(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電動ブラインド装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2020039018
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅徳
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-44581(JP,A)
【文献】特開2010-18980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 - 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスラットを有するブラインドを制御する電動ブラインド装置であって、
第1方向と前記第1方向とは反対の方向である第2方向とのいずれかの方向に前記ブラインドを動作させる制御装置と、
前記制御装置と有線又は無線で接続される操作装置と、
を有し、
前記操作装置は、
前記第1方向に前記ブラインドを動作させる第1操作部と、
前記第2方向に前記ブラインドを動作させる第2操作部と、
前記複数のスラットを回転させる第3操作部と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第3操作部が操作された場合には、前回
において前記第1操作部及び前記第2操作部のいずれかが操作されることによって前記ブラインドを動作させた方向とは反対方向に前記ブラインドを所定距離だけ動作させることで前記複数のスラットを回転させる、
電動ブラインド装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数のスラットを第1全閉状態に制御して前記ブラインドを前記第2方向に動作させ、前記複数のスラットを前記第1全閉状態から反転させた第2全閉状態に制御して前記ブラインドを前記第1方向に動作させる、
請求項1に記載の電動ブラインド装置。
【請求項3】
前記複数のスラットの回転角度は、前記第1全閉状態と前記第2全閉状態との間において多段階で調整可能であり、
前記制御装置は、前記反対方向に前記ブラインドを前記所定距離だけ動作させると前記複数のスラットが前記第1全閉状態と前記第2全閉状態とのいずれかの状態に移行する場合には、前記反対方向とは逆方向に前記ブラインドを前記所定距離だけ動作させる、
請求項2に記載の電動ブラインド装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1操作部及び第2操作部のいずれかが操作されたことによって動作した前記ブラインドの動作方向を記憶する記憶部と、
前記第3操作部が操作された場合には、前記記憶部に記憶されている動作方向とは反対方向に前記ブラインドを前記所定距離だけ動作させる制御部と、
を備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電動ブラインド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ブラインド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数のスラットを下降させると複数のスラットが第1全閉状態に制御され、複数のスラットを上昇させると第1全閉状態から反転させた第2全閉状態に制御される電動ブラインド装置が開示されている。
【0003】
電動ブラインド装置は、複数のスラットを電動で回転させるためには、第1スイッチ及び第2スイッチを含む操作装置を備える。ユーザは、採光や通風を調整する場合において、第1スイッチ及び第2スイッチのいずれかを押下する。例えば、ユーザは、複数のスラットが第1全閉状態である場合には、第1スイッチを押下する。これによって、ブラインドが所定量だけ上昇し、第1全閉状態である複数のスラットは、第2全閉状態に向けて所定角度だけ回転する。ユーザは、複数のスラットが第2全閉状態である場合には、第2スイッチを押下する。これによって、ブラインドが所定量だけ下降し、第2全閉状態である複数のスラットは、第1全閉状態に向けて所定角度だけ回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザは、複数のスラットが第1全閉状態及び第2全閉状態のいずれかであるかを容易に判断することはできない。したがって、ユーザは、採光や通風を調整する場合において、第1スイッチ及び第2スイッチのいずれのスイッチを押下すればよいのかわからない。その結果、ユーザは、複数のスラットの容易に回転させることができない。
【0006】
