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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】衣類処理装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20240524BHJP
   D06F 58/32 20200101ALI20240524BHJP
   D06F 103/34 20200101ALN20240524BHJP
   D06F 103/38 20200101ALN20240524BHJP
   D06F 103/54 20200101ALN20240524BHJP
   D06F 103/62 20200101ALN20240524BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
D06F58/32
D06F103:34
D06F103:38
D06F103:54
D06F103:62
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020169913
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061773
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】白市 幸茂
(72)【発明者】
【氏名】荒木 開人
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057413(JP,A)
【文献】登録実用新案第3142564(JP,U)
【文献】国際公開第2020/078304(WO,A1)
【文献】特開2000-037598(JP,A)
【文献】特表2015-529509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00 - 58/52
D06F 103/34
D06F 103/38
D06F 103/54
D06F 103/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下された衣類を覆う衣類カバーと、
前記衣類カバーの内部へ蒸気を供給する蒸気吹出口を有する蒸気発生器と、
前記蒸気吹出口よりも低い位置に設けられ、前記蒸気が前記衣類カバーの内部に供給された場合に前記衣類カバーの内部の空気を外部へ排出する排気口と、
を備える衣類処理装置。
【請求項2】
前記排気口に配置され、前記衣類カバーの内部の空気を外部へ排気する排気部を備える請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記衣類カバーの内部にイオンを供給するイオン発生器を備える請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記衣類カバーの内部と連通し、前記蒸気発生器の少なくとも蒸気吹出口を覆う収容部を備え、
前記排気口は、前記収容部に設けられる請求項1から3のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記衣類カバーの下端から突出している請求項4に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の衣類処理装置を制御する制御方法であって、
前記蒸気を前記蒸気発生器から放出しつつ、前記排気口から前記衣類カバーの内部の空気が排出される蒸気放出工程を含む制御方法。
【請求項7】
前記蒸気放出工程にて、前記排気口に配置され、前記衣類カバーの内部の空気を外部へ排気する排気部を動作させる請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記蒸気放出工程にて、前記衣類カバーの内部が所定温度に達したとき、または前記蒸気の放出開始から所定時間が経過したときに、前記排気部を停止させる請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記蒸気放出工程の後に前記衣類カバーの内部を換気する換気工程を含み、
前記換気工程にて、前記衣類カバーの内部にイオンを供給するイオン発生器を動作させる請求項6から8のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を用いて衣類のしわ伸ばしなどを行う衣類処理装置および該衣類処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衣類処理装置として、特許文献1に記載の衣類スタイラーが提案されている。この衣類スタイラーは、箱状の筐体(ケース)の内部に衣類を吊下して収容し、扉を閉めた後、筐体の内部に蒸気を充満、撹拌させる。これにより、衣類を蒸らして、しわ伸ばし、消臭(減臭)などを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-538531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、比較的体積の大きな箱体機器であり、また比較的重量が重いという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、蒸気を用いる衣類処理装置の小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る衣類処理装置は、吊下された衣類を覆う衣類カバーと前記衣類カバーの内部へ蒸気を供給する蒸気吹出口を有する蒸気発生器と、前記蒸気吹出口よりも低い位置に設けられ、前記蒸気が前記衣類カバーの内部に供給された場合に前記衣類カバーの内部の空気を外部へする排気口と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、本発明の一態様に係る衣類処理装置を制御する制御方法であって、前記蒸気を前記蒸気発生器から放出しつつ、前記排気口から前記衣類カバーの内部の空気が排出される蒸気放出工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、簡略化した装置構成で蒸気を用いて衣類を処理することが可能となり、衣類処理装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る衣類処理装置の概略構成を示す正面透視図である。
図2図1に示される衣類処理装置の斜視図である。
図3図2に示される衣類処理装置の基本的な動作の流れを示すフローチャートである。
図4】蒸気発生時の衣類処理装置の動作状態を示す斜視図である。
図5】換気時の衣類処理装置の動作状態を示す斜視図である。
図6図1に示される衣類処理装置の変形例の概略構成を示す正面透視図である。
図7】実施形態2に係る衣類処理装置の概略構成を示す正面透視図である。
図8図7に示される衣類処理装置の変形例の概略構成を示す正面透視図である。
図9図8に示される形状保持部材を示す斜め下面図である。
図10図9に示される形状保持部材の変形例を示す斜め下面図である。
図11図8に示される衣類処理装置の変形例の概略構成を示す正面透視図である。
図12図8に示される衣類処理装置の変形例の概略構成を示す正面透視図である。
図13】実施形態3に係る衣類処理装置の概略構成を示す正面透視図である。
図14図13に示される開口とノズルとの連結部分付近の構成を示す端面図である。
図15図14に示す衣類処理装置における蒸気発生時の蒸気および空気の流れを示す端面図である。
図16図14に示す衣類処理装置における換気時の空気の流れを示す端面図である。
図17図14に示される蒸気発生器の変形例における蒸気発生時の蒸気および空気の流れを示す端面図である。
図18図17に示す衣類処理装置における換気時の空気の流れを示す端面図である。
