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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20240524BHJP
   G06F 13/10 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G06F13/38 320A
G06F13/10 310E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020061110
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021162907
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 秀磨
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-40206(JP,A)
【文献】特開2009-258773(JP,A)
【文献】特開2012-93926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0280534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00-13/14
13/20-13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号線を有し、外部記録デバイスと接続する接続部と、
前記接続部に接続された外部記録デバイスとの通信を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記外部記録デバイスに第1信号を出力してから所定時間が経過するまでに、前記外部記録デバイスが第2転送モードに対応していることを示す第2信号が入力されたか否かを判定し、
前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信し、
前記第2信号が入力されなかったと判定された場合、
第1転送モードで通信を行うための第1初期化処理を開始し、
前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信する
ように制御する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記外部記録デバイスと前記第1転送モードで通信する第1通信手段と、
前記外部記録デバイスと前記第2転送モードで通信する第2通信手段と、
前記外部記録デバイスと前記第3転送モードで通信する第3通信手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記第1通信手段、前記第2通信手段、前記第3通信手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記所定時間が経過するまでに前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信を行うための第2初期化処理を実行して前記第2転送モードで通信し、
前記所定時間が経過するまでに前記第2信号が入力されなかったと判定された場合、
前記第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信を行うための第3初期化処理を実行して前記第3転送モードで通信し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していないと判定された場合、前記第1初期化処理を継続して、前記第1転送モードで通信する、
ように制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記複数の信号線は、第1信号線と第2信号線を含み、
前記制御手段は、前記第1信号線に第1信号を出力してから前記所定時間が経過するまでに、前記第2信号線に前記第2信号が入力されたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1転送モードの通信により取得した、所定のコマンドに対するレスポンスに応じて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第2転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第2転送モードでの通信を終了して前記第3転送モードで通信する
ように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記複数の信号線は、第1信号線と第2信号線を含み、
前記通信装置は、前記第1信号線及び前記第2信号線を前記第2通信手段又は前記第3通信手段に選択的に接続する切替部を更に備え、
前記制御手段は、前記第1信号線へ前記第1信号を出力する前に、前記切替部が前記第1信号線及び前記第2信号線を前記第2通信手段に接続するように制御し、
前記制御手段は、前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記切替部が前記第1信号線及び前記第2信号線を前記第3通信手段に接続するように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1信号を出力してから前記所定時間が経過するまでに前記第2信号が入力されたか否かを判定するのに要する時間は、前記第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定するのに要する時間よりも短い
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
前記第2信号が入力されたか否かを判定する際の前記所定時間は、200μsであり、
前記第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定するのに要する時間は、数百ms程度である
ことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1転送モードは、UHS-I規格に準拠した転送モードであり、
前記第2転送モードは、UHS-II規格又はUHS-III規格に準拠した転送モードであり、
