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特許7493453塗料循環システムにおけるフローバランシング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】塗料循環システムにおけるフローバランシング
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/24 20060101AFI20240524BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240524BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B05B7/24
B05B12/00 Z
B05D3/00 B
B05D3/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020548908
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 GB2019050703
(87)【国際公開番号】W WO2019175581
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】1804085.7
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519265893
【氏名又は名称】カーライル フルイド テクノロジーズ (ユーケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】スミス、 アラン
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、 ナイジェル
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0177565(US,A1)
【文献】特表2011-515689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C5/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品仕上げ設備内のアプリケータに塗料を供給するのに適した塗料循環システムであって、
複数の塗料流路と、
前記塗料循環システムの周りに塗料を送り込むポンプと、
前記複数の塗料流路のそれぞれにある、第1の背圧レギュレータ(BPR)の上流の塗料の圧力変動を低減する自動的に調整可能な第1のBPRと
前記複数の塗料流路のそれぞれに対応する、前記第1のBPRの上流の導管を通る塗料の流量を示す手段であって、前記導管のセクションの長さに沿って塗料の流れの圧力降下を測定する手段を含む手段と、
前記複数の塗料流路に接続された戻りラインと、
前記戻りラインと直列の第2のBPRと、
示された流量に基づいて所望の流量を維持するように前記第1のBPR及び前記第2のBPRの設定を調整する制御手段であって、各塗料流路に対応する流量を比較し、流量比較に基づいて前記流路のそれぞれにおいて所望の流量を維持するように前記第1のBPR及び前記第2のBPRを自動的に制御するように動作可能である制御手段と
を含む塗料循環システム。
【請求項2】
圧力降下を測定する各手段が、前記導管のセクションの始端における塗料の始端圧力と、前記導管のセクションの終端における塗料の終端圧力とを測定するように構成された圧力センサを含む、請求項1に記載の塗料循環システム。
【請求項3】
圧力降下を測定する各手段が2つの圧力センサを含み、前記導管のセクションの各端部に1つの圧力センサが配置されている、請求項2に記載の塗料循環システム。
【請求項4】
塗料の流量を示す各手段が、測定された圧力降下、前記塗料の動的粘度、前記導管のセクションの長さ、及び前記導管の断面パラメータに基づいて前記流量を計算する手段をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の塗料循環システム。
【請求項5】
前記導管のセクションは一定の断面を有し、前記断面パラメータは、前記一定の断面の直径又は水力直径である、請求項4に記載の塗料循環システム。
【請求項6】
前記導管のセクションは、前記導管の長さにわたって変化する可変断面を有し、前記断面パラメータは、前記導管のセクションの断面寸法から導き出される、請求項4に記載の塗料循環システム。
【請求項7】
前記流量を計算する手段は、質量流量定数679にさらに基づくように構成されている、請求項4から6のいずれか一項に記載の塗料循環システム。
【請求項8】
前記流量又は所望の流量のいずれかをオペレータに表示する手段を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の塗料循環システム。
【請求項9】
塗料の流量を示す各手段の対応する導管セクションが、同等の幾何学的形状を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の塗料循環システム。
【請求項10】
前記制御手段は、それぞれが前記流量比較に基づいてマスター流量の等しい比率を維持するように前記複数の塗料流路のそれぞれの第1のBPRを制御することによって、各塗料流路を通る流量のバランスを取るように動作可能であり、前記マスター流量は、前記複数の塗料流路に塗料を送り込むように構成されたポンプステーションによって提供される、請求項1から9のいずれか一項に記載の塗料循環システム。
