(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】エアロゾルを形成するための物品
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20240524BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240524BHJP
【FI】
A24B15/16
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2021500963
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2019068738
(87)【国際公開番号】W WO2020020657
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-10
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ポインドロン シリル
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338412(US,A1)
【文献】特開昭50-148598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを形成するための物品を製造する方法であって、
a)エアロゾルを形成するための物品の周辺を画定するために、金型表面を備える、画定する、または提供するカバー層を提供する工程と、
b)少なくとも部分的に流体であり且つエアロゾル形成基体を含む物質を前記金型表面に堆積する工程と、
c)前記物質を少なくとも部分的に固化させるかまたはそれを可能にし、それによって前記カバー層から形成された周辺を有する、エアロゾルを形成するための物品を提供する工程と、を含み、前記金型表面が成形されたエアロゾル形成基体を囲む方法。
【請求項2】
前記物質を発泡させる工程d)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程d)が工程b)の後に起こる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発泡させた物質を網状にする工程e)を含む、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程e)が工程b)の後に起こる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金型表面および/または前記物質に揮発性風味発生成分、エアロゾル形成体、およびニコチンのうちの一つ以上を添加する工程f)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程f)が、工程b)の前に、前記揮発性風味発生成分、エアロゾル形成体、およびニコチンのうちの前記一つ以上またはそのそれぞれを前記金型表面に添加することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物質および/または金型表面に虚弱線を形成し、それによって前記物質の第一および第二の部分を少なくとも部分的に画定する工程g)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記物質の一つのまたは第一の部分を、前記物質の一つのまたは第二の部分から分離する工程h)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
エアロゾルを形成するための物品であって、前記物品が、
固体の成形されたエアロゾル形成基体を囲む周辺金型表面を備える、提供する、または画定するカバー層を備え、前記物品が使用時に、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に挿入可能である、物品。
【請求項11】
前記
固体のエアロゾル形成基体が、前記
固体のエアロゾル形成基体の、および/または前記周辺金型表面の壊れやすい部分によって少なくとも部分的に画定された第一および第二の部分を備える、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
エアロゾルを形成するための物品であって、前記物品がエアロゾル形成基体を囲む周辺表面を備え、前記物品が使用時に、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に挿入可能であり、前記エアロゾル形成基体が、前記エアロゾル形成基体の、および/または前記周辺表面の壊れやすい部分によって少なくとも部分的に画定された第一および第二の部分を備え、前記壊れやすい部分が、前記第一の部分と第二の部分の間の前記エアロゾル形成基体に虚弱線を備える、物品。
【請求項13】
前記壊れやすい部分が、前記第一の部分と第二の部分の間の前記エアロゾル形成基体にセパレータを備える、請求項11または請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記物品が、前記第一および第二の部分を少なくとも部分的に画定するセパレータを備え、前記周辺表面が前記セパレータを備える、請求項
12に記載の物品。
【請求項15】
前記第一の部分および第二の部分が、実質的に類似した形状および/または体積を有する、請求項11~14のいずれか一項に記載の物品。
【請求項16】
前記エアロゾル形成基体が発泡体を含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、エアロゾルを形成するための物品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに当該技術分野において、エアロゾル形成基体を燃焼ではなく加熱してエアロゾルを発生させるための装置が提案されてきた。例えば、たばこが燃焼ではなく加熱される加熱式喫煙装置が提案されてきた。こうした加熱式喫煙物品の一つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの不要かつ有害な煙成分を低減させることである。これらの加熱式喫煙装置は一般に、「加熱非燃焼式」装置として知られている。
【0003】
上述のタイプの加熱式喫煙装置は一般に、加熱表面が提供された(例えば、加熱表面によって画定された)加熱チャンバーを備え、この加熱チャンバーの中には使用前に、エアロゾルを形成するための物品が挿入される。エアロゾルを形成するための物品は典型的に、エアロゾル形成基体を含有し、これが後に装置のヒーターによって加熱されてエアロゾルを発生する。このように、物品に含有されたエアロゾル形成基体が消耗した時、物品を交換することができ、従って加熱式喫煙装置は再使用可能な装置であり、その一方で物品は「消耗可能な」製品を含む。エアロゾルを形成するための物品は通常、従来の紙巻たばこを模倣する形状およびサイズにされている。従って、物品と、加熱式喫煙装置の中にあって物品が中に挿入される、または挿入可能な加熱チャンバーとは、概して円筒状の形状を有する。典型的に、物品の直径は5~10mm、例えば約7.2mmである。
【0004】
