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特許7493461有機窒素含有構造化剤存在下での高純度AFX構造ゼオライトの合成方法
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  • 特許-有機窒素含有構造化剤存在下での高純度AFX構造ゼオライトの合成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】有機窒素含有構造化剤存在下での高純度AFX構造ゼオライトの合成方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
C01B39/48
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020565770
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019062560
(87)【国際公開番号】W WO2019224088
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】1854389
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス フランコ、 ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ハルブザル、 ボグダン
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0136405(US,A1)
【文献】特開2016-169139(JP,A)
【文献】国際公開第2017/202495(WO,A1)
【文献】MARTIN, Nuria et al.,Cage-based small-pore catalysts for NH3-SCR prepared by combining bulky organic structure directing agents with modified zeolites as reagents,Applied Catalysis B:Environmental,Elsevier,2017年05月29日,Vol.217,PP.125-136,ISSN:0926-3373, DOI:10.1016/j.apcatb.2017.05.082
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の工程を含むAFX構造ゼオライトの製造方法:
i)水性媒体中で、
6.00~200(限界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)モル比を有するFAU構造ゼオライト、
有機窒素化合物(1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド)(R)、および少なくとも1つのn価のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属Mの供給源である水酸化ナトリウム、を均質な前駆体ゲルが得られるまで混合し、
反応混合物は、以下のモル組成を有し、
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6.00~200、または6.00~100、
O/(SiO2(FAU))が1.00~100、または5~60、
R/(SiO2(FAU))が0.01~0.60、または0.05~0.50、
2/nO/(SiO2(FAU))が0.005~0.45、または0.05~0.25
ただし、限界値を含み、MはNaであり、n=1であり、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示す;
ii)120℃~220℃の温度で12時間~15日間、工程i)の終了時に得られた前記前駆体ゲルの水熱処理を行う。
【請求項2】
工程i)の反応混合物は、XO酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源を含み、Xは、以下の元素:ケイ素、ゲルマニウム、チタンによって形成される群より選択される1つ以上の4価元素であり、XO/SiO2(FAU)モル比が0.001~1、または0.001~0.9、または0.001~0.01であり、ただし、限界値を含み、前記比におけるSiO2(FAU)含有量は、FAU構造ゼオライトによって提供される含有量である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程i)の反応混合物が以下のモル組成を有する、請求項2に記載の方法:
(XO+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6.00~200、または6.00~100、
O/(XO+SiO2(FAU))が1~100、または5~60、
R/(XO+SiO2(FAU))が0.01~0.6、または0.05~0.5、
2/nO/(XO+SiO2(FAU))が0.005~0.45、または0.05~0.25、ただし、限界値を含む。
【請求項4】
Xがケイ素である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程i)の反応混合物がY酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源を含み、Yは、以下の元素:アルミニウム、ホウ素、ガリウムによって形成される群より選択される1つ以上の3価元素であり、Y/Al3(FAU)モル比が0.001~10、または0.001~8であり、ただし、限界値を含み、前記比におけるAl3(FAU)含有量は、FAU構造ゼオライトによって提供される含有量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程i)の反応混合物が以下のモル組成を有する、請求項5に記載の方法:
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Y)が6.00~200、または6.00~100、
O/SiO2(FAU)が1~100、または5~60、
R/SiO2(FAU)が0.01~0.6、または.05~0.5、
2/nO/SiO2(FAU)が0.005~0.45または0.05~0.25、
ただし、限界値を含み、
SiO2(FAU)はFAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量である。
【請求項7】
Yがアルミニウムである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
工程i)の反応混合物が、
-XO酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源
-およびY酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源、を含み、
FAUゼオライトは、反応混合物中の3価および4価元素SiO2(FAU)、XO、Al3(FAU)およびYの総量に対して、5~95質量%、または50~95質量%、または60~90質量%、または65~85質量%を占め、反応混合物は以下のモル組成を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法:
(XO+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Y)が6.00~200、または6.00~100、
O/(XO+SiO2(FAU))が1~100、または5~60、
R/(XO+SiO2(FAU))が0.01~0.6、または0.05~0.5、
2/nO/(XO+SiO2(FAU))が0.005~0.45、または0.05~0.25、ただし、限界値を含む。
【請求項9】
工程i)の終了時に得られる前駆体ゲルの、3価元素の酸化物として表される総量に対する4価元素の酸化物として表される総量のモル比が6.00~100(限界値を含む)の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
FAU構造ゼオライトが6.00~100(限界値を含む)のSiO/Alモル比を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
AFX構造ゼオライトの種結晶が、工程i)の反応混合物に添加され、または、前記混合物中に存在する無水形態の4価および3価元素の供給源の全質量に対して0.01~10質量%の量で添加され、前記種結晶は、4価および3価元素の供給源の全質量において考慮されない、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程i)が、撹拌しながら、または撹拌せずに、反応混合物を20~100℃の温度で30分間~48時間熟成させる工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程ii)の水熱処理が、120℃~220℃、または150℃~195℃の温度で、12時間~12日間、または12時間~8日間、自生圧力下で行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程ii)の終了時に得られる固相を濾別し、洗浄し、20~150℃、または60~100℃の温度で5~24時間乾燥し、乾燥ゼオライトを得る、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
