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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】バインダー系
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20240524BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20240524BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20240524BHJP
   B22C 1/10 20060101ALI20240524BHJP
   B22C 1/18 20060101ALI20240524BHJP
   B22C 1/22 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/18
B22C1/00 D
B22C1/00 B
B22C1/10 D
B22C1/18 Z
B22C1/22 P
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020530637
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018064429
(87)【国際公開番号】W WO2019113421
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】62/596,345
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398031330
【氏名又は名称】アイメリーズ ユーエスエー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】ラファイ,ビクター エス.
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-502797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0079366(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220316(US,A1)
【文献】特開2004-051918(JP,A)
【文献】特開2013-064069(JP,A)
【文献】特開平07-032083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
71/00- 71/04
B22C 1/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
褐炭と、少なくとも1種のケイ酸塩鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分であって、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、少なくとも3重量%のシリカ及び/又はアルミナを含む、第1の成分、ここで前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、ボールクレー、カオリンクレー、又はこれらの組み合わせを含む、と、
少なくとも1種のイソシアネートを含む第2の成分と、
少なくとも1種の触媒を含む第3の成分と、
を含むバインダー系。
【請求項2】
前記系の全重量に対して、前記第1の成分を5重量%~65重量%含む、請求項1に記載の系。
【請求項3】
前記第1の成分が、該第1の成分の全重量に対して、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物を少なくとも10重量%含む、請求項1に記載の系。
【請求項4】
前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、アルミナを少なくとも2重量%含む、請求項1に記載の系。
【請求項5】
前記第1の成分が、該第1の成分の全重量に対して、フミン酸を60重量%未満含む、請求項1に記載の系。
【請求項6】
前記第1の成分が、該第1の成分の全重量に対して、フミン酸を10重量%~30重量%含む、請求項5に記載の系。
【請求項7】
前記褐炭及び前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、天然鉱床から得られる、請求項1に記載の系。
【請求項8】
前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、カオリナイト、マイカ、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の系。
【請求項9】
前記第1の成分の強熱減量(LOI)値が、50%~70%の範囲である、請求項1に記載の系。
【請求項10】
前記系の全重量に対して、前記褐炭を5重量%~65重量%含む、請求項1に記載の系。
【請求項11】
前記系の全重量に対して、前記少なくとも1種のポリオールを1重量%~60重量%含む、請求項1に記載の系。
【請求項12】
前記少なくとも1種のポリオールが、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の系。
【請求項13】
前記第2の成分が、前記系の全重量に対して、前記少なくとも1種のイソシアネートを10重量%~80重量%含む、請求項1に記載の系。
【請求項14】
前記少なくとも1種のイソシアネートが、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリイソシアナトトリフェニルメタン、ビス(3,5-ジイソシアナト-2-メチルフェニル)メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(イソホロン)イソシアネート、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の系。
【請求項15】
前記少なくとも1種の触媒が、3級アミンを含む、請求項1に記載の系。
【請求項16】
前記少なくとも1種の触媒が、フェニルピリジン、ピリジン、アクリジン、2-メトキシピリジン、ピリダジン、3-クロロピリジン、キノリン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、4,4’-ジピリジン、4-フェニルプロピルピリジン、1-メチルベンズイミダゾール、1,4-チアジン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の系。
【請求項17】
前記少なくとも1種の触媒が気体を含む、請求項1に記載の系。
【請求項18】
前記少なくとも1種の触媒が液体を含む、請求項1に記載の系。
【請求項19】
前記第1の成分と、前記第2の成分と、前記第3の成分とが重合可能である、請求項1に記載の系。
【請求項20】
フェノール、ホルムアルデヒド、又はフェノール及びホルムアルデヒドの両方を実質的に含まない、請求項1に記載の系。
【請求項21】
褐炭と、少なくとも1種のケイ酸塩鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分であって、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、少なくとも3重量%のシリカ及び/又はアルミナを含む、第1の成分、ここで前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、ボールクレー、カオリンクレー、又はこれらの組み合わせを含む、と、
