(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】噴射可能な組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20240524BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20240524BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240524BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240524BHJP
B41M 5/00 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
C09D11/101
C09D11/30
B41J2/01 501
B41J2/01 127
H05K3/28 C
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41M5/00 110
(21)【出願番号】P 2021529735
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 GB2019053329
(87)【国際公開番号】W WO2020109769
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521226451
【氏名又は名称】エレクトラ ポリマーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォール、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ランデルス、クライブ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-184411(JP,A)
【文献】特表2018-529220(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163276(WO,A1)
【文献】特開2007-194174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00-13/00
B41J 2/01
B41M 5/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーであって、少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、前記反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及び、ジシクロペンタジエン型エポキシの1つ以上を含む、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーと、
フリーラジカル重合性化合物と、
イソシアネート化合
物を含む熱架橋剤であって、前記イソシアネート化合物はブロックイソシアネート化合物である、熱架橋剤と、
ラジカル開始剤とを含む、噴射可能な組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、前記反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、ビスフェノール-A型エポキシ樹脂、ビスフェノール-F型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物、エポキシエーテル、エポキシシラン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン及びオキセタンモノマーの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の噴射可能な組成物。
【請求項3】
前記フリーラジカル重合性化合物は、1つ以上のビニルエーテルを有する化合物及び/又は1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物を含む、請求項1又は請求項2に記載の噴射可能な組成物。
【請求項4】
前記フリーラジカル重合性化合物は、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリレート基を有する化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項5】
前記フリーラジカル重合性化合物は、ヒドロキシル置換基を含有しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項6】
前記熱架橋剤はトリアジン化合物をさらに
含む、請求項1に記載の噴射可能な組成物。
【請求項7】
前記トリアジン化合物は、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンを含む、請求項6に記載の噴射可能な組成物。
【請求項8】
前記熱架橋剤は、トリアジン化合物をさらに含み、前記フリーラジカル重合性化合物は、1:2以下のトリアジン化合物対ヒドロキシル基のモル比でヒドロキシを有するモノマーラジカル重合性化合物を含む、請求項1に記載の噴射可能な組成物。
【請求項9】
前記ラジカル開始剤は、1つ以上の光開始剤及び/又は1つ以上の熱開始剤を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項10】
1つ以上の反応性希釈剤、消泡剤、変色防止剤、レベリング剤、着色剤、顔料分散剤、重合防止剤、界面活性剤、接着促進剤、硬化加速剤、チキソトロープ剤又は難燃剤をさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項11】
10重量パーセント以下の、1つ以上の、エポキシ又はオキセタン樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーと、
70重量パーセント以上の1つ以上のフリーラジカル重合性化合物と、
5重量パーセント以下の1つ以上の熱架橋剤と、
10重量パーセント以下の1つ以上のラジカル開始剤とを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項12】
少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマー対熱架橋剤の重量百分率比は、5:1~1:5の範囲にある、請求項1~
11のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項13】
エポキシ又はオキセタン樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマー対熱架橋剤の重量百分率比は、3:1~1:1の範囲にある、請求項1~
11のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項14】
エポキシ又はオキセタン樹脂の前記反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、190g/当量~230g/当量のエポキシ当量を有するエポキシクレゾールノボラック樹脂を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の噴射可能な組成物を、導電性パターンをそれの第1表面に有する誘電体基板へ噴射するステップと、
前記噴射された組成物を硬化させるステップとを含む、電子装置の製造方法。
【請求項16】
前記噴射された組成物を硬化させるステップは、前記組成物を、印刷と同時に及び/又は印刷後に化学線照射又は電子線照射に曝露するステップを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記噴射された組成物を硬化させるステップは、前記組成物を紫外線照射に曝露するステップを含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記噴射された組成物を硬化させるステップは、発光ダイオード(LED)光源からの紫外線照射への曝露による硬化させるステップを含む、請求項
16又は請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記噴射された組成物を熱処理するステップをさらに含む、請求項
15~
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記噴射された組成物は、化学線照射を使用して、硬化の前に、硬化の後に又は硬化と同時に熱処理される、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
