(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240524BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240524BHJP
H02K 33/16 20060101ALI20240524BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240524BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240524BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H02K33/16 B
H04N23/50
H04N23/57
(21)【出願番号】P 2020167694
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-70865(JP,A)
【文献】特開2016-99503(JP,A)
【文献】特開2019-33358(JP,A)
【文献】特開2019-33357(JP,A)
【文献】国際公開第2012/004994(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0282601(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109390697(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H02K 33/16
H04N 23/57
H04N 23/50
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
前記光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において前記可動体を囲む固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構と、
前記可動体及び前記固定体の一方に配置されるコイルと、前記可動体及び前記固定体の他方における前記コイルと対向する位置に配置される複数の磁石と、を有する駆動機構と、
を備え、
前記コイルは、前記光軸方向の端部が前記回転軸に近づく方向に折り曲げられ、
複数の前記磁石は、前記回転軸方向から見て、前記光軸方向に沿って並べられるよりも前記コイルと対向する面が前記コイルに対して平行に近くなるように、並べて配置されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
複数の前記磁石は、隣り合う磁石に対して段差を有した状態で、並べて配置されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記コイルは、前記光軸方向の両端部側の領域が前記回転軸方向に延びる有効辺を形成していることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の光学ユニットにおいて、
前記駆動機構は、前記回転支持機構による最大回転範囲で前記可動体が前記固定体に対して回転した場合でも前記有効辺と前記磁石のうちの少なくとも1つとが対向する配置となるように、前記コイル及び前記磁石が配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項3または4に記載の光学ユニットにおいて、
前記コイルは、前記有効辺とは異なる位置で折り曲げられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記コイルは、3回以上折り曲げられ、
前記磁石は、3つ以上であることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して回転可能に支持する光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して回転可能に支持する光学ユニットであって、ともに端部が回転軸に近づく方向に折り曲げられるコイルと、該コイルとの間隔が広くならないように成形された磁石と、を1つずつ有する駆動機構を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-99503号公報
【文献】特開2019-70865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルと磁石とを有する駆動機構により可動体を固定体に対して回転させる一般的な光学ユニットにおいては、回転範囲が大きくなると、特に端部の位置でコイルと磁石との間隔が大きくなり、回転の駆動効率が低下する場合があった。そこで、特許文献1及び特許文献2の光学ユニットのように、ともに端部が回転軸に近づく方向に折り曲げられるコイルと磁石とを1つずつ有する駆動機構を備える光学ユニットにおいては、回転範囲が大きくなった場合のコイルと磁石との間隔の広がりを抑制でき、消費電力の増大など回転の駆動効率の低下を抑制することができる。しかしながら、1つの磁石で、折り曲げられたコイルとの間隔が広くならないように、該磁石を成形することは困難な場合があるとともに、回転範囲が大きくなった場合のコイルと磁石との間隔の広がりを十分には抑制できない虞があった。