(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240524BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61K45/06
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020565754
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 US2019033941
(87)【国際公開番号】W WO2019227004
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-19
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・ピー・ウェノグル
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・デイビス
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/044667(WO,A1)
【文献】MOLECULAR CARCINOGENESIS, 2016, Vol.55, pp.268-279
【文献】Chem. Res. Toxicol.,2000年,Vol.13,pp.944-948
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/00-33/44
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDE1阻害剤を含む、
神経膠腫の治療のための医薬であって、
該PDE1阻害剤が
、
(A) 遊離形態または
薬学的に許容される塩形態の、式II:
【化1】
[式中、
(i) Xは、
メチレンであり;
(ii) Yは
、アリーレ
ンであり;
(iii) Zは
、アリール、
ピリジル、または-C(O)-R
1
であり;
(iv) R
1は、C
1-6アルキル、ハロC
1-6アルキル、-OHまたは-OC
1-6アルキルであり
;
(v) R
4
は、Hであり、R
5は
、ハロで置換されていてもよいアリールであり;
(
vi) ここで
、Zは
、ハロで置換されていてもよい]
;
および
(
B) 遊離形態または薬学的に許容される
塩の、式
Ia:
【化2】
[式中、
(i)
R
2
およびR
3は各々メチルであり、R
4およびR
5は各々Hであ
り;
(ii) R
6は、(ハロ置換されていてもよい)フェニルアミ
ノであり;
(iii) R
10は、C
1-4アルキル、メチルカルボニル、ヒドロキシエチル、カルボン酸
、(ハロ置
換されていてもよい)フェニル、
または(ハロ置
換されていてもよい)ピリジ
ルであり;
(iv) XおよびYは
、CまたはNである]
から選択される化合物であ
る、
医薬。
【請求項2】
神経膠腫が多形神経膠芽腫である、請求項
1に記載の医薬。
【請求項3】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化3】
から選択される、請求項1
または2に記載の医薬。
【請求項4】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化4】
である、請求項3に記載の医薬。
【請求項5】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化5】
である、請求項3に記載の医薬。
【請求項6】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化6】
である、請求項3に記載の医薬。
【請求項7】
PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年5月25日に出願された米国仮出願第62/676,638号、および2018年6月22日に出願された米国仮出願番号第62/688,641号(これらの内容は全体として出典明示により本明細書の一部とする)の優先権および利益を主張する。
【0002】
開示の技術分野
当該技術分野は、中枢神経系の腫瘍などのある種の癌および腫瘍の治療に有用なホスホジエステラーゼ1(PDE1)の阻害剤に関する。当該技術分野は、また、中枢神経系の腫瘍などのある種の癌および腫瘍の治療のため、またはPDE1における発現増加を特徴とする関連状態の治療のための、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)の阻害剤の投与に関する。
【背景技術】
【0003】
神経膠芽腫は成人に最も一般的な悪性脳腫瘍であり、その発生は、欧米先進諸国において100,000人あたり2~3人の頻度で、すべての原発性脳腫瘍の半分以上を占めている。予後は普遍的に不良であり、生存期間中央値が6~9か月であり、5年生存率が3%未満である。非特許文献1。
【0004】
神経膠芽腫は、急速な増殖および正常な脳への浸潤を特徴とする高悪性度腫瘍(aggressive tumour)である。現在の治療法の有効性は、手術中に正常な脳機能を維持することが必要であること、放射線療法に対する腫瘍固有の抵抗性、および多くの薬物が血液脳関門を通過することができないことによって妨げられている。次に続く標的薬剤の第III相臨床試験では生存率の向上が見られず(非特許文献2)、依然としてテモゾロミド(血液脳関門を通過することができるアルキル化化合物)が神経膠芽腫の治療に利用可能な唯一の有効な化学療法剤の1つであるので、過去30年間、成人の神経膠芽腫患者に対する改善はほとんど見られていない。デバルキング手術、放射線療法およびテモゾロミドの最大限の治療を行っても、生存期間中央値はわずか14.6か月である。非特許文献3。
【0005】
現在、多形神経膠芽腫などの中枢神経系の腫瘍を治療する効果的な方法に対するニーズはほとんど満たされていない。そのような状態を治療するための改善された治療用組成物および方法が緊急に必要とされている。
【0006】
ホスホジエステラーゼ(PDE)の11のファミリーが同定されているが、ファミリーIのPDEであるCa2+/カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ(CaM-PDE)のみが、Ca2+/カルモジュリンによって活性化され、カルシウムおよび環状ヌクレオチド(例えば、cGMPおよびcAMP)シグナル伝達経路を媒介することが示されている。3つの既知のCaM-PDE遺伝子、PDE1A、PDE1BおよびPDE1Cは、全て中枢神経系組織において発現している。PDE1Aは、脳、肺および心臓において発現している。PDE1Bは、主に中枢神経系において発現しているが、単球および好中球においても検出されており、これらの細胞の炎症反応に関与していることが示されている。PDE1Cは、嗅上皮、小脳顆粒細胞、線条体、心臓、および血管平滑筋において発現している。PDE1Cは、ヒト平滑筋における平滑筋増殖の主要な調節因子であることが実証されている。
【0007】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼは、これらの環状ヌクレオチドを、細胞内シグナル伝達経路に関して不活性であるそれらのそれぞれの5'一リン酸(5'AMPおよび5'GMP)に加水分解することによって細胞内cAMPおよびcGMPシグナル伝達をダウンレギュレートする。cAMPおよびcGMPはどちらも中心的な細胞内セカンドメッセンジャーであり、多くの細胞機能を調節する役割を果たしている。PDE1AおよびPDE1Bは、cAMPよりも優先的にcGMPを加水分解するが、PDE1Cは、cGMPとcAMPについてほぼ等しい加水分解を示す。
【0008】
特にPDE1Cに関しては、最近の証拠では、PDE1Cは増殖している血管平滑筋細胞において排他的に発現しているので増殖関連遺伝子であることが示されている。(非特許文献4)。加えて、黒色腫(非特許文献5)、神経芽腫(非特許文献6)、および骨肉腫(非特許文献7)などの実験的腫瘍モデルにおけるPDE1C発現が他のPDEサブタイプとともに散発的に報告されている。
【0009】
過去の研究は、PDE1(特にアイソフォームPDE1B)の阻害がヒト白血病細胞においてアポトーシスを誘発することを示している。非特許文献8。National Cancer Instituteからの6つのヒト神経膠芽腫細胞株のうち5つが高いPDE1発現(主にPDE1C)およびほんのわずかなPDE4発現を示すことも研究によって示されている。非特許文献9。同様に、PDE1C mRNAはヒト悪性黒色腫関連抗原(MAA)細胞において過剰発現し、非選択的PDE1阻害剤であるビンポセチンによって増殖が阻害される。非特許文献10。より最近の研究では、PDE1Cは正常なヒト脳と比較して神経膠芽腫の20%において有意に過剰発現し、PDE1CのsiRNA介したサイレンシングは神経膠芽腫の患者由来細胞培養物における増殖(45~50%)および浸潤(40~60%)を阻害することが示されている。非特許文献11。
【0010】
腫瘍促進性細胞増殖、遊走、組織浸潤および炎症は、癌の発生を可能にする特徴と考えられている。これらのプロセスは、それぞれ、時間依存的であり、可変的であり、多数のシグナル伝達経路が関与する複雑なものである。マルチターゲット薬剤はシングルターゲット療法で見られる利益よりも大きな利益をもたらし、許容できる忍容性プロファイルを有し、より広い範囲の腫瘍タイプに対して活性を示すと考えられている。環状ヌクレオチドシグナル伝達の調節は、腫瘍細胞機能の多様な側面に関与する複数の成分経路の複合経路として適切にみなされている。cAMP生成の障害は、様々な癌病理において説明されてきた。抗増殖性でありながら癌細胞において環状ヌクレオチドを直接調節する試みは、高い細胞毒性のために生産的ではなかった。癌細胞におけるcAMPを調節するための新しく、より安全で選択的な戦略が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Brodbelt A, et al.; (UK) National Cancer Information Network Brain Tumour Group. Glioblastoma in England: 2007-2011. Eur. J. Cancer. 2015 Mar; 51(4):533-42
【文献】Touat M, et al., Glioblastoma targeted therapy: updated approaches from recent biological insights. Ann. Oncol. 2017 Jul 1;28(7):1457-1472
【文献】Stupp R, et al., Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblastoma; N Engl J Med. 2005 Mar 10;352(10):987-96
【文献】Rybalkin SD, et al., Calmodulin-stimulated cyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE1C) is induced in human arterial smoothmuscle cells of the synthetic, proliferative phenotype. J Clin Invest 1997;100:2611-2621
【文献】Watanabe Y, et al., Phosphodiesterase 4 regulates the migration of B16-F10 melanoma cells. Exp Ther Med 2012;4:205-210
【文献】Jang IS, Juhnn YS. Adaptation of cAMP signaling system in SH-SY5Y neuroblastoma cells following expression of a constitutively active timulatory G protein alpha, Q227L Gsalpha. Exp Mol Med 2001;33:37-45
【文献】Ahlstroem M, et al., Cyclic nucleotide phosphodiesterases (PDEs) in human osteoblastic cells; the effect of PDE inhibition on cAMP accumulation. Cell Mol Biol Lett 2005;10:305-319
【文献】Jiang X, Paskind M, Weltzien R, Epstein PM. Expression and regulation of mRNA for distinct isoforms of mitogen-stimulated and leukemic human lymphocytes. Cell Biochem Biophys 1998; 28:135-60
【文献】Marko D, Pahlke G, Merz KH, Eisenbrand G. Cyclic 3',5'-nucleotide phosphodiesterases: potential targets for antitumor therapy. Chem Res Toxicol 2000;13:944-8
【文献】Zhao AZ, et al., Recent advances in the study of Ca2+/CaM-activated phosphodiesterases: expression and physiological functions. Adv Second Messenger Phosphoprotein Res 1997;31:237-51
【文献】Rowther FB, et al., Cyclic nucleotide phosphodiesterase-1C (PDE1C) drives cell proliferation, migration and invasion in glioblastoma multiforme cells in vitro. Mol Carcinog. 2016 Mar; 55(3):268-79
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、以前に、本開示化合物を用いたPDE1活性の阻害が、神経変性および神経炎症、心不全、肺高血圧症および末梢炎症のモデルを含む広範囲の病的状態において、ならびに特的の疾患を有するヒトにおいて、cAMP機能を安全に回復することができることを示した。より最近では、本発明者らは、PDE1阻害剤がミクログリアおよび単球の細胞遊走を妨害することを示した。最近の証拠は、PDE1、特にPDE1Cアイソフォームが黒色腫、神経芽腫および骨肉腫などの実験腫瘍モデルにおいて発現していることを示している。加えて、多形神経膠芽腫(GBM)細胞におけるPDE1Cのフォーカルゲノム過剰出現(focal genomic over representation)が実証されている。PDE1Cのゲノムゲインは、GBM由来細胞培養物における発現の増加と関連しており、癌細胞における細胞増殖、遊走および浸潤を促進するために不可欠である。
【0013】
多くのタイプの癌細胞は、増加したRNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)または酵素活性などの様々なバイオマーカーを介して同定されるPDE1活性を過剰に発現する。これらの癌細胞はまた、低レベルのcAMPを示し、これはPDE1阻害剤によって増加させることができる。このような特性は、PDE-1阻害剤単独で、または化学療法、遺伝子療法および/もしくは免疫学的アプローチと組み合わせて、治療することができる。PDE1を阻害することにより、アポトーシス細胞死が誘発され、遊走が防止され、転移が制限され、炎症が減少する。このように、PDE1阻害剤は、化学療法および免疫学的アプローチと相乗的である。
【0014】
さらに、多くの遺伝子療法および抗体アプローチは、サイトカイン放出症候群(CRS)を引き起こすことが知られている。CRSは、免疫療法の影響を受けた免疫細胞から血中へサイトカインが大量かつ急速に放出されることによって引き起こされる。PDE1は、炎症性サイトカインIL1β、TNFαおよびCcl2の発現を減少させることが従前に知られていた。国際特許公開WO2018/049147を参照。これらの症例ではPDE1阻害は予防的に有用であり、CRSを予防するためにPDE1阻害剤を副腎皮質ステロイド薬および抗ヒスタミン薬と一緒に投与することができる。
【0015】
理論に縛られることなく、cAMP(またはcGMP)生成の障害は様々な癌病理学におけるPDE1アイソフォームの過剰発現に起因すると考えられる。細胞内cAMP(および/またはcGMP)のレベルを上昇させる選択的PDE1アイソフォームの阻害は、広範囲の腫瘍細胞においてアポトーシスおよび細胞周期停止を誘発し、細胞遊走、炎症および組織浸潤を防止する腫瘍微小環境を調節する。したがって、個々のPDE1およびそのアイソフォーム、特にPDE1cに対して特異的な阻害剤の開発および臨床応用は、正常な細胞内シグナル伝達を選択的に回復させて、有害作用を軽減した抗腫瘍治療を提供することができる。
【0016】
本開示は、例えばカルシノーマ、黒色腫およびアストロサイトーマを含む癌または腫瘍の治療のためのPDE1阻害剤の使用に関する。好ましい実施態様では、PDE1阻害剤は選択的である。以前の研究では、PDE1(すなわち、PDE1C)は、健康な患者(すなわち、神経膠芽腫に罹患していない患者)と比較して、神経膠芽腫患者において有意に過剰発現していることが示されている。PDE1CのsiRNA媒介サイレンシングは、神経膠芽腫の患者由来細胞培養物において増殖および浸潤を阻害することが示されている。如何なる理論にも縛られることなく、PDE1CなどのPDE1の阻害は、神経膠芽腫などの特定の癌または腫瘍の治療的介入において有効であり得る。
【0017】
特に脳腫瘍の治療には、血液脳関門を通過する能力を有する化合物が必要である。本開示の化合物は、PDE1の強力な阻害剤である。特に、本開示の化合物は、PDE1AおよびPDE1Cアイソフォームの両方に対して高い選択性を示し、血液脳関門を通過することができる。
【0018】
したがって、様々な実施態様では、本開示は、癌または腫瘍から選択される状態を治療する方法であって、該治療を必要とする対象体に、本明細書に開示されるようなPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施態様では、癌または腫瘍は、神経膠腫、白血病、黒色腫、神経芽腫または骨肉腫である。いくつかの実施態様では、癌または腫瘍は、アストロサイトーマ、例えば多形神経膠芽腫である。いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。
【0019】
様々な実施態様では、本開示は、腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法であって、該阻害を必要とする対象体に、本明細書に開示されるようなPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施態様では、癌または腫瘍は、神経膠腫、白血病、黒色腫、神経芽腫または骨肉腫である。いくつかの実施態様では、癌または腫瘍は、アストロサイトーマ、例えば多形神経膠芽腫である。いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。
【0020】
様々な実施態様では、本願は、神経膠腫の治療方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施態様では、癌または腫瘍は、アストロサイトーマ、例えば多形神経膠芽腫である。いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。
【0021】
