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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/80 20210101AFI20240524BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240524BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20240524BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F24F8/80 242
F24F7/007
F24F13/06 A
F24F13/14 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021509601
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2020013748
(87)【国際公開番号】W WO2020196771
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019063775
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】白橋 佑典
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太郎
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070540(JP,A)
【文献】特開2018-024308(JP,A)
【文献】特開2017-013783(JP,A)
【文献】特開2003-232560(JP,A)
【文献】特開昭62-131143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/80
F24F 7/007
F24F 13/06
F24F 13/14
A61L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される送風部と
上方側に凸状に湾曲する形状を有するルーバーと
を備え、
前記筐体には、前記送風部の下流に配置される吹出口が形成され、
前記筐体のうち前記吹出口の周囲に位置する周囲部分は、前記吹出口から前記筐体の外部に排出される風の方向を変化させるガイド面を含み、
前記ルーバーは、
前記吹出口の上流に配置され、
前記ガイド面よりも前記筐体の内部側に位置する先端部を有し、
前記吹出口から上方側へ風が排出されるように、前記送風部から送られる風をガイドする第1姿勢と、前記吹出口から下方側へ風が排出されるように、前記送風部から送られる風をガイドする第2姿勢との間で移動可能に支持される、送風装置。
【請求項2】
前記ガイド面は、前記吹出口の上側に位置する第1ガイド面を含み、
前記第1ガイド面は、上方側に湾曲又は傾斜する形状を有する、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
記第1姿勢の前記ルーバーの前記先端部と、前記第1ガイド面との間には、段差部が形成される、請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記ガイド面は、前記吹出口の下側に位置する第2ガイド面を含み、
前記第2ガイド面は、下方側に湾曲又は傾斜する形状を有する、請求項1に記載の送風装置。
【請求項5】
記第2姿勢の前記ルーバーの前記先端部と、前記第2ガイド面との間には、隙間が形成される、請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記筐体の内部に配置されるストッパ部材をさらに備え、
前記筐体の内部には、前記送風部から送られる風が流れる風路が形成され、
前記ストッパ部材は、前記風路の一部に対向する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項7】
記筐体の内部には、前記送風部から送られる風が流れる風路が形成され、
前記風路は、
前記吹出口から下方側に排出される風が流れる第1風路と、
前記吹出口から上方側に排出される風が流れる第2風路と
を含み、
