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特許7493377トナーおよびその製造方法ならびにそれを含む現像剤、それを搭載した画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】トナーおよびその製造方法ならびにそれを含む現像剤、それを搭載した画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20240524BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20240524BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G03G9/097 375
G03G9/097 365
G03G9/08 381
G03G15/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020076769
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021173839
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】和田 統
(72)【発明者】
【氏名】椿 頼尚
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174244(JP,A)
【文献】特開2014-035533(JP,A)
【文献】特開2017-090810(JP,A)
【文献】特開2018-005225(JP,A)
【文献】特開2008-281625(JP,A)
【文献】特開2014-157328(JP,A)
【文献】特開2017-173728(JP,A)
【文献】特開2014-164034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08-9/113
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともトナー母粒子とその表面に外添される外添剤とから構成され、
該外添剤が、100~300nmの平均二次粒子径、および平均一次粒子径d1と平均二次粒子径d2とから式:d2/d1により求められる2.2~2.7の会合度を有する会合型シリカ(但し、一次粒子が集合して球状になった粒子および一次粒子が凝集して塊状になった通常の形態の粒子を除く)、および15nm以下の平均一次粒子径を有する小粒子径シリカを含み、かつ
該トナー母粒子が、離型剤としてエステル系ワックスを含み、
前記会合型シリカおよび小粒子径シリカが、前記トナー母粒子に対してそれぞれ0.5~1.0質量%および0.5~1.3質量%の割合で含まれ、
示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との温度差が15~30℃である
ことを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記エステル系ワックスが、前記トナー母粒子中に0.5~5.0質量%の割合で含まれる請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において4000~6500のピークトップ分子量(Mp)を有する請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のトナーの製造方法であり、
前記トナー母粒子に第一外添剤成分として前記小粒子径シリカを添加・混合して、該トナー母粒子に該小粒子径シリカを外添する第一外添工程、および
得られたトナー母粒子に第二外添剤成分として前記会合型シリカをさらに添加・混合して、該トナー母粒子に該会合型シリカを外添する第二外添工程
を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1つに記載のトナーと、キャリアを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つに記載のトナーと、感光体表面を帯電する方式として帯電ローラシステムを搭載した画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーおよびその製造方法ならびにそれを含む現像剤、それを搭載した画像形成装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、逆転現像方式と接触帯電ローラ方式の両システムを採用した場合であっても、フィルミング耐性に優れ、長期の使用にわたり、画像劣化を抑制し、安定した画像を形成し得るトナーおよびその製造方法ならびにそれを含む現像剤、それを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA機器の目覚しい発達に伴い、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置が広く普及している。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、通常、回転駆動する電子写真感光体(「感光体」ともいう)の表面を帯電装置により均一に帯電する帯電工程;帯電した感光体表面に露光装置によりレーザ光を照射して静電潜像を形成する露光工程;感光体表面の静電潜像を現像装置により電子写真用トナー(「トナー」ともいう)を用いて現像してトナー像を形成する現像工程;感光体表面のトナー像を転写装置により記録紙(「記録媒体」または「転写媒体」ともいう)上に転写する転写工程;および定着装置の加熱によりトナー像を記録紙に定着する定着工程を経て画像が形成される。
そして、画像形成動作後に感光体表面上に残留した転写残留トナーは、クリーニング工程においてクリーニング装置により除去されて所定の回収部(現像槽)に回収され、クリーニング後の感光体表面における残留電荷は、次の画像形成に備えるために、除電工程において除電装置により除電される。
そして、画像形成の様々な方式が提案され、実用化されている。
【0003】
例えば、逆転現像方式は、現像ニップ幅を広げ、少ない現像剤量でも高い現像性を確保できるため、低湿環境での現像性確保、低コスト化、現像槽のコンパクト化などメリットがある反面、現像ニップ幅において強いストレスを受けるため、現像剤劣化の進行が早いというデメリットがある。そのためトナーの耐久性が求められ、その向上のためにスペーサー効果の高い大粒子径の球形シリカ粒子が外添される。しかし、大粒子径の球形シリカ粒子はトナーから脱離し易く、外添剤自体の凝集体が存在し、感光体ドラム(「ドラム」ともいう)上でのフィルミングの原因になる。
【0004】
また、接触帯電ローラ方式は、低電圧で十分なドラム表面電位を確保できるため、オゾン発生量の低減、高圧基板削減による回路設計の自由度向上、消費電力削減などのメリットがある反面、接触帯電のため、ドラムに傷がつき易く、傷を起点にドラム上にフィルミングが発生し易く、フィルミングによりドラム表面に凹凸が形成された場合、帯電ムラが発生し、それに起因して画像不良が引き起こされ易いというデメリットがある。そのためトナーには、脱離し易い大粒子径の外添剤を使用しないこと、使用してもトナー表面に埋没させて脱離しないようにすることが効果的である。しかし、このようなトナーでは、十分なスペーサー効果が得られず、トナーとしての耐久性および耐熱性に課題を残す。
【0005】
このようなトナーの課題を改善するための様々な技術が提案されている。
例えば、特開2012-088420号公報(特許文献1)には、体積平均一次粒子径が60nm以上100nm以下、平均炭素量が1.0質量%以上3.0質量%以下である単分散球形シリカを含有する、逆転現像方式による画像形成方法に用いる静電潜像現像用トナーが提案されている。
また、特開2014-186050号公報(特許文献2)には、トナー粒子と、鉄の含有量が1200ppmを超え6000ppm以下のチタン酸化合物粒子を含む外添剤とを有する静電荷像現像剤トナーが提案されている。
一方、平均粒子径が5~500nmの範囲にある一次粒子が2個以上会合した会合シリカ微粒子の製造方法、およびそれにより製造された疎水性会合シリカ微粒子からなる静電荷像現像剤トナー外添剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-088420号公報
【文献】特開2014-186050号公報
【文献】特開2012-025596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、逆転現像方式と接触帯電ローラ方式とは、多くのメリットを有するものの、トナーとしては相反する特性が要求されるため、両システムを採用した画像形成装置の場合、システムにマッチングさせるトナー処方を確立することが非常に困難であった。
特許文献3には、本発明の会合型シリカに相当する会合シリカ微粒子の製造方法、およびそれにより製造された疎水性会合シリカ微粒子からなる静電荷像現像剤トナー外添剤が提案されているが、後述するような特定の離型剤との組み合わせ、さらには小粒子径シリカとその組み合わせについては開示されていない。
【0008】