本開示は、複数のスラットの容易に回転させることができる電動ブラインド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、複数のスラットを有するブラインドを制御する電動ブラインド装置であって、第1方向と前記第1方向とは反対方向である第2方向とのいずれかの方向に前記ブラインドを動作させる制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記複数のスラットを回転させる場合には、前回において前記ブラインドを動作させた方向とは反対方向に前記ブラインドを所定距離だけ動作させることで前記複数のスラットを回転させる、電動ブラインド装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る電動ブラインド装置の構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る操作装置の構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る複数のスラット1aの回動を説明する図である。
【
図5】本実施形態に係る電動ブラインド装置の動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る電動ブラインド装置Aを、図面を用いて説明する。
【0010】
例えば、電動ブラインド装置Aは、横型ブラインドである。
図1に示すように、電動ブラインド装置Aは、ブラインド1、ラダーコード2、昇降コード3、ガイドレール4、操作装置5及びヘッドボックス6を備える。
図2に示すように、ヘッドボックス6の中には、制御装置7が格納されている。制御装置7は、シャフト8、モータ9、第1ドラム10、第2ドラム11、出力部12、通信部13、駆動部14、制御部15及び記憶部16を備える。
【0011】
ブラインド1は、複数のスラット1a及びボトムレール1bを備える。
【0012】
複数のスラット1aは、縦方向に配置されている。複数のスラット1aは、縦方向に垂直な横方向に延在する長尺状の部材である。例えば各スラット1aは、金属及び樹脂部材のいずれかである。例えば、前記金属は、アルミニウムである。例えば、前記樹脂部材は、プラスチックである。複数のスラット1aは、縦方向により垂下されたラダーコード2により、縦方向に複数段配列されて支持されている。
【0013】
ボトムレール1bは、ブラインド1の最下端に設けられている。例えば、ボトムレール1bは、縦方向に複数段配列されたスラット1aのうち、最下段のスラット1aの下部に設けられている。このボトムレール1bは、ラダーコード2により支持されている。
【0014】
ラダーコード2は、第1の端部が第1ドラム10に固定され、第2の端部がボトムレール1bに固定されている。ラダーコード2は、第1の端部と第2の端部の間において、複数のスラット1aを回転可能に支持する。例えば、ラダーコード2は、スラット1aの短手方向の幅方向に対向する一組の縦紐と、一組の縦紐の間に渡される複数の横紐とを備える。上記一組の縦紐は、第1の端部が第1ドラム10に固定され、第2の端部がボトムレール1bにそれぞれ固定されている。各スラット1aは、2つの横紐の間ごとに挿通されることで支持されている。
【0015】
昇降コード3の第1の端部は、第2ドラム11に固定される。昇降コード3の第2の端部は、縦方向の複数段の各スラット1aに設けられた各孔を挿通し、ボトムレール1bに固定されている。
【0016】
ガイドレール4a及びガイドレール4bは、ブラインド1の幅方向の両端に一対で設けられ、底面に対して垂直に立設されている。ガイドレール4a及びガイドレール4bは、ボトムレール1bの横ずれを規制する。すなわち、ボトムレール1bは、ガイドレール4a及びガイドレール4bに規制されながら縦方向に昇降する。なお、ガイドレール4a,4bの各下端部には、ボトムレール1bがガイドレール4a,4bから縦方向にずれることを防止するストッパーが設けられてもよい。
【0017】
操作装置5は、制御装置7に有線又は無線で接続されている。操作装置5は、制御装置7と相互に通信可能である。操作装置5は、ユーザにより操作される。ユーザは、作業者を含む。操作装置5は、制御装置7に対して操作信号を入力する機能を有する。例えば、操作装置5は、遠隔制御装置である。ユーザは、操作装置5を操作することで、ブラインド1を上昇又は下降させる。ユーザは、操作装置5を操作することで複数のスラット1aを回転させる。例えば、ユーザは、室内への採光や通風を調整する場合には、操作装置5を操作することで複数のスラット1aを回転させる。
【0018】
操作装置5は、第1操作部51、第2操作部52、第3操作部53、第4操作部54、通信部55及び制御部56を備える。
【0019】
