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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/22 20060101AFI20240524BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20240524BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B65H31/22
B41J11/42
B65H7/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020039214
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138516
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 格
(72)【発明者】
【氏名】浅井 泰之
(72)【発明者】
【氏名】米山 洋正
(72)【発明者】
【氏名】丸山 遼平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義章
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智仁
(72)【発明者】
【氏名】小幡 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 典之
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-101700(JP,A)
【文献】特開2019-095538(JP,A)
【文献】特開2018-192646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0326764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B65H 31/00-31/40
B65H 43/00-43/08
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と、
複数のカットシートを積載可能な積載部と、
シートがロール状に巻かれたロールシートを回転可能に搭載する搭載部と、
前記積載部に積載された前記カットシートまたは前記搭載部に搭載された前記ロールシートを、画像を記録する記録手段へ向けて搬送方向に搬送する第1ローラ対と、
前記搬送方向において前記記録手段の下流に配され、前記記録手段による記録が完了した前記カットシートまたは前記ロールシートを搬送する第2ローラ対と、を備え、
前記第2ローラ対は、前記カットシートに対する記録が完了した後、当該カットシートの搬送を停止して当該カットシートを保持することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1ローラ対及び前記第2ローラ対は、前記ロールシートを搬送するロールシート搬送動作と前記カットシートを搬送するカットシート搬送動作とを行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第2ローラ対が前記カットシートを保持している場合、前記カットシートが保持された状態であることを通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
ユーザによる操作入力を受け付ける操作部を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第2ローラ対は、前記カットシートの記録が完了した後、回転が止まった状態で前記カットシートをニップすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
回転が止まった状態の前記第2ローラ対によって前記カットシートがニップされた状態かどうかを検知する状態検知手段を備えることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記状態検知手段は、前記搬送方向において前記第2ローラ対の上流に配されることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録手段は、前記積載部に積載された複数のカットシートに対する記録が可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録装置
【請求項9】
前記積載部に積載された複数のカットシートに記録する場合、前記記録手段による記録が完了した前記複数のカットシートを受ける載置部が前記記録装置に装着可能であることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記載置部が前記記録装置に装着されているか検知する装着検知手段を備えることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記積載部は、前記搬送方向において前記搭載部の下流に配されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録手段により記録された前記ロールシートを切断するカッターを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記第2ローラ対は、前記カッターによって切断されたシートを保持することを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録手段はインクを吐出するインクジェットヘッドを含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項15】
