2Cに設置されたガス警報器20では遮蔽部材25が遮蔽状態のままになっている。つまり、既に施設2Cで利用者が活動している(入居済みである)のに、未だ遮蔽部材25はガス警報器20の筐体21から引き抜かれていない(未入居である)というように、推定できる利用者の活動状態に矛盾が生じている。そして、ガス警報器管理装置10の管理側制御部11は、遮蔽部材25が非遮蔽状態に移動されていないという第2異常が発生していると判定する。このような矛盾が発生している理由として、施設2に入居した利用者が遮蔽部材25をガス警報器20の筐体21から引き抜くことを忘れていること等が考えられる。
【0055】
そこで、ガス警報器管理装置10の管理側制御部11は、管理側制御部11に記憶されている情報を参照して、そのような第2異常が発生しているガス警報器20の連絡先(例えばMACアドレス等)を特定し、且つ、管理側記憶部12に記憶されている、遮蔽部材25を非遮蔽状態に移動させることを促す音声データ(例えば、「遮蔽部材25を引き抜いてください」等)を読みだして、その情報を施設2Cのガス警報器20に送信する。その結果、施設2Cのガス警報器20は、受信した「遮蔽部材25を引き抜いてください」などの音声データを機器側記憶部30に記憶し、音声出力部29から出力する。施設2Cのガス警報器20は、遮蔽部材25が筐体21から引き抜かれるまで、例えば、接点26aと接点26bとが接触している導通状態にあることを状態検出部26が検出するまで、その音声データを音声出力部29から繰り返し出力させてもよい。その結果、ガス警報器20の音声出力部29から出力された音声を聞いた利用者が遮蔽部材25を非遮蔽状態に移動させて、異常が解消されることを期待できる。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態のガス警報器は、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽する手法が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のガス警報器について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0057】
図4及び図5は、施設2に設置された第2実施形態のガス警報器20の断面を概略的に示す図である。図示するように、ガス警報器20の筐体21は、天面21aが天井に相対して設置される。筐体21の底面21bには通気孔22が設けられ、筐体21の外部に存在する気体が通気孔22を通って筐体21の内部に侵入可能になっている。本実施形態でも、遮蔽部材25は、シート状の絶縁性材料を用いて構成される。図4は遮蔽部材25が遮蔽状態にある場合の例であり、図5は遮蔽部材25が非遮蔽状態にある場合の例である。遮蔽部材25は、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽する遮蔽状態から、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽しない非遮蔽状態へと移動可能である。
【0058】
本実施形態では、遮蔽部材25は、筐体21に形成される通気孔22を覆うことで、ガス検出部23を筐体21の外部に存在する気体から遮蔽可能に構成される。例えば、図4に示すように、筐体21の内部は、底面21bに形成された通気孔22を介してのみ筐体21の外部と通じている。それにより、ガス検出部23は、遮蔽部材25によって通気孔22が閉鎖されている場合には筐体21の外部に存在する気体から遮蔽されるため、筐体21の外部に存在する気体がガス検出部23に付着することもない。
【0059】
尚、遮蔽部材25は、一部が筐体21の底面21bから突出している。従って、筐体21の底面21bから遮蔽部材25が突出している場合、それを見た利用者は、遮蔽部材25によってガス検出部23が遮蔽された遮蔽状態にあると認識できる。
【0060】
また、利用者は、図5に示すように、遮蔽部材25を筐体21から引き抜くこともできる。遮蔽部材25が筐体21から引き抜かれた場合、通気孔22は遮蔽部材25によって覆われなくなる。それにより、ガス検出部23は、筐体21の外部に存在する気体から遮蔽されないため、筐体21の外部に存在する気体がガス検出部23に付着する可能性がある。そして、ガス消費機器33に供給される燃料ガスが漏れ出してガス検出部23に付着した場合には、その燃料ガスの存在をガス検出部23は検出できる。
【0061】
図4及び図5に示す例でも、状態検出部26は、導電性の接点26a、26bを備え、接点26aと接点26bとが接触している導通状態にあるか、又は、接点26aと接点26bとが接触していない非導通状態にあるかを検出できる。
【0062】
図4では、絶縁性材料で形成された遮蔽部材25の一部が、接点26aと接点26bとの間に介在しているため、状態検出部26は非導通状態を検出している。また、遮蔽部材25が遮蔽状態にある場合に遮蔽部材25の一部が接点26aと接点26bとの間に介在するように、遮蔽部材25は筐体21に設置されている。その結果、状態検出部26が非導通状態を検出している場合というのは、状態検出部26が遮蔽状態を検出している場合であると言える。
【0063】