熱処理するステップは、80℃~250℃の温度での処理を含む、請求項
19又は
20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物は、前記誘電体基板の前記第1表面、及び前記導電性パターンへ噴射される、請求項
15~
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記誘電体基板は、導電性パターンをそれの第2表面にさらに含み、前記方法は、請求項1~
12のいずれか一項に従った噴射可能な組成物を、前記誘電体基板の前記第2表面の前記導電性パターンへ噴射するステップを任意選択的に含む、請求項
15~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
導電性パターン及び請求項1~
14のいずれか一項に記載の組成物をそれの第1表面上に有する誘電体基板を含む、電子装置。
【請求項25】
前記組成物は硬化状態にある、請求項
24に記載の電子装置。
【請求項26】
前記誘導体基板は非導電性材料を含む、請求項
24又は請求項
25に記載の電子装置。
【請求項27】
前記誘電体基板は、紙/樹脂複合体又は樹脂/ファイバーグラス複合体、セラミック基板、ポリエステル又はポリイミドを含む、請求項
24~
26のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項28】
前記導電性パターンは、任意の導電性の金属又は合金から形成される、請求項
24~
27のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項29】
前記導電性
パターンは、金、銀、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、アルミニウム、及び銅の1つ以上を含む、請求項
24~
28のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項30】
前記誘電体基板は、導電性パターン及び請求項1~
14のいずれか一項に記載の組成物をそれの第2表面にさらに含む、請求項
24~
29のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項31】
前記電子装置はプリント回路基板である、請求項
24~
30のいずれか一項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性であり、且つ、熱硬化性である噴射可能な組成物に関する。本組成物は、プリント回路基板などの電子装置の製造において、ソルダレジストなどの絶縁コーティングとしての使用に好適である。
【背景技術】
【0002】
ソルダレジスト又はソルダマスクは、プリント回路基板(PCB)の製作、組立及び最終使用中に多数の機能を果たす永続的な保護コーティングである。ソルダマスクの主目的の1つは、組立プロセス中に電気回路がはんだと相互作用しないようにすることである。しかしながら、それはまた、ラミネート、穴及びトレースが汚染物質を集めないようにして、PCBの耐用年数中に劣化しないようにするのに役立つ。ソルダマスクは、PCBの構成要素とトレースとの間の公知の誘電体特性の絶縁体としての役割も果たす。
【0003】
伝統的なフォトリソグラフィ現像方法は、フォトマスクと、スクリーン印刷又はいくつかの他のコーティング方法によって塗布された、感光性樹脂を含有するフォトレジストと、レジストインクのパターン化方法とを必要とする。近年、インクジェット印刷が、その簡単さ、便利さ及び低コストのためにソルダマスク組成物をPCB上へ堆積させるための人気がある技法になっている。この方法は、プリント回路基板にソルダレジストインクの画像を生み出すために、CADデータを直接使用するので、プロセス工程及び必要とされる材料の数を両方とも減らし、こうしてフォトリソグラフィ現像方法と比べてプロセスに関わる労働、時間及びコストを削減するという利点を有する。
【0004】
しかしながら、インクジェット印刷による応用のためのインクは、使用されているプリントヘッドのタイプに応じて、粘度及び表面張力などの、それらの物理的特性に関して多数の制限を受ける。ほとんどのインクジェットプリントヘッドについて、これらのインクの粘度は、典型的には、応用の時点で約5~15mPas以下である。この粘度は、スクリーン印刷に使用されるインクのそれ、約20,00mPasよりもはるかに低く、したがってそのようなインクに使用できる成分のタイプ及び数を制限する。しかしながら、典型的に使用されるものよりも高粘度のインクの使用を可能にする他のプリントヘッドが最近開発されている。
【0005】
必要とされる低い粘度を試み、達成するためにインクを多数の希釈剤で希釈すると、ソルダレジストの必要とされる物理的特性の悪化をもたらす。それが揮発性溶剤で希釈される場合、非揮発性物質の含量が減少し、結果として、十分なフィルム厚さを達成することがより困難である。加えて、揮発性溶剤の使用は、可撚性及び毒性などの危険を導入し得る。
【0006】
UV硬化性インクは、それらが迅速な硬化及び高度の架橋を可能にし、優れた耐化学薬品性及び機械的特性をもたらすので、ソルダマスクインクの設計にとって好ましい。しかしながら、全ての物理的特性を維持しながら、高温はんだ付プロセスとの適合性は、特に困難だがやりがいのあるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの課題の1つ以上を克服することを目指している。
【0008】
本発明の第1態様によれば、
少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーと、
フリーラジカル重合性化合物と、
イソシアネート化合物及びトリアジン化合物から選択される1つ以上の試薬を含む熱架橋剤と、
ラジカル開始剤とを含む、噴射可能な組成物が提供される。
【0009】
本発明の第2態様によれば、導電性パターン及び第1態様の組成物をそれの第1表面に有する誘電体基板を含む、電子装置が提供される。
【0010】
本発明の第3態様によれば、
第1態様による噴射可能な組成物を、導電性パターンをそれの第1表面に有する誘電体基板へ噴射するステップと、
噴射された組成物を硬化させるステップとを含む、電子装置の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本明細書で用いるところでは、「モノマー」は、他のモノマーと化合して、繰り返し単位のより長い鎖分子を形成する、例えばオリゴマー、プレポリマー又はポリマーを形成することができる単位又はビルディングブロックを言うとして理解されるべきである。
【0012】
本明細書で用いるところでは、「オリゴマー」は、比較的低い数の繰り返しモノマー単位(典型的には5~100)を含み、モノマー又はプレポリマーの中間の相対モル質量を有する化合物であって、その特性が1つ又は2、3の単位の除去で変わるであろう化合物を言うとして理解されるべきである。
【0013】
本明細書で用いるところでは、用語「プレポリマー」は、高分子量ポリマーへさらに重合することができるモノマー又はオリゴマーの繰り返し系を言う。
【0014】
上で定義されたモノマー、オリゴマー及びプレポリマーは、組成物中の他の成分との架橋を可能にする直交官能基を側鎖中に含有し得ることが理解されるであろう。
【0015】
本明細書で用いるところでは、例えば一官能性の重合性化合物における用語「一官能性」は、重合性化合物が1つの重合性基を含むことを意味する。
【0016】
本明細書で用いるところでは、例えば二官能性の重合性化合物における用語「二官能性」は、重合性化合物が2つの重合性基を含むことを意味する。
【0017】
本明細書で用いるところでは、例えば多官能性の重合性化合物における用語「多官能性」は、重合性化合物が3つ以上の重合性基を含むことを意味する。
【0018】
本明細書で用いるところでは、用語「アルキル」は、アルキル基中の炭素原子の各数について可能な全ての変形、すなわち、メチル、エチル、3つの炭素原子については:n-プロピル及びイソプロピル;4つの炭素原子については:n-ブチル、イソブチル及びターシャリーブチル;5つの炭素原子については:n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル及び2-メチルブチル等を意味する。
【0019】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換アルキル基は、好ましくはC1~C6アルキル基である。
【0020】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換アルケニル基は、好ましくはC2~C6アルケニル基である。
【0021】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換アルキニル基は、好ましくはC2~C6アルキニル基である。