乾燥ゼオライトを、続いて450~700℃の温度で2~20時間焼成し、焼成の前に徐々に温度を上昇させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
4.00~100の、ただし限界値を含む、SiO/Alモル比を有し、請求項1~15のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる、AFX構造ゼオライトであって、次のX線回折図から得られる平均のdhkl値及び相対強度を有するAFX構造ゼオライト。
【表A】
ここで、VS=非常に強い;S=強い;m=中程度;mw=中程度に弱い;w=弱い;vw=非常に弱いである。相対強度Irelは、100の値がX線回折図の最も強い線に起因する相対強度スケールに関連して与えられます。:vw<15;15≦w<30;30≦mw<50;50≦m<65;65≦S<85;VS≧85である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AFX構造ゼオライトの新規の製造方法に関する。この新規の方法は、水熱条件下でFAU構造ゼオライトを変換(converting)/形質転換(transforming)することによりAFX構造ゼオライトを合成するために用いることができる。
特に、前記新規の製造方法は、シリコン及びアルミニウムの供給源として使用されるFAU-構造ゼオライトと、1、5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタン、1、6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン又は1、7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンのジヒドロキシド形態から選択される、2つの第四アンモニウム官能基を含む特定の有機分子又は構造化剤から出発するAFX構造ゼオライトを合成するために使用することができる。
本発明の製造方法に従って得られた前記AFX構造ゼオライトは、触媒、吸着剤または分離剤としての用途を有利に見出す。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトまたはシリコアルミノホスフェ-トのような結晶性微孔性材料は、触媒、触媒担体、吸着剤または分離剤として石油産業において広く使用されている固体である。
多くの微孔性結晶構造が発見されているが、精製および石油化学産業は、ガスの精製または分離、炭素ベ-スの種の変換などの用途のための特定の特性を有する新規ゼオライト構造を絶えず探索している。
【0003】
AFX構造ゼオライトには、特にゼオライトSSZ-16およびゼオタイプSAPO-56およびMEAPSO-56が含まれる。
AFX構造ゼオライトは、8つのテトラヘドロンによって区切られ、グメリナイト(GMEケ-ジ)と大型AFTケ-ジ(~8.3×13.0Å)の2種類のケ-ジによって形成される3次元システムを有する。AFX構造ゼオライト、特にゼオライトSSZ-16を合成する無数の方法が知られている。
【0004】
ゼオライトSSZ-16は、1、4-ジ(1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)低級アルカン化合物(米国特許4,508,837号)に由来する有機窒素種を用いて合成されている。Chevron Research and Technology Companyは、DABCO-C-diquat cationsの存在下でゼオライトSSZ-16を製造した。ここで、DABCOは1、4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを表し、nは3、4または5である(米国特許5,194,235号)。
【0005】
S.B.Hongらは、ゼオライトSSZ-16を合成するための構造化剤として、二級アルキルアンモニウムイオンEt6-diquat-n、ここで、Et6-diquatがN’,N’-ビス-トリエチルペンタンジアンモニウムおよびnが5である、を用いた(Micropor.Mesopor.Mat.,60(2003) 237-249)。
【0006】
AFX構造ゼオライトを合成するための構造化剤としての1,3-ビス(アダマンチル)イミダゾリウムカチオンの使用も引用することができる(R.H.Archer et al.in Micropor.Mesopor.Mat.,130(2010)255-2265;Johnson Matthey Company WO2016/077667)。
【0007】
稲垣怜史ら(特開2016-169139号公報)は、アルキル基で置換された2価のN,N,N’,N’-テトラアルキルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:05,6-ジピロリジウムカチオンを用いて、ゼオライトSSZ-16を製造した。
【0008】
ChevronU.S.A.(WO2017/200607A1)は、1,1’-(1,4-シクロヘキシレンジメチレン)ビス[1-メチルピペリジニウム]、1,1’-(1,4-シクロヘキシレンジメチレン)ビス[1-メチルピロリジニウム]、1,1’-(1,4-シクロヘキシレンジメチレン)ビス[1-エチルピロリジニウム]のジカチオンを用いたSSZ-16ゼオライトの合成を提案している。
【0009】
H.-Y.Chenら(Johnson Matthey Company、US2018/0093897)は、少なくとも1,3ビス(アダマンチル)イミダゾリウムと中性アミンを含むカチオンの混合物を用いて、アルカリカチオンの非存在下でAFX構造ゼオライトJMZ-10を製造した。
【0010】
H.Y.Chenら(Johnson Matthey Company. Johnson Matthey Company、US2018/0093259)は、1,3-ビス(アダマンチル)イミダゾリウム、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム、N,N-ジエチル-シス2,6-ジメチルピペリジニウム、N,N,N-1-トリメチルアダマンチルアンモニウム、N,N,N-ジメチルエチルシクロヘキシルアンモニウムから選ばれる有機分子及び少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオンを含むカチオンの混合物を用いて、アルカリカチオンを用いて合成して得られたゼオライトと比較して、Alサイトが近いAFX構造のゼオライトJMZ-7を得た。
発明の説明
【発明の概要】
【0011】
本発明は、少なくとも次の工程を含むAFX構造ゼオライトの製造方法に関する:
i)水性媒体中で、6.00~200(限界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)モル比を有するFAU構造ゼオライト、有機窒素化合物R(Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドから選択される)、原子価nの少なくとも1つのアルカリおよび/またはアルカリ土類金属Mの少なくとも1つの供給源(nは1以上の整数であり、Mは、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムならびにこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択される)、を均質な前駆体ゲルが得られるまで混合し、
反応混合物は、以下のモル組成を有する:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(SiO2(FAU))が1.00~100、好ましくは5~60、
R/(SiO2(FAU))が0.01~0.60、好ましくは0.05~0.50、
2/nO/(SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25
ただし、限界値を含み、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示す;
ii)120℃~220℃の温度で12時間~15日間、工程i)の終了時に得られた前記前駆体ゲルの水熱処理を行う。
【0012】
好ましくはRが1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドである。
【0013】
得られたAFXゼオライトのSiO/Alモル比は有利には4.00~100であり、好ましくは6.00~80である、ただし限界値を含む。
【0014】
好ましくは、Mはナトリウムである。
【0015】
少なくとも1つのアルカリおよび/またはアルカリ土類金属Mの供給源は、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0016】
1つの態様では、工程i)の反応混合物は、XO酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源を含んでもよく、Xは、以下の元素:ケイ素、ゲルマニウム、チタンによって形成される群より選択される1つ以上の4価元素であり、XO/SiO2(FAU)モル比が0.001~1、好ましくは0.001~0.9、より好ましくは0.001~0.01であり、ただし、限界値を含み、前記比におけるSiO2(FAU)含有量は、FAU構造ゼオライトによって提供される含有量である。
【0017】
この場合、工程i)の反応混合物は、以下のモル組成を有してもよい:
(XO+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(XO+SiO2(FAU))が1~100、好ましくは5~60、