少なくとも1種のイソシアネートを含む第2の成分と、
骨材と、
を混ぜ合わせることにより、混合物を準備することと、
前記混合物を、少なくとも1種の触媒を含む第3の成分と接触させることと、
前記少なくとも1種の触媒によって、前記混合物を硬化させることと、
を含む、鋳型を作製する方法。
【請求項22】
前記褐炭及び前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、天然鉱床から得られる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
褐炭の天然源に前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物を添加することにより前記第1の成分を準備する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記骨材が砂を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物を前記第3の成分と接触させる前に、前記混合物を中子形状に成形することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種の触媒が気体であり、前記混合物を前記第3の成分と接触させることが、前記気体を前記中子形状に通過させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の触媒が液体である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記混合物を前記第3の成分と接触させた後、かつ前記混合物を硬化させる前に、前記混合物を主型形状に成形することを更に含む、請求項27に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本PCT国際出願は、2017年12月8日付けで出願された米国仮特許出願第62/596,345号の優先権の利益を主張し、その主題は、引用することによりその全体が本出願の一部をなす。
【0002】
本開示の実施の形態は、概して、例えば、鋳型を作製するためのバインダー系、及び鋳型の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鋳造は、加熱液体材料、多くの場合金属又は金属合金を、鋳型(例えば、主型の空洞部又は中子の周囲)に流し込み、鋳型の形状で冷却して鋳物を製造する鋳造方法である。次いで、鋳造した金属鋳物を取り出す。鋳型は、典型的には、鋳造用混合物、例えば、骨材とバインダーとの混合物から形成され、次いで、硬化される。
【0004】
バインダー系は、健康を害し得る有機溶媒を含有することが多い。このような有機溶媒としては、ホルムアルデヒド及び/又はフェノールを含み得るが、これらは幾つかの用途においては望ましくないことがある。また、砂等の骨材と混合して鋳造用混合物を形成する場合、バインダー系の成分は、硬化より前に早期に反応する可能性がある。この反応によって、主型及び中子の形状に鋳造用混合物を成形する能力を損なうことがある。さらに、バインダー系のこれらの不利点によって、鋳型の強度が不十分となり、鋳造品の品質が悪くなる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、鋳型を作製するためのバインダー系を含む。幾つかの例によれば、バインダー系は、褐炭と、少なくとも1種のケイ酸塩鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分であって、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、シリカを少なくとも5重量%含み得る、第1の成分と、少なくとも1種のイソシアネートを含む第2の成分と、少なくとも1種の触媒を含む第3の成分とを含み得る。幾つかの場合、バインダー系は、該系の全重量に対して、前記第1の成分を約5重量%~約65重量%含み得る。少なくとも1つの例において、前記褐炭及び前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物は、天然鉱床から得られ得る。少なくとも1つの例において、前記第1の成分の強熱減量(LOI)値は、約50%~約70%の範囲であり得る。幾つかの例において、前記第1の成分と、前記第2の成分と、前記第3の成分とが重合可能であり得る。少なくとも1つの例において、バインダー系は、フェノール、ホルムアルデヒド、又はフェノール及びホルムアルデヒドの両方を実質的に含まないことがある。
【0006】
幾つかの例において、前記第1の成分は、該第1の成分の全重量に対して、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物を少なくとも10重量%含み得る。例えば、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物は、前記第1の成分の全重量に対して、アルミナを少なくとも2重量%含み得る。幾つかの例において、前記第1の成分は、該第1の成分の全重量に対して、フミン酸を60重量%未満含み得る。幾つかの例において、前記第1の成分は、該第1の成分の全重量に対して、フミン酸を約10重量%~約30重量%含み得る。幾つかの場合、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物は、カオリナイト、マイカ、又はこれらの組み合わせを更に含み得る。幾つかの例において、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物は、ボールクレー、カオリンクレー、又はこれらの組み合わせを含み得る。幾つかの例において、バインダー系は、該系の全重量に対して、前記褐炭を約5重量%~約65重量%含み得る。
【0007】
本開示の幾つかの態様によれば、バインダー系は、該系の全重量に対して、前記少なくとも1種のポリオールを約1重量%~約60重量%含み得る。例えば、前記少なくとも1種のポリオールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0008】
幾つかの例において、前記バインダー系における第2の成分は、該系の全重量に対して、前記少なくとも1種のイソシアネートを約10重量%~約80重量%含み得る。幾つかの場合、前記第2の成分における少なくとも1種のイソシアネートは、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリイソシアナトトリフェニルメタン、ビス(3,5-ジイソシアナト-2-メチルフェニル)メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(イソホロン)イソシアネート、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0009】
本開示の幾つかの態様によれば、前記少なくとも1種の触媒は、3級アミンを含み得る。代替的又は追加的には、前記少なくとも1種の触媒は、フェニルピリジン、ピリジン、アクリジン、2-メトキシピリジン、ピリダジン、3-クロロピリジン、キノリン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、4,4’-ジピリジン、4-フェニルプロピルピリジン、1-メチルベンズイミダゾール、1,4-チアジン、又はこれらの組み合わせを含み得る。幾つかの場合、前記少なくとも1種の触媒は気体を含み得る。代替的又は追加的には、前記少なくとも1種の触媒は液体を含み得る。
【0010】