【請求項11】
前記塗料流路のそれぞれが対応する塗装ブースを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の塗料循環システム。
【請求項12】
製品仕上げ設備内のアプリケータに塗料を供給する塗料循環システムの動作方法であって、
複数の塗料流路と、前記複数の塗料流路に接続された戻りラインとを含む前記塗料循環システムの周りに塗料を送り込むステップと、
前記複数の塗料流路のそれぞれについて、第1の背圧レギュレータ(BPR)の上流にある導管を通る塗料の流量を示す、前記導管のセクションの長さに沿った塗料の圧力降下を測定するステップと、
前記複数の塗料流路のそれぞれを通る塗料の流量を比較するステップと、
示された流量に基づいて、前記複数の塗料流路のそれぞれに対して所望の流量を維持するように前記第1のBPR前記戻りラインと直列の第2のBPRとを制御するステップと
を含む、塗料循環システムの動作方法。
【請求項13】
前記導管のセクションの長さに沿った塗料の圧力降下を測定するステップは、2つ以上の圧力センサを利用する、請求項12に記載の塗料循環システムの動作方法。
【請求項14】
流量を示すステップは、測定された圧力降下、塗料の動的粘度、導管のセクションの長さ、及び導管の水力直径に基づいて流量を計算することを含む、請求項12又は13に記載の塗料循環システムの動作方法。
【請求項15】
前記塗料流路のそれぞれが対応する塗装ブースを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の塗料循環システムの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車塗装仕上げ工場で使用できるシステムなどの塗料循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車塗装工場などの工場エリアには、通常、1つの塗料ポンプから供給される複数の塗装ブースがある。塗料の流れは、各ブースで独立して背圧レギュレータ(BPR)によって維持される。塗料の流れは、BPRのドリフトや機器の変更(ホースの長さの変更など)により、容易にアンバランスになり得る。アンバランスな塗料の流入は、
塗料供給システム内で最も抵抗の少ない経路を通る塗料による短絡、
顔料が「落ちる」原因となる塗装速度の低下(塗装速度が遅すぎると、顔料粒子が重力によって沈降し始める)、
圧力の低下による、塗装ラインの閉塞につながる塗装ラインの「血栓形成」、
製造を中断させるユーザ視点での塗料の欠乏
などの問題を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許第1830966号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、製品仕上げ設備内のアプリケータに塗料を供給するのに適した塗料循環システムが提供され、このシステムは、
システムの周りに塗料を送り込むポンプと、
BPRの上流の塗料の圧力変動を低減する自動的に調整可能な背圧レギュレータ(BPR)と、
BPRの上流の導管を通る塗料の流量を示す手段であって、導管のセクションの長さに沿って塗料の流れの圧力降下を測定する手段を含むものと、
示された流量に基づいて所望の流量を維持するようにBPRを制御する制御手段と
を含む。
【0006】
本明細書において、「流量を示す手段」という用語は、流量インジケータを指す場合がある。「BPRを制御する制御手段」という用語は、BPRコントローラを指す場合がある。
【0007】
導管はパイプであり得る。導管はさらに、それを通って流体が流れることができ、それを横切って測定可能な圧力降下がある任意の通路を指すことができる。導管は、円形断面を有することができる。
【0008】
BPRは、公開された特許文献1に開示されているような背圧レギュレータであり得る。このような背圧レギュレータは、レギュレータ内の可動面に圧力を加える加圧流体の供給を変化させ、それによって塗料流路の狭窄を定めることによって、遠隔で調節可能/制御可能である。このような調整可能なBPRは、パイロットBPRと呼ぶことができる。
【0009】
BPRを通る塗料の流量を示す手段を提供することは、システムのバランスの設定及び維持に役立つ。例えば、上記の導入部で説明した要因によって引き起こされる塗料の流れの変動は、塗料の流れを監視し、それに応じてBPRの制御設定を調整して、システムの一部を通して所望の流量が維持されることを確実にすることによって低減することができる。
【0010】
塗料の圧力降下を測定する手段は、導管のセクションの始端における塗料の始端圧力と、導管のセクションの終端における塗料の終端圧力とを測定するように構成された圧力センサを含み得る。
【0011】
塗料循環システムは、2つの圧力センサを含むことができ、導管のセクションの各端部に1つの圧力センサが配置されている。
【0012】
圧力センサの使用は、流量に正比例する圧力降下の値を得ることによって、流量が非制限的に示されるようにする。市販の流量計は、通常、オリフィスプレートや可動部品(例えばタービンメータ)などの何らかの制限がある。これらは高価であり、塗料自体に損傷を与える可能性のある流体内の高い剪断力を生じるため、塗料での使用には適していない。当業者は、塗料の損傷を引き起こす塗料の流れにおける十分に高い剪断力をもたらす導管の断面の制限のレベル又は変動のレベルを理解するであろう。
