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特許7493485生産管理システム及び生産管理プログラム
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  • 特許-生産管理システム及び生産管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】生産管理システム及び生産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021120264
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2023016147
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝治
(72)【発明者】
【氏名】川俣 純希
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-120111(JP,A)
【文献】特開2011-255962(JP,A)
【文献】特開2010-96619(JP,A)
【文献】特開2008-161853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の生産ライン構成装置(12、13、14)を含む生産ラインを管理する生産管理システム(1)であって、
前記生産ライン構成装置と通信可能に構成されたホストコンピュータ(16)を備え、
前記生産ライン構成装置のうち所定の重量の原材料を包材で包装する包装装置(13)及び該包装装置で包装された製品を検査する検査装置(14)は、自装置の処理の結果に関する情報である処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータは、前記包装装置及び前記検査装置から受信した前記処理結果情報に基づいて、前記包材のロスの発生状況を出力する生産管理システム。
【請求項2】
前記生産ライン構成装置は、自装置で処理した製品の個数を示す情報を前記処理結果情報として前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータは、受信した前記処理結果情報に基づいて、前記2つ以上の生産ライン構成装置の間での製品のロス数を算出し、出力する請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、前記製品のロス数が所定の閾値を超えた場合に、アラームを出力する請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
2つ以上の生産ライン構成装置(12、13、14)を含む生産ラインと、前記生産ライン構成装置と通信可能に構成されたホストコンピュータ(16)と、を備え、前記生産ライン構成装置のうち所定の重量の原材料を包材で包装する包装装置(13)及び該包装装置で包装された製品を検査する検査装置(14)は、自装置の処理の結果に関する情報である処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信する生産管理システムの生産管理プログラムであって、
前記ホストコンピュータに、前記包装装置及び前記検査装置から受信した前記処理結果情報に基づいて、前記包材のロスの発生状況を出力する機能を実現させるための生産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでの生産状況などを管理する生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでは、製造された物品を、計量して所定重量で包装し、異物混入の検査や最終的な重量の検査等を行ない、これらの検査で良品と判定されたものを最終製品として箱詰め等して出荷している。
【0003】
特許文献1には、物品検査装置において、検査部で不良品と判定された被検査物を、生産設備で生産したことによる損失を表す損失指標を算出し、表示させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6077764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生産ラインには複数の装置があるため、検査装置の不良品数だけでは、どの装置でロスが生じているのか分からない。
【0006】
そこで、本発明は、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる生産管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生産管理システムは、2つ以上の生産ライン構成装置を含む生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ライン構成装置と通信可能に構成されたホストコンピュータを備え、前記生産ライン構成装置のうち所定の重量の原材料を包材で包装する包装装置及び該包装装置で包装された製品を検査する検査装置は、自装置の処理の結果に関する情報である処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、前記ホストコンピュータは、前記包装装置及び前記検査装置から受信した前記処理結果情報に基づいて、前記包材のロスの発生状況を出力するものである。