そこで、本発明は、逆転現像方式と接触帯電ローラ方式の両システムを採用した場合であっても、フィルミング耐性に優れ、長期の使用にわたり、画像劣化を抑制し、安定した画像を形成し得るトナーおよびその製造方法ならびにそれを含む現像剤、それを搭載した画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、会合型シリカを含む外添剤と、特定の離型剤を含み、特定の熱特性を有するトナー母粒子とから構成されるトナーが、フィルミング耐性に優れ、長期の使用にわたり、画像劣化を抑制し、安定した画像を形成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、少なくともトナー母粒子とその表面に外添される外添剤とから構成され、
該外添剤が、会合型シリカを含み、かつ
該トナー母粒子が、離型剤としてエステル系ワックスを含み、
示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との温度差が15~30℃である
ことを特徴とするトナーが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、上記のトナーの製造方法であり、
前記トナー母粒子に第一外添剤成分として前記小粒子径シリカを添加・混合して、該トナー母粒子に該小粒子径シリカを外添する第一外添工程、および
得られたトナー母粒子に第二外添剤成分として前記会合型シリカをさらに添加・混合して、該トナー母粒子に該会合型シリカを外添する第二外添工程
を含むことを特徴とするトナーの製造方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明によれば、上記のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする現像剤が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、上記のトナーと、感光体表面を帯電する方式として帯電ローラシステムを搭載した画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、逆転現像方式と接触帯電ローラ方式の両システムを採用した場合であっても、フィルミング耐性に優れ、長期の使用にわたり、画像劣化を抑制し、安定した画像を形成し得るトナーおよびその製造方法ならびにそれを含む現像剤、それを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【0015】
本発明のトナーは、少なくとも次の条件(1)~(5)のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(1)会合型シリカが、100~300nmの平均二次粒子径および2.0~3.0の会合度を有する。
(2)エステル系ワックスが、前記トナー母粒子中に0.5~5.0質量%の割合で含まれる。
(3)外添剤が、15nm以下の平均一次粒子径を有する小粒子径シリカをさらに含む。
(4)会合型シリカおよび小粒子径シリカが、トナー母粒子に対してそれぞれ0.2~2.0質量%および0.2~1.5質量%の割合で含まれる。
(5)トナーが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において4000~6500のピークトップ分子量(Mp)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の画像形成装置の一例の要部の構成を示す模式側面図である。
図2】本発明の画像形成装置における帯電手段の帯電部材の要部の構成を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)トナー
本発明のトナーは、少なくともトナー母粒子とその表面に外添される外添剤とから構成され、
該外添剤が、会合型シリカを含み、かつ
該トナー母粒子が、離型剤としてエステル系ワックスを含み、
示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との温度差が15~30℃である
ことを特徴とする。
以下、本発明のトナーの特徴部分の外添剤および離型剤について説明し、トナーの基本であるトナー母粒子、トナーの製造方法、トナーを含む現像剤およびトナーと帯電ローラシステムを搭載した画像形成装置について説明する。
【0018】
(1-1)外添剤
外添剤は、一般に、トナーの搬送性および帯電性ならびにトナーを2成分の現像剤にする場合のキャリアとの撹拌性などを向上させる機能を有する。
本発明のトナーは、外添剤として、会合型シリカを含むか、好ましくは会合型シリカにさらに小粒子径シリカを含む。
【0019】
(1-1-1)会合型シリカ
本発明において用いる会合型シリカの「会合型」とは、一次粒子が集合して球状になった粒子および一次粒子が凝集して塊状になった通常の形態の粒子ではなく、2個以上の一次粒子が会合して鎖状、繊維状、その他、異形の形態になった粒子を意味する。
その態様としては、一次粒子が2個会合したもの、3個以上鎖状に会合したもの、3個が3点で会合したもの、4個が平面的にあるいはテトラポット型に会合したもの、同様に5個以上の粒子が会合したもの、これら会合型シリカ群同士が結合したものが挙げられる。
ここで「一次粒子」とは、粉体を形成している粒子で最小単位にあたる粒子を意味する。
【0020】
会合型のシリカ粒子は、通常の形態のシリカ粒子よりトナー母粒子の表面への接触(接着)面積が大きくなるため、トナー表面から脱離し難い。また、会合型のシリカ粒子は、不定形状であるため、凝集体が発生し難いため、十分なスペーサー効果を確保しながらフィルミングの発生を抑制することができる。
会合型シリカを構成する一次粒子の形状は、球状、卵状、サイコロ状、棒状の何れであってもよいが、外添剤用途では球状が好ましい。また、一次粒子の粒子径は互いに異なっていてもよい。
【0021】
会合型シリカは、100~300nmの平均二次粒子径および2.0~3.0の会合度を有するのが好ましい。
平均二次粒子径が100nm以上の会合型シリカを用いることで、十分なスペーサー効果が発揮され、長期の使用にわたり、現像ローラ表面への焼き付き現象などを抑制して安定した画像を提供することができる。
会合型シリカの平均二次粒子径が100nm未満では、十分なスペーサー効果が得られないことがある。一方、会合型シリカの平均二次粒子径が300nmを超えると、会合度が規定値であっても、トナー表面から脱離し易くなり、フィルミング耐性が悪化することがある。
より好ましい会合型シリカの平均二次粒子径は、120~200nmである。
【0022】
会合度はトナーの形状を示し、その値が大きい程、不定形であることを意味する。
会合型シリカの会合度は、シリカ粒子の平均一次粒子径d1と平均二次粒子径d2とから、式:d2/d1により求めることができる。
会合度が1.7未満の粒子を真球状、会合度が1.7以上2.2未満の粒子をまゆ型、会合度が2.2以上の粒子を会合型ともいう。
【0023】
シリカ粒子の平均一次粒子径は、次のようにして測定することができる。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、BET法による比表面積測定値から換算される。
本発明のトナーにおいて、会合型シリカを構成するシリカ粒子の平均一次粒子径は、40~70nm程度である。
【0024】
また、シリカ粒子の平均二次粒子径は、次のようにして測定することができる。
シリカ粒子の平均二次粒子径は、トナーを走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式:S-4800)を用いて粒子を撮影し、得られた画像から任意にトナー表面のシリカ微粒子100個の粒径(長径)を測定し、100個の粒径の平均値を算出し、これを平均二次粒子径とする。
【0025】
会合度が2.0以上の会合型シリカを用いることで、トナー母粒子との接触面積を増やし、トナー表面からの脱離を防ぐと共に、凝集体の発生を抑制してフィルミング耐性を向上させることができる。
会合型シリカの会合度が2.0未満では、上記のような効果が得られないことがある。一方、会合型シリカの会合度が3.0を超えると、粒子が異形になりすぎ、トナー表面との接触面積を増やすことができず、トナー表面から脱離し易くなり、フィルミング耐性が悪化することがある。
より好ましい会合型シリカの会合度は、2.2~2.7である。
【0026】
会合型シリカは、特開2012-025596号公報に記載の方法により製造することができ、また実施例において用いているような市販品を用いることもできる。
【0027】
(1-1-2)小粒子径シリカ
外添剤は、15nm以下の平均一次粒子径を有する小粒子径シリカをさらに含むのが好ましい。
外添剤が小粒子径シリカをさらに含むことで、トナー母粒子の流動性を適度に向上させ、会合型シリカの凝集体の発生をさらに抑制して外添剤をトナー表面に付着させることができる。
小粒子径シリカの平均一次粒子径が15nmを超えると、上記のような効果が得られないことがある。好ましい小粒子径シリカの平均一次粒子径の上限は、12nmであり、その下限は、5nm程度である。
小粒子径シリカは、実施例において用いているような市販品を用いることができる。
【0028】
(1-1-3)外添剤の含有量
