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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】車両用警告装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20240524BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20240524BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20240524BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20240524BHJP
   F21S 43/236 20180101ALI20240524BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20240524BHJP
   F21W 103/25 20180101ALN20240524BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240524BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
G09F13/18 N
B60Q1/50 Z
B60Q1/00 G
F21S43/236
F21S43/249
F21W103:25
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020173194
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022064513
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社ペンストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新酒 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴行
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸志
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-234022(JP,A)
【文献】特開2017-047850(JP,A)
【文献】特開2012-243493(JP,A)
【文献】米国特許第10589675(US,B1)
【文献】特開2004-214204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0346111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
G09F 13/18
B60Q 1/50
B60Q 1/00
F21S 43/236
F21S 43/249
F21W 103/25
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下及び車両の左右方向に延びる後方視認用ミラーを有するとともに車両に取り付けられるミラーユニットに組み込まれる車両用警告装置において、
前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられ、電力の供給によって光を照射する光源と、
前記光源から照射された光が入射する光入射面と、当該光入射面に入射した光を車両後側へ向けて反射させる前後方向反射面と、当該前後方向反射面で反射された光を出射する光出射面とを有するとともに、前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられる導光部材と、
前記光出射面の車両後側に配置される前記後方視認用ミラーの一部領域に設けられ、前記光出射面から出射された光を車両後側へ透過させて所定の警告表示を行う警告表示部とを備え、
前記前後方向反射面は、上下方向及び車両の左右方向の両方向に並ぶ複数の構成面を有し、
複数の前記構成面は、それぞれ車両後側へ窪む曲面からなる凹面で構成されるとともに、反射した光が前記一部領域に向きかつ車両の運転者へ向くように個別に向きが設定され
上下方向に隣り合う構成面は互いに間隔をあけて配置され、上下方向に隣り合う構成面の間には平面部が設けられ、
車両の左右方向に隣り合う構成面は互いに間隔をあけて配置されることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項2】
請求項に記載の車両用警告装置において、
前記導光部材は、上下方向及び車両左右方向に延びる板状部を有しており、
前記板状部の車両前側に前記前後方向反射面が設けられていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項3】
請求項に記載の車両用警告装置において、
前記光源は1つであり、
前記光入射面は前記光源へ向けて膨出する球状面で構成されていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項4】
