(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】色彩選別機
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20240524BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G01N21/85 A
G01N21/84 E
(21)【出願番号】P 2020211578
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】稲井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】黒水 泰守
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-042326(JP,A)
【文献】特開2010-019600(JP,A)
【文献】特開2017-198612(JP,A)
【文献】特表2011-521469(JP,A)
【文献】特開2018-189559(JP,A)
【文献】特開平10-202204(JP,A)
【文献】特開2015-203620(JP,A)
【文献】特開平08-201044(JP,A)
【文献】特開2008-090423(JP,A)
【文献】特表2016-540996(JP,A)
【文献】特開2016-125899(JP,A)
【文献】特開2015-078912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00 - B07C 99/00
G01N 21/84 - G01N 21/958
H01L 33/00
H01L 33/48 - H01L 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状体を所定方向に通過させる通過経路と、
前記通過経路に形成された検査領域と、
前記検査領域を照明する照明ユニットと、
前記検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットと、
前記カメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部と、を備えた色彩選別機であって、
前記照明ユニットは、マトリックス状に配置されたLEDパッケージ群と、前記LEDパッケージ群の発光を制御する制御回路とを備え、
前記LEDパッケージ群には
、発光波長の異なる複数のLED素子を内蔵する多色発光パッケージ
と特定色のみを発光する特定色発光パッケージとが含まれ、
前記多色発光パッケージと前記特定色発光パッケージとが互いに混在されるような規則的な配置パターンを繰り返すように配置され、
前記制御回路は、
判定すべき前記粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に応じた適切な色分布を有する照明光を作り出すため、前記多色発光パッケージにおける前記LED素子の発光を個別的に制御する
ことで前記多色発光パッケージを選択的に異なる色で発光させる色彩選別機。
【請求項2】
前記特定色は、前記多色発光パッケージに内蔵された前記複数のLED素子の発光波の波形の全てにまたがる波形を有する発光波による色である請求項
1に記載の色彩選別機。
【請求項3】
前記特定色発光パッケージに、複数の単色LED素子が内蔵され、
前記特定色は、前記複数の単色LED素子からの光の混合色である請求項
2に記載の色彩選別機。
【請求項4】
前記特定色発光パッケージに、単色LED素子が内蔵されるとともに、前記単色LED素子とともに蛍光体が封入され、
前記特定色は、前記蛍光体を通して発光される前記単色LED素子からの光の色である請求項
2に記載の色彩選別機。
【請求項5】
前記多色発光パッケージには、赤色系LED素子と緑色系LED素子と青色系LED素子とから選ばれた2つ以上の異なる色のLED素子が内蔵されている請求項1から
4のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項6】
前記LEDパッケージ群には、白色光を発光する白色発光パッケージが含まれている請求項1から
5のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項7】
前記LEDパッケージ群には、紫外線を発光する紫外線発光パッケージが含まれている請求項1に記載の色彩選別機。
【請求項8】
前記LEDパッケージ群には、赤外線を発光する赤外線発光パッケージが含まれている請求項1に記載の色彩選別機。
【請求項9】