本明細書では、鋳型の作製方法を更に開示する。例えば、この方法は、(1)褐炭と、少なくとも1種のケイ酸塩鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分であって、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、シリカを少なくとも5重量%含み得る、第1の成分と、(2)少なくとも1種のイソシアネートを含む第2の成分と、(3)骨材とを混ぜ合わせることにより、混合物を準備することと、前記混合物を、少なくとも1種の触媒を含む第3の成分と接触させることと、前記少なくとも1種の触媒によって、前記混合物を硬化させることとを含み得る。少なくとも1つの例において、前記骨材は砂を含み得る。幾つかの場合、前記褐炭及び前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物は、天然鉱床から得られ得る。例えば、前記天然鉱床は、ボールクレー鉱床又はカオリンクレー鉱床であり得る。幾つかの例において、褐炭の天然源に前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物を添加することにより前記第1の成分を準備してもよい。
【0011】
本開示の幾つかの態様によれば、この方法は、前記混合物を前記第3の成分と接触させる前に、前記混合物を中子形状に成形することを更に含み得る。幾つかの例において、前記少なくとも1種の触媒は気体であり得て、前記混合物を前記第3の成分と接触させることは、前記気体を前記中子形状に通過させることを含み得る。代替的又は追加的には、前記少なくとも1種の触媒は液体であり得る。これらの場合、この方法は、前記混合物を前記第3の成分と接触させた後、かつ前記混合物を硬化させる前に、前記混合物を主型形状に成形することを更に含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の特定の態様を、以下でより詳細に記載する。引用することにより本出願の一部をなす用語及び/又は定義と矛盾する場合には、本明細書に示される用語及び定義を優先する。
【0013】
本明細書で使用される場合に、用語「含む("comprises," "comprising,")」、又はこれらの他のいかなる変形語も、非排他的な包括を範囲に含むものと解釈されるため、要素の列挙を含むプロセス、方法、組成物、物品、又は装置は、これらの要素だけを含むものではなく、そのようなプロセス、方法、組成物、物品、又は装置に表現上列挙されていない他の要素又はそれらに固有の要素も含み得る。用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。
【0014】
本明細書で使用される場合に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に特段の記載がない限り、複数形の指示対象を含む。用語「ほぼ」及び「約」は、参照された数又は値とほとんど同じであることを指す。本明細書で使用される場合に、用語「ほぼ」及び「約」は、具体的な量又は値の±5%を含むと理解されるべきである。
【0015】
本開示は、例えば、鋳型を作製するためのバインダー系を含む。バインダー系は、2つ以上の成分の組み合わせを含み得る。本明細書では、バインダー系は、例えば、褐炭及び1種以上の鉱物及び/又はポリオールを含む第1の成分、1種以上のイソシアネートを含む第2の成分、及び/又は1種以上の触媒を含む第3の成分を含み得る。このようなバインダー系は、主型及び中子等の鋳型を製造するのに使用することができる。
【0016】
本明細書では、バインダー系は1つ以上の成分を含むことができる。本開示の幾つかの態様によると、バインダー系における上記1つ以上の成分は、例えば、他の成分と混ぜ合わせた時に重合可能であってもよい。幾つかの例においては、バインダー系は、ホルムアルデヒド、フェノール、及び/又は芳香族溶媒を含む他の有機溶媒等の有機溶媒を実質的に含まないこととすることができる。例えば、バインダー系は、ホルムアルデヒドを0.01重量%未満及び/又はフェノールを0.01重量%未満含む。幾つかの例においては、バインダー系は、ホルムアルデヒド及びフェノールを含まない。幾つかの例においては、環境負荷が低くなるように、バインダー系は揮発性有機化合物を含まない。
【0017】
本開示の幾つかの態様によると、バインダー系は、ヒドロキシル官能基等の重合性官能基を有する少なくとも1つの材料を含む第1の成分を含む。この重合性材料(複数の場合もある)としては、例えば、フミン質、一価アルコール(例えば、メタノール及びエタノール等の脂肪族アルコール)及び/又はポリオールを含み得る。
【0018】
本明細書では、フミン質としては、フミン酸、フルボ酸、ヒューミン、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。フミン酸は、重合に十分なヒドロキシル含量を有し得る。幾つかの例においては、フミン酸は、強塩基(例えば、NaOH又はKOH)を用いて、土壌及び他の固相源から抽出することができる。フミン酸は、低pH(例えば、pH値約1)では不溶性であり、強酸を添加することによって沈澱させることができる。少なくとも1つの例においては、塩化水素(HCl)でpHを約1に調節することによって、フミン酸を沈澱させることができる。
【0019】
フミン質は、様々な有機準鉱物源及び/又は有機鉱物源に由来し得る。少なくとも1つの例においては、フミン質は、褐炭及び/又はレオナルダイトを含む。褐炭は、通常、自然に圧縮された泥炭から形成される燃焼性の褐色の準鉱物である。褐炭は、例えば、超高圧下で腐朽させた木材に由来し得る。本明細書では、バインダー系に適した褐炭としては、以下に挙げる化合物の不均質混合物を含み得る。この化合物としては、酸化褐炭(例えば、レオナルダイト)、鉱山リグニン(mine lignin)、亜炭、スラック褐炭(例えば、部分酸化褐炭)、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。幾つかの例においては、褐炭は、黒褐色で、例えば約66%にもなる高い固有水分含量を有し、瀝青炭に比べて高い灰分率を有する亜炭を含み得る。幾つかの例においては、フミン質は、褐炭の酸化形態であり、例えば、石膏及び石英等の様々な鉱物と混合したフミン酸を含むレオナルダイトを含み得る。幾つかの例においては、第1の成分は、褐炭又はレオナルダイト以外のフミン質を含み得る。
【0020】
本明細書では、バインダー系は、硬化に適したレベルでフミン酸を含み得る。幾つかの例においては、バインダー系の第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、又は10重量%未満のフミン酸を含む。幾つかの例においては、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、約1重量%~約80重量%のフミン酸、例えば、約1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%、又は約10重量%~約20重量%のフミン酸を含む。
【0021】
少なくとも1つの例においては、第1の成分は、褐炭の全重量に対して、約5重量%~約50重量%のフミン酸、例えば、約10重量%~約45重量%又は約10重量%~約30重量%のフミン酸を含有する褐炭を含む。少なくとも1つの例においては、第1の成分は、褐炭の全重量に対して、約15重量%~約25重量%のフミン酸を含む褐炭を含み得る。
【0022】
フミン質(例えば、褐炭)におけるフミン酸の量は、カリフォルニア食品農業省(CDFA)法又はLamarらによる方法(J. AOAC Int., vol. 97, pp. 721-730, 2014)に従って測定することができる。
【0023】