R/(XO+SiO2(FAU))が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/(XO+SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25、ただし、限界値を含む。
【0018】
好ましくは、Xはケイ素である。
【0019】
別の態様では、工程i)の反応混合物は、Y酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源を含んでもよく、Yは、以下の元素:アルミニウム、ホウ素、ガリウムによって形成される群より選択される1つ以上の3価元素であり、Y/Al3(FAU)モル比が0.001~10、好ましくは0.001~8であり、ただし、限界値を含み、前記比におけるAl3(FAU)含有量は、FAU構造ゼオライトによって提供される含有量である。
【0020】
この場合、工程i)の反応混合物は、好ましくは以下のモル組成を有する:
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Y)が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/SiO2(FAU)が1~100、好ましくは5~60、
R/SiO2(FAU)が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/SiO2(FAU)が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25、
ただし、限界値を含み、
SiO2(FAU)はFAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量である。
【0021】
好ましくは、Yはアルミニウムである。
【0022】
別の態様では、工程i)の反応混合物は、
-XO酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源
-およびY酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源、を含んでもよく、
FAUゼオライトは、反応混合物中の3価および4価元素SiO2(FAU)、XO、Al3(FAU)およびYの総量に対して、5~95質量%、好ましくは50~95質量%、非常に好ましくは60~90質量%、さらにより好ましくは65~85質量%を占め、反応混合物は以下のモル組成を有する、先行する請求項の1つに記載の方法:
(XO+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Y)が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(XO+SiO2(FAU))が1~100、好ましくは5~60、
R/(XO+SiO2(FAU))が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/(XO+SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25、ただし、限界値を含む。
【0023】
好ましくは工程i)の終了時に得られる前駆体ゲルの、3価元素の酸化物として表される総量に対する4価元素の酸化物として表される総量のモル比は、6.00~100(限界値を含む)の範囲である。
【0024】
有利には、FAU構造ゼオライトは、6.00~100(限界値を含む)のSiO/Alモル比を有する。
【0025】
AFX構造ゼオライトの種結晶は、工程i)の反応混合物に、好ましくは、前記混合物中に存在する無水形態の4価および3価元素の供給源の全質量に対して0.01~10質量%の量で添加されてもよく、前記種結晶は、4価および3価元素の供給源の全質量において考慮されない。
【0026】
工程i)は、撹拌しながら、または撹拌せずに、反応混合物を20~100℃の温度で30分間~48時間熟成させる工程を含んでもよい。
【0027】
工程ii)の水熱処理は、120℃~220℃、好ましくは150℃~195℃の温度で、12時間~12日間、好ましくは12時間~8日間、自生圧力下で行われてもよい。
【0028】
前記工程ii)の終了時に得られる前記固相を濾別し、洗浄し、20~150℃、好ましくは60~100℃の温度で5~24時間乾燥し、乾燥ゼオライトを得てもよい。
【0029】
乾燥ゼオライトは、続いて450~700℃の温度で2~20時間焼成し、焼成の前に徐々に温度を上昇させてもよい。
【0030】
本発明はまた、4.00~100の、ただし限界値を含む、SiO/Al比を有し、上記記載の製造方法によって得らことができるAFX構造ゼオライトに関する。
【0031】
本発明はまた、4.00~100の、ただし限界値を含む、SiO/Al比を有し、上記記載の製造方法によって得ることができ、焼成されるAFX構造ゼオライトであって、次のX線回折図から得られる平均のdhkl値及び相対強度を有するAFX構造ゼオライトに関する。
【0032】
【表A】
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明に係る合成プロセスで使用される構造化剤として選択され得る有機窒素化合物の化学式を示す。
図2図2は、実施例7に従って得られたAFXゼオライトのX線回折パタ-ンを示す。
図3図3は、実施例7に従って得られたAFXゼオライトの走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る合成方法の他の特徴および利点は、以下に説明する添付の図を参照して、以下の非限定的な例示的実施形態の説明を読むと明らかになるであろう。
【0035】
発明の詳細な説明
本発明の1つの主題は、以下の化合物のジヒドロキシド形態から選択される有機窒素化合物または特定の構造化剤の存在下、水熱条件下でFAU構造ゼオライトを変換(converting)/形質転換(transforming)することによる、AFX構造ゼオライトの新規な製造方法である:
1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタン、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン又は1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタン
【0036】
特に、出願人は、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタン、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン又は1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンのジヒドロキシド形態から選択される、有機窒素化合物または構造化剤を、
シリコンおよびアルミニウム源として使用する、(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))モル比が6以上200以下であるFAU構造ゼオライトと、
前記混合物の範囲内で、少なくとも1つの四価XO要素(element)の少なくとも1つの供給源、および/または少なくとも1つの三価Y要素(element)の少なくとも1つの供給源の追加供給の存在下または不存在下で混合することにより、
三価元素の酸化物として表される総量に対する四価元素の酸化物として表される総量のモル比(四価元素の総量はFAUゼオライトに由来するSiO含有量とXO酸化物の少なくとも1つの追加供給源が加えられる場合のXO酸化物の可能性のある追加供給源に由来するXO含有量の合計を表し、三価元素の総量は、FAUゼオライトに由来するAl含有量とY酸化物の少なくとも1つの追加供給源が加えられる場合のY含有量の合計を表す。)が6.00~200であるAFX構造ゼオライトの前駆体ゲルの製造、次いで非常に高純度のAFX構造ゼオライトの製造につながることを見出した。
製造過程の終了時に得られたAFX構造ゼオライトから成る結晶性固体には、他のいかなる結晶性または非晶質相も、一般的にそして非常に優先的に存在しない。
有利には、得られたAFXゼオライトはSiO/Al比が4.00~100であり、好ましくは6.00~80であり、ただし限界値が含まれている。
【0037】
より正確には、本発明の1つの主題は、少なくとも次の工程を含むAFX構造ゼオライトの新規な製造方法である:
i)水性媒体中で、6.00~200(限界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)モル比を有するFAU構造ゼオライト、特定の構造化剤とも呼ばれる有機窒素化合物R(Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドから選択される)、原子価nの少なくとも1つのアルカリおよび/またはアルカリ土類金属M(nは1以上の整数である)、を混合し、工程i)は、前駆体ゲルとして知られる均一な混合物を得ることができる時間まで実施され;
反応混合物は、以下のモル組成を有する:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(SiO2(FAU))が1~100、好ましくは5~60、