第1操作部51は、ブラインド1を第1方向に動作させる操作部である。第2操作部52は、ブラインド1を第1方向とは反対方向である第2方向に動作させる操作部である。本実施形態では、一例として、第1方向がブラインド1を上昇させる開方向であり、第2方向がブラインド1を下降させる閉方向である。
【0020】
第3操作部53は、複数のスラット1aを回転させる操作部である。第4操作部54は、ブラインド1の動作を停止させる操作部である。
【0021】
通信部55は、制御装置7と有線又は無線で接続されている。通信部55は、制御装置7と情報を送受する。
【0022】
制御部56は、第1操作部51が操作された場合には、ブラインド1を第1方向に動作させることを指示する第1操作信号を、通信部55を介して制御装置7に送信する。操作装置5は、第2操作部52が操作された場合には、ブラインド1を第2方向に動作させることを指示する第2操作信号を、通信部55を介して制御装置7に送信する。操作装置5は、第3操作部53が操作された場合には、複数のスラット1aを回動させることを指示する第3操作信号を、通信部55を介して制御装置7に送信する。操作装置5は、第4操作部54が操作された場合には、ブラインド1の動作を停止させることを指示する第4操作信号を、通信部55を介して制御装置7に送信する。
【0023】
制御装置7は、モータ9の駆動を制御することで、複数のスラット1aを電動で上昇又は下降させる。制御装置7は、モータ9の駆動を制御することで、複数のスラット1aの回転を制御する。
【0024】
シャフト8は、モータ9の出力軸に連結されている。シャフト8は、モータ9によって回転駆動される。
【0025】
モータ9は、ブラインド1を上昇及び下降させる駆動源である。モータ9は、制御装置7により回転が制御される。モータ9が正転した場合には、ブラインド1は上昇する。モータ9が逆転した場合には、ブラインド1は下降する。
【0026】
第1ドラム10は、シャフト8に設けられている。第1ドラム10には、ラダーコード2の第1の端部が固定されている。第1ドラム10は、シャフト8の回転に伴って複数のスラット1aを回転させる。
【0027】
第2ドラム11は、シャフト8に設けられている。第2ドラム11は、昇降コード3の第1の端部が固定されている。第2ドラム11は、シャフト8の回転に伴って昇降コード3を巻取る又は巻戻すことにより、複数のスラット1a及びボトムレール1bを昇降させる。
【0028】
シャフト8の回転により第2ドラム11が回転することでラダーコード2が傾動して、スラット1aの回動が制御される。例えば、第1ドラム10は、第2ドラム11の所定角度の回転のみ、第2ドラム11と一体的に回転される。
【0029】
なお、第1ドラム10及び第2ドラム11は、別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0030】
出力部12は、モータ9の駆動状況を出力する機能を有する。出力部12は、例えばモータ9に内蔵されたエンコーダである。出力部12は、モータ9の回転に応じた位置パルスを制御部15に出力する。例えば、出力部12は、モータ9が1回転すると1つの位置パルスを制御部15に出力する。出力部12は、エンコーダに限らず、例えばモータ9の回転角量を計測する等、巻取り軸やモータ9の回転量を把握できる構成であれば任意に選択できる。
【0031】
通信部13は、操作装置5の通信部55と有線又は無線で通信することで情報を送受する。通信部13の通信方式は、特に限定されないが、本実施形態では、短距離無線通信規格RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)やBluetooth(登録商標)等の無線通信方式が用いられる。
【0032】
駆動部14は、制御部15からの指令に応じた駆動信号を生成してモータ9に出力することでモータ9を駆動及び停止のいずれかを実行させる。
【0033】
制御部15は、モータ9の駆動を制御することで、複数のスラット1aを電動で第1方向又は第2方向に動作させる。具体的には、制御部15は、複数のスラット1aを下降させる場合には、モータ9を逆転させることで複数のスラットを第1全閉状態に制御してブラインド1を下降させる。制御部15は、複数のスラット1aを上昇させる場合には、モータを正転させることで複数のスラット1aを第1全閉状態から反転させた第2全閉状態に制御して複数のスラットを上昇させる。
【0034】