外添剤が会合型シリカ単独の場合、その含有量は、トナー母粒子に対して1.0~4.0質量%であるのが好ましい。
会合型シリカは、適度なスペーサー効果に寄与する。
会合型シリカの含有量がトナー母粒子に対して1.0質量%未満では、十分なスペーサー効果が発揮されないことがある。一方、会合型シリカの含有量がトナー母粒子に対して4.0質量%を超えると、遊離するシリカが増加してフィルミング耐性が悪化することがある。
より好ましい会合型シリカの含有量は、トナー母粒子に対して1.5~3.0質量%である
【0029】
外添剤が会合型シリカと小粒子径シリカとの併用の場合、それらの含有量は、トナー母粒子に対してそれぞれ0.2~2.0質量%および0.2~1.5質量%の割合であるのが好ましい。
会合型シリカは、適度なスペーサー効果に、小粒子径シリカは流動性向上に寄与する。
会合型シリカの含有量がトナー母粒子に対して0.2質量%未満では、十分なスペーサー効果が発揮されないことがある。一方、会合型シリカの含有量がトナー母粒子に対して1.5質量%を超えると、遊離するシリカが増加してフィルミング耐性が悪化することがある。
小粒子径シリカの含有量がトナー母粒子に対して0.2質量%未満では、十分な流動性が確保できないことがある。一方、小粒子径シリカの含有量がトナー母粒子に対して1.5質量%を超えると、小粒子径シリカがトナー表面を覆いすぎ、逆に会合型シリカがトナー表面に付着することを阻害して、会合型シリカの遊離を増加させてフィルミング耐性が悪化することがある。
より好ましい会合型シリカおよび小粒子径シリカの含有量は、トナー母粒子に対してそれぞれ0.5~1.5質量%および0.5~1.3質量%である。
【0030】
(1-2)離型剤
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させるときに、トナーに離型性を付与するためにトナー母粒子に添加される。本発明のトナーにおいては、離型剤が結着樹脂中に分散している。
本発明のトナーに含まれる離型剤は、エステル系ワックスである。
エステル系ワックスは、極性が高く、後述する結着樹脂、特に非晶性ポリエステル樹脂となじみ易く、構造的に安定であり、トナー母粒子に好ましい熱特性を与え得る。
エステル系ワックスとしては、例えば、実施例で用いているようなニッサンエレクトールワックス(日油株式会社製、製品名:WEP-5、WEP-14、WEP-15)などが挙げられる。
一方、炭化水素系ワックスでは、ポリエステル樹脂のような結着樹脂中での分散が悪く、長期使用において、現像ローラへの焼き付き現象などが発生し易くなり、画像不良の原因となる。
【0031】
エステル系ワックスは、65~85℃の透明融点を有するのが好ましい。
このようなエステル系ワックスを用いることにより、トナー母粒子に好ましい熱特性を与えることができる。
【0032】
エステルワックスは、トナー母粒子中に0.5~5.0質量%の割合で含まれるのが好ましい。
エステルワックスの含有量が0.5%未満では、上記効果が十分に得られないことがある。一方、エステルワックスの含有量が5.0重量部を超えると、ワックスの分散が悪化し、ワックスのトナー表面露出やトナー母粒子からの遊離が増加して、長期の使用において、現像ローラへの焼き付き現象などが発生し易くなり、画像不良の原因になるだけでなく、耐熱保存特性も悪化することがある。
好ましいエステルワックスの含有量は、2.0~3.5質量%である。
【0033】
(1-3)トナー母粒子
本発明のトナーを構成するトナー母粒子は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含み、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0034】
(1-3-1)結着樹脂
本発明のトナー母粒子に含まれる結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂を好適に用いることができる。
ポリエステル系樹脂は、通常、2価のアルコール成分および3価以上の多価アルコール成分から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸および3価以上の多価カルボン酸から選ばれる1種以上とを、公知の方法により縮重合反応もしくはエステル化、エステル交換反応させることにより得られる。
縮重合反応における条件は、モノマー成分の反応性により適宜設定すればよく、また重合体が好適な物性になった時点で反応を終了させればよい。例えば、反応温度は170~250℃程度、反応圧力は5mmHg~常圧程度である。
【0035】
2価のアルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール類;ビスフェノールA;ビスフェノールAのプロピレン付加物;ビスフェノールAのエチレン付加物;水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0036】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、スクロース(蔗糖)、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
本発明のトナーにおいては、上記の2価のアルコール成分および3価以上の多価アルコール成分の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
2価のカルボン酸として、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸およびこれらの酸無水物もしくは低級アルキルエステルなどが挙げられる。
【0038】
3価以上の多価カルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物もしくは低級アルキルエステルなどが挙げられる。
本発明のトナーにおいては、上記の2価のカルボン酸および3価以上の多価カルボン酸の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂は、9,000~90,000の範囲の質量平均分子量を有しかつその分子量分布における分子量100,000以上の割合が10~30%であるのが好ましい。結着樹脂の質量平均分子量および分子量100,000以上の割合が上記の範囲であれば、ベルト定着装置における低温定着性および耐ホットオフセット性の両立効果がさらに発揮される。
結着樹脂の質量平均分子量が9,000未満では、定着高温側での剥離性が悪くなるおそれがあり、一方、結着樹脂の質量平均分子量が90,000を超えると、低温定着性が悪くなるおそれがある。
結着樹脂の質量平均分子量を20,000以上とすることで、定着高温側での剥離性をより一層確実に良好なものにでき、一方、結着樹脂の質量平均分子量を70,000以下とすることで、低温定着性をより一層確実に良好なものにできる。
したがって、より好ましい結着樹脂の質量平均分子量の範囲は、20,000~70,000である。
【0040】
また、結着樹脂の分子量分布における分子量100,000以上の割合が10%未満では、定着高温側での剥離性が悪くなるおそれがある。一方、結着樹脂の分子量分布における分子量100,000以上の割合が30%を超えると、低温定着性が悪くなるおそれがある。この割合を20%以下とすることで、低温定着性をより一層確実に良好なものにできる。
したがって、より好ましい結着樹脂の分子量分布における分子量100,000以上の割合の範囲は、10~20%である。
【0041】
トナー母粒子中の結着樹脂の含有量は、60~90質量%であるのが好ましく、70~85質量%であるのが特に好ましい。
【0042】
(1-3-2)着色剤
本発明のトナー母粒子に含まれる着色剤としては、当該技術分野で常用される有機系および無機系の様々な種類および色の顔料および染料を用いることができ、例えば、黒色、白色、黄色、橙色、赤色、紫色、青色および緑色の着色剤が挙げられる。
【0043】
黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
白色の着色剤としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが挙げられる。
【0044】
黄色の着色剤としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
【0045】
橙色の着色剤としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
【0046】
赤色の着色剤としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0047】
紫色の着色剤としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0048】
本発明のトナーにおいては、上記の着色剤の1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができ、それらの組み合わせは異色であっても同色であってもよい。