上述のタイプのエアロゾルを形成するための物品は典型的に、中にエアロゾル形成基体およびその他の構成要素部品が保持されるラッパーまたは担体層を有する。エアロゾル形成基体は、シートまたは葉たばこの形態を有してもよく、例えばプラグ形状に捲縮および/または巻かれてもよい。エアロゾル形成基体は典型的に、望ましい形状(例えばプラグ形状)に形成され、エアロゾルを形成するための物品の他の構成要素部品と組み合わされ、次いでラッパーまたは担体層が、その周りに巻かれる。物品のその他の構成要素部品はフィルター材料を含んでもよく、これは物品の端の一方または両方に提供されることができ、物品内にエアロゾル形成基体を保持するための、かつまた使用中に加熱式喫煙装置によって発生されたエアロゾルをフィルターするためのプラグとして機能する。加えて、エアロゾル冷却要素(これは例えば、ポリ乳酸のシートの集合体から形成されうる)が物品内で、エアロゾル形成基体と物品の一方の端にあるフィルターとの間に位置しうる。追加的に、支持要素(例えば、中空のアセテート管から形成された支持要素)がエアロゾル形成基体とエアロゾル冷却要素の間に位置付けられてもよい。
【0005】
使用時にユーザーは、加熱式喫煙装置の加熱チャンバーの加熱表面の間に物品を挿入する。次いでユーザーは、物品の自由端を通して空気を引き出す(前記自由端はフィルター材料を含む)。加熱式喫煙装置内のヒーターが起動されて、伝導、対流および放射のうちの一つ以上を介して、加熱表面からエアロゾルを形成するための物品に熱エネルギーを伝達する。このようにして、揮発性化合物がエアロゾル形成基体から放出される。ユーザーがエアロゾルを形成するための物品を吸うことによって、空気が加熱式喫煙装置の中に引き出される。空気は装置の少なくとも一部を通って流れ、次いで物品の中に物品の長さに沿って流れ、エアロゾル形成基体を通過し、エアロゾル形成基体から放出された揮発性化合物を空気とともに引き出す。次いで気流と揮発性化合物の混合物は冷却セグメントを通過し、ここで揮発性化合物が冷却・凝縮されエアロゾルになる。その後、このエアロゾルは、ユーザーの肺の中に引き出される前に、フィルター材料を通過する。ラッパーまたは担体層は、このプロセス中にバッフルの役目を果たし、かつ空気の流れを導いて、物品を通って物品に沿ってユーザーに流れるようにする。
【0006】
ヒーターの起動は吸煙センサーによってトリガーされてもよく、例えばこの吸煙センサーは、予め設定された閾値を超えてその横を流れるまたはそれを通って流れる気流に反応しうる。理解される通り、こうしたトリガー機構を使用して、装置のユーザーは加熱前に、これ故に揮発性化合物の放出前に、装置を通して空気を引き出し始める。従って、ユーザーが装置を吸い始める時と、それによってエアロゾルが発生する時との間に(これ故に、発生したエアロゾルがユーザーに到達するまでの経過に)遅延がある。
【0007】
上述のタイプのエアロゾルを発生するための装置は典型的に、携帯型であり、片手の指の間に保持されることが概して意図されている。こうした装置のユーザーは、装置を場所から場所へと携行することができる。例えば、ユーザーは使用の合間に、衣服のポケットに装置を保管しうる。エアロゾルを形成するための交換用物品は典型的に、パックまたはケースの中に保管され、ユーザーはそれらを携行することも覚えておかなければならない。典型的に紙巻たばこ型である物品(上記で説明の通り)は概して、紙巻たばこの箱と類似した形状を有するパックまたはケースの中に保管される。エアロゾルを形成するための物品のパックまたはケースはまた、装置が使用されていない時、衣服のポケットに保管されうる。エアロゾルを発生するための装置と、エアロゾルを形成するための物品の一つ以上のパックまたはケースとの両方を保管することは、ユーザーのポケットのサイズによっては困難でありうる。いずれにしても、こうした保管は見苦しいおよび/または不快でありうる。加えて、(エアロゾルを形成するための物品が使用され廃棄されるにつれて)パックもしくはケースまたはそのそれぞれが部分的に空になった時、残りの物品はパックまたはケース内で移動し、ユーザーが動き回っている時に望ましくない雑音を発生する傾向がある。
【0008】
エアロゾル形成基体を燃焼させるのではなく加熱することは、エアロゾル形成基体を比較的低い温度に加熱することを必要とする。従って、比較的低い量の熱エネルギーをエアロゾル形成基体に伝達する必要がある。節約されたエネルギーは有益なことに、加熱喫煙装置を動作する費用を低減する、および/または装置がエネルギーの蓄えを使い尽くす前に実行できる動作の有用な回数を増加させる。しかしながら、エアロゾルを形成するための物品から化合物を揮発させるために必要な熱エネルギーの量をさらに減少させることが有益であろう。
【0009】
エアロゾルを形成するための従来の物品よりも改善された、エアロゾルを形成するための物品を提供することが望ましいであろう。上記で特定された問題のうちの一つ以上を軽減する、エアロゾルを形成するための物品を提供することが望ましいであろう。使用時に、エアロゾルを発生するための装置からエアロゾル形成基体に熱エネルギーを、従来の物品で達成されるよりも比較的に効率的および/または迅速に伝達することを容易にする、エアロゾルを形成するための物品を提供することが望ましいであろう。エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーで加熱される時、比較的少ない量の熱エネルギーを必要とする、エアロゾルを形成するための物品を提供することが望ましいであろう。エアロゾルを形成するための従来の物品の場合と比べて、エアロゾルを発生するための装置のユーザーによってより容易に、かつ/またはより静かに運ばれることができる、エアロゾルを形成するための物品を提供することが望ましいであろう。また、上記で特定された利点のうちの一つ以上を有する、エアロゾルを形成するための物品を製造する方法を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明の態様によると、エアロゾルを形成するための物品を製造するための方法または製造方法が提供されていて、方法は、
a)エアロゾルを形成するための物品の周辺を画定するための金型表面を提供する工程と、
b)少なくとも部分的に流体であり、エアロゾル形成基体を含む物質を金型表面に堆積する工程と、
c)物質を少なくとも部分的に固化させるかまたはそれを可能にし、それによって金型表面から形成された周辺を有する、エアロゾルを形成するための物品を提供する工程と、を含む。
【0011】
有利なことに、金型表面は、例えばエアロゾルを発生するための装置に物品を挿入またはそれから取り外す時に、エアロゾル形成基体と物品を取り扱うユーザーとの間の接触を軽減するバリアを提供する。さらに、エアロゾル形成基体を含む物質は、エアロゾル形成基体と、エアロゾルを形成するための従来の物品のカバー層またはラッパーとの間の接触の場合よりも、金型表面との比較的に密接な接触を有する。従って、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの周辺加熱表面からエアロゾル形成基体への熱伝達は、エアロゾルを形成するための従来の物品の場合よりも比較的に効率的である。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、エアロゾルを形成するための従来の物品は、ラッパーと囲まれたエアロゾル形成基体との間に少なくとも部分的な空気バリアを備えうると考えられる。この空気バリアは、エアロゾル形成基体と物品の外部にある熱源との間に絶縁層を提供する。加えて、ラッパーとエアロゾル形成基体の間の熱の伝導は、エアロゾルを形成するためのこうした従来の物品において制限されるか、または阻止される。しかしながら、本発明による、エアロゾルを形成するための物品は、金型表面とエアロゾル形成基体を含む物質との間の比較的により密接な接触に起因して、上述の問題を軽減し、従って使用時にエアロゾル形成基体のより効率的な加熱を提供する。従って、エアロゾル形成基体を必要な温度に加熱して、そこから揮発性化合物を放出するために、比較的に低い熱エネルギーを必要とする。これ故に、中でエアロゾルを形成するための物品が加熱される、エアロゾルを発生するための装置の電源は、(放出された揮発性化合物の所与の量に対して)比較的に多い回数の加熱動作に使用されうる。従って、装置はユーザーにとってより有用であり、再充電(可能な場合)または交換(必要な場合)の頻度が少なくて済み、付随する費用の節約およびユーザーの利便性の向上を伴う。