第1全閉状態とは、複数のスラット1aが全閉状態であって、例えば、複数のスラット1aの各凸面が屋外側に向いている状態である。全閉状態とは、複数のスラット1aを回転させていない状態であり、例えば、複数のスラット1aが鉛直方向に略平行な状態である。複数のスラット1aが鉛直方向に略平行な状態とは、厳密に平行でなくてもよい。第2全閉状態とは、複数のスラット1aが全閉状態であって、例えば、複数のスラット1aの各凸面が室内側に向いている状態である。例えば、第2全閉状態とは、複数のスラット1aが水平面から-80°回転した状態である。複数のスラット1aは、第1全閉状態と第2全閉状態との間を回転することができる。なお、第1全閉状態と第2全閉状態は、ブラインド1自体の全開、全閉には限定されない。すなわち、第1全閉状態と第2全閉状態は、ブラインド1自体が開口部Oを閉鎖又は開放している状態を意味しているのではなく、複数のスラット1aが閉じている状態を意味している。
【0035】
複数のスラット1aの回転動作について、
図1及び
図4を用いて説明する。
図4において、図の見易さの向上のために、下限位置P1と反転位置Prとの間の距離Dなどは誇張して示している。
【0036】
例えば、制御部15は、第2操作信号を操作装置5から受信すると、開口部Oを閉鎖する閉鎖動作を実行する。制御部15は、閉鎖動作を実行した場合には、閉鎖動作の開始時からの位置パルスのカウント値C1が所定値Cth1になるまでの時間T1だけモータ9の駆動を逆転させる。閉鎖動作が実行されるとブラインド1が下降するとともに、複数のスラット1aが第1全閉状態に移行する。例えば、第1ドラム10は、第2ドラム11の所定角度の回転のみ、第2ドラム11と一体的に回転するため、ブラインド1が下降すると、複数のスラット1aが第1全閉状態に移行する。
【0037】
複数のスラット1aが第1全閉状態に移行した後においても、カウント値C1が所定値所定値Cth1になるまでの時間T1だけブラインド1の下降は継続する。ただし、制御部15は、閉鎖動作を実行している場合において、第4操作信号を受信した場合には、ブラインド1の閉鎖動作を終了する。
【0038】
閉鎖動作時において、時間T1が経過すると、制御部15は、モータ9の駆動を停止させる。時間T1が経過した場合とは、カウント値C1が所定値Cth1に到達する場合やブラインド1が下限位置P1に到達する場合である。例えば、制御部15は、ボトムレール1bが下限位置P1に到達したことを検知した場合において、モータ9の駆動を停止させてもよい。下限位置P1とは、開口部Oが閉鎖状態のときのブラインド1の位置である。例えば、下限位置P1は、ボトムレール1bが前記ストッパーに当接したときのブラインド1の位置である。
【0039】
制御部15は、第1操作信号を操作装置5から受信すると、ブラインド1を上昇させて開口部Oを開放させる開放動作を実行する。例えば、制御部15は、開放動作を実行する場合には時間T1だけモータ9の駆動を正転させる。これにより、ブラインド1が上昇する。ブラインド1の上昇が開始すると、第1全閉状態の複数のスラット1aは回転を開始する。第1ドラム10は、第2ドラム11の所定角度の回転のみ、第2ドラム11と一体的に回転する。このため、第1全閉状態のブラインド1が上昇を開始すると、複数のスラット1aが第2全閉状態に向けて回転を開始する。
【0040】
ブラインド1が下限値Plから反転位置Prまでの距離Dだけ上昇すると、複数のスラット1aは、第1全閉状態から第2全閉状態まで回転する。一例として、ブラインド1が下限位置P1から反転位置Prまでの上昇動作を開始すると、
図4(a)に示す第1全閉状態の複数のスラット1aは、
図4(b),(c),(d)の順に回転して、
図4(e)に示す第2全閉状態まで回転する。第2全閉状態のブラインド1の上昇動作が継続する場合には、複数のスラット1aが第2全閉状態のままでブラインド1は上昇する。ブラインド1が下限値Plになくても、第1全閉状態にあるブラインド1が距離Dだけ上昇すると、複数のスラット1aは、第1全閉状態から第2全閉状態まで回転する。
【0041】
第2全閉状態のブラインド1が距離Dだけ下降すると、複数のスラット1aが第2全閉状態から第1全閉状態まで回転する。一例として、第2全閉状態のブラインド1が下降動作を開始すると、
図4(e)に示す第2全閉状態の複数のスラット1aは、
図4(d),(c),(b)の順に回転して、
図4(a)に示す第1全閉状態まで回転する。
【0042】
制御部15は、操作装置5から第3操作信号を受信した場合には、複数のスラット1aの回転を制御する回転制御を実行する。制御部15は、複数のスラット1aが第1全閉状態から第2全閉状態に移行する場合の複数のスラット1aの回転と、複数のスラット1aが第2全閉状態から第1全閉状態に移行する場合の複数のスラット1aの回転と、のいずれかを用いて、複数のスラット1aの回転を制御する。例えば、制御部15は、操作装置5から1つの第3操作信号を受信した場合には、ブラインド1を所定距離D1だけ上昇又は下降させる。例えば、複数のスラット1aの回転角度を3段階で調整する場合には、所定距離D1は、距離Dを4で除算した値である。
【0043】
