(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】簡易建物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
E04B1/343 E
(21)【出願番号】P 2020064296
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2019221456
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 純平
(72)【発明者】
【氏名】竹田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】隈元 友樹
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0312355(US,A1)
【文献】国際公開第2007/063651(WO,A1)
【文献】特許第7359671(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 6/02
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の額縁および一対の方立により枠組みされた枠体にパネルが支持されたパネルユニットと、パネルユニットの枠体の上部および下部を呑み込んで支持する上桟および下桟とを備え、
パネルユニットは、上下の額縁またはその少なくとも一方に設けた外観視側ねじ孔を有し、
上桟および下桟またはその少なくとも一方は、内観視側ねじ孔を有
し、
方立は、上部および下部またはその少なくとも一方に、内外方向で同一位置となるように対をなして設けたねじ止め孔を有しており、
外観視側ねじ孔と内観視側ねじ孔は、上下またはその少なくとも一方が内外方向で同一位置にあり、外観視側ねじ孔
および一のねじ止め孔を介して一の固着部材で上額縁または下額縁と方立が固着され、内観視側ねじ孔
および他のねじ止め孔を介して他の固着部材で上桟または下桟と方立が固着されていることを特徴とする簡易建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側面および/または背面にパネル体を備えた簡易建物に関する
【背景技術】
【0002】
簡易建物としては、例えば、下記非特許文献1に記載されているように、目隠しや雨風の吹込みを防ぐためのパネル体を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社が2019年6月に発行したカタログ「パブリックエクステリアカタログ2019(STX1265B)」の第105ページに記載の屋根付き組立建物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の従来の簡易建物は、屋根を支える支柱の外側面に対して取付けられた上下桟の間に複数のパネルと、中間部方立を取付けることでパネル体を形成している。
しかしながら、従来のパネル体は、一枚のパネルの嵌め込み毎に、中間部方立を上下桟に嵌め込むと共に、ボルト・ナットにより上下桟に固定して形成されるものであるため、パネル体の形成作業が非効率的であった。
このことから、パネル体の形成作業を効率よく行える簡易建物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために本発明による簡易建物は、上下の額縁および一対の方立により枠組みされた枠体にパネルが支持されたパネルユニットと、パネルユニットの枠体の上部および下部を呑み込んで支持する上桟および下桟とを備え、パネルユニットは、上下の額縁またはその少なくとも一方に設けた外観視側ねじ孔を有し、 上桟および下桟またはその少なくとも一方は、内観視側ねじ孔を有し、方立は、上部および下部またはその少なくとも一方に、内外方向で同一位置となるように対をなして設けたねじ止め孔を有しており、外観視側ねじ孔と内観視側ねじ孔は、上下またはその少なくとも一方が内外方向で同一位置にあり、外観視側ねじ孔および一のねじ止め孔を介して一の固着部材で上額縁または下額縁と方立が固着され、内観視側ねじ孔および他のねじ止め孔を介して他の固着部材で上桟または下桟と方立が固着されていることを特徴とする。
【0006】
また、本明細書は、別の態様として、一対の額縁および一対の方立により枠組みされた枠体にパネルが支持されたパネルユニットと、パネルユニットの枠体の上部および下部を呑み込んで支持する上桟および下桟とを備え、パネルユニットは、枠体の上部と下部にねじ止め孔が設けられており、枠体の上部と下部の少なくとも一方のねじ止め孔が、内観視側と外観視側で同一位置にあることを特徴とする簡易建物も開示する。
また、本明細書は別の態様として、一対の額縁および一対の方立により枠組みされた枠体にパネルが支持されたパネルユニットと、パネルユニットの枠体の上部および下部を呑み込んで支持する上桟および下桟とを備え、パネルユニットは、枠体の上部と下部とにねじ止め孔が設けられており、ねじ止め孔は、枠体の上部および下部の内観視側と外観視側に夫々設けられていると共に、内観視側と外観視側で同一位置にあることを特徴とする簡易建物も開示する。
【0007】