【0012】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という語句は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を、加熱に伴い放出することができる基体を記述するために使用される。本明細書に記載のエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、人間の目に見える場合と見えない場合がある。エアロゾル形成基体は、固体の基体、または流体の基体、または固体と流体が混合した基体を含んでもよい。エアロゾル形成基体が流体である場合、エアロゾル形成基体は有利なことに、少なくとも加熱チャンバーの中に受容される前に、マトリクス内に、および/またはカバー層によって保持されている。
【0013】
本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、流体媒体中の比較的に小さい粒子の懸濁液を記述するために使用される。
【0014】
本明細書で使用される「金型表面」という語句は、少なくとも部分的な流体を表面に対して(例えば、工程b)において)成形するための表面を意味することが意図されている。
【0015】
本明細書で使用される「周辺」という用語は、エアロゾルを形成するための物品の体積の外側限界線を意味することが意図されている。
【0016】
一部の実施形態において、物質を金型表面に堆積することは、物質を注ぐ、注入する、もしくは押し出すこと、または別の方法で物質を流動させることを含んでもよい。物質は、第一の方向または堆積方向に(例えば、単一方向に)、金型表面上に(例えば、金型表面に対して)堆積されうる。一部の実施形態において、第一の方向または堆積方向を横断する断面において、金型表面は、エアロゾルを形成するための形成された物品の周辺の実質的にすべてまたは全体を囲んでもよい。
【0017】
一部の実施形態において、物質を少なくとも部分的に固化させるかまたはそれを可能にすることは、物質を少なくとも部分的に冷却することを含んでもよい。物質を冷却することは、例えば流体の流れが物質よりも比較的に低い温度を有する場合、物質の近くにおよび/または物質に対して流体(例えば気体または液体)の流れを方向付ける、または可能にすることを含んでもよい。
【0018】
一部の実施形態において、方法は、例えば連続気泡または独立気泡発泡体を形成するために、物質を発泡させる工程d)を含んでもよい。工程d)は、工程b)の後または工程b)の前に起こりうる。
【0019】
一部の実施形態において、方法は、発泡体を網状にする工程e)を含んでもよい。工程e)は、工程b)の後または工程b)の前に起こりうる。発泡体を網状にすることは、熱および/または一つ以上の化学物質を発泡体に加えることを含んでもよい。
【0020】
一部の実施形態において、方法は、金型表面および/または物質に、風味剤、エアロゾル形成体およびニコチンのうちの一つ以上を添加する工程f)を含んでもよい。添加することには、金型表面および/または物質を、風味剤、エアロゾル形成体およびニコチンのうちの一つ以上と接触させることを含んでもよい。接触させることには、噴霧、被覆および/または浸漬を含んでもよい。添加することには、風味剤、エアロゾル形成体およびニコチンのうちの一つ以上で金型表面および/または物質を含侵させることを含んでもよい。実施形態において、工程f)は、工程b)の前に、または工程b)の後に、または工程b)と同時に、風味剤、エアロゾル形成体、およびニコチンのうちの一つ以上またはそのそれぞれを、金型表面に塗布または添加することを含んでもよい。
【0021】
一部の実施形態において、方法は、物質および/または金型表面に虚弱線を形成し、それによって、例えば物質の第一および第二の部分を少なくとも部分的に画定する工程g)を含んでもよい。
【0022】
一部の実施形態において、方法は、例えばセパレータを用いて、物質の一つのまたは第一の部分を、物質の一つのまたは第二の部分から分離する工程h)を含んでもよい。金型表面はセパレータを含んでもよい。例えば、金型表面は、セパレータと一体的に形成されてもよい。別の方法として、セパレータは、金型表面中または金型表面上に位置付けられてもよい。
【0023】
一部の実施形態において、物質はエアロゾル形成基体のみを含んでもよい。別の方法として、物質は、エアロゾル形成基体およびさらなる材料、例えば担体材料を含んでもよい。担体材料および/またはエアロゾル形成基体は、発泡体(形成される場合)を含んでもよい。担体材料が発泡して発泡体を形成する場合、エアロゾル形成基体は、担体材料の発泡体中もしくは担体材料の発泡体上に提供されるか、または包埋されてもよい。物質は、例えば再構成タバコ(例えば葉柄など)などのタバコを含んでもよい。物質はニコチンを含んでもよい。
【0024】
本発明の一態様によると、エアロゾルを形成するための物品が提供されていて、物品は、成形されたエアロゾル形成基体を囲む周辺金型表面を備え、物品は使用中、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に挿入可能である。
【0025】
一部の実施形態において、周辺金型表面は断面において、物品の周辺の実質的にすべてまたは全体を囲みうる。
【0026】
一部の実施形態において、エアロゾル形成基体は、例えばエアロゾル形成基体および/または周辺金型表面の壊れやすい部分によって少なくとも部分的に画定された、第一および第二の部分を含んでもよい。
【0027】
物品は、(例えば、その内向きに面する表面上に)例えば、周辺金型表面を含む、または画定する、または周辺金型表面でありうるカバー層を含んでもよい。カバー層は、食品用のプラスチックなどのポリマー、および/またはろ紙などの紙から形成されうる。追加的に、または別の方法として、カバー層は、例えばアバカ繊維などの任意の他の適切な材料を含んでもよい。カバー層はセルロースを含んでもよい。カバー層は、タバコ(例えば再構成タバコ)を含んでもよく、および/またはタバコから少なくとも部分的に形成されてもよい。カバー層は、その厚さを通した複数の開口部を備えてもよく、例えば複数の開口部は均一にまたは無作為に配設されうる。カバー層は、ネットまたはメッシュまたは織物を含んでもよい。別の方法として、カバー層は、例えばその厚さを通した複数の開口部がない領域(例えば主要領域)を有する固体表面を備えてもよい。カバー層は、例えば物品の外層を提供しうる。別の方法として、物品は、カバー層の上に、および/またはカバー層の周りにさらなる層を備えてもよい。さらなる層(提供される場合)は、取り外し可能な層または一時的な層、例えば物品の使用前に取り外されることが意図された層を含んでもよい。さらなる層は、例えばエアロゾルを形成するための物品を製造する方法の工程c)の後、カバー層の上に、および/またはカバー層の周りに巻かれるか、または別の方法で固定されうる。