前記多色発光パッケージに内蔵された各LED素子は、前記制御回路を通じて、前記多色発光パッケージ毎に、または前記多色発光パッケージの特定グループ単位毎に、それぞれ独立して点灯制御される請求項1から
8のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項10】
前記多色発光パッケージに内蔵された各LED素子の点灯または消灯を、予め設定された点灯パターンで前記制御回路に指令する手動操作具が備えられている請求項1から
9のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項11】
前記LEDパッケージ群を構成する各発光パッケージは、前記各発光パッケージの点灯状態にかかわらず、前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記各発光パッケージが混在する規則的な配置パターンを繰り返すように配置されている請求項1から
10のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項12】
前記LEDパッケージ群が前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記照明ユニット内において、端部側領域のおけるLEDパッケージの配置密度は、中央部側領域におけるLEDパッケージの配置密度よりも密に設定されている請求項1から
11のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過経路を通過する粒状体の品質状態を光学的に評価して粒状体を選別する色彩選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1による色彩選別機は、粒状体を所定方向に通過させる通過経路に形成された検査領域と、この検査領域を照明する照明ユニットと、検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部とを備えている。さらに、照明ユニットによる照明光が、広い幅にわたって均一な光量を有するために、照明ユニットとしてLEDリニアアレイ(ライン状に並べられたLEDパッケージ群)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粒状体から反射した反射光や粒状体を透過した透過光の光量に基づいて、粒状体の判定が行われるので、精密な判定を行うためには適切な周波数帯域の照明光を用いることが重要である。判定すべき粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に応じて、照明光として適する周波数帯域は異なる。このことから、従来の色彩選別機では、照明ユニットとして、全ての色成分を含む白色光を照射する白色照明ユニットが採用される。あるいは、各単色光を照射する複数の単色照明ユニットから、良否判定すべき対象によって最適な単色照明ユニットをその都度交換する交換型照明ユニットが採用される。しかしながら、白色照明ユニットでは、特定色の割合が大きな照明が必要な場合には、特定色の光度が不足するという問題が生じる。また、交換型照明ユニットでは、必要となる照明光の数だけ照明ユニットが保管管理されなければならず、コスト的に不利が生じる。
【0005】
このことから、本発明の目的は、種々の判定すべき粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に適した色分布を有する照明光を簡単に作り出せる照明ユニットを有する色彩選別機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による色彩選別機は、粒状体を所定方向に通過させる通過経路と、前記通過経路に形成された検査領域と、前記検査領域を照明する照明ユニットと、前記検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットと、前記カメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部とを備えている。さらに、前記照明ユニットは、マトリックス状に配置されたLEDパッケージ群と、前記LEDパッケージ群の発光を制御する制御回路とを備え、前記LEDパッケージ群には、発光波長の異なる複数のLED素子を内蔵する多色発光パッケージと特定色のみを発光する特定色発光パッケージとが含まれ、前記多色発光パッケージと前記特定色発光パッケージとが互いに混在されるような規則的な配置パターンを繰り返すように配置され、