幾つかの例においては、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約1重量%~約80重量%の褐炭を含み得る。例えば、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約65重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約1重量%~約20重量%、約10重量%~約30重量%、約20重量%~約40重量%、約30重量%~約50重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約70重量%、又は約60重量%~約80重量%の褐炭を含み得る。
【0024】
本明細書では、第1の成分は、1種以上の鉱物、例えば、カオリン質クレー(例えば、ボールクレー、カオリンクレー等)等の天然クレーに存在する1種以上の鉱物を更に含み得る。本明細書中のバインダー系に適した鉱物の例としては、シリカ(例えば、石英)、アルミナ、カオリナイト、マイカ、酸化鉄(III)、酸化鉄(II)、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
幾つかの例においては、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%の鉱物(複数の場合もある)を含み得る。例えば、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、約1重量%~約50重量%、例えば、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、約20重量%~約30重量%、約25重量%~約35重量%、又は約30重量%~約40重量%の鉱物(複数の場合もある)を含み得る。
【0026】
本開示の幾つかの態様によると、鉱物(複数の場合もある)は、シリカ及び/又はアルミナを含む。例えば、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、少なくとも1重量%のシリカ、例えば、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも8重量%、少なくとも9重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%のシリカを含み得る。例えば、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、約1重量%~約60重量%のシリカ、例えば、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約15重量%、約7重量%~約18重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、約20重量%~約30重量%、約25重量%~約35重量%、又は約30重量%~約40重量%のシリカを含み得る。
【0027】
代替的又は追加的には、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、少なくとも1重量%のアルミナ、例えば、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも8重量%、少なくとも9重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%のアルミナを含み得る。例えば、第1の成分は、第1の成分の全重量に対して、約1重量%~約50重量%のアルミナ、例えば、約2重量%~約10重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%~約30重量%のアルミナを含み得る。
【0028】
幾つかの例においては、第1の成分のフミン質(複数の場合もある)及び鉱物(複数の場合もある)は、同じ天然源、例えば、同じ天然褐炭鉱床又は天然鉱床から得られ得る。例えば、第1の成分は、褐炭及び粘土鉱物の両方を含有する天然鉱床から得られた褐炭及び鉱物を含み得る。例えば、褐炭鉱床は、ボールクレー鉱床又はカオリンクレー鉱床等の天然鉱床に隣接するか、上にあるか、又は下にあることがある。天然鉱床の強熱減量(LOI)値は、その鉱床に存在する有機材料の量の指標を提供し得る。LOI値とは、高温で加熱する(材料を燃やす)前後での材料の重量差を指す。幾つかの例においては、天然鉱床は、約30%~約90%の範囲、例えば、約40%~約80%、約50%~約70%、約40%~約60%、又は約60%~約80%の範囲のLOI値を有し得る。少なくとも1つの例においては、第1の成分は、褐炭を含有し、約50%~約70%の範囲のLOI値を有する天然鉱床を含む。
【0029】
代替的又は追加的には、第1の成分のフミン質(複数の場合もある)及び鉱物(複数の場合もある)は、異なる源、例えば、異なる天然鉱床から得られ得る。例えば、カオリン鉱床から得られた鉱物(複数の場合もある)を、別に得られた褐炭と混合してもよい。
【0030】
幾つかの態様によると、鉱物成分が存在することで、分散剤を添加しなくても、フミン質(複数の場合もある)及び/又は褐炭の水性懸濁液を安定化することができる。このような懸濁液は、低い鉱物含量を有する他のフミン質(複数の場合もある)及び/又は褐炭に由来する懸濁液、例えば、石炭鉱床と関係する褐炭鉱床に由来する懸濁液よりも高い安定性を有することができる。
【0031】
本開示の幾つかの態様によると、第1の成分は、1種以上のポリオールを更に含む。用語「ポリオール」は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物を指す。この1種以上のポリオールは、フミン質(複数の場合もある)中に存在してもよく(例えば、褐炭に含まれるフミン酸のポリオール成分)、及び/又は、別の化合物であってもよい。
【0032】
本明細書中のバインダー系に適したポリオールの例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書では、バインダー系は、1種以上の溶媒を更に含み得る。幾つかの例においては、第1の成分は、バインダー系における他の成分と反応し得る少なくとも1種の溶媒を含み得る。例示的な溶媒としては、数ある考えられる溶媒のうち、アルコール(非褐炭ポリオールを含む)、プロピレンカーボネート、及びブチレンカーボネートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本開示の幾つかの態様によると、バインダー系は、少なくとも1種のフミン質(例えば、褐炭)と、少なくとも1種の鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分を、バインダー系の全重量に対して、約1重量%~約80重量%、例えば、約1重量%~約70重量%、約5重量%~約65重量%、約5重量%~約25重量%、約20重量%~約40重量%、約35重量%~約55重量%、又は約50重量%~約70重量%含み得る。
【0035】
少なくとも1つの実施例においては、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約5重量%~約75重量%の褐炭、例えば、約5重量%~約65重量%、約10重量%~約60重量%、又は約15重量%~約55重量%の褐炭を含む。少なくとも1つの例においては、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約5重量%~約65重量%の褐炭を含む。追加的又は代替的には、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して約1重量%~約70重量%のポリオール(複数の場合もある)、例えば、バインダー系の全重量に対して、約1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約20重量%、約10重量%~約30重量%、約20重量%~約40重量%、約30重量%~約50重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約70重量%、又は約60重量%~約80重量%のポリオール(複数の場合もある)を含み得る。少なくとも1つの例においては、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約1重量%~約60重量%のポリオール(複数の場合もある)を含む。