前記ルーバーは、前記第2風路を遮断する第3姿勢と、前記第1風路を遮断する第4姿勢との間で回転可能に支持される、請求項1に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気清浄機は、本体ケースと、回転機構とを有する。回転機構は、本体ケースの正面の向きを左右方向に変える。本体ケースには、ファンと、空気清浄フィルターと、吹出口と、ルーバーとが設けられる。ファンは、本体ケースの内部に室内空気を取り込む。空気清浄フィルターは、取り込んだ室内空気を清浄する。吹出口は、清浄した空気を吹き出す。ルーバーは、吹出口の気流を整流する。ルーバーは、板と、1枚以上の整流板とで構成される。板は、開口部の外周の4面を筒状に囲う。整流板は、4面のうち左右の側壁と略並行に、左右の側壁の間に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-180562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ルーバーが吹出口に設置される。従って、ルーバーを設置するためのスペースと、ルーバーが回転動作を行うためのスペースとを吹出口内に確保しなければならないので、吹出口が大型化する可能性があった。
【0005】
本発明は、吹出口をコンパクトに構成することができる送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1局面によれば、送風装置は、筐体と、送風部とを備える。送風部は、筐体の内部に配置される。前記筐体には、前記送風部の下流に配置される吹出口が形成される。前記筐体のうち前記吹出口の周囲に位置する周囲部分は、前記吹出口から前記筐体の外部に排出される風の方向を変化させるガイド面を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の送風装置によれば、吹出口をコンパクトに構成することができることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る空気清浄機の側面図である。
図2】空気清浄機の断面図である。
図3】空気清浄機の断面図である。
図4】ルーバーが第1姿勢のときの風の流れを示す図である。
図5】空気清浄機の断面図である。
図6】ルーバーが第2姿勢のときの風の流れを示す図である。
図7】空気清浄機の断面図である。
図8】筐体の内部を示す模式的断面図である。
図9】筐体の内部を示す模式的断面図である。
図10】第1ガイド面の第1変形例を示す図である。
図11】第1ガイド面の第2変形例を示す図である。
図12】第2ガイド面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る空気清浄機100について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄機100の側面図である。図2は、空気清浄機100の断面図である。
【0011】
空気清浄機100は、本発明の送風装置の一例である。送風装置は、送風装置の外部から送風装置の内部に空気を取り入れて、取り入れた空気に対して加工処理を施し、加工処理後の空気を送風装置の外部に排出する構成を有していればよい。加工処理、例えば、空気を浄化する処理、空気にイオンを供給する処理、空気を除湿する処理、及び空気を加湿する処理のうちの少なくとも1つの処理を含む。
【0012】
図1及び図2に示すように、空気清浄機100は、筐体1を備える。筐体1は、中空の部材である。筐体1は、例えば、樹脂により形成される中空の部材である。
【0013】
筐体1は、第1筐体10と、第2筐体20とを含む。第1筐体10には、第2筐体20が着脱自在に取り付けられる。第2筐体20は、第1筐体10の外側に位置する。第1筐体10に第2筐体20が取り付けられることで、第1筐体10の一部が第2筐体20によって覆われる。なお、第1筐体10と第2筐体20とは、一体の部材でもよい。
【0014】
筐体1は、把持部3をさらに含む。把持部3は、筐体1の外面の一部を凹ませた形状を有する。ユーザーは、把持部3を把持して空気清浄機100を持ち運ぶ。
【0015】
筐体1には、吸気口Aが形成される。吸気口Aは、筐体1の内部Mと外部とを連通する。吸気口Aは、筐体1の下部12に形成される。
【0016】
筐体1には、吹出口Bがさらに形成される。吹出口Bは、筐体1の内部Mと外部とを連通する。吹出口Bは、筐体1の上部11に形成される。
【0017】
図4に示すように、空気清浄機100は、発光部4と、浄化部5と、送風部6とをさらに備える。
【0018】
発光部4、浄化部5、及び送風部6は、筐体1の内部Mに配置される。
【0019】