前記記録手段を備えることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項16】
前記記録手段は、前記搬送方向と交差する方向に移動することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置のなかには、例えばA判(例えばA0、A1)、B判(例えばB0、B1)等、所定の規格に準拠する多様なサイズのシートに対応可能なものもある。また、記録装置のなかには、装置本体から排出されるシート(以下、排出シート)を載置するための載置部(トレイ、スタッカ等とも表現される。)を備えるものもあるが、多様なサイズに対応可能な記録装置においては、この載置部を装置本体に対して着脱可能とすることが考えられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-338125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の記録装置においては、載置部が装置本体に取り付けられていない状態で、意図しない記録が行われる可能性があった。この場合、排出シートが装置本体からの落下により無用な損傷を受けることとなり、このことは記録の品質の低下の原因ともなり得た。
【0005】
本発明は、多様なサイズに対応可能な記録装置であって、排出シートを載置するための載置部を装置本体に対して着脱可能な記録装置において、記録の品質を向上させることを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は記録装置にかかり、前記記録装置は、
原稿を読み取る読取手段と、
複数のカットシートを積載可能な積載部と、
シートがロール状に巻かれたロールシートを回転可能に搭載する搭載部と、
前記積載部に積載された前記カットシートまたは前記搭載部に搭載された前記ロールシートを、画像を記録する記録手段へ向けて搬送方向に搬送する第1ローラ対と、
前記搬送方向において前記記録手段の下流に配され、前記記録手段による記録が完了した前記カットシートまたは前記ロールシートを搬送する第2ローラ対と、を備え、
前記第2ローラ対は、前記カットシートに対する記録が完了した後、当該カットシートの搬送を停止して当該カットシートを保持する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上述の記録装置による記録の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る記録装置の構成の一例を示す側面模式図である。
図2】記録装置による記録態様の一例を示すフローチャートである。
図3A】記録装置による記録態様の一例を示すフローチャートである。
図3B】記録装置による記録態様の一例を示すフローチャートである。
図4】排出シートの保持態様の一例を示す側面模式図である。
図5】記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(記録装置の構成)
図1は、実施形態に係る記録装置1の構成例を示し、図5は、そのブロック図を示す。記録装置1は、記録部11、収容部12、搬送部13、載置部14、取付け部15、検出部16、表示部/操作入力部17、制御部18、及び、排出バスケット19を備える。
【0011】
記録部11には、シートSHへの記録を実行可能な記録ヘッドが用いられればよい。記録部11は、本実施形態ではインクジェット方式で記録を行うものとし、記録部11のシートSHと対向する面には、シートSHに対してインクを吐出するための複数のノズルが設けられる。他の実施形態として、記録部11には他の記録方式が採用されてもよい。
【0012】
また、記録部11は、本実施形態では、いわゆるシリアルヘッド方式(マルチパス方式)で構成され、キャリッジによりシート幅方向に走査可能とする。他の実施形態として、記録部11には、シート幅方向に相当する領域の全域に亘って複数のノズルが設けられた、いわゆるラインヘッド方式(シングルパス方式)が採用されてもよい。
【0013】
収容部12は、記録媒体として選択される対象(以下、記録対象という。)として、所定の規格に準拠するサイズのカットシートと、長尺のシートがロール状に巻かれたロールシートと、をそれぞれ収容可能に構成される。本実施形態においては、収容部12は、複数のカットシートを積載可能に構成されたカットシート積載部121aと、該積載部121aとは異なる位置においてロールシートを回転可能に搭載するロールシート搭載部121bと、を含む。また、カットシート積載部121aは、ロールシート搭載部121bよりも搬送方向d1(図1参照)において下流側に配される。尚、上記所定の規格の例としては、JIS規格(Japanese Industrial Standards)が挙げられる。
【0014】