また、本明細書は別の態様として一対の額縁および一対の方立により枠組みされた枠体にパネルが支持されたパネルユニットと、パネルユニットの枠体の上部および下部を呑み込んで支持する上桟および下桟とを備え、パネルユニットは、枠体の上部と下部にねじ止め孔が設けられており、枠体の上部と下部のうちの一方は、額縁を一方向に向けて取付けた状態でのねじ止め孔と、額縁を一方向から反転させて他方向に向けて取付けた状態でのねじ止め孔が、内観視側と外観視側で同一位置にあることを特徴とする簡易建物も開示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上の構成により、パネル体の形成作業を効率よく行える簡易建物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の簡易建物の側面図である。
【
図3】
図1の(3)-(3)線一部切欠拡大断面図である。
【
図4】(a)は、
図3における上側の仮想線で囲んだ部分の拡大図であり、(b)は、
図3における下側の仮想線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図5】(a)は、
図1の(5)-(5)線拡大断面図であり、(b)は、パネルユニットの取付け方法の説明図である。
【
図6】パネルユニットの正面図であり、(a)は、取付け状態において外側に面する外観視側を示し、(b)は、取付け状態において内側に面する内観視側を示す。
【
図7】パネルユニットの正面図であり、(a)は、パネルユニットの取付け状態において左側の外側に面する外観視側を示し、(b)は、パネルユニットの取付け状態において右側のの外側に面する外観視側を示す。
【
図8】パネルユニットの取付け状態を示す拡大図であり、(a)は、左側に取付けた状態を示し、(b)は、右側に取付けた状態を示す。
【
図9】パネルユニットの他の形態を示す正面図であり、(a)は、(a)は、取付け状態において外側に面する外観視側を示し、(b)は、取付け状態において内側に面する内観視側を示す。
【
図10】
図9に示すパネルユニットを取付けた状態を示す断面図であり、(a)は上桟側を示し、(b)は下桟側を示す。
【
図11】
図9に示すパネルユニットの取付け状態を示す拡大図であり、(a)は、左側に取付けた状態を示し、(b)は、右側に取付けた状態を示す。
【
図12】
図3の(12)-(12)線断面図である。
【
図14】
図3の(14)-(14)線断面図である。
【
図15】
図1の(15)-(15)線拡大断面図である。
【
図17】排水経路の説明図であり、(a)は、
図1における仮想線で囲んだ部分の一部切欠拡大図、(b)は、(a)における仮想線で囲んだ部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易建物Aを説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0011】
[簡易建物の構成]
本実施形態で示す簡易建物Aは、
図1および
図2に示すように、屋根1および複数のパネルユニット2からなるパネル体2Aを備えたものである(例えば、カーポートやサイクルポート等)。
屋根1は、
図1および
図2に示すように、地面Gに立設された左右の支柱3と、支柱3の上端に架設された梁4とで門型に形成されたフレームFに支持されている。
フレームFは、
図1において、前後に2組立設されており、フレームFの間には、補助支柱(支柱)3aが立設されている。
パネル体2Aは、
図1および
図2に示すように、簡易建物Aの両側部の略全域をカバーするように配置されており、梁4および補助支柱3aに設けられたブラケット5aと、支柱および補助支柱3aに設けられたブラケット5bを介して取付けられた上桟6aと下桟6bとの間で支持されている。
なお、以下の説明において、
図1に示すように、簡易建物Aの屋根1の端部が高い側を前側とし、低い側を後側とする。
また、
図2に示すように、簡易建物Aにおける屋根1に覆われている側を内側とし、パネル体2Aを境として内側と反対側を外側とする。
また、各図において「内側」と「外側」、「前側」と「後側」を記載している。
【0012】
[パネルユニットの構成]
パネルユニット2は、
図3~
図6に示すように、上下額縁20、21と前後方立22、23により枠組みされた枠体2aにパネル24が支持されてなるユニットとしたものであり、上桟6aと下桟6bとの間にけんどん方式で嵌合されている。
【0013】
枠体2aは、
図6(a)(b)に示すように、上額縁20を前側が高く後側が低くなる傾斜状とした略台形に形成されたものであり、上額縁20の傾斜が
図1に示すように、屋根の傾斜に沿わせて取付けられた上桟6aの傾斜に沿う角度として設定されて形成されている。
【0014】
上額縁20は、
図6(a)(b)に示すように、鉛直方向に立てられる前後方立22、23の上部に架渡すように配置されている。
上額縁20は、
図4(a)、
図6(a)(b)に示すように、上面部20aにパネル24およびパネル24の外周に配されたグレージングチャンネル240を呑み込む凹部200aを有している。
また、上額縁20は、前後方立22,23の外側の見付面25aと対面するように固定面20bが設けられており、この固定面20bからビスb10をねじ込むようにされている。
固定面20bの上方には、見込方向の外側に向かって突設された保持突起20cを有し、一方上面部20aの最も内側の端部には、内側方向に向かって傾斜するように垂下状に設けられた弾性面20dを有している。
保持突起20cは、
図4(a)に示すように、ねじ込まれたビスb10の頭よりも外側に位置しており、ビスb10の頭が保持突起20cの最も外側の面から突出しないようにすることで、ビスb10が引っ掛かることなく、パネルユニット2を上桟6aにスムースに嵌合することができるようにされている。
弾性面20dは、
図4(a)に示すように、下端が前後方立22、23の上面よりも上側に位置していると共に、上桟6aに嵌合してビスb1で固着された状態で、上桟6aの嵌合凹部61a内における内側の見付面610aに圧接されて外側方向に変形する力が生じる。