前記第3転送モードは、SDExpress規格に準拠した転送モードである
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記第2転送モードにおけるD0信号線にSTB.L信号を出力してから、前記所定時間が経過するまでに、前記第2転送モードにおけるD1信号線にSTB.L信号が入力された場合に、前記外部記録デバイスが第2転送モードに対応していると判定し、
前記第1転送モードの通信により取得した、CMD8に対するレスポンスに応じて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記複数の信号線のうちの少なくとも1つの信号線は、前記第1転送モード、前記第2転送モード、前記第3転送モードのいずれにおいても使用される
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記第1転送モードと前記第2転送モードは互換性があり、前記第1転送モードと前記第3転送モードは互換性があるが、前記第2転送モードと前記第3転送モードは互換性がない
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記第2転送モードと、前記第3転送モードのどちらを優先させるかを選択する選択手段を有し、
前記制御手段は、
前記第2転送モードを優先させることが選択されている場合は、
前記外部記録デバイスに第1信号を出力してから前記所定時間が経過するまでに、前記第2信号が入力されたか否かを判定し、
前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信し、
前記第2信号が入力されないと判定された場合、
前記第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していないと判定された場合、前記第1初期化処理を継続し、前記第1転送モードで通信する
ように制御し、
前記第3転送モードを優先させることが選択されている場合は、
前記第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していないと判定された場合、
前記第1転送モードでの通信を終了し、前記外部記録デバイスに前記第1信号を出力してから所定時間が経過するまでに、前記第2信号が入力されたか否かを判定し、
前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信し、
前記第2信号が入力されたと判定されない場合、前記第1転送モードで通信する、
ように制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記第2転送モードと、前記第3転送モードのどちらを優先させるかを選択する選択手段を有し、
前記制御手段は、
前記第2転送モードを優先させることが選択されている場合は、
前記外部記録デバイスに第1信号を出力してから前記所定時間が経過するまでに、前記第2信号が入力されたか否かを判定し、
前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信し、
前記第2信号が入力されないと判定された場合、
前記第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していないと判定された場合、前記第1初期化処理を継続し、前記第1転送モードで通信する
ように制御し、
前記第3転送モードを優先させることが選択されている場合は、
前記第3転送モード用の電源を供給し、前記第3転送モード用の電源を供給してから第2所定時間を経過するまでに前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していることを示す第3信号が入力されたか否かを判定し、
前記第3信号が入力されたと判定した場合、前記第3転送モードで通信し、
前記第3信号が入力されないと判定した場合、
前記第3転送モード用の電源の供給を停止し、前記外部記録デバイスに第1信号を出力してから前記所定時間が経過するまでに、前記第2信号が入力されたか否かを判定し、
前記第2信号が入力されたと判定した場合、前記第2転送モードで通信し、
前記第2信号が入力されない判定した場合、前記第1転送モードで通信する、
ように制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項16】
複数の信号線を有し、外部記録デバイスと接続する接続部と、
前記接続部に接続された外部記録デバイスとの通信を制御する制御手段と、
を備える通信装置の制御方法であって、
前記制御手段が、
前記外部記録デバイスに第1信号を出力してから所定時間が経過するまでに、前記外部記録デバイスが第2転送モードに対応していることを示す第2信号が入力されたか否かを判定し、
前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信し、
前記第2信号が入力されなかったと判定された場合、
第1転送モードで通信を行うための第1初期化処理を開始し、
前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定し、
前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信する
ように制御する制御工程を備える
ことを特徴とする制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の通信装置の制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカード等の外部記録デバイスの転送速度が向上している。新しい規格が策定される際には、例えばパラレル転送から高速シリアル転送への変更や、周波数向上など、新たな転送技術が採用され、これにより転送速度が向上する。
【0003】