搬送部13は、収容部12からシートSHを搬送するための複数の搬送ローラ131a~131dを含む。一対のローラ131aは、カットシート積載部121aからカットシートを挟持しながら回転することにより1枚ずつ下流側へ搬送する。一対のローラ131bは、ロールシート搭載部121bからロールシートを挟持しながら回転することにより下流側へ搬送する。一対のローラ131cは、ローラ131a及び131bの下流側かつ記録部11の上流側に配される。一対のローラ131cは、カットシート積載部121aから搬送されるカットシートまたはロールシート搭載部121bから搬送されるロールシートを挟持しながら回転することによりシートSHとして記録部11に向けて搬送する。また、一対のローラ131dは、記録部11により記録されたシートSHを挟持しながら回転することにより排出口20に向けて搬送する。
【0015】
詳細については後述とするが、一対のローラ131dは、排出口20から排出されるシートSH(以下、排出シートSHと表現される場合がある。)を回転が停止した状態で挟持することにより、排出シートSHを保持する保持部として機能する。この保持の際、一対のローラ131dの一方から他方に対して所定の押圧力が加えられてもよい。この保持はニップ等とも表現され、この観点で、一対のローラ131dはニップ部、ニップローラ等とも表現されうる。さらに、本実施形態ではシートSHの搬送(排出)を行うローラ131dが保持部の機能を兼ねるものとしたが、シートSHの搬送は行わず保持だけを目的とした保持部を記録装置1が備える構成であってもよい。
【0016】
ローラ131dの上流であって記録部11の下流には、排出シートSHの有無を検出する検出部(第2の検出部)132が設けられる。検出部132は、シートSHが適切に排出口20から排出されたか否かを検出する他、詳細については後述とするが、一対のローラ131dが保持するシートSHがユーザにより取り出されたか否かを検出することも可能である。代替的/付随的に、検出部132としてトルクセンサ等がローラ131dそのものに設けられてもよい。
【0017】
ここで、ロールシートが記録対象の場合には、該ロールシートは不図示のカッターユニットにより印刷ジョブ(記録データ)に基づく記録長に応じた位置で切断され、該切断されたシートはローラ131dにより排出口20から排出される。上記カッターユニットは、記録部11を走査するキャリッジに連結可能に構成されてもよいし、或いは、該キャリッジに搭載されてもよい。また、カッターユニットは、キャリッジとは別の駆動源により自走する構成であってもよい。
【0018】
尚、本明細書において、下流側とは、搬送部13によるシートSHの搬送経路における搬送方向d1(順方向)の側であることを示し、また、上流側とは、該搬送経路における搬送方向d1とは反対方向の側であることを示すものとする。
【0019】
載置部14は、記録装置1本体に対して着脱可能に設けられる。載置部14が記録装置1本体に取り付けられている場合には、排出シートSHは、この載置部14に載置されうる。載置部14は、排出トレイ、排出スタッカ等とも表現され、或いは単にトレイ、スタッカ等とも表現されうる。また、載置部14は、記録装置1本体から排出シートSHを受け取ることから、受取り部等と表現されてもよい。
【0020】
取付け部15は、載置部14を記録装置1本体に対して取付け可能に構成され、例えば、載置部14を挿抜自在に及び/又は係止可能に構成されうる。
【0021】
検出部16は、取付け部15に設けられ、載置部14が記録装置1本体に取り付けられているか否かを検出可能に構成される。検出部16には、載置部14の有無を電気的接続により検出可能なセンサが用いられてもよいし、載置部14の取付けにより押圧される押圧式スイッチが用いられてもよい。
【0022】
表示部/操作入力部17は、所定の情報を表示可能であると共にユーザによる操作入力を受付け可能に構成され、本実施形態では、表示部/操作入力部17にはタッチパネルディスプレイが用いられものとする。他の実施形態として、表示部と操作入力部とは個別に設けられてもよく、操作入力部はユーザが押圧可能なボタン等でもよい。また、本実施形態では、表示部/操作入力部17は、ユーザに所定の通知を行うための通知部としても機能し、表示部/操作入力部17には、付随的に、警告音等を鳴動するための音源が設けられてもよい。
【0023】
制御部18は、記録装置1のシステム全体を駆動制御するシステムコントローラとして機能する。例えば、制御部18は、記録装置1に入力された印刷ジョブに基づいて、記録部11および搬送部13を駆動制御することによりシートSHを搬送しながら該シートSHへの記録を行う。尚、印刷ジョブは、外部装置(例えば、ユーザのパーソナルコンピュータ等)から受信したものであってもよいし、表示部/操作入力部17に入力されたものであってもよい。
【0024】
一例として、制御部18は、個々の電動モータを駆動制御することにより、搬送部13を駆動してシートSHを搬送しながら記録部11により該シートSHへの記録を行う。該記録の完了後、制御部18は、搬送部13を更に駆動して記録済のシートSHを排出口20から排出させ、必要に応じて次の記録を開始することも可能である。
【0025】
制御部18は、単一のユニットで実現されてもよいし、2以上のユニットが相互通信可能に電気接続されることにより実現されてもよい。また、制御部18は、ASIC(特定用途向け集積回路)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)等の半導体装置で構成されてもよいし、CPU(中央演算装置)およびメモリで構成されてもよい。即ち、制御部18の機能は、ハードウェア及びソフトウェアの何れによっても実現可能である。
【0026】