【0028】
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は、たばこ非含有エアロゾル形成材料を含んでもよい。
【0029】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、(例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎、膨化たばこおよび均質化したたばこのうちの一つ以上を含有する)例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0030】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、たばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよく、それらは固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される。
【0031】
エアロゾル形成基体が流体、例えば液体または気体の形態である場合、エアロゾル形成基体は、流体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される、たばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含有してもよい。
【0032】
随意に、固体または流体エアロゾル形成基体は、担体材料(例えば、熱的に安定な担体材料)上に提供されてもよく、または担体材料中に包埋されてもよい。担体材料は、発泡体、例えば連続気泡発泡体または独立気泡発泡体の形態を取りうる。固体または流体エアロゾル形成基体は、担体材料全体にわたって、例えばその体積全体にわたって堆積されてもよい。追加的に、または別の方法として、固体または流体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体材料の表面上に堆積されうる。固体または流体エアロゾル形成基体は、担体材料の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0033】
一部の実施形態において、エアロゾル形成基体は発泡体を含んでもよい。発泡体は、連続気泡または独立気泡でありうる。発泡体は、網状連続気泡発泡体であってもよい。発泡体は、たばこから、例えば再構成タバコ(例えば茎など)から少なくとも部分的に形成されてもよい。
【0034】
エアロゾルを形成するための物品は、揮発性風味発生成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体(および/または、提供される場合、担体材料)は、揮発性風味発生成分を含んでもよい。揮発性風味発生成分は、エアロゾル形成基体および/または担体材料(こうしたものが提供される場合)の表面、および/またはカバー層(提供される場合)、および/またはその周辺金型表面に少なくとも部分的に保持されうる、および/または含浸されうる、および/または位置しうる。
【0035】
本明細書で使用される「揮発性風味発生成分」という用語は、風味剤を提供するために、エアロゾル形成基体(例えば、および/または、提供される場合、担体材料)に添加される任意の揮発性成分を記述するために使用される。
【0036】
適切な風味剤には、天然または合成のメントール、ハッカ、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブおよびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ビャクシン、アネトール、リナロオールなどを含有する材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される「メントール」という用語は、異性体の形態のいずれかである化合物2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールを記述するために使用される。
【0038】
メントールは固体または液体の形態で使用されてもよい。固体の形態において、メントールは粒子または顆粒として提供されてもよい。用語「固体メントール粒子」は、重量の少なくともおよそ80%のメントールから成る任意の顆粒状または粒子状の固体材料を記述するために使用されてもよい。
【0039】
1.5mg以上の揮発性風味発生成分がエアロゾル形成基体中に含まれていることが好ましい。
【0040】
揮発性風味発生成分は(提供される場合)液体または固体の形態であってもよい。揮発性風味発生成分は、支持要素に結合することができるか、または別様にそれに関連付けられうる。支持要素は、風味発生成分を位置させる、維持する、または保持するための任意の適切な基体または支持体を含んでもよい。例えば、支持要素は繊維質の支持要素を含むことができ、この繊維質の支持要素は、流体、例えば液体で飽和されうるか、または飽和可能でありうる。
【0041】
一部の実施形態において、揮発性風味発生成分は、構造材料が風味剤(複数可)を放出可能に封入する任意の適切な構造を有してもよい。例えば、幾つかの好ましい実施形態において、揮発性風味発生成分は、複数のドメインを定義するマトリクス構造を備え、風味剤は、例えばエアロゾル形成基体が外力に供された時に、放出されるまでドメイン内に捕捉されている。別の方法として、揮発性風味発生成分はカプセルを含んでもよい。カプセルは外部シェルと、風味剤を含有する内部コアとを備えることが好ましい。外側シェルは外力がかけられる前にシールされているが、外力がかけられた時に風味剤が放出されることを可能にするように壊れやすいまたは壊れうることが好ましい。カプセルは様々な物理的な構成で形成されてもよいが、これには単一部品から成るカプセル、複数部品から成るカプセル、単一壁から成るカプセル、複数壁から成るカプセル、大型カプセル、および小型カプセルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
揮発性風味剤生成成分が、風味剤を封入する複数のドメインを定義するマトリクス構造を備える場合、風味剤送達部材は、エアロゾル形成基体が外力に供された時に風味剤を徐々に放出しうる。別の方法として、風味発生成分が、エアロゾルを形成するための物品が外力に供された時に破壊されるか、または破裂して風味剤を放出するように配設されたカプセルである場合(例えば、限定されないが、カプセルが外部シェルおよび内部コアを備える場合)、カプセルは任意の所望の破裂強度を有してもよい。破裂強度は、カプセルが破裂する(エアロゾル形成基体の外側からカプセルに加えられる)力である。破裂強度は、カプセルの力対圧縮曲線のピークであってもよい。
【0043】
揮発性風味発生成分は、起動機構に応答して風味剤を放出するように構成されうる。こうした起動機構は、揮発性風味発生成分に対する力の印加、揮発性風味発生成分の温度の変化、化学反応、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0044】