【0022】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換アラルキル基は、好ましくは1つ、2つ、3つ又はそれ以上のC1~C6アルキル基を含むフェニル又はナフチル基である。
【0023】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換アルカリール基は、好ましくはフェニル基又はナフチル基を含むC7~C20アルキル基である。
【0024】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換アリール基は、好ましくはフェニル基又はナフチル基である。
【0025】
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換若しくは非置換ヘテロアリール基又は複素環基は、好ましくは、1つ、2つ又は3つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子又はそれらの組み合わせによって置換された5又は6員環である。
【0026】
本明細書で用いるところでは、例えば置換アルキル基における用語「置換」は、アルキル基が、そのような基中に通常存在する原子、すなわち、炭素及び水素以外の原子によって置換され得ることを意味する。例えば、置換アルキル基は、ハロゲン原子又はチオール基を含み得る。非置換アルキル基は、炭素及び水素原子のみを含有する。
本明細書で用いるところでは、及び特に明記しない限り、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アルカリール基、置換アリール及び置換ヘテロアリール基は、独立して、メチル、エチル,n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及びターシャリーブチル、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、-Cl、-Br、-I、-OH、-SH、-CN及び-NO2からなる群から選択される1つ以上の構成要素によって置換され得る。
【0027】
本開示に従った組成物、電子装置及び方法がこれから説明される。
【0028】
噴射可能な組成物
本発明の第1態様によれば、
少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーと、
フリーラジカル重合性化合物と、
イソシアネート化合物及びトリアジン化合物から選択される1つ以上の試薬を含む熱架橋剤と、
ラジカル開始剤とを含む、噴射可能な組成物が提供される。
【0029】
噴射可能な組成物は、組成物の様々な反応性モノマー及び重合性成分を考えると、硬化性組成物、例えば照射硬化性又は熱硬化性組成物とも言われ得る。組成物は、絶縁組成物、ソルダマスク組成物、又はソルダレジスト組成物とも言われ得る。
【0030】
少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマー
【0031】
噴射可能な組成物は、少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーを含み、それは、熱的に硬化性である、すなわち、熱硬化性である。モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーは、異なる程度の官能性を有し得る。例えば、一官能性、二官能性、三官能性及びより高官能性モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーの組み合わせを含む混合物が本組成物に使用され得る。
【0032】
少なくとも1つのエポキシド基を含有するモノマー、オリゴマー又はプレポリマーの例としては、ビスフェノール-A型エポキシ樹脂、ビスフェノール-F型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビス-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ポリ(2-オキシラニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]-2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールエーテル、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-イルメチル 7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-カルボキシレート;1,4-ブタンジールジグリシジルエーテル及びネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのジオール誘導体を含むエーテル誘導体;n-ブチルグリシジルエーテル、蒸留されたブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8~C10脂肪族グリシジルエーテル、C12~C14脂肪族グリシジルエーテル、o-クレジルグリシジルエーテル、p-ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、プロポキシル化グリセリントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル、ネオデカン酸のグリシジルエステル、並びにエポキシ化メタ-キシレンジアミンなどのグリシジルアミンが挙げられる。上記のリストは、例としてのものであること、及び他の好適なエポキシ物質が利用可能であることは理解されるであろう。他のエポキシ物質は、その内容がこれに関連して参照により本明細書に援用される、米国特許第10,005,911B2号明細書に見出すことができる。
【0033】
少なくとも1つのオキセタン基を含有するモノマー、オリゴマー又はプレポリマーの例としては、3,3’-オキシビス(メチレン)ビス(3-エチルオキセタン)、1,4-ビス(((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)メチル)ベンゼン、3-エチル-3-[(フェニルメトキシ)メチル]-オキセタン、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン及びビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルが挙げられる。
【0034】
一例において、少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、ビスフェノール-A型エポキシ樹脂、ビスフェノール-F型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ、脂環式エポキシ化合物、エポキシエーテル、エポキシシラン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン及びオキセタンモノマーの1つ以上を含む。一例において、少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、1つ以上のフェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含む。
【0035】
いくつかの例において、噴射可能な組成物は、20重量パーセント以下、例えば1重量パーセント~18重量パーセント、例えば2重量パーセント~17重量パーセント、例えば3重量パーセント~16重量パーセント、例えば4重量パーセント~15重量パーセント、例えば5重量パーセント~14重量パーセント、例えば6重量パーセント~13重量パーセント、例えば7重量パーセント~12重量パーセント、例えば8重量パーセント~10重量パーセントの、1つ以上の、エポキシ又はオキセタン樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーを含む。
【0036】
一例において、エポキシ樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、4000g/当量未満のエポキシ当量、例えば3000g/当量未満、例えば2000g/当量未満、例えば1000g/当量未満、例えば500g/当量未満、例えば250g/当量未満のエポキシ当量を含む。いくつかの例において、エポキシ樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、50g/当量超、例えば150g/当量超、例えば170g/当量超、例えば180g/当量超のエポキシ当量を含む。いくつかの例において、エポキシ樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、180g/当量~240g/当量、例えば190g/当量~230g/当量のエポキシ当量を含む。