また、例えば特許文献1のように、メモリカードの初期化時間を短縮する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-209744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部記録デバイスと通信することによりデータの読み書きを行う通信装置としては、単一のスロットで複数の外部記録デバイスの規格に対応することが、省面積や省コストなどの観点から望ましい。この場合、通信装置は、スロットに挿入された外部記録デバイスが複数の規格のうちのどの規格に対応しているかを判定する必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、単一の規格を対象とした技術であり、複数の規格の中から外部記録デバイスが対応している規格を判定するための技術ではない。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、外部記録デバイスが複数の規格のうちのどの規格に対応しているかを適切に判定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の信号線を有し、外部記録デバイスと接続する接続部と、前記接続部に接続された外部記録デバイスとの通信を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記外部記録デバイスに第1信号を出力してから所定時間が経過するまでに、前記外部記録デバイスが第2転送モードに対応していることを示す第2信号が入力されたか否かを判定し、前記第2信号が入力されたと判定された場合、前記第2転送モードで通信し、前記第2信号が入力されなかったと判定された場合、第1転送モードで通信を行うための第1初期化処理を開始し、前記第1転送モードでの通信に基づいて、前記外部記録デバイスが第3転送モードに対応しているか否かを判定し、前記外部記録デバイスが前記第3転送モードに対応していると判定された場合、前記第3転送モードで通信するように制御することを特徴とする通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部記録デバイスが複数の規格のうちのどの規格に対応しているかを適切に判定することが可能となる。
【0010】
なお、本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面及び以下の発明を実施するための形態における記載によって更に明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】外部記録デバイス120と通信することによりデータの読み書きを行う通信装置のブロック図。
図2A】第1の実施形態に係る、判定モードとして「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
図2B】第1の実施形態に係る、判定モードとして「高速判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
図2C】第1の実施形態に係る、判定モードとして「通常判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
図2D】第1の実施形態に係る、判定モードとして「高速判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
図3A】第2の実施形態に係る、判定モードとして「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
図3B】第2の実施形態に係る、判定モードとして「高速判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
図3C】第2の実施形態に係る、判定モードとして「高速判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、外部記録デバイス120と通信することによりデータの読み書きを行う通信装置のブロック図である。この通信装置は、例えば撮像装置などに搭載することができる。通信装置は、半導体装置100と、外部記録デバイスコネクタ110と、共通電源生成部130と、第2転送モード用電源生成部140と、第3転送モード用電源生成部150とを備える。
【0014】
半導体装置100は、外部記録デバイスコネクタ110を介し、外部記録デバイス120と通信してデータの記録(書き込み)又は再生(読み出し)を行う。例えば、半導体装置100は、カメラ、スマートフォン、又はパーソナルコンピュータなどに搭載されるLSI(Large Scale Integrated Circuit)である。
【0015】
外部記録デバイスコネクタ110は、着脱可能な外部記録デバイス120を接続するためのコネクタ(接続部)であり、半導体装置100と外部記録デバイス120とを接続するための電気的接点を備える。例えば、外部記録デバイスコネクタ110は、記録メディアのスロットである。外部記録デバイス120は、半導体装置100が処理するデータをROM(Read Only Memory)に保持し、また、ROMに記録されたデータを送受信する。
【0016】
半導体装置100及び外部記録デバイス120は、転送速度の異なる複数の転送モードを有する。半導体装置100は、外部記録デバイス120がどの転送モードに対応しているかを判断し、互いが同じ転送モードで転送を行う。転送モードの判定シーケンスについては、図2A乃至図2Dを参照して後述する。本実施形態では、転送速度の異なる複数の転送モードが、第1転送モード、第2転送モード、及び第3転送モードの3つの転送モードである場合を例に説明を行う。
【0017】
第1転送モードは、第2転送モード及び第3転送モードより転送速度が遅い転送モードである。第2転送モードは、第1転送モードより転送速度が速く、かつ第3転送モードより転送速度が遅い転送モードである。第3転送モードは、第1転送モード及び第2転送モードより転送速度が速い転送モードである。また、外部記録デバイス120は、第1転送モード用の電気端子は個別に備えるが、第2転送モード及び第3転送モード用の電気端子は共用である。但し、この電気端子の構成は一例に過ぎず、例えば、全ての転送モードが同じ電気端子を共用してもよい。
【0018】
共通電源生成部130は、外部記録デバイス120がいずれの転送モードで転送を行う場合にも共通で必要となる電源(共通電源)を生成する。第2転送モード用電源生成部140は、外部記録デバイス120が第2転送モードで転送を行う場合に必要となる電源(第2転送モード用電源)を生成する。第2転送モード用電源は、外部記録デバイス120が第1転送モード又は第3転送モードで転送を行う場合には必要ではない。第3転送モード用電源生成部150は、外部記録デバイス120が第3転送モードで転送を行う場合に必要となる電源(第3転送モード用電源)を生成する。第3転送モード用電源は、外部記録デバイス120が第1転送モード又は第2転送モードで転送を行う場合には必要ではない。