また、2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、例えば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。さらに、結着樹脂中に着色剤を均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。複合粒子およびマスターバッチは、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
【0049】
本発明のトナー母粒子中の着色剤の含有量は、特に限定されないが、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.2~10質量部である。
着色剤の含有量が上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
換算すれば、トナー母粒子中の着色剤の含有量は、好ましくは2.5~7.5質量%であり、より好ましくは3.0~6.5質量%である。
【0050】
(1-3-3)離型剤
本発明のトナーに含まれる離型剤は、上記のエステル系ワックスである。
【0051】
(1-3-4)帯電制御剤
本発明のトナーに含まれる帯電制御剤としては、当該技術分野で常用される負電荷制御用の電荷制御剤を用いることができる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、例えば、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
本発明のトナーにおいては、上記の電荷制御剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
本発明のトナー母粒子中の帯電制御剤の含有量は、特に限定されないが、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5~3質量部であり、より好ましくは1~2質量部である。
帯電制御剤の含有量が、上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
換算すれば、トナー母粒子中の帯電制御剤の含有量は、好ましくは0.5~2.0質量%であり、より好ましくは0.7~1.5質量%である。
【0053】
(1-3-5)トナーの物性
(示差走査熱量測定(DSC)における吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との温度差)
本発明のトナーは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピーク温度と発熱ピーク温度との温度差が15~30℃であること、すなわちDSCの昇温(加熱)時の「吸熱ピーク温度T1」と降温(冷却)時の「発熱ピーク温度T2」の「温度差ΔT」が15℃~30℃であることを特徴とする。
この測定方法については、実施例において詳述する。
【0054】
この熱特性は、トナー母粒子の構成材料の中でも特に離型剤の影響を受ける。本発明のトナーの好ましい態様である、トナー母粒子の結着樹脂がポリエステル系樹脂である場合には、離型剤はエステル系ワックスが好ましい。
上記の熱特性は、結着樹脂として特定のポリエステル系樹脂を用いる場合、離型剤としてのエステル系ワックスを適宜選択することにより調整することができる。
温度差ΔTが上記の範囲にあることは、エステル系ワックスの結着樹脂に対する可塑化効果が高いことを示唆しており、これにより外添剤とトナー母粒子との付着力をさらに向上させ、ドラムフィルミングの耐性をさらに向上させることができる。
【0055】
温度差ΔTが15℃未満では、上記のような効果が得られ難く、会合型のシリカを用いても、フィルミング耐性の低い帯電ローラシステムを搭載した画像形成装置においては、十分なフィルミング耐性が得られないことがある。一方、温度差ΔTが30℃を超えると、エステル系ワックスの製造が困難であり、確認し難いが、可塑化効果が高すぎると耐熱保存特性が悪化することが想定される。
好ましい温度差は、18~25℃である。
【0056】
(トナーのピークトップ分子量:Mp)
本発明のトナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において4000~6500のピークトップ分子量(Mp)を有するのが好ましい。
この測定方法については、実施例において詳述する。
ピークトップ分子量を低分子量に設定することで、比較的トナー母粒子表面が柔らかくなり、外添剤とシリカの付着力をさらに向上させることができる。
トナーのピークトップ分子量が4000未満では、耐熱保存特性、耐久性が悪化することがある。一方、トナーのピークトップ分子量が6500を超えると、上記のような効果が得られないことがある。
より好ましいトナーのピークトップ分子量は、5000~6000である。
【0057】
(トナーの平均一次粒子径)
本発明のトナーは、4~10μmの平均一次粒子径を有するのが好ましい。
平均一次粒子径が4μm未満では、トナー母粒子の粒子径が小さくなり過ぎ、高帯電化および流動性悪化が起こるおそれがある。この高帯電化および流動性悪化が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。一方、平均一次粒子径が10μmを超えると、トナー母粒子の粒子径が大きく、形成画像の層厚が高くなり著しく粒状性を感じる画像となり、高精細な画像を得ることができないので望ましくない。またトナー母粒子の粒子径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。好ましい平均一次粒子径は、5~8μmである。
【0058】
(2)トナーの製造方法
本発明のトナーの製造方法は、
トナー母粒子に第一外添剤成分として小粒子径シリカを添加・混合して、該トナー母粒子に該小粒子径シリカを外添する第一外添工程、および
得られたトナー母粒子に第二外添剤成分として会合型シリカをさらに添加・混合して、該トナー母粒子に該会合型シリカを外添する第二外添工程
を含むことを特徴とする。
外添剤が会合型シリカと小粒子径シリカとの併用の場合、外添工程では、上記のように第1外添工程で小粒子径シリカを外添した後、第2外添工程で大粒子径の会合型シリカを外添することが好ましい。この順で外添することで、小粒子径シリカの流動性向上効果を得ることができる。
【0059】
(2-1)第一外添工程
第一外添工程では、トナー母粒子に小粒子径シリカの外添剤を添加し、混合する。
添加・混合の操作は、当該技術分野で常用される公知の装置を用いて実施することができ、工程における条件は、対象とする材料および所望の物性により適宜設定すればよい。
【0060】
(2-2)第二外添工程
第二外添工程では、得られたトナー母粒子に会合型シリカの外添剤をさらに添加し、混合する。
第一外添工程と同様に、添加・混合の操作は、当該技術分野で常用される公知の装置を用いて実施することができ、工程における条件は、対象とする材料および所望の物性により適宜設定すればよい。
【0061】
(2-3)トナー母粒子の製造方法
本発明で用いられるトナー母粒子は、当該技術分野で常用される公知の装置を用いて公知の方法、例えば、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含む粗粉砕された溶融混練物とフィラーとを混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合物を微粉砕する微粉砕工程と、該微粉砕工程で得られた微粉砕物を分級する分級工程と、該分級工程で得られた分級物を熱風により球形化する球形化処理工程により製造することができる。
湿式法と比較して工程数が少なく、設備コストが掛からないなどの点で乾式法が好ましく、中でも粉砕法が特に好ましい。
下記の各工程における条件は、対象とする材料および所望の物性により適宜設定すればよい。
【0062】
(3)現像剤(2成分現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする。
(キャリア)
本発明のトナーは、一成分現像剤、2成分現像剤のいずれの形態でも使用することができ、2成分現像剤として使用する場合には、外添剤以外にさらにキャリアを含有する。
キャリアとしては、当該技術分野で常用されるキャリアを用いることができ、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリア芯粒子を公知の被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。
キャリアの平均粒径は、10~100μmが好ましく、20~50μmがより好ましい。
キャリアの含有量は特に限定されないが、現像剤全量に対して、好ましくは85~97質量%であり、より好ましくは90~95質量%である。
【0063】
(4)画像形成装置
本発明の画像形成装置は、本発明のトナーと、感光体表面を帯電する方式として帯電ローラシステムを搭載する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例の要部の構成を示す模式側面図である。