そして、弾性面20dには、外側方向に変形する力に対して戻ろうとする反力が生じ、この反力が保持突起20cを上桟6aの嵌合凹部61a内における外側の見付面620aに押し付ける力として作用するため、パネルユニット2を上桟6aの嵌合凹部61a内において、ガタツキなく嵌合することができる。
上額縁20と前後方立22、23とは、上額縁20の固定面20bの外側の見付面200から前後方立22,23の外側の見付面25aに見込方向にビスb10をねじ込むことによって連結されている。
下額縁21は、
図6(a)(b)に示すように、前後方立22、23の間に水平状態で配置されている。
下額縁21と前後方立22、23とは、下額縁21と前後方立22、23の外周側の見込面22a、23aから見付方向に向かって、下額縁21のタッピングホールh(
図4(b)参照)にビスb11をねじ込むことによって連結されている。
【0015】
前後方立22、23は、
図6(a)(b)に示すように、前方立22が後方立23よりも鉛直方向に長いものが用いられており、上部において前後方向に段差が生じるように配置されている。
この段差は、前後方立22、23に対して上額縁20を載せることによって、上額縁20を上桟6aの傾斜に沿う所定の角度で傾斜させるためのものである。
前後方立22、23の長さは、上額縁20が載せられたときに、上額縁20を前述した所定の角度で傾斜させる段差を生じさせる長さとして設定されている。
【0016】
このようなパネルユニット2は、ビスb10を見込方向にねじ込むことで、上額縁20と前後方立22、23とを連結しているため、前後方立22、23に対して上額縁20を傾斜した状態で容易に連結することができる。
また、ビスb10を見込方向にねじ込む連結構造は、前後方立22、23を同じ長さとして上額縁20を水平とした略長方形のパネルユニット2を形成する場合でも用いることができる(図示せず)。
すなわち、パネルユニット2は、屋根1および上桟6aの傾斜角度に応じた上額縁20の傾斜角度を容易に設定できるので、屋根1および上桟6aの多様な傾斜角度に対応したパネルユニット2の形成が容易にできる。
また、パネルユニット2は、上下額縁20、21と前後方立22,23とからなる枠体2aにパネル24が支持されてなるユニットであるので、上下桟6a、6bに対して額縁や方立等を設けることなく嵌合することができる。
【0017】
本実施形態のパネルユニット2は、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、外側に面する見付面25a側と内側に面する見付面26a側のデザインが異なった非対称形状のパネルユニット2である。
具体的には、
図4(b)、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、下額縁21における外側に面する見付面25a側の下桟6bから露出する部位にのみ傾斜面部21aが形成されていると共に、下額縁21における内側に面する見付面26a側に鉛直方向に設けられた直線面部21bが形成されたものである。
図7(a)(b)および
図8(a)(b)に示すように、左側のパネルユニット(a)2と右側のパネルユニット(b)2とは、外側に傾斜面部21aが位置する左右対称となるように配置される。
すなわち、左側のパネルユニット(a)2と右側のパネルユニット2(b)は、互いに長い側が前方立22とし、互いの上額縁20および下額縁21の向きが左右対称となるように、垂直軸で180度回転させて前後方立22、23に取付けることで、左仕様のパネルユニット(a)2と右仕様のパネルユニット(b)2とを形成することができる。
また、下桟6bの外側から露出する下額縁21の傾斜面21aによって、パネル24から流れ落ちる水が下額縁21上に残り難くすることができる。
【0018】
パネルユニット2は、
図4(a)、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、上桟6aに呑み込まれる部分に相当する後方立22と前方立23の上部側の見付面25aおよび見付面26aに、それぞれねじ止め孔27aが設けられている。
また、下桟6bに呑み込まれる部分に相当する後方立22と前方立23の下部側の見付面26aに、それぞれねじ止め孔27bが設けられている。
ねじ止め孔27a、27bは、
図4(a)(b)、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、後方立22と前方立23の見付面25aおよび見付面26aの上部にそれぞれ2か所ずつ設けられている。
見付面25aと見付面26aとに設けられたねじ止め孔27a同士およびねじ止め孔27b同士は、見付面25aと見付面26aとにわたる見込方向を軸に対して同軸で配置されている。
また、上下のねじ止め孔27a、27bの径方向の中心線が、同一の鉛直線上に位置するように配置されている。
【0019】
図4(a)(b)に示すように、外側を向くねじ止め孔27aが上額縁20に固定するためのビスb10のねじ孔となり、内側を向くねじ止め孔27aが上桟6aに固定するためのねじ孔となっている。
また、ねじ止め孔27bは、外側を向くねじ止め孔27bにはビスb1がねじ込まれず、内側を向くねじ止め孔27bが下桟6bに固定するためのねじ孔となっている。
このため、前後方立22、23を左右に反転させた場合、外側を向くねじ止め孔27aがビスb10のねじ孔となり、内側を向くねじ止め孔27aが上桟6aに固定するためのねじ孔となり、ビスb1がねじ込まれていなかったねじ止め孔27bが下桟6bに固定するためのねじ孔となる。