【0037】
フリーラジカル重合性化合物
本組成物は、フリーラジカル重合性化合物を含む。フリーラジカル重合性化合物は、1つ以上のフリーラジカル重合性モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーを含み得る。これらのモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーは、異なる程度の官能性を有し得る。一官能性、二官能性、三官能性及びより高官能性モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーの組み合わせを含む混合物が使用され得る。照射硬化性インクジェットインクの粘度は、モノマーとオリゴマーとの間の比率を変えることによって調整され得る。
【0038】
フリーラジカル重合性化合物は、少なくとも1つのビニルエーテル化合物又は少なくとも1つの(メタ)アクリレート基化合物を含み得る。フリーラジカル重合性化合物は、遊離ヒドロキシル基を含有し得ない。
好適なフリーラジカル重合性化合物の例は、その内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第10,005,911号明細書に見出すことができる。
【0039】
特に、好適なフリーラジカル重合性化合物の例としては、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、1,4-ブタンジールビニルエーテル、1,4-ブタンジールジビニルエーテル(BDDVE)、n-ブチルビニルエーテル(NBVE)、イソ-ブチルビニルエーテル(IBVE)、tert-ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDM-ジ)、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHDM-モノ)、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル(DVE-2)、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル(DVE-3)、フェニルビニルエーテル、及びエチルビニルエーテル(EVE)、2-エチルヘキシルビニルエーテル(EHVE)、ドデシルビニルエーテル(DDVE)、オクタデシルビニルエーテル(ODVE)、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]1,6-ヘキサンジイルビスカルバメート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ-4,1-フェニレン)ビスカルバメート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]スクシネート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレート、ビス[4-(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタレート、2-クロロエチルビニルエーテル、オルトギ酸ジエチルビニル、エチル-1-プロペニルエーテル、プロピルビニルエーテル、トリス[4-(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテートなどのビニルエーテルが挙げられる。
【0040】
好適なフリーラジカル重合性化合物の例としては、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコールアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロキシルフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ビニルエーテルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、ラクトン変性のフレキシブルアクリレート、及びt-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジールジアクリレート、1,6-ヘキサンジールジアクリレート、1,9-ノナンジールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールA EO(エチレンオキシド)付加体ジアクリレート、ビスフェノールA PO(プロピレンオキシド)付加体ジアクリレート、ヒドロキシピバレートネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシル化ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ(プロピレングリコール)トリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はN-ビニルカプロラクタム若しくはN-ビニルホルムアミドなどのN-ビニルアミド、又はアクリルアミド若しくはアクリロイルモルホリンなどの置換アクリルアミドなどの、一官能性及び/又は多官能性アクリレートモノマー、オリゴマー又はプレポリマーが挙げられる。
【0041】
他の好適な一官能性アクリレートには、カプロラクトンアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、アルコキシル化フェノールアクリレート、トリデシルアクリレート及びアルコキシル化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレートが含まれる。
【0042】
他の好適な二官能性アクリレートには、アルコキシル化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジアクリレートが含まれる。
【0043】
他の好適な三官能性アクリレートには、プロポキシル化グリセリントリアクリレート及びプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。
【0044】
他の高官能性アクリレートには、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールエトラアクリレート、メトキシル化グリコールアクリレート及びアクリレートエステルが含まれる。
【0045】
さらに、上述のアクリレートに対応するメタクリレートがこれらのアクリレートと共に使用され得る。例としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
【0046】
さらに、本組成物はまた重合性オリゴマーを含有し得る。これらの重合性オリゴマーの例としては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、及び直鎖アクリルオリゴマーが挙げられる。
【0047】
スチレン化合物の好適な例は、スチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、β-メチルスチレン、p-メチル-β-メチルスチレン、α-メチルスチレン及びp-メトキシ-β-メチルスチレンである。
【0048】
ビニルナフタレン化合物の好適な例は、1-ビニルナフタレン、a-メチル-1-ビニルナフタレン、b-メチル-1-ビニルナフタレン、4-メチル-1-ビニルナフタレン及び4-メトキシ-1-ビニルナフタレンである。
【0049】
N-ビニル複素環化合物の好適な例は、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、N-ビニルインドール、N-ビニルピロール、N-ビニルフェノチアジン、N-ビニルアセトアニリド、N-ビニルエチルアセトアミド、N-ビニルスクシンイミド、N-ビニルフタルイミド、N-ビニルカプロラクタム及びN-ビニルイミダゾールである。
【0050】
いくつかの例において、フリーラジカル重合性化合物は、1つ以上の(メタ)アクリレート基を含む。いくつかの例において、1つ以上の(メタ)アクリレート基を含むフリーラジカル重合性化合物は、ヒドロキシル置換基を含有しない。