図1の画像形成装置700は、モノクロのプリンタ(レーザプリンタ)であり、感光体Fと、感光体Fの表面Faを帯電させる帯電手段(帯電器)710と、帯電された感光体Fを露光して静電潜像を形成する露光手段(露光装置)720と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段(現像器)730と、現像によって形成されたトナー像を記録紙などの記録媒体P上に転写する転写手段(転写帯電器)740と、搬送ベルト(図示せず)と、転写されたトナー像を記録媒体P上に定着して画像を形成する定着手段(定着器)760と、感光体Fに残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段(クリーナ装置)750とを備えている。
【0064】
上記の画像形成装置700は、モノクロのプリンタであるが、例えば、カラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。具体的には、トナー像がそれぞれ形成される複数の感光体を所定方向(例えば、水平方向Hまたは鉛直方向V)に並設した構成、所謂タンデム式のフルカラー画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他のカラー画像形成装置、複写機、複合機またはファクシミリ装置であってもよい。
【0065】
感光体Fは、画像形成装置700本体(図示せず)に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線α1回りに矢符R方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体Fの芯体を構成する基体(「導電性支持体」ともいう)F1に伝達することによって、感光体Fを所定の周速度で回転駆動させる。帯電手段(帯電器)710、露光手段720、現像手段(現像器)730、転写手段(転写帯電器)740およびクリーニング手段(クリーナ)750は、この順序で、感光体Fの外周面に沿って、矢符Rで示される感光体Fの回転方向の上流側から下流側に向って設けられる。これらの画像形成装置700を構成する各構成要素は、筐体(ハウジング)780に収容されている。
【0066】
(4-1)電子写真感光体:F
感光体は、基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備えた積層型電子写真感光体(積層型感光体)または電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層型感光層を少なくとも備えた単層型電子写真感光体(単層型感光体)を利用できる。
【0067】
(4-2)帯電手段:710
帯電手段(帯電器)710は、感光体Fの外周面Faを均一に所定の電位に帯電させる装置である。帯電器710としては、例えば、ローラ形状、ベルト形状、ブレード形状などの接触帯電器を利用できる。
なお、帯電ローラなどの帯電部材への電圧の印加は、電源(高電圧印加装置)711のコスト、感光体Faおよび帯電部材の寿命などの観点から、直流電圧のみとするのが最適である。
【0068】
ここでは、帯電器710としてローラ状の接触帯電器を用いた例について説明する。
図2は、本発明の画像形成装置における帯電手段の帯電部材の要部の構成を示す模式側面図であり、帯電器710の少なくとも一部である帯電ローラGは、導電性支持体G1を基体としてその外周面上に、被覆層として弾性層G2および抵抗層G3がこの順で形成されている。
【0069】
(4-2-1)導電性支持体:G1
導電性支持体は、導電性を有しかつ帯電部材としての強度を保持し得るものであれば特に限定されず、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよびニッケルから選択される少なくとも1つの金属材料からからなる丸棒が挙げられる。また、導電性支持体G1は、導電性が損なわれない限り、防錆や耐傷性付与のために、その表面にメッキ処理が施されていてもよい。
【0070】
(4-2-2)弾性層:G2
弾性層は、被帯電体としての感光体に対する給電や、帯電ローラの感光体Fに対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有している。
帯電ローラと感光体との均一密着性を確保するためには、弾性層は、弾性層を研磨して、その中央部が一番太く、中央部から両端部に向けて細くなる形状(所謂、クラウン形状)であるのが好ましい。
一般的に、帯電ローラは、導電性支持体の両端部に所定の押圧力を与えることによって感光体と当接される。このため、押圧力が中央部では小さく、両端部ほど大きくなっている。したがって、帯電ローラの真直度が十分である場合には問題ないが、十分ではない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまうという問題がある。また、A3ノビ対応機種の増加やカラー機の増加により帯電領域が拡大してきているため、導電性支持体の両端部のみへの押圧力によって帯電ローラ自体がたわみ易くなっており、中央部にギャップができるといった問題が起きている。このような理由により弾性層G2をクラウン形状とすることが好ましい。
【0071】
弾性層は、ゴムなどの弾性材料中に、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物などの電子伝導機構を有する導電剤、ならびにアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩などのイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加し、公知の方法により形成することができる。その体積抵抗は、1×1010Ωcm未満の導電性を示すように調整されるのが好ましい。
弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)およびクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、さらには、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0072】
弾性層の膜厚は、例えば、特に限定されないが、好ましくは1~3mm、より好ましくは1.5~2mmである。
【0073】
(4-2-3)抵抗層:G3
抵抗層は、弾性層に接して形成され、弾性層中に含有される軟化油や可塑剤などの帯電ローラ表面へのブリードアウトを防止すると共に、帯電ローラ全体の電気抵抗を調整するために設けられる。
抵抗層を形成する材料としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種類以上を混合体あるいは共重合体として用いることができる。
【0074】
抵抗層は、導電性または半導電性を有している。このため、上記の材料に、電子伝導機構を有する導電剤(例えば、導電性カーボン、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)、またはイオン伝導機構を有する導電剤(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等)を適宜添加することによって形成される。
この場合、所望の電気抵抗を得るために、各種導電剤を2種以上併用してもよい。但し、環境変動や感光体の汚染を考慮すると、電子伝導機構を有する導電剤を用いることが好ましい。
【0075】
本発明の画像形成装置の帯電手段は、5.0~13μmの表面粗さを有する帯電部材を備える。
表面粗さを示す指標には、例えば、十点平均表面粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)などがあるが、本発明において「表面粗さ」とは、特に言及しない限り、十点平均表面粗さ(Rz)を意味する。
【0076】
帯電ローラの表面には、通常、凹凸が形成されているが、帯電ローラの表面粗さを上記の範囲にすることにより、常に安定した帯電電位を確保でき、また問題のないレベルのトナークリーニング性を確保することができ、これにより、常に良好な画像を得ることができる。特に帯電ローラに直流電圧のみを印加する場合には、帯電ローラ表面の凸部(突起)が適度な放電ポイントとなり、常に安定した帯電電位を確保することができる。つまり、帯電ローラの表面に凸部と凹部とが形成されることによって、当該凸部が感光体Fを帯電することになる。
帯電部材の表面粗さが5.0μm未満では、ハーフトーン画像上のスジ状帯電ムラを抑制できないことがある。一方、帯電部材の表面粗さが13μmを超えると、ハーフトーン画像上のスジ状帯電ムラを抑制できるものの、画像かぶりが悪化することがある。
好ましい帯電部材の表面粗さは、7.0~11.0μmである。
【0077】
表面粗さは、帯電ローラの表面層(抵抗層)の研磨条件の変更により調整することができる。また、より帯電を安定化させるために、帯電ローラの表面層(抵抗層)にフィラーを含有させてもよい。この場合、フィラーの種類、粒径を変更することにより、帯電ローラ表面の突起の分散状態をよくすることが望ましい。
【0078】
フィラーとしては、発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されずない。
フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、アルミニウム繊維、ステンレススチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩などが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2樹以上を組み合わせて用いることができる。
抵抗層の膜厚は、例えば、特に限定されないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは5~20μmである。
【0079】
(4-3)露光手段:720
露光手段は、画像情報に基づいて変調された光を出射する装置である。図1では、半導体レーザまたは発光ダイオードを光源として備え、光源から出力されるレーザビーム光を、帯電器710と現像器730との間の感光体Fの表面(外周面)Faに照射することによって、帯電された感光体Fの表面Faに対して画像情報に応じた露光を施す。光は、主走査方向である感光体Fの回転軸線α1の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して感光体Fの表面Faに静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器710により均一に帯電された感光体Fの帯電量がレーザビームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
【0080】
(4-4)現像手段:730
現像手段(現像器)730は、露光によって感光体Fの表面Faに形成される静電潜像を、現像剤(トナー)Dによって現像する装置であり、感光体Fと対向して設けられ、感光体Fの表面Faにトナーを供給する現像ローラ730aと、現像ローラ730aを感光体1の回転軸線α1と平行または略平行な回転軸線α2まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング730bとを備える。
【0081】
(4-5)転写手段:740
転写手段(転写帯電器)740は、現像によって感光体Fの表面Faに形成された可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって所定の搬送方向(矢符W方向)から感光体Fと転写帯電器740との間に供給される記録媒体である転写紙P上に転写させる装置である。転写手段は、高電圧印加装置741により、感光体Fと転写帯電器740との間に形成される転写ニップ部TNに所定の高電圧を印加する。転写手段は、上記の帯電手段と同様に構成することができ、例えば、記録媒体PにトナーDと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を記録媒体P上に転写させる接触式の転写手段である。
【0082】
(4-6)定着手段:760
定着手段(定着器)760は、転写手段740により記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させる装置である。定着器760は、搬送方向Wにおいて感光体Fと転写帯電器740との間の転写ニップ部TNよりも下流側に設けられ、例えば、定着器760は、加熱ローラ760aと、それに対向して設けられる加圧ローラ760bとを備えて、加圧ローラ760bは、加熱ローラ760aに押圧されて定着ニップ部FNを形成する。
【0083】
(4-7)クリーニング手段:750
クリーニング手段(クリーナ)750は、転写手段760による転写動作後に感光体Fの表面Faに残留するトナーを除去し回収する清掃装置である。クリーナ750は、感光体Fの表面Faに残留するトナーDを剥離させるクリーニングブレード750aと、それによって剥離されたトナーDを収容する回収用ケーシング750bとを備える。
【0084】
(4-8)除電手段:図示せず
本発明の画像形成装置は、感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段をさらに備えるのが好ましく、クリーニング手段と共に設けられるのが好ましい。
除電手段としては、当該技術分野で公知の装置を用いることができる。
【0085】
また、本発明の画像形成装置は、記録媒体Pを感光体Fから分離する分離手段(分離爪770)をさらに備えるのが好ましい。
【0086】
(4-9)画像形成装置の動作
本発明の画像形成装置の動作を、上記の画像形成装置700を用いて説明する。
まず、感光体Fが駆動手段によって所定の回転方向(矢符R方向)に回転駆動されると、露光手段720による光の結像点よりも感光体Fの回転方向上流側に設けられる帯電器710によって、感光体Fの表面が所定電位に均一に帯電される。
【0087】
次いで、露光手段720から、画像情報に応じた光が均一に帯電された感光体Fの表面に照射される。感光体1は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段720による光の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器730から、静電潜像の形成された感光体Fの表面Faにトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
【0088】
感光体Fに対する露光と同期して、転写紙の搬送方向(矢符W方向)から転写紙Pが、感光体Fと転写帯電器740との間の転写ニップ部TNに供給される。転写帯電器740によって、供給された転写紙Pにトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体Fの表面Faに形成されたトナー像が、転写紙P上に転写される。
トナー像が転写された転写紙Pは、搬送手段によって定着器760に搬送され、定着器760の加熱ローラ760aと加圧ローラ760bとの当接部、定着ニップ部FNを通過する際にトナー像が加熱および加圧され、転写紙Pに定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙Pは、搬送手段によって画像形成装置700の外部へ排紙される。
【0089】
一方、転写帯電器740によるトナー像の転写後も感光体Fの表面Fa上に残留するトナーは、クリーナ750のクリーニングブレード750aによって感光体Fの表面Faから剥離され、回収用ケーシング760bに回収される。
このようにしてトナーが除去された感光体Fの表面Faの電荷は除去され、その表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体Fはさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
画像形成装置700がクリーナ750の下流側でかつ帯電手段710に至るまでに除電手段を備える場合には、除電手段の除電ランプからの光によって、感光体Fの表面Faの電荷が効率的にかつより確実に除去されて、感光体Fの表面Fa上の静電潜像が消失する。
【実施例
【0090】
以下に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、各物性値を以下に示す方法により測定した。
【0091】
[DSC測定(昇温時の吸熱ピーク温度:T1と降温時の発熱ピーク温度:T2)]
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社(現 株式会社日立ハイテクサイエンス)製、型式:DSC220)を用いて、トナーの試料1gを昇温速度10℃/分で150℃まで加熱した後、150℃で2分間保持し、降温速度10℃/分で30℃まで冷却させて、DSC曲線を測定する。得られたDSC曲線の昇温時の吸熱ピーク温度T1(℃)と、降温時の発熱ピーク温度T2(℃)を求め、さらにそれらの温度差ΔT(℃)を求める。
【0092】
[DSC測定(結着樹脂のガラス転移温度:Tg]
上記の示差走査熱量計を用いて、日本工業規格(JIS)K7121-1987に準じて、結着樹脂の試料1gを昇温速度10℃/分で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度Tg(℃)とする。
【0093】
[DSC測定(離型剤の透明融点:Tm]
上記の示差走査熱量計を用いて、離型剤の試料1gを温度20℃から昇温速度10℃/分で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定する。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の透明融点Tm(℃)とする。
【0094】
[フローテスター測定(結着樹脂の溶融温度:Tm)]
流動特性評価装置(フローテスター、株式会社島津製作所製、型式:CFT-100C)を用いて、結着樹脂の試料1gを昇温速度6℃/分で加熱しながら、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与え、ダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させ。試料の半分量が流出したときの温度を溶融温度Tm(℃)とする。
【0095】
[GPC測定(ピークトップ分子量:Mp)]
結着樹脂とトナーのピークトップ分子量(Mp)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の条件で測定する。