発光部4は、浄化部5に向けて光を照射する。発光部4は、例えば、LEDのような光源を含む。
【0020】
浄化部5は、空気を浄化する。浄化部5は、発光部4の上方に配置される。浄化部5は、例えば、光触媒フィルターを含む。光触媒フィルターに含まれる光触媒は、発光部4から光を照射されることで触媒作用を生成する。その結果、空気が浄化部5の光触媒フィルターを通過する際、空気中の臭い成分が分解される。臭い成分は、例えば、アンモニア、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、及び/又は、ノネナール等である。
【0021】
浄化部5は、物理吸着型フィルター、及び/又は、化学吸着型フィルターを含み、物理吸着型フィルター、及び/又は、化学吸着型フィルターによって臭い成分を吸着してもよい。光触媒フィルターが用いられない場合、空気清浄機100は発光部4を備えてなくてもよい。
【0022】
また、第1実施形態では、浄化部5は、空気の浄化の第1例として、空気中の臭い成分を低減させる。しかし、本発明はこれに限定されない。浄化部5は、空気の浄化の第2例として、空気中の塵埃を低減させてもよい。この場合、浄化部5は、例えば、HEPAフィルターを含む。
【0023】
筐体1の内部Mには、風路Nが形成される。第1実施形態では、風路Nは、上下方向に沿って延びる。風路Nは、吸気口Aと吹出口Bとに連通する。風路N上には、浄化部5と、送風部6とが配置される。
【0024】
送風部6は、風(空気の流れ)を生成する。送風部6は、例えば、ファンと、ファンを回転させる駆動源を含む。駆動源は、例えば、モータを含む。
【0025】
空気清浄機100は、イオン供給部7をさらに備える。イオン供給部7は、筐体1の内部Mに配置される。イオン供給部7は、風路N上に配置される。イオン供給部7は、送風部6の下流に配置される。イオン供給部7は、風路Nを流れる風にイオンを供給する。イオンは、正イオン、及び負イオンのうちの少なくとも1つのイオンを含む。
【0026】
空気清浄機100は、整流部8と、ルーバー9とをさらに備える。整流部8及びルーバー9は、風路N上に配置される。
【0027】
整流部8は、送風部6により送られる風をガイドする。整流部8は、筐体1の内部Mに配置される。整流部8は、イオン供給部7の下流に配置される。整流部8は、筐体1に固定される。
【0028】
ルーバー9は、整流部8から流れる風をガイドする。ルーバー9は、整流部8の下流に配置される。ルーバー9は、吹出口Bの上流に配置される。ルーバー9は、板状の部材を湾曲させた形状を有する。ルーバー9は、風路N上において、吹出口Bの直前に配置される。
【0029】
ルーバー9は、筐体1の内部Mに回転可能(移動可能)に取り付けられる。ルーバー9は、筐体1に対して回転可能に支持される。
【0030】
筐体1に対するルーバー9の取り付け構造の一例について説明する。
【0031】
空気清浄機100は、回転軸15を備える。回転軸15は、筐体1に直接又は間接に取り付けられることで、筐体1に支持される。
【0032】
ルーバー9は、先端部9aと、基端部9bと、案内面9cとを含む。先端部9aは、基端部9bよりも吹出口B側に位置する。先端部9aは、吹出口Bと対向する。ルーバー9の基端部9bには、回転軸15が挿通する。
【0033】
ルーバー9の先端部9aは、回転軸15を中心に回転する。詳細には、ルーバー9の先端部9aが、回転軸15を中心に上下に回転する。ルーバー9が回転することで、筐体1に対するルーバー9の回転角度が変更される。
【0034】
筐体1に対するルーバー9の回転角度が変更されることで、吹出口Bから排出される風の排出方向Hが変更される。詳細には、筐体1に対するルーバー9の回転角度が変更されることで、所定方向Xに対する排出方向Hの上下方向の傾斜角度θが変更される。その結果、吹出口Bからは、ルーバー9の回転角度に応じた方向に風が排出される。
【0035】
所定方向Xは、吹出口Bの向く方向を示す。所定方向Xは、具体的には、筐体1の内部Mから吹出口Bを介して筐体1の外部に向かう方向のうち、水平面に対して平行、かつ、ルーバー9の回転軸15の軸方向に対して垂直な方向を示す。第1実施形態では、ルーバー9の回転軸15の軸方向は、左右方向である。また、第1実施形態では、所定方向Xは、前方向である。
【0036】
ルーバー9は、案内面9cを含む。案内面9cは、ルーバー9のうち下方を向く面である。ルーバー9は、案内面9cに沿わせて風を送ることで、風の排出方向Hを規定する。
【0037】