別の態様では、本開示は、また、遊離形態または塩形態の、下記の式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤を包含する。好ましい実施態様では、PDE1阻害剤は、選択的PDE1阻害剤である。別の実施態様では、該開示は、さらに、遊離形態または薬学的に許容される塩形態のPDE1阻害剤を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0022】
様々な実施態様では、本開示は、遊離形態または塩形態の、下記の式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤、および抗腫瘍剤を含む併用療法を提供する。該併用療法は、本明細書に開示されている方法のいずれかと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施態様では、抗腫瘍剤は、PDE1阻害剤の投与と同時に(concurrently)、投与前または投与後に投与される。
【0023】
様々な実施態様では、本開示は、また、慣用の希釈剤または賦形剤および当該技術分野で知られている技術を用いて調製される、本開示の化合物を含む医薬組成物を提供する。したがって、経口投与剤形は、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを含み得る。
【0024】
様々な実施態様では、本開示は、また、癌または腫瘍から選択される状態の治療、腫瘍性細胞の増殖、遊走および/もしくは浸潤の阻害、または神経膠腫の治療に用いるための、遊離形態または塩形態の、下記の式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、多形神経膠芽腫(GBM)短期細胞培養物におけるPDE1C発現を示す。
【
図2】
図2は、正常なヒトの星状細胞に関連して提示された新たに凍結したGBM生検標本におけるPDE1C発現の変化を示す。
【
図3】
図3は、siRNAを介したPDE1Cの枯渇後の、試験したGBM細胞培養物の細胞増殖を示す。
【
図4】
図4は、PDE1Cを特異的に標的とするように改変した細胞と非標的化細胞の、ポリカーボネート膜を介した細胞遊走の比較を示す。
【
図5】
図5は、PDE1Cを特異的に標的とするように改変した細胞と非標的化細胞の、細胞外膜被覆ポリカーボネート膜を介した細胞浸潤の比較を示す。
【
図6】
図6は、3つの培養物(IN1472、IN1760およびU251MG)における、非標的化細胞と比較した、PDE1Cを特異的に標的とするように改変した細胞における創傷領域内で移動した細胞の数の減少を示す。
【
図7】
図7は、Ca2+/カルモジュリンの存在下および不在下の両方で測定したいくつかのGBM細胞株のPDE活性を示す
【0026】
発明の詳細な説明
開示の方法で用いるための化合物
【0027】
一の実施態様では、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤は、選択的PDE1阻害剤である。
【0028】
PDE1阻害剤
【0029】
一の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式I:
【化1】
[式中、
(i) R
1は、HまたはC
1-4アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R
4は、HまたはC
1-4アルキルであり、R
2およびR
3は、独立して、HまたはC
1-4アルキル(例えば、R
2およびR
3は共にメチルであるか、または、R
2はHであり、R
3はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
R
2は、Hであり、R
3およびR
4は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R
3およびR
4が一緒になってシス配置を有しており、例えば、R
3およびR
4を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R
5は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
R
5は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化2】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R
8、R
9、R
11およびR
12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R
10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルであり;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、それぞれ、R
8、R
9またはR
10は存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R
6は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R
13R
14)-である(ここで、R
13およびR
14は、独立して、HまたはC
1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)]
で示される化合物であることを提供する。
【0030】
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式1a:
【化3】
[式中、
(i) R
2およびR
5は、独立して、Hまたはヒドロキシであり、R
3およびR
4は一緒になってトリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成するか[好ましくは、R
3およびR
4を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している];または、R
2およびR
3は各々メチルであり、R
4およびR
5は各々Hであるか;または、R
2、R
4およびR
5はHであり、R
3は、イソプロピルであり[好ましくは、R
3を担持している炭素はR配置を有している];
(ii) R
6は、(ハロ置換されていてもよい)フェニルアミノ、(ハロ置換されていてもよい)ベンジルアミノ、C
1-4アルキル、またはC
1-4アルキルスルフィドであり;例えば、フェニルアミノまたは4-フルオロフェニルアミノであり;
(iii) R
10は、C
1-4アルキル、メチルカルボニル、ヒドロキシエチル、カルボン酸、スルホンアミド、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)フェニル、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)ピリジル(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル)であり;
XおよびYは、独立して、CまたはNである]
で示される化合物であることを提供する。
【0031】
別の実施態様では,本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式II:
【化4】
[式中、
(i) Xは、C
1-6アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC
1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R
1、-N(R
2)(R
3)、または、NもしくはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC
3-7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R
1は、C
1-6アルキル、ハロC
1-6アルキル、-OHまたは-OC
1-6アルキル(例えば、-OCH
3)であり;
(v) R
2およびR
3は、独立して、HまたはC
1-6アルキルであり;
(vi) R
4およびR
5は、独立して、H、C
1-6アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC
1-6アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C
1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロC
1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC
1-6アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC
1-6-アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えばピリジルであるか、またはZは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである]
で示される化合物であることを提供する。
【0032】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、式III:
【化5】
[式中、
(i) R
1は、HまたはC
1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R
2およびR
3は、独立して、HまたはC
1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R
4は、HまたはC
1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R
5は、独立して-C(=O)-C
1-6アルキル(例えば、-C(=O)-CH
3)およびC
1-6-ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R
6およびR
7は、独立して、H、または、独立してC
1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC
1-6アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC
1-6アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi)nは、1、2、3または4である]
であることを提供する。
【0033】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、式IV:
【化6】
[式中、
(i) R
1は、C
1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R
2)(ここで、R
2は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4-フルオロフェニルである)であり;
(ii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(iii) R
3、R
4およびR
5は、独立して、HまたはC
1-4アルキル(例えば、メチル)であるか;または、R
3はHであり、R
4およびR
5は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R
4およびR
5は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R
4およびR
5を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している)、
(iv) R
6、R
7およびR
8は、独立して、
H、
C
1-4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O)
2-NH
2
であり;
(v) ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R
6、R
7および/またはR
8は存在しない;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R
6、R
7またはR
8の少なくとも1つは-S(O)
2-NH
2、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである]
であることを提供する。
【0034】
一の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化7】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0035】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化8】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0036】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化9】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0037】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化10】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0038】
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症または炎症関連疾患もしくは障害の治療または予防のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化11】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する
【0039】
一の実施態様では、上記の式(例えば、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIV)のいずれかで示される選択的PDE1阻害剤は、cGMPのホスホジエステラーゼ媒介(例えば、PDE1媒介、特にPDE1B媒介)加水分解を阻害する化合物であり、例えば、好ましい化合物は、遊離形態または塩形態で、固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイにて、1μM未満、好ましくは500nM未満、好ましくは50nM未満、好ましくは5nM未満のIC50を有する。
【0040】
他の実施態様では、本発明は、癌または腫瘍から選択される状態の治療のため;腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤の阻害のため;ならびに/または神経膠腫の治療のための、下記:
【化12】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0041】
本明細書で説明されている方法および治療における使用に適しているPDE1阻害剤のさらなる例は、国際公開第2006133261号(A2);米国特許第8,273,750号;米国特許第9,000,001号;米国特許第9,624,230号;国際公開第2009075784号(A1);米国特許第8,273,751号;米国特許第8,829,008号;米国特許第9,403,836号;国際公開第2014151409号(A1)、米国特許第9,073,936号;米国特許第9,598,426号;米国特許第9,556,186号;米国特許出願公開第2017/0231994号(A1)、国際公開第2016022893号(A1)および米国特許出願公開第2017/0226117号(A1)に見ることができる(それぞれ、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【0042】
本明細書で説明されている方法および治療における使用に適しているPDE1阻害剤のさらにさらなる例は、国際公開第2018007249号(A1);米国特許出願公開第2018/0000786号;国際公開第2015118097号(A1);米国特許第9,718,832号;国際公開第2015091805号(A1);米国特許第9,701,665号;米国特許出願公開第2015/0175584号(A1);米国特許出願公開第2017/0267664号(A1);国際公開第2016055618号(A1);米国特許出願公開第2017/0298072号(A1);国際公開第2016170064号(A1);米国特許出願公開第2016/0311831号(A1);国際公開第2015150254号(A1);米国特許出願公開第2017/0022186号(A1);国際公開第2016174188号(A1);米国特許出願公開第2016/0318939号(A1);米国特許出願公開第2017/0291903号(A1);国際公開第2018073251号(A1);国際公開第2017178350号(A1);および米国特許出願公開第2017/0291901号(A1)に見ることができる(それぞれ、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。出典明示により本明細書の一部とされる文書の記載が本開示における記載と矛盾するか、または互換性がない場合には、本開示の記載が支配的であると理解されなければならない。
【0043】
別段の指定がない場合、または文脈から明らかでない場合、本明細書における以下の用語は、以下の意味を有する:
【0044】
(a) 「選択的PDE1阻害剤」とは、本明細書で用いられる場合、PDE1阻害が他のいずれものPDEアイソフォームの阻害よりも少なくとも100倍の選択性を有するPDE1阻害剤をいう。
【0045】
(b) 「アルキル」とは、本明細書で用いられる場合、飽和または不飽和炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは1~6個の炭素原子を有しており、直鎖または分枝鎖であってよく、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、モノ置換、ジ置換またはトリ置換されていてもよい。
【0046】
(c) 「シクロアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、飽和または不飽和非芳香族炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは3~9個の炭素原子を含んでおり、それらのうち少なくともいくつかが非芳香族単環式または二環式または架橋の環状構造を形成しており、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。シクロアルキルがNおよびOおよび/またはSから選択される1個以上の原子を含んでいてもよい場合、該シクロアルキルはヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0047】
(d) 「ヘテロシクロアルキル」とは、特記しない限り、飽和または不飽和非芳香族炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは3~9個の炭素原子を含んでおり、それらのうち少なくともいくつかが非芳香族単環式または二環式または架橋の環状構造を形成しており、少なくとも1個の炭素原子がN、OまたはSに置き換わっており、ヘテロシクロアルキルは、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。
【0048】
(e) 「アリール」とは、本明細書で用いられる場合、単環式または二環式芳香族炭化水素であり、好ましくはフェニルであり、例えばアルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、またはさらなるアリールもしくはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてもよい。
