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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】動的な陰影付けシステム
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/04 20060101AFI20240524BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240524BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B60J3/04
B60R11/02 C
G08B23/00 510Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022074884
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2019123504の分割
【原出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2022106884
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】16/025,501
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン チャウ
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159730(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098312(WO,A1)
【文献】特開2004-138795(JP,A)
【文献】特開2004-268672(JP,A)
【文献】特開2017-159890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/04
B60R 11/02
G08B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的な陰影付けシステムであって、
動的な陰影付け用に構成された窓と、
車両の乗員が任意の場所で前記窓に触れたことを示す信号を出力するように構成された1つ又は複数の乗員センサと、
前記窓及びユーザ入力デバイスと通信可能に結合された制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記1つ又は複数の乗員センサの出力に基づいて前記ユーザが前記窓に触れていることを検出し、
前記ユーザが前記窓に触れている期間を判定し、
前記ユーザの接触に基づいて陰影の好みを判定し、
前記期間が予め定められた閾値を超えたこと及び前記陰影の好みに応答して前記車両の乗員によって触れられた窓の位置を陰影付けする、
ためのロジックを実行する、動的な陰影付けシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記窓の動的な陰影付けを調整してユーザ入力デバイスから受け取ったメッセージを表示するためのロジックを実行し、前記メッセージの特性は、前記ユーザ入力デバイスへのユーザ入力に基づいて調整可能である、請求項1に記載の動的な陰影付けシステム。
【請求項3】
前記特性は、陰影の色及び陰影の不透明性のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の動的な陰影付けシステム。
【請求項4】
前記窓は、車両の窓であり、
前記制御部は、緊急事態を示す緊急出力信号を出力するように構成された前記車両の緊急システムと通信可能に結合され、
前記制御部は、
前記緊急システムの前記緊急出力信号に基づいて緊急事態が発生していることを判定し、
緊急事態が発生していると前記制御部が判定したとき、前記窓の前記動的な陰影付けを自動的に調整して、前記窓の前記動的な陰影付けを用いて緊急信号を表示する、
ためのロジックを実行する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の動的な陰影付けシステム。
【請求項5】
前記窓は、車両の窓であり、
前記制御部は、前記車両のバッテリの充電レベルを示す充電レベル信号を出力するように構成されたバッテリセンサと通信可能に結合され、
前記制御部は、
前記バッテリセンサによって出力された前記充電レベル信号に基づいて前記バッテリの前記充電レベルを判定し、
前記充電レベル信号が所定の充電レベル未満であると前記制御部が判定するとき、前記窓の前記動的な陰影付けを自動的に調整して、前記窓の前記動的な陰影付けを用いて低バッテリ信号を表示する、
ためのロジックを実行する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の動的な陰影付けシステム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記陰影の好みを1つ又は複数のメモリに記憶させ、
前記記憶された陰影の好みを前記ユーザに関連付けする、
ためのロジックを実行する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の動的な陰影付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、陰影付け(shading)システムに関し、より詳細には、車両の乗員を動的に陰影付けするための車両用の動的な陰影付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の窓は、窓に埋め込まれた分子の極性を変えることにより、要求に応じて色付けするように構成され得る。これら最新の窓は、特定の時刻に作動するようにプログラムされることができる場合がある。例えば、窓は、日中に暗くなり、夜に明るくなり得る。例えば、日中には、窓は、太陽が明るくなるにつれて次第に不透明になり得る。しかしながら、斯かる窓は、ユーザの位置又は陰影付けの好みに基づいて動的に変更することができない場合があるという点で制限されている。