【0036】
本明細書では、バインダー系は、例えば、バインダー系における他の成分において、少なくとも1種のイソシアネートを更に含み得る。イソシアネート(複数の場合もある)は、ポリウレタン化学構造において、好適な構成要素として働き得る。好適なイソシアネートとしては、1分子当たり少なくとも2つの活性イソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環式ポリイソシアネートが含まれる。本開示の幾つかの態様によると、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約1重量%~約90重量%の少なくとも1種のイソシアネート、例えば、約10重量%~約80重量%、約20重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約1重量%~約30重量%、約20重量%~約50重量%、約40重量%~約70重量%、又は約60重量%~約90重量%のイソシアネート(複数の場合もある)を含み得る。
【0037】
本明細書中のバインダー系に適したイソシアネートの例としては、市販のジフェニルメタンジイソシアネートベースのポリイソシアネートである「Mondur 541」(Covestro AG製)、ジフェニルメタンジイソシアネートベースの水相溶性のポリイソシアネートであるRubinate(商標) 1780(Huntsman International製)、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、メチレンジフェニルジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4-メチレンジフェニルジイソシアネート、及び2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート)、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリイソシアナトトリフェニルメタン、ビス(3,5-ジイソシアナト-2-メチルフェニル)メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(イソホロン)イソシアネート、これらの任意の誘導体、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。イソシアネート(複数の場合もある)としては、ベースポリイソシアネートを、二量化又は三量化により改質することにより製造した誘導体を含み得る。例えば、このような誘導体としては、カルボジイミド、ウレトジオン、ビウレット、アロファン酸塩、及びこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書では、バインダー系は、例えば、バインダー系の他の成分において、少なくとも1種の触媒を更に含み得る。幾つかの例においては、触媒(複数の場合もある)は気体を含み得る。代替的又は追加的には、触媒(複数の場合もある)は液体を含み得る。触媒は、例えば、鋳造用途における使用において、バインダー系の硬化を容易にすることができる。
【0039】
本開示の幾つかの態様によると、触媒(複数の場合もある)はアミンを含み得る。少なくとも1つの例においては、触媒(複数の場合もある)は3級アミンを含み得る。幾つかの例においては、触媒(複数の場合もある)は液状アミンを含み得る。本明細書で使用するのに適した液状アミン触媒は、約7~約11の範囲のpK値を有する塩基とすることができる。本明細書中で使用する用語「液状アミン」は、周辺温度で液状のアミン、又は適切な溶媒に溶解した固体状又は気体状のアミンを含むことを意味する。pK値は、塩基の解離定数の負の対数とすることができ、塩基性材料の塩基性度の指標である。この数値が高くなる程、塩基は弱くなる。この範囲のpK値を有する塩基は、通常、1つ以上の窒素原子を含有する有機化合物である。触媒の例としては、アルキル基が1個~4個の炭素原子を有する4-アルキルピリジン、イソキノリン、フェニルピリジン等のアリールピリジン、ピリジン、アクリジン、2-メトキシピリジン、ピリダジン、3-クロロピリジン、キノリン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、4,4’-ジピリジン、4-フェニルプロピルピリジン、1-メチルベンズイミダゾール、及び1,4-チアジンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。幾つかの例では、液状の3級アミン触媒は、例えば、トリス(3-ジメチルアミノ)プロピルアミン等の脂肪族3級アミンであり得る。
【0040】
様々な触媒活性及び様々な所望の触媒効果を考慮して、バインダー系における触媒濃度を変化させることができる。通常、触媒のpK値が低くなる程、組成物の作業時間は短くなり、より早く、より完全に硬化する。本明細書で使用する「作業時間」とは、ポリイソシアネートと、褐炭と、触媒(複数の場合もある)とを混合してから、鋳造形状が、ミシガン州、デトロイトのHarry W. Dieter社から販売されているグリーン硬度「B」スケールゲージで45のレベルに達する時間までの時間間隔を指す。
【0041】
本明細書の幾つかの例によると、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して約0.1重量%~約99重量%の少なくとも1種の触媒、例えば、バインダー系の全重量に対して、約0.1重量%~約95重量%、約0.1重量%~約90重量%、約0.2重量%~約80重量%、約0.1重量%~約20重量%、約1重量%~約30重量%、約10重量%~約40重量%、約20重量%~約50重量%、約30重量%~約60重量%、約40重量%~約70重量%、約50重量%~約80重量%、約60重量%~約90重量%、又は約70重量%~約99重量%の少なくとも1種の触媒を含み得る。
【0042】
幾つかの例においては、触媒(複数の場合もある)の量を調節して、鋳造用混合物の作業時間を約1分~約30分、例えば、約2分~20分、約1分~約10分、約4分~約10分、約5分~約15分、約10分~約20分、約15分~約25分、又は約20分~約30分の範囲とすることができる。
【0043】
代替的又は追加的には、触媒(複数の場合もある)の量を調節して、ストリップ時間を約1分~約30分、例えば、約2分~20分、約1分~約10分、約4分~約10分、約5分~約15分、約10分~約20分、約15分~約25分、又は約20分~約30分の範囲とすることができる。本明細書で使用する「ストリップ時間」とは、イソシアネート(複数の場合もある)と、ポリオール(複数の場合もある)と、触媒(複数の場合もある)とを混合してから、鋳型が、グリーン硬度「B」スケールゲージで90のレベルに達する時間までの時間間隔を指す。
【0044】
上述の通り、バインダー系は、1種以上の溶媒を更に含み得る。例えば、バインダー系は、アルコール及び非褐炭ポリオール等の、イソシアネートと反応可能な1種以上の溶媒を含み得る。代替的又は追加的には、バインダー系は、イソシアネートと反応性のない1種以上の溶媒を含み得る。そのような溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