R/(SiO2(FAU))が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/(SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量であり;HOは反応混合物中に存在する水のモル量であり、Rは前記有機窒素化合物のモル量であり、M2/nOはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の供給源のM2/nO酸化物の形で表されるモル量であり、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択される1つ以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、非常に好ましくはMがナトリウムであり、
ii)120℃~220℃の温度で12時間~15日間AFX構造ゼオライトが形成するまで、工程i)の終了時に得られた前記前駆体ゲルの水熱処理を行う。
【0038】
本発明の1つの利点は、したがって、1、5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1、6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1、7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドから選択される特定の有機構造化剤の存在下で実施される方法である、FAU構造ゼオライトから始まる非常に高純度のAFX構造ゼオライトを形成するための新規な製造方法を提供することである。
【0039】
本発明の別の利点は、出発FAU構造ゼオライトの(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))モル比と同一か、それ以上か、またはそれ以下のSiO/Alモル比を有するAFX構造ゼオライトの前駆体ゲルの調製を可能にすることである。
【0040】
SiO/Alモル比が6~200である、ただし限界値を含む、出発FAU構造ゼオライトは、当業者に公知の任意の方法、例えばSiO/Alモル比が6.00未満のFAU-構造ゼオライト上での蒸気処理及び酸洗浄によって得ることができる。
SiO/Alモル比が6.00以上のFAU源として、Zeolystが産生する市販ゼオライトCBV712、CBV720、CBV760およびCBV780、ならびにTOSOHが産生する市販ゼオライトHSZ-350HUA、HSZ-360HUAおよびHSZ-385HUAを挙げることができる。
【0041】
したがって、本発明に係る製造方法は、FAU構造ゼオライトを含む前駆体ゲルのSiO/Al比を、選択されたFAU-構造ゼオライトの関数として、および
少なくとも1つの四価XO要素の供給源の少なくとも1つ、および/または少なくとも1つの三価Y要素の供給源の、追加の供給または非供給の関数として調整することを可能にする。
【0042】
工程i)は、水性媒体中での、6~200(限界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)モル比を有するFAU構造ゼオライトと、有機窒素化合物R(Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドである)と、原子価nの少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属M(nは1以上の整数である)と、の混合を含む:
反応混合物は、以下のモル組成を有する:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(SiO2(FAU))が1~100、好ましくは5~60、
R/(SiO2(FAU))が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/(SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlであり、
Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択される1つ以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、非常に好ましくはMがナトリウムである。
【0043】
好ましい一つの態様では、工程i)の反応混合物は、XO酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源を含み、XO/SiO2(FAU)モル比が0.001~1であり、
反応混合物が有利には以下のモル組成を有し:
(XO+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(XO+SiO2(FAU))が1~100、好ましくは5~60、
R/(XO+SiO2(FAU))が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/(XO+SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25であり、
ここで、Xは、次の元素:シリコン、ゲルマニウム、チタン元素、により形成された群から選択される1つ以上の四価元素であり、Xは好ましくはシリコンであり、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlであり、
Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドであり、
Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択される1つ以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、非常に好ましくはMがナトリウムである。
【0044】
別の好ましい態様では、工程i)の反応混合物がY酸化物の少なくとも1つのさらなる供給源を含み、Y/Al3(FAU)モル比が0.001~10であり、
前記反応混合物が有利には以下のモル組成を有し:
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Y)が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/SiO2(FAU)が1~100、好ましくは5~60、
R/SiO2(FAU)が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/SiO2(FAU)が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25であり、
ここで、Yは、次の元素:アルミニウム、ホウ素、ガリウム、により形成された群から選択される1つ以上の三価元素であり、Yは好ましくはアルミニウムであり、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlであり、
Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドであり、
Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択される1つ以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、非常に好ましくはMがナトリウムである。
【0045】
別の好ましい態様では、工程i)の反応混合物が、
工程i)の反応混合物は、混合物の三価および四価元素の供給源の総量に対して、5~95質量%、好ましくは50~95質量%、非常に好ましくは60~90質量%、より好ましくは65~85質量%のFAU構造ゼオライトを含み、XO酸化物の少なくとも1つの追加供給源およびY酸化物の少なくとも1つの追加供給源を含み、反応混合物は次のモル組成を有する:
(XO+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Y)が6.00~200、好ましくは6.00~100、
O/(XO+SiO2(FAU))が1~100、好ましくは5~60、
R/(XO+SiO2(FAU))が0.01~0.6、好ましくは0.05~0.5、
2/nO/(XO+SiO2(FAU))が0.005~0.45、好ましくは0.05~0.25であり、
ここで、Xは、次の元素:シリコン、ゲルマニウム、チタン元素、により形成された群から選択される1つ以上の四価元素であり、Xは好ましくはシリコンであり、
Yは、次の元素:アルミニウム、ホウ素、ガリウム、により形成された群から選択される1つ以上の三価元素であり、Yは好ましくはアルミニウムであり、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量であり、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlであり、
Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタンジヒドロキシド、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドまたは1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドであり、
Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択される1つ以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、非常に好ましくはMがナトリウムである。
【0046】
工程i)により均質な前駆体ゲルを得ることができる。
【0047】