【0049】
(f) 「ヘテロアリール」とは、本明細書で用いられる場合、芳香環を構成する原子の1個以上が炭素ではなくて硫黄または窒素である芳香族部分であり、例えばピリジルまたはチアジアゾリルであり、例えばアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。
【0050】
本開示化合物(Compounds of the Disclosure)、例えば本明細書に記載されているPDE1阻害剤は、遊離形態または塩形態で、例えば酸付加塩として、存在し得る。本明細書では、特記しない限り、「本開示化合物」などの文言は、何らかの形態、例えば遊離形態または酸付加塩形態の化合物、または化合物が酸性置換基を含有する場合には塩基付加塩形態の化合物を包含すると解されるべきである。本開示化合物は、
医薬品としての使用を目的としているため、薬学的に許容される塩が好ましい。医薬用途に適さない塩は、例えば遊離の本開示化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の単離または精製に有用であり得、したがって、該塩も包含される。
【0051】
本開示化合物は、場合によっては、プロドラッグ形態でも存在し得る。プロドラッグ形態は、体内で本開示化合物に変換される化合物である。例えば、本開示化合物がヒドロキシ置換基またはカルボキシ置換基を含有する場合、これらの置換基は、生理学的に加水分解可能で許容されるエステルを形成し得る。本明細書で用いる場合、「生理学的に加水分解可能で許容されるエステル」とは、生理学的条件下で加水分解可能であり、自体が投与されるべき用量で生理学的に許容される酸(ヒドロキシ置換基を有する本開示化合物の場合)またはアルコール(カルボキシ置換基を有する本開示化合物の場合)を生成する、本開示化合物のエステルを意味する。したがって、本開示化合物がヒドロキシ基を含有する場合、例えば化合物-OHである場合、該化合物のアシルエステルプロドラッグ、すなわち、化合物-O-C(O)-C1-4アルキルは、体内で加水分解して、一方では生理学的に加水分解可能なアルコール(化合物-OH)を形成し、他方では酸(例えば、HOC(O)-C1-4アルキル)を形成することができる。別法として、本開示化合物がカルボン酸を含有する場合、例えば化合物-C(O)OHである場合、該化合物の酸エステルプロドラッグ、化合物-C(O)O-C1-4アルキルは、加水分解して、化合物-C(O)OHおよびHO-C1-4アルキルを形成することができる。したがって、理解されるように、この用語は、慣用の医薬プロドラッグ形態を包含する。
【0052】
別の実施態様では、本開示は、さらに、PDE1阻害剤を抗腫瘍剤と組み合わせて、それぞれが遊離形態または薬学的に許容される塩形態で、薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。用語「組み合わせ」とは、本明細書で用いられる場合、PDE1阻害剤と抗腫瘍剤との同時(simultaneous)、連続(sequential)または同時期(contemporaneous)投与を包含する。別の実施態様では、本開示は、このような化合物を含有する医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤と抗腫瘍剤との組み合わせにより、抗腫瘍剤を、単独の単剤療法として投与した場合に有効であるであろう量よりも低い量で投与することができる。
【0053】
本開示化合物を使用する方法
【0054】
別の実施態様では、本願は、癌または腫瘍から選択される状態の治療方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法(方法1)を提供する。
【0055】
1.1 癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1の発現を特徴とする、方法1。
【0056】
1.2 癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1Cの発現を特徴とする、いずれかの上記の方法
【0057】
1.3 癌細胞が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示す、上記の方法のいずれか。
【0058】
1.4 状態が腫瘍である、いずれかの上記の方法。
【0059】
1.5 腫瘍が、聴神経腫瘍、アストロサイトーマ、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫)、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、シュワン細胞腫、腺腫(例えば、好塩基性腺腫、好酸性腺腫、嫌色素性腺腫、副甲状腺腺腫、膵島腺腫、線維腺腫)、類線維腫(線維性組織球腫)、線維腫、血管腫、脂肪腫(例えば、血管脂肪腫、骨髄脂肪腫、線維脂肪腫、紡錘細胞脂肪腫、褐色脂肪腫、非定型脂肪腫)、粘液腫、骨腫、前白血病、横紋筋腫(rhadomyoma)、乳頭腫、脂漏性角化症、皮膚付属器腫瘍、肝腺腫、腎尿細管腺腫、胆管腺腫、移行細胞乳頭腫、胞状奇胎、神経節神経腫、メニンゴーマ(meningoma)、神経鞘腫、神経線維腫、C細胞過形成、褐色細胞腫、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド、ケモデクトーマ、傍神経節腫、母斑、光線角化症、子宮頚部異形成、化生(例えば、肺の化生)、白斑症、血管腫、リンパ管腫、カルシノーマ(例えば、有棘細胞癌、類表皮癌、腺癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、腎細胞癌、胆管細胞癌、移行上皮癌、胚性細胞癌(embryonal cell carcinoma)、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、燕麦細胞癌、膵島細胞癌、悪性カルチノイド)、肉腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫)、芽細胞腫(例えば、髄芽腫および神経膠芽腫、脳腫瘍の類型(types of brain tumor)、網膜芽細胞腫、眼の網膜の腫瘍、骨芽細胞腫、骨腫瘍、神経芽腫)、胚細胞腫瘍、中皮腫、悪性皮膚付属器腫瘍、グラヴィッツ腫瘍(hypernephroma)、精上皮腫、神経膠腫、悪性髄膜腫、悪性シュワン細胞腫(malignant shwannoma)、悪性褐色細胞腫、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物(mercell cell neoplasm)、葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides)、またはウィルムス腫瘍のうちの1つ以上から選択される、いずれかの上記の方法。
【0060】
1.6 状態が、神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病または神経芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0061】
1.7 状態が、神経膠腫(例えば、上衣腫、アストロサイトーマ、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えば、オリゴアストロサイトーマ)である、いずれかの上記の方法。
【0062】
1.8 神経膠腫がアストロサイトーマ(例えば、多形神経膠芽腫)である、方法1.6。
【0063】
1.9 状態が多形神経膠芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0064】
1.10 状態が癌である、方法1~1.2のいずれか。
【0065】
1.11 状態が白血病である、方法1~1.2または1.10のいずれか。
【0066】
1.12 白血病がリンパ性白血病(lymphoctic leukemia)または骨髄性白血病である、方法1.11。
【0067】
1.13 患者に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに含む、いずれかの上記の方法。
【0068】
1.14 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時に(concurrently)投与される、方法1.13。
【0069】
1.15 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与する前に投与される、方法1.13。
【0070】
1.16 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与した後に投与される、方法1.13。
【0071】
1.17 PDE1阻害剤が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記の方法のいずれか。
【0072】
1.18 PDE1阻害剤が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法と同時に(concurrently)投与される、上記の方法のいずれか。
【0073】
1.19 PDE1阻害剤が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記の方法のいずれか。
【0074】
1.20 PDE1阻害剤が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記の方法のいずれか。
【0075】
1.21 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法および/または免疫療法と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0076】
1.22 PDE1阻害剤の投与が、癌細胞または腫瘍細胞において、アポトーシス細胞死、遊走の阻害、転移の阻害、および/または炎症の減少のうちの1つ以上を誘導するのに効果的である、上記の方法のいずれか。
【0077】
1.23 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法、免疫療法、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0078】
1.24 癌または腫瘍がPDEによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0079】
1.25 癌または腫瘍がPDE1によって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0080】
1.26 癌または腫瘍がPDE1Cによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0081】
1.27 癌または腫瘍がカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失を特徴としている、上記の方法のいずれか。
【0082】
1.28 癌性細胞または腫瘍性細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、上記の方法のいずれか。
【0083】
本開示は、さらに、癌または腫瘍から選択される状態の治療方法において用いるためのPDE1阻害剤、例えば方法1以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0084】
本開示は、さらに、癌または腫瘍から選択される状態の治療方法において用いるための医薬、例えば方法1以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0085】
本発明は、さらに、方法1以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示される化合物のいずれかを含む、医薬組成物を提供する。
【0086】
別の実施態様では、癌性細胞または腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法であって、該阻害を必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法(方法2)を提供する。
【0087】
2.1 癌性細胞または腫瘍性細胞の増殖を阻害するためである、方法2。
【0088】
2.2 癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1の発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0089】
2.3 癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1Cの発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0090】
2.4 癌細胞が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示す、上記の方法のいずれか。
【0091】
2.5 状態が腫瘍である、いずれかの上記の方法。
【0092】
2.6 腫瘍が、聴神経腫瘍、アストロサイトーマ、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫)、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、シュワン細胞腫、腺腫(例えば、好塩基性腺腫、好酸性腺腫、嫌色素性腺腫、副甲状腺腺腫、膵島腺腫、線維腺腫)、類線維腫(線維性組織球腫)、線維腫、血管腫、脂肪腫(例えば、血管脂肪腫、骨髄脂肪腫、線維脂肪腫、紡錘細胞脂肪腫、褐色脂肪腫、非定型脂肪腫)、粘液腫、骨腫、前白血病、横紋筋腫(rhadomyoma)、乳頭腫、脂漏性角化症、皮膚付属器腫瘍、肝腺腫、腎尿細管腺腫、胆管腺腫、移行細胞乳頭腫、胞状奇胎、神経節神経腫、メニンゴーマ(meningoma)、神経鞘腫、神経線維腫、C細胞過形成、褐色細胞腫、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド、ケモデクトーマ、傍神経節腫、母斑、光線角化症、子宮頚部異形成、化生(例えば、肺の化生)、白斑症、血管腫、リンパ管腫、カルシノーマ(例えば、有棘細胞癌、類表皮癌、腺癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、腎細胞癌、胆管細胞癌、移行上皮癌、胚性細胞癌(embryonal cell carcinoma)、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、燕麦細胞癌、膵島細胞癌、悪性カルチノイド,)、肉腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫)、芽細胞腫(例えば、髄芽腫および神経膠芽腫、脳腫瘍の類型(types of brain tumor)、網膜芽細胞腫、眼の網膜の腫瘍、骨芽細胞腫、骨腫瘍、神経芽腫)、胚細胞腫瘍、中皮腫、悪性皮膚付属器腫瘍、グラヴィッツ腫瘍(hypernephroma)、精上皮腫、神経膠腫、悪性髄膜腫、悪性シュワン細胞腫(malignant shwannoma)、悪性褐色細胞腫、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物(mercell cell neoplasm)、葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides)、またはウィルムス腫瘍のうちの1つ以上から選択される、いずれかの上記の方法。
【0093】
2.7 状態が、神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病、または神経芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0094】
2.8 状態が、神経膠腫(例えば、上衣腫、アストロサイトーマ、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えば、オリゴアストロサイトーマ)である、いずれかの上記の方法。
【0095】
2.9 神経膠腫がアストロサイトーマ(例えば、多形神経膠芽腫)である、方法2.5。
【0096】
2.10 状態が多形神経膠芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0097】
2.11 状態が癌である、方法2~2.3のいずれか。
【0098】
2.12 状態が白血病である、方法2~2.3または2.11のいずれか。
【0099】
2.13 白血病がリンパ性白血病(lymphoctic leukemia)または骨髄性白血病である、方法2.11。
【0100】
2.14 患者に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに含む、いずれかの上記の方法。
【0101】
2.15 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時に(concurrently)投与される、方法2.14。
【0102】
2.16 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与する前に投与される、方法2.14。
【0103】
2.17 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与した後に投与される、方法2.14。
【0104】
2.18 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記の方法のいずれか。
【0105】
2.19 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法と同時に(concurrently)投与される、上記の方法のいずれか。
【0106】
2.20 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記の方法のいずれか。
【0107】
2.21 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記の方法のいずれか。
【0108】
2.22 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法および/または免疫療法と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0109】
2.23 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法、免疫療法、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0110】
2.24 癌または腫瘍がPDEによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0111】
2.25 癌または腫瘍がPDE1によって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0112】
2.26 癌または腫瘍がPDE1Cによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0113】
2.27 癌または腫瘍がカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失を特徴としている、上記の方法のいずれか。
【0114】
2.28 癌性細胞または腫瘍性細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、上記の方法のいずれか。
【0115】
2.29 対象体の、発現したPDE1におけるカルシウム/カルモジュリン感受性、環状ヌクレオチドレベルの回復、PDE1のRNA発現、またはPDE1遺伝子の変異の程度を評価する工程をさらに含む、上記の方法のいずれか。