方法は、揮発性風味発生成分を、エアロゾル形成基体を含む物質に、および/またはその発泡体(網状またはその他の発泡体)に添加する工程を含んでもよい。追加的に、または別の方法として、方法は、揮発性風味発生成分をカバー層(提供される場合)および/またはその金型表面に添加する工程を含んでもよい。
【0045】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。
【0046】
本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を促進し、かつエアロゾル形成基体の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには例えば、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
好ましいエアロゾル形成体は、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリンなどの多価アルコールまたはその混合物である。
【0048】
エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
エアロゾル形成基体は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0050】
エアロゾル形成基体は、乾燥重量基準でおよそ5%~およそ30%のエアロゾル形成体の含有量を有してもよい。
【0051】
好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は乾燥重量基準でおよそ20%のエアロゾル形成体の含有量を有する。
【0052】
本発明の一態様によると、エアロゾルを形成するための物品が提供されていて、物品はエアロゾル形成基体を囲む周辺表面を備え、物品は使用時に、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に挿入可能であり、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体および/またはその周辺表面の壊れやすい部分によって少なくとも部分的に画定された第一および第二の部分を備える。
【0053】
一部の実施形態において、壊れやすい部分は、エアロゾル形成基体および/または周辺表面において第一の部分と第二の部分の間にセパレータおよび/または虚弱線を含んでもよい。
【0054】
有益なことに、壊れやすい部分(例えばセパレータおよび/または虚弱線)を提供することは、エアロゾル形成基体をユーザーによって第一の部分と第二の部分に分離することを可能にし、従って、それぞれをエアロゾルを発生するための装置で別々に使用することを可能にする。このようにして、物品は、エアロゾルを発生するための装置における複数のエアロゾル形成サイクルを提供することができる。有利なことに、エアロゾルを形成するための従来の物品と比較して、こうした装置のユーザーによって携行される必要がある物品の数は比較的に少なくなる。さらに、本発明による、エアロゾルを形成するための物品を携行することは、エアロゾルを形成するための従来の物品の場合よりも比較的に容易であり、煩わしくない。特に、本発明による、エアロゾルを形成するための物品は、同じ数のエアロゾル形成サイクルを提供するのに必要とされる複数の従来の物品よりも比較的に少ない体積を占める。さらに、本発明による、エアロゾルを形成するための物品は、ケースまたはパックの中に保持される複数の従来の物品よりも、その搬送中に発生する雑音が少ない場合がある。
【0055】
一部の実施形態において、周辺表面は、例えば成形エアロゾル形成基体を囲む、周辺金型表面を含んでもよい。物品は、周辺表面(例えば周辺金型表面)を含みうる、または画定しうる、または周辺表面でありうるカバー層を備えてもよい。カバー層は、本明細書の他の個所に記載の通りであってもよい(またはそのような属性を含んでもよい)。
【0056】
一部の実施形態において、第一および第二の部分は、実質的に同一の形状および/または体積を有してもよい。
【0057】
一部の実施形態において、物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、実質的に円筒状の形状を有してもよい。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、(例えば断面における)直径および長さ(例えば長軸方向の寸法)を有してもよい。
【0058】
エアロゾルを形成するための物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、少なくとも5mmの直径を有してよく、例えばおよそ5mm~およそ12mm、例えばおよそ5mm~およそ10mm、またはおよそ6mm~およそ8mmの直径を有してもよい。一実施形態において、エアロゾルを形成するための物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、7.2mm+/-10%の外径を有してもよい。
【0059】
エアロゾルを形成するための物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、およそ30mm~およそ100mmの長さ、例えばおよそ45mmの長さを有してもよい。実施形態において、エアロゾルを形成するための物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、およそ70mm~およそ120mmの長さを有してもよい。
【0060】
本明細書で使用される「直径」という用語は、エアロゾルを形成するための物品の横断方向の最大寸法を記述するために使用される。本明細書で使用される「長さ」という用語は、エアロゾルを形成するための物品の長軸方向の最大寸法を記述するために使用される。本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾルを形成するための物品の端と端(例えば上流端と下流端)の間の方向を記述するために使用され、「横断方向」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を記述するために使用される。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、ユーザーがその使用中に物品を通して流体を引き出す方向に関して、エアロゾルを形成するための物品の要素、または要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。
【0061】