筐体1に対するルーバー9の回転角度の変更は、ユーザーが行ってもよい。この場合、ユーザーがルーバー9を把持して回転させる。また、筐体1に対するルーバー9の回転角度の変更は、空気清浄機100が行ってもよい。この場合、空気清浄機100は、モータのような回転駆動源を備え、回転駆動源によりルーバー9を回転させる。
【0038】
空気清浄機100は、記憶部S1と、制御部S2とをさらに備える。
【0039】
記憶部S1は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。主記憶装置及び/又は補助記憶装置は、制御部S2によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0040】
制御部S2は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部S2は、空気清浄機100の各要素を制御する。
【0041】
図2を参照して、風路Nを通じた風の流れについて説明する。
【0042】
図2に示すように、送風部6が稼働することで、筐体1の外部から吸気口Aを介して筐体1の内部Mに風が流入する。筐体1の内部Mに流入した風は、浄化部5及びイオン供給部7の順番に、筐体1の内部Mを流れる。浄化部5及びイオン供給部7を流れる風は、浄化部5を通過する際に浄化され、イオン供給部7を通過する際にイオンを供給される。浄化部5及びイオン供給部7を通過した風は、整流部8を通過した後、ルーバー9の回転角度に応じた方向に向かって吹出口Bから排出される。その結果、浄化されると共にイオンを供給された風が、吹出口Bから排出される。第1実施形態では、送風部6が稼働することは、送風部6の駆動源であるモータがファンを回転させることを示す。
【0043】
なお、空気清浄機100は、浄化部5とイオン供給部7との両方を含んでいる必要はなく、浄化部5及びイオン供給部7のうちの少なくともイオン供給部7を含んでいればよい。
【0044】
次に、図1及び図3を参照して、空気清浄機100についてさらに説明する。図3は、空気清浄機100の断面図である。
【0045】
図1及び図3に示すように、筐体1は周囲部分30を含む。周囲部分30は、筐体1のうち吹出口Bの周囲に位置する部分である。周囲部分30は、吹出口Bを囲むように環状に形成される。第1実施形態では、周囲部分30は、第1筐体10と第2筐体20とに亘って形成される。
【0046】
周囲部分30は、第1ガイド面31と、第2ガイド面32とを含む。第1ガイド面31及び第2ガイド面32の各々は、吹出口Bから筐体1の外部に排出される風をガイドする。第1ガイド面31は、筐体1の外部に排出される風の方向を第1ガイド面31の上流と第1ガイド面31の下流とで変化させる。第2ガイド面32は、筐体1の外部に排出される風の方向を第2ガイド面32の上流と第1ガイド面31の下流とで変化させる。
【0047】
第1ガイド面31は、周囲部分30のうち吹出口Bの上側に位置する部分である。
【0048】
図3は、傾斜角度θ1を示す。傾斜角度θ1は、所定方向Xに対する第1ガイド面31の傾斜角度である。傾斜角度θ1は鋭角である。
【0049】
第1ガイド面31は、湾曲部31aと、平面部31bとを有する。湾曲部31aは曲面である。湾曲部31aは、筐体1の内部Mの天井面1aに連なる。湾曲部31aは、上方側へ湾曲する。湾曲部31aは、筐体1の外部(所定方向X)に向かうに従って上方側に位置するように湾曲する。平面部31bは、平面である。平面部31bは、湾曲部31aに連なる。平面部31bは、湾曲部31aよりも筐体1の外部側に位置する。
【0050】
天井面1aは、筐体1の内部Mに位置し、ルーバー9に対して上方から対向する面である。
【0051】
図3を参照して、第1姿勢Z1のルーバー9について説明する。第1姿勢Z1のルーバー9は、吹出口Bから上方側に風を排出するように、送風部6(図2参照)から送られる風をガイドする。図3は、第1姿勢Z1のルーバー9を示す断面図である。
【0052】
図3に示すように、第1姿勢Z1のルーバー9の案内面9cは、送風部6から送られる風を、上方側(所定方向Xに対して上方側)へガイドするように傾斜する。
【0053】
第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aは、上方側に突出する。第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aは、天井面1aに接触する。第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aは、第1ガイド面31の近傍に位置する。第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aよりも、第1ガイド面31の方が、上方側に位置すると共に、筐体1の外部側に位置する。