【0116】
本開示は、さらに、癌性細胞または腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法において用いるためのPDE1阻害剤、例えば方法2以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0117】
本開示は、さらに、癌性細胞または腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法において用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用、例えば方法2以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0118】
本発明は、さらに、方法2以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示される化合物のいずれかを含む、医薬組成物を提供する。
【0119】
別の実施態様では、本願は、神経膠腫の治療方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤)の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法(方法3)を提供する。
【0120】
3.1 神経膠腫が、罹患したグリア細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1の発現を特徴とする、方法3。
【0121】
3.2 神経膠腫が、罹患したグリア細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1Cの発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0122】
3.3 神経膠腫が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を特徴とする、上記の方法のいずれか。
【0123】
3.4 神経膠腫がアストロサイトーマ(例えば、多形神経膠芽腫)である、いずれかの上記の方法。
【0124】
3.5 状態が多形神経膠芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0125】
3.6 患者に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに含む、いずれかの上記の方法。
【0126】
3.7 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時に(concurrently)投与される、方法3.6。
【0127】
3.8 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与する前に投与される、方法3.6。
【0128】
3.9 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与した後に投与される、方法3.6。
【0129】
3.10 PDE1阻害剤が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記の方法のいずれか。
【0130】
3.11 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法と同時に(concurrently)投与される、上記の方法のいずれか。
【0131】
3.12 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記の方法のいずれか。
【0132】
3.13 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記の方法のいずれか。
【0133】
3.14 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法および/または免疫療法と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0134】
3.15 PDE1阻害剤の投与が、神経膠腫において、アポトーシス細胞死、遊走の阻害、転移の阻害、および/または炎症の減少のうちの1つ以上を誘導するのに効果的である、上記の方法のいずれか。
【0135】
3.16 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法、免疫療法、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0136】
3.17 神経膠腫がPDEによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0137】
3.18 神経膠腫がPDE1によって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0138】
3.19 神経膠腫がPDE1Cによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0139】
3.20 神経膠腫がカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失を特徴としている、上記の方法のいずれか。
【0140】
3.21 神経膠腫細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、上記の方法のいずれか。
【0141】
本開示は、さらに、神経膠腫の治療方法において用いるためのPDE1阻害剤、例えば方法3以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0142】
本開示は、さらに、神経膠腫の治療方法において用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用、例えば方法3以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0143】
本発明は、さらに、方法4以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示される化合物のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0144】
別の実施態様では、本願は、患者における癌の治療方法であって、癌細胞が上昇したPDE1活性または発現を有しており、例えば癌細胞が癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示しており、該治療を必要とする対象体に、該患者にPDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤)の有効量を単独でまたは化学療法、遺伝子療法および/または免疫療法と組み合わせて投与することを含む、方法(方法4)を提供する。
【0145】
4.1 癌性細胞または腫瘍性細胞の増殖を阻害するためである、方法4。
【0146】
4.2 癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1の発現または活性を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0147】
4.3 癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1Cの発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0148】
4.4 癌細胞が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示す、上記の方法のいずれか。
【0149】
4.5 状態が腫瘍である、いずれかの上記の方法。
【0150】
4.6 腫瘍が、聴神経腫瘍、アストロサイトーマ、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫)、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、シュワン細胞腫、腺腫(例えば、好塩基性腺腫、好酸性腺腫、嫌色素性腺腫、副甲状腺腺腫、膵島腺腫、線維腺腫)、類線維腫(線維性組織球腫)、線維腫、血管腫、脂肪腫(例えば、血管脂肪腫、骨髄脂肪腫、線維脂肪腫、紡錘細胞脂肪腫、褐色脂肪腫、非定型脂肪腫)、粘液腫、骨腫、前白血病、横紋筋腫(rhadomyoma)、乳頭腫、脂漏性角化症、皮膚付属器腫瘍、肝腺腫、腎尿細管腺腫、胆管腺腫、移行細胞乳頭腫、胞状奇胎、神経節神経腫、メニンゴーマ(meningoma)、神経鞘腫、神経線維腫、C細胞過形成、褐色細胞腫、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド、ケモデクトーマ、傍神経節腫、母斑、光線角化症、子宮頚部異形成、化生(例えば、肺の化生)、白斑症、血管腫、リンパ管腫、カルシノーマ(例えば、有棘細胞癌、類表皮癌、腺癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、腎細胞癌、胆管細胞癌、移行上皮癌、胚性細胞癌(embryonal cell carcinoma)、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、燕麦細胞癌、膵島細胞癌、悪性カルチノイド,)、肉腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫)、芽細胞腫(例えば、髄芽腫および神経膠芽腫、脳腫瘍の類型(types of brain tumor)、網膜芽細胞腫、眼の網膜の腫瘍、骨芽細胞腫、骨腫瘍、神経芽腫)、胚細胞腫瘍、中皮腫、悪性皮膚付属器腫瘍、グラヴィッツ腫瘍(hypernephroma)、精上皮腫、神経膠腫、悪性髄膜腫、悪性シュワン細胞腫(malignant shwannoma)、悪性褐色細胞腫、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物(mercell cell neoplasm)、葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides)、またはウィルムス腫瘍のうちの1つ以上から選択される。いずれかの上記の方法
【0151】
4.7 状態が、神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病、または神経芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0152】
4.8 状態が、神経膠腫(例えば、上衣腫、アストロサイトーマ、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えば、オリゴアストロサイトーマ)である、いずれかの上記の方法。
【0153】
4.9 神経膠腫がアストロサイトーマ(例えば、多形神経膠芽腫)である、方法4.8。
【0154】
4.10 状態が多形神経膠芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0155】
4.11 状態が癌である、方法4~4.3のいずれか。
【0156】
4.12 状態が白血病である、方法4~4.3または4.11のいずれか。
【0157】
4.13 白血病がリンパ性白血病(lymphoctic leukemia)または骨髄性白血病である、方法4.12。
【0158】
4.14 患者に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに含む、いずれかの上記の方法。
【0159】
4.15 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時に(concurrently)投与される、方法4.14。
【0160】
4.16 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与する前に投与される、方法4.14。
【0161】
4.17 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与した後に投与される、方法4.14。
【0162】
4.18 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記の方法のいずれか。
【0163】
4.19 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法と同時に(concurrently)投与される、上記の方法のいずれか。
【0164】
4.20 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記の方法のいずれか。
【0165】
4.21 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記の方法のいずれか。
【0166】
4.22 PDE1阻害剤の投与が、癌細胞において、アポトーシス細胞死、遊走の阻害、転移の阻害、および/または炎症の減少のうちの1つ以上を誘導するのに効果的である、上記の方法のいずれか。
【0167】
4.23 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法、免疫療法、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0168】
4.24 癌または腫瘍がPDEによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0169】
4.25 癌または腫瘍がPDE1によって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0170】
4.26 癌または腫瘍がPDE1Cによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0171】
4.27 癌がカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失を特徴としている、上記の方法のいずれか。
【0172】
4.28 癌細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、上記の方法のいずれか。
【0173】
本開示は、さらに、患者における癌の治療方法に用いるためのPDE1阻害剤であって、癌細胞が上昇したPDE1活性または発現を有しており、例えば癌細胞が癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示している、PDE1阻害剤、例えば方法4以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0174】
本開示は、さらに、患者における癌の治療方法において用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用であって、癌細胞が上昇したPDE1活性または発現を有しており、例えば癌細胞が癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、該酵素を構成的活性型にするカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示している使用、例えば方法4以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0175】
本発明は、さらに、方法4以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示される化合物のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0176】
別の実施態様では、本願は、サイトカイン放出症候群を阻害する方法であって、該阻害を必要とする患者にPDE1阻害剤の有効量を投与することを含む方法であり、例えば該患者が癌に罹患していて化学療法、免疫療法、遺伝子療法および/または抗体療法(癌抗原に対する抗体および/または免疫チェックポイント標的に対する抗体を含む)のうちの1つ以上を受けており、該方法が、該患者への副腎皮質ステロイド薬および/抗ヒスタミン薬の投与をさらに含んでもよい、方法(方法5)を提供する。
【0177】
5.1 患者が癌に罹患している、方法5。
【0178】
5.2 癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1の発現または活性を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0179】
5.3 癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1Cの発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0180】
5.4 癌細胞が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を示している、方法5.1~5.3のいずれか。
【0181】
5.5 患者が腫瘍に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0182】
5.6 患者が、聴神経腫瘍、アストロサイトーマ、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫)、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、シュワン細胞腫、腺腫(例えば、好塩基性腺腫、好酸性腺腫、嫌色素性腺腫、副甲状腺腺腫、膵島腺腫、線維腺腫)、類線維腫(線維性組織球腫)、線維腫、血管腫、脂肪腫(例えば、血管脂肪腫、骨髄脂肪腫、線維脂肪腫、紡錘細胞脂肪腫、褐色脂肪腫、非定型脂肪腫)、粘液腫、骨腫、前白血病、横紋筋腫(rhadomyoma)、乳頭腫、脂漏性角化症、皮膚付属器腫瘍、肝腺腫、腎尿細管腺腫、胆管腺腫、移行細胞乳頭腫、胞状奇胎、神経節神経腫、メニンゴーマ(meningoma)、神経鞘腫、神経線維腫、C細胞過形成、褐色細胞腫、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド、ケモデクトーマ、傍神経節腫、母斑、光線角化症、子宮頚部異形成、化生(例えば、肺の化生)、白斑症、血管腫、リンパ管腫、カルシノーマ(例えば、有棘細胞癌、類表皮癌、腺癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、腎細胞癌、胆管細胞癌、移行上皮癌、胚性細胞癌(embryonal cell carcinoma)、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、燕麦細胞癌、膵島細胞癌、悪性カルチノイド,)、肉腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫)、芽細胞腫(例えば、髄芽腫および神経膠芽腫、脳腫瘍の類型(types of brain tumor)、網膜芽細胞腫、眼の網膜の腫瘍、骨芽細胞腫、骨腫瘍、神経芽腫)、胚細胞腫瘍、中皮腫、悪性皮膚付属器腫瘍、グラヴィッツ腫瘍(hypernephroma)、精上皮腫、神経膠腫、悪性髄膜腫、悪性シュワン細胞腫(malignant shwannoma)、悪性褐色細胞腫、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物(mercell cell neoplasm)、葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides)、またはウィルムス腫瘍のうちの1つ以上から選択される腫瘍に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0183】