一部の実施形態において、物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、実質的に平坦な第一の主表面を有してもよい。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、実質的に平坦な第二の主表面を有してもよい。第一および第二の主表面は、互いに実質的に平行であってもよい。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、実質的に平行六面体の形状を有してもよい。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は幅、長さおよび厚さを有してもよく、例えばこの幅、長さおよび厚さは互いに直角を成す方向に測定される。厚さは、提供される場合、第一の主表面と第二の主表面の間の距離を含んでもよい。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分は、少なくとも2:1、例えば少なくとも3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1の厚さに対する比を有してもよい。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分の幅および/または長さは、およそ2mm~120mm、例えばおよそ3、4、5、6、7、8、9、10~11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120mmでありうる。物品および/またはエアロゾル形成基体および/または第一の部分の厚さは、約0.5mm~15mm、例えば約0.5または1.0mm~1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0または12.0mmでありうる。
【0062】
以下の記述において虚弱線が言及される場合、そのいずれかまたはすべての特徴が壊れやすい部分に等しく適用されうることが理解されるであろう。虚弱線(提供される場合)は、連続線または中断された線を含んでもよい。虚弱線は、実質的に直線であってもよい。別の方法として、虚弱線は、少なくとも部分的に湾曲していてもよい。物品および/または第一の部分および/またはエアロゾル形成基体が厚さまたは直径を有する合、虚弱線は厚さまたは直径を部分的にのみ通って延びてもよい。別の方法として、虚弱線は厚さまたは直径を通って延びてもよい。物品および/または第一の部分および/またはエアロゾル形成基体が幅を有する場合、虚弱線は幅の一部のみを横切って延びてもよい。別の方法として、虚弱線は幅全体を横切って延びてもよい。
【0063】
一部の実施形態において、虚弱線は複数の虚弱線(例えば第一および第二の虚弱線)を含んでもよい。第一の虚弱線は、第二の虚弱線から離隔していてもよい。第一の虚弱線は、第二の虚弱線と実質的に平行であるかまたは直角を成していてもよい。第一の虚弱線は、第二の虚弱線から、および/または物品の端から、第一および/または第二の寸法(例えば、その厚さ、幅または長さ)と実質的に等しい距離だけ離隔していてもよい。虚弱線が複数の虚弱線を備える場合、一つの虚弱線は連続した線を含んでもよく、複数の虚弱線のうちの別の線は中断された線を含んでもよい。追加的に、または別の方法として、複数の虚弱線のうちの一つ以上は、複数の虚弱線の他の一つ以上とは異なる特性(例えば、物品の厚さまたは直径を通ってまたは幅を横切って延びることに関して)を有してもよい。追加的に、または別の方法として、複数の虚弱線のうちの一つ以上は、複数の虚弱線の他の一つ以上とは異なる引裂強度を有してもよい。
【0064】
セパレータ(提供される場合)は、周辺表面の一部または一部分を含んでもよく、例えばそれと一体的に形成されてもよく、またはそれに取り付けられてもよい。別の方法として、セパレータは、例えば周辺表面とは別々の個別要素を備えてもよい。セパレータは、第一の部分を第二の部分から完全に分離するように構成または配設されうる。別の方法として、セパレータは(例えば、第一の部分および第二の部分が少なくとも部分的に取り付けられているか、または結合されているように)、第一の部分を第二の部分から部分的にのみ分離するように構成または配設されてもよい。セパレータは一つの虚弱線を備えてもよく、例えばセパレータの少なくとも一部の中に、またはセパレータの少なくとも一部を通って虚弱線が提供されうる。
【0065】
セパレータは、例えば揮発性化合物がエアロゾル形成基体から放出される温度よりも高い温度で化学変化および/または相変化を経験しうる一つ以上の熱安定性材料から形成されうる。セパレータは、ポリマーおよび/または木材材料等を含んでもよい。
【0066】
別の方法として、セパレータは、揮発性化合物がエアロゾル形成基体から放出される温度よりも低い温度で化学変化および/または相変化を経験するように選択された材料から形成されうる。実施形態において、セパレータは、揮発性風味発生成分、例えば添加剤(例えば風味剤)を含んでもよい。
【0067】
本発明の一態様によると、エアロゾルを形成するための物品の製造方法または製造するための方法が提供されていて、方法は、
a)エアロゾルを形成するための物品の周辺を画定するための表面を提供する工程と、
b)エアロゾル形成基体を提供する工程と、
c)エアロゾル形成基体および/または表面に壊れやすい部分を形成し、それによってエアロゾル形成基体の第一および第二の部分を少なくとも部分的に画定する工程と、
d)表面が前記エアロゾル形成基体の周辺を囲むように、表面およびエアロゾル形成基体を配設する工程とを含む。
【0068】
工程c)は、エアロゾル形成基体に虚弱線を形成し、それによって、その第一および第二の部分を少なくとも部分的に画定すること、および/またはエアロゾル形成基体を第一および第二の部分(例えば第一および第二の部分)に少なくとも部分的に分離することを含んでもよい。一部の実施形態において、工程c)は、工程b)の前に、または工程b)と同時に、または工程b)の後に起こりうる。虚弱線を形成することは、形成ツールをエアロゾル形成基体に押し込んで、局所的に変形させる、および/またはそれに切り込みを入れること、例えば物品の周辺を画定するために形成ツールを表面に押し当て、それによってエアロゾル形成基体を局所的に変形させる、および/またはこれに切り込みを入れることを含んでもよい。工程c)は、例えば少なくとも部分的に同時にまたは連続的に、物品の周辺を画定するために、エアロゾル形成基体の両側および/または表面に形成ツールを押し当てることを含んでもよい。
【0069】
エアロゾル形成基体は、押出または成形によって形成されうる。エアロゾル形成基体が成形によって形成される場合、この成形は、物品の周辺を画定するために、表面において少なくとも部分的に起こりうる(例えば、表面が成形表面を含みうる場合)。エアロゾル形成基体が成形によって形成される場合、虚弱線は、エアロゾル形成基体の成形中に少なくとも部分的に形成されうる。
【0070】
エアロゾル形成基体がセパレータによって第一および第二の部分に少なくとも部分的に分離される場合、これは第一の部分と第二の部分の間にセパレータを提供することを含んでもよい。セパレータは、エアロゾル形成基体の中に押し込まれてもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、セパレータの周りに少なくとも部分的に形成されてもよく、例えばその周りに成形されてもよい。
【0071】
一部の実施形態において、表面がエアロゾル形成基体の周囲を囲むように表面およびエアロゾル形成基体を配設する工程d)は、エアロゾル形成基体を表面で包むことを含んでもよい。追加的に、または別の方法として、工程d)は、表面にエアロゾル形成基体を成形すること、例えば少なくとも部分的に流体のエアロゾル形成基体を表面に堆積させて、エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に固化することを可能にする、または固化させることを含んでもよい。