【0008】
この構成により、包装装置及び検査装置からの処理結果情報により、包材のロスの発生状況が出力される。このため、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【0009】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記生産ライン構成装置は、自装置で処理した製品の個数を示す情報を前記処理結果情報として前記ホストコンピュータに送信し、前記ホストコンピュータは、受信した前記処理結果情報に基づいて、前記2つ以上の生産ライン構成装置の間での製品のロス数を算出し、出力するものである。
【0010】
この構成により、各生産ライン構成装置からの処理結果情報の処理した製品の個数により、生産ライン構成装置の間での製品のロス数が算出され、出力される。このため、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【0011】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記製品のロス数が所定の閾値を超えた場合に、アラームを出力するものである。
【0012】
この構成により、製品のロス数が所定の閾値を超えた場合に、アラームが出力される。このため、ロスが閾値を超えて発生している状況を早期に認識することができ、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【0013】
また、本発明の生産管理プログラムは、2つ以上の生産ライン構成装置を含む生産ラインと、前記生産ライン構成装置と通信可能に構成されたホストコンピュータと、を備え、前記生産ライン構成装置のうち所定の重量の原材料を包材で包装する包装装置及び該包装装置で包装された製品を検査する検査装置は、自装置の処理の結果に関する情報である処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信する生産管理システムの生産管理プログラムであって、前記ホストコンピュータに、前記包装装置及び前記検査装置から受信した前記処理結果情報に基づいて、前記包材のロスの発生状況を出力する機能を実現させるものである。
【0014】
この構成により、包装装置及び検査装置からの処理結果情報により、包材のロスの発生状況が出力される。このため、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる生産管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムのホストコンピュータによる生産進捗の出力例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムのホストコンピュータによる生産進捗グラフの出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて詳細に説明する。
【0018】
図1において、本発明の一実施形態に係る生産管理システム1は、上流の製造工程で製造・加工された食品・飲食物等の原材料を受け入れ、計量工程・包装工程で所定の重量分でまとめて包装して製品とし、検査工程で製品の重量や異物混入、包装状態等の検査を行なう生産ラインの管理を行なう。
【0019】
生産ラインは、それぞれが異なる処理を実行する、計量装置12と、包装装置13と、検査装置14と、を含んで構成される。これら各装置を生産ライン構成装置とも呼び、通常、各装置が一連に配置されて並ぶ形態とされ、生産ラインの前後の工程との間および各工程の装置間には、ベルトコンベア等の搬送手段が配置されている。
【0020】
なお、図1に示すように各装置(12~14)が隣接して配置される場合に限らず、例えば原材料供給装置(不図示)から包装装置13までが包装前の原材料を取り扱う原材料エリア内に隣接して配置され、検査装置14およびケーサー(不図示)が包装後の製品を取り扱う製品エリアに隣接して配置され、区分けされた両エリア間をベルトコンベアやシュートからなる搬送手段により連結されるような場合でもよい。
【0021】
計量装置12は、供給された原材料を、所定の重量となるようにまとめたり組み合わせたりして、包装装置13に排出する。
【0022】
計量装置12は、受け入れた原材料を貯留容器に一旦貯留し、所定量ずつ複数の計量容器に分散して投入し、それぞれの計量容器で得られた計量値を組み合わせ演算して所定の重量範囲の原材料を排出する組み合わせ計量手段を有してもよい。
【0023】
包装装置13は、計量装置12から排出された、所定の重量の原材料を、包材で包装して検査装置14に排出する。包装装置13は、例えば、生産ラインが稼働を開始してから現在までの、包材の使用量を検出できるようになっている。
【0024】
検査装置14は、包装装置13から排出された包装された製品の重量や異物混入等の検査を行ない、検査で異常がなく良品と判定された包装された製品を排出する。