【0013】
塗料の流量を示す手段は、測定された圧力降下、塗料の動的粘度、パイプのセクションの長さ、及び導管の断面パラメータに基づいて流量を計算する手段を含み得る。
【0014】
導管のセクションは、実質的に一定の直径又は実質的に一定の水力直径を有することができる。「一定の水力直径」という用語は、必ずしも円形ではない導管のセクションに沿って変化しないままである導管の断面形状を指すことができる。「一定の直径」はさらに、導管の中心を左右に通る任意の直線の長さを指すことができる。断面パラメータは、一定の直径又は一定の水力直径であり得る。
【0015】
導管のセクションは、塗料の進路変更による塗料の劣化を引き起こすほど大きく変化しない可変断面(すなわち、導管の長さにわたって変化する)を有することができる。断面パラメータは、導管のセクションの断面寸法から導き出すことができる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、流量を計算する必要はない。代わりに、測定された圧力降下は流量を示す(すなわち、流量の指標と)みなされる。このため、導管セクションのより複雑な幾何学的形状は、流量値の計算を提供することを困難にする可能性があるが、実施形態は、圧力降下を測定することによって決定される流量の必要な指標を提供しながら、そのような複雑な幾何学的形状を含み得る。
【0017】
導管のセクションは、直線であり得るが、必ずしもそうではない。
【0018】
流量を計算する手段は、679である質量流量定数にさらに基づくように構成され得る。この定数は、塗料配管の設置に使用される一般的なパイプ/ホースの質量流量特性に基づく。
【0019】
流量を示す手段は、流量信号を塗料システムコントローラに提供するように構成され得る。流量信号は、圧力降下値を含み得る。
【0020】
制御手段は、流量信号に基づいて塗料システムコントローラから制御信号を受信し、それに応じて所望の流量を維持するようにBPRを制御するように構成され得る。
【0021】
塗料システムコントローラは、示された流量又は所望の流量のいずれかをオペレータに表示する手段を含み得る。
【0022】
塗料循環システムは複数の塗装ブースを含むことができ、1つのBPRが各塗装ブースの下流に位置し、対応する塗装ブースを通る対応する流量を示す対応する手段が対応する塗装ブースの上流又は下流のいずれかに位置する。
【0023】
各BPRの流量を示す手段の対応する導管セクションは、同等の幾何学的形状を含み得る。各導管が同等の幾何学的形状を有する場合、各導管セクション全体の圧力降下の比較が、各導管セクション全体で発生する流量の比較をもたらす。各導管セクションの幾何学的形状は同一でなくてもよく、例えば、それらは互いにラーリングされ又は逆になっていてもよい。
【0024】
塗装システムコントローラは、各塗装ブースに対応する示された流量を比較し、比較に基づいてブースのそれぞれに対して所望の流量を維持するようにBPRを自動的に制御するように動作可能であり得る。特に、塗装システムコントローラは、各塗装ブースを通る流れが同じになるように、塗装ブースのバランスをとるように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、流量を示す各手段によって決定される圧力降下が同じになるようにBPRを制御することによって、塗装ブースのバランスをとるように動作可能であり得る。
【0025】
各塗装ブース内の流量を比較し、各塗装ブースの背圧を自動調整することで、ブースごとの適切な流量を維持することができる。このデータは、関連する塗料システムコントローラに報告され、コントローラ/オペレータに表示され得る。
【0026】
塗料システムコントローラは、それぞれが流量比較に基づいてマスター流量の等しい比率を維持するように複数の塗装ブースのそれぞれのBPRの全てを制御することによって、各塗装ブースを通る流量のバランスを取るように動作可能であり得、マスター流量は、複数の塗装ブースに塗料を送り込むように構成されたポンプステーションによって提供される。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、製品仕上げ設備内のアプリケータに塗料を供給する塗料循環システムの動作方法であって、
システムの周りに塗料を送り込むステップと、
背圧レギュレータ(BPR)の上流にある導管を通る塗料の流量を示す、導管のセクションの長さに沿った塗料の圧力降下を測定するステップと、
流量に基づいて所望の流量を維持するようにBPRを制御するステップと
を含む方法が提供される。
【0028】
塗料の流量の指標を決定するステップは、2つ以上の圧力センサを用いて導管のセクションの長さに沿った塗料の圧力降下を測定するステップをさらに含み得る。
【0029】
流量の指標を決定するステップは、測定された圧力降下、塗料の動的粘度、導管のセクションの長さ、及び導管の直径に基づいて流量を計算することを含み得る。
【0030】
方法は、それぞれが複数のBPRのうちの1つの上流に配置された複数の塗装ブースのそれぞれを通る塗料の流量の指標を比較し(測定された圧力降下を比較するなど)、複数の塗装ブースのそれぞれに対して所望の流量を維持するように各BPRを制御するステップをさらに含み得る。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、製品仕上げ設備内のアプリケータに塗料を供給する塗料循環システムに用いる塗料流測定装置が提供される。アセンブリは、