工程ii)は、工程i)の終了時に得られた前記前駆体ゲルの水熱処理を含み、前記AFX構造ゼオライトが結晶化するまで、120℃~220℃の温度で、12時間~15日の時間で行われる。
【0048】
本発明に従い、(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))モル比が6~200であり、ただし限界値を含む、好ましくは6.00~100であり、ただし限界値を含む、FAU構造ゼオライトが、シリコンおよびアルミニウム元素の供給源として、工程(i)の実施のために反応混合物に組み込まれる。
【0049】
本発明によれば、Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタン二水酸化物、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド又は1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドから選択される有機窒素化合物であり、該化合物は、有機構造化剤として工程(i)の実施のために反応混合物に組み込まれる。
【0050】
本発明に係るAFX構造ゼオライトの合成のための有機構造化種中に存在する第四級アンモニウムカチオンに関連するアニオンは、水酸化物アニオンである。
【0051】
本発明によれば、工程i)の反応混合物に使用される、原子価nの少なくとも1つのアルカリおよび/またはアルカリ土類金属Mの少なくとも1つの供給源は、nは1以上の整数であり、Mは好ましくは、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムならびにこれらの金属の少なくとも2つの混合物から選択され、非常に好ましくは、Mはナトリウムである。
少なくとも1つのアルカリおよび/またはアルカリ土類金属Mの供給源は、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0052】
本発明によれば、XO酸化物の少なくとも1つの追加供給源(Xが以下の元素によって形成される1つ以上の四価元素であり:シリコン、ゲルマニウム、チタン、好ましくはXがケイ素であり、XO/SiO2(FAU)モル比が0.001~1、好ましくは0.001~0.9、より好ましくは0.001~0.01であり、前記比率におけるSiO2(FAU)含有量が、FAU構造ゼオライトにより提供される)は、
有利には、工程i)の反応混合物に使用される。
【0053】
特に、XO酸化物の少なくとも1つの追加供給源を加えることにより、工程i)の終了時に得られたAFX構造ゼオライトの前駆体ゲルのXO/Y比を調整することができる。
前記4価元素の供給源は、元素Xを含み、この元素を水溶液中で反応性の形態で放出することができる化合物であれば、いずれであってもよい。
【0054】
Xがチタンの場合、Ti(EtO)がチタンの供給源として有利に用いられる。
【0055】
Xがケイ素である好ましい場合では、ケイ素の供給源はゼオライト合成に一般的に用いられる前記供給源のいずれか1つ、例えば粉末シリカ、ケイ酸、コロイドシリカ、溶解シリカまたはテトラエトキシシラン(TEOS)であってもよい。
【0056】
粉末シリカの中でも、特にアルカリ金属珪酸塩の溶液から析出させた析出シリカ、ヒュ-ムドシリカ、例えばCab-O-Sil、シリカゲルなどを用いることができる。様々な粒径、例えば、10~15nm、または40~50nmの平均等価径を有するコロイダルシリカ、例えば、Ludoxのような登録商標名で販売されているものを使用することができる。好ましくは、ケイ素の供給源はCab-O-Silである。
【0057】
本発明によれば、Y酸化物の少なくとも1つの追加供給源(Yは、次の元素により形成される群から選択される1つ以上の三価元素である:
アルミニウム、ホウ素、ガリウム)
は、工程i)の混合物中で有利に使用される。
【0058】
Yは、Y/Al3(FAU)モル比が0.001~10、好ましくは0.001~8であり、前記比率中のAl3(FAU)含有量がFAU構造ゼオライトにより提供される含有量であるようなアルミニウムであることが好ましい。
従って、少なくとも1つのY酸化物の追加供給源を加えることにより、工程i)の終了時に得られたAFX構造ゼオライトの前駆体ゲルのXO/Y比を調整することができる。
【0059】
前記三価元素Yの供給源は、元素Yを含み、この元素を水溶液中で反応性の形態で放出することができる化合物であれば、いずれであってもよい。
【0060】
元素Yは、1≦b≦3(bは整数または有理数である)の酸化形態YOで、または他の任意の形態で混合物に取り込まれてもよい。
【0061】
Yがアルミニウムである好ましい場合には、アルミニウムの供給源は、水酸化アルミニウム、またはアルミニウム塩、例えば塩化物、硝酸塩または硫酸塩、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアルコキシド、またはアルミナ自体、好ましくは水和または水和可能な形態、例えばコロイド状アルミナ、擬似エ-マイト(pseudoboehmite)、γ-アルミナまたはαまたはβ三水和物であることが好ましい。
また、上記の供給源の混合物を使用してもよい。
【0062】
本発明の工程i)は、1つ以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の供給源の少なくとも1つの存在下で、FAU構造ゼオライト、任意にXO酸化物の供給源又はY酸化物の供給源、少なくとも1つの有機窒素化合物R(Rは、1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタン二水酸化物、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド又は1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンジヒドロキシドから選択される)を含む水性反応混合物を調製して、AFX構造ゼオライトの前駆体ゲルを得ることからなる。
【0063】
前記試薬の量は、このゲルにAFX構造ゼオライトの結晶化を可能にする組成物を与えるように、前記の方法で調整される。
【0064】
AFX構造ゼオライトの結晶の形成に要する時間および/または全結晶化時間を短縮するために、本発明の方法の前記工程i)の間にAFX構造ゼオライトの種子を反応混合物に添加することが有利であり得る。
前記種子結晶はまた、不純物を損なう前記AFX構造ゼオライトの形成を促進する。この種子は結晶性固体、特にAFX構造ゼオライトの結晶を含む。
種子結晶は、一般に、反応混合物中で使用される前記四価および三価元素の供給源の総無水質量の0.01%~10%の間の割合で添加され、前記種子結晶は、四価および三価元素の供給源の総質量において考慮されない。前記種結晶は、反応混合物および/または上記で定義されたゲルの組成を決定するため、すなわち、反応混合物の組成の種々のモル比の決定において、考慮されない。
【0065】
混合ステップi)は、均質な混合物が得られるまで、好ましくは15分以上の時間、好ましくは当技術分野に熟練した者に知られている任意のシステムにより撹拌しながら、低剪断速度または高剪断速度で行われる。
工程i)の終了時に、均質な前駆体ゲルが得られる。
【0066】
AFX構造ゼオライトの結晶の大きさを制御するために、水熱結晶化の前に、本発明に係る方法の工程i)の間に反応混合物の成熟化を行うことが有利であり得る。
前記成熟はまた、不純物を損なう前記AFX構造ゼオライトの形成を促進する。
本発明の方法の工程i)の間の反応混合物の熟成は、室温で、または撹拌を伴うまたは伴わない20~100℃の温度で、有利には30分~48時間の時間、行うことができる。
【0067】
本発明に係る方法の工程(ii)に従って、工程i)の終了時に得られた前駆体ゲルを、好ましくは、120℃~220℃の温度で、12時間~15日間の時間、前記AFX構造ゼオライトが形成されるまで、水熱処理に付す。
【0068】
前駆体ゲルは、有利には、AFX構造ゼオライトが完全に結晶化するまで、自生圧力下、任意にガス、例えば窒素を添加しながら、好ましくは120℃~220℃、好ましくは150℃~195℃の温度で、水熱条件下に置かれる。
【0069】
結晶化を得るのに必要な時間は、12時間~15日の範囲であり、好ましくは12時間~12日の間であり、より好ましくは12時間~8日の間である。
【0070】
反応は、一般に、撹拌しながら、または撹拌せずに、好ましくは撹拌しながら行われる。
使用され得る攪拌システムは、当業者に公知の任意のシステム、例えば、対向翼を有する傾斜パドル、攪拌タ-ボミキサ-またはエンドレススクリュ-である。
【0071】
反応終了時、本発明による製造方法の前記工程ii)を行った後AFX構造ゼオライトから形成された固相を濾別し、洗浄した後、乾燥することが好ましい。乾燥は一般に、20~150℃、好ましくは60~100℃の間で、5~24時間行われる。
【0072】
次いで、乾燥ゼオライトは、有利には、焼成され得る。焼成したAFX構造ゼオライトは一般にX線回折によって分析され、この技術はまた、本発明の方法を経て得られたゼオライトの純度を決定することを可能にする。
非常に有利には、本発明の方法は、任意の他の結晶性または非晶質相を含まない、AFX構造ゼオライトの形成を導く。
乾燥工程の後、前記AFX構造ゼオライトは、次の段階、例えば、焼成およびイオン交換の準備ができる。これらの工程については、当業者に公知の任意の従来法を用いることができる。
【0073】
乾燥後及び焼成前に得られた前記AFX構造ゼオライトの強熱減量は、一般に5~15重量%である。