【0020】
このような配置構成としたねじ止め孔27a、27bを有するパネルユニット2によると、パネルユニット2の取付け状態において外側に面する外観視側(
図6(a)参照)のねじ止め孔27a、27bと、パネルユニット2の取付け状態において内側に面する内観視側(
図6(b)参照)のねじ止め孔27a、27bとが同一位置に配置されることになる。
このため、前述のように形成した左側のパネルユニット(a)2と右側のパネルユニット(b)2を、それぞれ左右の上桟6aおよび下桟6bに嵌合した場合でも、ねじ止め孔27aおよびねじ止め孔27bが、上桟6aおよび下桟6bに設けられたねじ止め孔60aおよびねじ止め孔60bと同軸となる。
したがって、左右のパネルユニット2の各部品を共有できると共に、上桟6aおよび下桟6bに新たなねじ止め孔を設けることなく、パネルユニット2を上桟6aおよび下桟6bにねじ止めできる。
また、前後方立22、23は、それぞれ、左右勝手および上下勝手なく、左右反転および上下反転させても、同様の形態の方立として使用することができると共に、ねじ止め孔27a、27bが上桟6aおよび下桟6bに呑み込まれるため、ねじ止め孔27a、27bが露出することがない。
【0021】
前後方立22、23を同じ長さとして上額縁20を取付けることによって、上額縁20および下額縁21が水平となるため、略長方形のパネルユニット2を形成することができる(図示せず)。
略長方形とするパネルユニット2は、
図9(a)(b)~
図11に示す構成によっても形成することができる。
具体的には、前述の略台形としたパネルユニット2で用いられた構造の前方立22と後方立23を同じ長さとして形成している。
また、この前方立22と後方立23との間に、前述の略台形としたパネルユニット2で用いられた構造の下額縁21を固定している。
そして、前方立22と後方立23との間に、断面コ型に形成された上額縁20’を配置し、前後方立22、23の外周側の見込面22a、23aから見付方向に向かって、下額縁21のタッピングホールh(
図10(a)参照)にビスb11をねじ込むことによって連結されている。
このような略長方形のパネルユニット2を形成する際にも、略台形のパネルユニット2で用いられた前後方立22、23と同じ構成の前後方立22、23を用いることができる。
略長方形のパネルユニット2は、屋根1が水平の場合での簡易建物Aの左右側面に配置する場合に用いられると共に、簡易建物Aの後側面に配置する場合に用いられる。
【0022】
前述のパネルユニット2は、枠体2aの上部側に設けられたねじ止め孔27aと、枠体2の下部側に設けられたねじ止め孔27bとが、上額縁20および下額縁21を外側に向けた状態でも、内側に向けた状態でも、内観視側と外観視側とで同一位置となるようにされている。
本発明では、枠体の上部側のねじ止め孔27aと、下部側のねじ止め孔27bのうちの一方が、上額縁20および下額縁21を外側に向けた状態でも、内側に向けた状態でも、内観視側と外観視側とで同一位置となるようにしてもよい(図示せず)。
【0023】
図5(a)に示すように、パネルユニット2の後方立22の外周側の見込面22aには、嵌合部7aが突設され、一方、前方立23の外周側の見込面23aには、被嵌合部7bが凹設されていると共に、位置決め突起部7cが突設されている。
嵌合部7aおよび被嵌合部7b並びに位置決め突起部7cは、後方立22および前方立23の上下方向の全長にわたるように設けられている。
嵌合部7aおよび被嵌合部7b並びに位置決め突起部7cは、
図5(a)に示すように、パネルユニット2が上下桟6a、6bに嵌合されたとき、前後方向で隣り合うパネルユニット2同士の後方立22と前方立23とがそれぞれの見込面22a、23aで対面し、対面状態において嵌合部7aが被嵌合部7bに嵌合すると共に、位置決め突起部7cの先端が後方立22の見込面22aに当接するようにされている。
また、パネルユニット2が上下桟6a、6bに嵌合されたとき、
図5(a)に示すように、隣り合うパネルユニット2の対面する後方立22の見込面22aと前方立23の見込面23aとの間に、後述する排水経路Sの一部を構成する隙間S1が確保される。
嵌合部7aと位置決め突起部7cの突出長さは、
図5(a)に示すように、嵌合部7aが被嵌合部7bに嵌合すると共に、位置決め突起部7cが後方立22の見込面22aに当接したとき、後方立22と前方立23との間に隙間S1を確保できる長さとして設定されている。
【0024】
すなわち、複数のパネルユニット2が上下桟6a、6bに嵌合されたときに、後方立22の嵌合部7aが前方立23の被嵌合部7bに嵌合されることにより、パネルユニット2の上下方向の強度を確保することができる。
これによって、
図1に示すように、パネルユニット2の上下方向の長さを屋根1から地面G近くにわたる範囲を覆う長さにしたとしても、嵌合部7aが被嵌合部7bに嵌合することによる上下方向の強度確保によって、パネルユニット2に補強のための中桟等を設ける必要がなく、パネルユニット2を縦長のパネル24のみでされたような意匠とすることができる。
また、パネルユニット2の外側の見付面25aおよび内側の見付面26aにおいて、嵌合部7aおよび位置決め突起部7cによって隙間S1が塞がれているため、雨や雪あるいは結露等によって生じる水の入り込みを抑制することができる。
また、嵌合部7aと位置決め突起部7cのいずれの側が外側に配置される場合でも、パネルユニット2の外側の見付面25aおよび内側の見付面26aで隙間S1を塞いでいるので、簡易建物Aの内側への水の入り込みを抑制できる。
また、嵌合部7aおよび位置決め突起部7cによる外側と内側とにそれぞれ面する二重の防水構造となるため、簡易建物Aの内側への水の入り込みの抑制について効果的である。