図19図14に示される蒸気発生器の他の変形例における蒸気発生時の蒸気および空気の流れを示す端面図である。
図20図19に示す衣類処理装置における換気時の空気の流れを示す端面図である。
図21】実施形態4に係る衣類処理装置の斜視図である。
図22図21に示される衣類処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図23図22のステップS12における蒸気発生時の衣類処理装置の動作状態を示す斜視図である。
図24図22のステップS14における換気時の衣類処理装置の動作状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の第1の実施形態について、図1~6に基づいて説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る衣類処理装置の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0011】
(衣類処理装置の概要)
図1は、実施形態1に係る衣類処理装置101の概略構成を示す正面透視図である。衣類処理装置101は、蒸気で衣類を蒸らすことにより、衣類のしわ伸ばし、消臭(減臭)、除菌などを行う装置である。
【0012】
図1に示すように、ハンガー14に吊るされた衣類Cは、スタンド1のフック13に掛けられ、衣類カバー2に覆われる。この状態で、スチーマー3から衣類カバー2の内部へ高温の蒸気を流入させることにより、衣類Cは蒸気で蒸らされる。また、衣類処理装置101は、蒸気発生時に排気ファン5を動作させることにより、衣類Cを蒸らしながら衣類カバー2の内部の空気を排気する。衣類Cを蒸らし終わった後、衣類処理装置101は、換気ファン6を動作させる。これにより、衣類カバー2の内部を換気して衣類Cを乾燥させる。
【0013】
このように、衣類処理装置101は、衣類Cを蒸らし、その後乾燥させることにより、衣類のしわ伸ばし、消臭などの処理を行う。衣類処理装置101は、装置構成を簡略化することにより、装置の小型化を実現したものである。
【0014】
(衣類処理装置の構成)
図2は、図1に示す衣類処理装置101の斜視図である。図2は、衣類カバー2に衣類Cが収容されていない状態を示す。図2に示すように、衣類処理装置101は、スタンド(吊下部)1、衣類カバー(衣類収容部)2、スチーマー(蒸気発生器)3、収容部4、排気ファン(排気部)5、換気ファン(換気部)6、およびイオン発生器7を備える。
【0015】
(スタンド)
スタンド1は、衣類Cを吊下(吊持)するための支持体である。スタンド1は、ベース11、支柱12、フック13、およびハンガー14を備える。支柱12は、下端がベース11に連結され、ベース11に突設される。また、支柱12は、上端近傍の周面にフック13が取り付けられる。ハンガー14は衣類Cを吊すものであり、ハンガー14がフック13に掛けられることにより、衣類Cがスタンド1に吊下される。
【0016】
なお、本実施形態ではフック13とハンガー14とが別々に構成されているが、フック13とハンガー14とが一体的に構成されていてもよい。すなわち、ハンガー14がフック13に固定されていてもよい。
【0017】
また、支柱12は、高さ(軸方向の長さ)が調整できるように伸縮可能になっていてもよい。これにより、吊下する衣類Cの着丈の長さに応じて支柱12の高さを調整し、スタンド1によって最適な高さで衣類Cを吊下することができる。また、衣類処理装置101の不使用時に、支柱12を縮めて小さく収納することができる。
【0018】
(衣類カバー)
衣類カバー2は、スタンド1によって吊下される衣類Cを覆う(収容する)ための衣類収容部である。衣類カバー2は、スタンド1に取り付けられる。衣類カバー2は、例えば図示しない取付具などによって、スタンド1の支柱12に着脱自在に取り付けられる。すなわち、スタンド1は、衣類カバー2を支持する支持体としての機能を有する。
【0019】
衣類カバー2は、カバー本体21、形状保持部材22、およびファスナー23を備える。本実施形態では、カバー本体21は、繊維またはビニールなどの可撓性を有する素材からなる。カバー本体21が可撓性を有することにより、衣類処理装置101の不使用時に、衣類カバー2を支柱12から取り外し、折り畳んで小さく収納することができる。
【0020】
カバー本体21を繊維などの透水性の素材で構成する場合、カバー本体21のうち少なくとも衣類Cと相対する部分(衣類Cを覆う部分)21c(図1参照)が不透水性になっていることが好ましい。衣類Cと相対する部分21dが不透水性を有することにより、衣類カバー2の内部へ流入した蒸気が、衣類カバー2を透過して外部へ漏出することを防ぐことができる。また、衣類Cに水分が付着し易くなるため、衣類Cのしわ伸ばし、消臭効率を高めることができる。衣類Cと相対する部分21dに不透水性を付与する方法として、衣類カバー2の内面をビニールなどの不透水性の素材で内貼りすることなどが挙げられる。
【0021】
カバー本体21の内部は、スチーマー3を収容する収容部4の内部と連通する。本実施形態では、カバー本体21は、その下端(下面)側で収容部4と連通する。このため、カバー本体21は、その下端側に、収容部4と連通するための開口21aと、スタンド1の支柱12を通すための開口21bとを有する。
【0022】
なお、カバー本体21の下端に、収容部4と連通するための開口21aと支柱12を通すための開口21bとを個別に設けてもよく、開口21bを省略し、開口21aに支柱12を通してもよい。この場合、開口21aから蒸気が漏出しないように、収容部4の配置位置、並びに、支柱12および開口21a(形状保持部材22)の形状などを調整すればよい。
【0023】
開口21aは、カバー本体21の下端のうち収容部4と対向する位置に設けられる。開口21aの内側には、形状保持部材22が設けられる。開口21bは、カバー本体21の下端のうち支柱12が通る位置に設けられる。開口21bは支柱12の周面と密着しており、開口21bから空気が流入および流出しないようになっている。カバー本体21の下端は、開口21aおよび開口21bを除いて閉塞している。
【0024】
形状保持部材22は、少なくともカバー本体21よりも高い硬性を有する耐熱性樹脂などの素材からなる。形状保持部材22は、開口21aの開口形状が保持可能な硬性を有する。この形状保持部材22を開口21aに沿って設けることにより、可撓性を有するカバー本体21が撓んだ場合であっても、形状保持部材22によって開口21aの開口形状が保持される。これにより、可撓性を有するカバー本体21を収容部4に着脱可能に取り付けることが容易になる。
【0025】
また、カバー本体21は、衣類カバー2の内部を換気するための換気口21cを有する。本実施形態では、換気口21cは円形の開口であり、カバー本体21の正面側に、衣類Cよりも高い位置に設けられる。この換気口21cには、換気ファン6が配置される。
【0026】
カバー本体21の正面は、ファスナー(開閉部)23によって開閉自在となっている。ファスナー23は衣類Cの正面(前面)側の位置に設けられており、このファスナー23を開くことにより、衣類カバー2に衣類Cを出し入れすることができる。また、衣類カバー2の内部への蒸気の流入および衣類カバー2の内部の換気は、ファスナー23が閉じられた状態で行われる。ファスナー23として、線ファスナー、面ファスナーなどを使用することができる。
【0027】
(スチーマー)
スチーマー3は、衣類Cを処理するための蒸気(スチーム)を放出する蒸気発生器である。スチーマー3は、衣類カバー2の下方に位置し、スタンド1のベース上面11aに配置される。スチーマー3は、スチーマー本体31、およびノズル32を備える。スチーマー3は、スチーマー本体31で発生させた例えば80℃以上90℃以下の高温の蒸気をノズル32の蒸気吹出口32aから衣類Cへ向けて放出する。蒸気吹出口32aは衣類カバー2の開口21aの下方に位置しており、蒸気吹出口32aから放出された蒸気が、開口21aから衣類カバー2の内部へ流入する。