5.7 患者が、神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病、または神経芽腫に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0184】
5.8 患者が、神経膠腫(例えば上衣腫、アストロサイトーマ、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えばオリゴアストロサイトーマ)に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0185】
5.9 患者がアストロサイトーマ(例えば、多形神経膠芽腫)に罹患している、方法5.8。
【0186】
5.10 患者が多形神経膠芽腫に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0187】
5.11 患者が癌に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0188】
5.12 患者が白血病に罹患している、いずれかの上記の方法。
【0189】
5.13 白血病がリンパ性白血病(lymphoctic leukemia)または骨髄性白血病である、方法5.12。
【0190】
5.14 患者に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに含む、いずれかの上記の方法。
【0191】
5.15 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時に(concurrently)投与される、方法5.14。
【0192】
5.16 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与する前に投与される、方法5.14。
【0193】
5.17 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与した後に投与される、方法5.14。
【0194】
5.18 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記の方法のいずれか。
【0195】
5.19 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法と同時に(concurrently)投与される、上記の方法のいずれか。
【0196】
5.20 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記の方法のいずれか。
【0197】
5.21 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記の方法のいずれか。
【0198】
5.22 PDE1阻害剤の投与が、癌細胞においてアポトーシス細胞死、遊走の阻害、転移の阻害、および/または炎症の減少のうちの1つ以上を誘導するのに効果的である、上記の方法のいずれか。
【0199】
5.23 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法、免疫療法、コルチコステロイド、および/または抗ヒスタミン剤と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0200】
5.24 癌または腫瘍がPDEによって媒介されている、方法5.1~5.23のいずれか。
【0201】
5.25 癌または腫瘍がPDE1によって媒介されている、方法5.1~5.24のいずれか。
【0202】
5.26 癌または腫瘍がPDE1Cによって媒介されている、方法5.1~5.25のいずれか。
【0203】
5.27 癌または腫瘍がカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失を特徴としている、方法5.1~5.26のいずれか。
【0204】
5.28 癌性細胞または腫瘍性細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、方法5.1~5.26のいずれか。
【0205】
本開示は、さらに、サイトカイン放出症候群を阻害する方法において用いるためのPDE1阻害剤、例えば方法5以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0206】
本開示は、また、サイトカイン放出症候群を阻害する方法において用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用、例えば方法5以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0207】
本発明は、さらに、方法5以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示される化合物のいずれかを含む、医薬組成物を提供する。
【0208】
別の実施態様では、本願は、構成的活性型PDE1を特徴とする癌または腫瘍の治療方法であって、該治療を必要とする患者にPDE1阻害剤(すなわち、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示されるPDE1阻害剤)の有効量を投与することを含む、方法(方法6)を提供する。
【0209】
6.1 癌細胞または腫瘍細胞内のPDE1がCa2+/カルモジュリン媒介に依存しないようになっている、方法6。
【0210】
6.2 PDE1がPDE1Aである、方法6または6.1。
【0211】
6.3 PDE1がPDE1Bである、方法6または6.1。
【0212】
6.4 PDE1がPDE1Cである、方法6または6.1。
【0213】
6.5 癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1の発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0214】
6.6 癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1Cの発現を特徴とする、いずれかの上記の方法。
【0215】
6.7 癌または腫瘍が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1 RNA発現、DNAコピー数、PDE1結合(例えば、PDE1阻害剤分子のPETまたは放射性同位体保持)、またはPDE1酵素活性(例えば、酵素アッセイで測定されるか、または癌細胞または癌細胞の細胞内ドメイン、例えば微小管ドメインにおける低レベルのcAMPに反映される)のうちの1つ以上を特徴とする、上記の方法のいずれか。
【0216】
6.8 状態が腫瘍である、いずれかの上記の方法。
【0217】
6.9 腫瘍が、聴神経腫瘍、アストロサイトーマ、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫)、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、シュワン細胞腫、腺腫(例えば、好塩基性腺腫、好酸性腺腫、嫌色素性腺腫、副甲状腺腺腫、膵島腺腫、線維腺腫)、類線維腫(線維性組織球腫)、線維腫、血管腫、脂肪腫(例えば、血管脂肪腫、骨髄脂肪腫、線維脂肪腫、紡錘細胞脂肪腫、褐色脂肪腫、非定型脂肪腫)、粘液腫、骨腫、前白血病、横紋筋腫(rhadomyoma)、乳頭腫、脂漏性角化症、皮膚付属器腫瘍、肝腺腫、腎尿細管腺腫、胆管腺腫、移行細胞乳頭腫、胞状奇胎、神経節神経腫、メニンゴーマ(meningoma)、神経鞘腫、神経線維腫、C細胞過形成、褐色細胞腫、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド、ケモデクトーマ、傍神経節腫、母斑、光線角化症、子宮頚部異形成、化生(例えば、肺の化生)、白斑症、血管腫、リンパ管腫、カルシノーマ(例えば、有棘細胞癌、類表皮癌、腺癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、腎細胞癌、胆管細胞癌、移行上皮癌、胚性細胞癌(embryonal cell carcinoma)、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、燕麦細胞癌、膵島細胞癌、悪性カルチノイド,)、肉腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫)、芽細胞腫(例えば、髄芽腫および神経膠芽腫、脳腫瘍の類型(types of brain tumor)、網膜芽細胞腫、眼の網膜の腫瘍、骨芽細胞腫、骨腫瘍、神経芽腫)、胚細胞腫瘍、中皮腫、悪性皮膚付属器腫瘍、グラヴィッツ腫瘍(hypernephroma)、精上皮腫、神経膠腫、悪性髄膜腫、悪性シュワン細胞腫(malignant shwannoma)、悪性褐色細胞腫、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物(mercell cell neoplasm)、葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides)、またはウィルムス腫瘍のうちの1つ以上から選択される、いずれかの上記の方法。
【0218】
6.10 状態が、神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病、または神経芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0219】
6.11 状態が、神経膠腫(例えば、上衣腫、アストロサイトーマ、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えば、オリゴアストロサイトーマ)である、いずれかの上記の方法。
【0220】
6.12 神経膠腫がアストロサイトーマ(例えば、多形神経膠芽腫)である、上記の方法。
【0221】
6.13 状態が多形神経膠芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0222】
6.14 状態が、構成的活性型PDE1(例えば、PDE1C)の存在を特徴としている多形神経膠芽腫である、いずれかの上記の方法。
【0223】
6.15 状態が癌である、方法6~6.7のいずれか。
【0224】
6.16 状態が白血病である、方法6~6.7または6.15のいずれか。
【0225】
6.17 白血病がリンパ性白血病(lymphoctic leukemia)または骨髄性白血病である、上記の方法。
【0226】
6.18 患者に抗腫瘍剤を投与する工程をさらに含む、いずれかの上記の方法。
【0227】
6.19 抗腫瘍剤がPDE1阻害剤と同時に(concurrently)投与される、方法6.18。
【0228】
6.20 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与する前に投与される、方法6.18。
【0229】
6.21 抗腫瘍剤が、PDE1阻害剤を投与した後に投与される、方法6.18。
【0230】
6.22 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法とともに投与される、上記の方法のいずれか。
【0231】
6.23 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法と同時に(concurrently)投与される、上記の方法のいずれか。
【0232】
6.24 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の前に投与される、上記の方法のいずれか。
【0233】
6.25 PDE1阻害剤(inhitor)が、場合によっては抗腫瘍剤も、放射線療法または化学療法の後に投与される、上記の方法のいずれか。
【0234】
6.26 PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤、化学療法、遺伝子療法および/または免疫療法と一緒に投与される、上記の方法のいずれか。
【0235】
6.27 癌または腫瘍がPDEによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0236】
6.28 癌または腫瘍がPDE1によって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0237】
6.29 癌または腫瘍がPDE1Cによって媒介されている、上記の方法のいずれか。
【0238】
6.30 癌または腫瘍がカルシウム/カルモジュリンコントロールの喪失を特徴としている、上記の方法のいずれか。
【0239】
6.31 癌性細胞または腫瘍性細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、上記の方法のいずれか。
【0240】
本開示は、さらに、構成的活性型PDE1を特徴と癌または腫瘍の治療方法において用いるためのPDE1阻害剤、例えば方法6以降のいずれかにおいて用いるためのPDE1阻害剤を提供する。
【0241】
本開示は、さらに、構成的活性型PDE1を特徴とする癌または腫瘍の治療方法において用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用、例えば方法6以降のいずれかにおいて用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0242】
本発明は、さらに、方法6以降のいずれかにおいて用いるための、PDE1阻害剤、例えば式I、Ia、II、IIIおよび/またはIVで示される化合物のいずれかを含む、医薬組成物を提供する。
【0243】
いくつかの実施態様では、医薬組成物は、1つ以上の抗腫瘍薬、例えば様々なタイプの癌および/または腫瘍の治療または除去に効果があることが知られている薬物と組み合わせて投与される。抗腫瘍薬の非限定的な例は、アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、アビトレキセート(Abitrexate)(メトトレキサート)、アブラキサン(パクリタキセル・アルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、アカラブルチニブ、AC-T、アドセトリス(ブレンツキシマブベドチン)、ADE、アド-トラスツズマブエムタンシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)、アファチニブ二マレイン酸塩、アフィニトール(エベロリムス)、アキンゼオ(Akynzeo)(ネツピタント・パロノセトロン塩酸塩)、アルダラ(Aldara)(イミキモド)、アルデスロイキン、アレセンサ(アレクチニブ)、アレクチニブ、アレムツズマブ、アリムタ(ペメトレキセド二ナトリウム)、アリコパ(Aliqopa)(コパンリシブ塩酸塩)、注射用アルケラン(メルファラン塩酸塩)、アルケラン錠(メルファラン)、アロキシ(パロノセトロン塩酸塩)、アルンブリグ(Alunbrig)(ブリガチニブ)、アンボクロリン(Ambochlorin)(クロラムブシル)、アンボクロリン(Amboclorin)(クロラムブシル)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、アレディア、パミドロン酸二ナトリウム)、アリミデックス(アナストロゾール)、アロマシン(エキセメスタン)、アラノン(ネララビン)、亜ヒ酸、アーゼラ(オファツムマブ)、黒脚病菌由来アスパラギナーゼ(Asparaginase Erwinia chrysanthemi)、アテゾリズマブ、アバスチン(ベバシズマブ)、アベルマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、バベンチオ(アベルマブ)、BEACOPP、ベセナム(Becenum)(カルムスチン)、ベレオダック(Beleodaq)(ベリノスタット)、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベスポンサ(イノツズマブオゾガマイシン)、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ビーリンサイト(ブリナツモマブ)、ボルテゾミブ、ボシュリフ(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、BuMel、ブスルファン、ブスルフェクス(ブスルファン)、カバジタキセル、カボメティクス(カボザンチニブS-リンゴ酸)、カボザンチニブS-リンゴ酸、CAF、カルケンス(Calquence)(アカラブルチニブ)、キャンパス(アレムツズマブ)、カンプサール(Camptosar)(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、カラック(Carac)(フルオロウラシル--局所)、カルボプラチン、カルボプラチン-タキソール、カルフィルゾミブ、Carmubris(カルムスチン)、カルムスチン、カルムスチンインプラント、カソデックス(ビカルタミド)、CEM、セリチニブ、セルビジン(Cerubidine)(ダウノルビシン塩酸塩)、サーバリックス(遺伝子組換えHPV二価ワクチン)、セツキシマブ、CEV、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、クラフェン(Clafen)(シクロホスファミド)、クロファラビン、クロファレックス(Clofarex)(クロファラビン)、クロラール(Clolar)(クロファラビン)、SMF、コビメチニブ、コメトリック(Cometriq)(カボザンチニブS-リンゴ酸)、コパンリシブ塩酸塩、COPDAC、COPP、COPP-ABV、コスメゲン(ダチノマイシン)、コテリック(Cotellic)(コビメチニブ)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、サイホス(Cyfos)(イホスファミド)、サイラムザ(ラムシルマブ)、シタラビン、シタラビンリポソーム、サイトサール-U(シタラビン)、シトキサン(シクロホスファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコジェン(Dacogen)(デシタビン)、ダチノマイシン、ダラツムマブ、ダラザレックス(ダラツムマブ)、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デファイテリオ(デフィブロチドナトリウム)、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デポサイト(シタラビンリポソーム)、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、Dox-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、デュルバルマブ、エフデックス(Efudex)(フルオロウラシル--局所)、エリテク(Elitek)(ラスブリカーゼ)、エレンセ(Ellence)(エピルビシン塩酸塩)、エロツズマブ、エロキサチン(オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、イメンド(アプレピタント)、エムプリシティ(エロツズマブ)、エナシデニブメシル酸塩、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、アービタックス(セツキシマブ)、エリブリンメシル酸塩、エリベッジ(ビスモデギブ)、エルロチニブ塩酸塩、エルウィナーゼ(Erwinaze)(黒脚病菌由来アスパラギナーゼ(Asparaginase Erwinia