【0019】
以下の説明において、第1転送モードはUHS-I規格に準拠した転送モードであり、第2転送モードはUHS-II規格に準拠した転送モードであり、第3転送モードはSDExpress規格に準拠した転送モードであるものとする。外部記録デバイス120は、第1転送モード(UHS-I規格)をサポートし、また、オプションとして、第2転送モード(UHS-II規格)及び第3転送モード(SDExpress規格)の少なくとも一方をサポートする場合があるものとする。但し、本実施形態はここで言及した各種規格に限定されず、各転送モードは他の規格に対応した転送モードであってもよい。例えば、第2転送モードはUHS-III規格に準拠した転送モードであってもよい。
【0020】
半導体装置100は、第1記録制御部101と、第1物理層102と、第2記録制御部103と、第2物理層104と、第3記録制御部105と、第3物理層106と、信号線切替部107と、システム制御部108とを備える。
【0021】
第1記録制御部101は、第1転送モードのコントローラであり、送受信するデータの処理や、データを送受信するためのコマンドの生成や、受信したデータの誤り訂正などを行うための論理回路である。
【0022】
第1物理層102は、第1転送モードの物理層であり、第1記録制御部101と通信するための論理信号を、外部記録デバイス120と通信するための電気信号に変換する回路である。例えば、第1物理層102は、LVCMOS(Low Voltage Complementary Metal Oxide Semiconductor)によって構成される。また、第1物理層102と外部記録デバイス120との間の通信はパラレル信号で行われる。
【0023】
第2記録制御部103は、第2転送モードのコントローラであり、送受信するデータのパケット化処理や、データを送受信するためのコマンドの生成や、受信したデータの誤り訂正などを行うための論理回路である。
【0024】
第2物理層104は、第2転送モードの物理層であり、第2記録制御部103と通信するための論理信号を、外部記録デバイス120と通信するための電気信号に変換する回路である。例えば、第2物理層104は、SerDes(Serializer/Deserializer)機能を備えたPHY(物理層)である。また、第2物理層104と外部記録デバイス120との間の通信はシリアル信号で行われる。
【0025】
第3記録制御部105は、第3転送モードのコントローラであり、送受信するデータのパケット化処理や、データを送受信するためのコマンドの生成や、受信したデータの誤り訂正などを行うための論理回路である。また、第3記録制御部105は、特定の信号線(第3の信号線)から外部記録デバイス120が第3転送モードに対応していることを示す第3転送モード対応信号(第3信号)の入力を受け取ることが可能である。第3転送モード対応信号は、外部記録デバイス120に第3転送モード用電源生成部150から電源が供給されたことをきっかけに、外部記録デバイス120が生成可能である。具体的なシーケンスは、図2B及び図2D及び図3A乃至図3Cを参照して後述する。
【0026】
第3物理層106は、第3転送モードの物理層であり、第3記録制御部105と通信するための論理信号を、外部記録デバイス120と通信するための電気信号に変換する回路である。例えば、第3物理層106は、SerDes機能を備えたPHY(物理層)である。また、第3物理層106と外部記録デバイス120との通信はシリアル信号で行われる。
【0027】
前述の通り、外部記録デバイス120は、第2転送モードと第3転送モードとで電気端子を共用する。そのため、使用する転送モードに応じてシリアル信号の信号線(第1信号線及び第2信号線)の接続先を切り替える必要がある。シリアル信号の信号線(第1信号線及び第2信号線)は、信号線切替部107を介して第2物理層104及び第3物理層106に選択的に接続される。信号線切替部107は、使用する転送モードに応じて第2物理層104及び第3物理層106の一方を選択し、選択した物理層と外部記録デバイスコネクタ110のシリアル信号の信号線(第1信号線及び第2信号線)とを接続する。
【0028】
システム制御部108は、外部記録デバイス120がどの転送モードに対応しているかに応じて、第1記録制御部101と第2記録制御部103と第3記録制御部105のうちのどれを用いるかを切り替える。また、システム制御部108は、各種転送モードで転送を行う際、共通電源生成部130と、第2転送モード用電源生成部140と、第3転送モード用電源生成部150へ電源供給の指示を出す。また、システム制御部108は、信号線切替部107に対して、第2物理層104と第3物理層106のどちらの信号線を用いるかを切り替える制御を行う。システム制御部108は、例えばCPU(Central Processing Unit)などである。具体的な制御シーケンスは、図2A乃至図2D及び図3A乃至図3Cを参照して後述する。
【0029】
図1の例では、信号線切替部107が半導体装置100に存在するが、半導体装置100の外部、即ち通信装置のプリント基板上に存在してもよく、その位置は限定されない。また、半導体装置100は、信号線切替部107の代わりに、第2物理層104と第3物理層106が統合された統合物理層(マルチプロトコルPHY)を備えてもよい。この場合、半導体装置100は、統合物理層内で第2記録制御部103の信号と第3記録制御部105の信号とを切り替える。
【0030】
図2A乃至図2Dは、第1の実施形態に係る、通信装置が外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する処理のフローチャートである。
【0031】
第3転送モードには複数の判定方法があり、図2A及び図2C図2B及び図2Dとでは、使用される判定方法が異なる。図2A及び図2Cでは、第1転送モードでの通信に基づいて、第3転送モードの判定が行われる。図2B及び図2Dでは、特定の転送モードでの通信による判定は行われず、第3転送モード用電源の供給をきっかけに第3転送モード対応信号が入力されるか否かに基づいて第3転送モードの判定が行われる。図2A及び図2Cの場合、通信に基づいて第3転送モードの判定が行われるため、判定精度が向上する。その反面、第3転送モードの判定に先立って第1転送モードの初期化処理を実行する必要があるため、判定処理に要する時間が比較的長い。一方、図2B及び図2Dの場合、第1転送モードの初期化処理を実行せずに第3転送モードの判定が行われるため、判定処理に要する時間が比較的短いが、判定精度が低下する。