前記制御回路は、判定すべき前記粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に応じた適切な色分布を有する照明光を作り出すため、前記多色発光パッケージにおける前記LED素子の発光を個別的に制御することで前記多色発光パッケージを選択的に異なる色で発光させる。なお、ここでのマトリックス状の配置には、一行だけの一直線的な配置もふくまれている。また各行や各列の要素数(LEDパッケージ数)が異なっていてもよい。
【0007】
この構成では、照明ユニットを構成する構成要素である多数のLEDパッケージ(LEDパッケージ群)には、発光波長の異なる光(異なる色)を発光する複数のLED素子を有する多色発光パッケージと呼ぶLEDパッケージが含まれている。この多色発光パッケージに内蔵されている複数のLED素子の点灯(発光)または消灯は、制御回路によって制御される。したがって、照明ユニット制御回路による制御によって、この照明ユニットは、判定すべき粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に応じて、適切な色分布を有する照明光を、選択的に照射することができる。
【0008】
照明ユニットを構成するLEDパッケージを全て多色発光パッケージにすれば、照明ユニット制御回路が複雑となり、その結果、基板構造が複雑となり、製造コスト上の問題が生じる。このため、多色発光パッケージの数は必要最小限にすることが重要である。このため、特定色(赤色系や緑色系や青色系など)の単色光を発光する、比較的安価な特定色発光パッケージ(単色発光パッケージとも称する)が、LEDパッケージ群に含まれることが好ましい。そのような照明ユニットは選択可能な色成分を持つ光を照射することができるにもかかわらず、そのコストは最小限に抑えられる。例えば、赤色系と緑色系のいずれかを選択的に発光する色発光パッケージが用いられる場合、特定色発光パッケージとして、赤色系LED素子からなるLEDパッケージや緑色系LED素子からなるLEDパッケージが用いられるとよい。
【0009】
好適な実施形態として、特定色発光パッケージが発光する特定色が、前記多色発光パッケージに内蔵された前記複数のLED素子の発光波の波形の全てにまたがる波形を有する発光波による色であることが提案される。この構成では、多色発光パッケージが選択的に所望色を発光しても、特定色発光パッケージからの発光によって、当該所望色の光度が補強される。
【0010】
例えば、赤色系と青色系のいずれかを選択的に発光する色発光パッケージが用いられる場合、赤色系と青色系の混合色を発光する特定色発光パッケージが用いられると好都合である。同様に、赤色系と緑色系のいずれかを選択的に発光する色発光パッケージが用いられる場合、赤色系と緑色系の混合色を発光する特定色発光パッケージが用いられると好都合である。このことから、好適な実施形態では、前記特定色発光パッケージに、複数の単色LED素子が内蔵され、前記特定色は、前記複数の単色LED素子からの光の混合色である。
【0011】
単色LED素子と蛍光体とを組み合わせると、単色LED素子が発光する色とは異なる色の発光が可能となる。このことから、好適な実施形態では、前記特定色発光パッケージに、単色LED素子が内蔵されるとともに、前記単色LED素子とともに蛍光体が封入され、前記特定色は、前記蛍光体を通して発光される前記単色LED素子からの光の色である。
【0012】
複数の異なる欠陥を判定する色彩選別機の照明では、光の三原色の内の少なくとも2つの色が要望されるので、三原色の内の2色が選択できるような多色発光パッケージが好都合である。このことから、本発明の好適な実施形態では、前記多色発光パッケージには、赤色系LED素子と緑色系LED素子と青色系LED素子とから選ばれた2つ以上の異なる色のLED素子が内蔵されている。例えば、多色発光パッケージが赤色系LED素子と青色系LED素子を内蔵する場合、赤色系LED素子が点灯され、青色系LED素子が消灯されると、照明ユニットは全体として赤色系に支配された照明光を照射することができる。これは、赤色系の照明光が要望されている場合に、好都合である。赤色系LED素子が消灯され、青色系LED素子が点灯されると、照明ユニットは全体として青色系に支配された照明光を照射することができる。これは、青色系の照明光が要望されている場合に、好都合である。赤色系LED素子と青色系LED素子の両方が点灯されると、照明ユニットから照明光は、大きな光度を示すことになる。これは、強い光度の照明光が要望されている場合に、好都合である。赤色系LED素子と緑色系LED素子と青色系LED素子とが内蔵された多色発光パッケージでは、さらにその組み合わせが広がり、多種多様な使い方が可能となる。
【0013】