【0072】
本発明の一態様によると、 エアロゾルを形成するための物品を使用する方法が提供されていて、方法は、エアロゾルを発生するための装置を提供する工程であって、装置が加熱チャンバーを備える、提供する工程と、周辺表面または金型表面によって囲まれたエアロゾル形成基体を含むエアロゾルを形成するための物品を提供する工程と、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に、エアロゾルを形成するための物品を挿入する工程と、エアロゾルを形成するための物品のエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生する工程とを含む。
【0073】
エアロゾルを形成するための物品は、周辺表面または金型表面を含みうるか、または画定しうるカバー層を備えてもよい。使用方法は、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に、エアロゾルを形成するための物品を挿入する前に、カバー層を取り外すことを含んでもよい。別の方法として、エアロゾルを形成するための物品は、カバー層が依然として、エアロゾル形成基体の周辺を囲む表面または金型表面を提供する状態で、エアロゾルを発生するための装置の加熱チャンバーの中に挿入されてもよい。
【0074】
本明細書で使用されるすべての科学用語および工業技術用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0075】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、「備える」および「含む」という用語、ならびにそれらの変形は、「含むが、これらに限定されない」を意味し、その他の部分、添加物、構成要素、整数、または工程を除外することを意図しない(および除外しない)ことを意味する。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、単数形は複数形を包含し、かつ逆も可であるが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、単数だけでなく複数も企図するとして理解されるべきであるが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。
【0076】
疑義を避けるために、本明細書に記載の特徴のうちの任意の特徴は、本発明の任意の態様に等しく適用される。本出願の範囲内で、前述の段落、請求項および/または後述の説明および図面、またとりわけ、その特定の個別の特徴において提示された様々な態様、実施形態、実施例、代替物は、個別にまたは任意の組み合わせで用いられうることが明示的に想定される。本発明の一態様または実施形態に関連して説明した特徴は、こうした特徴が不適合でない限り、すべての態様または実施形態に適用可能である。
【0077】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】
図1は本発明の実施形態による、エアロゾルを形成するための物品の概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される、エアロゾルを形成するための物品を製造する方法を図示する流れ図である。
【
図3】
図3は、本発明のさらなる実施形態による、エアロゾルを形成するための物品の概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のA~A線に沿って切り取られた概略断面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示される、エアロゾルを形成するための物品を製造する方法を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
ここで
図1を参照すると、本発明の実施形態による、エアロゾルを形成するための物品1が示されている。物品1は、成形されたエアロゾル形成基体3を囲む金型表面20を備える、または画定する周辺カバー層2を含む。
【0080】
カバー層2は紙から形成されていて、この実施形態において、その厚さを通して複数の開口部を有するネットまたは織物の形態を有する。しかしながら、実施形態においてカバー層2は、開口部がない、または開口部が設けられた固体表面を備えてもよく、および/または任意の適切な材料、例えばポリマー材料および/または紙などから形成されてもよい。
【0081】
エアロゾル形成基体3は、この実施形態において、再構成タバコ(例えば茎など)の網状連続気泡発泡体を含む。しかしながら、実施形態においてエアロゾル形成基体3は、担体物質によって支持または担持されてもよく、この担体物質自体が発泡体(例えば連続気泡または網状連続気泡発泡体)の形態である。担体物質が提供される場合、エアロゾル形成基体3は、担体物質によって保持されるための任意の適切な形態でありうる。例えば、エアロゾル形成基体3は、固体(例えば粉末)または流体の形態であってもよい。
【0082】
エアロゾル形成基体3は、この実施形態において、ニコチンおよびグリセリンで含浸されている。しかしながら、エアロゾル形成基体3が担体物質中に担持される実施形態において、担体物質はニコチンおよび/またはグリセリンで含浸されうる。追加的に、または別の方法として、ニコチンおよびグリセリンに加えて、またはその代わりに、任意の適切な添加剤がエアロゾル形成基体3(または提供される場合は、担体物質)の中に含浸されうる。適切な添加剤には、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、揮発性風味発生成分、風味剤、フィラー、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、カバー層2は、ニコチン、グリセリンおよび/または任意の他の適切な添加剤で追加的に、または別の方法として含浸されてもよい。実施形態において、ニコチン、グリセリンおよび/または任意の他の適切な添加剤は、カバー層2の金型表面20上に追加的に、または別の方法として提供されうる。
【0083】
ここで
図2を参照すると、
図1に示される、エアロゾルを形成するための物品を製造する方法を図示する流れ図が示されている。
【0084】
方法は、エアロゾルを形成するための物品1の周辺を画定するように形作られた金型表面20を備える、または画定するカバー層2を提供する第一の工程S1を含む。
【0085】
第二の工程S2において、エアロゾル形成基体を含む物質(例えば、少なくとも部分的に液体の物質)が、カバー層2の金型表面20上に導入される。実施形態において、エアロゾル形成基体は、タバコ、例えば再構成たばこまたは廃たばこ製品(茎など)を含む。物質は、当業者に周知の通り、従来の方法で形成されているスラリーであってもよい。
【0086】
この実施形態において、物質(例えばスラリー)は、ガス(例えば、物質の中に吹き込まれるガスおよび/または物質内で発生するガス)で発泡させることによって、第三の工程S3で発泡体に形成され、一方で物質(例えばスラリー)は金型表面20上に位置する。しかしながら、実施形態において物質(例えばスラリー)は、第二の工程S2で金型表面20上に導入される前に発泡されてもよい。
【0087】