代替的又は追加的には、バインダー系は、1種以上の非フミン質を含み得る。非フミン質としては、本明細書に記載の非フミン質ポリオールを含み得る。非フミン質は、ポリオールではない他の分子も含み得る。幾つかの例においては、バインダー系は、バインダー系の全重量に対して、約1重量%~約80重量%、例えば、約1重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約25重量%の非フミン質を含み得る。
【0046】
本明細書では、例えば、上述の1つ以上の成分と、骨材等のフィラー、例えば、砂とを含む鋳造用混合物から鋳型を作製する方法を更に開示する。通常、バインダー系の成分とフィラー(複数の場合もある)とは、ミキサー、例えば、高速連続ミキサーで混合することができる。次いで、得られた混合物を、型に入れ、周辺温度で硬化させることができる。硬化後、自己支持性の鋳型を型から取り出すことができる。鋳型、例えば、主型半体及び/又は中子を組み立てて、溶融金属を注入し得る完全な鋳型を得ることができる。冷却すると、鋳型の形状を有する金属鋳造品を製造することができる。
【0047】
幾つかの例においては、鋳型の作製方法は、例えば、バインダー系を作製するために、1つ以上の成分を混合することによって混合物を作製することを含み得る。この方法は、混合物を、鋳型を作製するための主型の形状に成形することを更に含み得る。混合物は、本明細書に記載の第1の成分とイソシアネート(複数の場合もある)とを混ぜ合わせることにより形成することができる。幾つかの例においては、第1の成分は、褐炭に1種以上の鉱物を添加するか、又は褐炭及び1種以上の鉱物の両方を含むサンプルを(例えば、天然鉱床から)得て、任意で、褐炭中に存在するポリオール以外の1種以上のポリオールを添加することによって作製することができる。
【0048】
バインダー系の1つ以上の成分(例えば、第1の成分及びイソシアネート(複数の場合もある)を含む第2の成分)は、1種以上のフィラーと更に混ぜ合わせることができる。フィラー(複数の場合もある)は、鋳型を作製するのに適した性質であればいかなる性質、例えば、サイズ、形状、及び/又は物理化学的性質も有することができる。フィラーの例としては、例えば、有機材料(例えば、木材、セルロース)又は無機材料(例えば、セラミック、シリカ、ガラス、鉱物)から形成される粉末状材料、顆粒状材料、粒子状材料、繊維状材料、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
幾つかの例においては、フィラー(複数の場合もある)は、1種以上の骨材を含み得る。骨材(複数の場合もある)は、所望の作業時間及び/又はストリップ時間、例えば、約3分~約10分の範囲の作業時間及び4分~約12分の範囲のストリップ時間の後に、有効な鋳造形状が得られるように、十分に乾燥してもよい。少なくとも1つの例においては、骨材(複数の場合もある)は砂を含み、この砂は天然であっても、合成であってもよい。砂の例示的な種類としては、シリカ砂、湖砂、クロマイト砂、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。幾つかの例においては、砂は、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%のシリカを含み得る。他の好適な骨材としては、ジルコン、カンラン石、アルミノシリケート、ムライト、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本開示の幾つかの態様によると、バインダー系の量は、骨材(複数の場合もある)の約10重量%以下、例えば、骨材(複数の場合もある)の重量に対して、約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、約0.5重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、約1重量%~約2重量%、約1.5重量%~約2.5重量%、約2重量%~約3重量%、約2.5重量%~約3.5重量%、約3重量%~約4重量%、約3.5重量%~約4.5重量%、約4重量%~約5重量%、約5重量%~約7重量%、又は約6重量%~約8重量%とすることができる。
【0051】
鋳型の作製方法は、バインダー系の粘度を調節すること(例えば、本明細書に記載の1種以上の溶媒を使用すること)を更に含み得る。例えば、バインダー系の粘度は、骨材(複数の場合もある)に合うように調節することができる。幾つかの例においては、この方法は、約50センチポアズ(cP)~約400cP、約100cP~約300cP、約50cP~約150cP、約200cP~約300cP、約250cP~約350cP、又は約300cP~約400cPの範囲にバインダー系の粘度を調節することを含み得る。
【0052】
本明細書の方法は、混合物(少なくとも褐炭又は他のフミン質と、1種以上の鉱物(複数の場合もある)とを含む)を、1種以上の触媒を含む成分と接触させ、触媒(複数の場合もある)によって混合物を硬化することを更に含み得る。本開示の幾つかの態様によると、バインダー系は、第1の成分(例えば、第1のパッケージにおいて提供され得る)、イソシアネート(複数の場合もある)を含む第2の成分(例えば、第2のパッケージにおいて提供され得る)、及び触媒(複数の場合もある)を含む第3の成分(例えば、第3のパッケージにおいて提供され得る)の3部構成系として利用され得る。鋳型を作製する場合には、まず、バインダー系の成分を混ぜ合わせ、次いで、骨材(複数の場合もある)と混合することができる。代替的には、バインダー系の1つ以上の成分を、骨材(複数の場合もある)と順次混合してもよい。幾つかの例においては、まず、第1の成分及びイソシアネート(複数の場合もある)を、骨材(複数の場合もある)と混合し、次いで、触媒成分を添加することができる。混合物は、他の成分、例えば、酸化鉄、粉砕亜麻繊維、木材、穀物、ピッチ、耐火物粉末、又はこれらの任意の組み合わせを含有し得る。
【0053】
本明細書のバインダー系及び方法を使用して、「コールドボックス」法又は「ノーベーク」法を含む鋳造用骨材に適した方法であればいかなる方法によっても、鋳型(例えば、主型及び/又は中子)を作製することができる。コールドボックス法では、圧縮成形した混合物に気体状の硬化剤を通過させて、硬化主型及び/又は硬化中子を製造する。ノーベーク法では、液状3級アミン等の液体触媒を使用することができる。
【0054】
幾つかの例においては、鋳型の作製方法はコールドボックス法で行うことができる。コールドボックス法は、(1)本明細書に記載のバインダー系を形成するのに必要な成分を準備すること、(2)上記成分を骨材と混合し、次いで、混合物を型における所望の中子及び/又は主型に成形すること、(3)成形した混合物を、触媒(例えば、気体状の3級アミン触媒)と接触させることにより硬化させること、及び(4)工程(3)の硬化物を型から取り出すことの1つ以上を含み得る。
【0055】
幾つかの例においては、コールドボックス法においては、硬化プロセスは、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす米国特許第3,409,579号に記載されるように、成形した混合物に1種以上の触媒(例えば、3級アミンガス)を通過させることにより行うことができる。ガス処理時間は中子の重量及び形状に左右され得るが、約0.5秒~約30秒の範囲とすることができる。パージ時間は中子の重量及び形状に左右され得るが、約1秒~約60秒の範囲とすることができる。
【0056】