【0028】
スチーマー本体31は、水タンク33、および加熱部34などを備える(図14参照)。スチーマー本体31は、水タンク33の水Wを加熱部34によって加熱することにより、蒸気を発生させる。
【0029】
また、スチーマー本体31は、衣類処理装置101全体の動作を制御する制御部37(図1参照)を備える。制御部37はスチーマー3、排気ファン5、換気ファン6、およびイオン発生器7の動作を制御する。制御部37は例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって構成されるか、または、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路によって構成される。本実施形態では、制御部37からの制御信号を排気ファン5、換気ファン6、およびイオン発生器7が受信可能なように、スチーマー3と、排気ファン5、換気ファン6、およびイオン発生器7とが有線または無線で接続される。
【0030】
なお、制御部37からの制御信号を、スチーマー3、排気ファン5、換気ファン6、およびイオン発生器7が受信可能であれば、制御部37は衣類処理装置101が備える各部のいずれに備えられていてもよい。例えば、スタンド1、衣類カバー2、排気ファン5、換気ファン6、およびイオン発生器7のいずれかに制御部37が配置されてもよい。
【0031】
ノズル32は、スチーマー本体31が発生させた蒸気を、蒸気吹出口32aから放出する。ノズル32は、スチーマー本体31から蒸気吹出口32aへ向かって断面積が狭くなるように先細りした経路を有する。そのため、蒸気吹出口32aから放出される蒸気の噴出速度を上昇させ、蒸気の指向性が高められる。これにより、蒸気の拡散を抑え、衣類カバー2の内部に蒸気を効率的に流入させることができる。
【0032】
なお、スチーマー本体31とノズル32とは接合部分で着脱可能になっている。例えば水タンク33に給水する場合、ノズル32を取り外して、水タンク33に水Wを補給するとこができる。
【0033】
(収容部)
収容部4は、スチーマー3のうちの少なくとも蒸気吹出口32aを覆う被覆部材である。収容部4の内部は、カバー本体21の内部と連通する。本実施形態では、収容部4は、カバー本体21の下端から突出した筐体部材であり、その上端(上面)側でカバー本体21と連通する。このため、収容部4は、上端側に、カバー本体21と連通するための開口4aを有する。開口4aは、収容部4の上端のうちカバー本体21の開口21aと対向する位置に設けられる。したがって、蒸気吹出口32aから放出された蒸気は、収容部4の開口4aおよびカバー本体21の開口21aを介して、カバー本体21の内部へ供給される。
【0034】
また、収容部4は、スチーマー本体31の周面に嵌合する開口4bを有する。開口4bはスチーマー本体31の周面に嵌合可能な形状であり、収容部4の下端側に設けられる。この開口4bに、スチーマー本体31に貫設される。開口4bはスチーマー本体の周面と密着しており、開口4bから空気が流入および流出しないようになっている。
【0035】
さらに、収容部4は、衣類カバー2の内部の空気を排気するための排気口4cを有する。本実施形態では、排気口4cは円形の開口であり、収容部4の正面側に、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられる。この排気口4cには、排気ファン5が配置される。収容部4は、開口4a、開口4bおよび排気口4cを除いて閉塞している。
【0036】
なお、収容部4は、筐体部材に限られない。収容部4は、通気性がない素材で構成されていればよく、可撓性を有していてもよい。
【0037】
(排気ファン)
排気ファン5は、衣類カバー2の内部の空気を排気するための送風機である。排気ファン5は、収容部4の排気口4cに配置され、衣類カバー2および収容部4の内部の空気を排出する。例えば蒸気発生時に排気ファン5を動作させることにより、衣類カバー2の内部の空気が排気口4cから外部へ積極的に排出される。これにより、蒸気放出前に衣類カバー2の内部に滞留していた低温の空気が早期に排気されるため、蒸気発生時における衣類カバー2の内部の温度の上昇を促進することができる。
【0038】
(換気ファン)
換気ファン6は、衣類カバー2の内部を換気するための送風機である。換気ファン6は、衣類カバー2の換気口21cに配置され、衣類カバー2の内部へ送風する。衣類Cを蒸らし終わった後に換気ファン6を動作させることにより、衣類カバー2の内部の水分が排気口4cから外部へ排出される。これにより、衣類カバー2の内部を換気して、衣類Cを乾燥させる。
【0039】
(イオン発生器)
イオン発生器7は、衣類カバー2の内部に供給するイオンを発生させる装置である。イオン発生器7は、例えば衣類Cの乾燥中にイオンを発生させることにより、衣類Cおよびカバー本体21の消臭、除菌効果を高める。本実施形態では、イオン発生器7は、カバー本体21の内部において換気ファン6の近傍に設けられる。これにより、換気ファン6による送風によって衣類カバー2の内部にイオンが充満し易くなる。
【0040】
イオン発生器7としては、公知のものを使用することができる。イオン発生器7は、例えば、空気中で放電することにより正イオンH(HO)(mは任意の自然数)と負イオンO (HO)(nは任意の自然数)を同時に生成するタイプのものである。ただし、イオン発生器7は、このタイプに限定されるものではない。
【0041】
上述した構成の衣類処理装置101では、カバー本体21が、従来の衣類スタイラーのように比較的厚い壁状部材ではなく、比較的薄いカバー状部材で構成される。これにより、衣類処理装置101を小型化することが可能となる。その反面、従来の衣類スタイラーに比べて断熱性能が劣り、衣類カバー2の内部の温度が上昇し難くい可能性がある。
【0042】
ここで、スチーマー3の蒸気吹出口32aから放出された蒸気は、浮力により上昇しながら衣類カバー2の内部に充満する。このため、放出された蒸気は、蒸気吹出口32aよりも上方に充満し易くなる。一方、蒸気放出前から衣類カバー2の内部に存在していた低温の空気は、衣類カバー2の下方、特にスチーマー3の蒸気吹出口32aよりも下方に滞留し易くなる。
【0043】
そこで、衣類処理装置101では、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に排気口4cを設けている。これにより、蒸気発生時、排気口4cを介して、衣類カバー2の内部から低温の空気を優先的に排出することができる。これにより、衣類カバー2の内部の温度が上昇し易くなる。さらに、排気口4cに排気ファン5を配置することにより、低温の空気を積極的に衣類カバー2の内部から排出することが可能となる。これにより、衣類カバー2の内部の温度がさらに上昇し易くなる。
【0044】
また、衣類処理装置101では、上着などの衣類Cは、その前面(または背面)を衣類処理装置101の正面へ向けてスタンド1に吊下される。換言すれば、衣類Cは、衣類Cの肩幅方向(ハンガー14の横幅方向)と衣類処理装置101の横幅方向とが一致する向きでスタンド1に吊下される。また、衣類Cを覆う衣類カバー2は、1着分の衣類Cを収容可能な程度の奥行を有する。
【0045】
これにより、衣類カバー2(衣類処理装置101)の奥行を衣類Cの横幅(肩幅)よりも小さくすることが可能となる。そのため、衣類処理装置101の薄型化(小型化)を実現することができ、居室壁面に沿った衣類処理装置101の設置が容易となる。また、衣類カバー2の内部容積が小さくなるため、衣類カバー2の内部で蒸気が拡散し難くなる。そのため、衣類Cのしわ伸ばし、消臭を高効率化することができる。さらに、衣類処理装置101の正面側から視認できる衣類Cの面積が大きくなる。そのため、処理後の衣類Cのしわの状態などが視認し易くなる。
【0046】