【0032】
図2A及び図2Bでは、第2転送モードの判定が優先的に行われる。外部記録デバイス120が第2転送モードに対応している場合、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応しているか否かに関わらず、使用する転送モードとして第2転送モードが選択される。一方、図2C及び図2Dでは、第3転送モードの判定が優先的に行われる。外部記録デバイス120が第3転送モードに対応している場合、外部記録デバイス120が第2転送モードに対応しているか否かに関わらず、使用する転送モードとして第3転送モードが選択される。
【0033】
一般的に、第2転送モードの判定は、第3転送モードの判定よりも短時間で実行可能である。そのため、通信装置は、デフォルトの判定モードでは、図2Aのフローチャートに従って外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する。
【0034】
また、通信装置は、判定モードを選択するためのメニュー画面を表示部(不図示)に表示することができ、ユーザは、このメニュー画面を介して通信装置の判定モードを選択することができる。判定モードの選択は、判定速度(「通常判定」又は「高速判定」)の選択と、優先モード(「第2転送モード優先判定」又は「第3転送モード優先判定」)の選択とを含む。
【0035】
上述したデフォルトの判定モードは、「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せであり、この場合、通信装置は、図2Aのフローチャートに従って外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する。「高速判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択された場合、通信装置は、図2Bのフローチャートに従って外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する。「通常判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択された場合、通信装置は、図2Cのフローチャートに従って外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する。「高速判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択された場合、通信装置は、図2Dのフローチャートに従って外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する。
【0036】
なお、デフォルトの判定モードは、「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せに限定されない。例えば、第3転送モードに対応する外部記録デバイス120が第3転送モードに非対応の外部記録デバイス120よりも多く流通している場合には、「通常判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せをデフォルトの判定モードとしてもよい。
【0037】
最初に、図2Aを参照して、判定モードとして「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図2Aの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図2Aのフローチャートの処理が開始する。
【0038】
S200で、システム制御部108は共通電源生成部130へ指示を出すことにより、外部記録デバイス120へ共通電源を供給する。S201で、システム制御部108は第2転送モード用電源生成部140へ指示を出すことにより、外部記録デバイス120へ第2転送モード用電源を供給する。
【0039】
S202~S204で、システム制御部108は、外部記録デバイス120が第2転送モードに対応しているか否かを判定するための制御を行う。具体的には、S202で、システム制御部108は、信号線切替部107の信号線を第2物理層104に接続するように制御する。S203で、第2記録制御部103は、第2物理層104から外部記録デバイス120へ、第2転送モード判定信号を出力する。S204で、第2記録制御部103は、第2転送モード判定信号を出力してから所定時間(第1時間)が経過するまでに、外部記録デバイス120が第2転送モードに対応していることを示す第2転送モード対応信号が外部記録デバイス120から入力されたか否かを判定する。第2転送モード対応信号が入力された場合、処理はS205に進み、そうでない場合、処理はS206に進む。
【0040】
第2転送モードがUHS-II規格又はUHS-III規格に準拠している場合、第2転送モード判定信号(第1信号)はSTB.Lであり、第2記録制御部103は、D0レーン(第1信号線)を介してSTB.Lを出力する。また、第2転送モード対応信号(第2信号)はSTB.Lであり、第2記録制御部103は、D1レーン(第2信号線)からSTB.Lが入力された場合に、第2転送モード対応信号が入力されたと判定する。規格上、判定に最大200μsかかる。即ち、S204における所定時間(第1時間)は200μsである。
【0041】
S205で、システム制御部108は、第2転送モードで初期化(第2初期化処理)を開始する。これにより、外部記録デバイス120と第2転送モードで通信することが可能となる。即ち、第2初期化処理が実行された場合、第2記録制御部103は、外部記録デバイス120と第2転送モードで通信する。
【0042】
S206で、システム制御部108は、第2転送モード用電源生成部140へ指示を出すことにより、外部記録デバイス120への第2転送モード用電源の供給を停止する。
【0043】