金属鋳造は、バインダー系と骨材(複数の場合もある)とから形成された主型及び/又は中子の組立体内及びその周辺に溶融金属を流し込むことにより行うことができる。また、本開示は、コールドボックス法を用いた金属の鋳造方法も含む。この方法は、(1)本明細書に記載の鋳造用中子及び/又は主型を準備することと、(2)液体状態の金属を準備し、中子又は主型の内部及びその周辺に流し込むことと、(3)金属を冷却し、固化することと、(4)成形した鋳物を中子又は主型から分離することとを含み得る。
【0057】
代替的又は追加的には、鋳型の作製方法は、ノーベーク法を含み得る。ノーベーク法を用いた鋳型の作製方法は、(1)少なくとも、第1の成分と、イソシアネート(複数の場合もある)と、任意の溶媒とを共に組成物において混合することと、(2)任意の好適な方法及び時間で液体触媒を添加すること(例えば、バインダー系を骨材と接触させる前、接触する際、及び/又は接触させた後に、バインダー系の1つ以上の成分に触媒を添加するか、又は成分の組み合わせに触媒を添加すること)と、(3)バインダー系の成分を骨材と混合し、次いで、混合物を、型における所望の中子及び/又は主型に成形し、硬化させることと、(4)工程(3)の成形混合物を型から取り出すこととを含み得る。
【0058】
本開示の幾つかの態様によると、鋳型の作製方法は、1種以上の添加剤をバインダー系に添加することを更に含み得る。このような添加剤は、鋳物品質を向上させ得る。添加剤の例としては、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、クレー、木粉、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤としては、鋳型の引張強度を高め、耐湿性を向上させる接着促進剤を含むこともできる。例示的な接着促進剤としては、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン及びγ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤としては、鋳型を型から取り出すのを容易にする離型剤も含むことができる。例示的な離型剤としては、グリセロールトリオレエート、オレイン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。幾つかの例においては、例えば、腐食を低減し、鋳物仕上げを向上させるために、中子及び/又は主型にコーティングを適用してもよい。
【0059】
本明細書の方法は、鋳型の可使時間を延長することを更に含み得る。可使時間とは、鋳型を形成してから、その鋳型が主型及び中子としてもはや使い物にならなくなるか、又は許容できなくなる時間までの時間間隔を指す。引張強度は、鋳型の有用性並びに主型及び中子の許容性の指標を提供する。鋳型を、可使時間が終了した後に使用すると、得られる鋳物の品質が低下し得る。幾つかの例においては、鋳型の可使時間を延長する方法は、バインダー系に1種以上の化合物を添加することを含み得る。このような化合物の例としては、有機リン含有化合物及び/又は無機リン含有化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本開示の幾つかの態様によると、バインダー系は、様々な方法で使用することができる。例えば、フェノール樹脂(例えば、ウレタン)系の代替物としてバインダー系を使用することができる。幾つかの例においては、バインダー系は、成形化合物、保護被膜、結合樹脂又は接着樹脂(例えば、積層において使用するための)、被覆研磨材又は結合研磨材、摩擦材料、絶縁材料、合板製造、及び繊維状木材又は粒状木材として使用することができる。
【0061】
本開示の態様を、以下の番号付けされた例示的な項(paragraphs)を参照することにより更に説明する。
【0062】
1.褐炭と、少なくとも1種のケイ酸塩鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分であって、前記少なくとも1種の鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、シリカを少なくとも5重量%含む、第1の成分と、
少なくとも1種のイソシアネートを含む第2の成分と、
少なくとも1種の触媒を含む第3の成分と、
を含むバインダー系。
【0063】
2.前記系の全重量に対して、前記第1の成分を約5重量%~約65重量%含む、項1に記載のバインダー系。
【0064】
3.前記第1の成分が、該第1の成分の全重量に対して、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物を少なくとも10重量%含む、項1又は項2に記載のバインダー系。
【0065】
4.前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、アルミナを少なくとも2重量%含む、項1~項3のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0066】
5.前記第1の成分が、該第1の成分の全重量に対して、フミン酸を60重量%未満含む、項1~項4のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0067】
6.前記第1の成分は、該第1の成分の全重量に対して、フミン酸を約10重量%~約30重量%含む、項5に記載のバインダー系。
【0068】
7.前記褐炭及び前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、天然鉱床から得られる、項1~項6のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0069】
8.前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、カオリナイト、マイカ、又はこれらの組み合わせを更に含む、項1~項7のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0070】
9.前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、ボールクレー、カオリンクレー、又はこれらの組み合わせを含む、項1~項8のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0071】
10.前記第1の成分の強熱減量(LOI)値が、約50%~約70%の範囲である、項1~項9のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0072】
11.前記系の全重量に対して、前記褐炭を約5重量%~約65重量%含む、項1~項10のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0073】
12.前記系の全重量に対して、前記少なくとも1種のポリオールを約1重量%~約60重量%含む、項1~項11のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0074】
13.前記少なくとも1種のポリオールが、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、又はこれらの組み合わせを含む、項1~項12のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0075】
14.前記第2の成分が、前記系の全重量に対して、前記少なくとも1種のイソシアネートを約10重量%~約80重量%含む、項1~項13のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0076】