その中を流れる塗料の圧力降下を測定する複数の圧力センサを有する導管のセクションと、
測定された圧力降下、塗料の動的粘度、及び導管のセクションの幾何学的形状に基づいて流量を示す手段と
を含む。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、製品仕上げ設備内のアプリケータに塗料を供給するのに適した塗料循環システムが提供され、システムは、
システムの周りに塗料を送り込むポンプと、
複数の塗料流路であって、各流路は、
BPRの上流の塗料の圧力変動を低減する自動的に調整可能な背圧レギュレータ(BPR)と、
流路内の導管を通る塗料の流量を示す手段であって、導管のセクションの長さに沿って塗料の流れの圧力降下を測定する手段を含む手段と
を含む複数の塗料流路と、
示された流量に基づいて所望の流量を維持するようにBPRの設定を調整する制御手段と
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態による塗料循環システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による流量測定手段の概略図である。
図3】本発明の他の実施形態による流量測定手段の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面を参照すると、本発明による塗料循環システムが図1に示されている。塗料は、ポンプステーション101から送り込まれ、ポンプステーション101は供給ライン108に供給し、次に供給ライン108は塗装ブース供給ライン104及び105に供給する。塗装ブース供給ライン104は塗装ブース102に供給し、塗装ブース供給ライン105は塗装ブース103に供給する。塗料は、塗装ブース102、103内で102a及び103aとして参照されるようなアプリケータを通って流れる。アプリケータは、塗装ブース102、103内に位置する物体(図示せず)に塗布されるスプレーとして、塗料の流れから塗料の一部を放出する。塗料は、塗装ブースから塗装ブース戻りライン106、107を通って戻りパイプ109を通ってポンプステーション101に戻される。
【0035】
図面に関して本明細書に記載される実施形態はパイプを含むが、実施形態は供給/戻りラインとしてのパイプの使用に限定されない。例えば、鋳造又は機械加工されたホース、オリフィス又はチャネルなどの導管をパイプの代わりに使用することができる。本発明の塗料循環システム内には、異なるタイプの導管の組み合わせがあり得る。
【0036】
塗装ブース背圧レギュレータ(BPR)110及び111は、遠隔制御可能であり、それぞれ塗装ブース戻りライン106及び107と直列である。BPR流量測定手段112、113はそれぞれ、BPR110、111の1つにそれぞれ関連付けられ、各BPR110、111の上流に配置されている。BPR110、111は、対応する塗装ブースを流れる塗料の圧力を維持するように構成されている。
【0037】
図1の実施形態では、BPR流量測定手段112及び113は、塗装ブース102、103の下流に配置されている。しかしながら、他の実施形態では、BPR流量測定手段は、塗装ブースの上流などの他の位置に配置することができる。
【0038】
また、戻りライン109と直列のシステムBPR115がある。システムBPR115は、ポンプ輸送が停止したときに流体が戻りパイプ109からポンプステーション101へ流れ続けるのを防ぐ。
【0039】
当然のことながら、本発明による塗料流システムは、本発明の範囲から逸脱することなく、対応するBPRを有する任意の数の塗装ブース、及び塗装ブース内の様々な数の塗料アプリケータを含むことができる。
【0040】
使用中、塗料は、矢印114で示すように、システムの周りを流れ、塗料アプリケータ102a及び103aを通って物体に塗布される。図示の実施例では、塗装ブースBPR110及び111は、各ブースに対して6バールの所望の圧力に設定されている。図示の実施形態では、供給ライン108、104、105及び戻りライン106、107、109は、図1に示すように円筒形であり、mmの直径を有する。他の実施形態では、供給ライン及び戻りラインは、12mmから50mmの直径を有し得る。ラインは、ホース、パイプ、又は圧力で流体を移送するための他の既知の手段を含み得る。実施形態では、ラインの直径は、図1に示したものと異なることができる。
【0041】
BPRのドリフトやホースの交換などのシステム構成の変更により、ブース間の塗料の流れがアンバランスになることがある。言い換えれば、2つのブース102及び103の間で流量のばらつきが生じ得る。したがって、各ブースを通して塗料の一定の流量が維持されるように、BPRの圧力設定を調整する必要がある。特に、各ブースを通る流量はバランスが取れている(すなわち同じである)ことが望ましい場合がある。
【0042】