本発明によれば、強熱減量(LOI)とは、固体化合物、固体化合物又はペ-ストの混合物、本発明の場合には好ましくは前記調製されたAFXゼオライトによって、静的オ-ブン(マッフル炉タイプの)中、1000℃で2時間の熱処理の間に経験する、初期の形態での固体化合物、固体化合物またはペ-ストの混合物の質量に対する、本発明の場合には好ましくは試験された乾燥AFXゼオライトの質量に対する、質量損失割合を指す。
強熱減量は、一般に、固体中に存在する溶媒(水など)の損失に相当するが、無機固体成分に含まれる有機化合物の除去にも相当する。
【0074】
本発明の方法に従って得られたAFX構造ゼオライトを焼成する工程は、好ましくは、450~700℃の温度で2~20時間行う。
焼成工程の終了時に得られたAFX構造ゼオライトは、いかなる有機種も、特に有機構造剤Rも含まない。
【0075】
前記焼成方法の終了時に、X線回折により、本発明に係る方法を経て得られた固体が、実際にAFX構造ゼオライトであることを確認することが可能となる。
得られた純度は、95重量%より大きく、好ましくは99.8重量%より大きい。
得られた固体は、表1に記録された少なくとも線を含むX線回折パタ-ンを有する。好ましくは、X線回折パタ-ンは、表1に記録されたものよりも有意な強度の他のライン(すなわち、バックグラウンドノイズの約3時間を超える強度を有する)を含まない。
【0076】
この回折パタ-ンは、銅のKα1放射線(λ=1.5406Å)を用いて、従来の粉末法を利用する回折装置による放射線結晶学的解析によって得られる。角度2θで表される回折ピ-クの位置に基づいて、試料の格子定数dhklをブラッグ法(Bragg relationship)により算出する。dhklに係る測定誤差Δ(dhkl)は、2θの測定に割り当てられた絶対誤差Δ(2θ)に応じてブラッグ法によって計算される。±0.02°に等しい絶対誤差Δ(2θ)が一般に受け入れられる。dhklの各々の値に割り当てられる相対強度Irelは、対応する回折ピ-クの高さに従って測定される。本発明に係るAFX構造結晶固体のX線回折パタ-ンは、少なくとも表1に示すdhkl値の線を含む。dhkl値の欄には、格子間距離の平均値がオングストロ-ム(Å)で示されている。これらの値の各々には、±0.6Å~±0.01Åの測定誤差Δ(dhkl)が割り当てられなければならない。
【0077】
【表1】
【0078】
X線蛍光分光法(XFS)は物質の物理的性質、X線蛍光を利用した化学分析手法である。
ベリリウム(Be)から出発する化学元素の大部分を数ppmから100%の濃度範囲で分析でき、正確で再現性のある結果が得られる。
X線は試料中の原子を励起させるために用いられ、それぞれの元素に特徴的なエネルギ-をもつX線を放出させる。
次に、これらのX線の強度とエネルギ-を測定して、物質中の元素の濃度を測定する。
【0079】
また、本発明に係る方法を経て得られるAFX構造ゼオライトのプロトン形態を得ることも有利である。
前記水素形態は、酸、特に塩酸、硫酸または硝酸のなどの強力な鉱物酸、または塩化アンモニウム、硫酸塩または硝酸塩などの化合物とイオン交換を行うことによって得られる。
前記イオン交換は、懸濁液中の前記AFX構造ゼオライトを、前記イオン交換溶液に1回以上配置することによって行うことができる。
前記ゼオライトは、イオン交換の前または後に、あるいは2つのイオン交換工程の間に焼成されてもよい。前記ゼオライトは、当該ゼオライトの多孔に含まれる有機物を除去し、イオン交換を促進するために、イオン交換前に焼成することが好ましい。
【0080】
本発明の方法を経て得られたAFX構造ゼオライトは、イオン交換後、精製および石油化学の分野における触媒用の酸性固体として使用することができる。それはまた、吸着剤として、またはモレキュラ-シ-ブとして使用されてもよい。
【実施例
【0081】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、本質的に限定されるものではない。
【0082】
実施例1:1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(構造化剤R)の製造
50gの1,6-ジブロモヘキサン(0.20モル、99%、Alfa Aesar)を、50gのN-メチルピペリジン(0.51モル、99%、Alfa Aesar)および200mLのエタノ-ルを含有する1L丸底フラスコに入れる。反応媒体を還流下で5時間撹拌する。次いで、混合物を周囲温度まで冷却し、次いで濾過する。混合物を300mLの冷ジエチルエ-テルに注ぎ、形成された沈殿を濾過し、100mLのジエチルエ-テルで洗浄する。得られた固体をエタノ-ル/エ-テル混合物中で再結晶する。得られた固体を真空下で12時間乾燥させる。71gの白色固体が得られる(すなわち、収率80%)。
【0083】
生成物は、予想されるH-NMRスペクトルを有する。H-NMR(DO,ppm/TMS):1.27(4H,m);1.48(4H,m);1.61(4H,m);1.70(8H,m);2.85(6H,s);3.16(12H,m)。
【0084】
18.9gのAgO(0.08モル、99%、アルドリッチ)を、調製した構造化剤である30gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジブロミド(0.07モル)および100mLの脱イオン水を含む250mLテフロン(登録商標)ビ-カ-に入れる。反応媒体を光の不存在下で12時間撹拌する。次いで、混合物を濾過する。得られた濾液は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドの水溶液からなる。この種の分析は、ギ酸を標準物質として使用するプロトンNMRによって行われる。
【0085】
実施例2:本発明によるAFX構造ゼオライトの製造
392mgのFAU構造ゼオライト(CBV720、SiO/Al=33.52、Zeolyst、LOI=6.63%)を、実施例1に従って製造した1.436gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(21.56重量%)の水溶液と混合した。
先の混合物に2.054gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。
AFX構造ゼオライトの形成を促進するために、実施例10に従って調製した37mgのAFX構造ゼオライトの種子(ゼオライトCBV720の質量に対して9.4%)を合成混合物に加え、5分間撹拌し続ける。
368mgの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に仕込み、これを30分間撹拌し続ける。
前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.03 Al:0.17 R:0.16 NaO:34 HO、すなわちSiO/Al比33.3である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じた後、ロ-タリ-スピットシステム(rotary spit system)を用いて35rpmで攪拌しながら180℃で22時間加熱する。得られた固体を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は10%である。
【0086】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。
焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99重量%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定された。
【0087】
実施例3:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
3.219gのFAU構造ゼオライト(CBV720、SiO/Al=33.52、Zeolyst、LOI=6.63%)を、実施例1に従って製造した11.796gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(21.56重量%)の水溶液と混合した。
先の混合物に17.583gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。
AFX構造ゼオライトの形成を促進するために、実施例10に従って調製した302mgのAFX構造ゼオライトの種子(ゼオライトCBV720の質量に対して9.4%)を合成混合物に加え、5分間撹拌し続ける。
3.214gの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に仕込み、これを30分間撹拌し続けた。
前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.03 Al:0.17 R:0.17 NaO:35 HO、すなわちSiO/Al比33.3である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、4つの傾斜したパドルを有する撹拌システムを備えた160mLのステンレス鋼反応器に移す。反応器を閉じた後、250rpmで攪拌しながら180℃で22時間加熱する。
得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.5%である。
【0088】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。
焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99重量%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。