そこで、本発明は、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して回転可能に支持する光学ユニットにおいて、回転範囲が大きくても該回転の駆動効率を低下させないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、前記光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において前記可動体を囲む固定体と、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構と、前記可動体及び前記固定体の一方に配置されるコイルと、前記可動体及び前記固定体の他方における前記コイルと対向する位置に配置される複数の磁石と、を有する駆動機構と、を備え、前記コイルは、前記光軸方向の端部が前記回転軸に近づく方向に折り曲げられ、複数の前記磁石は、前記回転軸方向から見て、前記光軸方向に沿って並べられるよりも前記コイルと対向する面が前記コイルに対して平行に近くなるように、並べて配置されることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、光軸方向の端部が前記回転軸に近づく方向に折り曲げられるコイルと、回転軸方向から見て光軸方向に沿って並べられるよりもコイルと対向する面がコイルに対して平行に近くなるように並べて配置される複数の磁石と、を有する。このため、磁石の成形が容易になることで、折り曲げられたコイルとの間隔が広くならないように磁石を効果的に配置することができ、可動体の固定体に対する回転の回転範囲が大きくても該回転の駆動効率を低下させないようにすることができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、複数の前記磁石は、隣り合う磁石に対して段差を有した状態で、並べて配置される構成とすることができる。このような構成とすることで、各々の磁石を成形が容易な磁石としつつ、折り曲げられたコイルとの間隔が広くならないように磁石を効果的に配置することができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記コイルは、前記光軸方向の両端部側の領域が前記回転軸方向に延びる有効辺を形成している構成とすることができる。このような構成とすることで、コイルの駆動効率を高くすることができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記駆動機構は、前記回転支持機構による最大回転範囲で前記可動体が前記固定体に対して回転した場合でも前記有効辺と前記磁石のうちの少なくとも1つとが対向する配置となるように、前記コイル及び前記磁石が配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、回転支持機構による最大回転範囲で可動体が固定体に対して回転した場合でも、効果的に駆動力を付与することができ、駆動効率を高くすることができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記コイルは、前記有効辺とは異なる位置で折り曲げられている構成とすることができる。有効辺で折り曲げられている場合は折り曲げられた領域でコイルと磁石とを平行に対向させることは困難になるが、有効辺とは異なる位置で折り曲げられていることで、コイルと磁石とを容易に平行に対向させることができ、駆動効率を高くすることができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記コイルは、3回以上折り曲げられ、前記磁石は、3つ以上である構成とすることができる。コイルの折り曲げ回数が少ないと回転範囲が大きくなった場合にコイルと磁石との間隔が広くなりやすいが、このような構成とすることで、回転範囲が大きくなった場合であってもコイルと磁石との間隔を狭くすることができ、駆動効率を高くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
光学モジュールを備える可動体を固定体に対して回転可能に支持する本発明の光学ユニットは、回転範囲が大きくても該回転の駆動効率を低下させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの駆動機構の側面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの駆動機構の正面図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る光学ユニットの駆動機構の正面図である。
【
図5】本発明の実施例3に係る光学ユニットの駆動機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、-Y方向に見た図を正面図、+Y方向に見た図を背面図、-Z方向に見た図を平面図、+Z方向に見た図を底面図とする。また、X軸方向はヨーイング軸方向に対応し、Y軸方向はピッチング軸方向に対応し、Z軸方向は光軸方向に対応するとともにローリング軸方向に対応する。
【0015】
[実施例1](
図1から
図3)
最初に、本発明の光学ユニットとして、実施例1に係る光学ユニット1について
図1から
図3用いて説明する。詳細は下記で説明するように、本実施例の光学ユニット1は、光学モジュール22を備える可動体20と、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10と、可動体20を固定体10に対して光軸方向と交差する方向(X軸方向及びY軸方向)を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構としてのジンバル機構30と、固定体10に配置されるコイル11(コイル11A及び11B)と可動体20におけるコイル11と対向する位置に配置される磁石21(磁石21A及び21B)とを有する駆動機構41と、を備えている。