【0054】
第1姿勢Z1のルーバー9と、第1ガイド面31との間には、段差部18が形成される。段差部18は、第1姿勢Z1のルーバー9の案内面9cと、第1ガイド面31との高低差を示す。段差部18は、ルーバー9の先端部9aの肉厚により生じる。
【0055】
第1姿勢Z1のルーバー9の案内面9cは、段差部18を介して第1ガイド面31と連なる。
【0056】
次に、図2及び図4を参照して、ルーバー9が第1姿勢Z1のときの風の流れについて説明する。図4において、矢印Y1は、ルーバー9が第1姿勢Z1のときの風の流れを示す。
【0057】
図2及び図4に示すように、ルーバー9が第1姿勢Z1のとき、送風部6から送られる風は、イオン供給部7と整流部8とを通過した後、ルーバー9に到達する。ルーバー9に到達した風は、ルーバー9の案内面9cに沿って流れる。案内面9cを流れる風は、ルーバー9の先端部9aに到達すると、段差部18に沿って流れる。段差部18を通過した風は、第1ガイド面31の湾曲部31aに到達した後、湾曲部31aから離間することで、吹出口Bから排出される。
【0058】
以上、図2及び図4を参照して説明したように、第1姿勢Z1のルーバー9と、第1ガイド面31との間には、段差部18が形成される。この場合、風が段差部18を通過する際、風に含まれる空気の粘性により、風が案内面9cから段差部18を介して、天井面1a又は第1ガイド面31に引き寄せられる(コアンダ効果)。風が天井面1a又は第1ガイド面31に引き寄せられる際、風が上方側へ引き寄せられるので、風に対して上方側へ向かう推進力が付与される。その結果、所定方向Xに対する風の排出方向の傾斜角度θ2が小さくなることを抑制できるので、吹出口Bから上方側に風を効果的に排出することができる。
【0059】
また、筐体1は、上方側に湾曲する第1ガイド面31の湾曲部31aを含む。従って、風が吹出口Bから排出される際、第1ガイド面31は、風を湾曲部31aに沿わせることで、風を上方側へ向かうようにガイドすることができる。その結果、吹出口Bから上方側に風を効果的に排出することができる。
【0060】
次に、図1及び図5を参照して、第2ガイド面32について説明する。図5は、空気清浄機100の断面図である。
【0061】
図1及び図5に示すように、第2ガイド面32は、周囲部分30のうち吹出口Bの下側に位置する部分である。
【0062】
図5は、傾斜角度θ3を示す。傾斜角度θ3は、所定方向Xに対する第2ガイド面32の傾斜角度である。傾斜角度θ3は鋭角である。従って、第2ガイド面32は、所定方向Xに対して下方側に鋭角に傾斜する。本実施形態では、第2ガイド面32は、平面である。
【0063】
図5を参照して、第2姿勢Z2のルーバー9について説明する。第2姿勢Z2のルーバー9は、吹出口Bから下方側に風を排出するように、送風部6(図2参照)から送られる風をガイドする。図5は、第2姿勢Z2のルーバー9を示す断面図である。
【0064】
図5に示すように、第2姿勢Z2のルーバー9の案内面9cは、送風部6から送られる風を、下方側へガイドするように傾斜する。
【0065】
第2姿勢Z2のルーバー9の先端部9aは、下方側に突出する。第2姿勢Z2のルーバー9の先端部9aは、第2ガイド面32の近傍に位置する。第2姿勢Z2のルーバー9の先端部9aよりも、第2ガイド面32の方が、下方側に位置すると共に、筐体1の外部側に位置する。第2姿勢Z2のルーバー9の先端部9aと、第2ガイド面32との間には、隙間G1が形成される。第2姿勢Z2のルーバー9の先端部9aと、第2ガイド面32の端部32aとは、隙間G1を介して、上下方向に沿って互いに対向する。第2ガイド面32の端部32aは、第2ガイド面32のうち、筐体1の内部M側に位置する端部である。
【0066】
図3及び図5に示すように、筐体1に対するルーバー9の回転角度が変更されることで、ルーバー9の姿勢が第1姿勢Z1と第2姿勢Z2との間で変更される。
【0067】
次に、図2及び図6を参照して、ルーバー9が第2姿勢Z2のときの風の流れについて説明する。図6において、矢印Y2は、ルーバー9が第2姿勢Z2のときの風の流れを示す。
【0068】