例えば、制御部15は、ブラインド1が第1全閉状態である場合において、操作装置5から1つの第3操作信号を受信した場合には、ブラインド1を所定時間T2(例えば、1秒)だけ上昇させることでブラインド1を所定距離D1だけ上昇させる。これにより、前記回転角度が3段階で調整される場合には、複数のスラット1aは、
図4(a)から
図4(b)に移行する。操作装置5から1つの第3操作信号を受信した場合とは、ユーザが第3操作部53を1回だけ操作した場合である。前記操作とは、例えば、第3操作部53を押下する操作である。例えば、制御部15は、第3操作信号を受信するごとに、ブラインド1を所定時間T2だけ上昇又は下降させることでブラインド1を所定距離D1だけ上昇又は下降させる。したがって、ブラインド1が第1全閉状態である場合において、ユーザが第3操作部53を3回だけ操作した場合には、複数のスラット1aは、
図4(a)から
図4(d)に移行する。
【0044】
例えば、制御部15は、ブラインド1が第2全閉状態である場合において、操作装置5から1つの第3操作信号を受信した場合には、ブラインド1を所定時間T2だけ下降させる。これにより、前記回転角度が3段階で調整される場合には、複数のスラット1aは、
図4(e)から
図4(d)に移行する。例えば、ブラインド1が第2全閉状態である場合において、ユーザが第3操作部53を3回だけ操作した場合には、複数のスラット1aは、
図4(e)から
図4(b)に移行する。
【0045】
制御部15は、ブラインド1を所定距離D1だけ上昇又は下降させる場合には、例えば、所定時間T2だけモータ9を正転又は逆転させる。ただし、これに限定されず、制御部15は、ブラインド1を所定距離D1だけ上昇又は下降させる場合には、所定時間T2に相当するカウント値を閾値として設定し、位置信号のカウント値が当該閾値になるまでモータ9を正転又は逆転させてもよい。
【0046】
制御部15は、回転制御時において、ブラインド1を第1方向又は第2方向に所定距離D1だけ動作させると複数のスラット1aが第1全閉状態及び第2全閉状態のいずれかに移行する場合には、ブラインド1を動作させる方向を逆方向にしてブラインド1を所定距離D1だけ動作させる。例えば、複数のスラット1aの回転角度を3段階で調整される場合において、ブラインド1が上昇して複数のスラット1aが
図4(d)の状態まで移行した場合を仮定する。この場合において、制御部15は、第3操作信号を受信した場合には、ブラインド1を所定距離D1だけ下降させる。これによって、制御部15は、第3操作部53が操作された場合において、複数のスラット1aが第2全閉状態になることを防止する。
【0047】
例えば、複数のスラット1aの回転角度が3段階で調整される場合において、ブラインド1が下降して複数のスラット1aが
図4(b)の状態まで移行した場合を仮定する。この場合において、制御部15は、第3操作信号を受信した場合には、ブラインド1を所定距離D1だけ上昇させる。これによって、制御部15は、第3操作部53が操作された場合において、複数のスラット1aが第1全閉状態になることを防止する。
【0048】
制御部15は、回転制御時において、複数のスラット1aの回転角度を検出する。例えば、制御部15は、回転制御を行っている場合には、その回転制御を行っている時間を計時する。制御部15は、その計時した時間を前記回転角度θtとして検出する。例えば、回転制御を2回行った場合には、回転角度θ=2×T2となる。制御部15は、第3操作信号を受信した場合において、回転角度θtが所定値T3以上である場合には、回転制御におけるブラインド1の動作方向を前回とは逆方向にして回転角度θtをリセットする。制御部15は、回転角度θtをリセットした後に、ブラインド1を逆方向に所定距離D1だけ動作させる。例えば、複数のスラット1aの回転角度をn段階で変更させる場合には、所定値T3は、所定値T2×(n-1)を超えて所定値T2×n未満である。nは、2以上である。
【0049】
記憶部16には、第1方向及び第2方向のうち、ブラインド1を動作させた最新の動作方向が記憶される。記憶部16に記憶される動作方向は、閉鎖動作及び開放動作のいずれかの動作方向である。記憶部16には、回転制御におけるブラインド1の動作方向は、記憶されない。本実施形態では、記憶部16には、前記最新の動作方向を示す変数blが記憶されている。本実施形態の一例として、変数blが「0」である場合には、前記最新の動作方向が開方向であることを示す。本実施形態の一例として、変数blが「1」である場合には、前記最新の動作方向が閉方向であることを示す。
【0050】
記憶部16には、所定値T1、所定値T2及び所定値T3が予め記憶されている。
【0051】
以下において、電動ブラインド装置Aの動作の流れを、
図5を用いて説明する。
【0052】