請求項またはに記載の車両用警告装置において、
前記光源は、前記板状部の下方または上方に配置され、
前記光入射面は、前記板状部における前記光源が位置する側に形成されていることを特徴とする車両用警告装置。
【請求項5】
請求項に記載の車両用警告装置において、
前記板状部における前記光入射面の上方には、車両の左右方向一方へ行くほど下に位置するように傾斜した上方反射面が設けられ、
前記上方反射面は、前記光入射面から入射した光を車両の左右方向他方へ反射するように構成され
前記前後方向反射面は車両の左右方向一方へ行くほど車両前側に位置するように形成されていることを特徴とする車両用警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後続車両が接近していることを運転者に警告する車両用警告装置に関し、特に車両用ミラーユニットに組み込まれる構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の運転支援機能の一つとして、ブラインドスポットモニタリング(以下、BSMと呼ぶ)機能がある。BSMは、自車が走行している車線に隣接する別の車線を走行する他車が自車に接近していることを運転者に警告するためのものであり、この機能を搭載した車両が増えつつある。
【0003】
BSMの構成は、例えばリアバンパー等に設けられた他車検出用のセンサと、当該センサからの出力信号に基づいて他車が自車に接近しているか否かを判定する判定部と、当該判定部によって他車が自車に接近していると判定される場合に警告灯を点灯または点滅させる警告装置を備えている。警告装置は、通常、左右のドアミラーにそれぞれ組み込まれている。そして、警告装置は、ミラーの裏面から光を照射し、当該ミラーの一部を透過させることにより、ミラーの表面に警告マークを光らせて運転者に当該図柄を視認可能にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-121575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、BSMは運転支援のために設けられるものであることから、警告すべき状況にあるときにはミラー表面の警告マークを運転者が確実に見えるように高い輝度でもって光らせる必要がある。特に、自動車の場合、日差しの向きによってはミラーに日が差すこともあり、更なる高輝度化が望まれている。また、高輝度化といっても、警告マークはミラー表面のある領域を占めているものなので、その警告マークの全体を均一に高輝度化する必要がある。
【0006】
このことに対して、例えば光源の数を増やす方法や、光源の消費電力を高める方法が考えられるが、このような方法では警告装置のコストが高くなるとともに、警告装置への供給電流を高く確保しなければならず、電流供給回路のコストも高くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光源の数や消費電流を増やすことなく、警告表示部の全体を均一に高輝度化して視認性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、上下及び車両の左右方向に延びる後方視認用ミラーを有するとともに車両に取り付けられるミラーユニットに組み込まれる車両用警告装置において、前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられ、電力の供給によって光を照射する光源と、前記光源から照射された光が入射する光入射面と、当該光入射面に入射した光を車両後側へ向けて反射させる前後方向反射面と、当該前後方向反射面で反射された光を出射する光出射面とを有するとともに、前記後方視認用ミラーの車両前側に設けられる導光部材と、前記光出射面の車両後側に配置される前記後方視認用ミラーの一部領域に設けられ、前記光出射面から出射された光を車両後側へ透過させて所定の警告表示を行う警告表示部とを備え、前記前後方向反射面は、上下方向及び車両の左右方向の両方向に並ぶ複数の構成面を有し、複数の前記構成面は、反射した光が前記一部領域に向きかつ車両の運転者へ向くように個別に向きが設定されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、光源から光が照射されると、導光部材の光入射面に入射した後、当該導光部材の内部を通って前後方向反射面によって車両後側へ向けて反射され、光出射面から出射される。光出射面から出射された光は、後方視認用ミラーの一部領域に設けられている警告表示部を透過して車両後側へ照射される。光が警告表示部を透過する際に、運転者は警告表示部が光るように見えるので、警告を認識することができる。
【0010】
光が前後方向反射面で反射される際、当該前後方向反射面を構成している複数の構成面によって反射された光がそれぞれ警告表示部に向き、かつ、その向きが運転者へ向くように各構成面の向きを個別に設定することができるので、警告表示部の全体に光が集まり、その結果、警告表示部の全体が均一に高輝度化し、視認性が高まる。
【0011】