流量表示手段112、113は、後述するように、塗料の流れを妨げることなく流量を表示する。流量表示手段は、流量信号をコントローラ(図示せず)に供給する。この値は、塗装ブースを通して所望の流量が維持されるようにBPR110及び111を調整するために使用される。BPR110及び111は、(必ずしもそうとは限らないが)上記発明の概要で説明したようにパイロット作動式のBPRであり得る。例えば、BPRは、空気作動式であり、BPR内の可動面に圧力を加える流体の圧力を変化させ、それにより塗料流路内の可変絞りのサイズを調整することによって遠隔制御可能であり得る。従って、BPRは、コントローラ(図示せず)によって提供される信号を用いて遠隔制御可能である。BPRは、所望の流量を維持するようにコントローラによって自動的に制御される。実施形態では、各塗装ブースを通る流量は、関連する塗装システムコントローラに報告され、コンピュータ端末(図示せず)を用いてオペレータに表示され得る。図1の実施形態では、塗装ブース102及び103の下流の流量が示されている。しかし、他の実施形態では、塗装ブースの上流の流量が示され、流量信号を提供するために使用され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、流量の指標は圧力降下測定値である。後述するように、圧力降下の測定値は、異なるブース間の流量を比較するために使用できる流量の指標を提供する。従って、流量指示手段によって示される圧力降下測定値が同じになるようにBPR110、111を調節することによって、各ブース102、103を通る流量が実質的に同じであることを確実にするようにコントローラを構成することができる。
【0044】
図2は、本発明による流量測定手段の概略図である。
【0045】
圧力センサ203a及び203bは、圧力センサ間の矢印204で示す長さのラインのセクション(一部分)201内の塗料の圧力の変化を測定するように配置されている。圧力センサ203a、203bは、邪魔にならず、塗料の流れを制限しない静圧センサである。塗料は矢印207で示す方向に流れ、圧力センサ203aから203bへの圧力降下がある。圧力降下値は、BPR202の上流でありかつ塗装ブース205の下流にあるラインのセクション201に配置されたセンサ203a及び203bによって測定される。ラインのセクション201は既知の一定の直径を有する円筒形パイプとして示されているが、これは全ての実施形態に当てはまるわけではない。ラインのセクション201は直線として示されているが、実施形態では、このセクションは必ずしも直線ではなく、例えば、セクションは曲線状であり得る。圧力降下は、ライン201内の塗料の流量を示す。この流量は、塗装ブース205を通る塗料の流量を示す。
【0046】
後述する測定された圧力降下からの流量の計算がいくつかの実施形態で実施されるが、他の実施形態では、この説明は、測定された圧力降下値がどのように流量を示すか説明するのに役立つ。後者の実施形態では、流量は計算されず、測定された圧力降下のみがコントローラによって使用される。各塗装ブース201の流量測定手段用のラインの各セクションの幾何学的形状が実質的に同等である限り、各塗装ブース間の相対流量を比較することができる。コントローラは、各塗装ブースに対応する各ラインのセクション201について測定された圧力降下が同じであることを確実にすることによって、各塗装ブースを通る流量が同じになるようにBPRを調整するように構成することができる。
【0047】
図示の実施形態では、(図1の)ポンプステーション101からの流量は既知であり、オペレータは、各ブースにパーセンテージとして表される特定の流量比を提供するようにコントローラを構成することができる。たとえば、50%/50%である。
【0048】
流量は、以下の圧力降下の式を用いて決定できる。
【数1】
ここで、
P=圧力降下(バール)(圧力センサ203a、203bを用いて測定)
Q=流量(リットル/分)
L=パイプの長さ(メートル)(図2に204として示す)
V=塗料の動的粘度(ポアズ)(使用する塗料によって分かる)
F=パイプ係数(ラインセクション直径又は水力直径(mm)の4乗)
679は、例示的な塗料循環システムで使用される典型的なパイプ/ホースの質量流量特性に基づく無次元の流量定数である。特に、流量定数は、層流を確実にする範囲内の鋼製パイプの摩擦係数に基づいている。流量定数は、パイプラインの状態が最悪の場合のシナリオを想定して流量の簡単な計算を提供する。当然のことながら、ラインセクション201が一定の直径のパイプを含まない場合、長さ及びパイプ係数は、ラインセクション201の幾何学的形状によって決まる単一の定数に置き換えられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、パイプの代わりに非管状導管を使用する場合、パイプ係数を計算するのに水力直径を使用することができ、水力直径は式4*(セクションの断面積)/セクションの周長によって決定される。
【0050】
例示的な実施形態では、コントローラ(図示せず)が、センサ203a、203bを用いて測定された圧力降下と、圧力降下の式による残りの既知の係数とに基づいて塗料の流量を計算する。上述のように、流量は、所望の流量が維持されることを確実にするためにBPR202の設定を調整するのに使用される。
【0051】
ライン206は、ポンプ(図示せず)などの塗料循環システムの下流のコンポーネントに塗料を移送する。
【0052】
図3は、センサ303a、303bが塗装ブース205の上流に位置する代替的な実施形態を示す。塗料は、ポンプステーション301から供給ライン304を通って流れる。流量は、塗装ブース205の上流で得られた圧力測定値から上述の方法を用いて示される。図3の残りの符号は、図2に関して上述した特徴を指している。
図1
図2
図3