制御部15は、第1操作部51が操作されたか否かを判定する(ステップS101)。制御部15は、第1操作信号を操作装置5から受信した場合には、第1操作部51が操作されたと判定する。制御部15は、第1操作部51が操作されたと判定した場合には、変数blを「0」に設定し、回転角度θtを「0」にリセットする(ステップS102)。制御部15は、変数bl及び回転角度θtを「0」をリセットした後に、時間T1だけモータ9を正転させる開放動作を実行する(ステップS103)。これにより、ブラインド1は、第4操作部54が操作されない限り、開方向に動作して開口部Oを開放させる。
【0053】
制御部15は、ステップS101において、第1操作部51が操作されていないと判定した場合には、第2操作部52が操作されたか否かを判定する(ステップS104)。制御部15は、第2操作信号を操作装置5から受信した場合には、第2操作部52が操作されたと判定する。制御部15は、第2操作部52が操作されたと判定した場合には、変数blを「1」に設定し、回転角度θtを「0」にリセットする(ステップS105)。制御部15は、ステップS105の後に、時間T1だけモータ9を逆転させる閉鎖動作を実行する(ステップS106)。これにより、ブラインド1は、第4操作部54が操作されない限り、閉方向に動作して開口部Oを閉鎖させる。
【0054】
制御部15は、ステップS104において、第2操作部52が操作されていないと判定した場合には、第3操作部53が操作されたか否かを判定する(ステップS107)。制御部15は、第3操作信号を操作装置5から受信した場合には、第3操作部53が操作されたと判定する。制御部15は、第3操作部53が操作されたと判定した場合には、回転角度θtが所定値T3未満か否かを判定する(ステップS108)。制御部56は、回転角度θtが所定値T3未満である場合には、変数blが「0」であるか否かを判定する(ステップS109)。ステップS109では、制御部15は、前回においてブラインド1を動作させた方向が、開方向及び閉方向のどちらかであるかを判定している。前回においてブラインド1を動作させた方向とは、閉鎖動作及び開放動作のいずれかの動作により移動した移動方向であって、前回の移動方向である。
【0055】
変数blが「0」である場合には、前回においてブラインド1を動作させた方向は開方向である。制御部15は、ステップS109において、変数blが「0」であると判定した場合には、時間T2を経過するまでブラインド1を閉方向に駆動する(ステップS110)。これにより、ブラインド1は、所定距離D1だけ下降する。ステップS110では、制御部15は、時間T2を経過するまでモータ9を逆転させる。ステップS110では、制御部15は、ステップS109で判定したブラインド1の動作方向とは反対方向にブラインド1を動作させる。制御部15は、回転角度θtに対して時間T2を加算した値を新たな回転角度θtに更新する(ステップS111)。前回のブラインド1の動作方向が開方向である場合において、ユーザが第3操作部53を連続して2回だけ操作した場合には、制御部15は、回転角度θtが所定値T3未満である限り、ステップS110及びステップS110の処理を2回だけ実行する。
【0056】
ステップS109において、制御部15は、変数blが「0」ではないと判定した場合あには、時間T2を経過するまでブラインド1を開方向に駆動する(ステップS112)。これにより、ブラインド1は、所定距離D1だけ上昇する。ステップS112では、制御部15は、時間T2を経過するまでモータ9を正転させる。変数blが「0」ではない場合とは、変数blが「1」の場合である。変数blが「1」である場合には、前回においてブラインド1を動作させた方向は閉方向である。ステップS112では、制御部15は、ステップS109で判定したブラインド1の動作方向とは反対方向にブラインド1を動作させる。制御部15は、回転角度θtに対して所定値Cth2を加算した値を新たな回転角度θtに更新する(ステップS113)。前回のブラインド1の動作方向が閉方向である場合において、ユーザが第3操作部53を連続して2回だけ操作した場合には、制御部15は、回転角度θtが所定値T3未満である限り、ステップS112及びステップS113の処理を2回だけ実行する。
【0057】
ステップS108において、制御部15は、回転角度θtが所定値T3以上であると判定した場合には、回転角度θtを「0」にリセットする(ステップS114)。制御部15は、ステップS114において回転角度θtを「0」にリセットした後に、変数blが「0」であるか否かを判定する(ステップS115)。ステップS115において、制御部15は、変数blが「0」であると判定した場合には、変数blを「1」に変更する(ステップS116)。ステップS116では、制御部15は、前回においてブラインド1を動作させた方向を開方向から閉方向に書き替える。ステップS115において、制御部15は、変数blが「0」ではないと判定した場合には、変数blを「0」に変更する(ステップS117)。ステップS117では、制御部15は、前回においてブラインド1を動作させた方向を閉方向から開方向に書き替える。