第2の発明は、上下方向に隣り合う構成面は互いに間隔をあけて配置されることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、上下方向に隣り合う構成面を上下方向に僅かに離すことができるので、各構成面の向きを容易に異ならせることができる。
【0013】
第3の発明は、車両の左右方向に隣り合う構成面は互いに間隔をあけて配置されることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、車両の左右方向に隣り合う構成面を左右方向に僅かに離すことができるので、各構成面の向きを容易に異ならせることができる。
【0015】
第4の発明は、前記導光部材は、上下方向及び車両左右方向に延びる板状部を有しており、前記板状部の車両前側に前記前後方向反射面が設けられ、前記構成面は、車両後側へ窪む凹面であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、前後方向反射面が導光部材の車両前側に位置しているので、導光部材に入射した光が前後方向反射面によって反射した後、導光部材を車両後側へ通って光出射面から出射される。このとき、前後方向反射面を構成している各構成面が凹面であるので、所望の方向へ光を反射させることができ、警告表示部をより一層高輝度化できる。
【0017】
第5の発明は、前記光源は1つであり、前記光入射面は前記光源へ向けて膨出する球状面で構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、光源から照射された光を光入射面で効率よく集光できるので、警告表示部をより一層の高輝度化できる。
【0019】
第6の発明は、前記光源は、前記板状部の下方または上方に配置され、前記光入射面は、前記板状部における前記光源が位置する側に形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、光源と導光部材とを上下方向に並べて配置することができるので、車両用警告装置の車両前後方向の寸法を短縮することができ、車両用警告装置のミラーユニット内部でのレイアウト性を向上できる。
【0021】
第7の発明は、前記板状部における前記光入射面の上方には、車両の左右方向一方へ行くほど下に位置するように傾斜した面からなるとともに、前記光入射面から入射した光を車両の左右方向他方へ反射する上方反射面が設けられ、前記前後方向反射面は車両の左右方向一方へ行くほど車両前側に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、光源から照射された光が光入射面に入射されると、導光部材の内部を上方へ通り、上方反射面に入射する。上方反射面に入射した光は、左右方向他方へ反射される。このとき、前後方向反射面が左右方向一方へ行くほど車両前側に位置しているので、上方反射面から左右方向他方へ反射された光は、前後方向反射面の左右方向一方の位置する構成面から他方に位置する構成面まで入射し、各構成面によって警告表示部へ向けて反射される。これにより、導光部材に入射した光の大部分を効率よく警告表示部に入射させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、後方視認用ミラーの警告表示部に向けて光を反射する反射面を複数の構成面で構成し、複数の構成面で反射された光がそれぞれ警告表示部に向くように各構成面の向きを個別に設定することができるので、警告表示部の全体を均一に高輝度化して視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る車両用警告装置を備えた車両用ドアミラーユニットを車両後側から見た図である。
図2】車両用警告装置が取り付けられた後方視認用ミラーを車両前側から見た図である。
図3】車両用警告装置を車両後方から見た図である。
図4】フィルムを省略した車両用警告装置を車両後方から見た図である。
図5】車両用警告装置の分解斜視図である。
図6】後方視認用ミラーに取り付けられた車両用警告装置の図4に相当するVI-VI線断面図である。
図7】後方視認用ミラーに取り付けられた車両用警告装置の図4に相当するVII-VII線断面図である。
図8】後方視認用ミラーに取り付けられた車両用警告装置の図4に相当するVIII-VIII線断面図である。
図9】導光部材及び基板を前側から見た斜視図である。
図10図7のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用警告装置1を備えた車両用ドアミラーユニット100を車両後側から見た図である。車両用ドアミラーユニット100は、図示しないが、例えば自動車の側部に配設されるドアの前端部に取り付けられて主に後方確認用として使用される、いわゆるサイドミラーユニットである。この実施形態では、車両の右側に設けられる車両用ドアミラーユニット100について説明するが、図示しない左側に設けられる車両用ドアミラーユニットは、右側のものと左右対称構造であることから説明を省略する。尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車幅方向左側を単に「左」といい、車幅方向右側を単に「右」というものとする。また、ミラーユニットは、車両のドア以外の部分に取り付けられていてもよい。