【0025】
ホストコンピュータ16は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0026】
計量装置12、包装装置13、検査装置14、ホストコンピュータ16は、ネットワーク17に接続されている。計量装置12、包装装置13、検査装置14、ホストコンピュータ16は、ネットワーク17を介して、相互に通信できるようになっている。
【0027】
ホストコンピュータ16は、生産ラインの各装置の配置が予め設定されていて、一の装置の前後に配置された他の装置に関する情報が、例えば装置固有のIDと対応付けて記憶されている。
【0028】
図1に示す例では、計量工程に計量装置12、包装工程に包装装置13、検査工程に検査装置14が、この順で配置されていることが、ホストコンピュータ16に記憶されている。
【0029】
なお、いずれかの工程に複数の装置があり、それぞれがホストコンピュータ16と通信できる場合には、各装置が直列的に配置しているのか、並列的に配置しているのかを設定できるようになっているとよい。
【0030】
ホストコンピュータ16は、生産ラインの各装置から送信される検査結果や動作来歴などの検査情報を、ネットワーク17を介して受信し、ハードディスク装置に記憶して管理する。
【0031】
ここでいう装置の動作来歴には、各装置の運転開始、停止に限らず、例えば、供給装置11における上流工程からの原材料の供給量過不足検知、動作停止を伴うカバー類の開放検知、供給装置が排出した原材料の通過検知などが含まれ、計量装置12における供給された原材料の貯留量検知、計量手段(不図示)のゼロセット処理などが含まれ、包装装置13におけるヒートシール部の温度安定待ち、包材のシートロール交換などが含まれ、検査装置14における物品の搬入検知、検査結果の出力、検査手段(不図示)のリセット処理や安定待ち期間など、各装置固有の動作情報が含まれ、事象データとしてホストコンピュータ16に送信される。
【0032】
なお、事象データには、装置固有のIDが割り当てられ、どの事象データがどの装置から送信されたかをデータ上で識別するための識別情報とするとよい。
【0033】
さらに、ホストコンピュータ16は、各装置から送信される事象データを受信すると、受信した時刻情報をタイムスタンプとして付加する受信時刻情報付加手段を有してもよい。これにより、いずれかの装置の事象データに時刻情報が含まれない場合であっても、ほぼ同時点の時刻情報がホストコンピュータ16に記録されることとなり、装置側の制御ソフトウェアの機能上の制約を受けないようにできる。また、各装置に設定されている時刻にずれがあっても影響が小さい。
【0034】
計量装置12、包装装置13、検査装置14は、各装置の処理の結果に関する情報である処理結果情報をホストコンピュータ16に送信する。
【0035】
計量装置12は、供給された原材料を受け入れて計量し、所定の重量範囲となるようにまとめたり組み合わせたりし、排出した時刻と組み合わせた重量などを含む組み合わせ排出結果を、処理結果情報としてホストコンピュータ16に送信する。
【0036】
包装装置13は、包装した結果として包装OK(正常に包装された状態を指す)または包装NG(正常に包装されなかった状態を指す)、包装が完了した時刻、包材の使用量などを含む包装結果を、処理結果情報としてホストコンピュータ16に送信する。
【0037】
検査装置14は、製品を検査した結果として検査OKまたは検査NG、検査が完了した時刻と検査結果の重量などを含む検査結果を、処理結果情報としてホストコンピュータ16に送信する。検査装置14は、検査NGの製品、および包装装置13から包装NGを受信した製品を生産ライン外に排出する振分装置(不図示)を含んでもよく、これにより、後段のケーサーに正常製品のみを効率よく排出することができる。
【0038】
本実施形態において、ホストコンピュータ16は、各装置から受信した処理結果情報に基づいて、生産ライン運転開始前に設定された原料量や生産予定数から、生産予定数との乖離状況や、原材料や包材のロスの発生状況や、原材料や包材の仕入れ値と出来高の出荷額から利益率を算出し、例えば、ホストコンピュータ16の図示しないディスプレイ装置に表示させる。
【0039】
このとき、ホストコンピュータ16は、各装置から受信した処理結果情報のうち、原材料の量を表す数値を、共通の単位(例えばkg)に換算する。
【0040】
ここで、原材料や包材のロスとは、生産ラインの稼働中に原材料や包材が良品とならず、失われたことを示す。これには、装置と装置の間で搬送中にこぼれ落ちてしまった製品の原材料や包材、検査装置14において不良品と判定された製品の原材料や包材、包装装置13において調整等により使われなかった包材、などが含まれる。
【0041】
ホストコンピュータ16は、例えば、現在の生産進捗として、図2に示すような画面をディスプレイ装置に表示させることができる。
【0042】
図2において、「原料」は供給される原材料の質量であり、「生産予定数」は、原材料から生産する予定の個数である。
【0043】