なお、衣類カバー2は可撓性を有しないハードカバーであってもよい。衣類カバー2がハードカバーであっても、上述したように、衣類カバー2の奥行を衣類Cの横幅よりも小さくすることが可能となる。そのため、衣類処理装置101の薄型化(小型化)を実現することができる。衣類カバー2がハードカバーである場合、フック13は衣類カバー2の内面に取り付けられてもよい。この場合、ベース11および支柱12は衣類カバー2を支持する支持体として機能する。
【0047】
(衣類処理装置の動作)
図3は、衣類処理装置101の基本的な動作の流れ(制御方法)を示すフローチャートである。なお、衣類処理装置101の動作は、上述した制御部37によって制御される。
【0048】
図3に示すように、まず、衣類カバー2に衣類Cを収容してファスナー23を閉じた後、ユーザーがスイッチをONする(ステップS1)。これにより、制御部37はスチーマー3を動作させ、蒸気を発生させる。また、制御部37は排気ファン5を動作させ、衣類Cを蒸らしながら衣類カバー2の内部の空気を排気する(ステップS2:蒸気放出工程)。
【0049】
図4は、蒸気発生時の衣類処理装置101の動作状態を示す斜視図である。図4に示すように、スチーマー3の蒸気吹出口32aから放出された蒸気(図中、参照符号Sで示す)は、浮力により上昇しながら開口21aを介して衣類カバー2の内部へ流入する。これにより、衣類カバー2の内部に蒸気が充満し、高温の蒸気で衣類Cが蒸らされる。
【0050】
この際、衣類カバー2のうち少なくとも衣類Cと相対する部分21d(図1参照)が不透水性を有するため、衣類カバー2の蒸気の保持能力が向上し、衣類Cへの水分付着を効果的に行うことができる。
【0051】
また、蒸気発生時、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられた排気口4cから、低温の空気が優先的に排出される。したがって、蒸気発生時に衣類カバー2の内部の温度が上昇し易くなる。
【0052】
なお、蒸気発生時の衣類カバー2の内部の温度は、40℃以上80℃以下であり、好ましくは75℃以上80℃以下である。衣類カバー2の内部の温度を75℃以上80℃以下とすることにより、衣類Cのしわ伸ばし、消臭を高効率化することができる。
【0053】
次に、制御部37は、スチーマー3の動作開始から時間Ta(例えば10分程度)が経過したか否かの判定を行う(ステップS3)。時間Taが経過していない場合(ステップS3でNO)、制御部37は時間Taが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Taが経過した場合(ステップS3でYES)、制御部37はスチーマー3を停止させ、換気ファン6およびイオン発生器7を動作させる(ステップS4:換気工程)。
【0054】
図5は、換気時の衣類処理装置101の動作状態を示す斜視図である。図5に示すように、換気ファン6を動作させることにより、換気口21cから衣類カバー2の内部へ空気(外気)が取り込まれる。取り込まれた空気は衣類カバー2の下方(下端)に設けられた開口21aから収容部4へ流入し、収容部4の内部を通って排気口4cから水分と共に外部へ排出される。衣類カバー2の内部の空気は、水分を含んでおり比重が重くなっている。そのため、衣類カバー2の上方から空気を取り込み、衣類カバー2の下方から空気を排出することで、衣類カバー2の内部を効率的に換気して、衣類Cが乾燥し易くなる。また、衣類Cの乾燥中にイオンを発生させることにより、衣類Cの消臭、除菌効果を高めることができる。
【0055】
次に、制御部37は、換気ファン6およびイオン発生器7の動作開始から時間Tb(例えば2時間程度)が経過したか否かの判定を行う(ステップS5)。時間Tbが経過していない場合(ステップS5でNO)、制御部37は時間Tbが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Tbが経過した場合(ステップS5でYES)、制御部37は排気ファン5、換気ファン6およびイオン発生器7を停止させ(ステップS6)、一連の動作を終了する(ステップS7)。
【0056】
上述した一連の動作は自動で行われる。高温の蒸気で衣類Cを蒸らすことにより(ステップS2)、衣服Cのしわを伸ばすと共に、衣服Cに付着している臭気成分を水分に吸着させることができる。また、衣類Cを蒸らし終わった後、換気ファン6を動作させて衣類Cを乾燥させることにより(ステップS4)、水分と共に臭気成分が放散されることにより、衣服Cを消臭することができる。
【0057】
なお、蒸気放出工程中、排気ファン5を常時動作させる必要性はない。例えば、蒸気放出工程にて、衣類カバー2の内部が所定温度(例えば60℃)に達したとき、または蒸気の放出(発生)開始から時間Taよりも短い所定時間(例えば5分)が経過したときに、排気ファン5を停止させてもよい。これにより、低温の空気が排出された後の衣類カバー2の内部から蒸気が排出されず充満し易くなるため、衣類カバー2の内部の温度が上昇しやすくなる。なお、蒸気放出工程中に排気ファン5を停止させる場合、上記ステップS4にて排気ファン5を再び動作させればよい。
【0058】
(衣類カバー2の内部の温度)
表1は、蒸気発生時において、排気口4cの配置位置、排気ファン5の使用有無などによる、衣類カバー2の内部の温度上昇の違いを示す。
【0059】
【表1】
表1の「A:排気なし」は、衣類処理装置101において、排気ファン5を動作させずに蒸気放出工程を行った場合の温度を示す。表1の「B:排気あり」は、衣類処理装置101において、排気ファン5を動作させて蒸気放出工程を行った場合の温度を示す。表1の「C:換気ファンで排気」は、衣類処理装置101において、排気ファン5を動作させず、換気ファン6を逆回転で動作させて蒸気放出工程を行った場合の温度を示す。表1の「D:排気口上部」は、比較例として、排気口4cを蒸気吹出口32aよりも高い位置に配置し、排気ファン5を動作させて蒸気放出工程を行った場合の温度を示す。なお、表1では、蒸気放出工程の開始0分経過後の衣類カバー2の内部の温度を示す。
また、表1において、鉛直0cm~75cmとは、蒸気吹出口32aの高さを0cmとした場合の衣類カバー2の内部における検温位置の高さを示す。
【0060】
「B:排気あり」と「D:排気口上部(排気あり)」とを比較した場合、「B:排気あり」のほうが「D:排気口上部(排気あり)」よりも衣類カバー2の内部の温度が高かった。これは、蒸気放出前に衣類カバー2の内部に滞留していた低温の空気が、蒸気吹出口32aよりも低い位置に配置された蒸気吹出口32aから優先的に排気され、衣類カバー2の内部の温度の上昇が促進されたためである。
【0061】
また、「A:排気なし」と「B:排気あり」とを比較した場合、「B:排気あり」のほうが「A:排気なし」よりも衣類カバー2の内部の温度が高かった。これは、蒸気発生時に排気ファン5を動作させることにより、蒸気放出前に衣類カバー2の内部に滞留していた低温の空気が排気口4cから外部へ積極的に排出され、衣類カバー2の内部の温度の上昇がさらに促進されたためである。
【0062】
(イオンによる減臭作用)
表2は、イオン発生器7から放出されるイオンによる減臭(消臭)効果の比較実験の結果を示す。表2では、「△」を基準として、減臭効果が確認された場合に「○」を付している。
【0063】
【表2】
表2の「A:蒸気放出工程+乾燥送風」は、衣類処理装置101において、蒸気放出工程後に、イオンを供給せずに換気ファン6による送風のみを行った場合の減臭結果を示す。表2の「B:蒸気放出工程+乾燥送風+イオン」は、衣類処理装置101において、蒸気放出工程後に、イオンを供給しつつ換気ファン6による送風を行った場合の減臭結果を示す。表2の「C:送風+イオン」は、蒸気放出工程を行わずに、イオンを供給しつつ換気ファン6による送風を行った場合の減臭結果を示す。表2の「D:送風のみ」は、蒸気放出工程を行わずに、イオンを供給せずに換気ファン6による送風のみを行った場合の減臭結果を示す。