いくつかの例において、フリーラジカル重合性化合物は、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリレート基を含有する1つ以上の化合物、例えば2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートを含む。他の例としては、2-ビニルオキシエチル(メタ)アクリレート;3-ビニルオキシプロピル(メタ)アクリレート;1-メチル-2-ビニルオキシエチル(メタ)アクリレート;2-ビニルオキシプロピル(メタ)アクリレート;4-ビニルオキシブチル(メタ)アクリレート;1-メチル-3-ビニルオキシプロピル(メタ)アクリレート;1-ビニルオキシメチルプロピル(メタ)アクリレート;2-メチル-3-ビニルオキシプロピル(メタ)アクリレート;3-メチル-3-ビニルオキシプロピル(メタ)アクリレート;1,1-ジメチル-2-ビニルオキシエチル(メタ)アクリレート;3-ビニルオキシブチル(メタ)アクリレート;1-メチル-2-ビニルオキシプロピル(メタ)アクリレート;2-ビニルオキシブチル(メタ)アクリレート;4-ビニルオキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート;5-ビニルオキシペンチル(メタ)アクリレート;6-ビニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート;4-ビニルオキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート;p-ビニルオキシメチルフェニルメチル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシイソプロポキシ)エチル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシ)イソプロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシイソプロポキシ)プロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシイソプロポキシ)イソプロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシイソプロポキシ)エチル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシイソプロポキシ)プロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシエトキシ)イソプロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル(メタ)アクリレート;2-(ビニルオキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレート;及びポリプロピレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0051】
いくつかの例において、フリーラジカル重合性化合物は、フェノキシエチルアクリレート及び2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートからなる群から選択される。いくつかの例において、フリーラジカル重合性化合物は、フェノキシエチルアクリレート及び2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートを含む。
【0052】
いくつかの例において、フリーラジカル重合性化合物は、組成物の総重量の、50重量パーセント以上、例えば60重量パーセント以上、例えば70重量パーセント以上、例えば75重量パーセント以上、例えば80%以上の量で存在する。
【0053】
熱架橋剤
本噴射可能な組成物は、熱架橋剤を含む。いくつかの例において、熱架橋剤は、イソシアネート化合物、又はトリアジン化合物から選択される1つ以上の試薬を含む。いくつかの例において、熱架橋剤は、異なる程度の官能性を有する1つ以上の化合物を含む。したがって、モノ-、ジ-、トリ-及びより高い架橋性化合物を有する化合物の混合物が想定される。
【0054】
いくつかの例において、イソシアネート化合物は、1つ以上のモノマーの多官能性脂肪族/脂環式イソシアネート及び芳香族イソシアネートを含む。
【0055】
モノマーの脂肪族/脂環式イソシアネートの例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI又はHMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキサン 2,4-(2,6)-ジイソシアネート(水素化TDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水素化MDI)、1,3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び(TMDI)、二量体酸ジイソシアネート(DDI)が挙げられる。
【0056】
脂肪族/脂環式ポリイソシアネートの例は、N,N’,N”-トリス(6-イソシアネートヘキサメチレン)HDIビウレット(ビウレット)、HDI三量体、HDIウレトジオン及びIPDI三量体である。
【0057】
芳香族イソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及びキシリレンジイソシアネート(XDI)が挙げられる。
【0058】
いくつかの例において、イソシアネート化合物は、ブロックイソシアネート化合物又は非ブロックイソシアネート化合物である。ブロックイソシアネートを形成するために使用されるブロッキング剤は、熱硬化プロセス中に高温で除去される及び組成物の貯蔵安定性を向上させるために役立つ保護基である。
【0059】
ブロッキング剤の例としては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、t-ブタノール、及びイソブタノールなどのアルコール;フェノール、クロロフェノール、クレゾール、キシレノール、及びp-ニトロフェノールなどのフェノール類;p-t-ブチルフェノール、p-sec-ブチルフェノール、p-sec-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、及びp-ノニルフェノールなどのアルキルフェノール;3-ヒドロキシピリジン、8-ヒドロキシキノリン、及び8-ヒドロキシキナルジンなどの塩基性窒素を有する化合物;ジエチルマロネート、エチルアセトアセテート、及びアセチルアセトンなどの活性メチレン化合物;及びアセトアミド、アクリルアミド、及びアセトアニリドなどの酸アミド、スクシンイミド及びマレイミドなどの酸イミド;2-エチルイミダゾール及び2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;ピラゾール、3-メチルピラゾール、及び3,5-ジメチルピラゾールなどのピラゾール類;2-ピロリドン及び8-カプロラクタムなどのラクタム;アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、及びアセトアルドキシムなどの、ケトン又はアルデヒドのオキシム;エチレンイミン;並びにバイサルファイトが挙げられる。
【0060】
一例において、熱架橋剤は、Trixene BI 7960としてBaxenden Chemicals Ltdから商業的に入手可能な3,5-ジメチルピラゾールでブロックされたHDIビウレットである。
【0061】
いくつかの例において、熱架橋剤は、10重量パーセント以下、例えば5重量パーセント以下の量で組成物中に存在する。いくつかの例において、熱架橋剤は、全組成物の100重量部を基準として、0.1~10重量部、好ましくは0.5~5重量部の量で使用されるブロックイソシアネートである。
【0062】
いくつかの例において、熱架橋剤は、トリアジン化合物を含む。例えば、トリアジン化合物は、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンであり得る。トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(TACT)化合物の例は。下の構造で示される。
【化1】
【0063】
そのような物質は、名称Cymel NF 2000でAllnexによって及び名称Larotact 150でBASFによって販売されている。ソルダマスクへの物理的及び化学的耐性を向上させることに加えて、トリアジン化合物は、また、組成物がヒドロキシを有する(メタ)アクリレートモノマーを含まない場合に、ソルダマスク下の銅電気回路を熱硬化中の酸化から防ぐために使用することができる。したがって、一例において、組成物は、ヒドロキシを有するモノマーラジカル重合性化合物が存在しない場合はトリアジン化合物の形態での熱架橋剤を含む。一例において、組成物は、1:2以下のトリアジン:ヒドロキシのモル比で、例えば1:1のモル比でトリアジン化合物及びヒドロキシを有するモノマーラジカル重合性化合物の形態での熱架橋剤を含む。したがって、2つのヒドロキシル基を有するモノマーラジカル重合性化合物については、トリアジン:モノマーラジカル重合性化合物のモル比は、1:1以下、好ましくは1:<1である。