「計量生産量」は、計量装置12の組み合わせ排出結果から算出された、計量装置12で組み合わされて排出された個数である。「総質量」は、計量装置12の組み合わせ排出結果から算出された、計量装置12で組み合わされて排出された質量の和、すなわち所定の重量範囲にまとめたり組み合わせたりするために計量した原材料の計量値のうち実際にまとめられたり組み合わされたりして排出された原材料の質量の合計である。
【0044】
なお、通常、計量装置12で用いられる所定の重量範囲は、グラム(g)単位で設定されるが、「総質量」はキログラム(kg)に換算される。
【0045】
「包装生産数」は、包装装置13の包装結果から算出された、包装装置13で包装されて排出された個数である。「使用包材量」は、包装装置13の包装結果から算出された、生産ラインが稼働を開始してから現在までの、包装装置13で包装に使用された包材の量である。
【0046】
包装装置12の包装結果に、包装に使用された包材の量が含まれていない場合は、包装された個数に1個あたりの包材の量を乗算したり、または包装装置13から包材の送り量に応じたパルス信号を受け、そのパルス数を計数して包材の量を算出したりしてもよい。
【0047】
なお、通常、個々の製品の包装に用いられる包材の量はミリメートル(mm)単位で設定されるが、「使用包材量」はメートル(m)に換算される。
【0048】
「良品数」は、検査装置14の検査結果から算出された、検査装置14で良品とされた製品の個数である。「良品総質量」は、検査装置14の検査結果から算出された、検査装置14で良品とされた製品の総質量であり、過不足検査に用いられた測定値の合計である。
【0049】
「不良品数」は、検査装置14の検査結果から算出された、検査装置14で不良品とされた製品の個数である。「不良品総質量」は、検査装置14の検査結果から算出された、検査装置14で不良品とされた製品の総質量であり、過不足検査に用いられた測定値の合計である。
【0050】
なお、通常、個々の製品の過不足検査に用いられる値はグラム(g)単位で設定されるが、「良品総質量」はキログラム(kg)に換算される。
【0051】
「原料ロス」は、生産ラインが稼働を開始してから現在までにロスされた原材料の量であり、原材料のロスの発生状況を示す。
【0052】
「計量前」は、供給装置11から計量装置12の間でロスされた原材料の量であり、「原料」から「総質量」を減算して算出される。
【0053】
「検査前」は、包装装置13から検査装置14の間でロスされた原材料の量であり、「総質量」から「良品総質量」と「不良品総質量」を減算して算出される。すなわち、「検査前」は、包装装置13から検査装置14に搬送される間にロスした原材料の量となる。
【0054】
「検査品」は、検査装置14でロスされた原材料の量であり、「不良品総質量」の値である。
「原料ロス」は、「計量前」と「検査前」と「検査品」を全て加算して算出される。
【0055】
「包材ロス」は、生産ラインが稼働を開始してから現在までにロスされた包材の量であり、包材のロスの発生状況を示す。
【0056】
「検査品」は、検査装置14でロスされた包材の量であり、「不良品数」に製品1個に使用される包材の量、例えば0.2mを乗算して求められる。
【0057】
「検査前」は、包装装置13から検査装置14の間でロスされた包材の量であり、「包装生産数」から「良品数」と「不良品数」を減算した値に、製品1個に使用される包材の量を乗算して求められる。すなわち、「検査前」は、包装装置13から検査装置14に搬送される間にロスした包材の量となる。
【0058】
「包装前」は、包装装置13でロスされた包材の量であり、「使用包材量」から、「包装生産数」に製品1個に使用される包材の量を乗算した値を減算して求められる。
「包材ロス」は、「包装前」と「検査前」と「検査品」を全て加算して算出される。
【0059】
「利益率」は、「良品数」に予め設定されたその製品の単価情報を乗じて算出された想定出荷額と、使用される原材料や包材の想定原価と、生産ラインの稼働時間に応じた想定経費とに基づき算出された想定利益から算出される概算指標である。想定原価は、生産計画に基づいて算出されてもよいし、生産進捗に応じた生産実績に基づいて算出されてもよい。
【0060】
図示された「利益率」のほか、生産進捗率など、ホストコンピュータ16に記憶される情報を組合わせたり、設定入力された他の情報を用いて算出可能な各種指標を算出できるように、項目名および演算式が設定できるようになっていて、計量工程、包装工程、計量工程における適切な指標を生産進捗に応じて把握することができる。
【0061】
その他の指標として、例えば、「原料ロス」に基づいて、製品として出荷できなかった製品の市場価格から、本来得ることができたはずの利益を損失額として表示させてもよい。この場合には、ホストコンピュータ16には、製品1個あたりの原材料の量と、製品1個あたりの平均利益とに基づいてあらかじめ算出された「原料ロス」1kgあたりの損失額が設定されている。
【0062】
ホストコンピュータ16は、例えば、現在の生産進捗を算出した結果、「原料ロス」や「包材ロス」の値が、所定の閾値を超えたときや、利益率が所定の閾値を下回ったとき、ディスプレイ装置にアラームとしてメッセージを表示させたり、色彩など表示形態を変えて強調表示させたりしてもよい。
【0063】
また、ホストコンピュータ16は、例えば、現在の生産進捗グラフとして、図3に示すような画面をディスプレイ装置に表示させてもよい。