隙間S1は、隣り合うパネルユニット同士の間に入り込だ前述の水を滞留させずに、後述の排水経路Sに流れ落ちやすくするためのものであり、万が一水が入り込んだ場合でも、排水経路Sに流し落とすことができるため、簡易建物Aの内側への水の入り込みの抑制に効果的である。
【0025】
[上桟および下桟の構成]
上桟6aは、
図3および
図4(a)、
図12、
図15、
図16に示すように、梁4の上面40および補助支柱3aの上端30aに固着されたブラケット5aを介して固定され、下桟6bは、
図3および
図4(b)、
図14に示すように、支柱3の左右の見込面30および補助支柱3aの左右の見込面31aに固着されたブラケット5bを介して固定されている。
上桟6aと下桟6bとは、
図4(a)(b)、
図12、
図13に示すように、支柱3の外側の見付面31側および補助支柱3aの外側の見付面32a側に位置していると共に、パネルユニット2の上部側が嵌合される上桟6aの嵌合凹部61aと、パネルユニット2の下部側が嵌合される下桟6bの嵌合凹部61bとが、上下方向で正対するように配置されている。
【0026】
上桟6aと下桟6bの左右端部610、620には、
図1および
図5(a)に示すように、竪枠8a、8bが配置されており、この竪枠8a、8bによって、上桟6aの嵌合凹部61aおよび下桟6bの嵌合凹部61b並びに上桟6aと下桟6bとで支持されたパネルユニット2を隠すことができるようにされている。
パネルユニット2の取付け時においては、後側のパネルユニット2から取付けると共に、ねじ止めを行い、これを順次繰り返すことで取付けられる。
具体的には、
図1および
図5(b)に示すように、竪枠8a、8bを外しておき、上桟6aの嵌合凹部61aと下桟6bの嵌合凹部61bとに最も後側のパネルユニット2を嵌合し、ねじ止めした後、前側のパネルユニット2をけんどん方式で嵌合して前側から後側にスライドさせてねじ止めすることで、パネルユニット2を上桟6aと下桟6bの間に配置する。
最後に、前後両端部の方立22、23に竪枠8a、8bをねじ止めすることで、パネル体2Aを形成できるようにされている。
【0027】
上桟6aの内側の見付面62aには、
図4(a)に示すように、パネルユニット2のねじ止め孔27aと同軸となる位置にねじ止め孔60aが設けられており、上桟6aの内側からビスb1をねじ止め孔60aとねじ止め孔27aにねじ込むことで、パネルユニット2を上桟6aに固着している。
上桟6aに対するパネルユニット2の固着は、
図4(a)に示すように、上桟6aの外側からのねじ込み作業がなく、上桟6aの内側からのビスb1のねじ込み作業のみであるため、簡易建物Aの外側に作業スペースがない場合でもねじ込み作業を行うことができる。
ねじ止め孔60aは、
図4(a)に示すように、上桟6aの内側の見付面62aに凹設された凹部63a内に設けられており、ビスb1をねじ込んだときにビスb1の頭が全て凹部63a内に収められるようにされている。
そして、凹部63aの開放側が目板64aによって塞がれており、この目板64aによって、ねじ止め孔60aにねじ込まれるビスb1を隠すことができる。
すなわち、パネルユニット2の上部が上桟6aの嵌合凹部61aに嵌合されてビスb1をねじ込んだ場合でも、このビスb1を目板64aが隠しているので、ビスb1の存在による簡易建物Aの内観視における意匠性の低下を防ぐことができる。
上桟6aの嵌合凹部61aの深さは、
図4(a)に示すように、上額縁20が全部嵌合される深さ以上にされており、パネルユニット2の取付け状態において、上額縁20およびねじ止め孔27aを含むパネルユニット2の上部側を隠すことができるようにされている。
すなわち、パネルユニット2の上部が上桟6aの嵌合凹部61aに嵌合されたときに、嵌合凹部61aが外側を向くねじ止め孔27aにねじ込まれるビスb10を隠しているので、ビスb10の存在による簡易建物Aの外観視における意匠性の低下を防ぐことができる。
【0028】
上桟6aの内側の見付面62aにおける凹部63aの上方には、
図4(a)に示すように、ねじ止め孔60aと平行な軸を有するねじ止め孔65aが設けられている。
ねじ止め孔65aは、
図4(a)および
図12に示すように、ブラケット5aの外側の見付面50aと対面すると共に、見付面50aに設けられたねじ止め孔51aと同軸となる位置に設けられている。
ねじ止め孔65aとねじ止め孔51aとは、
図12、
図13、
図16に示すように、互いに見付面25aと見付面26aとにわたる見込方向を軸として複数設けられていると共に、複数のねじ止め孔65aとねじ止め孔51aとが、互いに一定間隔を持って前後方向に並んで設けられている。
そして、ブラケット5aの内側からビスb2をねじ止め孔51aとねじ止め孔65aにねじ込むことで、上桟6aをブラケット5aに固着している。
ブラケット5aに対する上桟6aの固着は、
図4(a)、
図12、
図13、
図16に示すように、ブラケット5aの外側からのねじ込み作業がなく、ブラケット5aの内側からのビスb2のねじ込み作業のみであるため、簡易建物Aの外側に作業スペースがない場合でもねじ込み作業を行うことができる。
【0029】
ここで、ブラケット5aは、
図12、
図16に示すように、簡易建物Aの内側方向が開放された平面視コ型に形成されたものである。
ブラケット5aは、
図4(a)、
図12、
図13、
図16に示すように、下方に設けられた2か所の固定板52aを、梁4の上面40および補助支柱3aの上端30aに載せると共に、固定板52aの上方から梁4の上面40および補助支柱3aの上端30aにビスb3をねじ込むことによって、梁4の上面40に固定されている。