【0089】
実施例4:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
601mgのFAU構造ゼオライト(CBV720、SiO/Al=33.52、Zeolyst、LOI=6.63%)を、実施例1に従って製造した2.204gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(21.56重量%)の水溶液と混合する。
前の混合物に3.164gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。600mgの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に組み込み、これを30分間撹拌し続けた。
前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.03 Al:0.17 R:0.17 NaO:34 HO、すなわちSiO/Al比33.33である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じ、次にロ-タリ-スピットシステムを用いて35rpmで攪拌し続けながら180℃で24時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は10%である。
【0090】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。
焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99重量%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO/Alモル比は15.5であった。
【0091】
実施例5:本発明に係るAFX構造ゼオライトの調製
240mgのFAU構造ゼオライト(CBV720、SiO/Al=33.52、Zeolyst、LOI=6.63%)を、実施例1に従って製造した1.048gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(21.56重量%)の水溶液と混合する。
先の混合物に1.655gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。
AFX構造ゼオライトの形成を促進するために、実施例10に従って製造した24mgのAFX構造ゼオライトの種子(ゼオライトCBV720の質量に対して10%)を合成混合物に添加し、5分間撹拌し続ける。269mgの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に添加し、15分間撹拌し続ける。
SiO(Cab-O-Sil)/SiO(FAU)モル比0.002(及びゼオライトCBV720と添加Cab-O-Silシリカの全質量に対して8.5%の種子の質量)に相当する、41mgのCab-O-Sil M5ヒュ-ムドシリカ(100%重量%のSiO、Cabot)を合成混合物中に取り込ませ、30分間撹拌し続ける。
前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.025 Al:0.17 R:0.16 NaO:36 HO、すなわちSiO/Al比40である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じ、次にロ-タリ-スピットシステムを用いて35rpmで攪拌しながら180℃で4日間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.5%である。
【0092】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。
【0093】
実施例6:本発明に係るAFX構造ゼオライトの調製
5.712gのFAU構造ゼオライト(CBV720、SiO/Al=33.52、Zeolyst、LOI=6.63%)を、実施例1に従って製造した26.416gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(21.56重量%)の水溶液と混合する。
先の混合物に脱イオン水37.62gを加え、得られた調製物を10分間撹拌し続ける。
AFX構造ゼオライトの形成を促進するために、実施例10に従って製造した571mgのAFX構造ゼオライトの種子(ゼオライトCBV720の質量に対して10%)を合成混合物に添加し、5分間撹拌し続ける。7.117gの水酸化ナトリウム20重量%(98重量%、Aldrich)を含む水溶液を合成混合物に加え、15分間攪拌し続ける。
SiO(Cab-O-Sil)/SiO(FAU)モル比0.002(及びゼオライトCBV720と添加Cab-O-Silシリカの全質量に対して8.55%の種子の質量)に相当する、0.965gのCab-O-Sil M5 ヒュ-ムドシリカ(100重量%のSiO、Cabot)を、合成混合物に仕込み、これを30分撹拌し続ける。
前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.025 Al:0.18 R:0.178 NaO:36 HO、すなわちSiO/Al比40である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、4つの傾斜したパドルを有する撹拌システムを備えた160mLのステンレス鋼反応器に移す。反応器を閉じ、次に250~300rpmで攪拌しながら180℃で30時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.6%である。
【0094】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。
焼成固体生成物をX線回折で分析し、純度99重量%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO/Alモル比は12.85であった。
【0095】
実施例7:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
361mgのFAU構造ゼオライト(CBV712、SiO/Al=11.47、Zeolyst、LOI=12.81%)を、実施例1に従って製造した2.357gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(20.9重量%)の水溶液と混合した。
得られた混合物を10分間撹拌し続ける。
258mgの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液および245mgの脱イオン水を合成混合物に添加し、10分間撹拌し続ける。
次いで、SiO(Cab-O-Sil)/SiO(FAU)モル比0.007に相当する、199mgのCab-O-Sil M5ヒュ-ムドシリカ(SiOの重量比100%、Cabot)を合成混合物に仕込み、これを1時間撹拌し続ける。得られた前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.05 Al:0.20 R:0.083 NaO:17 HO、すなわちSiO/Al比20を有する。
次に、混合物をホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じ、次にロータリースピットシステムを用いて35rpmで攪拌しながら170℃で6日間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.5%である。
【0096】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。焼成固体について作製したX線回折パタ-ンを図2に示す。焼成したAFX構造固体の走査型電子顕微鏡(SEM)により得られた像を図3に示す。生成物は、X線蛍光法により求めたSiO/Alモル比が13.26である。
【0097】
実施例8:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
542mgのFAU構造ゼオライト(CBV780、SiO/Al=98.22、ゼオリスト、LOI=8.52%)を、実施例1に従って製造した2.085gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(20.9重量%)の水溶液と混合する。
先の混合物に3.0gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間撹拌し続ける。269mgの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に添加し、15分間撹拌し続ける。
次に、Al(非晶質ゲル)/Al(FAU)モル比6.68に相当する、56mgの非晶質水酸化アルミニウムゲル(非晶質Al(OH)ゲル、Alの質量比58.55%、Merck)を合成混合物中に仕込み、30分間撹拌し続けゲルの所望の組成が得られるまで溶媒を蒸発させる。すなわち、混合物のモル組成は1 SiO:0.05 Al:0.17 R:0.083 NaO:34 HO、すなわちSiO/Al比20である。
次に、混合物をホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じ、次にロ-タリ-スピットシステムを用いて35rpmで攪拌しながら170℃で6日間加熱する。