S207で、システム制御部108は、第1転送モードで初期化(第1初期化処理)を開始する。S208で、第1記録制御部101は、第1物理層から第3転送モード判定コマンドを発行する。第3転送モード判定コマンドを発行するためには第1初期化処理を実行する必要があるため、S207において第1初期化処理が開始してからS208において第3転送モード判定コマンドが発行されるまでには、比較的長い時間(例えば、数百ms)を要する。S209で、第1記録制御部101は、第3転送モード判定レスポンスに基づき、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応しているか否かを判定する。外部記録デバイス120が第3転送モードに対応している場合、処理はS210に進み、そうでない場合、処理はS213に進む。
【0044】
第1転送モードがUHS-I規格に準拠しており第3転送モードがSDExpress規格に準拠している場合、第3転送モード判定コマンドはCMD8である。また、第3転送モード判定レスポンスは、CMD8に対するレスポンスであり、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応しているか否かを示す情報を含む。このように、第1初期化処理の実行により第1転送モードでの通信が可能になり、第3転送モードの判定は、コマンド及びレスポンスの通信に基づいて行われる。
【0045】
S210で、システム制御部108は、信号線切替部107へ指示を出すことにより、第3物理層106を選択する。S211で、システム制御部108は、第3転送モード用電源生成部150へ指示を出すことにより、外部記録デバイス120へ第3転送モード用電源を供給する。S212で、第3記録制御部105は、第3転送モードで再初期化を行う。第3転送モードでの初期化(第3初期化処理)により、外部記録デバイス120と第3転送モードで通信することが可能となる。即ち、第3初期化処理が実行された場合、第3記録制御部105は、外部記録デバイス120と第3転送モードで通信する。
【0046】
S213で、第1記録制御部101は、第1転送モードで初期化を継続する。なお、前述の通り、第1記録制御部101が第1転送モードで通信するために必要な第1初期化処理はS208の時点で既に実行されている。従って、S213における初期化の継続は、第1初期化処理とは異なる処理を指す。
【0047】
次に、図2Bを参照して、判定モードとして「高速判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図2Bの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図2Bのフローチャートの処理が開始する。
【0048】
S214~S220の処理は、図2AのS200~S206の処理と同様のため、説明を省略する。
【0049】
S221~S223で、システム制御部108は、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応しているか否かを判定するための制御を行う。具体的には、S221で、システム制御部108は、信号線切替部107の信号線を第3物理層106に接続するように制御する。S222で、システム制御部108は、第3転送モード用電源生成部150へ指示を出すことにより、外部記録デバイス120へ第3転送モード用電源を供給する。これは、第3転送モードの判定のために図2Aとは異なる判定方法を用いるためであり、第3転送モード用電源を供給することが、外部記録デバイス120が第3転送モード対応信号を応答するためのきっかけとなる。S223で、第3記録制御部105は、第3転送モード用電源が供給されてから所定時間(第2時間)が経過するまでに、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応していることを示す第3転送モード対応信号が外部記録デバイス120から入力されたか否かを判定する。第3転送モード対応信号が入力された場合、処理はS224に進み、そうでない場合、処理はS225に進む。S222からS223までの期間は、図2AのS207からS208までの期間に比べて短く、例えば数msである。
【0050】
第3転送モードがSDExpress規格に準拠している場合、第3転送モード対応信号は、CLKREQ信号線(第3信号線)から入力される。SDExpress専用電源(第3転送モード用電源)が供給されると、CLKREQ信号線に応答が入力される。応答までに最大1msかかる。即ち、S223における所定時間(第2時間)は1msである。
【0051】
S224で、第3記録制御部105は、第3転送モードで初期化(第3初期化処理)を開始する。これにより、外部記録デバイス120と第3転送モードで通信することが可能となる。即ち、第3初期化処理が実行された場合、第3記録制御部105は、外部記録デバイス120と第3転送モードで通信する。
【0052】
S225で、システム制御部108は、第3転送モード用電源生成部150へ指示を出すことにより、外部記録デバイス120への第3転送モード用電源の供給を停止する。S226で、システム制御部108は、第1転送モードで初期化を開始する。
【0053】
次に、図2Cを参照して、判定モードとして「通常判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図2Cの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図2Cのフローチャートの処理が開始する。
【0054】
S227の処理は、図2AのS200の処理と同様のため、説明を省略する。S228~S233の処理は、図2AのS207~S212の処理と同様のため、説明を省略する。S234~S240の処理は、図2AのS201~S207の処理と同様のため、説明を省略する。このように、図2Aの判定処理と図2Cの判定処理とは、第2転送モード及び第3転送モードの判定順序が逆である点を除き、実質的に同じである。
【0055】
次に、図2Dを参照して、判定モードとして「高速判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図2Dの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図2Dのフローチャートの処理が開始する。
【0056】