【0003】
したがって、車両の乗員を動的に陰影付けするための代替的な陰影付けシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、車両の動的な陰影付けシステムは、1つ又は複数の乗員センサ、動的な陰影付け用に構成された窓、並びに1つ又は複数の乗員センサ及び窓と通信可能に結合された制御部を含む。1つ又は複数の乗員センサは、車両内の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す信号を出力するように構成される。制御部は、1人又は複数の乗員のそれぞれの陰影の好みにしたがって1人又は複数の乗員のそれぞれを陰影付けするために、1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に基づいて窓の領域を陰影付けするためのロジックを実行する。
【0005】
別の実施形態では、動的な陰影付けシステムは、動的な陰影付け用に構成された窓と、ユーザ入力デバイスと、窓及びユーザ入力デバイスと通信可能に結合された制御部と、を含む。制御部は、窓の動的な陰影付けを調整して、ユーザ入力デバイスから受信したメッセージを表示するためのロジックを実行する。
【0006】
さらに別の実施形態では、車両の動的な陰影付けシステムは、1つ又は複数の乗員センサと、動的な陰影付け用に構成された窓と、ユーザ入力デバイスと、1つ又は複数の乗員センサ、窓及びユーザ入力デバイスと通信可能に結合された制御部と、を含む。1つ又は複数の乗員センサは、車両の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す信号を出力するように構成される。制御部は、1人又は複数の乗員のそれぞれの陰影の好み及びユーザ入力デバイスから受信したメッセージにしたがって1人又は複数の乗員のそれぞれを陰影付けするために、1人又は複数の乗員のそれぞれの位置の少なくとも1つに基づいて窓の領域を陰影付けするためのロジックを実行する。
【0007】
本明細書に記載の実施形態によって提供されるこれらの特徴及び追加の特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮するとより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、車両の動的な陰影付けシステムを概略的に描く図である。
図2A図2Aは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図2B図2Bは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図2C図2Cは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図2D図2Dは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図3A図3Aは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図3B図3Bは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図3C図3Cは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
図3D図3Dは、本明細書に示され且つ記載された1つ又は複数の実施形態に係る、図1の動的な陰影付けシステムによって生成された陰影の好みの出力を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面に示される実施形態は、本質的に説明的及び例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている以下の図面と併せて読むと理解することができる。
【0010】
概して図を参照すると、本開示は、車両のための動的な陰影付けシステムを対象とする。特に、本開示に係る動的な陰影付けシステムは、動的な陰影付け用に構成された窓と、窓の陰影付けを制御するためのロジックを実行する制御部と、を含む。例えば、いくつかの実施形態では、動的な陰影付けシステムは、車両の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す信号を出力するように構成された1つ又は複数の乗員センサを含む。動的な陰影付けシステムは、各乗員の陰影の好みにしたがって各乗員を陰影付けするために、車両の各乗員の位置に基づいて陰影付けを調整し得る。すなわち、各乗員の陰影付けは、その乗員の好みに調整される。したがって、1人の乗員が陰影付けされたいが別の人はされたくない場合、動的な陰影付けシステムは、陰影付けを望む乗員のみが陰影付けされるように窓の陰影付けを調整することができる。更なる実施形態では、動的な陰影付けシステムは、ユーザが単語及び/又は記号を入力することを可能にするユーザ入力デバイスを含むことができ、制御部は、窓の動的な陰影付けを調整してユーザの単語及び/又は記号を表示することができる。これら及び他の特徴は、本明細書でより詳細に説明される。
【0011】
ここで図1を参照すると、車両100が概略的に例示されている。車両100は、動的な陰影付けシステム101を含む。車両100は、概して自動車として描かれているが、車両100は、例えば陸上車両、水上車両、及び/又は空中車両などの任意の乗用車であってもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、車両100は、電動車両又はハイブリッド車両であり得る。本明細書でさらに詳細に説明するように、動的な陰影付けシステム101は、車両100の窓130の動的な陰影付けを、位置、サイズ、方向の色、不透明度、単語、記号などの少なくとも1つにおいて調整する。