【0064】
なお、「A:蒸気放出工程+乾燥送風」および「B:蒸気放出工程+乾燥送風+イオン」については、換気ファン6による送風開始から2時間経過後の臭いを確認した。また、「C:送風+イオン」および「D:送風のみ」については、換気ファン6による送風開始から2時間、4時間、および6時間経過後の臭いを各々確認した。
【0065】
「A:蒸気放出工程+乾燥送風」と「B:蒸気放出工程+乾燥送風+イオン」とを比較した場合、「B:蒸気放出工程+乾燥送風+イオン」のほうが「A:蒸気放出工程+乾燥送風」よりも衣類カバー2の減臭効果が高かった。
【0066】
また、「C:送風+イオン」と「D:送風のみ」とを比較した場合、「C:送風+イオン」のほうが「D:送風のみ」よりも、衣類カバー2の減臭効果が高かった。
【0067】
イオン発生器7は、空気中の水分を分解してイオンを発生させるため、湿度が高いほどイオン発生量が多くなる。一方、衣類Cおよび衣類カバー2の表面が濡れている場合、イオンが表面の水に分解され、イオンによる減臭作用が低下する。表2において、イオンによる減臭効果の向上が衣類カバー2で確認され、衣装Cでは確認されなかったのは、衣類カバー2に比べて衣装Cほうが乾燥し難いため、衣類Cの表面に付着した水にイオンが分解されたためである。このように、衣類カバー2の内部の湿度が高すぎる場合、イオンによる減臭作用が低下する。このため、蒸気放出工程および換気工程のうち、換気工程時にイオン発生させることが特に好ましい。これにより、イオンを効率的に発生させつつ、イオンによる減臭効果を得ることができる。
【0068】
(衣類処理装置の効果)
以上のように、衣類処理装置101は、衣類Cを覆う衣類カバー2と、衣類カバー2の内部へ蒸気を供給する蒸気吹出口32aを有するスチーマー3と、蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられた排気口4cとを備える。
【0069】
衣類処理装置101では、衣類Cを覆う衣類カバー2の内部に蒸気を供給することにより、衣類Cが蒸気によって処理される。したがって、簡略化した装置構成で蒸気を用いて衣類Cを処理することが可能となり、衣類処理装置100の小型化を実現することができる。これにより、衣類処理装置101の移動が容易となり、不使用時に衣類処理装置101が居室スペースを徒に占有し続けることがないため、居室スペースを有効利用することができる。
【0070】
また、衣類カバー2が可撓性を有すると共に、スタンド1が簡略な構成なっていることにより、不使用時に衣類処理装置101を折り畳んで小さく収納することが可能となる。したがって、居室スペースをより有効利用することができる。
【0071】
さらに、衣類処理装置101では、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に排気口4cを設けている。このため、蒸気発生時、排気口4cを介して、衣類カバー2の内部から低温の空気が優先的に排出される。これにより、衣類カバー2の内部の温度を上昇し易くすることができる。
【0072】
(変形例1)
図6は、図1に示される衣類処理装置101の変形例の概略構成を示す正面透視図である。図6に示すように、衣類カバー2の下方に収容部4全体が配置されるように、収容部4を小型化してもよい。これにより、衣類処理装置101aを、衣類処理装置101に比べて小型化することができる。
【0073】
(変形例2)
上述した蒸気を用いた衣類Cの処理に加えて、例えば殺菌および消毒作用を有する機能水を用いて衣類Cを処理してもよい。機能水を用いて衣類Cを処理する方法として以下の(1)(2)が挙げられる。
【0074】
(1)水タンク33に機能水をいれて加熱し、機能水の蒸気を衣類カバー2の内部へ流入させる。
【0075】
(2)衣類処理装置101にスチーマー3とは別に機能水のミスト発生器を追加し、ミスト発生器が発生した機能水ミストを衣類カバー2の内部へ流入させる。
【0076】
上記(2)の場合、加熱による機能水のミスト化ではなく、超音波方式またはノズル方式などの霧化方式のミスト発生器を使用することが好ましい。なぜなら、上記(1)のように加熱による機能水のミスト化では、加熱蒸発に際して水分(水分子)のみが蒸気として放出され、その蒸気に機能水の成分(例えば銀イオン、オゾン、次亜塩素酸など)が残存し難いためである。これに対し、上記(2)のように物理的(力学的)に機能水の微細霧化を行う方法であれば、機能水の成分は基本的に保持され、上記(1)に比べて機能水の作用を発揮し易くなる。
【0077】
また、上記(2)の場合、機能水が例えばオゾン水または次亜塩素酸水のように効果の持続性が低いものは、衣類Cを蒸らす前に機能水ミストによって衣類Cを処理することが好ましい。一方、機能水が例えば銀イオン水のように効果の持続性が高い(コーティングとして利用できる)ものは、衣類Cを蒸らした後、衣類Cの乾燥前に機能水ミストによって衣類Cを処理することが好ましい。
【0078】
このように、蒸気を用いた衣類Cの処理に加えて、機能水ミストを用いて衣類Cを処理することにより、衣類Cに付着した菌をより効果的に取り除くことができる。
【0079】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図7~12に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0080】
(衣類処理装置の構成)
本実施形態に係る衣類処理装置102は、収容部4を備えない点、排気口4cが衣類カバー2に設けられる点において、上述した衣類処理装置101と主に異なっている。
【0081】
図7は、実施形態2に係る衣類処理装置102の概略構成を示す正面透視図である。図7に示すように、衣類処理装置102では、カバー本体21の下端がベース11のベース上面11a近傍まで達している。カバー本体21は、その下端側に、スチーマー本体31の周面に嵌合する開口21aと、スタンド1の支柱12を通すための開口21bとを有する。開口21aの内側には、形状保持部材22が設けられる。開口21aはスチーマー本体31の周面に嵌合可能な形状であり、この開口21aにスチーマー本体31の周面が貫設される。開口21aはスチーマー本体31の周面と密着しており、開口21aから空気が流入および流出しないようになっている。また、開口21bは支柱12の周面と密着しており、開口21bから空気が流入および流出しないようになっている。カバー本体21の下端は、開口21aおよび開口21bを除いて閉塞している。
【0082】
また、カバー本体21は、カバー本体21の内部の空気を排気するための排気口4cを有する。排気口4cは円形の開口であり、カバー本体21の正面側に、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられる。この排気口4cには、排気ファン5が配置される。
【0083】
(衣類処理装置の効果)
以上のように、衣類処理装置102は、衣類Cを覆う衣類カバー2と、衣類カバー2の内部へ蒸気を供給する蒸気吹出口32aを有するスチーマー3と、蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられた排気口4cとを備え、排気口4cがカバー本体21に設けられる。
【0084】
このため、本実施形態によれば、上述した収容部4を省略することができるため、衣類処理装置102を簡略化して、さらに小型化することができる。
【0085】
(変形例1)
図8は、図7に示される衣類処理装置102の変形例を示す正面透視図である。図9は、図8に示される形状保持部材22を示す斜め下面図である。図10は、図9に示される形状保持部材22の変形例を示す斜め下面図である。
【0086】
図8に示す衣類処理装置102aのように、カバー本体21の下端から空気が流出可能なように、カバー本体21の下端か開口してもよい。例えば、スタンド1のベース上面11aと相対するカバー本体21の下端全体にわたって、矩形の開口21aが形成されてもよい。