色彩選別機で用いられる照明ユニットでは大きな光量を有する照明光も要求される。このような要求を満たすためには、比較的大きな光量で赤色系と緑色系と青色系とを含む広帯域の光である白色光を発する白色発光パッケージが、LEDパッケージ群に含まれると好適である。白色発光パッケージには、青色系LED素子と黄色蛍光体とからなる蛍光体パッケージ、赤色系LED素子と緑色系LED素子と青色系LED素子とからなる3LEDパッケージなどがある。青色系LED素子とともに黄色蛍光体が封入された白色発光パッケージは、光効率が高く、大きな光量が得られるので、好都合である。なお、その他の特定色発光パッケージとしても、単色LED素子が蛍光体によって封入された発光パッケージが、用いられてもよい。この場合、特定色は、前記蛍光体を通して発光される前記単色LED素子からの光の色となる。
【0014】
色彩選別機によって欠陥判定される粒状体には、その欠陥判定のために紫外線または赤外線が含まれる照明光を必要となる粒状体もある。このため、紫外線を含む照明光を必要とする実施形態では、前記LEDパッケージ群には、白色光を発光する白色発光パッケージが含まれている。赤外線を含む照明光を必要とする実施形態では、前記LEDパッケージ群には、紫外線を発光する紫外線発光パッケージまたは赤外線を発光する赤外線発光パッケージが含まれている。
【0015】
照明ユニットに多くの多色発光パッケージが含まれている場合、前記多色発光パッケージに内蔵された各LED素子が、前記多色発光パッケージ毎に、または前記多色発光パッケージの特定グループ単位毎に、それぞれ独立して点灯制御(オンオフ制御)される実施形態が採用されると好適である。この構成により、照明光の照明面における色分布の微調整が可能となる。
【0016】
前記多色発光パッケージに含まれている各LED素子の点灯または消灯が多色発光パッケージ毎に制御できる場合、その制御可能な点灯(消灯)パターンの組み合わせ数は多数となる。点灯パターンの組み合わせによって照明光の照明面における色分布は微妙に変化する。照明光の照明面における色分布は、欠陥判定に影響するので、その点灯パターンの選択には、熟練した技術が要求される。そのような選択が熟練者以外でも簡単にできるように、好適な実施形態では、前記多色発光パッケージに内蔵された各LED素子の点灯または消灯を、予め設定された点灯パターンで前記制御回路に指令する手動操作具が備えられている。予め設定された点灯パターンが熟練者の見解に基づいたものであれば、熟練していない作業者であっても、検査すべき粒状体とその欠陥の種類とに応じて、その点灯パターンを選択するだけで、適切な照明光を用いた良否選別が可能となる。
【0017】
LEDパッケージ群には、それぞれ異なる色の照明光を発する複数種の各発光パッケージが混在することになる。例えば、LEDパッケージ群には、異なる色を選択的に発光することができる多色発光パッケージ、及び単一の色だけを発光する単色発光パッケージ(赤色系単色発光パッケージ、緑色系単色発光パッケージ、青色系単色発光パッケージ、多色発光パッケージなど)である特定色発光パッケージが混在することになる。このような種々の発光パッケージが混在していても、その検査領域は一様な光分布で照明することが要求される。この要求を満たすため、好適な実施形態では、前記LEDパッケージ群を構成する各発光パッケージは、前記各発光パッケージの点灯状態にかかわらず、前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記各発光パッケージが混在する規則的な配置パターンを繰り返すように配置されている。
【0018】
LEDパッケージ群に異なる光度のLEDパッケージが混在している場合、規則的で配置密度が均一な配置パターンを単に繰り返す配置では、検査領域を一様な光量で照明することができない場合がある。このような問題を解消するため、好適な実施形態では、前記LEDパッケージ群が前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記照明ユニット内において、端部側領域のおけるLEDパッケージの配置密度は、中央部側領域におけるLEDパッケージの配置密度よりも密に設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】色彩選別機における光学検査の原理を示す模式図である。
【
図3】色彩選別機の制御系を示す機能ブロック図である。
【
図4】カメラユニットによる撮影画像と穀粒との関係を示す模式図である。
【
図6】多色発光パッケージの構成例を示す説明図である。
【
図7】LEDパッケージの配置パターンの一例を示す説明図である。
【
図8】LEDパッケージの他の配置パターン例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、色彩選別機の縦断面図が示され、
