(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
E05B1/00 311K
(21)【出願番号】P 2020099377
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】芝野 忠行
(72)【発明者】
【氏名】水本 義則
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-053630(JP,A)
【文献】特開2006-214081(JP,A)
【文献】特開2018-178608(JP,A)
【文献】特開2015-168940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-3/10
E05C 1/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠に対して摺動する障子と、
前記障子の開閉操作のためのハンドルと、
前記障子に設けられた縦框において室内側に面する取付面から突出して取り付けられ、
前記取付面よりも見付け方向の内周側に位置し且つ前記取付面と交差する面を有し、前記取付面と交差する面に前記ハンドルを固定するハンドル固定部と、
前記ハンドル固定部に設けられ前記ハンドルに連動する係止部と、
前記縦框の室内側の面より室内側に固定され、前記係止部が係止されるロック部と、を備える、建具。
【請求項2】
前記係止部は、前記取付面から室内側に離間するように前記ハンドル固定部に取り付けられている、
請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記ロック部は、前記取付面から室内側に離間して前記サッシ枠に固定されている、
請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記ロック部は、
前記サッシ枠に固定され
前記サッシ枠との間に中空構造が形成された固定台座と、
前記固定台座に固定され前記係止部に係止するロック部材と、を備える、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
前記ハンドル固定部は、中空に形成されている、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障子を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドルが取り付けられた障子を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された建具は、建物の開口に取り付けられるサッシ枠と、サッシ枠に摺動自在に取り付けられた障子と、障子の室内側に取り付けられたハンドルと、ハンドルに連動する係止部と、係止部に係止されるロック部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された建具によれば、外気に触れる障子の縦框にハンドルが取り付けられ、ロック部が外気に触れる位置に設けられている。そのため、ロック部からハンドルに外気の熱が伝わり、外気温が低い場合にハンドルが結露する虞がある。
【0005】
本開示は、障子に設けられたハンドルの結露を防止する建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示は、サッシ枠に対して摺動する障子と、前記障子の開閉操作のためのハンドルと、前記障子に設けられた縦框において室内側に面する取付面から突出して取り付けられ、前記取付面よりも見付け方向の内周側に位置し且つ前記取付面と交差する面を有し、前記取付面と交差する面に前記ハンドルを固定するハンドル固定部と、前記ハンドル固定部に設けられ前記ハンドルに連動する係止部と、前記縦框の室内側の面より室内側に固定され、前記係止部が係止されるロック部と、を備える建具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】建具に侵入する外気の流れを示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る建具について説明する。
【0009】
図1に示されるように、建具1は、サッシ枠2と、サッシ枠2に取り付けられた障子10と、障子10をロックするためのロック部20とを備える。障子10は、例えば、引き違い戸である。以下、平面視した状態を説明する。
【0010】
サッシ枠2は、建物の開口に取り付けられる枠体である。障子10は、サッシ枠2においてレール3に沿った方向(図のx軸方向)に開閉自在に取り付けられている。障子10は、サッシ枠2に対して摺動する。障子10は、例えば、二重のガラス板G1,G2を備えたペアガラス用のサッシ窓である。
【0011】
障子10は、閉じた状態でサッシ枠2の縦枠2Aに接触する縦框11を備える。縦框11は、上下方向(図のz軸方向)に沿って延在して形成された枠部材である。縦框11は、矩形断面の筒状体に形成されている。縦框11は、アルミニウム材を用いた押し出しにより中空に形成されている。縦框11は、ガラス板Gの端部を支持するための溝部12が形成されている。縦框11は、サッシ枠2の縦枠2A方向に突出する突起部11A,11Bが形成されている。縦框11の内部には、内部空間を仕切る仕切板13がx軸方向に沿って形成されている。仕切板13により縦框11の強度が高められると共に、外気の温度が室外側に伝搬することが抑制される。
【0012】
縦框11の室内側に面する一端面14には、ハンドルPを固定するためのハンドル固定部Qが取り付けられている。ハンドル固定部Qは、矩形断面の筒状体に形成されている。ハンドル固定部Qは、アルミニウム材を用いた押し出しにより中空に形成されている。これにより、障子10からハンドルPに伝搬する熱が抑制される。
【0013】