【0087】
衣類処理装置102aでは、開口21aの内側に沿って形状保持部材22が設けられる。図9に示すように、形状保持部材22は衣類カバー2の開口21aの内側に沿って張り付けられる。
【0088】
なお、形状保持部材22の形状は矩形に限定されず、開口21aの形状などに合わせて適宜選択可能である。図10に示すように、形状保持部材22は、例えば楕円形であってもよい。また、形状保持部材22は、矩形、楕円形以外の形状であってよい。
【0089】
形状保持部材22を開口21aに沿って設けることにより、可撓性を有するカバー本体21が撓んだ場合であっても、形状保持部材22によって開口21aの開口形状が保持される。
【0090】
衣類処理装置102aのように、カバー本体21の下端が開口している場合であっても、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に排気口4cを設けることにより、蒸気発生時に衣類カバー2の内部からの低温の空気を排気し易くなる。したがって、蒸気発生時における衣類カバー2の内部の温度の上昇を促進することができる。
【0091】
(変形例2)
図11は、図8に示される衣類処理装置102aの変形例の概略構成を示す正面透視図である。図11に示す衣類処理装置102bのように、カバー本体21の開口21aがベース11の周面に嵌合可能であってもよい。開口21aの内側に沿って形状保持部材22が設けられる。開口21aはベース11の周面と密着しており、開口21aから空気が流入および流出しないようになっている。
【0092】
このような構成であっても、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に排気口4cを設けることにより、蒸気発生時に、排気口4cを介して、衣類カバー2の内部から低温の空気を優先的に排出することができる。したがって、衣類カバー2の内部の温度が上昇し易くなる。
【0093】
(変形例3)
図12は、図8に示される衣類処理装置102aの変形例の概略構成を示す正面透視図である。図12に示す衣類処理装置102cのように、図8に示す衣類処理装置102aから排気口4cおよび排気ファン5を省略してもよい。衣類処理装置102cでは、カバー本体21の下端に設けられた開口21aが、衣類カバー2の内部の空気を排気するための排気口として機能する。
【0094】
このような構成であっても、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に開口(排気口)21aを設けることにより、蒸気発生時に、開口21aを介して、衣類カバー2の内部から低温の空気を優先的に排出することができる。したがって、衣類カバー2の内部の温度が上昇し易くなる。
【0095】
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、図13~19に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0096】
(衣類処理装置の構成)
本実施形態に係る衣類処理装置103は、衣類カバー2の開口21aとスチーマー3のノズル32とが連結される点で、上述した衣類処理装置101および102と主に異なっている。
【0097】
図13は、実施形態3に係る衣類処理装置103の概略構成を示す正面透視図である。本実施形態では、図12に示すように、カバー本体21は、スチーマー3が放出した蒸気を衣類カバー2の内部へ流入させるための開口21aと、スタンド1の支柱12を通すための開口21bとを有する。
【0098】
開口21aは、カバー本体21の下端のうちスチーマー3の蒸気吹出口32aと対向する位置に設けられる。開口21aの内側には、形状保持部材22が設けられる。一方、開口21bは、カバー本体21の下端のうち支柱12が通る位置に設けられる。
【0099】
また、カバー本体21の下端の一部は、ベース11のベース上面11a近傍まで延出している。カバー本体21は、この延出した部分に、カバー本体21の内部の空気を排気するための排気口4cを有する。排気口4cは円形の開口であり、カバー本体の正面側に、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられる。この排気口4cには、排気ファン5が配置される。本実施形態では、カバー本体21の下端は、開口21aおよび開口21bを除いて閉塞している。
【0100】
図14は、開口21aとノズル32との連結部分付近の構成を示す端面図である。図14に示すように、環状の形状保持部材22の内部に、ノズル32の先端(蒸気吹出口32a)が挿入される。これにより、形状保持部材22の内面とノズル32の周面とが圧接(密着)し、開口21aとノズル32とが連結する。
【0101】
衣類処理装置103では、開口21aとノズル32とが連結しているため、換気工程にて換気ファン6を動作させた場合、衣類カバー2の内部の空気は、排気口4cから排気されると共に、一部がスチーマー3の内部へ流入する。そこで、スチーマー3は、衣類カバー2の内部からスチーマー3の内部へ流入する空気を外部に排出するための換気排出口32bを有する。この換気排出口32bは、スチーマー本体31とノズル32との接合部分においてノズル32の下端の一部が外側へ広がるように延在することにより、ノズル32の内面とスチーマー本体31の外面との間に設けられる。この換気排出口32bは、スチーマー本体31の上部開口よりも下方に位置することが好ましい。これにより、水タンク33で発生した蒸気が上昇する際の上昇方向とは反対側に換気排出口32bが開口する。そのため、蒸気が換気排出口32bから排出され難くなる。
【0102】
(衣類処理装置の動作)
図15は、上記連結部分付近における蒸気発生時の蒸気および空気の流れを示す端面図である。図15に示すように、水タンク33の内部が加熱部34によって加熱されることにより、蒸気(図中、参照符号Sで示す)が発生する。発生した蒸気は、浮力により上方へ上昇し、ノズル32を通って衣類カバー2の内部へ流入する。この際、蒸気の上方への流れに引っ張られて空気(外気)が換気排出口32bからスチーマー3の内部へ流入する。そのため、蒸気発生時における換気排出口32bからの蒸気の漏出が抑えられる。
【0103】
図16は、上記連結部分付近における換気時の空気の流れを示す端面図である。図16に示すように、換気時においては、衣類カバー2からスチーマー3へ空気が流入する。水タンク33の側には外部に繋がる大きな開口がないため、スチーマー3へ流入した空気は換気排出口32bから外部へ排出される。
【0104】
(衣類処理装置の効果)
以上のように、衣類処理装置103は、衣類カバー2の開口21aとスチーマー3のノズル32とが連結されており、スチーマー3は、衣類カバー2の内部からスチーマー3の内部へ流入する空気を外部に排出するための換気排出口32bを有する。
【0105】
スチーマー3が換気排出口32bを有することにより、換気時に衣類カバー2からスチーマー3へ流入する空気を換気排出口32bから外部へ排出することができる。したがって、換気効率の低下を抑えることができる。
【0106】
(変形例1)
図17および図18は、図14に示されるスチーマー3の変形例を示す端面図である。図17は、蒸気発生時の蒸気および空気の流れを示す。また、図18は、換気時の空気の流れを示す。
【0107】
図17および図18に示すように、スチーマー3は、衣類カバー2の内部からスチーマー3の内部へ流入する空気を換気排出口32bへと導く気流ガイド35を有してもよい。気流ガイド35は、気流ガイド35とノズル32との間に換気排出口32bへ繋がる経路を形成するように、ノズル32の内面と相対するようにスチーマー本体31の上端に設けられる。
【0108】