図2及び図6に示すように、ルーバー9が第2姿勢Z2のとき、送風部6から送られる風は、イオン供給部7と整流部8とを通過した後、ルーバー9に到達する。ルーバー9に到達した風は、ルーバー9の案内面9cに沿って流れる。案内面9cを流れる風は、ルーバー9の先端部9aに到達すると、先端部9aから離間して隙間G1へ放出される。隙間G1へ放出された風は、第2ガイド面32に到達した後、第2ガイド面32から離間する。第2ガイド面32から離間した風は、吹出口Bから排出される。
【0069】
以上、図2及び図6を参照して説明したように、第2姿勢Z2のルーバー9と、第2ガイド面32との間には、隙間G1が形成される。従って、隙間G1へ放出された空気は、第2ガイド面32に引き寄せられる(コアンダ効果)。風が第2ガイド面32に引き寄せられる際、風が下方側へ引き寄せられるので、風に対して下方側へ向かう推進力が付与される。その結果、所定方向Xに対する風の排出方向の傾斜角度θ4が小さくなることを抑制できるので、吹出口Bから下方側に風を効果的に排出することができる。
【0070】
また、筐体1は、下方側に傾斜する第2ガイド面32を含む。従って、風が吹出口Bから排出される際、第2ガイド面32は、第2ガイド面32の傾斜に風を沿わせることで、風を下方側へ向かうようにガイドすることができる。その結果、吹出口Bから下方側に風を効果的に排出することができる。
【0071】
また、空気清浄機100は、筐体1の一部(第1ガイド面31、及び第2ガイド面32)に風のガイド機能を持たせることで、風をガイドする部材を吹出口Bに別途設ける必要が無い。その結果、吹出口Bに風をガイドする部材の設置スペースを確保する必要がないので、吹出口Bをコンパクトに構成することができる。また、吹出口Bをコンパクトに構成することで、筐体1の外面において吹出口Bが占める領域の割合を少なくすることができる。その結果、筐体1の外面においてデザインを施せる領域を増大させることができるので、筐体1のデザイン性を向上させることができる。
【0072】
また、空気清浄機100は、筐体1に第1ガイド面31と第2ガイド面32とを設けることで、吹出口Bの上下方向の寸法が増加することを抑制しつつ、第1ガイド面31により風を上方側に効果的に排出することができ、かつ、第2ガイド面32により風を下方側に効果的に排出することができる。
【0073】
次に、図2及び図7を参照して、空気清浄機100についてさらに説明する。図7は、空気清浄機100の断面図である。
【0074】
図7に示すように、筐体1の内部Mは、直前領域B1を含む。直前領域B1は、筐体1の内部Mにおいて、吹出口Bの下流に位置する領域のうち、吹出口Bの直前に位置する領域である。
【0075】
図2及び図7に示すように、空気清浄機100は、ストッパ部材40をさらに備える。ストッパ部材40は、略板状の部材である。ストッパ部材40は、例えば、樹脂により形成される。ストッパ部材40は、筐体1の内部Mに配置される。ストッパ部材40は、筐体1に固定される。ストッパ部材40は、筐体1から筐体1の内部Mに突出するように設置される。ストッパ部材40は、風路Nの一部を遮る。ストッパ部材40は、吹出口Bの近傍に配置される。ストッパ部材40は、吹出口Bの下流に配置され、吹出口Bの下流から直前領域B1を覆う。
【0076】
直前領域B1の下流にストッパ部材40が配置されることで、風路Nを流れる風のうちストッパ部材40へ向かう風αが、ストッパ部材40に当たることで、直前領域B1に流れ込むことを妨げられる。その結果、直前領域B1において、ルーバー9の案内面9cにより形成される風βの流れが、風αの流れにより乱されることを抑制できる。
【0077】
例えば、筐体1の内部Mにストッパ部材40が設けられていない場合、第2姿勢Z2のルーバー9により下方側へ向かうようにガイドされた風βが直前領域B1に流れ込むと、風αから上方に風圧を受ける。その結果、吹出口Bから下方側に風βを効果的に排出できなくなる可能性がある。しかし、第1実施形態では、筐体1の内部Mにストッパ部材40が設けられる。その結果、ストッパ部材40により風αが直前領域B1に流れ込むことが妨げられるので、風βが風αの干渉を受けることを抑制でき、吹出口Bから下方側に風βを効果的に排出できる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る空気清浄機100について説明する。図8及び図9の各々は、筐体1の内部Mを示す模式的断面図である。
【0079】
第2実施形態は、ルーバー9の回転角度に応じて、吹出口Bに通じる風路Nを切り換える点が第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。
【0080】
図8及び図9に示すように、天井面1aは、所定方向Xに対して下方側へ傾斜する。