【0012】
動的な陰影付けシステム101は、概して、制御部102と、通信パス104と、動的な陰影付け用に構成された窓130と、を含む。動的な陰影付けシステム101は、1つ又は複数の乗員センサ110と、1つ又は複数の光センサ120と、ユーザ入力デバイス140と、バッテリセンサ150と、緊急システム160と、をさらに含み得る。本開示に係る動的な陰影付けシステム101は、本開示の範囲から逸脱することなく、通信パス104を介して互いに通信可能に結合されたより少数又は多数のモジュールを含み得ることに留意されたい。
【0013】
上述したように、動的な陰影付けシステム101は、動的な陰影付けシステム101内に配置された様々なモジュール間のデータの相互接続性を提供する通信パス104を含む。具体的には、各モジュールは、データを送信及び/又は受信し得るノードとして動作することができる。いくつかの実施形態では、通信パス104は、動的な陰影付けシステム101全体にわたってプロセッサ、メモリ、センサ、及びアクチュエータへの電気データ信号の送信を可能にする導電性材料を含む。別の実施形態では、通信パス104は、例えばLINバス、CANバス、VANバスなどであり得る。更なる実施形態では、通信パス104は、無線及び/又は光導波路であり得る。通信可能に結合された構成要素は、例えば、導電性媒体を介した電気信号、空気を介した電磁信号、光導波路を介した光信号などのデータ信号を互いに交換することが可能な構成要素を含み得る。
【0014】
制御部102は、1つ又は複数のメモリモジュール106と通信可能に結合された1つ又は複数のプロセッサ105を含む。1つ又は複数のプロセッサ105は、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された機械可読な命令を実行することが可能な任意のデバイスを含み得る。したがって、各プロセッサは、コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、及び/又は任意の他のコンピューティングデバイスを含み得る。
【0015】
1つ又は複数のメモリモジュール106は、通信パス104を介して1つ又は複数のプロセッサ105と通信可能に結合される。1つ又は複数のメモリモジュール106は、揮発性及び/又は不揮発性メモリとして構成されることができ、及び、そのため、(SRAM、DRAM、及び/又は他のタイプのRAMを含む)ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、セキュアデジタル(SD)メモリ、レジスタ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び/又はその他の種類の非一時的なコンピュータ可読可能媒体を含むことができる。特定の実施形態に応じて、これら非一時的なコンピュータ可読媒体は、動的な陰影付けシステム101内及び/又は動的な陰影付けシステム101の外部に存在し得る。以下により詳細に説明されるように、1つ又は複数のメモリモジュール106は、1つ又は複数個のロジックを記憶するように構成され得る。本明細書に記載された実施形態は、本明細書に記載されたロジックの任意の部分を実行するために分散コンピューティング配置を利用し得る。
【0016】
本開示の実施形態は、例えば、機械可読な命令にコンパイル又はアセンブルされ且つ機械可読媒体に記憶された、プロセッサによって直接実行され得る機械言語、アセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなど、任意の世代(例えば、1GL、2GL、3GL、4GL、及び/又は5GL)の任意のプログラミング言語で書き込まれた機械可読な命令及び/又はアルゴリズムを含むロジックを含む。同様に、ロジック及び/又はアルゴリズムは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成又は特定用途向け集積回路(ASIC)、及びそれら同等物を介して実装されるロジックなどのハードウェア記述言語(HDL)で書き込まれ得る。したがって、ロジックは、事前にプログラムされたハードウェア要素として、及び/又はハードウェア及びソフトウェアコンポーネントの組み合わせとして、従来のコンピュータプログラミング言語で実装され得る。1つ又は複数のメモリモジュール106に記憶されたロジックは、1つ又は複数のプロセッサ105によって実行されると、車両の乗員の位置、乗員の記憶された好みのうちの少なくとも1つにしたがって、及びユーザ入力デバイス140で受信した乗員からの入力によって、窓130の動的な陰影付けを変化させる。
【0017】
動的な陰影付けシステム101は、概して、通信パス104を介して制御部102と通信可能に結合された、動的な陰影付け用に構成された窓130を含む。本開示はしばしば車両100の文脈(context)における窓に言及しているが、本明細書に記載されたような動的な陰影付けシステム101は、これらに限定されないが、家の窓、ビジネス向けの窓(business window)などを含む他の実装の文脈に適用可能であり得ると考えられることに留意されたい。車両100の文脈では、窓130は、車両100の任意の窓130を含み得る。例えば、窓130は、車両100の前面ガラス、助手席側の窓、運転席側の窓、後面ガラス、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、車両100の各窓は、動的な陰影付けを用いて構成され得る。
【0018】