【0016】
<光学ユニットの全体構成>
最初に、本実施例の光学ユニット1の全体構成について
図1を用いて説明する。本実施例の光学ユニット1は、カメラやスマートフォンなどにおいて好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、コンパクトに構成でき、カメラやスマートフォンをコンパクト構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、カメラやスマートフォンに限定されず、特に用途を限定することなく様々な装置に使用可能である。
【0017】
図1で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、レンズ等が設けられる光学モジュール22を備える可動体20を備えている。また、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲むケース部10Aと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で-Z方向からケース部10Aを覆うことが可能な底部10Bと、を備える固定体10を備えている。また、可動体20と固定体10との間において、バネ性を有するジンバルフレーム部31を有し、可動体20を固定体10に対してX軸方向及びY軸方向を回転軸として回転可能に支持する、ジンバル機構30を備えている。さらに、固定体10に対して可動体20を回転させる駆動機構41を備えている。
【0018】
<可動体>
可動体20は、略直方体をしている。光学モジュール22は、上面部20a、下面部20d、X軸方向における両側の側面部20b及びY軸方向における両側の側面部20cにより可動体20の内部に保持されており、可動体20の+Z方向の面である上面部20aからレンズが突出した状態となるように配置されている。また、X軸方向における可動体20の両側の側面部20bには、駆動機構41を構成する磁石21Aが設けられている。また、Y軸方向における可動体20の両側の側面部10cには、駆動機構41を構成する磁石21Bが設けられている。ここで、磁石21A及び磁石21Bは、同様の構成であるが、詳細な構成は後述の駆動機構41の説明の中で説明する。
【0019】
<固定体>
固定体10は、略直方体をしており、ケース部10Aが上面部10a、X軸方向における両側の側面部10b及びY軸方向における両側の側面部10cを構成し、底部10Bが下面部10dを構成している。固定体10は、可動体20をZ軸方向から上面部10aと下面部10dとで囲み、可動体20をX軸方向から側面部10bで囲むとともに可動体20をY軸方向から側面部10cで囲む。ここで、固定体10の+Z方向の面である上面部10aには、光学モジュール22のレンズを通す孔部12が設けられている。
【0020】
また、固定体10のX軸方向における両側の側面部10bにおける内側の面には、駆動機構41を構成するコイル11Aが設けられている。また、固定体10のY軸方向における両側の側面部10cにおける内側の面には、駆動機構41を構成するコイル11Bが設けられている。コイル11Aは磁石21Aと対向する位置に配置され、コイル11Bは磁石21Bと対向する位置に配置されている。ここで、コイル11A及びコイル11Bは、同様の構成であるが、詳細な構成は磁石21A及び磁石21Bの説明と共に後述の駆動機構41の説明の中で説明する。
【0021】
<ジンバル機構>
ジンバル機構30は、光学モジュール22を通す円形の孔部33を有し外形が矩形のジンバルフレーム部31と、可動体20及び固定体10との接続部32と、を有している。接続部32は矩形のジンバルフレーム部31の4角に形成されており、このうち対角線上の2つの接続部32は可動体20に対して揺動可能に接続されており、別の対角線上の2つの接続部32は固定体10に対して揺動可能に接続されている。なお、ジンバル機構30としては、従来から光学ユニットに使用される一般的なジンバル機構を特に限定なく使用することができる。
【0022】
<駆動機構>
次に、本実施例の光学ユニット1の要部である駆動機構41について、
図1に加え、
図2及び
図3を用いて説明する。なお、
図2及び
図3はコイル11のうちのコイル11Aと磁石21のうちの磁石21Aとで構成される駆動機構41(ピッチング軸揺動機構)の図であるが、上記のようにコイル11Aとコイル11Bとは同様の構成であるとともに磁石21Aと磁石21Bとは同様の構成である。このため、下記の説明は、X軸方向とY軸方向とを読み替えて、コイル11Bと磁石21Bとで構成される駆動機構41(ヨーイング軸揺動機構)の説明とみなすことができる。
【0023】
図1で表されるように、駆動機構41は、コイル11Aと磁石21Aとからなるピッチング軸揺動機構と、コイル11Bと磁石21Bとからなるヨーイング軸揺動機構と、を有している。ただし、このような構成に限定されず、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とのうちのいずれか1方のみを備える構成としてもよい。また、本実施例の駆動機構41はピッチング軸揺動機構(コイル11Aと磁石21Aとの対)とヨーイング軸揺動機構(コイル11Bと磁石21Bとの対)とを2つずつ有する構成であるが、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とを1つずつ或いは3つずつ以上有する構成としてもよい。さらに、本実施例の駆動機構41はコイル11を固定体10に備え磁石21を可動体20に備えているが、コイル11を可動体20に備え磁石21を固定体10に備えている構成としてもよい。