S241の処理は、図2BのS214の処理と同様のため、説明を省略する。S242~S246の処理は、図2BのS221~S225の処理と同様のため、説明を省略する。S247~S252の処理は、図2BのS215~S220の処理と同様のため、説明を省略する。S253の処理は、図2BのS226の処理と同様のため、説明を省略する。このように、図2Bの判定処理と図2Dの判定処理とは、第2転送モード及び第3転送モードの判定順序が逆である点を除き、実質的に同じである。
【0057】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、図2A乃至図2Dのいずれかに示す判定処理により、外部記録デバイス120が複数の規格のうちのどの規格に対応しているかを適切に判定することが可能となる。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、通信装置が外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する処理に要する時間を短縮する構成について説明する。第2の実施形態において、通信装置の基本的な構成は第1の実施形態と同様である(図1参照)。以下、主に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0059】
図3A乃至図3Cは、第2の実施形態に係る、通信装置が外部記録デバイス120が対応する転送モードを判定する処理のフローチャートである。
【0060】
図3Aは、判定モードとして「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャートである。図3Aの判定処理によれば、第1の実施形態の場合(図2A)と異なり、外部記録デバイス120が第2転送モードに対応していると判定された場合であっても更に第3転送モードの判定が高速な判定方法により行われる。従って、外部記録デバイス120が第2転送モード及び第3転送モードの両方に対応している場合に、通信装置は、比較的短い判定時間で、使用する転送モードとして第2転送モードよりも高速な第3転送モードを選択することができる。
【0061】
図3Bは、判定モードとして「高速判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャートである。図3Bの判定処理によれば、第2転送モード判定信号の出力と並行して、第3転送モード用電源の供給が行われる。第2転送モード対応信号の入力判定及び第3転送モード対応信号の入力判定については、前者が先に行われる。従って、図3Bの判定処理は、第2転送モードが第3転送モードより優先されるという点では図2Bの判定処理と同様であるが、外部記録デバイス120が第2転送モードに対応していないと判定された以降に第3転送モードの判定に要する時間が短縮される。
【0062】
図3Cは、判定モードとして「高速判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理のフローチャートである。図3Cの判定処理によれば、第2転送モード判定信号の出力と並行して、第3転送モード用電源の供給が行われる。第2転送モード対応信号の入力判定及び第3転送モード対応信号の入力判定については、後者が先に行われる。従って、図3Cの判定処理は、第3転送モードが第2転送モードより優先されるという点では図2Dの判定処理と同様であるが、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応していないと判定された以降に第2転送モードの判定に要する時間が短縮される。
【0063】
最初に、図3Aを参照して、判定モードとして「通常判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図3Aの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図3Aのフローチャートの処理が開始する。
【0064】
S300~S305の処理は、図2AのS200~S205の処理と同様のため、説明を省略する。
【0065】
S306で、第2記録制御部103は、第2物理層から第3転送モード判定コマンドを発行する。第2転送モードにおいて、第2記録制御部103は、図2AのS208を参照して説明した第1転送モードにおけるコマンドと同じコマンドを送信可能である。また、第2転送モードの転送速度は、第1転送モードより高速である。そのため、第2転送モードに対応していると判定され、かつ第3転送モードに対応している可能性がある外部記録デバイス120の場合、第2転送モードで第3転送モード判定コマンドを発行することにより、第3転送モードの判定に要する時間が短縮される。
【0066】
S307で、第2記録制御部103は、第3転送モード判定レスポンスに基づき、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応しているか否かを判定する。外部記録デバイス120が第3転送モードに対応している場合、処理はS309に進み、そうでない場合、処理はS308に進む。
【0067】
第2転送モードがUHS-II規格に準拠しており第3転送モードがSDExpress規格に準拠している場合、第3転送モード判定コマンドはCMD8である。また、第3転送モード判定レスポンスは、CMD8に対するレスポンスであり、外部記録デバイス120が第3転送モードに対応しているか否かを示す情報を含む。このように、第2初期化処理の実行により第2転送モードでの通信が可能になり、第3転送モードの判定は、コマンド及びレスポンスの通信に基づいて行われる。第2転送モード(UHS-II規格)の初期化開始からCMD8発行まで、約数10msかかる。
【0068】
S308で、第2記録制御部103は、第2転送モードで初期化を継続する。なお、前述の通り、第2記録制御部103が第2転送モードで通信するために必要な第2初期化処理はS306の時点で既に実行されている。従って、S308における初期化の継続は、第2初期化処理とは異なる処理を指す。
【0069】
S309の処理は、図2AのS206の処理と同様のため、説明を省略する。S310~S317の処理は、図2AのS206~S213の処理と同様のため、説明を省略する。
【0070】
次に、図3Bを参照して、判定モードとして「高速判定」及び「第2転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図3Bの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図3Bのフローチャートの処理が開始する。