得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.5%である。
【0098】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。
【0099】
実施例9:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
3.420gのFAU構造ゼオライト(CBV780、SiO/Al=98.22、ゼオリスト、LOI=8.52%)を、実施例1に従って製造した13.158gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(20.9重量%)の水溶液と混合する。
先の混合物に18.990gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。1.697gの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に添加し、15分間撹拌し続ける。
次に、(Al(非晶質ゲル)/Al(FAU)モル比6.68に相当する355mgの非晶質水酸化アルミニウムゲル(非晶質Al(OH)ゲル、Alの質量比58.55%、Merck)を合成混合物中に取り込み、30分間撹拌し続け、前駆体ゲルの所望の組成が得られるまで溶媒を蒸発させる。すなわち、混合物のモル組成は1 SiO:0.05 Al:0.17 R:0.083 NaO:34 HO、すなわちSiO/Al比20である。次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、4つの傾斜したパドルを有する撹拌システムを備えた160mLのステンレス鋼反応器に移す。反応器を閉じた後、250~300rpmで攪拌しながら170℃で24時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.7%である。
【0100】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO/Alモル比は12.6であった。
【0101】
実施例10:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
423mgのFAU構造ゼオライト(CBV780、SiO/Al=98.22、ゼオリスト、LOI=8.52%)を、実施例1に従って製造した1.626gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(20.9重量%)の水溶液と混合する。
先の混合物に2.347gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。210mgの20重量%の水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を含有する水溶液を合成混合物に添加し、15分間撹拌し続ける。
次に、Al(非晶質ゲル)/Al(FAU)モル比6.68に相当する、44mgの非晶質水酸化アルミニウムゲル(非晶質Al(OH)ゲル、58.55質量%のAl, Merck)を合成混合物中に仕込み、これを30分間撹拌し続ける。
前駆体ゲルのモル組成は、1 SiO:0.05 Al:0.17 R:0.08 NaO:34 HO、すなわちSiO/Al比20である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じた後、攪拌せずに170℃で40時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.7%である。
【0102】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO/Alモル比は18.5であった。
【0103】
実施例11:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
896mgのFAU構造ゼオライト(CBV780、SiO/Al=98.22、ゼオリスト、LOI=8.52%)を、実施例1に従って製造した4.163gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(20.9重量%)の水溶液と混合する。
先の混合物に7.04gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。120mgの水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を合成混合物に仕込み、これを15分間撹拌し続けた。
次に120mgの非晶質水酸化アルミニウムゲル(非晶質Al(OH)ゲル、58.55質量%のAl、Merck)を仕込み、合成ゲルを15分間撹拌し続ける。最後に、180mgのCab-O-Sil M5ヒュ-ムドシリカ(100重量%のSiO、Cabot)を合成混合物に仕込み、これを30分間撹拌し続けた。
前駆体ゲルのモル組成は1 SiO:0.05 Al:0.167 R:0.083 NaO:36.7 HO、すなわちSiO/Al比20である。
したがって、反応混合物は、混合物中の3価および4価元素の供給源の全無水物質量に対して74質量%の無水FAUゼオライトを含有する。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、オ-トクレ-ブに移す。オ-トクレ-ブを閉じ、次にロ-タリ-スピットシステムを用いて35rpm攪拌しながら170℃で24時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.9%である。
【0104】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO/Alモル比は14.8であった。
【0105】
実施例12:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
1645gのFAU構造ゼオライト(CBV780、SiO/Al=95.97、ゼオリスト、LOI=9.30%)を、実施例1に従って製造した6424gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)と混合する。
先の混合物に9114gの脱イオン水を加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。164gの水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を合成混合物に仕込み、15分間撹拌し続けた。
Al(非晶質ゲル)/Al(FAU)モル比6.49に相当する、153.85gの非晶質水酸化アルミニウムゲル(非晶質Al(OH)ゲル、58.55質量%のAl、Merck)を仕込み、合成ゲルを15分間撹拌し続ける。
前駆体ゲルのモル組成は1 SiO:0.05 Al:0.167 R:0.093 NaO:36.7 HO、すなわちSiO/Al比20である。
次に、前駆体ゲルを、ホモジナイズした後、25Lステンレス鋼反応器に移す。反応器を閉じた後、自生圧力下で、4つの傾斜したパドルを有するシステムを用いて200rpmで攪拌しながら170℃で23時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は9.7%である。
【0106】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO/Alモル比は14.8であった。
【0107】
実施例13:本発明に係るAFX構造ゼオライトの製造
7.38gのFAU構造ゼオライト(CBV780、SiO/Al=98.22、ゼオリスト、LOI=8.52%)を、実施例1に従って製造した8.75gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)と混合した。
100gの母液、すなわち、実施例12の水熱処理後に得たAFXゼオライトの懸濁液を最初にろ過した後に得た液を、先の混合物に加え、得られた調製物を10分間攪拌し続ける。0.5gの水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich)を合成混合物に混入し、15分間撹拌した。
Al(非晶質ゲル)/Al(FAU)モル比6.49に相当する1.026gの非晶質水酸化アルミニウムゲル(非晶質Al(OH)ゲル、58.55質量%のAl3、Merck)を仕込み、合成ゲルを15分間撹拌し続ける。
前駆体ゲルのモル組成は1 SiO:0.05 Al:0.167 R:0.093 NaO:36.7 HO、すなわちSiO/Al比20である。
次に、前駆体ゲルをホモジナイズした後、160mLのステンレス鋼反応器に移す。反応器を閉じた後、自生圧力下で、4つの傾斜したパドルを有するシステムを用いて200rpmで攪拌しながら170℃で23時間加熱する。得られた結晶生成物を濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で一晩乾燥する。乾燥固体の強熱減量は10.1%である。
【0108】
次いで、固体をマッフル炉に導入し、焼成工程を実施する:焼成サイクルは、200℃まで1.5℃/分の温度上昇、200℃で2時間維持する定常段階、550℃まで1℃/分の温度上昇、続いて550℃で8時間維持する定常段階、次いで室温に戻すことを含む。焼成した固体生成物をX線回折で分析し、純度99%以上のAFX構造ゼオライトからなると同定した。X線蛍光法で測定した結果、SiO2/Alモル比は14であった。
図1
図2
図3