【0064】
いくつかの例において、熱架橋剤は、イソシアネート化合物及びトリアジン化合物を含む。いくつかの例において、熱架橋剤は、イソシアネート化合物と、ドロキシを有する(メタ)アクリレートモノマーラジカル重合性化合物が存在しない場合はトリアジン化合物とを含む。
【0065】
いくつかの例において、熱架橋剤は、トリアジン化合物であり、10重量パーセント以下、例えば5重量パーセント以下、例えば2重量パーセント~5重量パーセントの範囲の、例えば3重量パーセント~重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在する。いくつかの例において、熱架橋剤は、トリアジン化合物であり、組成物の総固形分を基準として5重量パーセント以下、例えば3重量パーセント以下、例えば1重量パーセント~3重量パーセントの範囲の、例えば約2重量パーセントの量で組成物中に存在する。
【0066】
熱硬化剤は、硬化フィルムにおける架橋度を高め、耐熱性、硬度、はんだ耐熱性。耐化学薬品性、電気絶縁性、並びに耐無電解めっき性及び耐浸漬めっき性などの様々な重要なソルダレジスト特性を向上させる。
【0067】
ラジカル開始剤
照射硬化性の噴射可能な組成物は、少なくとも1つのラジカル開始剤を含有するが、複数のラジカル開始剤及び/又は共開始剤を含む開始系を含有し得る。
【0068】
ラジカル開始剤は、フリーラジカル光開始剤、より具体的にはNorrish(ノリッシュ)型I開始剤又はNorrish型II開始剤であり得る。フリーラジカル光開始剤は、化学線照射に曝露されたときにフリーラジカルの形成によってモノマー及びオリゴマーの重合を開始する化合物である。Norrish型I開始剤は、励起後に開裂し、直ちに開始ラジカルを生成する開始剤である。Norrish型II開始剤は、化学線照射によって活性化され、実際の開始フリーラジカルになる第2化合物からの水素引き抜きによってフリーラジカルを形成する光開始剤である。この第2化合物は、重合相乗剤又は共開始剤と呼ばれる。両方の型I及び型II光開始剤を、単独で又は組み合わせて、記載される方法及び組成物において使用することができる。
【0069】
光開始剤の具体的な例としては、以下の化合物又はそれらの組み合わせ:アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、及び1,1-ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2-メチル-アントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、及び1-クロロアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン及びそれのアルキルエーテル、ベンゾフェノン及び置換ベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4-ジメチル-チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、及び2,4-ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタールなどのケタール、ビス(2,6-ジメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、及びN,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどのアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン又は5,7-ジヨード-3-ブトキシ-6-フルオレン、2,4,5-トリアリールイミダゾールの二量体;リボフラビンテトラブチレート;2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、及び2-メルカプトベンゾチアゾールなどのチオール化合物;2,4,6-トリス-S-トリアジン;2,2,2-トリブロモエタノール及びトリメチルフェニルスルホンなどの有機ハロゲン化合物;又はキサントン類が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0070】
好適な市販の光開始剤としては、IGM Resins Ltdから入手可能なIrgacureTM 184、IrgacureTM 500、IrgacureTM 369、IrgacureTM 1700、IrgacureTM 651、IrgacureTM 819、IrgacureTM 1000、IrgacureTM 1300、IrgacureTM 1870、DarocurTM 1173、DarocurTM 2959、DarocurTM 4265及びDarocurTM ITX、BASF AGから入手可能なLucerinTM TPO、IGMから入手可能なEsacureTM KT046、EsacureTM KIP150、EsacureTM KT37及びEsacureTM EDB、SPECTRA GROUP Ltd.から入手可能なH-NuTM 470及びH-NuTM 470Xが挙げられる。
【0071】
光開始剤の好ましい量は、組成物の総重量の0.1~20重量パーセント、より好ましくは2~15重量パーセント、最も好ましくは3~10重量パーセントである。
【0072】
感光性をさらに増大させるために、組成物は、共開始剤をさらに含有し得る。共開始剤の好適な例は、3つのグループ:1)メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン及びN-メチルモルホリンなどの第三級脂肪族アミン;(2)アミルパラジメチルアミノベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)-エチルベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、及び2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどの芳香族アミン;並びに(3)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジエチルアミノエチルアクリレート)又はN-モルホリノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、N-モルホリノエチルアクリレート)などの(メタ)アクリレート化アミンに分類することができる。好ましい共開始剤は、アミノベンゾエートである。
【0073】
これらの公知の及び一般に使用される光重合開始剤は、単独でかそれとも2つ以上のメンバーの混合物の形態で使用され得る。
【0074】
さらに、可視領域において吸収を示すCGI-784(Ciba Specialty Chemicalsの製品)等などのチタノセン化合物が、光化学反応を促進するために添加され得る。光重合開始剤は、上に列挙された特定の化合物に限定されない。紫外領域又は可視領域における光を吸収し、(メタ)アクリロイル基などの不飽和基のラジカル重合を引き起こす任意の化合物が、光重合開始剤又は光開始剤助剤に関係なく単独でかそれとも複数のメンバーの組み合わせの形態で使用され得る。
【0075】
ラジカル開始剤は、米国特許第8,664,288号明細書に及び「Thermal radical initiator derivatives based on O-imino-isourea:Synthesis,polymerization, and characterization,Beomjin Kim,Dong Geun Lee,Dong Yeon Kim,Hyeok Jin Kim,Nam Sik Kong,Jin Chul Kim,Seung Man Noh,Hyun Wook Jung,Young IL Park,(J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.54(2016)3593-3600)」に記載されているようなO-イミノ-イソ-尿素化合物などの熱ラジカル開始剤であり得る。
【0076】
本発明のいくつかの態様において、熱ラジカル開始剤は、また、「Kevin Injoe Jung,Beomjin Kim,Dong Geun Lee,Tae-Hee Lee,Seo Yeon Choi,Jin Chul Kim,Seung Man Noh,Young Il Park and Hyun Wook Jung,Characteristics of dual-curable blocked isocyanate with thermal radical initiator for low-temperature curing of automotive coatings,Progress in Organic Coatings,125,(160-166),(2018)」に記載されているようにイソシアネート化合物に関するブロッキング剤として利用され得る