chrysanthemi))、エチオール(Ethyol)(アミホスチン)、エトポホス(Etopophos)(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エバセト(Evacet)(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、エベロリムス、エビスタ(ラロキシフェン塩酸塩)、エボメラ(Evomela)(メルファラン塩酸塩)、エキセメスタン、5-FU(フルオロウラシル注射剤)、5-FU(フルオロウラシル--局所)、フェアストン(トレミフェン)、ファリーダック(パノビノスタット)、フェソロデックス(フルベストラント)、FEC、フェマーラ(レトロゾール)、フィルグラスチム、フルダラ(リン酸フルダラビン)、リン酸フルダラビン、フルオロプレックス(Fluoroplex)(フルオロウラシル--局所)、フルオロウラシル注射剤、フルオロウラシル-局所、フルタミド、フォレックス(Folex)(メトトレキサート)、フォレックスPFS(Folex PFS)(メトトレキサート)、フォルフィリ、フォルフィリ-ベバシズマブ、フォルフィリ-セツキシマブ、フォルフィリノックス、フォルフォックス、フォロチン(プララトレキサート)、FU-LV、フルベストラント、ガーダシル(遺伝子組換えHPV四価ワクチン)、ガーダシル9(遺伝子組換えHPV九価ワクチン)、ガザイバ(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、ジェムザール(ゲムシタビン塩酸塩)、ジロトリフ(Gilotrif)(アファチニブ二マレイン酸塩)、グリベック(イマチニブメシル酸塩)、ギリアデル(カルムスチンインプラント)、ギリアデルウエハ剤(カルムスチンインプラント)、グルカルピダーゼ、ゴセレリン酢酸塩、ハラヴェン(エリブリンメシル酸塩)、ヘマンジオル(Hemangeol)(プロプラノロール塩酸塩)、ハーセプチン(トラツズマブ)、遺伝子組換えHPV二価ワクチン、遺伝子遺伝子組換えHPV九価ワクチン、遺伝子組換えHPV四価ワクチン、ハイカムチン(トポテカン塩酸塩)、ハイドレア(ヒドロキシ尿素)、ヒドロキシ尿素、Hyper-CVAD、イブランス(パルボシクリブ)、イブリツモマブ・チウキセタン、イブルチニブ、ICE、アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩)、イダマイシン(イダルビシン塩酸塩)、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、イドヒファ(Idhifa)(エナシデニブメシル酸塩)、イフェックス(Ifex)(イホスファミド)、イホスファミド、イホスファミダム(Ifosfamidum)(イホスファミド)、IL-2(アルデスロイキン)、イマチニブメシル酸塩、イムブルビカ(イブルチニブ)、イミフィンジ(デュルバルマブ)、イミキモド、イムリジック(Imlygic)(タリモジーン・ラハーパレプベック)、インライタ(アキシチニブ)、イノツズマブオゾガマイシン、遺伝子組換えインターフェロンアルファ-2b、インターロイキン-2(アルデスロイキン)、イントロンA(Intron A)(遺伝子組換えインターフェロンアルファ-2b)、イピリムマブ、イレッサ(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、イストダックス(ロミデプシン)、イクサベピロン、クエン酸イクサゾミブ、イグゼンプラ(イクサベピロン)、ジャカフィ(Jakafi)(ルキソリチニブリン酸塩)、JEB、ジェブタナ(カバジタキセル)、カドサイラ(アド-トラスツズマブエムタンシン)、ケオキシフェン(Keoxifene)(ラロキシフェン塩酸塩)、ケピバンス(パリフェルミン)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、キスカリ(Kisqali)(リボシクリブ)、キムリア(チサゲンレクルユーセル)、カイプロリス(カルフィルゾミブ)、ランレオチド酢酸塩、ラパチニブ二トシル酸塩、ラルトルボ(Lartruvo)(オララツマブ)、レナリドミド、レンバチニブメシル酸塩、レンビマ(レンバチニブメシル酸塩)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイケラン(クロラムブシル)、リュープロリド酢酸塩、ロイスタチン(クラドリビン)、レブラン(Levulan)(アミノレブリン酸)、リンフォリジン(Linfolizin)(クロラムブシル)、リポドックス(LipoDox)(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ロムスチン、ロンサーフ(トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩)、リュープロン(リュープロリド酢酸塩)、リュープロンデポー(リュープロリド酢酸塩)、リュープロンデポー-Ped(リュープロリド酢酸塩)、リムパーザ(オラパリブ)、マルキボ(Marqibo)(ビンクリスチン硫酸塩リポソーム)、マチュラン(Matulane)(プロカルバジン塩酸塩)、メクロレタミン塩酸塩、メゲストロール酢酸塩、メキニスト(トラメチニブ)、メルファラン、メルファラン塩酸塩、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(Mesnex)(メスナ)、メタゾラストン(Methazolastone)(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メチルナルトレキソン臭化物、メキサート(Mexate)(メトトレキサート)、メキサート-AQ(Mexate-AQ)(メトトレキサート)、ミドスタウリン、マイトマイシンC、ミトキサントロン塩酸塩、マイトザイトレックス(Mitozytrex)(マイトマイシンC)、MOPP、モゾビル(プレリキサホル)、ムスタルゲン(Mustargen)(メクロレタミン塩酸塩)、ムタマイシン(Mutamycin)(マイトマイシンC)、ミレラン(ブスルファン)、マイロサール(Mylosar)(アザシチジン)、マイロターグ(ゲムツズマブ・オゾガマイシン)、ナノ粒子パクリタキセル(パクリタキセル・アルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ナベルビン(ビノレルビン酒石酸塩)、ネシツムマブ、ネララビン、ネオサール(Neosar)(シクロホスファミド)、ネラチニブマレイン酸塩、ネルリンクス(Nerlynx)(ネラチニブマレイン酸塩)、ネツピタント・パロノセトロン塩酸塩、ニューラスタ(Neulasta)(ペグフィルグラスチム)、ニューポジェン(フィルグラスチム)、ネクサバール(ソラフェニブトシル酸塩)、ニランドロン(Nilandron)(ニルタミド)、ニロチニブ、ニルタミド、ニンラーロ(クエン酸イクサゾミブ)、ニラパリブトシル酸塩一水和物、ニボルマブ、ノルバデックス(タモキシフェンクエン酸塩)、エヌプレート(Nplate)(ロミプロスチム)、オビヌツズマブ、オドムゾ(Odomzo)(ソニデギブ)、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オンカスパール(Oncaspar)(ペグアスパルガーゼ(Pegaspagase))、オンダンセトロン塩酸塩、オニバイド(Onivyde)(イリノテカン塩酸塩リポソーム)、オンタック(Ontak)(デニロイキンジフチトクス)、オプジーボ(ニボルマブ)、OPPA、オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセル・アルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パロノセトロン塩酸塩およびネツピタント、
パミドロン酸二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、パラプラット(Paraplat)(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボプラチン)、パゾパニブ塩酸塩、PCV、PEB、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2b、PEG-イントロン(ペグインターフェロンアルファ-2b)、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、パージェタ(ペルツズマブ)、ペルツズマブ、プラチノール(Platinol)(シスプラチン)、プラチノール-AQ(Platinol-AQ)(シスプラチン)、プレリキサホル、ポマリドミド、ポマリスト(ポマリドミド)、ポナチニブ塩酸塩、ポートラーザ(ネシツムマブ)、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロロイキン(Proleukin)(アルデスロイキン)、プロリア(デノスマブ)、プロマクタ(エルトロンボパグオラミン)、プロプラノロール塩酸塩、プロベンジ(シプロイセルT)、プリネトール(Purinethol)(メルカプトプリン)、プリキサン(Purixan)(メルカプトプリン)、二塩化ラジウム223、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)九価ワクチン、遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)四価ワクチン、遺伝子組換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、レリストール(メチルナルトレキソン臭化物)、R-EPOCH、レブラミド(レナリドミド)、リウマトレックス(メトトレキサート)、リボシクリブ、R-ICE、リツキサン(リツキシマブ)、リツキサン・ハイセラ(Rituxan Hycela)(リツキシマブおよびヒトヒアルロニダーゼ)、リツキシマブ、リツキシマブおよびヒトヒアルロニダーゼ、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルビドマイシン(Rubidomycin)(ダウノルビシン塩酸塩)、ルブラカ(Rubraca)(ルカパリブカンシル酸塩(Rucaparib Camsylate))、ルカパリブカンシル酸塩(Rucaparib Camsylate)、ルキソリチニブリン酸塩、ライダプト(Rydapt)(ミドスタウリン)、スクレロゾール胸膜内エアゾール(Sclerosol Intrapleural Aerosol)(タルク)、シルツキシマブ、シプロイセルT、ソマチュリンデポー(ランレオチド酢酸塩)、ソニデギブ、ソラフェニブトシル酸塩、スプリセル(ダサチニブ)、スタンフォードV、滅菌タルク粉末(Sterile Talc Powder)(タルク)、ステリタルク(Steritalc)(タルク)、スチバーガ(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸塩、スーテント(スニチニブリンゴ酸塩)、シラトロン(Sylatron)(ペグインターフェロンアルファ-2b)、シルバント(Sylvant)(シルツキシマブ)、シンリボ(Synribo)(オマセタキシン・メペサクシネート)、タブロイド(Tabloid)(チオグアニン)、TAC、タフィンラー(ダブラフェニブ)、タグリッソ(オシメルチニブ)、タルク、タリモジーン・ラハーパレプベック、タモキシフェンクエン酸塩、タラビンPFS(Tarabine PFS)(シタラビン)、タルセバ(エルロチニブ塩酸塩)、タルグレチン(ベキサロテン)、タシグナ(ニロチニブ)、タキソール(パクリタキセル)、タキソテール(ドセタキセル)、テセントリク(アテゾリズマブ)、テモダール(Temodar)(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、サロミド(Thalomid)(サリドマイド)、チオグアニン、チオテバ、チサゲンレクルユーセル、トーラック(Tolak)(フルオロウラシル--局所)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トーリセル(テムシロリムス)、トテクト(Totect)(デクスラゾキサン塩酸塩)、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、トラツズマブ、トレアンダ(ベンダムスチン塩酸塩)、トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩、トリセノックス(亜ヒ酸)、タイケルブ(ラパチニブ二トシル酸塩)、ユニツキシン(Unituxin)(ジヌツキシマブ)、ウリジントリアセテート、VAC、バルルビシン、バルスター(Valstar)(バルルビシン)、バンデタニブ、VAMP、バルビ(Varubi)(ロラピタント塩酸塩)、ベクティビックス(パニツムマブ)、VeIP、ベルバン(Velban)(ビンブラスチン硫酸塩)、ベルケイド(ボルテゾミブ)、ベルサール(Velsar)(ビンブラスチン硫酸塩)、ベムラフェニブ、ベネクレクスタ(ベネトクラクス)、ベネトクラクス、ベージニオ(アベマシクリブ)、ビアデュール(Viadur)(リュープロリド酢酸塩)、ビダーザ(アザシチジン)、ビンブラスチン硫酸塩、ビンカサールPFS(Vincasar PFS)(ビンクリスチン硫酸塩)、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、VIP、ビスモデギブ、ビストガード(Vistogard)(ウリジントリアセテート)、ボラキサーゼ(Voraxaze)(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、ヴォトリエント(パゾパニブ塩酸塩)、ヴィキセオス(Vyxeos)(ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム)、ウェルコボリン(Wellcovorin)(ロイコボリンカルシウム)、ザーコリ(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、XELIRI、XELOX、イクスゲバ(Xgeva)(デノスマブ)、ゾーフィゴ(二塩化ラジウム223)、イクスタンジ(エンザルタミド)、ヤーボイ(イピリムマブ)、イエスカルタ(アキシカブタゲンシロロイセル)、ヨンデリス(トラベクテジン)、ザルトラップ(Ziv-アフリベルセプト)、ザルキシオ(Zarxio)(フィルグラスチム)、ゼジューラ(Zejula)(ニラパリブトシル酸塩一水和物)、ゼルボラフ(ベムラフェニブ)、ゼヴァリン(イブリツモマブ・チウキセタン)、ジンカード(Zinecard)(デクスラゾキサン塩酸塩)、Ziv-アフリベルセプト、ゾフラン(オンダンセトロン塩酸塩)、ゾラデックス(ゴセレリン酢酸塩)、ゾレドロン酸、ゾリンザ(ボリノスタット)、ゾメタ(ゾレドロン酸)、ザイデリグ(Zydelig)(イデラリシブ)、ジカディア(セリチニブ)、ザイティガ(酢酸アビラテロン)である。
【0244】
本明細書で用いられる場合、用語「抗腫瘍剤」は、癌または腫瘍の形成または増殖を防止または阻害するのに有効な化学薬剤または薬物をいうと解される。本明細書で論じられる抗腫瘍剤は、アルキル化剤、抗代謝物、天然物、ホルモン、および/または抗体を包含し得る。腫瘍または癌の治療は、体内の癌性細胞または腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤を制限すること、または該癌または腫瘍に関連する症状を制限することを含み得る。本明細書で用いられる場合、抗腫瘍剤は、抗癌剤を包含し、そうでなければ抗癌剤と同義であると解される。
【0245】
本開示化合物の製造方法
【0246】
本開示のPDE1阻害剤およびそれらの薬学的に許容される塩は、米国特許第8,273,750号、米国特許出願公開第2006/0173878号、米国特許第8,273,751号、米国特許出願公開第2010/0273753号、米国特許第8,697,710号、米国特許第8,664,207号、米国特許第8,633,180号、米国特許第8,536,159号、米国特許出願公開第2012/0136013号、米国特許出願公開第2011/0281832号、米国特許出願公開第2013/0085123号、米国特許出願公開第2013/0324565号、米国特許出願公開第2013/0338124号、米国特許出願公開第2013/0331363号、国際公開第2012/171016号および国際公開第2013/192556号に記載され、例示されているような方法を使用して、また、それらと同様の方法によって、および化学技術分野で知られている方法によって、製造することができる。このような方法としては、以下に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのプロセスの出発物質は、市販されていない場合には、既知の化合物の合成方法と同様または類似の技術を用いる化学技術から選択される手順によって製造され得る。
【0247】
様々なPDE1阻害剤およびその出発物質は、米国特許出願公開第2008-0188492号(A1)、米国特許出願公開第2010-0173878号(A1)、米国特許出願公開第2010-0273754号(A1)、米国特許出願公開第2010-0273753号(A1)、国際公開第2010/065153号、国際公開第2010/065151号、国際公開第2010/065151号、国際公開第2010/065149号、国際公開第2010/065147号、国際公開第2010/065152号、国際公開第2011/153129号、国際公開第2011/133224号、国際公開第2011/153135号、国際公開第2011/153136号、国際公開第2011/153138号に記載されている方法を使用して製造することができる。本明細書で引用されている参考文献はすべて、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0248】
さらなるPDE1阻害剤および関連方法は、米国仮出願第62/833,481号(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。さらなる関連PDE1阻害剤および関連方法は、国際公開第2018/049417号(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。
【0249】
本開示化合物は、それらのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体、ならびにそれらの多形体、水和物、溶媒和物および複合体を包含する。本開示の範囲内のいくつかの個々の化合物は、二重結合を含み得る。本開示における二重結合の表現は、二重結合のE異性体およびZ異性体の両方を含むことを意味している。さらに、本開示の範囲内のいくつかの化合物は、1個以上の不斉中心を含み得る。本開示は、光学的に純粋な立体異性体のいずれかおよび立体異性体の組合せの使用を包含する。
【0250】
本開示化合物が、その安定な同位体および不安定な同位体を包含することも意図されている。安定な同位体は、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、1個のさらなる中性子を含有する非放射性同位体である。このような同位体を含む化合物の活性は保持され、このような化合物は非同位体類似体の薬物動態を測定するための有用性も有すると考えられる。例えば、本開示化合物のある位置の水素原子を重水素(非放射性の安定な同位体)に置き換えることができる。既知の安定な同位体の例としては、重水素、13C、15N、18Oが挙げられるが、これらに限定されない。別法として、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、さらなる複数の中性子を含有している放射性同位体である不安定な同位体、例えば123I、131I、125I、11C、18Fは、I、CおよびFの対応する豊富な種と置き換わってもよい。本開示の化合物の有用な同位体の別の例は、11C同位体である。これらの放射性同位体は、本開示の化合物の放射線画像処理および/または薬物動態学的研究に有用である。
【0251】