図2には、色彩選別機における光学検査の原理を示す模式図が示されている。この実施形態の色彩選別機によって良否判定される粒状体は玄米や白米などの穀粒、及び樹脂ペレットである。多量の穀粒、あるいはペレットが色彩選別機に投入されると、正常物であるか不良物であるかを光学的に評価され、正常物と不良物とが選別される。
【0021】
図1に示すように、穀粒を一層で且つ幅広状態で流下案内する搬送部材として傾斜姿勢のシュータ11が備えられている。このシュータ11が穀粒を所定方向に通過させる通過経路として機能する。穀粒を検査する検査領域IAは通過経路に形成されている。穀粒は、通過経路を形成するシュータ11の上部側に設けられた貯留ホッパ12から振動フィーダ13によって振動搬送され、シュータ11に投入される。
図2に示すように、投入された穀粒はシュータ11の上面(表面)を流下しながら、検査領域IAの手前で放出され、検査領域IAを通過し、分岐点TPで正常物と異常物とに選別される。シュータ11の底面は、幅方向全幅に亘って平坦な流下案内面を形成している。これにより、穀粒は、シュータ11の(横断方向)幅方向全幅に亘って実質的に一層状態で広がって、検査領域IAを通過する。
【0022】
一層状態で広がって流下する穀粒は、検査領域IAにおいて、光学的な方法で良否判定される。検査領域IAの下方には、空気吹き付け装置15が配置されている。検査領域IAを通過した正常な穀粒は下方側の正常物回収部16にそのまま落下して回収される。
図2に示すように、異常穀粒は、空気吹き付け装置15の噴射ノズル15aによる吹き付け作用によって分岐され、異常物回収部17に回収される。
【0023】
図2に、検査領域IAにおいて穀粒(玄米や白米など)の良否判定を行う光学検査の原理が模式的に示されている。
図3には、色彩選別機における光学検査の制御ブロック図が示されている。色彩選別機には、検査領域IAを照明する照明ユニット4と、照明ユニット4からの照明光によって照射されながら検査領域IAを通過する穀粒を撮影するカメラユニット3とが含まれている。制御装置6には、照明ユニット4を制御する照明制御部61、カメラユニット3から撮影画像(受光ライン信号)を取得する画像取得部62、取得した撮影画像に基づいて穀粒の良否を判定する判定部63、判定部63の判定結果に基づいて空気吹き付け装置15を制御する選別制御部64が含まれている。
【0024】
図2に示すように、検査領域IAには、穀粒の流下方向に沿って第1検査ラインPaと第2検査ラインPbが設定されている。カメラユニット3は、ラインセンサカメラで構成されている。カメラユニット3から出力される検出信号である撮影画像は、数十分の1mmの縦幅とその半分程度の横幅を1画素として、検査領域IAを通過する穀粒の通過幅以上の長さを有する。
図4では、1つの穀粒が写されている瞬間の撮影画像が模式的に示されている。カメラユニット3がラインセンサカメラであるので、1つの撮影画像は、
図4の太線で囲われた撮影領域Zを含む。カメラユニット3は、第1カメラ3A、第2カメラ3B、第3カメラ3Cを備えている。第1カメラ3Aは、検査領域IAを挟んで、第2カメラ3B及び第3カメラ3Cに向き合って配置されている。
【0025】
第1カメラ3A、第2カメラ3B、第3カメラ3Cのそれぞれのライン状光軸は、複数のミラーによって方向変更され、検査領域IAを通過する。検査領域IAを通過した各ライン状光軸の先には、撮影背景部材30が配置されている。この撮影背景部材30は、背面照明部材として機能し、非図示の発光体からの光を伝播する導光板から作製されている。さらに、検査領域IAにおいて各ライン状光軸が交差する領域には、照明光やその反射光が検査妨害光となることを避けるための遮光部材31が配置されている。
【0026】
検査領域IAを照明する照明ユニット4として、第1カメラ3Aの検査領域IAを挟んだ反対側に、第1照明ユニット4Uと第2照明ユニット4Vとが備えられ、第2カメラ3B(第3カメラ3C)の検査領域IAを挟んだ反対側に、第3照明ユニット4Wと第4照明ユニット4Xとが設けられている。各照明ユニット4はLEDパッケージマトリックスリニアアレイで構成されている。この実施形態では、各照明ユニット4には、遮蔽部材50が備えられている。遮蔽部材50は、ライン光源である照明ユニット4から出た照明光ができるだけ線状ビーム形状を保つように上下一対の遮蔽板からなる配光方向限定手段として構成されている。各遮蔽板の内側面は白色系で着色され、外側面は黒色系で着色されている。
【0027】
さらに、この実施形態では、第2照明ユニット4Vには、第2照明ユニット4Vからの照明光を集光する集光部材52が遮蔽部材50に取り付けられている。なお、この集光部材52は、モールド工法によりLEDパッケージマトリックスリニアアレイを構成している発光パッケージとしてのLEDパッケージ20に直接組み込まれてもよい。第3照明ユニット4Wには、第3照明ユニット4Wからの照明光を拡散する光拡散部材51が遮蔽部材50に取り付けられている。光拡散部材51がすりガラスのように、表面と裏面とで反射率が異なる場合、反射率の高い方の面を照明ユニット4に向ける配置が好ましい。