衣類処理装置103aでは、図17に示すように、蒸気発生時においては、気流ガイド35によって蒸気が換気排出口32bへ向かい難くなる。そのため、換気排出口32bから蒸気がより漏出し難くなる。また、図18に示すように、換気時においては、衣類カバー2の内部からスチーマー3の内部へ流入する空気は気流ガイド35によって換気排出口32bへと導かれる。そのため、換気効率が向上する。
【0109】
(変形例2)
図19および図20は、図14に示されるスチーマー3の他の変形例を示す端面図である。図19は蒸気発生時の蒸気および空気の流れを示す。また、図20は、換気時の空気の流れを示す。
【0110】
図19および図20に示すように、スチーマー3は、換気排出口32bの付近に開閉弁36を有してもよい。開閉弁36の開閉動作は制御部37によって制御される。
【0111】
衣類処理装置103bでは、図19に示されるように、蒸気発生時においては、開閉弁36が閉じる。そのため、換気排出口32bから蒸気(図中、参照符号Sで示す)がさらに漏出し難くなる。また、図20に示すように、換気時においては、開閉弁36が閉じる。そのため、衣類カバー2の内部からスチーマー3の内部へ流入する空気を換気排出口32bから外部へ排出すことができる。
【0112】
なお、本実施形態では、カバー本体21の下端に、蒸気を流入させるための開口21aと支柱12を通すための開口21bとを個別に設けている。しかし、開口21bを省略し、開口21aに支柱12を通す構成であってもよい。この場合、開口21aから蒸気が漏出しないように、スチーマー3の配置位置、並びに、支柱12、ノズル32および開口21a(形状保持部材22)の形状などを調整すればよい。
【0113】
〔実施形態4〕
本発明の第4の実施形態について、図21~24に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0114】
(衣類処理装置の構成)
実施形態4に係る衣類処理装置104は、換気ファン6に代えて送風機8を備える点で、図8に示す衣類処理装置102aと主に異なっている。
【0115】
図21は、本実施形態に係る衣類処理装置104の概略構成を示す斜視図である。図21に示すように、衣類処理装置104は、送風機(換気部)8を備える。
【0116】
送風機8は、衣類カバー2の内部を換気するためのものである。送風機8は、衣類カバー2の下方に位置し、スチーマー3と共にスタンド1のベース上面11aに配置される。送風機8は、送風機本体81、およびノズル82を備える。ノズル82の送風吹出口82aから放出された空気は、開口21aを介して衣類カバー2の内部へ流入する。
【0117】
衣類処理装置104では、カバー本体21の下端全体に設けられた開口21aが、衣類カバー2の内部の空気を排気するための排気口として機能する。また、衣類処理装置104では、衣類カバー2のカバー本体21に、矩形の開口である換気口21cが設けられる。この換気口21cには、メッシュ部材24が設けられる。メッシュ部材24を設けることにより、換気口21cの開口面積が小さくなるため、蒸気発生時に換気口21cから漏出する蒸気を低減することができる。
【0118】
(衣類処理装置の動作)
図22は、衣類処理装置104の動作の流れ(制御方法)を示すフローチャートである。このフローチャートは、衣類Cの蒸らしおよび乾燥後にセルフクリーニングを行う場合の一連の動作を示す。
【0119】
図22に示すように、まず、衣類カバー2に衣類Cを収容してファスナー23を閉じた後、スイッチをONする(ステップS11)。これにより、制御部37はスチーマー3を動作させ、蒸気が発生する。また、制御部37は排気ファン5を動作させ、衣類Cを蒸らしながら衣類カバー2の内部の空気を排気する(ステップS12:蒸気放出工程)。
【0120】
図23は、ステップS12における蒸気発生時の衣類処理装置104の動作状態を示す透視図である。図23に示すように、スチーマー3の蒸気吹出口32aから放出された蒸気(図中、参照符号Sで示す)は、浮力により上昇しながら開口21aを介して衣類カバー2の内部へ流入する。これにより、衣類カバー2の内部全体に蒸気が充満し、高温の蒸気で衣類Cが蒸らされる。この際、換気口21cにメッシュ部材24が設けられるため、換気口21cから蒸気が漏出し難くなっている。また、蒸気発生時、スチーマー3の蒸気吹出口32aよりも低い位置に設けられた開口21aおよび排気口4cから、低温の空気が優先的に排出される。これにより、蒸気発生時に衣類カバー2の内部の温度が上昇し易くなる。
【0121】
次に、制御部37は、スチーマー3の動作開始から時間Taが経過したか否かの判定を行う(ステップS13)。時間Taが経過していない場合(ステップS13でNO)、制御部37は時間Taが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Taが経過した場合(ステップS13でYES)、制御部37はスチーマー3および排気ファン5を停止させ、送風機8およびイオン発生器7を動作させる(ステップS14:換気工程)。
【0122】
図24は、ステップS14における換気時の衣類処理装置104の動作状態を示す透視図である。図19に示すように、衣類カバー2の下方に配置された送風機8を動作させることにより、開口21aから衣類カバー2の内部へ空気(外気)が送り込まれる。送り込まれた空気は衣類カバー2の上方(下端)に設けられた換気口21cから水分と共に外部へ排出される。
【0123】
なお、送風機8は、衣類カバー2の内部の空気を吸引するように動作してもよい。この場合、換気口21cから衣類カバー2の内部へ空気(外気)が取り込まれる。取り込まれた空気は衣類カバー2の下方に設けられた開口21aから水分と共に外部へ排出される。
【0124】
次に、制御部37は、送風機8およびイオン発生器7の動作開始から時間Tbが経過したか否かの判定を行う(ステップS15)。時間Tbが経過していない場合(ステップS15でNO)、制御部37は時間Tbが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Tbが経過した場合(ステップS15でYES)、制御部37は送風機8およびイオン発生器7を停止させる(ステップS16)。
【0125】
次に、制御部37は、送風機8およびイオン発生器7の動作停止から時間(所定時間)Tcが経過したか否かの判定を行う(ステップS17)。時間Tcが経過していない場合(ステップS17でNO)、制御部37は時間Tcが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Tcが経過した場合(ステップS17でYES)、制御部37はスチーマー3を動作させ、セルフクリーニングを開始する(ステップS18:第1クリーニング工程)。
【0126】
セルフクリーニングは、衣類カバー2の内部を浄化するための動作である。セルフクリーニングを行うことにより、衣類Cから衣類カバー2へ移った臭いなどを衣類カバー2から除去、排出することができる。時間Tcは、衣類Cの蒸らしおよび乾燥動作終了後、セルフクリーニングを開始するまでの待機時間であり、任意に設定可能である。セルフクリーニングは、衣類カバー2に衣類Cが収容されていない状態で行われる。そのため、時間Tcの間に、ユーザーによって衣類カバー2から衣類Cが取り出されファスナー23が閉じられる。
【0127】
次に、制御部37は、スチーマー3の動作開始から時間Td(例えば10分程度)が経過したか否かの判定を行う(ステップS19)。時間Tdが経過していない場合(ステップS19でNO)、制御部37は時間Tdが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Tdが経過した場合(ステップS19でYES)、制御部37はスチーマー3を停止させ、送風機8およびイオン発生器7を動作させる(ステップS20:第2クリーニング工程)。
【0128】