15.前記少なくとも1種のイソシアネートが、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリイソシアナトトリフェニルメタン、ビス(3,5-ジイソシアナト-2-メチルフェニル)メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(イソホロン)イソシアネート、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含む、項1~項14のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0077】
16.前記少なくとも1種の触媒が、3級アミンを含む、項1~項15のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0078】
17.前記少なくとも1種の触媒が、フェニルピリジン、ピリジン、アクリジン、2-メトキシピリジン、ピリダジン、3-クロロピリジン、キノリン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、4,4’-ジピリジン、4-フェニルプロピルピリジン、1-メチルベンズイミダゾール、1,4-チアジン、又はこれらの組み合わせを含む、項1~項16のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0079】
18.前記少なくとも1種の触媒が気体を含む、項1~項17のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0080】
19.前記少なくとも1種の触媒が液体を含む、項1~項17のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0081】
20.前記第1の成分と、前記第2の成分と、前記第3の成分とが重合可能である、項1~項19のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0082】
21.フェノール、ホルムアルデヒド、又はフェノール及びホルムアルデヒドの両方を実質的に含まない、項1~項20のいずれか1つに記載のバインダー系。
【0083】
22.項1~項21のいずれか1つに記載のバインダー系を含む鋳型。
【0084】
23.項1~項21のいずれか1つに記載のバインダー系を使用する鋳型の作製方法。
【0085】
24.(1)褐炭と、少なくとも1種のケイ酸塩鉱物と、少なくとも1種のポリオールとを含む第1の成分であって、前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、前記第1の成分の全重量に対して、シリカを少なくとも5重量%含む、第1の成分と、
(2)少なくとも1種のイソシアネートを含む第2の成分と、
(3)骨材と、
を混ぜ合わせることにより、混合物を準備することと、
前記混合物を、少なくとも1種の触媒を含む第3の成分と接触させることと、
前記少なくとも1種の触媒によって、前記混合物を硬化させることと、
を含む、鋳型を作製する方法。
【0086】
25.前記褐炭及び前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物が、天然鉱床から得られる、項24に記載の方法。
【0087】
26.前記天然鉱床が、ボールクレー鉱床又はカオリンクレー鉱床である、項24又は項25に記載の方法。
【0088】
27.褐炭の天然源に前記少なくとも1種のケイ酸塩鉱物を添加することにより前記第1の成分を準備する、項24~項26のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
28.前記骨材が砂を含む、項24~項27のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
29.前記混合物を前記第3の成分と接触させる前に、前記混合物を中子形状に成形することを更に含む、項24~項28のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
30.前記少なくとも1種の触媒が気体であり、前記混合物を前記第3の成分と接触させることが、前記気体を前記中子形状に通過させることを含む、項24~項29のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
31.前記少なくとも1種の触媒が液体である、項24~項29のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
32.前記混合物を前記第3の成分と接触させた後、かつ前記混合物を硬化させる前に、前記混合物を主型形状に成形することを更に含む、項24~項31のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
33.項24~項32のいずれか1つに記載の方法により作製した鋳型。
【0095】
34.鋳型を作製するための項1~項21のいずれか1つに記載のバインダー系の使用。
【実施例
【0096】
以下の実施例は、本開示を説明することを目的とするものであって、それを限定する性質のものではない。本開示は、上記説明及び下記の実施例に見合った追加の実施形態を含むものと解される。
【0097】
実施例1
本開示に係るバインダー系において使用するために、ボールクレー鉱床に関係した天然褐炭鉱床から褐炭のサンプルを得た。結果を、以下の表1に記録する。
【0098】
【表1】
【0099】
主要要素の化学分析を、Uniquant standardless softwareを備えたThermo ScientificのARL Advant’X Sequential XRFと、強熱減量(LOI)正規化(水分含量は正規化に含んだ)により行った。「受け取ったままの」サンプルからプレスペレットを準備し、硫黄含量が鉱物学に関連しないことを確認するために溶融も行うことにより、サンプルを準備した。
【0100】
実施例2
本開示に係るバインダー系において使用するために、天然褐炭鉱床から褐炭のサンプルを得た。実施例1の天然褐炭サンプルのフミン酸含有量を、CDFA法及びLamarらの方法に従って、試験した。結果を、以下の表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
CDFA法では、フルボ材料を無視し、Lamarらによる(AOAC)方法に比べて、わずかに少量の苛性溶液を使用するため、異なる結果が得られる。
【0103】
実施例3
実施例1の褐炭/鉱物サンプル20重量%、水20重量%、プロピレンカーボネート20重量%、及びエチレングリコール40重量%を含む成分からバインダー系を調製した。次いで、(アメリカ鋳造協会の基準法、AFS 1106-00-sに定義される)粒子の粉末度数が55のシリカ砂3キロを、均一に上記成分で被覆し、メチレンジフェニルジイソシアネート/溶媒混合物及び3級アミン触媒と混合した。この混合物はパドル型ミキサーを使用して作製する。混合物は、上述の成分を0.3%(wt%)、イソシアネート/溶媒混合物を1.2%(wt%)、及び3級アミン触媒を0.225%(wt%)含有する。
【0104】
砂が十分被覆された後、AFS 3342-00-Sに従って、混合物をテストクーポン型に充填する。砂が硬化した10分後、1時間後、3時間後、及び24時間後に、AFS 3301-00-Sに従って、結合したテストクーポンの引張強度を測定する。AFS 5223-00-S及びAFS 3318-00-Sを用いて、標準浸透性試験と耐擦傷性試験も行う。
【0105】
本開示の他の態様及び実施形態は、本明細書の検討及び本明細書に開示の実施形態の実施により当業者に明らかとなるであろう。
【0106】
明細書及び実施例は例示的なものに過ぎないと解釈されることが意図され、本開示の真の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。