それに対して、図5では、遮蔽部材25は接点26aと接点26bとの間に介在しておらず、接点26aと接点26bとが接触しているため、状態検出部26は導通状態を検出している。また、遮蔽部材25が非遮蔽状態にある場合に遮蔽部材25が接点26aと接点26bとの間には介在しない。その結果、状態検出部26が導通状態を検出している場合というのは、状態検出部26が非遮蔽状態を検出している場合であると言える。
【0064】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、ガス警報器20及びガス警報器管理システムの構成について具体例を挙げて説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。
上記実施形態では、ガス検出部23が例えば都市ガスなどの燃料ガスの存在を検出するセンサである場合を説明したが、ガス検出部23が燃料ガスと例えば一酸化炭素などの他のガスとを併せて検出できるセンサであってもよい。
【0065】
<2>
上記実施形態では、状態検出部26が、接点26aと接点26bとの間が導通状態であるか又は非導通状態であるかという電気的な検出結果に基づいて、遮蔽部材25が遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるかを検出するように構成される例を説明したが、他の構成のものであってもよい。
例えば、状態検出部26が、赤外線などを用いた非接触式の物体検知手法により遮蔽部材25が存在するか又は存在しないか(即ち、遮蔽状態にあるか又は非遮蔽状態にあるか)を検出するような構成であってもよい。
他には、遮蔽部材25が筐体21の外に引き抜かれて非遮蔽状態になっても接点26aと接点26bとは接触せず、それらの間に隙間が形成されるように構成してもよい。この場合、遮蔽部材25を導電性部材で形成しておけば、遮蔽部材25が遮蔽状態にある場合には遮蔽部材25の一部が接点26aと接点26bとの間に介在することで状態検出部26が導通状態(遮蔽状態)を検出でき、遮蔽部材25が筐体21の外に引き抜かれて非遮蔽状態になった場合には接点26aと接点26bとの間に隙間ができることで、状態検出部26が非導通状態(非遮蔽状態)を検出できる。
【0066】
<3>
上記実施形態において、ガス警報器20の機器側制御部24は、状態検出部26が遮蔽状態を検出している場合及び非遮蔽状態を検出している場合の両方でその検出結果を他の装置に送信してもよいし、状態検出部26が非遮蔽状態を検出している場合(例えば、遮蔽状態から非遮蔽状態への遷移を検出した場合など)のみにその検出結果を他の装置に送信してもよい。
後者の場合、ガス警報器20の機器側制御部24は、状態検出部26が非遮蔽状態を検出している場合のみにその検出結果を他の装置に送信し、状態検出部26が遮蔽状態を検出している場合はその検出結果を他の装置に送信しない。この場合、ガス警報器管理装置10は、状態検出部26の検出結果をガス警報器20から受信していない場合には、遮蔽部材25が遮蔽状態にあると判定し、状態検出部26の検出結果(非遮蔽状態)をガス警報器20から受信した場合には、遮蔽部材25が非遮蔽状態にあると判定すればよい。このように、ガス警報器20の機器側制御部24は状態検出部26が遮蔽状態を検出している場合はその検出結果を他の装置に送信しないため、省電力の点で好ましく、電源部31が電池を用いて構成された電池式の場合で特に好ましい。
【0067】
<4>
上記実施形態において、遮蔽部材25の表面に、ガス警報器20の使用時には遮蔽部材25をガス警報器20から取り外すことを促す文言を記載しておいてもよい。例えば、「使用開始時に引き抜いてください」などの文言を記載しておいてもよい。
【0068】
<5>
上記実施形態では、ガス警報器管理装置10が、入居状況情報として、ガス警報器20が設置されている施設2に燃料ガスの供給が行われているか否かを示すガス供給情報を用いる場合を説明したが、他の情報を入居状況情報として用いてもよい。例えば、複数の施設2を有する集合住宅や建物などを管理する施設管理者(例えば施設管理会社等)が、各施設2に利用者が入居済みであるか否かを示す情報を含む入居者有無管理台帳データ等を保有している場合がある。その場合、ガス警報器管理装置10は、施設管理者が保有している入居者有無管理台帳データ(入居状況情報)を取得するなどして、管理側記憶部12で入居状況情報を施設2毎に記憶できる。尚、施設管理者とガス警報器管理装置10の運用主体とが同一であってもよい。
【0069】
<6>
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、利用者が施設に未入居の状態であっても、施設に設置されたガス警報器のガス検出部がガス警報器の外部の気体に曝されているか否かを別の場所で認識させることができるガス警報器及びガス警報器管理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0071】
2(2A,2B,2C) 施設
10 ガス警報器管理装置
20(20A,20B,20C) ガス警報器
21 筐体
22 通気孔
23 ガス検出部
24 機器側制御部(制御部)
25 遮蔽部材
26 状態検出部
26a 接点
26b 接点
29 音声出力部
33 ガス消費機器
図1
図2
図3
図4
図5