【0064】
本実施形態では、「原料ロス」をキログラム(kg)単位で表し、「包材ロス」をメートル(m)単位で表しているが、生産管理における利便性に応じて他の量に換算してもよく、例えば、包材ロスに対し、1巻(ロール)あたりの長さで除した「巻(ロール)」を単位とした値に換算し、出力してもよい。
【0065】
本実施形態では、検査装置14において過不足検査以外の検査項目で検査NGとなる場合でも、過不足検査のために測定した重量の値を使用して、「不良品総質量」を算出することができるが、検査装置14においては、何らかの理由により重量が測定できない場合もある。
【0066】
検査装置14において重量が測定できない一例として、測定範囲の超過が挙げられ、この場合には、検査結果には測定範囲の上限超過を表す「OVF」(オーバーフロー)が含まれる。ホストコンピュータ16は、検査結果に含まれる「OVF」をあらかじめ設定された検査装置14の測定範囲の最大値に読み替えたうえで、「不良品数」と「不良品総質量」にそれぞれ集計する。実際の重量との差は誤差となるが、原料ロス全体からみれば許容される範囲である。
【0067】
検査装置14において重量が測定できない他の例として、いわゆる2個乗りが挙げられる。2個乗りとは、2つの製品が短い間隔で搬入され、個々の重量を正しく測定できない状態を表す。このような2個乗りは、検査NGと判定されず、再検査に回されるため、「良品数」、「不良品数」のいずれにも該当せず、「良品総質量」、「不良品総質量」のいずれも算出できないため、図2の項目では「検査前」の「原料ロス」、「包材ロス」として表される。
【0068】
上記したような、検査装置14において重量測定できないような例外品について、生産ラインごとに定められた管理ルールが設定されてもよく、検査装置14で検知でき、あるいは検査結果に含まれる情報に基づいて識別可能な範囲で、ホストコンピュータ16により異なる処理が行なわれてもよく、これにより検査装置14の機能向上にも対応できる。
【0069】
また、検査装置14に限らず、計量装置12、包装装置13において発生する例外品についても、生産ラインごとに定められた管理ルールが設定され、識別可能な範囲で、ホストコンピュータ16により異なる処理が行なわれてもよく、これにより計量装置12や包装装置13の機能向上にも対応できる。
【0070】
ホストコンピュータ16は、図2に示すような出力について、生産ラインごとに定められた管理ルールに対応させるように、図示しないキーボード等からの操作によって、項目を追加したり、省略したりすることができる。
【0071】
また、ホストコンピュータ16は、図2に示すような出力について、生産ラインの配置に対応させたり、重点的に管理すべき項目を強調するように、図示しないキーボード等の操作によって、色やレイアウトなど表示形態を変更させたりできる。
【0072】
さらに、ホストコンピュータ16は、複数の生産ラインの進捗情報を1つの画面に集約して出力することができる。この場合、図2に示すような出力の項目のうち、設定された特定の項目を集約して出力することができる。
【0073】
このようにすることで、包材使用量が上がったり、生産数や良品数が下がったりしたことを容易に確認することができる。
【0074】
このように、上述の実施形態では、計量装置12、包装装置13、検査装置14は、自装置に設定された内容を含む処理結果情報をホストコンピュータ16に送信し、ホストコンピュータ16は、受信した処理結果情報に基づいて、生産ラインでのロスの発生状況を出力する。
【0075】
これにより、計量装置12、包装装置13、検査装置14からの処理結果情報により、生産ラインでのロスの発生状況が出力される。このため、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【0076】
また、計量装置12、包装装置13、検査装置14は、自装置で処理した製品の個数を示す情報を処理結果情報としてホストコンピュータ16に送信し、ホストコンピュータ16は、受信した処理結果情報に基づいて、装置の間での製品のロス数を算出し、出力する。
【0077】
これにより、計量装置12、包装装置13、検査装置14からの処理結果情報の処理した製品の個数により、装置間での製品のロス数が算出され、出力される。このため、生産ラインのどこでロスが生じているかを把握可能とし、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【0078】
また、ホストコンピュータ16は、製品のロス数が所定の閾値を超えた場合に、アラームを出力する。
【0079】
これにより、製品のロス数が所定の閾値を超えた場合に、アラームが出力される。このため、ロスが閾値を超えて発生している状況を早期に認識することができ、ロス削減の改善箇所を把握することができる。
【0080】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0081】
1 生産管理システム
12 計量装置(計量工程の生産ライン構成装置)
13 包装装置(包装工程の生産ライン構成装置)
14 検査装置(検査工程の生産ライン構成装置)
16 ホストコンピュータ
17 ネットワーク
図1
図2
図3