融点は無補正であり、(dec)は分解を示す。温度は摂氏(℃)で示される;特記しない限り、操作は、室温または周囲温度で、すなわち18~25℃の範囲の温度で行われる。クロマトグラフィーとは、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを意味し;薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレートで行われる。NMRデータは、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対して百万分率(ppm)で表される主要な診断用プロトンのデルタ値で示される。シグナル形状の慣用の略語が使用される。結合定数(J)は、Hzで表される。質量スペクトル(MS)について、同位体分割によって複数の質量スペクトルピークが生じる分子については最小質量の主要イオンが報告される。溶媒混合物の組成は、体積百分率または体積比として示される。NMRスペクトルが複雑な場合には、診断信号のみが報告される。
【0252】
「治療」および「治療すること」という語は、したがって、疾患の症状の治療または寛解ならびに疾患の原因の治療を包含するものと解されるべきである。
【0253】
治療方法について、「有効量」という語は、特定の疾患または障害を治療するための治療有効量を包含することを意図している。
【0254】
「患者」という用語は、ヒトまたは非ヒト(すなわち、動物)患者を含む。特定の実施態様では、本開示は、ヒトおよび非ヒトの両方を包含する。別の実施態様では、本開示は、非ヒトを包含する。他の実施態様では、該用語はヒトを包含する。
【0255】
本開示で使用される場合、「含む」という用語は、制限がない(open-ended)ことを意図しており、未記載のさらなる要素または方法ステップを排除しない。
【0256】
本開示を実施する際に用いられる用量は、もちろん、例えば治療される特定の疾患または状態、使用される特定の本開示化合物、投与様式、および所望の療法に応じて変化する。本開示化合物は、経口、非経口、経皮、または吸入を含む好適な経路によって投与され得るが、好ましくは経口投与される。一般に、例えば上記のような疾患の治療のための、満足のいく結果は、約0.01~2.0mg/kgのオーダーの用量で経口投与により得られることが示されている。大きな哺乳動物、例えばヒトでは、PDE1阻害剤の両方の経口投与のための指示された一日量は、それに応じて、約0.50~300mgの範囲であり、好都合には1日1回投与されるか、または1日2~4回の分割用量で投与されるか、または徐放性剤形で投与される。したがって、経口投与用の単位剤形は、例えば、薬学的に許容される希釈剤または担体と一緒に本開示化合物約0.2~150または300mg、例えば約0.2または2.0~10、25、50、75、100、150または200mgを含むことができる。
【0257】
特に方法1~6以降のいずれかでの使用または投与のための、本開示化合物は、癌または腫瘍、例えば多形神経膠芽腫を治療するために必要に応じてより高い用量で投与することができる。このような方法のためのPDE1阻害剤の投与は1日に約50mg~1000mgの範囲であり得ることが想定される。例えば、方法1~6以降のいずれかに従って状態のためにPDE1阻害剤を投与される患者は、式I、Ia、II、IIIまたはIVで示されるPDE1阻害剤を1日50mg~1000mg、1日50mg~900mg、1日50mg~800mg、1日50mg~700mg、1日50mg~600mg、1日50mg~500mg、1日50mg~400mg、1日50mg~350mg、1日50mg~300mg、1日50mg~250mg、1日50mg~200mg、1日50mg~150mg、または1日50mg~100mgの量で投与することができる。
【0258】
本開示化合物は、経口、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)または経皮を含む満足のいく経路によって投与することができるが、好ましくは経口投与される。特定に実施態様では、例えばデポー製剤での、本開示化合物は、好ましくは非経口投与され、例えば注射によって投与される。
【0259】
本開示化合物および本開示の医薬組成物は、1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせて、特に個々の薬剤が単剤療法として使用される場合よりも低用量で使用されて、慣用の単剤療法で一般的に生じる望ましくない副作用を引き起こすことなく組み合わせた薬剤の治療活性を増強することができる。したがって、本開示化合物は、疾患を治療するのに有用な他の薬剤と、同時に(simultaneously)、別々に、連続して、または同時期に(contemporaneously)投与することができる。別の例では、副作用は、本開示化合物を遊離形態または塩形態の1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与する(ここで、(i)第2の治療剤または(ii)本開示化合物と第2の治療剤の両方の用量が、薬剤/化合物が単剤療法として投与される場合よりも低い)ことによって軽減または最小化することができる。非限定的な例として、このようなさらなる治療剤としては、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬などを挙げることができる。
【0260】
治療的使用をいう場合の「同時に(simultaneously)」という用語は、2つ以上の活性成分を同一投与経路によって同時またはほぼ同時に投与することを意味する。
【0261】
治療的使用をいう場合の「別々に」という用語は、2つ以上の活性成分を異なる投与経路によって同時またはほぼ同時に投与することを意味する。
【0262】
本開示化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤、および生薬技術分野で知られている技術を使用して調製することができる。したがって、経口投与剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを挙げることができる。
【実施例】
【0263】
下記の実施例1~4におけるデータは、F. Rowther, et al. 2016, Cyclic nucleotide phosphodiesterase‐1C (PDE1C) drives cell proliferation, migration and invasion in glioblastoma multiforme cells in vitro. Molecular Carcinogenesis. 55(3):268-79において公表されている。
【0264】
比較例1: 多形性神経膠芽腫組織におけるPDE1C発現
従前にLewandowicz GM, et al., Chemosensitivity in childhood brain tumours in vitro: Evidence of differential sensitivity to lomustine (CCNU) and vincristine. Eur J Cancer 2000;36:1955に記載されているように、成人多形性神経膠芽腫(GBM)生検組織から短期細胞培養物を調製した。該サンプルを、378C非CO2インキュベーター中にて10%ウシ胎仔血清を含むHams F10栄養混合物[Invitrogen, UK]中に維持した。正常ヒト星状細胞(NHA)[Lonza, UK]および樹立細胞株U251-MGも含まれていた。Brain Tumor NW Research Tissue Bank(Preston, UK)から、同意されたGBM生検サンプルを採取した。GBM組織の組織学的評価をその部位で行い、WHO2007グレーディングスキームに従って腫瘍を分類した。全脳小脳および胎児脳梁を含む正常ヒト脳対照もまた、PDE1C発現を決定するために用いた。
【0265】
QIAmp DNA Mini Kit[Qiagen, UK]を用いてGBM培養物からDNAを抽出した。RNeasy Mini Kit[Qiagen, UK]を使用して、GBM短期培養物(106細胞)または約5mgのスナップ凍結生検組織から全RNAを抽出した。NanoDrop ND-2000[Thermo Scientific, UK]を使用して、DNAおよび全RNAを定量した。QuantiTect Reverse Transcription[Qiagen, UK]を使用して、全RNA(500ng)からcDNAを合成した。
【0266】
FAMレポーター(Hs01364699_cn[Life Technologies, UK]を用いたPDE1C TaqManコピー数アッセイを使用して、GBM由来培養物20ng/ウェル(96ウェル)からリアルタイム定量的PCRを行った。aCGHがフォーカルゲインを検出したのと同じゲノム位置にプローブの位置を選択した。TERTのTaqmanアッセイを内因性対照(VICレポーター)として用い[Life Technologies, UK]、PDE1Cコピー数をそのレベルに正規化した。等量の雄性および雌性のゲノムDNA[Promega, UK]を混合して参照DNAを得、正常対照{アッセイ用PDE1Cの二倍体コピーを保持している}として使用した。正確なコピー数データを得るために、QPCR増幅を3つの独立した実験で3重に行った。
【0267】
発現解析のために、ABI 7500 Sequence Detection System[Applied Biosystems, UK]で、FAMレポーター[Thermo Scientific, UK]を用いたSolaris QPCR PDE1C遺伝子発現アッセイを使用して、QPCRを行った。低ROXの1×Solaris qPCRマスター混合物[Thermo Scientific, UK]を使用して、cDNA 2μLを20mLの反応容量で増幅し、増幅を3重に行った。PDE1C発現レベルをGAPDHに対して正規化し、2ΔΔCT法を使用して相対的発現を決定した。正常脳対照(全脳RNA、ヒト小脳および脳梁)はClontech[France]から入手した。
【0268】
QPCR解析の結果は下記の表1に要約されている。
【0269】
【0270】
上記に示されるように、QPCR解析により、短期GBM細胞培養物におけるPDE1Cのゲインが確認される。QPCR解析を使用した短期培養物におけるPDE1Cの発現、およびゲノム過剰出現とPDE1C発現との関連は、(正常なヒト星状細胞と比較して)発現の上昇が、対照培養物IN2045を除いて、ゲノム過剰出現を伴うすべての試験細胞培養物に存在したことから明らかであった(
図1)。対照培養物と比較して、各短期培養物において、23~360倍の範囲の有意な発現上昇が観察された(P<0.0001)。
【0271】
比較例2: GBMの増殖におけるPDE1Cの役割の決定
血清含有培地中でDharmaFECT-1トランスフェクション試薬を使用してsiRNAトランスフェクションを促進し、陽性対照シクロフィリンB siRNA[Thermo Scientific, UK]を使用してトランスフェクション効率を評価した。培養物を、同じ濃度の非ターゲティングsiRNAプールと並行してトランスフェクトした。非ターゲティングsiRNAおよびPDE1C特異的siRNAをsiNTおよびsiPDと略記する。細胞を培養密度40~50%で播種し、トランスフェクションを開始する前に48時間インキュベートした。最初の48時間のインキュベーションの終わりに、細胞をトランスフェクトし、4日間インキュベートした。5日目に、細胞をトリプシン処理し、新しいフラスコに再播種し、一夜付着させた。6日目に細胞を再トランスフェクトし(siNTまたはsiPDのいずれかで)、さらに4日間インキュベートした後、さらなる実験のために収集した。siNTおよびsiPD細胞を72時間増殖させ、Vichai V, Kirtikara K. Sulforhodamine B colorimetric assay for cytotoxicity screening. Nat Protoc 2006;1:1112-1116に記載されているように、SRBを使用して増殖アッセイを行った。ビンポセチンをDMSOに溶解し、500μM~0.977μMの段階希釈の用量範囲を使用した。
【0272】
図3に示されるように、トランスフェクションを停止した後、細胞の増殖能を評価した。初期のPDE1C発現レベルに関わらず、IN2045を除く全ての培養物において、PDE1C枯渇は、PDE1C発現細胞と比較した場合、一貫して増殖を45~54%減少させた(P<0.05)。cAMPおよびcGMP活性は、PDE1Cの枯渇の後にも評価した。対照培養物IN2045を除いて、siNT細胞と比較して、siPD細胞においてcAMPおよびcGMPの両方の活性の増加(P<0.05)が検出されたことが観察された。
【0273】
比較例3: GBM細胞の遊走および浸潤におけるPDE1Cの役割の決定
CytoSelect 24ウェル細胞遊走および浸潤アッセイ[Cell Biolabs, Inc., USA]を使用して、siNTおよびsiPDの遊走および浸潤の可能性を評価した。20,000個のsiNTまたはsiPD細胞を無血清培地中のポリカーボネート膜(8mM)に播種し、血清含有培地を化学誘引物質として使用した。インキュベーション時間の終わりに、遊走細胞を除去し、膜上の非遊走細胞をクリスタルバイオレットを使用して染色し、比色測定で定量化した。浸潤アッセイのために、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質でプレコートしたポリカーボネート膜を用いた[Cell Biolabs, Inc., USA]。
【0274】
細胞遊走はまた、製造業者の指示に従ってCytoSelect 24ウェル創傷治癒アッセイ[Cell Biolabs, Inc., USA]を用いて評価した。%遊走を式:
[(創傷領域に遊走した細胞)/(スライド上の細胞の総数)]×100
によって計算した。
【0275】
siNTにおける遊走を100%として設定した。ビンポセチンについては、アッセイの期間中、処理を継続した。
【0276】
図4および5に示されるように、siPD細胞は、siNT細胞と比較した場合、遊走(ポリカーボネート膜を介して)および浸潤(ECMコーティングしたポリカーボネート膜を介して)の両方の能力の低下を示した。遊走および浸潤した細胞を定量化し、siNTと比較してsiPD細胞で40~60%の遊走能および浸潤能の低下が認められた。培養物IN1472およびIN1760では、細胞遊走および浸潤の減少は統計的に有意であった(P<0.05)。遊走と浸潤の阻害の相対的な程度が個々の培養物のそれぞれで非常に類似していたことに注目することは興味深いことであった。増殖と同様に、siPD IN2045細胞では遊走または浸潤の阻害はなかった。ボイデンチャンバーアッセイを使用して得られた結果は、創傷治癒アッセイ(
図6)で確認された。この創傷治癒アッセイでは、3つの培養物(IN1472、IN1760、およびU251MG)においてsiNT細胞と比較してsiPD細胞で創傷領域内を遊走した細胞の数が有意に減少した。。これらのデータは、PDE1CがGBM細胞の遊走経路および浸潤経路の上流でも作用することを示している。
【0277】
比較例4: PDE1Cの下流エフェクターの同定
全ゲノム発現解析のために、1mgの総RNAをMessageAmpTM IIBiotin Enhanced Kit[Ambion; Life Technologies, UK]を用いて逆転写し、Human Genome U133 Plus 2.0[Affymetrix, UK]にハイブリダイズした。アレイをGeneChip Fluidics Station 450で洗浄し、GeneChip Scanner 3000 7G[Affymetrix, UK]を用いてスキャンした。siNTおよびsiPD処理のために、アレイを3重に実施した。
【0278】
siNTおよびsiPDの生物学的レプリケートのそれぞれについて、標準プロトコルを用いて、Affymetrix CELファイルからの生マイクロアレイデータを正規化した。アレイバックグラウンド、Q値、および平均強度はすべてのアレイで許容範囲内であった。統計的比較およびデータ可視化は、GeneSpring GX12(Agilent Technologies, UK)を使用して行った。まず、siNTと比較してsiPD細胞における発現レベルの2倍以上の変化が同定され、その後、1-Way ANOVA(P<0.05)およびBenjamini and Hochberg False Discovery Rate多重補正検定を用いて、統計的に有意な遺伝子を同定した。PDE1C枯渇によって影響を受ける、有意な生物学的、プロセスネットワーク、遺伝子オントロジー(GO)プロセスおよび疾患マーカーを、MetacoreTM[GeneGo, Thompson Reuters, USA]を用いて同定した。cBIOがんゲノミクスポータルを用いて、The Cancer Genome Atlas(TCGA)GBMコホートのPDE1C影響遺伝子の発現状況を調査し、患者アウトカムとの相関を調べました。
【0279】
増殖、浸潤および遊走に対するPDE1C枯渇の影響が最も深かった培養物IN1472およびIN1760について全ゲノム発現アレイを行った(
図2C、4B、4Dおよび4F)。2倍以上の発現の倍数変化およびsiNT細胞とsiPD細胞との間のP<0.05の統計的有意性に基づく差次的発現により、565個の転写物(465遺伝子)が同定された。IN1760については、411個の差次的発現遺伝子が検出され、そのうち146個がアップレギュレーションされ、265個がダウンレギュレーションされた。IN1472では、siPD細胞において49個の遺伝子がアップレギュレートされ、5個の遺伝子がダウンレギュレートされた。IN1472およびIN1760でそれぞれ3倍および13倍にノックダウンであったので、PDE1Cのノックダウンの成功は、発現アレイにおいても確立された。この解析により、現在の研究で用いられているPDE1C siRNAプールは、他のPDEの発現変化が検出されなかったので、PDE1Cに非常に特異的であることも確立された。
【0280】
IN1760-siPD細胞において、3~13倍のダウンレギュレーションを示した最も一般的にダウンレギュレートされた遺伝子には、IL8、PDE1C、KCTD4、PLD5、CXCL6、IL11、B3GALT2、INHBE、OPCML、およびEXT1が含まれていた(補足ファイルA)。同様に、SPARCL1、APOE、CFI、COMP、FABP3、CLU、FAM107A、PTGDS、CHI3L1、MAN1C1、TDO2およびQPRTは、IN1760-siPD細胞において4~8倍のアップレギュレーションを示した。逆に、IN1472では、PDE1Cが、siPD細胞において3倍を超えるダウンレギュレーションを示した唯一の遺伝子であった(補足ファイルB)。TNFSF15もまた、IN1472-siPD細胞において3倍を超えることを示した唯一の遺伝子であった。また、IN1760-siPD細胞およびIN1472-siPD細胞の両方において、APOE(アップレギュレートした)、HSD11B1(アップレギュレートした)、ST6GALNAC5(ダウンレギュレートした)、PDE1C(ダウンレギュレートした)を含む4つの遺伝子が差次的に発現した。
【0281】
PDE1C枯渇は、GBM細胞における重要な細胞経路に関与する遺伝子を変化させることが示された。以下の表2~4に示されるように、PDE1Cノックダウンにより影響を受ける最も重要な経路に関与する遺伝子を同定した。
【0282】
【0283】
【0284】
【0285】
PDE1C枯渇の結果としての差次的発現遺伝子は、TCGA GBMコホートの遺伝子発現プロファイルと強く相関していることが観察された。siPD IN1760細胞およびIN1472細胞の組み合わせた差次的遺伝子発現リストでは、PDE1Cを介したアップレギュレート遺伝子の32%がTCGAコホートではダウンレギュレートされ、PDE1Cを介したダウンレギュレート遺伝子の53%がTCGAコホートではアップレギュレートされた。このTCGA遺伝子リスト内で、クエリー遺伝子、すなわちIL8、CXCL2、FOSB、NFE2L3、SUB1、SORBS2、WNT5AおよびMMP1のうち少なくとも1つ以上のアップレギュレーションは、患者におけるアウトカムの悪化(P=0.0165)と関連しており、PDE1Cノックダウンはそれらの発現をダウンレギュレートした。したがって、PDE1C発現単独はアウトカムと関連していないが、PDE1C枯渇の結果としてのその下流エフェクターの発現の変化は、生存を改善する可能性がある。