動的な陰影付け用に構成されている窓130は、いくつかの入力に応答して窓130の部分が選択的に暗くなる(例えば、不透明度が増加する)ことを言及する。したがって、窓130は、制御部102からの制御信号に応答して、光透過率の様々な状態の間で移行可能な任意の媒体から形成され得る。例えば、ある光透過率の状態は、透明な状態であり得る。さらに、第2の光透過率の状態は、透明な状態の窓130上に入射する光が不透明な状態の窓130を通して透過される光よりも多い不透明な状態であり得る。例えば、窓130の光透過率は、0%(すなわち、完全に不透明)から100%(すなわち、完全に透明)又はその間の任意の割合まで変わり得る。
【0019】
非限定的な例として、窓130は、電圧、光、又は熱が加えられると光透過率が変化するスマートガラスから作られ得る。スマートガラス技術は、エレクトロクロミック、フォトクロミック、サーモクロミック、懸濁粒子、マイクロブラインド(micro-blind)、液晶、及びポリマー分散液晶デバイスを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、窓130は、電気励起に応答する画素を含み得る。例えば、制御部102は、窓130内の画素を制御して、窓130の不透明度を制御し得る。いくつかの実施形態では、制御部102は、窓130の領域を選択的に陰影付けするために黒い画素を集めるためのロジックを実行し得る。いくつかの実施形態では、窓130は、電気励起に応答する分子を含み得る。すなわち、電流は、窓130の不透明度に影響を及ぼすように分子に光を反射させるために選択された分子の極性及び/又は位置を調整し得る。例えば、電流の追加又は除去は、分子を励起し、窓130を多かれ少なかれ不透明にすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザの手によって加えられるような熱により、窓の不透明度が変更される場合がある。動的な陰影付けは、色を変更するように構成され得ると考えられる。また、例えば、いくつかの実施形態では、励起のレベルは、動的な陰影付けの色を調整するように構成され得る。
【0020】
本明細書でより詳細に説明されるように、制御部102は、窓130の動的な陰影付けを選択的に調整するための励起経路を制御するために1つ又は複数のメモリモジュール106に記憶されたロジックを実行し得る。例えば、窓130の動的な陰影付けは、1人又は複数の乗員のそれぞれの陰影の好みに応じて1人又は複数の乗員のそれぞれを陰影付けするために、窓130の選択された部分が車両100内の1人又は複数の乗員の位置に基づいて陰影付けされるようになることを可能にする。例えば、図2A-2Dに示すように、制御部102は、窓130の可視光の透過率(不透明度)のレベルを調整することにより、特定の乗員又はその一部のみを陰影付けするように窓130の動的な陰影付けを制御することができる。いくつかの実施形態では、制御部102は、メッセージを表示するために窓の動的な陰影付けを調整するロジックを実行し得る。例が図3A-3Dに示されており、制御部102は、例えば、動的な陰影付けを用いて窓130に記号、単語、画像などを含むメッセージを表示するように励起経路を調整することができる。
【0021】
再び図1を参照すると、動的な陰影付けシステム101は、1つ又は複数の乗員センサ110をさらに含み得る。1つ又は複数の乗員センサ110は、車両100の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す位置信号及び/又は車両100の1人又は複数の乗員のそれぞれの身元を示す認識信号を出力することが可能な任意のセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の乗員センサ110は、車両100の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す位置信号を出力することが可能な専用センサと、車両100の1人又は複数の乗員のそれぞれの身元を示す認識信号を出力することが可能な専用センサと、を含み得る。いくつかの実施形態では、単一のセンサは、車両100の乗員の位置を示す位置信号と車両100の乗員の身元を示す認識信号との両方を出力することが可能であり得る。「1人又は複数の乗員のそれぞれ」という用語の使用は、いくつかの実施形態では、運転席及び助手席内に位置付けられる乗員のみを指し得ることに留意されたい。他の実施形態では、「1人又は複数の乗員のそれぞれ」は、車両100内の着座位置に関わらず、各乗員を含み得る。
【0022】
1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す位置信号を出力することが可能なセンサは、限定されないが、カメラ、座席センサ、シートベルトセンサ、近接センサ、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。1つ又は複数の乗員センサ110によって出力される位置信号に基づいて、動的な陰影付けシステム101は、制御部102によって実行されるロジックを通じて、車両100内の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を判定し得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の乗員センサ110によって出力される位置信号に基づいて、乗員の特定の特徴(例えば、手、髪、顔、腕など)の場所が判定され得る。制御部102は、1人又は複数の乗員のそれぞれに関連付けられた陰影の好みにしたがって1人又は複数の乗員のそれぞれを陰影付けするために、1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に基づいて窓130の領域を陰影付けするためのロジックを実行し得る。そのような陰影の好みは、ユーザ入力に基づくものであってもよく、又は特定の乗員によって1つ又は複数のメモリモジュール106に保存された記憶済みの好みでもあってもよい。いくつかの実施形態では、制御部102は、1つ又は複数の乗員センサ110を用いて1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を監視することができ、且つ1人又は複数の乗員の動きに基づいて窓130の動的な陰影付けの位置を調整するためのロジックを実行することができる。