【0027】
車両用ドアミラーユニット100は、車両用警告装置1の他に、車両に取り付けられるミラーベース101と、後方視認用ミラー102と、後方視認用ミラー102を保持するミラーホルダー103と、ミラーホルダー103が取り付けられるバイザー104とを備えている。また、図示しないが、車両用ドアミラーユニット100は、後方視認用ミラー102の角度を調整する角度調整ユニットと、電動または手動の格納装置とを備えている。後方視認用ミラー102は、上下方向及び左右方向に延びている。後方視認用ミラー102の一部領域には、警告表示部102aが設けられている。警告表示部102aは、後述する光源30(図5等に示す)から照射された光を後方視認用ミラー102の前側から後側へ透過させて所定の警告表示を行う部分であり、車両用警告装置1の一構成要素である。警告表示部102aは、例えばハーフミラーを形成する膜を後方視認用ミラー102の一部領域に形成しておき、警告表示を行わない時にはミラーとして利用することができる一方、光が前側から照射されると、警告表示部102aを透過する際に、運転者は警告表示部102aが光るように見える部分である。
【0028】
警告表示部102aは、後方視認用ミラー102の車幅方向外側に設けられており、この実施形態では後方視認用ミラー102の右端部近傍である。警告表示部102aの形状の一例としては例えば三角形を挙げることができるが、これに限られるものではなく、自動車を図案化したものであってもよい。
【0029】
車両用警告装置1は、車両用ドアミラーユニット100に組み込まれている。具体的には、図2に示すように後方視認用ミラー102の前側に配置されており、バイザー104の内部の右側に収容されている。このため、車両用警告装置1が後方視認の邪魔になることはない。
【0030】
この実施形態では、車両用警告装置1がブラインドスポットモニタリング(以下、BSMと呼ぶ)のための装置である。BSMは、自車が走行している車線に隣接する別の車線を走行する他車が自車に接近していることを運転者に警告するためのものであり、その構成例としては、図示しないが、例えばリアバンパー等に設けられた他車検出用のセンサと、当該センサからの出力信号に基づいて他車が自車に接近しているか否かを判定する判定部と、上記車両用警告装置1とを備えている。車両用警告装置1は、判定部によって他車が自車に接近していると判定される場合に警告表示部102aを点灯または点滅させる。尚、上記センサや判定部の構成は従来から周知であるため、詳細な説明は省略する。また、車両用警告装置1は、左右のドアミラーユニット100に設けられており、右方向から接近する他車が存在する場合には右側の車両用警告装置1を作動させ、左方向から接近する他車が存在する場合には左側の車両用警告装置1を作動させるように構成されている。警告表示部102aの点灯または点滅と同時に警告音を発するように構成することもできる。
【0031】
図5に示すように、車両用警告装置1は、ケーシング2と、基板3と、導光部材4と、フィルム5とを備えている。ケーシング2は、例えば樹脂材等で構成されており、基板3及び導光部材4を収容する部材である。ケーシング2は、上下方向に延びる前壁部20と、前壁部20の周縁部から後側へ延びる周壁部21とを備えており、前壁部20及び周壁部21は一体成形されている。周壁部21の下部には、上下方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。また、周壁部21の上部の右側は、右端へ行くほど下に位置するように傾斜した傾斜壁部21bで構成されている。この傾斜壁部21bは後述する導光部材4の形状に対応するように傾斜している。また、周壁部21の左側部の略下半部には、左側へ膨出した膨出部21cが形成されている。
【0032】
ケーシング2の後側は略全体が開放されている。ケーシング2の後側の開放部分から基板3及び導光部材4を当該ケーシング2の内部に入れることができるようになっている。ケーシング2の後側の開放部分は、フィルム5によって塞がれる。このフィルム5は、例えば樹脂材等で構成されており、ケーシング2の周壁部21の後端部の外形状に対応した外形状を有している。フィルム5の前面の周縁部を周壁部21の後端部に接着することにより、フィルム5がケーシング2に取り付けられている。
【0033】
図2に示すように、フィルム5の後面は、後方視認用ミラー102の前面に貼り付けられている。図6図7に示すように、貼り付けられた状態にあるフィルム5の位置は後方視認用ミラー102の警告表示部102aを覆うように設定されている。フィルム5の上側には、後述する光源30から照射された光を後側へ透過させる光透過部5aが設けられている。光透過部5aは、後方視認用ミラー102の警告表示部102aの前側に重なるように配置されており、後述する光源30から照射された光は、光透過部5aを透過した後、警告表示部102aに入射するようになっている。
【0034】
図5に示すように、基板3は、光源30と、定電流回路(図示せず)と、コネクタ部31とを備えている。基板3は、左右方向に延びる姿勢とされ、ケーシング2の内部における下端部近傍に収容された状態でケーシング2に固定されている。基板3のケーシング2への固定構造は、特に限定されるものではないが、例えば基板3とケーシング2の一方に設けた爪を他方に係合させる構造、基板3をケーシング2に対してネジ等で締結する構造等を挙げることができる。