【0024】
<磁石>
図2及び
図3で表されるように、磁石21Aは、+Z方向側から順に、平板状の磁石211と、折り曲げ部BでX軸方向において外側に折り曲げられた板状の磁石212と、平板状の磁石213と、で構成されている。また、
図3で表されるように、平板状の磁石211及び平板状の磁石213はいずれも、Z軸方向における端部側がX軸方向において内側になるように配置されている。すなわち、
図3で表されるように、磁石21Aの各々の磁石は、Y軸方向から見て円弧を描くような配置で設けられている。
【0025】
ここで、磁石211は、コイル11Aと対向する側(X軸方向における外側)の面がN極となるように構成されている。また、磁石212は、折り曲げ部Bよりも+Z方向側の領域はコイル11Aと対向する側の面がN極となるように構成されているとともに、折り曲げ部Bよりも-Z方向側の領域はコイル11Aと対向する側の面がS極となるように構成されている。そして、磁石213は、コイル11Aと対向する側の面がS極となるように構成されている。すなわち、磁石21Aは、Z軸方向において+Z方向側の半分の領域はコイル11Aと対向する側の面がN極となるように構成され、Z軸方向において-Z方向側の半分の領域はコイル11Aと対向する側の面がS極となるように構成されている。
【0026】
<コイル>
図2及び
図3で表されるように、コイル11Aは、+Z方向側から順に、Y軸方向に沿って延びる有効辺111と、非有効辺112及び113と、Y軸方向に沿って延びる有効辺114と、で構成されている。また、コイル11Aは、
図3で表されるように、非有効辺がX軸方向における中央でX軸方向において外側に凸となるように折り曲げ部Bで折り曲げられることで非有効辺112と非有効辺113とに分けられている。また、有効辺111と非有効辺112との間でX軸方向において外側に凸となるように折り曲げ部Bで折り曲げられ、非有効辺113と有効辺114との間でX軸方向において外側に凸となるように折り曲げ部Bで折り曲げられている。
【0027】
このように、コイル11Aは、3か所の折り曲げ部BでX軸方向において外側に凸となるように折り曲げることで、磁石211と同様、Y軸方向から見て円弧を描くような配置で設けられている。ここで、コイル11Aと磁石21Aとからなるピッチング軸揺動機構の回転軸は、X軸方向において可動体20の中央側(
図3の-X方向側)なので、コイル11AはZ軸方向における端部が回転軸に近づく方向に折り曲げられていると表現することができる。なお、駆動機構41を駆動する前の状態では、有効辺111が磁石211と対向し、非有効辺112が磁石212におけるN極の領域と対向し、非有効辺113が磁石212におけるS極の領域と対向し、有効辺114が磁石213と対向する配置となっている。このように、コイル11Aと磁石21Aとを共にY軸方向から見て円弧を描くような配置で設けることで、固定体10に対して可動体20を回転させても、コイル11Aと磁石21Aとの間隔が広がることを抑制できる。
【0028】
このように、本実施例の光学ユニット1においては、コイル11Aは、光軸方向(Z軸方向)の端部が回転軸に近づく方向に折り曲げられている。そして、複数の磁石211、212及び213は、コイル11Aと同様にY軸方向から見て円弧を描くような配置で設けられている。別の表現をすると、複数の磁石211、212及び213は、回転軸方向(
図3ではY軸方向)から見て、光軸方向に沿って(Z軸方向にまっすぐ)並べられるよりもコイル11Aと対向する面がコイル11Aに対して平行に近くなるように(コイル11と磁石21との間隔が一定の間隔に近くなるように)、並べて配置されている。
【0029】
本実施例の光学ユニット1における複数の磁石211、212及び213は、構造が単純であり、成形が容易である。そして、成形が容易なこれら磁石211、212及び213を用いて、上記のように、折り曲げられたコイル11Aとの間隔が広くならないように各磁石を効果的に配置している。したがって、本実施例の光学ユニット1は、可動体20の固定体10に対する回転の回転範囲が大きくても該回転の駆動効率を低下させないようにしている。また、磁石21とコイル11とをY軸方向から見て円弧を描くような配置で設けることで、同じ大きさの磁石21とコイル11とを光軸方向に沿ってまっすぐに配置した場合よりも、光学ユニット1がZ軸方向に大きくなることを抑制することができる。
【0030】
なお、本実施例においては、コイル11A及び磁石21Aはともに回転軸を中心とする円弧に略沿って配置されるが、コイル11及び磁石21が本実施例ほど回転軸を中心とする円弧に沿って配置されていなくてもよい。コイル11が光軸方向の端部が回転軸に近づく方向に折り曲げられ、複数の磁石21が回転軸方向から見て光軸方向に沿って並べられるよりもコイル11と対向する面がコイル11に対して平行に近くなるように並べて配置されていれば、コイル11と磁石21との間隔が略一定の間隔とは言えなくても、本発明に該当する。
【0031】
ここで、
図3で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、磁石211と磁石212、並びに、磁石212と磁石213とは、隣り合う磁石に対して段差Dを有した状態で、並べて配置されている。このような構成とすることで、各々の磁石211、212及び213を成形が容易な磁石としつつ、折り曲げられたコイル11Aとの間隔が広くならないように磁石を効果的に配置することができる。
【0032】
また、