【0028】
図5に示すように、各照明ユニット4は、ケーシングされた帯状基板40からなり、二次元配置(マトリックスリニアアレイ)されたLEDパッケージ群(発光パッケージ群)を備えている。LEDパッケージ群を構成しているLEDパッケージ20の発光面が帯状基板40の表面に露出している。この照明ユニット4のLEDパッケージ20は、多色発光パッケージ21と特定色発光パッケージ22とに区分けされる。
図3に示すように、帯状基板40には、LEDパッケージ群の発光を制御する制御回路4Aも形成されている。
【0029】
多色発光パッケージ21は、発光波長の異なる複数のLED素子を内蔵し、当該LED素子の発光は、制御回路4Aによって個別的に制御される。多色発光パッケージ21は、内蔵するLED素子の種類によって、異なる色を選択的に発光することができる。
【0030】
多色発光パッケージ21の構成例が
図6に示されている。
図6の(a)で示された多色発光パッケージ21は、赤色系LED素子と青色系LED素子とを内蔵しており、制御回路4Aによるスイッチングにより赤色系または青色系を発光することができる。
図6の(b)で示された多色発光パッケージ21は、2つの赤色系LED素子と1つの青色系LED素子とを内蔵しており、制御回路4Aによるスイッチングにより赤色系または青色系を発光することができる。
図6の(c)で示された多色発光パッケージ21は、赤色系LED素子と青色系LED素子と緑色系LED素子とを内蔵しており、制御回路4Aによるスイッチングにより赤色系または青色系または緑色系を発光することができる。
図6の(d)で示された多色発光パッケージ21は、2つの赤色系LED素子と1つの青色系LED素子と1つの緑色系LED素子とを内蔵しており、制御回路4Aによるスイッチングにより赤色系または青色系または緑色系を発光することができる。
【0031】
なお、多色発光パッケージ21は、内蔵するLED素子の一種類の色を発光するだけでなく、内蔵するLED素子の全てまたはその任意の組み合わせで発光するように構成することも可能である。
【0032】
特定色発光パッケージ22は、多色発光パッケージ21とは異なり、選択的に異なる色を発光する機能はなく、特定色のみを発光するLEDパッケージ20である。特定色発光パッケージ22は、単色発光パッケージ22aと混合色発光パッケージ22bとに区分けされる。単色発光パッケージ22aは、単色LED素子(赤色系LED素子または青色系LED素子または緑色系LED素子)を内蔵している。混合色発光パッケージ22bは、複数の異なる単色LED素子を内蔵しており、その発光色は各単色LED素子からの光の混合色である。特定色発光パッケージ22は、多色発光パッケージ21とともに、照明ユニット4の照明光を作り出す。このため、特定色発光パッケージ22は、多色発光パッケージ21に内蔵された各LED素子の発光波の波形の全てにまたがる波形を有する発光波による色を発光することが好ましい。例えば、赤色系LED素子と青色系LED素子とを内蔵した多色発光パッケージ21が用いられている場合、赤色系波長と青色系波長にまたがる高帯域の波長の光を発光することができる特定色発光パッケージ22が用いられる。この場合、多色発光パッケージ21の赤色系LED素子と青色系LED素子とのいずれが選択されて発光されても、特定色発光パッケージ22は、多色発光パッケージ21による発光色の光度を増強することができるだけでなく、多色発光パッケージ21による照明光の色分布を一様化するためにも貢献できる。
【0033】
さらに、特定色発光パッケージ22には、白色光を発光する白色発光パッケージも含まれている。この白色発光パッケージは、青色系LED素子が内蔵されるとともに、黄色蛍光体が封入された構成である。さらに、その他の特定色発光パッケージ22として、単色LED素子が蛍光体によって封入された発光パッケージが用いられてもよい。この場合、特定色は、前記蛍光体を通して発光される前記単色LED素子からの光の色となる。
【0034】
多色発光パッケージ21に内蔵された各LED素子は、制御回路4Aを通じて、多色発光パッケージ毎に、または前記多色発光パッケージの特定グループ単位毎に、それぞれ独立して点灯制御される。もちろん、全ての多色発光パッケージ21に対して、その内蔵LED素子の点灯を統一的に制御してもよい。
【0035】
この実施形態では、
図3に示すように、多色発光パッケージ21に内蔵された各LED素子の点灯または消灯を、予め設定された点灯パターンで制御回路4Aに指令する手動操作具6Aが備えられている。手動操作具6Aから出力された点灯パターンに関する操作データが、制御装置6に設けられた点灯パターン決定部60に与えられる。点灯パターン決定部60は、操作データに基づいて決定される点灯パターンで多色発光パッケージ21を発光させるための点灯パターン制御信号を生成し、制御回路4Aに与える。