ピークトップ分子量とは、GPC測定により得られるクロマトグラムにおいて最大のピーク高さを示す分子量を指す。
分子量の測定では、ポリエステル樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、不溶解分をグラスフィルターで濾別したものを試料溶液として使用する。
(装置および条件)
装置 :東ソー株式会社製、型式:HLC-8120
カラム :東ソー株式会社製、TSK GEL GMH6 2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25質量%のTHF溶液
溶液注入量:100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :東ソー株式会社製、標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000および2890000)
【0096】
[使用材料]
各材料の冒頭の英数記号は略称を示す。
離型剤として下記を使用した。
WAX-1:エステル系ワックス(透明融点Tm:76℃、日油株式会社製、製品名:WE-15)
WAX-2:エステル系ワックス(透明融点Tm:82℃、日油株式会社製、製品名:WEP-5)
WAX-3:エステル系ワックス(透明融点Tm:79℃、日油株式会社製、製品名:WE-14)
WAX-4:エステル系ワックス(透明融点Tm:71℃、日油株式会社製、製品名:WE-12)
WAX-5:パラフィン系ワックス(透明融点Tm:75℃、日本精蝋株式会社製、製品名:HNP10)
WAX-6:FT(フィッシャートロプシュ)(透明融点Tm:90℃、日本精蝋株式会社製、製品名:FNP90)
【0097】
会合型シリカとして、X-24-9470シリーズ(信越化学工業株式会社製)、クォートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製)の製品から以下の粒度、会合度のシリカを使用した(Si-A1~9)。
また、比較の真球型の大粒子径シリカとして、シリカTG-C191(キャボット社製)を使用した(Si-A10)。
Si-A1:会合型シリカ
(平均一次粒子径60nm、会合度2.5、平均二次粒子径150nm)
Si-A2:会合型シリカ
(平均一次粒子径70nm、会合度2.1、平均二次粒子径150nm)
Si-A3:会合型シリカ
(平均一次粒子径75nm、会合度1.8、平均二次粒子径140nm)
Si-A4:会合型シリカ
(平均一次粒子径45nm、会合度3.0、平均二次粒子径150nm)
Si-A5:会合型シリカ
(平均一次粒子径35nm、会合度4.0、平均二次粒子径150nm)
Si-A6:会合型シリカ
(平均一次粒子径40nm、会合度2.5、平均二次粒子径105nm)
Si-A7:会合型シリカ
(平均一次粒子径35nm、会合度2.5、平均二次粒子径90nm)
Si-A8:会合型シリカ
(平均一次粒子径115nm、会合度2.5、平均二次粒子径300nm)
Si-A9:会合型シリカ
(平均一次粒子径160nm、会合度2.5、平均二次粒子径400nm)
Si-A10:真球型大粒子径シリカ
(平均一次粒子径110nm、平均二次粒子径110nm)
【0098】
小粒子径シリカとして下記を使用した。
Si-B1:平均一次粒子径7nm、アエロジル社製、名称:R976S
Si-B2:平均一次粒子径12nm、アエロジル社製、名称:R974
Si-B3:平均一次粒子径30nm、アエロジル社製、名称:NAX50
【0099】
結着樹脂として下記の非晶性ポリエステル樹脂(樹脂A~F)を使用した。
(樹脂A)
ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2,0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1245g、ドデセニル無水コハク酸133g、トリメリット酸384gおよびオクチル酸錫10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器を備える10リットルの四つ口フラスコに入れて、温度220℃で8時間かけて反応させた後、減圧下(4~8kPa)にて反応させて、所定の軟化点で樹脂を取り出し、ガラス転移点65℃、軟化温度140℃、ピークトップ分子量Mp12000の樹脂Aを得た。
【0100】
(樹脂B)
ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3500g、フマル酸1160gおよびオクチル酸錫10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器を備える10リットルの四つ口フラスコに入れて、温度220℃で8時間かけて反応させた後、減圧下(4~8kPa)にて反応させて、所定の軟化点で樹脂を取り出し、ガラス転移点55℃、軟化温度95℃、ピークトップ分子量Mp5400の樹脂Bを得た。
【0101】
(樹脂C)
樹脂Bと同様にして、減圧後の反応時間を調整して所定の軟化点で樹脂を取り出し、ガラス転移点50℃、軟化温度90℃、ピークトップ分子量Mp3900の樹脂Cを得た。
(樹脂D)
樹脂Bと同様にして、減圧後の反応時間を調整して所定の軟化点で樹脂を取り出し、ガラス転移点48℃、軟化温度85℃、ピークトップ分子量Mp3400の樹脂Dを得た。
(樹脂E)
樹脂Bと同様にして、減圧後の反応時間を調整して所定の軟化点で樹脂を取り出し、ガラス転移点60℃、軟化温度105℃、ピークトップ分子量Mp6400の樹脂Eを得た。
(樹脂F)
樹脂Bと同様にして、減圧後の反応時間を調整して所定の軟化点で樹脂を取り出し、ガラス転移点60℃、軟化温度110℃、ピークトップ分子量Mp8000の樹脂Fを得た。
【0102】
(実施例1)
<材料混合・混錬・粉砕・分級>
結着樹脂:樹脂A(ピークトップ分子量Mp12,000、溶融温度Tm140℃、ガラス転移温度Tg65℃、略称:樹脂A) 45質量%
:樹脂B(ピークトップ分子量Mp5,400、溶融温度Tm95℃、ガラス転移温度Tg55℃、略称:樹脂B) 45質量%
着色剤:カーボンブラック(キャボット株式会社製、製品名:Regal1330)
6質量%
離型剤:エステル系ワックス(透明融点Tm:76℃、日油株式会社製、製品名:WE-15、略称:WAX-1) 3質量%
帯電制御剤:サリチル酸系化合物(オリエント化学工業株式会社、製品名:ボントロンE-84) 1質量%
【0103】
気流混合機(ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、上記の材料を5分間、前混合した後、二軸押出機(池貝社製、型式:PCM30型)を用い、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数200rpm、原料供給速度15kg/時間の条件で溶融混練して溶融混錬物を得た[混合・混錬工程]。
得られた溶融混練物を、ドラムフレーカーで冷却させた後、カッティングミル(オリエント株式会社製、型式:VM-16)を用いて粗粉砕して粗粉砕品を得た[粗粉砕工程]。
次いで、得られた粗粉砕品を、ジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製、型式:IDS-2)を用いて微粉砕し、微粉砕品を得た[微粉砕工程]。
得られた微粉砕品を、エルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ-LABO)を用いて分級して、平均一次粒子径6.5μmのトナー粒子を得た[分級工程]。
【0104】
<外添処理>
得られたトナー母粒子100質量部に、小粒子径シリカ(平均一次粒子径7nm、アエロジル社製、名称:R976S、略称:Si-B1)0.7質量部を加え、得られた混合物を気流混合機(ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用い、撹拌羽根の先端速度40m/秒の設定条件で2分間混合した[第一外添工程]。
次いで、会合型シリカSi-A1(平均一次粒子径60nm、会合度2.5、平均二次粒子径150nm)1.0質量部をさらに加え、得られた混合物を、撹拌羽根の先端速度40m/秒の設定条件で2分間混合した[第二外添工程]。
このように二段階の外添処理により外添トナーを得た。
【0105】
<現像剤の調製>
得られた外添トナーと、フェライトコアキャリア(体積平均粒子径40μm、パウダーテック株式会社製)とを、現像剤全量に対する外添トナー濃度が7質量%となるように、V型混合機(株式会社徳寿工作所製、商品名:V-5)に投入し、30分間混合して現像剤を得た。
【0106】
(実施例2~25および比較例1~5)
表1および2に示される会合型シリカ、離型剤および小粒子径シリカを用いること以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0107】
(実施例26)
樹脂Bの代わりに樹脂C(ピークトップ分子量Mp3,900、溶融温度Tm90℃、ガラス転移温度Tg50℃)を用いること以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0108】
(実施例27)