詳細については後述とするが、制御部18は、検出部16からの検出結果に基づいて、表示部/操作入力部17に所定の通知を行うことも可能である。
【0027】
排出バスケット19は、排出口20下方に設けられる。排出バスケット19は、折畳み可能に構成され、使用の際にはユーザの操作により広げられた状態(以下、使用状態という。)とし、不使用の際にはユーザの操作により折り畳んだ状態(以下、不使用状態)とすることができる。即ち、排出バスケット19は使用状態と不使用状態とに遷移可能とする。例えば、シート長が比較的大サイズの排出シートSHについては載置部14への載置が困難であるため、使用状態の排出バスケット19は、このような排出シートSHを排出口20から受け取ることができる。排出バスケット19には、使用状態か不使用状態かを検出する検出部(第3の検出部)191が設けられる。
【0028】
本実施形態においては、理解の容易化のため、記録対象としてカットシートが用いられる場合には載置部14に排出シートSHが載置され、記録対象としてロールシートが用いられる場合には排出バスケット19に排出シートSHが排出されるものとする。
【0029】
(記録装置による記録態様)
図2は、上述の記録装置1による記録態様の一例を示すフローチャートである。図3A及び図3Bは、図2記載のステップの一部についての詳細を示す。本フローチャートは、記録装置1が記録を実行可能な状態となったことに応じて開始され、記録装置1が記録を実行不可の状態となったことに応じて終了するものとする。本フローチャートの概要は、所定条件が成立した場合には排出シートSHを一対のローラ131dにより保持する、というものである。尚、本フローチャートは主に制御部18により実現され、例えば、各ステップにおける判定は制御部18が判定部として機能することにより行われる。
【0030】
ステップS100(以下、単に「S100」と示す。他のステップについても同様とする。)では、印刷ジョブが記録装置1に入力されたか否かを判定する。ここでは理解の容易化のため、印刷ジョブは1枚のシートSHに対する記録を指示するものとし、即ち、成果物としての排出シートSHは1枚とする。印刷ジョブが入力された場合にはS110に進み、そうでない場合にはS100に戻る。換言すると、記録装置1は、印刷ジョブが入力されるまでの間、待機状態である。
【0031】
S110では、記録対象がカットシートかロールシートかを判定する。一般に、印刷ジョブは、記録の内容そのものを示す記録情報の他、何れの記録媒体に対して記録を行うかを示す情報等の関連情報を含み、S110は、該関連情報に基づいて行われる。記録対象がカットシートの場合にはS120に進み、ロールシートの場合にはS150に進む。
【0032】
S120では、一対のローラ131aを駆動制御してカットシート積載部121aから1枚のカットシートを搬送し、更に、一対のローラ131cにより該カットシートを記録部11に向けて搬送する。
【0033】
S130では、一対のローラ131cによりカットシートを搬送しながら、該カットシートに対して印刷ジョブに基づく記録を記録部11により行う。
【0034】
S140では、記録部11により記録されたカットシートを一対のローラ131dにより排出口20から排出シートSHとして排出動作を開始する。その後、S100に戻る。
【0035】
S150では、一対のローラ131bを駆動制御してロールシート搭載部121bからロールシートを搬送し、更に、一対のローラ131cにより該ロールシートを記録部11に向けて搬送する。
【0036】
S160では、一対のローラ131cによりロールシートを搬送しながら、該ロールシートに対して印刷ジョブに基づく記録を記録部11により行う。
【0037】
S170では、記録部11により記録されたロールシートを一対のローラ131dにより下流側に搬送した後にカッターユニットにより切断し、該切断されたシートを一対のローラ131dにより排出口20から排出シートSHとして排出する。その後、S100に戻る。
【0038】
図3Aは、S140の詳細を示す。S140は、S1410~S1460を含み、その概要は、載置部14の有無に基づいて排出シートSHの排出を完了させる、又は、排出シートSHを保持する、というものである。
【0039】
S1410では、検出部16の検出結果に基づいて、載置部14が記録装置1本体に取り付けられているか否かを判定する。載置部14が記録装置1本体に取り付けられている場合にはS1420に進み、そうでない場合にはS1430に進む。
【0040】
S1420では、一対のローラ131dを駆動して排出シートSHの全部を排出口20から排出して、S100に戻る。記録装置1本体には載置部14が取り付けられているため、排出シートSHは載置部14に載置されることとなる。
【0041】
S1430では、一対のローラ131dを駆動して排出シートSHを部分的に排出口20から排出し、排出シートSHの上流側端部が記録装置1本体内(排出口20内)に残る状態にする。排出シートSHは、少なくとも一対のローラ131dにより挟持されるように部分的に排出されればよく、上流側端部以外の領域が記録装置1本体内に残ってもよい。本実施形態では、排出シートSHの少なくとも上流側端部が検出部132により検出可能な領域(例えば検出部132と対向する領域)に残るように部分的に排出される。これにより、ユーザにより排出シートSHが取り出されたことを検出することができる。
【0042】