【0286】
実施例1: GBMの増殖、浸潤および遊走を阻害する化合物1および2の能力の決定
比較例2および3に記載したように、成体多形性神経膠芽腫(GBM)生検組織からGBM細胞培養物を調製する。培養物に化合物1および2を投与して、GBMの増殖、浸潤および遊走に対するそれらの効果を評価する。化合物1および2は、
【化13】
である。
【0287】
比較例2で上記したように細胞培養物を調製した後、化合物1または化合物2で処理した細胞の増殖能を評価する。化合物の実行の成功は、対照を除くすべての培養物において、PDE1C発現細胞と比較した場合に増殖の低下を示す。cAMPおよびcGMPの両方の活性の増加は、対照培養物を除いて、siNT細胞と比較してsiPD細胞において検出される。
【0288】
化合物1または化合物2で処理した細胞の移動能および増殖能も評価される。化合物の実行の成功は、対照培養物と比較して、遊走および/または増殖の減少を示す。
【0289】
実施例2: さまざまなGBM細胞株に対するPDE1阻害剤の効果
GBM生検から得られた7つの異なる細胞株を得、それぞれが300万~400万個の細胞を含む短期ペレット培養物で調製した。PDE活性のためのIMAPアッセイにおける使用のために調製にするために、細胞ペレットをTBS(150nM NaCl、50mM Tris-HCl、pH7.4)で1回洗浄した。次いで、ペレットを遠心分離し、上清を除去した。細胞を0.15mLの溶解緩衝液(50mM Tris-HCl、pH7.4、5mM MgCl2、プロテアーゼ阻害剤カクテル)に溶解した。得られた溶液を30秒間2回超音波処理し、次いで、15,000rpmで4℃で15分間遠心分離した。上清を新しい容器に移し、直ちに凍結した。次いで、細胞を、実施例1で定義したように、PDE1発現および化合物1および2による阻害に対する感受性についてアッセイした。結果を以下の表3にまとめる。
【0290】
【0291】
上記に示されるように、PDE1Cはすべての細胞株で上昇し、ある細胞株ではPDE1C発現が75倍にも増加した。化合物1および化合物2の両方とも、試験したすべての細胞株にわたって同様に有効であることを示した。
【0292】
GBM細胞の増殖および生存に対する化合物1および2の効果を試験するために、さらなる試験を行った。各細胞集団の増殖は、10μMおよび20μMの濃度で化合物1および2に対して試験した。細胞集団の変化に関する結果を観察し、8日間毎日記録した。すべての場合において、処理した細胞株は、未処理サンプルと比較して、より遅い速度で増殖した。UWLV301、UWLV304、IN1951、U251MGおよびIN2045では、処理したGBM細胞集団は、8日目までに全体的な減少を示した。
【0293】
したがって、化合物1および2は両方とも、GBM細胞株の増殖を遅らせるかまたは排除するのに非常に効果的であることを示した。
【0294】
実施例3: カルシウム依存性および相関を含む、PDE1活性に関するGBM細胞株の分析
実施例2で使用した細胞ペレットをアッセイして、全長酵素対切断型酵素の相対的な存在を推定する手段としてPDE活性のカルシウム依存性を測定した。切断型酵素は、N末端調節ドメインを欠いており、したがって、このアッセイでは構成的活性型になる。該アッセイは、実施例2のプロトコルに従って調製した。
【0295】
細胞株のPDE1活性の分析を
図7に示す。示されているように、UWLV301細胞株およびUWLV304細胞株は、Ca2+/カルモジュリンの存在下および非存在下の両方において、非常に活性の高いPDEを示した。このことは、これらの細胞株におけるPDE活性がカルシウムに依存しないことを示している。また、基質としてcAMPを使用するPDE活性は、Ca2+/カルモジュリンの省略による影響を受けなかった。一方、IN1528およびU251MGのようないくつかの細胞株は、Ca2+/カルモジュリンの存在下では、その非存在下よりもはるかに高い活性レベルを示した。
【0296】
このことは、GBMの進行により脳細胞のPDE1が構成的に活性化される可能性を示唆している。この点を調査するためにさらなる試験を行い、以下の表4にまとめている。示されているように、様々な細胞株を、Ca2+/カルモジュリンの存在下および非存在下、ならびにカルシウムキレート剤であるEGTAの存在下で、様々な濃度で試験した。これらの試験により、UWLV301細胞株およびUWLV304細胞株は、構成的活性型であること、すなわち、Ca2+/カルモジュリンによる調節なしに活性を維持していることが確認された。
【0297】
【0298】
主にGBM細胞増殖に関連するPDEアイソフォームを確認するために、さらなる試験を行った。さまざまなPDE酵素ファミリーに対する化合物1の阻害定数(Ki)値を以下の表5にまとめている。
【0299】
【0300】
PDE1C発現の増加は、GBM細胞と関連することが観察されている。ここでの結果は、UWLV301細胞株およびUWLV304細胞株において、化合物1のPDE活性阻害のためのIC50が精製PDE1Cで得られたKi値と厳密に一致することを示しており、これらの細胞株で検出されたPDE活性はPDE1Cに起因するとの考えを支持している。
【0301】
理論に縛られることなく、PDE1Cが構造的に変化したことにより、UWLV301細胞株およびUWLV304細胞株を構成的に活性化されたと考えられる。さらなる調査の結果、UWLV301およびUWLV304のいずれも検出可能な全長PDE1Cを示さなかった。テスト中、PDE1CのN末端に対する抗体はカルシウム応答性を失った細胞においてPDE1Cを検出できなくなったため、このことが証明された。一方、ともにCa2+/カルモジュリンによって調節されたままであったIN1528およびU251MG細胞株は、検出可能な全長PDE1Cを示した。したがって、これらの試験は、GBM癌に冒された細胞がPDE1Cの調節障害および構造変化を引き起こす可能性があることを示唆している。
【0302】
提供された実施例の代替的な組み合わせおよびバリエーションは、開示に基づいて明らかになるであろう。記載された実施態様の多くの可能なバリエーションのすべてについて具体的な例を提供することは不可能であるが、そのような組み合わせおよびバリエーションは、最終的に発行される請求項であり得る。
本願は下記の態様も包含する。
[態様1]
癌または腫瘍から選択される状態の治療方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法。
[態様2]
癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1(例えばPDE1C)の発現を特徴としている、態様1記載の方法。
[態様3]
状態が、神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病または神経芽腫である、前記態様のいずれかに記載の方法。
[態様4]
状態が多形神経膠芽腫である、前記態様のいずれかに記載の方法。
[態様5]
腫瘍性細胞の増殖、遊走および/または浸潤を阻害する方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法。
[態様6]
癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1(例えば、PDE1C)の発現を特徴としている、態様5記載の方法。
[態様7]
状態が神経膠腫、骨肉腫、黒色腫、白血病または神経芽腫である、態様5~6のいずれかに記載の方法。
[態様8]
状態が多形神経膠芽腫である、態様5~7のいずれかに記載の方法。
[態様9]
神経膠腫の治療方法であって、該治療を必要とする対象体にPDE1阻害剤の薬学的に許容される量を投与することを含む、方法。
[態様10]
神経膠腫が、罹患したグリア細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1(例えば、PDE1C)の発現を特徴としている、態様9記載の方法。
[態様11]
神経膠腫が多形神経膠芽腫である、態様9~10のいずれかに記載の方法。
[態様12]
患者における癌の治療方法であって、癌細胞が、上昇したPDE1活性または発現を有しており、例えば癌細胞が、癌細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したRNA発現、DNAコピー数、PDE1結合またはPDE1酵素活性のうちの1つ以上を示しており、該患者にPDE1阻害剤の有効量を投与することを含む、方法。
[態様13]
サイトカイン放出症候群を阻害する方法であって、該阻害を必要とする患者にPDE1阻害剤の有効量を投与することを含む方法であり、例えば患者が癌に罹患していて化学療法、免疫療法、遺伝子療法および/または抗体療法のうちの1つ以上を受けている、方法。
[態様14]
患者が癌に罹患している、態様13記載の方法。
[態様15]
癌性細胞または腫瘍性細胞が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1(例えば、PDE1C)の発現または活性を特徴としている、態様13~14のいずれかに記載の方法。
[態様16]
構成的活性型PDE1を特徴とする癌または腫瘍の治療方法であって、該治療を必要とする患者にPDE1阻害剤の有効量を投与することを含む、方法。
[態様17]
癌細胞または腫瘍細胞におけるPDE1が、Ca2+/カルモジュリン媒介に依存しないようになっている、態様16記載の方法。
[態様18]
癌性細胞または腫瘍性細胞内のPDE1酵素が、カルシウム/カルモジュリンによるPDE1活性のコントロールを変化させる構造変化を受けている、態様16~17のいずれかに記載の方法。
[態様19]
癌または腫瘍が、癌性細胞または腫瘍性細胞と同じ組織型の正常細胞と比較して増加したPDE1(例えば、PDE1C)の発現を特徴としている、態様16~18のいずれかに記載の方法。
[態様20]
PDE1阻害剤が、
(A) 遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式I:
【化14】
[式中、
(i) R
1
は、HまたはC
1-4
アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R
4
は、HまたはC
1-4
アルキルであり、R
2
およびR
3
は、独立して、HまたはC
1-4
アルキル(例えば、R
2
およびR
3
は共にメチルであるか、または、R
2
はHであり、R
3
はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
R
2
は、Hであり、R
3
およびR
4
は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R
3
およびR
4
は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R
3
およびR
4
を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R
5
は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
R
5
は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化15】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R
8
、R
9
、R
11
およびR
12
は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R
10
は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルであり;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、それぞれ、R
8
、R
9
またはR
10
は存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R
6
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは-C(R
13
R
14
)-である(ここで、R
13
およびR
14
は、独立して、HまたはC
1-4
アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである];
(B) 遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態の、式II:
【化16】
[式中、
(i) Xは、C
1-6
アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC
1-6
アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R
1
、-N(R
2
)(R
3
)、または、NもしくはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC
3-7
シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R
1
は、C
1-6
アルキル、ハロC
1-6
アルキル、-OHまたは-OC
1-6
アルキル(例えば、-OCH
3
)であり;
(v) R
2
およびR
3
は、独立して、HまたはC
1-6
アルキルであり;
(vi) R
4
およびR
5
は、独立して、H、C
1-6
アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC
1-6
アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C
1-6
アルキル(例えば、メチル)、ハロC
1-6
アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC
1-6
アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC
1-6
-アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えばピリジルであるか、またはZは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである];
(C) 遊離形態または塩形態の、式III:
【化17】
[式中、
(i) R
1
は、HまたはC
1-4
アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R
2
およびR
3
は、独立して、HまたはC
1-6
アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R
4
は、HまたはC
1-4
アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R
5
は、独立して-C(=O)-C
1-6
アルキル(例えば、-C(=O)-CH
3
)およびC
1-6
-ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R
6
およびR
7
は、独立して、H、または、独立してC
1-6
アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC
1-6
アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC
1-6
アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi)nは、1、2、3または4である];
(D) 遊離形態または塩形態の、式IV
【化18】
[式中、
(vi) R
1
は、C
1-4
アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R
2
)(ここで、R
2
は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば、4-フルオロフェニルである)であり;
(vii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(viii) R
3
、R
4
およびR
5
は、独立して、HまたはC
1-4
アルキル(例えば、メチル)であるか;または、R
3
はHであり、R
4
およびR
5
は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R
4
およびR
5
は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R
4
およびR
5
を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している)、
(ix) R
6
、R
7
およびR
8
は、独立して、
H、
C
1-4
アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O)
2
-NH
2
であり;
ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R
6
、R
7
および/またはR
8
は存在しない;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R
6
、R
7
またはR
8
の少なくとも1つは-S(O)
2
-NH
2
、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである]
(E) 遊離形態、薬学的に許容される塩またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式1a:
【化19】
[式中、
(iv) R
2
およびR
5
は、独立して、Hまたはヒドロキシであり、R
3
およびR
4
は一緒になってトリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成するか[好ましくは、R
3
およびR
4
を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している];またはR
2
およびR
3
は各々メチルであり、R
4
およびR
5
は各々Hであるか;または、R
2
、R
4
およびR
5
はHであり、R
3
は、イソプロピルであり[好ましくは、R
3
を担持している炭素はR配置を有している];
(v) R
6
は、(ハロ置換されていてもよい)フェニルアミノ、(ハロ置換されていてもよい)ベンジルアミノ、C
1-4
アルキル、またはC
1-4
アルキルスルフィドであり;例えば、フェニルアミノまたは4-フルオロフェニルアミノであり;
(vi) R
10
は、C
1-4
アルキル、メチルカルボニル、ヒドロキシエチル、カルボン酸、スルホンアミド、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)フェニル、(ハロ置換またはヒドロキシ置換されていてもよい)ピリジル(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル)であり;
XおよびYは、独立して、CまたはNである]
から選択される化合物である、前記態様のいずれかに記載の方法。
[態様21]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化20】
のいずれかから選択される、前記態様のいずれかに記載の方法。
[態様22]
PDE1阻害剤が、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、前記態様のいずれかに記載の方法。