【0035】
基板3の左右方向の寸法は前後方向の寸法に比べて長く設定されている。基板3の上面の右側に光源30が実装されており、この光源30は基板3の上面から上方へ突出している。光源30は、例えば発光ダイオード(LED)等で構成されている。光源30の光の照射方向は、上方とされている。
【0036】
コネクタ部31は、基板3の左右方向中央部近傍から下方へ突出するように配設されている。図7に示すように、コネクタ部31は、ケーシング2の下部に形成されている貫通孔21aを通って当該ケーシング2の下方へ向けて突出している。コネクタ部31には、車両側から延びるハーネス(図示せず)が接続される。このハーネスから供給された電力は定電流回路を経て光源30に供給される。これにより、光源30が光を照射する。光源30は、警告が必要な間、点灯状態で維持してもよいし、点滅させてもよい。また、この実施形態では光源30は1つである。定電流回路を組み込むことで、意図しない過電圧を受けた場合に電流をカットして破損を防止できる。
【0037】
図9に示すように、導光部材4は、全体が無色透明な樹脂材で構成されており、上下方向及び左右方向に延びる板状部40と、板状部40の上端部から前側へ延出する上板部41と、板状部40の左端部から左側へ延出する左板部42とを備えている。板状部40、上板部41及び左板部42は一体成形されている。
【0038】
光源30は、板状部40の右側の下方に配置されている。板状部40の右側の下面には、下方へ突出する円柱状部43が形成されている。円柱状部43の真下に光源30の光出射面が位置付けられており、円柱状部43の中心線の延長線上に光源30の光出射面の中心部が位置するように、光源30と導光部材4との相対的な位置関係が設定されている。
【0039】
図8等に示すように、円柱状部43の下端面の周縁部には下方へ突出して周方向に連続して延びる突条部43aが形成されている。円柱状部43の下端面における突条部43aよりも内側部分には、光源30から下方へ向けて照射された光が入射する光入射面43bが形成されている。光入射面43bは、下方、即ち光源30へ向けて膨出する球状面で構成されている。光入射面43bは、完全な球面の一部(円弧状の面)で構成されていてもよいし、球面に近似可能な面で構成されていてもよい。光入射面43bが下方へ膨出しているので、光入射面43bを膨出面と呼ぶこともできる。光入射面43bの中心部は、光源30の光出射面の中心部の真上に位置している。したがって、光源30から照射された光は、光入射面43bから円柱状部43の内部に入射して板状部40の上へ向けて進む。この実施形態では、光入射面43bを球状面にしているので、光源30から照射された光を光入射面43bで効率よく集光できる。
【0040】
板状部40における光入射面43bの上方には、上方反射面40aが設けられている。上方反射面40aは、右側(左右方向一方)へ行くほど下に位置するように傾斜した面からなる。これにより、上方反射面40aは、光入射面43bから入射した光を左方向(左右方向他方)へ反射する。図4には、光入射面43bから入射した光が上方反射面40aによって反射されて板状部40の左側へ向けて進む光を矢印200で示す。上方反射面40aは、板状部40における空気との界面で光が全反射する性質を利用したものであってもよいし、ミラー層によって構成されたものであってもよい。
【0041】
図9に示すように、板状部40の前側、即ち後方視認用ミラー2と反対側には、前後方向反射面45が設けられている。前後方向反射面45は、光入射面43bに入射して上方反射面40aによって反射した光を後側へ向けて反射させるための面であり、上方反射面40aと同様に板状部40における空気との界面で光が全反射する性質を利用したものであってもよいし、ミラー層によって構成されたものであってもよい。光入射面43bに入射した光は、前後方向反射面45の全体に入射されるように、光入射面43b及び上方反射面40aの形状が設定されている。このような光学的な特定を持たせるために、上方反射面40aを例えば湾曲させてもよい。
【0042】
前後方向反射面45は、上下方向及び左右方向の両方向に並ぶ複数の構成面45aA~K(図6及び図7では符号45aで示している)を有している。複数の構成面45aA~Kは、反射した光が後方視認用ミラー2の一部領域に設けられている警告表示部102aに向くように個別に向きが設定されている。
【0043】
すなわち、上下方向に並ぶ複数の構成面(例えば符号45aAで示す構成面)により、複数の構成面45aA、45aA、…で形成された上下方向に延びる列ができている。この列が左右方向に複数並んでいる。また、別の説明の仕方をすれば、左右方向に並ぶ複数の構成面45aA~Kにより、複数の構成面45aA~Kで形成された左右方向に延びる行ができている。この行が上下方向に複数並んでいる。これにより、板状部40を前側から見た時、複数の構成面45aA~Kがマトリックス状に配置されることになる。構成面45aA~Kは、板状部40の下端部から上端部まで並ぶとともに、板状部40の左端部から右端部近傍まで並んでおり、板状部40の前面の殆どの領域が前後方向反射面45となっている。また、各構成面45aA~Kを前側から見たときの形状は略矩形状である。前側から見たときの構成面45aA~Kの形状は正方形であってもよいし、左右方向に長い長方形であってもよいし、上下方向に長い長方形であってもよい。