S1440では、S1430で部分的に排出口20から排出された排出シートSHを、一対のローラ131dにより保持する。このことは、一対のローラ131dが回転しない状態で排出シートSHを挟持することにより実現される。これにより、排出シートSHは、記録装置1本体(或いは排出口20)から落下することなく、記録装置1本体から部分的に露出した状態で保持されることとなる(図4参照)。
【0043】
S1450では、排出シートSHが保持された状態であることをユーザに通知する。この通知は、表示部/操作入力部17に所定の情報を表示することにより行われてもよいし、代替的/付随的に、警告音等を鳴動することにより行われてもよい。
【0044】
S1460では、検出部132の検出結果に基づいて、上記保持された状態の排出シートSHが取り出されたか否かを判定する。ユーザにより排出シートSHが取り出された場合にはS100に戻り、そうでない場合にはS1440に戻る。即ち、排出シートSHが取り出されるまでの間、記録部11による次のシートSHに対する記録の実行および搬送部13による該シートSHの搬送の実行は抑制され、次の記録は開始されないこととなる。
【0045】
図3Bは、S170の詳細を示す。S170は、S1710~S1760を含み、その概要は、排出バスケット19の状態に基づいて排出シートSHの排出を完了させ又は排出シートSHを保持する、というものである。
【0046】
S1710では、検出部191の検出結果に基づいて、排出バスケット19が使用状態か不使用状態かを判定する。排出バスケット19が使用状態の場合にはS1720に進み、そうでない場合にはS1730に進む。
【0047】
S1720では、S1420同様、一対のローラ131dを駆動して排出シートSHの全部を排出口20から排出して、S100に戻る。排出バスケット19が使用状態であるため、排出シートSHは排出バスケット19により受け取られることとなる。
【0048】
S1730では、S1430同様、一対のローラ131dを駆動して排出シートSHを部分的に排出口20から排出し、少なくとも排出シートSHの上流側端部が記録装置1本体内に残る状態にする。
【0049】
S1740では、S1440同様、S1730で部分的に排出口20から排出された排出シートSHを、一対のローラ131dにより保持する。これにより、排出シートSHは、記録装置1本体から落下することなく、記録装置1本体から部分的に露出した状態で保持されることとなる。なお、一般的にロールシートは長尺であり、排出口20から排出されて記録装置1の設置面(床面)に接触する虞があるため、設置面から排出口20までの高さに応じて排出シートSHを排出する長さを設定あるいは変更してもよい。
【0050】
S1750では、S1450同様、表示部/操作入力部17に所定の情報を表示することにより、排出シートSHが保持された状態であることをユーザに通知する。
【0051】
S1760では、S1460同様、検出部132の検出結果に基づいて、上記保持された状態の排出シートSHが取り出されたか否かを判定する。ユーザにより排出シートSHが取り出された場合にはS100に戻り、そうでない場合にはS1740に戻る。即ち、排出シートSHが取り出されるまでの間、次の記録は開始されないこととなる。
【0052】
(小括)
このような記録態様によれば、排出シートSHは、記録装置1本体(或いは排出口20)から落下してしまう可能性がある場合には、保持部としての一対のローラ131dにより保持されるため、該落下に伴う排出シートSHの無用な損傷を防止可能となる。よって、本実施形態によれば、記録装置1による記録の品質を向上可能となる。
【0053】
(第1実施例)
実施形態においては理解の容易化のため、印刷ジョブは1枚のシートSHに対する記録を指示するものとしたが、複数枚のシートSHに対する記録を指示する場合についても同様の制御が行われればよい。
【0054】
一例として、Nを2以上の整数として、N枚のシートSHに対して記録を行う場合について考える。ここで、Kを1以上かつN未満の整数として、載置部14が記録装置1本体に取り付けられていない状態で第K番目のシートSHが排出される場合には、該シートSHは一対のローラ131dにより保持されることとなる(S1440~S1460参照)。その間、記録部11による第(K+1)番目のシートに対する記録、及び、搬送部13による該シートの搬送の実行は抑制され、即ち、残りの記録は中断されることとなる。
【0055】
一方、その間に、上記保持されていた第K番目のシートがユーザにより取り出された場合には、記録部11による第(K+1)番目のシートに対する記録、及び、搬送部13による該シートの搬送は実行され、即ち、残りの記録が再開されることとなる。
【0056】
(第2実施例)
実施形態においては理解の容易化のため、カットシートおよびロールシートの2種類を記録対象とする態様を例示したが、カットシートのサイズが複数種の場合、及び/又は、ロールシートのシート幅が複数種の場合についても同様の制御が行われればよい。
【0057】
例えば、所定サイズ以下(幅及び/又は長さが所定の寸法以下)のシートSHの場合には該シートSHは載置部14に載置され、そうでない場合には排出バスケット19に排出されるものとして、図3A及び図3Bのフローチャートに変更が加えられてもよい。すなわち、ロールシートであっても載置部14において受け取り可能なサイズであれば、図3AのS1410に進む制御を行ってもよい。同様に、カットシートであっても載置部14において受け取り困難なサイズであれば、図3BのS1710に進む制御を行ってもよい。或いは、複数種の載置部14が用意されており、それらのうち対応の1つが記録装置1本体に取り付けられるものとして、上記フローチャートに変更が加えられてもよい。