図2で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、コイル11Aは、円弧状の部分のみからなる真円形または楕円形ではなく、円弧部分と直線状に延びるZ軸方向における両端部分(有効辺111及び114に対応)とを有する形状をしており、直線状に延びる両端部分がいずれも磁石21AのN極のみと対向する配置(有効辺111)またはS極のみと対向する配置(有効辺114)となっている。別の表現をすると、コイル11Aは、光軸方向(Z軸方向)の両端部側の領域が回転軸方向(Y軸方向)に延びる有効辺111及び114を形成している。このような構成とすることで、コイル11Aの駆動効率を高くすることができる。
【0033】
ここで、本実施例の光学ユニット1においては、
図2及び
図3で表されるように、コイル11及び磁石21の配置される方向としての円弧方向に略対応する光軸方向(Z軸方向)において、磁石21Aがコイル11Aよりもはみ出る配置となっている。このような配置となっていることで、本実施例の駆動機構41は、コイル11A及び磁石21Aが、ジンバル機構30による最大回転範囲で可動体20が固定体10に対して回転した場合でも有効辺111及び114と磁石21Aのうちの少なくとも1つとが対向する配置となっている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、ジンバル機構30による最大回転範囲で可動体20が固定体10に対して回転した場合でも、効果的に駆動力を付与することができ、駆動効率を高くしている。
【0034】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、コイル11Aは、有効辺111及び114自体に折り曲げ部Bを有するのではなく、有効辺と非有効辺との間の位置及び非有効辺に折り曲げ部Bを有する。このように、コイル11は、有効辺とは異なる位置(非有効辺または有効辺と非有効辺との境界部分)で折り曲げられている構成とすることが好ましい。有効辺で折り曲げられている場合は、折り曲げられた領域に対応するために磁石21を折り曲げる必要があるなど、折り曲げられた領域でコイル11と磁石21とを平行に対向させることは困難になるが、有効辺とは異なる位置で折り曲げられていることで、コイル11と磁石21とを容易に平行に対向させることができ、駆動効率を高くすることができるためである。
【0035】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、コイル11Aは3回折り曲げられ、磁石21Aは3つである。このように、コイル11は3回以上折り曲げられ、磁石21は3つ以上である構成とすることが好ましい。コイル11の折り曲げ回数が少ないと回転範囲が大きくなった場合にコイル11と磁石21との間隔が広くなりやすいが、このような構成とすることで、回転範囲が大きくなった場合であってもコイル11と磁石21との間隔を狭くすることができ、駆動効率を高くすることができるためである。
【0036】
[実施例2](
図4)
次に、実施例2の光学ユニットについて
図4を用いて説明する。ここで、
図4は本発明の実施例2に係る光学ユニットの駆動機構41の正面図であり、実施例1の光学ユニット1における
図3に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニットは、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0037】
図3で表されるように、実施例1の光学ユニット1は、磁石211と磁石213との間に配置される磁石(磁石212)は、1つの磁石で構成されていた。一方、
図4で表されるように、本実施例の光学ユニットにおいては、磁石211と磁石213との間に配置される磁石は、2つの平板状の磁石214及び215で構成されている。本実施例の光学ユニットはいずれも平板状の磁石で駆動機構41を形成するので、特に簡単な構成とすることができる。
【0038】
[実施例3](
図5)
次に、実施例3の光学ユニットについて
図5を用いて説明する。ここで、
図5は本発明の実施例3に係る光学ユニットの駆動機構41の正面図であり、実施例1の光学ユニット1における
図3に対応する図である。なお、上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニットは、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0039】
図3で表されるように、実施例1の光学ユニット1は、磁石211と磁石213との間に配置される磁石(磁石212)は、折り曲げ部Bを有する磁石で構成されていた。一方、
図5で表されるように、本実施例の光学ユニットにおいては、磁石211と磁石213との間に配置される磁石は、コイル11の非有効辺112及び113に概ね沿う曲面を有する磁石216で構成されている。このように、複数の磁石21の各々についての形状に特に限定はない。
【0040】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…光学ユニット、10…固定体、10a…上面部、10b…側面部、10c…側面部、10d…下面部、10A…ケース部、10B…底部、11A…コイル、11B…コイル、12…孔部、20…可動体、20a…上面部、20b…側面部、20c…側面部、20d…下面部、21A…磁石、21B…磁石、22…光学モジュール、30…ジンバル機構(回転支持機構)、31…ジンバルフレーム部、32…接続部、33…孔部、41…駆動機構、111…有効辺、112…非有効辺、113…非有効辺、114…有効辺、211…磁石、212…磁石、213…磁石、214…磁石、215…磁石、216…磁石、B…折り曲げ部、D…段差