樹脂Bの代わりに樹脂D(ピークトップ分子量Mp3,400、溶融温度Tm85℃、ガラス転移温度Tg48℃)を用いること以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0109】
(実施例28)
樹脂Bの代わりに樹脂E(ピークトップ分子量Mp6,400、溶融温度Tm105℃、ガラス転移温度Tg60℃)を用いること以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0110】
(実施例29)
樹脂Bの代わりに樹脂F(ピークトップ分子量Mp8,000、溶融温度Tm110℃、ガラス転移温度Tg60℃)を用いること以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0111】
(実施例30)
<外添処理>を次のように、小粒子径シリカおよび会合型シリカの同時添加・混合に変更すること以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
得られたトナー母粒子100質量部に、小粒子径シリカ(Si-B1)0.7質量部および会合型シリカ(Si-A1)1.0質量部を加え、得られた混合物を気流混合機を用い、撹拌羽根の先端速度40m/秒の設定条件で4分間混合して、外添トナーを得た。
【0112】
(実施例31)
<外添処理>の(第一外添工程)において小粒子径シリカ(Si-B1)を加えないこと以外は、実施例1と同様にして、外添トナーおよび現像剤を得た。
【0113】
[評価]
実施例1~31および比較例1~5において作製したトナーおよび現像剤のフィルミング耐性、耐熱保存特性および焼き付き現象を下記の方法により評価し、これらの3評価の結果に基づいて総合評価を行なった。
【0114】
[評価1:フィルミング耐性]
作製した現像剤およびトナーを、帯電ローラ搭載のカラー複合機(シャープ株式会社製、型式:BP-20C25)の現像装置およびトナーカートリッジのそれぞれに充填した。次いで、現像ローラの軸方向における中央部と両端部の3点の位置に、一辺が10mmの正方形のベタ画像(ID=1.45~1.50)が形成されるように、温度25℃湿度5%の環境下でA4用紙に50000枚の連続プリントテストを行った。
その後、A3用紙にベタ画像(ID:1.6~1.8)と、ハーフトーン(HT)画像(ID:0.5~0.7)を出力し、得られた画像を目視で観察し、下記の基準でフィルミング耐性を評価した。
【0115】
◎(優秀):ベタ画像、HT画像共に画像欠陥(白筋等)がなく、かつ感光体表面に筋が全く観察されない
○(良好):ベタ画像、HT画像共に画像欠陥(白筋等)がないが、感光体表面にはやや筋が観察される
△(可) :ベタ画像には画像欠陥(白筋等)がないが、HT画像にわずかに画像欠陥(白筋等)が確認でき、感光体表面には部分的に筋が観察される
×(不可):ベタ画像、HT画像共に欠陥(白筋等)が確認でき、感光体表面には全面的に筋が観察される
【0116】
[評価2:耐熱保存性]
高温保存後の凝集物の有無により耐熱保存安定性を評価した。
作製したトナー20gを秤量し(トナー全重量:g)、容量50mLのポリ容器に入れて密閉し、温度50℃で72時間放置した。その後、トナーを取り出し、230メッシュの篩で分級し、篩上に残存するトナーを秤量した(トナー篩上重量:g)。
予め秤量しておいたトナー全重量に対するトナー篩上重量の割合を残存量(%)として求め、下記の評価基準で耐熱保存性を評価した。
◎(優秀):凝集なし。残存量が0.5%未満である
○(良好):凝集微量。残存量が0.5%以上7%未満である
△(可 ):凝集多量。残存量が7%以上12%未満である
×(不可):凝集多量。残存量が12%以上である
残存量の数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こさず、トナー母粒子が被覆層で充分に被覆されていることを意味する。
【0117】
[評価3:焼き付き現象]
作製した現像剤およびトナーを、帯電ローラ搭載のカラー複合機(シャープ株式会社製、型式:BP-20C25)の現像装置およびトナーカートリッジのそれぞれに充填した。次いで、現像ローラの軸方向における中央部と両端部の3点の位置に、一辺が10mmの正方形のベタ画像(ID=1.45~1.50)が形成されるように、温度30℃湿度80%の環境下でA4用紙に50000枚の連続プリントテストを行った。その際、初期と50000枚後の画像濃度を、測色色差計(分光濃度計、エックスライト(X-Light)社製、型式:504)を用いて測定し、初期と50000枚後の画像濃度差(ΔID)を測定し、下記の基準で焼き付き現象を評価した。
【0118】
◎(優秀):濃度低下がなく(ΔIDが0.1未満)、かつ
現像ローラ表面にトナーの融着がない
○(良好):濃度低下はなく(ΔIDが0.1未満)、かつ
現像ローラ表面にトナーの融着が観察される
△(可) :濃度低下がわずかにあり(ΔIDが0.1以上0.2未満)、かつ
現像ローラ表面にトナーの融着が観察される
×(不可):濃度低下が大きく(ΔID:0.2以上)、かつ
現像ローラ表面にトナーの融着が観察される
【0119】
[総合判定]
上記の評価結果に基づいて、下記の基準で総合判定した。
◎(優秀):すべての評価項目が◎である(使用可能)
○(良好):1つの評価項目にでも○がある(使用可能)
△(可) :1つの評価項目にでも△がある(使用可能)
×(不可):1つの評価項目にでも×がある(使用不可)
実施例および比較例のトナーおよび現像剤の調製に使用した材料およびその物性、含有量を表1および2に、得られたトナーおよび現像剤の物性および評価結果を表3および4に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
表1~4から次のことがわかる。
(1)本発明の要件を備えたトナーを含む2成分現像剤(実施例1~31)は、逆転現像方式と接触帯電ローラ方式の両システムを採用した場合であっても、フィルミング耐性に優れ、長期の使用にわたり、画像劣化を抑制し、安定した画像を形成できること
(2)一方、本発明の要件を備えないトナーを含む2成分現像剤(比較例1~5)は、トナーの性能が本発明の要件を備えたトナーを含む2成分現像剤に劣ること
(3)また、本発明の好ましい他の要件を備えたトナーを含む2成分現像剤は、さらに優れた性能を有すること
(4)実施例1および4~7の対比から、会合シリカの会合度を2.0~3.0の範囲であることにより、フィルミング耐性が優れること
(5)実施例1および8~11の対比から、会合シリカの平均二次粒子径が100nm未満であると耐熱保存性と焼き付き現象が悪化傾向にあり、300nmを超えるとフィルミング耐性が悪化傾向にあること
(6)実施例1および12~15の対比から、トナー母体粒子中のエステル系ワックスが0.5~5.0質量%の範囲であることにより、フィルミング耐性が優れていることが分かる。また5.0質量%を超えると耐熱保存性と焼き付き現象が悪化傾向になること
【0125】
(7)実施例1、16および17の対比から、小粒子径シリカの平均一次粒子径が15nmを超えるとフィルミング耐性が悪化傾向にあること
(8)実施例1および18~21の対比から、会合シリカの含有量が0.2質量%未満であることにより、耐熱保存性と焼き付き現象が悪化傾向にあり、2.0質量%を超えることにより、フィルミング耐性が悪化傾向にあること
(9)実施例1、22~25および31の対比から、小粒子径シリカの含有量が0.2~1.5質量%の範囲とすることで、フィルミング耐性が優れていることが分かる。また0.2質量%未満では、耐熱保存性と焼き付き現象も悪化傾向であること
(10)実施例1および26~29の対比から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定におけるピークトップ分子量(Mp)が4000未満であると耐熱保存性と焼き付き現象が悪化傾向にあり、6500を超えるとフィルミング耐性が悪化傾向にあること
(11)実施例1および30の対比から、母粒子に第一外添剤成分として小粒子径シリカを添加・混合して、該トナー母粒子に該小粒子径シリカを外添する第一外添工程、および得られたトナー母粒子に第二外添剤成分として前記会合型シリカをさらに添加・混合して、該トナー母粒子に該会合型シリカを外添する第二外添工程を有することで、更に優れたフィルミング耐性を有すること
【符号の説明】
【0126】
700 画像形成装置(レーザプリンタ)
710 帯電手段(帯電器)
711 電源(高電圧印加装置)
720 露光手段
730 現像手段(現像器)
730a 現像ローラ
730b ケーシング
740 転写手段(転写帯電器)
741 高電圧印加装置
750 クリーニング手段(クリーナ)
750a クリーニングブレード
750b 回収用ケーシング
760 定着手段(定着器)
760a 加熱ローラ
760b 加圧ローラ
770 分離手段(分離爪)
780 筐体(ハウジング)
F 電子写真感光体
F1 基体(導電性支持体)
Fa 感光体表面
D 現像剤(トナー)
α1 回転軸線
α2 回転軸線
R 矢符(電子写真感光体の回転方向)
P 記録媒体(記録紙または転写紙)
W 矢符(記録媒体の搬送方向)
H 水平方向
V 鉛直方向
TN 転写ニップ部
FN 定着ニップ部
【0127】
G 帯電部材(帯電ローラ)
G1 導電性支持体
G2 弾性層
G3 抵抗層
図1
図2