また、ブラケット5aは、
図4(a)
図12、
図13、
図16に示すように、上桟6aの外側の見付面62aと対面し、ねじ止め孔51aが設けられた支持板510aが設けられている。
ねじ止め孔51aは、パネルユニット2の上面部20aにおいて最も高所となる部位の上面よりも上方で上桟6aにビスb2をねじ込むことができる位置に配置されている。
すなわち、ブラケット5aを梁4の上面40および補助支柱3aの上端30aに固定すると共に、パネルユニット2の上面部20aにおいて最も高所となる部位の上面よりも上方で上桟6aを固定しているので、上桟6aの位置を屋根1の下側に対して近接、或いは当接する位置に配置することができる。
また、ブラケット5aは、梁4の上面40および補助支柱3aの上端30aという高所であって、外側および内側から見えにくい位置に固定されているので、ブラケット5aの存在による簡易建物Aの外観視および内観視における意匠性の低下を防ぐことができる。
また、ねじ止め孔51aは、
図4(a)および
図13に示すように、上下方向に長い長孔であり、この長孔としたねじ止め孔51aによって、上桟6aの傾斜によって上下方向にずれて現れるねじ止め孔65aをねじ止め孔51aに対面させることができるので、ねじ止め孔65aとねじ止め孔51aとにビスb2を確実にねじ込むことができる。
ブラケット5aの内側には、
図4(a)、
図12、
図13、
図16に示すように、ビスb2を隠す目板53aが設けられており、この目板53aによってビスb2を隠すことができるので、ビスb2の存在による簡易建物Aの内観視における意匠性の低下を防ぐことができる。
【0030】
下桟6bは、
図4(b)および
図14に示すように、下桟6bの内側の見付面62bにパネルユニット2のねじ止め孔27bと同軸となる位置にねじ止め孔60bが設けられており、上桟6aの内側からビスb1をねじ止め孔60bとねじ止め孔27bにねじ込むことで、パネルユニット2を下桟6bに固着している。
下桟6bに対するパネルユニット2の固着は、
図4(b)に示すように、下桟6bの外側からのねじ込み作業がなく、下桟6bの内側からのビスb1のねじ込み作業のみであるため、簡易建物Aの外側に作業スペースがない場合でもねじ込み作業を行うことができる。
ねじ止め孔60bは、下桟6bの内側の見付面62bに凹設された凹部63b内に設けられており、ビスb1をねじ込んだときにビスb1の頭が全て凹部63b内に収めらるようにされている。
そして、凹部63bの開放側が目板64bによって塞がれており、この目板64bによって、ねじ止め孔60bにねじ込まれるビスb1を隠すことができる。
すなわち、パネルユニット2の下部が下桟6bの嵌合凹部61bに嵌合されてビスb1をねじ込んだ場合でも、このビスb1を目板64bが隠しているので、ビスb1の存在による簡易建物Aの内観視における意匠性の低下を防ぐことができる。
下桟6bの嵌合凹部61bは、
図4(b)に示すように、外側が低く内側が高い形状に形成されているので、パネルユニット2をけんどん方式で嵌め込む際に、パネルユニット2を内側から外側に持ち出して、外側からパネルユニット2の上部を上桟6aに嵌合し、パネルユニット2の下部を下桟6bに嵌合する作業が行いやすい。
パネルユニット2の取付け状態において、外側では、下額縁21のねじ止め孔27bが隠れ、内側では、下額縁21のねじ止め孔27bが隠れるようにされている。
すなわち、パネルユニット2の下部が上桟6bの嵌合凹部61bに嵌合されたときに、ねじ止め孔27bの存在による簡易建物Aの外観視における意匠性の低下を防ぐことができる。
【0031】
下桟6bの内側の見付面62bにおける凹部63bの下方には、
図4(b)に示すように、ねじ止め孔60bと平行な軸を有するねじ止め孔65bが設けられている。
ねじ止め孔65bは、
図4(b)および
図14に示すように、ブラケット5bの固定板50bにおける外側の見付面51bと対面すると共に、固定板50bに設けられたねじ止め孔52bと同軸となる位置に設けられている。
ねじ止め孔65bとねじ止め孔52bとは、
図4(b)および
図14に示すように、互いに見付面25aと見付面26aとにわたる見付方向を軸として複数設けられていると共に、複数のねじ止め孔65bとねじ止め孔52bとが、互いに上下方向に一定間隔を持って設けられている。
そして、固定板50bの内側からビスb3をねじ止め孔65bとねじ止め孔52bにねじ込むことで、下桟6bをブラケット5bに固着している。
ブラケット5bに対する下桟6aの固着は、
図4(b)、
図14に示すように、ブラケット5bの外側からのねじ込み作業がなく、ブラケット5bの内側からのビスb3のねじ込み作業のみであるため、簡易建物Aの外側に作業スペースがない場合でもねじ込み作業を行うことができる。
【0032】
ここで、ブラケット5bは、支柱3の前後の見込面30および補助支柱3aの前後の見込面30aにそれぞれ固着される一対のものであり、下桟6bの内側の見付面62bに対面する固定板50bと、見込面30および見込面31aに対面する固定板53bとを備えた平面視L型に形成されたものである。
ブラケット5bは、固定板53bを支柱3の見込面30および補助支柱3aの見込面31aに対面させると共に、固定板52aの見込面側から見込面30および見込面31aにビスb3をねじ込むことによって、支柱3および補助支柱3aに固定されている。
【0033】
[パネルユニットの取付け施工手順]
ここで、パネルユニット2の取付け施工手順を説明する。
第1工程:梁4の上面40および補助支柱3aの上端30aにブラケット5aを固着すると共に、支柱3の前後の見込面30、31aにブラケット5bを固着する(