【0044】
左側に位置する2列を構成する複数の構成面45aA、45aBは、他の列を構成する複数の構成面45aC~Kに比べて左右方向の寸法が長く設定されている。上下方向の寸法は、全ての構成面45aA~Kで同じに設定されている。また、図10に示すように、複数の構成面445aA~Kは、後側へ窪む凹面である(図10では構成面45aDのみ示している)。
【0045】
上下方向に隣り合う構成面(例えば45aA、45aA)の間には、平面部45bが設けられている。この平面部45bが上下方向に隣り合う構成面45aA、45aAの間に設けられていることで、上下方向に隣り合う構成面45aA、45aAは互いに上下方向に間隔をあけて配置されることになる。
【0046】
また、板状部40の最も左側に位置する構成面(左端構成面)45aAが最も後に位置し、最も右側に位置する構成面(右端構成面)45aKが最も前に位置している。左端構成面45aAと、右端構成面45aKとの間に位置する複数の構成面(中間構成面)45aB~Jは、右端構成面45aKに近いものほど前に位置するように並んでいる。これにより、左右方向に隣合う構成面45aA~Kの間には段部45cが形成されることになるので、左右方向に隣合う構成面45aA~Kは、互いに左右方向に間隔をあけて配置される。左右方向に隣合う構成面45aA~Kの間に平坦面を設けてもよい。
【0047】
複数の構成面45aA~Kの向きは僅かずつ異なっている。すなわち、前後方向反射面45の大きさは、後方視認用ミラー102の警告表示部102aの大きさよりも大きく設定されており、前後方向反射面45で反射した光をより狭い範囲である警告表示部102aに集光させる必要がある。このことを実現するために、構成面45aA~Kを平面部45b及び段部45cによって独立したものとし、各構成面45aA~Kの向きを警告表示部102aに向くように、かつ、運転者の方向へ向くように設定している。このような各構成面45aA~Kの向きの設定により、各構成面45aA~Kの中央部分に垂直な仮想平面と、左右方向及び上下方向に延びる仮想の基準平面とを想定した時、複数の仮想平面と、基準平面とのなす角度は互いに相違することになる。
【0048】
また、左端構成面45aAが最も後に位置し、右端構成面45aKが最も前に位置していて、それらの間の複数の中間構成面45aB~Jが右端構成面45aKに近いものほど前に位置するように並んでいるので、前後方向反射面45は右側へ行くほど前側に位置するように形成されることになる。
【0049】
図5に示すように、板状部40の後面には、前後方向反射面45で反射された光を出射する光出射面40dが設けられている。光出射面40dは、上下方向及び左右方向に延びており、後方視認用ミラー102の前面と略平行に延びる面で構成されている。光出射面40dが後方視認用ミラー102の前面と略平行であるのに対し、前後方向反射面45は右側へ行くほど前側に位置するように形成されているので、板状部40の肉厚は、左へ行くほど薄くなっている。
【0050】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、光源30から光が照射されると、導光部材4の光入射面43bに入射した後、当該導光部材4の内部を通って前後方向反射面45によって後側へ向けて反射され、光出射面40dから出射される。光出射面40dから出射された光は、後方視認用ミラー102の一部領域に設けられている警告表示部102aを透過して後側へ照射される。光が警告表示部102aを透過する際に、運転者は警告表示部102aが光るように見えるので、警告を認識することができる。
【0051】
光が前後方向反射面45で反射される際、当該前後方向反射面45を構成している複数の構成面45aA~Kによって反射された光がそれぞれ警告表示部102aに向くように各構成面45aの向きを個別に設定することができるので、警告表示部102aの全体に光が集まり、その結果、警告表示部102aの全体が均一に高輝度化し、視認性が高まる。
【0052】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明に係る車両用警告装置は、後続車両が接近していることを運転者に警告するBSMとして使用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 車両用警告装置
4 導光部材
30 光源
40 板状部
40a 上方反射面
40d 光出射面
43b 光入射面
45 前後方向反射面
45aA~K 構成面
100 車両用ドアミラーユニット
102 後方視認用ミラー
102a 警告表示部
図1
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図3
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図10