ハンドル固定部Qは、室内側に面して一端面Q2が形成されている。ハンドル固定部Qは、一端面Q2に対向して縦框11側に他端面Q3が形成されている。一端面Q2及び他端面Q3の両側には、直交する方向に一側面Q4及び他側面Q5が対向して形成されている。他側面Q5は、サッシ枠2の縦枠2A側に形成されている。ハンドル固定部Qは、他端面Q3側が縦框11の一端面14(取付面)にネジY等により固定されている。ハンドル固定部Qは、縦框11に対してx軸方向にオフセットされて固定されている。
【0014】
ハンドル固定部Qは、例えば、一端面Q2と一側面Q4とが一体に形成された逆L断面に形成された第1部材と、他端面Q3と他側面Q5とが一体に形成されたL断面に形成された第2部材とが組み合わされて形成されている。ハンドル固定部Qは、一側面Q4に障子10を室内側から開閉操作するためのハンドルPが固定されている。ハンドルPは、金属材料や樹脂材料により形成されている。
【0015】
ハンドルPは、基端P1がハンドル固定部Qの一側面Q4に固定されている。ハンドルPは、一側面Q4において人が操作しやすい位置に固定されている。ハンドルPは、ハンドル固定部Qを介して縦框11に間接的に固定されている。ハンドルPは、例えば、ハンドル固定部Qの一側面Q4の上下方向の略中央の高さの位置に配置されている。ハンドルPは、基端P1から突出し先端が室内側に向かうように屈曲して形成されている。ハンドルPは、基端P1を通る回転軸Lを中心に回転自在にハンドル固定部Qに取り付けられている。
【0016】
ハンドルPは、基端P1がシャフトSの一端S1にネジTにより連結されている。シャフトSは、ハンドル固定部Qに回転自在に取り付けられている。シャフトSは、障子10の移動方向(x軸方向)に沿った回転軸L回りに回転する。シャフトSの他端S2には、ロック部20に係止する係止部Rが形成されている。係止部Rは、一端R1側がシャフトSの他端S2に連続し、他端R2がハンドル固定部Qの他側面Q5から突出するように形成されている。係止部Rは、縦框11の一端面14から室内側に離間するようにハンドル固定部Qに取り付けられている。
【0017】
係止部Rは、先端にロック部20に係止するための爪部(不図示)が形成されている。爪部(不図示)は、ハンドルPの回転に連動して回転する。爪部(不図示)は、障子10が閉じられた状態においてロック部20に挿入される。爪部(不図示)は、ハンドルPが開錠位置に回転した状態において後述のロック部20に形成された溝部23にx軸方向に沿って出し入れ自在に形成されている。爪部(不図示)は、ハンドルPが施錠位置に回転した状態において後述のロック部20の溝部23に係止されるように形成されている。
【0018】
ロック部20は、縦框11の一端面14(室内側の面)から室内側に離間してサッシ枠2の縦枠2Aに固定されている。ロック部20は、サッシ枠2に固定された固定台座21と、固定台座21固定されたロック部材22とを備える。固定台座21は、矩形断面の筒状体に形成されている。固定台座21は、アルミニウム材を用いた押し出しにより中空に形成されている。固定台座21は、サッシ枠2の縦枠2Aに上下方向に延在して形成されている。
【0019】
固定台座21は、障子10側に面した一端面21Aと、一端面21Aに対向する他端面21Bと、一端面21A及び他端面21Bの両端に設けられた一側面21Cと、他側面21Dとを有する。一側面21C及び他側面21Dは、一端面21A及び他端面21Bに直交する方向に形成されている。
【0020】
固定台座21は、一端面21Aに縦框11との間の隙間を埋めるパッキンHが取り付けられている。パッキンHは、アルミニウム材よりも熱伝導率が低い樹脂、ゴム等の弾性体により形成されている。パッキンHは、縦框11に点接触して変形するように形成されている。固定台座21は、一側面21C側がサッシ枠2に固定されている。固定台座21は、他側面21D側にロック部材22が固定されている。ロック部材22は、一側面側が固定台座21に固定されている。ロック部材22は、直方体に形成されている。ロック部材22は、他側面側に溝部23が形成されている。
【0021】
溝部23は、ハンドルPが開錠位置に回転した状態において係止部Rが出し入れ自在に形成されている。溝部23は、ハンドルPが施錠位置に回転した状態において係止部Rが係止されるように形成されている。
【0022】
図2に示されるように、障子10が閉じられた状態において、サッシ枠2と縦框11との間に生じた隙間から外気Aが流れる。ここで、縦框11の一端面14を含む障子10の室内側の表面に沿った領域が気密ラインXである。外気は縦框11の突起部11Aに触れ、パッキンHに温度が伝搬する。パッキンHは、突起部11Aとの接触部分が小さく形成されているので、温度の伝搬が抑制される。パッキンHが固定された固定台座21は、中空に形成されているので、パッキンHから伝搬される温度がロック部材22に伝搬することが抑制される。
【0023】
即ち、ロック部20は、気密ラインXから室内側に分離しているため、ロック部20に外気の温度が伝搬することが抑制される。係止部R、シャフトS、及びハンドルは、気密ラインXから室内側に離間するようにハンドル固定部Qに取り付けられている。ハンドル固定部Qは、中空に形成されているため、ハンドルPに外気の温度が伝搬することが抑制される。従って、外気の温度が室温に比して温度差が大きい低温の状態であってもハンドルPに結露が生じることが抑制される。
【0024】
上述したように建具1によれば、障子10に設けられたハンドルPに外気の温度が伝搬することが抑制され、外気温が低温であってもハンドルPの表面の結露を防止できる。建具1によれば、外気温が低温の状態でハンドルPに触れてもハンドルPが冷たく感じることが防止される。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は適宜変更、置換が可能である。例えば、ロック部20と係止部Rとを係止する構造は上記の構成に限らずカムとラッチで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 建具、2 サッシ枠、2A 縦枠、3 レール、10 障子、11 縦框、12 溝部、13 仕切板、14 一端面(取付面)、20 ロック部、21 固定台座、22 ロック部材、23 溝部、G、G1、G2 ガラス板、H パッキン、P ハンドル、Q ハンドル固定部、R 係止部、S シャフト