【0081】
風路Nは、第1風路N1と、第2風路N2とを含む。第1風路N1は、吹出口Bから下方側に排出される風が流れる風路である。第2風路N2は、吹出口Bから上方側に排出される風が流れる風路である。
【0082】
筐体1に対するルーバー9の回転角度が変更されることで、ルーバー9の姿勢が第3姿勢Z3と第4姿勢Z4との間で変更される。
【0083】
図8は、第3姿勢Z3のルーバー9を示す図である。図8に示すように、ルーバー9が第3姿勢Z3になると、ルーバー9の先端部9aが第2ガイド面32に接触することで、第2風路N2がルーバー9により遮断されるのに対し、第1風路N1が開放される。従って、第1風路N1を流れる風は、天井面1aにより下方側へ向かうようにガイドされることで、吹出口Bから下方側へ排出される。これに対し、第2風路N2を流れる風は、第2風路N2の途中でルーバー9により流れを止められる。よって、ルーバー9が第3姿勢Z3になると、第1風路N1を流れる風と、第2風路N2を流れる風とのうち、第1風路N1を流れる風を吹出口Bから下方側へ選択的に排出することができる。
【0084】
図9は、第4姿勢Z4のルーバー9を示す図である。図9に示すように、ルーバー9が第4姿勢Z4になると、ルーバー9の先端部9aが第1ガイド面31に接触することで、第1風路N1がルーバー9により遮断されるのに対し、第2風路N2が開放される。また、ルーバー9が第4姿勢Z4になると、ルーバー9の案内面9cが所定方向Xに対して上方側へ傾斜する。その結果、第2風路N2を流れる風は、案内面9cにより上方側へ向かうようにガイドされることで、吹出口Bから上方側へ排出される。これに対し、第1風路N1を流れる風は、第1風路N1の途中でルーバー9により流れを止められる。よって、ルーバー9が第4姿勢Z4になると、第1風路N1を流れる風と、第2風路N2を流れる風とのうち、第2風路N2を流れる風を吹出口Bから上方側へ選択的に排出することができる。
【0085】
以上、図面(図1図9)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)~(3))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0086】
(1)図3に示すように、第1実施形態では、第1ガイド面31は、湾曲部31aを含む。しかし、本発明はこれに限定されない。図10に示すように、第1ガイド面31は、湾曲部31aに代えて、傾斜部31cを含んでいてもよい。傾斜部31cは、上方側へ傾斜する平面である。傾斜部31cは、筐体1の外部(所定方向X)に向かうに従って上方側に位置するように傾斜する。従って、風が吹出口Bから排出される際、第1ガイド面31は、風を傾斜部31cに沿わせることで、風を上方側へ向かうようにガイドすることができる。その結果、吹出口Bから上方側に風を効果的に排出することができる。
【0087】
(2)図4に示すように、第1実施形態では、第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aは、天井面1aに接触する。しかし、本発明はこれに限定されない。図11に示すように、第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aが天井面1aから離間しており、第1姿勢Z1のルーバー9の先端部9aと、天井面1aとの間に隙間G2が形成されていてもよい。この場合、隙間G2を通過した風を第1ガイド面31の湾曲部31aに沿わせることで上方側へ向かうようにガイドすることができる。その結果、吹出口Bから上方側に風を効果的に排出することができる。
【0088】
(3)図5に示すように、第1実施形態では、第2ガイド面32は下方側へ傾斜する。しかし、本発明はこれに限定されない。図12に示すように、第2ガイド面32は下方側へ湾曲していてもよい。その結果、隙間G2を通過した風を第2ガイド面32に沿わせることで下方側へ向かうようにガイドすることができる。その結果、吹出口Bから下方側に風を効果的に排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、送風装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 筐体
6 送風部
30 周囲部分
31 第1ガイド面
32 第2ガイド面
100 空気清浄機(送風装置)
B 吹出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12