次に、制御部37は、送風機8の動作開始から時間Te(例えば2時間程度)が経過したか否かの判定を行う(ステップS21)。時間Teが経過していない場合(ステップS21でNO)、制御部37は時間Teが経過するまで上記判定を継続する。一方、時間Teが経過した場合(ステップS21でYES)、制御部37は送風機8およびイオン発生器7を停止させ(ステップS22)、セルフクリーニングを終了する(ステップS22)。
【0129】
なお、セルフクリーニングを行う開始するタイミングは、適宜変更可能である。例えば、予め設定された時刻(所定時間)にセルフクリーニングを開始してもよく、ユーザーによるスイッチ操作に基づいてセルフクリーニングを開始してもよい。
【0130】
また、衣類処理装置104は、衣類カバー2に衣類Cが収容されているか否かを検出する検出部を備えていてもよい。この検出部の検出信号に基づいて、セルフクリーニングを開始するか否かを判断することが可能となる。これにより、衣類カバー2に衣類Cが収容されたままの状態でのセルフクリーニングが行われることを回避することができる。なお、検出部として、例えばスタンド1のフック13に重量変化を検出する重量センサなど、各種センサを使用することができる。
【0131】
上述したセルフクリーニングは、本明細書で開示した各衣類処理装置において実行可能である。
【0132】
〔ソフトウェアによる実現例〕
本実施形態に係る衣類処理装置の制御ブロック(特に制御部37)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0133】
後者の場合、衣類処理装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0134】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る衣類処理装置は、吊下された衣類を覆う衣類カバーと、前記衣類カバーの内部へ蒸気を供給する蒸気吹出口を有する蒸気発生器(スチーマー3)と、前記蒸気吹出口よりも低い位置に設けられた排気口と、を備える。
【0135】
上記の構成では、衣類を覆う衣類カバーの内部に蒸気を供給することにより、衣類が蒸気によって処理される。したがって、簡略化した装置構成で蒸気を用いて衣類を処理することが可能となり、衣類処理装置の小型化を実現することができる。これにより、衣類処理装置の移動が容易となり、不使用時に衣類処理装置が居室スペースを徒に占有し続けることがないため、居室スペースを有効利用することができる。
【0136】
また、上記の構成では、蒸気発生器の蒸気吹出口よりも低い位置に排気口を設けている。このため、蒸気発生時、排気口を介して、衣類カバーの内部から低温の空気が優先的に排出される。これにより、衣類カバーの内部の温度を上昇し易くすることができる。
【0137】
本発明の態様2に係る衣類処理装置では、上記態様1において、前記排気口に配置され、前記衣類カバーの内部の空気を外部へ排気する排気部を備えていてもよい。
【0138】
上記の構成では、例えば蒸気発生時に排気部を動作させることにより、衣類カバーの内部の空気が排気口から外部へ積極的に排出される。これにより、蒸気放出前に衣類カバーの内部に滞留していた低温の空気が早期に排気されるため、蒸気発生時における衣類カバーの内部の温度の上昇を促進することができる。
【0139】
本発明の態様3に係る衣類処理装置では、上記態様1または2において、前記衣類カバーの内部にイオンを供給するイオン発生器を備えていてもよい。
【0140】
イオン発生器は、空気中の水分を分解してイオンを発生させるため、湿度が高いほどイオン発生量が多くなる。このため、上記構成のように、衣類カバーの内部にイオン発生器を配置することにより、イオンを効率的に発生させることができる。
【0141】
本発明の態様4に係る衣類処理装置では、上記態様1から3のいずれかの態様において、前記衣類カバーの内部と連通し、前記蒸気発生器の少なくとも蒸気吹出口を覆う収容部を備え、前記排気口は、前記収容部に設けられていてもよい。
【0142】
上記の構成によれば、衣類カバーに収容部を接続することにより、蒸気発生器の蒸気吹出口よりも低い位置に排気口を好適に設けることができる。
【0143】
本発明の態様5に係る衣類処理装置では、上記態様4において、前記収容部は、前記衣類カバーの下端から突出していてもよい。
【0144】
上記の構成によれば、衣類カバーの内部の空気は、衣類カバーの下端から突出した収容部の内部を通って排気口から排気されるため、衣類カバーからの蒸気の漏れを低減することができる。
【0145】
本発明の態様6に係る制御方法は、上記態様1から5のいずれかの態様の衣類処理装置を制御する制御方法であって、前記蒸気を前記蒸気発生器から放出しつつ、前記排気口から前記衣類カバーの内部の空気が排出される蒸気放出工程を含む。
【0146】
上記の方法では、衣類を覆う衣類カバーの内部に蒸気を供給することにより、衣類が蒸気によって処理される。したがって、簡略化した装置構成で蒸気を用いて衣類を処理することが可能となり、衣類処理装置の小型化を実現することができる。これにより、衣類処理装置の移動が容易となり、不使用時に衣類処理装置が居室スペースを徒に占有し続けることがないため、居室スペースを有効利用することができる。
【0147】
また、上記の方法では、蒸気発生器の蒸気吹出口よりも低い位置に排気口を設けている。このため、蒸気発生時、排気口を介して、衣類カバーの内部から低温の空気が優先的に排出される。これにより、衣類カバーの内部の温度を上昇し易くすることができる。
【0148】
本発明の態様7に係る制御方法は、上記態様6において、前記蒸気放出工程にて、前記排気口に配置され、前記衣類カバーの内部の空気を外部へ排気する排気部を動作させてもよい。
【0149】
上記の方法では、蒸気放出工程にて排気部を動作させることにより、衣類カバーの内部の空気が排気口から外部へ積極的に排出される。これにより、蒸気放出前に衣類カバーの内部に滞留していた低温の空気が早期に排気されるため、蒸気放出工程における衣類カバーの内部の温度の上昇を促進することができる。
【0150】
本発明の態様8に係る制御方法は、上記態様7において、前記蒸気放出工程にて、前記衣類カバーの内部が所定温度に達したとき、または前記蒸気の放出開始から所定時間が経過したときに、前記排気部を停止させてもよい。
【0151】
上記の方法によれば、低温の空気が排出された後のカバーの内部に蒸気が充満し易くなるため、衣類カバーの内部の温度を上昇させることができる。
【0152】
本発明の態様9に係る制御方法は、上記態様6から8のいずれかにおいて、前記蒸気放出工程の後に前記衣類カバーの内部を換気する換気工程を含み、前記換気工程にて、前記衣類カバーの内部にイオンを供給するイオン発生器を動作させてもよい。
【0153】
上述の通り、イオン発生器は、空気中の水分を分解してイオンを発生させるため、湿度が高いほどイオン発生量が多くなる。一方、衣類カバーの内部の湿度が高すぎて衣類および衣類カバーの表面が濡れている場合、イオンが表面の水に分解され、イオンによる減臭作用が低下する。上記の方法によれば、蒸気放出工程後の換気工程時にイオン発生させるため、イオンを効率的に発生させつつ、イオンによる減臭効果を得ることができる。
【0154】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0155】
2:衣類カバー
3:スチーマー(蒸気発生器)
4:収容部
4c:排気口
5:排気ファン(排気部)
7:イオン発生器
101~104:衣類処理装置
C:衣類
S 蒸気
S2 ステップ:蒸気放出工程
S4 ステップ:換気工程
S12 ステップ:蒸気放出工程
S14 ステップ:換気工程
図1
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図3
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