【0058】
これらのことは、例えばS1410において、記録対象となるシートSHのサイズが載置部14に対応するサイズか否かを判定することにより、実現可能である。即ち、記録対象となるシートSHのサイズが載置部14に対応するサイズであり、かつ、載置部14が記録装置1本体に取り付けられていない場合、排出シートSHは一対のローラ131dにより保持されうる(S1440~S1460参照)。
【0059】
(第3実施例)
前述した実施形態では、一対のローラ131dにより保持された状態の排出シートSHがユーザにより取り出された場合にS100に戻り(S1460、S1760参照)、次の記録が開始可能となる態様を例示した。排出シートSHの取出しは、ユーザの手動により行われうるが、それにより、排出シートSHにシワ、ヨレ、破れ等が発生してしまう可能性がある。よって、排出シートSHの取出しは、他の方法により行われてもよい。
【0060】
一例として、ユーザは、表示部/操作入力部17を用いて、上記保持された排出シートSHを記録装置1本体から排出することを指示することが可能である。これに応じて、制御部18は一対のローラ131dを回転させ、それにより上記保持が解除されて排出シートSHが記録装置1本体から排出されることとなる。これにより、ユーザは、排出シートSHを受け取ることができる。
【0061】
他の例として、ユーザは、S1450での通知に応じて、載置部14を記録装置1本体に取り付けることも可能である。検出部16は、載置部14が記録装置1本体に取り付けられたことを検出可能であるため、制御部18は、検出部16による検出に応じて一対のローラ131dを回転させ、排出シートSHを記録装置1本体から排出させることも可能である。
【0062】
排出シートSHの上記取出し態様によれば、排出シートSHの無用な損傷を防止可能となるため、記録装置1による記録の品質を更に向上可能となる。
【0063】
(第4実施例)
前述のとおり、多様なサイズのシートSHが記録対象として用いられうるが、その材質も多様なものが考えられる。よって、載置部14への載置が比較的困難な材料で構成されたもの(例えばトレーシングペーパー)が記録対象となることも考えられる。このような場合においては、載置部14の有無に関わらず、一対のローラ131dによる排出シートSHの保持が行われてもよい。このことは、記録対象となるシートSHの材質を特定することにより実現可能である。
【0064】
例えば、印刷ジョブに含まれる関連情報が、記録媒体の材質を示す情報を示す場合には、一対のローラ131dによる上記保持は該関連情報に基づいて行われればよい。或いは、記録装置1は、搬送部13により搬送中のシートSHの材質を特定する特定部を更に備えていてもよく、上記保持は該特定の結果に基づいて行われてもよい。特定部には、公知の光学式センサが用いられればよい。
【0065】
(プログラム)
本発明は、上記実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、該システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理により実現されてもよい。例えば、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によって実現されてもよい。
【0066】
(その他)
上述の説明においては、インクジェット記録方式を用いた記録装置1を例に挙げて説明したが、記録方式は上述の態様に限られるものではない。また、記録装置1は、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであっても良いし、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであっても良い。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であっても良い。
【0067】
また、本明細書でいう「記録」は広く解釈されるべきものである。従って、「記録」の態様は、記録媒体上に形成される対象が文字、図形等の有意の情報であるか否かを問わないし、また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わない。
【0068】
また、「記録媒体」は、上記「記録」同様広く解釈されるべきものである。従って、「記録媒体」の概念は、一般的に用いられる紙の他、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能な如何なる部材をも含みうる。
【0069】
更に、「インク」は、上記「記録」同様広く解釈されるべきものである。従って、「インク」の概念は、記録媒体上に付与されることによって画像、模様、パターン等を形成する液体の他、記録媒体の加工、インクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)等に供され得る付随的な液体をも含みうる。
【0070】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0071】
1:記録装置、SH:シート、14:載置部、16:検出部、131d:保持部(一対のローラ)。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5