図4(a)(b)、
図12、
図13、
図14、
図16参照)。
第2工程:ブラケット5aに上桟6aを固着すると共に、ブラケット5bに下桟6bを固着する(
図4(a)(b)、
図12、
図13、
図14、
図16参照)。
この工程では、長孔としたねじ止め孔51aにより、上桟6aが屋根1の傾斜に合わせて傾斜させた状態としてビスb2をねじ込む。
また、ブラケット5aの内側からビスb2をねじ込む。
第3工程:パネルユニット2を上桟6aの嵌合凹部61aと下桟6bの嵌合凹部61bにけんどん方式で嵌合して配置する。
この工程では、最も後側に配置されるパネルユニット2を嵌合して前側から後側へスライドさせる。
また、パネルユニット2の嵌合作業は、簡易建物Aの内側から行われる。
第4工程:上桟6aおよび下桟6bに対してパネルユニット2を固着する(
図4(a)(b)参照)。
この工程では、上桟6aおよび下桟6bの内側からビスb1をねじ込む。
そして、第3工程および第4工程を順次繰り返すことで全てのパネルユニット2を配置することができると共に、複数のパネルユニット2からなるパネル体2Aを形成することができる。
最後に前後両端部の前方立22および後方立23に竪枠8a、8bをねじ込み固定することにより、パネル体2Aが上下桟6a、6bおよび竪枠8a、8bに固定することができる。
【0034】
本実施形態の簡易建物Aは、前述したパネルユニット2の構成および上桟6a、下桟6bの構成によって、パネルユニット2を前述したパネルユニット2の取付け施工手順で取り付けることができる。
すなわち、上下額縁20、21と前後方立22、23を有してユニット化されたパネルユニット2であるので、上下桟6a、6bに額縁や方立を設けることなくパネルユニット2を配置することができるので、パネルユニット2の配置作業が簡単、且つ効率的にできる。
また、簡易建物Aの外側に作業スペースがない場合でも、簡易建物Aの内側からパネルユニット2の配置作業を行うことができる。
また、パネルユニット2のけんどん方式による嵌合作業、上下桟6a、6bとブラケット5a、5bとのねじ止めによる固着作業および上下桟6a、6bとパネルユニット2とのねじ止めによる固着作業が、いずれも、簡易建物Aの内側からの作業であるので、簡易建物Aの外側に作業スペースがない場合でも、簡易建物Aの内側からパネルユニット2のけんどん方式による嵌合作業および上下桟6a、6bに対するパネルユニット2の固着作業を行うことができる。
また、上桟6aと下桟6bとによってパネルユニット2の配置状態が保持されるため、パネルユニット2の固着作業時に、パネルユニット2を作業者が支えることなく行うことができる。
また、上桟6aをブラケット5aを介して取付けることで、屋根1の下側に対して近接、或いは当接する位置に配置することができるため、屋根1の下端と上桟6aの上端との間隔を狭くする、或いはなくすことができ、これによって、簡易建物Aの内側への風雨の吹込みを防ぐことができると共に、簡易建物Aのデザインを良好なものとすることができる。
【0035】
[排水経路の構成]
前述の排水経路Sは、
図4(b)、
図5(a)、
図17(a)(b)に示すように、下桟6bの嵌合凹部61bの底部S2と、隣り合うパネルユニット2間に形成された隙間S1と、前後竪枠8a、8bの空間S3と、下桟6bの下端に空間S3と前後方向で対面するように設けられた排水凹部S4と、前後竪枠8a、8bの下端の全域を塞ぐ平面形状として形成された端部キャップ80aとから構成されている。
底部S2は、
図5(a)に示すように、隙間S1の下端側で隙間S1と連通され、排水経路Sの出口となる下桟6bの前後端部610、620が前後竪枠8a、8bの空間S3に臨んで入り込むことで連通されている。
端部キャップ80aは、竪枠8a、8bの下端に対してねじ止めによって固着されている。
端部キャップは80aは、
図17(a)(b)に示すように、竪枠8aの下端から下桟6bの下端側に向かうように延設されており、端部キャップ80aの下桟6bの下端側に延設された面が下桟6bの下端側と対面していると共に、排水凹部S4の一部と対面するように設けられている。
端部キャップ80aの構成は、前後竪枠8a、8b側で同じ構成を有するものであるので、
図17(a)(b)において後側の竪枠8bのみを図示した。
このような排水経路Sは、
図5(a)、
図17(a)(b)に隙間S1に浸水した水が、隙間1から底部S2へと流れ落ち、底部S2に流れ落ちた水を空間S3に流入させることができる。
空間S3に流入した水は、
図17(a)(b)に示すように、空間S3内で流れ落ちて端部キャップ80aによって受け止められると共に、端部キャップ80aから排水凹部S4へ案内されることで排水凹部S4から外部に排水される。
また、空間S3に浸水した水は、
図17(a)(b)に示すように、空間S3内で流れ落ちて端部キャップ80aによって受け止められると共に、端部キャップ80aから排水凹部S4へ案内されることで排水凹部S4から外部に排水される。
【0036】
なお、排水経路Sは、嵌合凹部61bの左端部620が最も低くなると共に、水を流すことができる程度のわずかは傾斜を有する構成としてもよい。
【0037】
このような構成の排水経路Sによると、隙間S1に浸水して流れ落ちる水を底部S2が受け止めて空間S3から端部キャップ80aを経て排水凹部S4から外部へと排水できるので、浸水した水の滞留を防止できる
また、空間S3に浸水して流れ落ちるた水が端部キャップ80aが受け止めて、この端部キャップ8aを経て排水凹部S4から外部へと排水できるので、浸水した水の滞留を防止できる。