【0077】
いくつかの例において、噴射可能な組成物は、
10重量パーセント以下の、1つ以上の、エポキシ又はオキセタン樹脂の反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーと、
70重量パーセント以上の1つ以上のフリーラジカル重合性化合物と、
5重量パーセント以下の1つ以上の熱架橋剤と、
10重量パーセント以下の1つ以上のラジカル開始剤とを含む。
【0078】
いくつかの例において、噴射可能な組成物は、
ノボラック型エポキシ樹脂と、
フリーラジカル重合性化合物としてのビニルエーテルアクリレー及び一官能性又は三官能性アクリレートと、
熱架橋剤としてのHDIビウレット及びトリアジン化合物と、
任意選択的に上に提示された量での、1つ以上のラジカル開始剤とを含む。
【0079】
いくつかの例において、少なくとも1つのエポキシ又はオキセタン官能基を含有する、反応性モノマー、オリゴマー又はプレポリマー対熱架橋剤の重量百分率比は、5:1~1:5の範囲に、例えば3:1~1:1の範囲にある。
【0080】
着色剤
いくつかの例において、噴射可能な組成物は、1つ以上の着色剤を含む。着色剤は、顔料又は染料を含み得る、いくつかの例において、着色剤は、組成物の総固形分を基準として10重量パーセント未満、9重量パーセント未満、8重量パーセント未満、7重量パーセント未満、6重量パーセント未満、5重量パーセント未満、4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2重量パーセント未満、例えば1重量パーセント未満、例えば約0.5重量パーセントの量で組成物中に存在する。いくつかの例において、着色剤は、1~10重量パーセント、例えば2~9重量パーセント、例えば3~7重量パーセント、例えば3~5重量パーセントの範囲の量で15%分散系として組成物に添加される。
【0081】
添加剤
噴射可能な組成物は、1つ以上の添加剤、例えば1つ以上の反応性希釈剤、消泡剤、変色防止剤、レベリング剤、顔料分散剤、重合防止剤、界面活性剤、接着促進剤、硬化加速剤、チキソトロープ剤、不活性充填材又は難燃剤をさらに含み得る。
そのような添加剤は、当技術分野において公知であり、さらなる議論を全く必要としない。
【0082】
いくつかの例において、本組成物の粘度は、45℃で20mPa.s以下、例えば45℃で1~18mPa.s、例えば45℃で4~14mPa.sである。この範囲の粘度を有する組成物が、工業的インクジェット印刷に好適である。
いくつかの例において、組成物は、高粘度組成物であり、25℃で200mPa.s未満、例えば25℃で190mPa.s未満、例えば25℃で180mPa.s未満、例えば25℃で170mPa.s未満、例えば25℃で160mPa.s未満、例えば25℃で約150mPa.sの粘度を有する。
【0083】
いくつかの例において、組成物は、25℃で50mPa.s~200mPa.sの範囲の、例えば25℃で75mPa.s~190mPa.sの範囲の、例えば25℃で100mPa.s~180mPa.sの範囲の、例えば25℃で125mPa.s~170mPa.sの範囲の、例えば25℃で140mPa.s~160mPa.sの範囲の粘度を有する。高粘度組成物は、組成物中の成分の量を変更することによって、特に、本明細書で記載されるような、反応性モノマーとオリゴマーとの間の比率を変えることによって調製することができる。
【0084】
いくつかの例において、組成物の表面張力は、25℃で18~70mN/mの範囲に、例えば25℃で20~50mN/mの範囲にある。この範囲の表面張力を有する組成物は、高い印刷品質及び接着を提供する。
【0085】
電子装置
第2態様によれば、導電性パターン及び本明細書で記載されるような組成物をそれの第1表面に有する誘電体基板を含む、電子装置が提供される。いくつかの例において、電子装置は、プリント回路基板であるか又はプリント回路基板を含む。
【0086】
いくつかの例において、誘電体基板は、紙/樹脂複合体又は樹脂/ファイバーグラス複合体、セラミック基板、ポリエステル又はポリイミドなどの非導電性材料を含む。いくつかの例において、組成物は、誘電体基板の第1表面で選択的にパターン化される。いくつかの例において、組成物は、導電性パターンと実質的に同一のパターンを形成するように、及び導電性パターンと一直線に並ぶようにそれが印刷されるという点において誘電体基板の第1表面で選択的にパターン化される。例えば、組成物は、導電性パターンの上に印刷されるにすぎなくてもよい。組成物は、導電性パターンを環境から封入する及び絶縁するように導電性パターンに印刷され得る。
【0087】
いくつかの例において、誘電体基板は、導電性パターンをそれの第2表面にさらに含む。誘電体基板は、誘電体基板の第2表面の導電性パターンを実質的に封入するように選択的にパターン化されたと本明細書で記載されるような組成物をさらに含む得る。
【0088】
いくつかの例において、組成物は、少なくとも部分硬化状態で誘電体基板の第1及び/又は第2表面に存在する。例えば、組成物は、誘電体基板に少なくとも部分熱硬化状態、少なくとも部分照射硬化状態又は少なくとも部分熱硬化状態及び少なくとも部分照射硬化状態の両方にあり得る。
【0089】
いくつかの例において、誘電体基板の第1及び/又は第2表面の導電性パターンは、任意の導電性の金属又は合金から形成される。いくつかの例において、導電性の金属又は合金は、金、銀、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、アルミニウム、及び銅の1つ以上を含む。
【0090】
いくつかの例において、電子装置は、各面又は各層がそれらの上に導電性パターン又はトレースを有する状態で、片面装置、両面装置又は多層装置である。いくつかの例において、電子装置は、フレキシブル誘電体基板であるか又は基板を含む。
【0091】
方法
第3態様によれば、本明細書で記載されるような噴射可能な組成物を、導電性パターンをそれの第1表面に有する誘電体基板へ噴射するステップと、噴射された組成物を硬化させるステップとを含む、方法が提供される。
【0092】
本明細書で記載されるような組成物は、ソルダレジスト組成物又は絶縁組成物を電気回路基板へ印刷するための任意の好適なインクジェットプリンターを用いて噴射され得る。そのようなプリンターの例としては、Meyer Burger製のPiXDRO rangeが挙げられる。
【0093】
いくつかの例において、組成物は、導電性パターンを実質的に封入するように、誘電体基板の第1表面、及び導電性パターンへ選択的に噴射される。そのような選択的噴射は、インクジェットプリンター及び好適なCADファイルの使用によって可能である。
【0094】
いくつかの例において、噴射された組成物を硬化させるステップは、組成物を電子線照射又は化学線照射、例えば紫外線照射に曝露するステップを含む。紫外線照射硬化が用いられる場合、光源は、UV発光ダイオード(UV LED)光源であり得る。
【0095】
いくつかの例において、噴射された組成物を硬化させるステップは、噴射された組成物を熱処理するステップを含む。いくつかの例において、噴射された組成物は、化学線照射を使用して、硬化の前に、硬化の後に又は硬化と同時に熱処理される。いくつかの例において、噴射された組成物は、化学線照射を用いた硬化後に熱処理される。
【0096】
いくつかの例において、熱処理は、80℃超、100℃超、150℃超、170℃超、200℃超、220℃超、又は240℃超、250℃超の温度での処理を含む。いくつかの例において、熱処理は、250℃未満、230℃未満、210℃未満、190℃未満、170℃未満、150℃未満、130℃未満、110℃未満、又は90℃未満の温度での処理を含む。いくつかの例において、熱処理は、80℃~250℃、例えば100℃~200℃、例えば120℃~170℃の温度での処理を含む。熱処理は、典型的には15~90分実施される。
(例)
【0097】
方法
インク調製の実施例方法
先ず固体成分(例えば固体エポキシ樹脂及び開始剤)を低粘度液体成分の1つ以上に溶解させることによって組成物を調製する。着色剤を好適な分散方法(例えばボール/ビーズミル)によってあらかじめ分散させる。着色剤分散系を次いで、残りの液体成分と一緒に固体成分の溶液に添加し、手動によって又は好適なミキサーを用いることによってブレンドし、次いでPall Corporationから入手可能な1ミクロンのガラスディスクフィルターを通して濾過する。
粘度をチェックし、液体成分の1つ以上を使用して調整する。
【0098】
基板の準備
ブラシがけ、ジェット軽石又は軽石などの機械的/研摩方法によって、又は洗剤若しくは溶剤洗浄、マイクロエッチング、制御酸化方法若しくは表面エネルギー変更処理などの他の表面処理などの化学的前処理方法によってコーティング前に基板をきれいにし得る。