【0058】
制御部15は、ステップS116において変数blが「1」に変更されると、時間T2を経過するまでブラインド1を開方向に駆動する(ステップS118)。これにより、ブラインド1は、所定距離D1だけ上昇する。制御部15は、ステップS118を実行すると、回転角度θtに対して時間T2を加算した値を新たな回転角度θtに更新する(ステップS119)。
【0059】
制御部15は、ステップS117において変数blが「0」に変更されると、時間T2を経過するまでブラインド1を閉方向に駆動する(ステップS120)。これにより、ブラインド1は、所定距離D1だけ下降する。制御部15は、ステップS120を実行すると、回転角度θtに対して時間T2を加算した値を新たな回転角度θtに更新する(ステップS121)。
【0060】
電動ブラインド装置Aは、複数のスラット1aを有するブラインド1を制御する。電動ブラインド装置Aは、第1方向と第2方向とのいずれかの方向にブラインド1を動作させる制御装置7を備える。制御装置7は、操作装置5に対して所定の操作が行われた場合には、前回においてブラインド1を動作させた方向とは反対方向にブラインド1を所定距離D1だけ動作させることで複数のスラット1aを回転させる。これによって、ユーザは、複数のスラット1aが第1全閉状態及び第2全閉状態のいずれかであるかを判断せずに、操作装置5を操作するだけで、複数のスラット1aを回転させることができる。その結果、電動ブラインド装置Aは、複数のスラット1aの容易に回転させることができる。
【0061】
例えば、前記所定の操作とは、第3操作部53の押下である。これにより、電動ブラインド装置Aは、一つの操作部だけで複数のスラット1aを容易に回転させることができる。ただし、これに限定されず、前記所定の操作は、複数のスラット1aを回転させる動作であることが他の操作と区別可能であれば、どのような操作であってもよい。
【0062】
例えば、制御部15は、プロセッサを備える。例えば、プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)である。例えば、制御部15は、マイクロコントローラであってもよい。制御部15は、不揮発性の半導体及び揮発性の半導体の少なくともいずれか一方を備えもてよい。制御部15は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現されてもよい。制御部15の構成要素のうち少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0063】
例えば、上記ハードウェアは、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくともいずれかである。上記プログラムは、予め記憶装置に格納されていてもよい。前記記憶装置は、非一過性の記憶媒体である。例えば、前記記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)及びフラッシュメモリの少なくともいずれかである。前記プログラムは、着脱可能な記憶媒体に格納されてもよい。この場合には、前記プログラムは、記憶媒体がドライブ装置に装着されることによって前記記憶装置にインストールされてもよい。前記記憶媒体は、非一過性の記憶媒体である。例えば、前記記録媒体は、DVD及びCD-ROMのいずれかである。
【0064】
上記実施形態において、制御部15は、回転制御時におけるパルス信号のカウント値Cxを回転角度θtとして検出してもよい。そして、制御部15は、第3操作信号を受信した場合において、回転角度θtが所定値T3に相当するカウント値以上である場合には、回転制御におけるブラインド1の動作方向を前回とは逆方向にして回転角度θtをリセットしてもよい。
【0065】
上記実施形態のブラインド1は、
図4に示すように、複数のスラット1aの状態が
図4(a)から
図4(e)までの状態の間で移行する場合を説明したが、これに限定されず、
図4(a)から
図4(c)までの状態の間で移行してもよい。この場合において、ブラインド1が開方向に動作して複数のスラット1aが
図4(c)の状態にまで到達した際に、第3操作部53が操作された場合には、ブラインド1の動作方向を前回とは逆方向にして回転制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0066】
A…電動ブラインド装置A…ブラインド、1a…スラット、5…操作装置、7…制御装置、15…制御部、16…記憶部、51…第1操作部、52…第2操作部、53…第3操作部