発泡材料は第四の工程S4で網状化され、これはこの実施形態において、物質(例えばスラリー)を金型表面20上に導入した後にも起こる。しかしながら、実施形態において網状化の第四の工程S3は、金型表面20に接触する前に起こってもよい。
【0088】
ニコチンおよびグリセリンは第二の工程S2において、物質(例えばスラリー)を金型表面20上に導入する前に、その金型表面上に提供される。ニコチンおよびグリセリンは、金型表面20上に噴霧、圧延、浸漬塗装されるか、または別の方法で堆積されてもよい。ニコチンおよびグリセリンは、金型表面20上に同時にまたは連続的に提供されうる。この実施形態において、ニコチンおよびグリセリンは、物質が金型表面20上に導入される時、物質(例えばスラリー)の中に含浸し、その結果、発泡エアロゾル形成基体3の中に含浸する。しかしながら、実施形態において、こうした含浸は、ニコチンおよび/またはグリセリンを物質(例えばスラリー)または発泡材料(例えば噴霧などによる)の中に直接提供することを含んでもよい。実施形態において、カバー層2は、少なくとも部分的に吸収性である材料から形成されてもよく、ニコチンおよび/またはグリセリン(および/または任意の他の適切な添加剤)を少なくとも部分的に保持するように構成されうる。
【0089】
次いで、網状発泡体エアロゾル形成基体は硬化されるか、または別の方法で乾燥されるか、または乾燥することが可能である。このように、エアロゾルを形成するための物品1が形成される。
【0090】
ここで
図3および
図4を参照すると、本発明のさらなる実施形態による、エアロゾルを形成するための物品11が示されていて、「1」で始まる類似の参照番号は類似の特徴を指し、その類似の特徴は本明細書においてさらに説明されない。
図3および
図4に示す物品11は、断面形状が異なる形状を有する(物品11は、物品1の円形断面形状ではなく、長方形の断面形状を有する)という点と、虚弱線W(それによって、壊れやすい部分を提供する)がエアロゾル形成基体13に提供されているという点とにおいて、
図1に示す物品1と異なる。
【0091】
虚弱線Wは、
図4で特に分かる通り、エアロゾル形成基体13の第一および第二の部分13a、13bを画定する。第一および第二の部分13a、13bは、この実施形態において、概して類似した形状および体積を有する。しかしながら、実施形態において、第一および第二の部分13a、13bは、異なる形状および/または体積を有してもよい。
【0092】
虚弱線Wは、この実施形態において、物品11の幅wを横切って延びる連続的かつ途切れのない線を含む。虚弱線Wは、この実施形態において、第一および第二の部分13a、13bが互いに部分的に結合したままであるように、エアロゾル形成基体13の厚さtを通って延びない。使用時、ユーザーは、虚弱線Wにて第一および第二の部分13a、13bを互いから選択的に分離しうる。次いで、エアロゾル形成基体13の第一の部分13aは、エアロゾルを発生するための装置(図示せず)で使用されることができ、一方で第二の部分13bは将来の使用のために、そこに保持される。カバー層12の一部分は虚弱線Wの中に延び、それによってセパレータSを形成する。
【0093】
エアロゾルを形成するための物品11は、
図5に示す方法によって形成される。第一の工程S5において、カバー層12が提供される。第二の工程S6において、エアロゾル形成基体13が提供される。カバー層12は、第三の工程S7において、エアロゾル形成基体13の周りに巻かれる(または別の方法でエアロゾル形成基体の周りに配置される)。カバー層12の一部分は次いで第四の工程S8において、 虚弱線Wを形成するために形状設定およびサイズ設定されたプレスツール(表示せず)を使用して、望ましい虚弱線Wの形状および位置でエアロゾル形成基体13の中に押し込まれる。エアロゾル形成基体13に対して作用する圧力がそれを変形させ、虚弱線Wを形成する。エアロゾル形成基体の中に押し込まれたカバー層12の部分は、この実施形態において虚弱線Wの中にとどまり、それによって、エアロゾル形成基体13の第二の部分13bから第一の部分13aを少なくとも部分的に分離するセパレータSを形成する。しかしながら、実施形態においてカバー層12は、虚弱線Wの形成後に虚弱線Wから少なくとも部分的に後退しうる(およびそれによって、材料に対する圧力の適用の前の材料の形状に戻るか、またはその形状に向かって戻る)材料から少なくとも部分的に形成されてもよい。
【0094】
実施形態において、エアロゾル形成基体13は複数の虚弱線W(例えば2本、3本、4本、またはそれ以上の虚弱線)を備えてもよい。実施形態において、追加的な虚弱線の一つ以上は、第一の虚弱線Wに実質的に平行であるかまたは直角を成してもよい。
【0095】
理解される通り、実施形態において虚弱線Wは、物品11の幅wの一部のみにわたって延びうる。追加的に、または別の方法として、虚弱線Wは連続線を備えていなくてもよく、代わりにその長さに沿って一つ以上の中断を含んでもよい。虚弱線Wが物品11の幅wを部分的に横切ってのみ延びる、および/またはそれを横切る非連続線を含む場合、虚弱線Wはエアロゾル形成基体13の厚さtを通って延びてもよい。虚弱線Wがエアロゾル形成基体13の厚さtを通って延びる場合、虚弱線Wの中に延びるカバー層12の部分は、エアロゾル形成基体13の表側面上のカバー層12に接触する、および/または結合されうる。こうした結合は、接着剤で、および/または一つ以上の固定具によって、および/または熱的に、虚弱線W内のカバー層12の部分をエアロゾル形成基体13の表側面上のカバー層12に接合することによって達成されうる。
【0096】
実施形態において、虚弱線Wは、カバー層12をエアロゾル形成基体13の中にその両側で同時にまたは連続的に押し込むことによって形成されうる。
【0097】
虚弱線Wはカバー層をエアロゾル形成基体の中に押し込むことによってのみ形成されると説明されている一方で、これはそうである必要はなく、代わりに虚弱線は、エアロゾル形成基体13をカバー層12で覆う前に少なくとも部分的に形成されてもよい。実施形態において、エアロゾル形成基体13は、虚弱線Wを形成するように直接押し付けられてもよい。実施形態において、エアロゾル形成基体は、虚弱線Wを少なくとも部分的に画定するように配設された突起部を備える金型で成形されてもよい。一部の実施形態において、虚弱線Wは、カバー層12を一つ以上の貫通エッジで貫通することによって形成されてもよい。
【0098】
代替的な実施形態において、虚弱線Wは、エアロゾル形成基体13の幅wを横切り、かつ厚さtを通って延び、それによって第一および第二の部分13a、13bを互いから分離してもよい。虚弱線Wのカバー層12の部分は、エアロゾル形成基体13の表側面上でカバー層12に少なくとも部分的に結合されるか貼り付けられてもよく、第一および第二の部分13a、13bは互いから分離している。カバー層12が、第一の部分と第二の部分の間にこうした結合部分を備える場合、カバー層12(セパレータを備える)の結合部分には虚弱線が提供されうる。例えば、一つ以上の開口部が、カバー層の結合部分を通して提供されうる。これらの開口部は、ブレードまたは他の鋭利な器具によって形成されうる。
【0099】
概略図は必ずしも実寸に比例するものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。しかし、当然のことながら、図面に描写されていない他の態様が本開示の範囲の中に収まる。