【0036】
LEDパッケージ群を構成するLEDパッケージ20は、検査領域IAを一様な光量で照明するように、多色発光パッケージ21と特定色発光パッケージ22とが、互いに混在されるような規則的な配置パターンを繰り返すように配置される。
【0037】
所望の周波数帯域を有する照明光を細長い領域である検査領域IAにわたって、どのような点灯状態であっても、できるだけ一様な光度が得られるように、多色発光パッケージ21は、特定色発光パッケージ22と組み合わされた種々の配置パターンで帯状基板40上に配置される。配置パターンのいくつかの例が、
図7と
図8に示されている。
【0038】
図7の配置パターンでは、点線が囲まれている4行4列が基本パターンであり、この基本パターンが繰り返される。基本パターンにおける一行目は、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21、特定色(緑色系)発光パッケージ22、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21、特定色(青色系)発光パッケージ22の並びであり、2行目は、特定色(青色系)発光パッケージ22、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21、特定色(緑色系)発光パッケージ22、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21の並びであり、3行目は、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21、特定色(青色系)発光パッケージ22、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21、特定色(緑色系)発光パッケージ22の並びであり、4行目は、特定色(緑色系)発光パッケージ22、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21、特定色(青色系)発光パッケージ22、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21の並びである。なお、
図7では、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21には記号「R/B」が、特定色(緑色系)発光パッケージ22には記号「G」が、特定色(青色系)発光パッケージ22には記号「B」が、付与されている。この照明ユニット4では、多くの多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21で赤色系を発光させると、赤色系の光度が強い照明光が検査領域IAを照明し、より多くの多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21で赤色系を発光させると、赤色系の光度が強い照明光が検査領域IAを一様に照明し、より多くの多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21で青色系を発光させると、青色系の光度が強い照明光が検査領域IAを一様に照明する。
【0039】
図7の配置パターンは、多色発光パッケージ21と特定色発光パッケージ22とを混在させた一例である。他の例として、
図7の配置パターンにおいて、特定色(緑色系)発光パッケージ22を特定色(青色系)発光パッケージ22とし、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21と特定色(青色系)発光パッケージ22とからなる配置パターンを採用してもよい。あるいは、特定色(青色系)発光パッケージ22を特定色(緑色系)発光パッケージ22とし、多色(赤色系/青色系)発光パッケージ21と特定色(緑色系)発光パッケージ22とからなる配置パターンを採用してもよい。もちろん、特定色発光パッケージ22として、混合色発光パッケージ22bを用いてもよい。
【0040】
図8の配置パターンにおける基本パターンでは、多色発光パッケージ21と、白色発光パッケージである特定色発光パッケージ22とが、千鳥状に交互に配置されている。多色発光パッケージ21は、赤色系LED素子と緑色系LED素子と青色系LED素子とをスイッチング可能に内蔵している(
図8では、記号「R/G/B」が付与されている)。もちろん、これらの3色のLED素子から選ばれた2つの異なる色のLED素子が内蔵されている多色発光パッケージ21を用いてもよい。ここでは、特定色発光パッケージ22として、白色発光パッケージが用いられている(