【0071】
S318~S319及びS321~S322の処理は、図2BのS214~S218(図2AのS200~S204)の処理と同様のため、説明を省略する。S320の処理は、図2BのS322の処理と同様のため、説明を省略する。
【0072】
S324の処理は、図2BのS225の処理と同様のため、説明を省略する。S325の処理は、図2BのS219の処理と同様のため、説明を省略する。S326~S331の処理は、図2BのS220~221及びS223~S226の処理と同様のため、説明を省略する。
【0073】
図3Bにおいて、S320の処理、並びにS321及びS322の処理の実行は、順不同である(即ち、図3Bに示す順序に限定されない)。換言すると、図3Bでは、第3転送モードの判定のきっかけとなる処理と第2転送モードの判定のきっかけとなる処理とが並行して(ほぼ同時に)行われる。
【0074】
ここで、外部記録デバイス120へ第3転送モード用電源を供給してから第3転送モード対応信号が入力されるまでの時間が最大1msであると仮定する。また、第2物理層から第2転送モード判定信号を出力してから第2転送モード対応信号が入力されるまでの時間が最大200μsであると仮定する。この場合、第2転送モード及び第3転送モードの判定を直列に行っている図2Bでは、第2転送モード及び第3転送モードの両方の判定が完了するまで最大1.2msかかる。これらの判定を並列に行っている図3Bでは、第2転送モード及び第3転送モードの両方の判定が完了するまでの時間が最大1msに短縮される。
【0075】
判定時間の短縮について更に詳細に説明する。S323で、第2記録制御部103は、第2転送モード判定信号を出力してから所定時間(第1時間)が経過するまでに、第2転送モード対応信号が外部記録デバイス120から入力されたか否かを判定する。また、S328で、第3記録制御部105は、第3転送モード用電源が供給されてから所定時間(第2時間)が経過するまでに、第3転送モード対応信号が外部記録デバイス120から入力されたか否かを判定する。このように、S323及びS328の処理自体は、図2BのS218及びS223と同様である。しかしながら、図2BのS218と異なり、図3BのS323の時点で、第3転送モード用電源の供給が既に開始している。従って、第2記録制御部103が図3BのS323の判定のために所定時間(第1時間)の経過を待っている間に、S328の判定に必要な所定時間(第2時間)の一部又は全部が経過する。従って、第2転送モード及び第3転送モードの両方の判定に要する時間が、各判定に要する時間の和から、各判定に要する時間のうちの大きい方の時間に短縮される。
【0076】
次に、図3Cを参照して、判定モードとして「高速判定」及び「第3転送モード優先判定」の組合せが選択されている場合の判定処理について説明する。図3Cの判定処理の全体制御は、特に断らない限り、システム制御部108がROM(不図示)に格納された制御プログラムに従って実行する。システム制御部108が外部記録デバイスコネクタ110に対して外部記録デバイス120が接続されたことを検知すると、図3Cのフローチャートの処理が開始する。
【0077】
S332~S336の処理は、図3BのS318~S332の処理と同様のため、説明を省略する。S336に続くS337では、図3Bと異なり、第2転送モードより先に第3転送モードの判定が行われる。ここでの具体的な処理は、図3BのS328の処理と同様のため、説明を省略する。外部記録デバイス120が第3転送モードに対応している場合、処理はS338に進み、そうでない場合、処理はS341に進む。
【0078】
S338~S340の処理は、図3BのS326~S327及びS329の処理と同様のため、説明を省略する。
【0079】
S341の処理は、図3BのS330の処理と同様のため、説明を省略する。その後、S342で、第2転送モードの判定が行われる。即ち、図3Bと異なり、第2転送モードの判定が第3転送モードの判定より後に行われる。ここでの具体的な処理は、図3BのS323の処理と同様のため、説明を省略する。外部記録デバイス120が第2転送モードに対応している場合、処理はS343に進み、そうでない場合、処理はS344に進む。
【0080】
S343~S345の処理は、図3BのS325、S326、及びS331の処理と同様のため、説明を省略する。
【0081】
ここで、外部記録デバイス120へ第3転送モード用電源を供給してから第3転送モード対応信号が入力されるまでの時間が最大1msであると仮定する。また、第2物理層から第2転送モード判定信号を出力してから第2転送モード対応信号が入力されるまでの時間が最大200μsであると仮定する。この場合、第2転送モード及び第3転送モードの判定を直列に行っている図2Bでは、第2転送モード及び第3転送モードの両方の判定が完了するまで最大1.2msかかる。これらの判定を並列に行っている図3Cでは、図3Bと同様、第2転送モード及び第3転送モードの両方の判定が完了するまでの時間が最大1msに短縮される。即ち、図3Bの場合と同様に、第2転送モード及び第3転送モードの両方の判定に要する時間が、各判定に要する時間の和から、各判定に要する時間のうちの大きい方の時間に短縮される。
【0082】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、図3A乃至図3Cのいずれかに示す判定処理により、外部記録デバイス120が複数の規格のうちのどの規格に対応しているかを、第1の実施形態よりも短時間で判定することが可能となる。
【0083】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0084】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0085】
100…半導体装置、101…第1記録制御部、102…第1物理層、103…第2記録制御部、104…第2物理層、105…第3記録制御部、106…第3物理層、107…信号線切替部、108…システム制御部、110…外部記録デバイスコネクタ、120…外部記録デバイス、150…第3転送モード用電源生成部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C