【0099】
インクジェット組成物のコーティング
接着、耐溶媒性及び耐はんだ性を評価するために、表1にリストアップされる実施例コーティングを、25μmのK棒コーティング線材を用いてコーティングして15μmのコーティング厚さを得、UV硬化させ、これに150℃で60分間の熱硬化が続いた。
【0100】
コーティングされた組成物を、UV硬化後に硬化速度/硬化効率について並びに熱硬化後に接着及び耐溶剤性などの最終特性について評価した。
【0101】
インクジェット組成物の印刷
ENIG(無電解ニッケル浸漬金)及びスズ浸漬めっき液への耐性を評価するために、Meyer Burger LP50インクジェットプリンターを用いてインクをPCB試験片上へ噴射した。約30ミクロン又は45ミクロンの厚さを達成するために、2回又は3回の通過でインクをコーティングし、395nm UV LED光源を用いて「ピンキュア」した。試料を次いで、中圧Hg蒸気ランプからの2000mJで「UVバンプ」し、150℃で60分間熱硬化させた。めっき(下記を参照されたい)後に、ブリスタリング、層間剥離、コーティングの表面攻撃及び/又はコーティング若しくは回路トレースの色変化の証拠について、10×拡大鏡を用いて試験片を詳細に調べた。外科用メスを用いて、金属電気回路のエリアにわたって、硬化コーティングに3×3グリッドパターンをカットすることによってコーティング接着を評価した。グリッドカットは、1mm間隔を開けた。グリッドをカットした後、自己接着テープ(Scotch 600)を表面に適用し、手動で取り除き、グリッド及び周辺エリアからのコーティングの除去を目視検証することによって接着を評価した。
【0102】
めっきプロトコル
前処理
全ての試料について、浸漬試験にかかわらず、以下の前処理を行った:
1.クリーナー-Pro Select SF K。動作温度 45℃ 浸漬時間 4分。
2.クリーナーエッチ-Microetch SF。動作温度 26℃。浸漬時間 2分。
浸漬スズのために、以下のプロトコルに従った:
浸漬溶液:Atotech UK Ltd.製のStannatech 2000V
動作温度 75℃;浸漬時間:およそ20分。
【0103】
ENIG浸漬のために、以下のプロトコルに従った:
1.活性化-Aurotech Activator 1000。動作温度 25℃。浸漬時間 1.5分。
2.無電解ニッケル-Aurotech CNN Mod。動作温度 85℃。浸漬時間 およそ25分。
3.浸漬金-Aurotech CS 9000。動作温度 85℃。浸漬時間 およそ12~16分。
【0104】
前処理又は個別の工程の間に、出しっぱなしの水道水かそれとも脱イオン水(最終リンス)を使用して試料を洗浄した。
【0105】
粘度測定
100rpmの速度で、スピンドル#18を使って、Brookfield DV-II+Pro粘度計を用いて25℃で組成物の粘度を測定した。
【0106】
表面張力
Shanghai Fangrui Instrument Co.Ltd製のInterfacial Surface Tension Meter,Model# BZY201を用いて組成物の表面張力を測定した。
【0107】
インクジェット組成物の硬化効率
コーティングされたインクジェットインクを、硬化速度についてUV硬化後に目及び手触りによって評価し、1(非常に乾燥した)から5(湿った)までの格付けを与えた。
【0108】
X-ハッチ接着
外科用メスを用いて硬化コーティングに3×3グリッドパターンをカットすることによってX-ハッチ接着を測定した。グリッドカットは、1mm間隔を開けた。グリッドをカットした後、自己接着テープ(Scotch 600)を表面に適用し、手動で取り除くことによって接着を評価した。目視による評価は、1(非常に良好な接着)から5(非常に不十分な接着)までの範囲の接着品質をもたらした。
【0109】
耐はんだ性の評価
SOLDER CONNECTION製の「K」グレード63:37スズ/鉛はんだで満たされているL&M PRODUCTSから入手可能なSPL600240 Digital Dynamic Solder Potを使用してコーティングの耐はんだ性を評価した。はんだの温度を260℃に設定した。
【0110】
脱脂綿ボールを使用して、SOLDER CONNECTION製のはんだフラックスSC7560Aを試料(すなわち、銅表面の組成物のコーティング)の表面に塗布し、そこで表面をきれいにするためにX-ハッチ接着試験を実施した。試料をはんだポットの上方に1分間置くことによってはんだフラックスを乾燥させた。
【0111】
はんだ波を生み出し、試料を4回その波の上方を通過させ(5秒/通過)、リンスする前にそれらを冷却させ、各通過の間に還流させ、その後試料をリンスし、室温に冷却させた。
【0112】
銅表面のソルダマスク組成物の接着を、次いで、上記のXハッチ接着方法で評価した。
【0113】
貯蔵安定性
60℃で28日間貯蔵後の組成物の25℃での粘度の百分率増加を測定することによって貯蔵安定性を評価した。
【0114】
実施例組成物
組成物を、下の表1及び表2に示されるような組成で調製した。
【0115】
【0116】
【0117】
反応性モノマー1:エポキシクレゾールノボラック(Nanya製のNPCN-704);反応性モノマー2:エポキシクレゾールノボラック(DIC Corporation製のEpiclon N680);反応性モノマー3:エポキシクレゾールノボラック(Huntsman製のECN 1273);反応性モノマー4:ビスフェノール-Aエポキシ(Huntsman製のGY260);反応性モノマー5:脂環式エポキシ(ダイセル製のEHPE3150);反応性モノマー6:高分子エポキシノボラック(Miller Stephenson製のEpiclon SU-8);反応性モノマー7:ジシクロペンタジエン型エポキシ(DIC Corporation製のHP-7200 HH);反応性モノマー8:ジシクロペンタジエン型エポキシ(DIC Corporation製のHP-9500);反応性モノマー9:ビスフェノール-Aエポキシ(Huntsman製のGT 6610);反応性モノマー10:エポキシフェノールノボラック(DOW製のDEN 438);反応性モノマー11:ビスフェノール-Fエポキシ(Huntsman製のGY285);反応性モノマー12:脂環式エポキシ(IGM Resins製のOmnilane 2005);反応性モノマー13:オキセタン環状エーテルモノマー(東亞合成製のAron OXT-221);反応性モノマー14:脂環式エポキシ(Lambsons製のUvicure S-140);反応性モノマー15:エポキシ官能性シラン(Momentive製のSilquest A-186);反応性モノマー16:エポキシモノマー/希釈剤(CVC Thermoset Specialities製のErisys GE21);反応性モノマー17:エポキシモノマー/希釈剤(Huntsman製のAraldite DY);フリーラジカル重合性化合物1:一官能性アクリレートモノマー(Miwon製のMiramer M1130);フリーラジカル重合性化合物2:三官能性アクリレートモノマー(Sigma-Aldrich製のトリメチロールプロパントリアクリレート);フリーラジカル重合性化合物3:ビニルエトキシエーテルアクリレート(日本触媒製のVEEA);フリーラジカル重合性化合物4:一官能性アクリレートモノマー(Arkema製のSR339);フリーラジカル重合性化合物5:環状トリメチロール-プロパンホルマールアクリレート(Arkema製のSR531);光開始剤1:IGM Resins製のOmnirad 4-PBz;光開始剤2:IGM Resins製のOmnirad 808;光開始剤3:IGM Resins製のITX;重合防止剤:Rahn製のGenorad G22;熱架橋剤1:ブロックイソシアネートビウレット(Baxenden Chemicals製のBI 7960);熱架橋剤2:アミノ架橋剤(BASF製のLarotact 150);顔料:青色/黄色顔料分散系(Speciality Industrial Chemical製のSIC PY150/SICPB154);反応性モノマー18:エポキシ官能性シラン(Azelis製のMP200);硬化剤:Thomas Swan製のCASAMID 780加速ジシアンジアミド)。
【0118】
表2の実施例29~33において、反応性モノマー18及び硬化剤を、リストアップされる他の成分の100部調合物に添加した。
【0119】
表1及び表2に見ることでできるように、本開示に従った組成物は、UV硬化速度、耐溶剤(ジクロロメタン)性、耐はんだ性、及びENIG(無電解ニッケル浸漬金)及びスズ浸漬から選択された1つ以上の有利な特性を示す。全ての場合に、1又は2の評価は、加工又は性能クライテリアの観点から許容できると考えられる。