これによって、浸水によって生じるパネルユニット2や下桟6bに対する悪影響を軽減し、簡易建物Aを長期にわたって破損等の発生を抑制することができる。
【0038】
本実施形態の簡易建物は、上桟6aをブラケット5aを介して取付けることで、屋根1の下側に対して近接、或いは当接する位置に配置することができるため、屋根1の下端と上桟6aの上端との間隔を狭くする、或いはなくすことができ、これによって、簡易建物Aの内側への風雨の吹込みを防ぐことができると共に、良好なデザインを有する簡易建物Aを提供できる。
また、パネルユニット2は、屋根1および上桟6aの傾斜角度に応じた上額縁20の傾斜角度を容易に設定できるので、屋根1および上桟6aの多様な傾斜角度に対応したパネルユニット2の形成が容易にでき、しかも、現場において上額縁20の傾斜角度の設定も可能である。
また、パネルユニット2は、上下額縁20、21と前後方立22,23とからなる枠体2aにパネル24が支持されてなるユニットであるので、上下桟6a、6bに対して額縁や方立等を設けることなく嵌合することができる。
また、前後方立22、23は、外観視側と内観視側ねじ止め孔27a、27bとが同一位置に配置されているため、左側のパネルユニット(a)2と右側のパネルユニット(b)2を、それぞれ左右の上桟6aおよび下桟6bに嵌合した場合でも、ねじ止め孔27aおよびねじ止め孔27bが、上桟6aおよび下桟6bに設けられたねじ止め孔60aおよびねじ止め孔60bと同軸となる。
したがって、左右のパネルユニット2の各部品を共有できると共に、上桟6aおよび下桟6bに新たなねじ止め孔を設けることなく、パネルユニット2を上桟6aおよび下桟6bにねじ止めできると共に、左右勝手および上下勝手なく、左右反転および上下反転させても、同様の形態の方立として使用することができる。
さらに、パネルユニット2が上下桟6a、6bに嵌合されたとき、隣り合うパネルユニット2の対面する後方立22の見込面22aと前方立23の見込面23aとの間に、排水経路Sの一部を構成する隙間S1を確保することができると共に、隙間S1に浸水して流れ落ちる水を底部S2が受け止めて空間S3から端部キャップ80aを経て排水凹部S4から外部へと排水できるので、浸水した水の滞留を防止し、浸水によって生じるパネルユニット2や下桟6bに対する悪影響を軽減し、簡易建物Aを長期にわたって破損等の発生を抑制することができる。
また、隙間S1は、隣り合うパネルユニット同士の間に入り込だ前述の水を滞留させずに、後述の排水経路Sに流れ落ちやすくすることができるため、万が一水が入り込んだ場合でも、排水経路Sの空間S3に流し落とすことができるため、簡易建物Aの内側への水の入り込みの抑制に効果的である。
また、複数のパネルユニット2が上下桟6a、6bに嵌合されたときに、後方立22の嵌合部7aが前方立23の被嵌合部7bに嵌合されることにより、パネルユニット2の上下方向の強度を確保することができる。
すなわち、パネルユニット2の上下方向の長さを屋根1から地面G近くにわたる範囲を覆う長さにしたとしても、嵌合部7aが被嵌合部7bに嵌合することによる上下方向の強度確保によって、パネルユニット2に補強のための中桟等を設ける必要がなく、パネルユニット2を縦長のパネル24のみで構成されたような意匠とすることができる。
また、パネルユニット2の外側の見付面25aおよび内側の見付面26aにおいて、嵌合部7aおよび位置決め突起部7cによって隙間S1が塞がれているため、雨や雪あるいは結露等によって生じる水の入り込みを抑制することができる。
また、嵌合部7aと位置決め突起部7cのいずれの側が外側に配置される場合でも、パネルユニット2の外側の見付面25aおよび内側の見付面26aで隙間S1を塞いでいるので、簡易建物Aの内側への水の入り込みを抑制できる。
また、嵌合部7aおよび位置決め突起部7cによる外側と内側とにそれぞれ面する二重の防水構造となるため、簡易建物Aの内側への水の入り込みの抑制について効果的である。
【0039】
以上、本発明に係る実施形態の簡易建物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0040】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
A:簡易建物
F:フレーム
G:地面
h:タッピングホール
1:屋根
2:パネルユニット
2’:パネルユニット
2A:パネル体
2a:枠体
20:上額縁
21:下額縁
22:後方立
23:前方立
24:パネル
21a:傾斜面部
21b:直線面部
22a:見込面
23a:見込面
25a:見付面
26a:見付面
27a:ねじ止め孔
27b:ねじ止め孔
200:見付面
20a:上面部
20b:固定面
20c:保持突起
20d:弾性面
240:グレージングチャンネル
200a:凹部
3:支柱
3a:補助支柱
30a:上端
30:見込面
31:見付面
31a:見込面
32a:見付面
4:梁
40:上面
5a:ブラケット
5b:ブラケット
50a:見付面
51a:ねじ止め孔
52a:固定板
53a:目板
50b:固定板
51b:見付面
52b:ねじ止め孔
53b:固定板
510a:支持板
6a:上桟
6b:下桟
60a:ねじ止め孔
60b:ねじ止め孔
61a:嵌合凹部
61b:嵌合凹部
62a:見付面
63a:凹部
64a:目板
65a:ねじ止め孔
62b:見付面
63b:凹部
64b:目板
65b:ねじ止め孔
610:後端部
620:前端部
7a:嵌合部
7b:被嵌合部
7c:位置決め突起部
7d:突起部
8a:竪枠
8b:竪枠
80a:端部キャップ
b1:ビス
b2:ビス
b3:ビス
b10:ビス
b11:ビス
S:排水経路
S1:隙間
S2:底部
S3:空間
S4:排水凹部