図8では、記号「W」が付与されている)。
【0041】
その他の基本パターンの一例では、少なくとも1つの行また列には多色発光パッケージ21だけが配置され、その他の位置には、種類の異なる特定色発光パッケージ22が混在配置されている。
【0042】
さらに特殊な実施形態では、
図3において点線で示されているように、LEDパッケージ群を構成しているLEDパッケージ20として、特殊発光パッケージ23が加えられてもよい。特殊発光パッケージ23には、紫外線を発光する紫外線発光パッケージと、赤外線を発光する赤外線発光パッケージとが、含まれている。これにより、照明ユニット4は、多色発光パッケージ21と特殊発光パッケージ23とを組み合わせた配置パターン、あるいは、多色発光パッケージ21と特定色発光パッケージ22と特殊発光パッケージ23とを組み合わせた配置パターンで構成することができる。例えば、
図8で示された配置パターンにおいて、白色発光パッケージに代えて、紫外線発光パッケージまたは赤外線発光パッケージが用いられてもよい。
【0043】
さらに、照明ユニット4は、LEDパッケージ群が検査領域IAにおける穀粒の通過幅を超える長さまで延びている。このため、穀粒の通過幅にほぼ相当する長さの中央領域とその両側に位置する端領域とで、LEDパッケージ20の配置パターンが異なる構成を採用してもよい。
【0044】
また、LEDパッケージ群の配置は、基本パターンを繰り返すような規則的な配置だけに限定されるわけではない。例えば、照明ユニット4において、端部側領域のおけるLEDパッケージ20の配置密度は、中央部側領域におけるLEDパッケージ20の配置密度よりも密に設定される構成を採用してもよい。また場合によっては、端部側領域のおけるLEDパッケージ20の配置密度が、中央部側領域におけるLEDパッケージ20の配置密度よりも租になるような構成を採用してもよい。さらには、全体として、配置密度が不均一な構成を採用してもよい。
【0045】
照明光と、選別すべき欠陥品との関係の一例を以下に説明する。例えば、未成熟玄米の検出の場合、強い赤色系照明光を作り出す配置パターンと発光パターンが選ばれ、玄米の欠陥(カメムシ被害など)の検出の場合、赤色系と緑色系との光度が強い照明光を作り出す配置パターンと発光パターンが選ばれる。その他、玄米の着色粒の検出には、緑色系または白色の光度が強い照明光を作り出す配置パターンと発光パターンが選ばれ、玄米の青米の検出には、赤色系の光度が強い照明光を作り出す配置パターンと発光パターンが選ばれる。また、紫外線(または赤外線)を当てると発光するような異物を検出する場合には、紫外線(または赤外線)を発光する特殊発光パッケージ23が高い比率で配置された配置パターンが採用される。
【0046】
以上に述べたような照明ユニット4で照明され、カメラユニット3で取得された通過穀粒の撮影画像は、
図3に示す制御装置6の判定部63での穀粒良否判定に用いられる。判定部63では、
図4で模式的に示されている撮影画像の各画素の値を、予め設定されている適正範囲に入っているかどうかチェックされる。その値が適正範囲にはいっていない画素があれば、異常画素と判定され、そのような異常画素が横方向及び縦方向で所定個だけ続いていれば、その穀粒が異常である判定される。選別制御部64は、異常と判定された穀粒が、空気吹き付け装置15の噴射ノズル15aの前を通過するタイミングで噴射ノズル15aから空気を噴射させて、穀粒を異常物回収部17に通じる経路に分岐させる。
【0047】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、行数が4行の行列配置で発光パッケージ群が配置されていたが、本発明の目的を逸脱しない範囲内において、4行以外の行数(1行リニアアレイも含む)でもよいし、長さは通過経路の幅によって任意に決定される。
(2)上述した実施形態では、粒状体として穀粒が取り扱われたが、この色彩選別機は、穀粒以外、樹脂ペレットなどの粒状体の選別にも利用可能である。
【0048】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、マトリックスリニアアレイ状の照明ユニットを用いた色彩選別機に適用可能である
【符号の説明】
【0050】
3 :カメラユニット
4 :照明ユニット
4A :制御回路
6 :制御装置
6A :手動操作具
20 :LEDパッケージ
21 :多色発光パッケージ
22 :特定色発光パッケージ
22a :単色発光パッケージ
22b :混合色発光パッケージ
23 :特殊発光パッケージ
60 :点灯パターン決定部
61 :照明制御部
IA :検査領域
Z :撮影領域