【0023】
一部の実施形態では、1つ又は複数の乗員センサ110によって出力される乗員の位置信号は、1つ又は複数のプロセッサが車両100内の様々な乗員を識別することを可能にする乗員認識信号を1つ又は複数の乗員センサ110に出力させるためのロジックを1つ又は複数のプロセッサ105に実行させる。そのため、車両100内で車両の乗員を検出することは、1人又は複数の乗員を識別し且つ1人又は複数の乗員に関連付けられた陰影の好みを識別するためのプロセスを開始し得る。1人又は複数の車両100の乗員を認識すると、動的な陰影付けシステム101は、特定の乗員に関して記憶された陰影の好みにしたがって窓130の動的な陰影付けを調整し得る。陰影の好みは、限定されないが、身体領域の陰影の好み(例えば、手、腕、顔、髪の毛など)、陰影の不透明度の好み、陰影の色の好みなどのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、特定の車両の乗員112Aの認識を支援するために、1つ又は複数の乗員センサ110は、指紋センサ、顔認識センサ(例えば、カメラ)などを含み得る。例えば、指紋センサは、車両の乗員112Aの指紋をスキャンし、制御部102は、システム101の1つ又は複数のメモリモジュール106に記憶された指紋データに基づいて、スキャンされた指紋と車両100の既知のユーザのマッチングする指紋とをマッチングするためのロジックを実行し得る。顔認識センサは、紫外線波長帯、可視光波長帯、及び/又は赤外線波長帯の輻射線を検出可能な感知デバイス(例えば、画素)のアレイを有する任意のデバイスであり得る。顔認識センサによって出力される乗員認識信号は、車両の乗員の顔の特徴を示す画像データを含み得る。制御部102は、画像データからの顔の特徴を車両100の特定の車両の乗員とマッチングして、その特定の乗員を識別するために画像データを処理するためのロジックを実行し得る。1つ又は複数の乗員センサ110は、車両100内の任意の場所に設置されて、車両100の1人又は複数の乗員の位置決め及び/又は認識に関する情報を収集し得る。例えば、乗員センサ110は、ダッシュボード、ステアリングホイール、座席、天井などに設置され得る。
【0025】
本明細書で上述したように、動的な陰影付けシステム101は、1つ又は複数の光センサ120をさらに含み得る。1つ又は複数の光センサ120は、光の点の位置を示す光信号を出力することが可能な任意のセンサを含み得る。例えば、1つ又は複数の光センサ120は、フォトレジスタ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、カメラなどを含み得る。動的な陰影付けシステム101は、光の点から乗員を動的に陰影付けするために車両の乗員に対する光の点を追跡し得る。例えば、車両が交通渋滞に巻き込まれており且つユーザの目に太陽光が集中して映っている場合、制御部102は、1つ又は複数の光センサ120からの光信号に基づいて、光の点が乗員に入射したことを判定し且つその光の点から乗員を動的に陰影付けするためのロジックを実行し得る。いくつかの実施形態では、制御部102は、光の点の移動に基づいて、光の点の位置を監視し且つ窓130の動的な陰影付けの位置を調整し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の光センサ120は、太陽の位置を示す太陽信号を出力するように構成され得る。斯かる実施形態では、1つ又は複数の光センサ120は、位置を判定するために時刻とともに使用され得る車両の場所センサ(例えば、車両100の地理的座標場所を提供するGPS信号)を含み得る。制御部102は、太陽の位置に基づいて、車両100内の1人又は複数の乗員のそれぞれに対する太陽の位置を判定するためのロジックを実行し、それに応じて、特定の車両の乗員に太陽光が入射する又は入射しそうであるかどうかを判定し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、制御部102は、1つ又は複数の光センサ120を使用して、1つ又は複数の光センサ120で太陽の位置を監視し、太陽の動きに基づいて窓130の動的な陰影付けの位置を調整するためのロジックを実行し得る。また、いくつかの実施形態では、制御部102は、上述のように、1つ又は複数の乗員センサ110を用いて1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を監視し得る。制御部102は、同時に、1人又は複数の光センサ120を用いて1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に対する太陽の位置又は光の点を監視し、1人又は複数の乗員のうちの少なくとも1人の動きと1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に対する太陽又は光の点の動きとに基づいて窓130の動的な陰影付けの位置を調整し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の光センサ120は、車両100の環境の輝度を示す信号を出力し得る。例えば、車両100の環境の輝度が所定の閾値未満である場合、制御部102は、1つ又は複数の車両100の乗員を陰影付けするために、窓130の動的な陰影付けを作動することから再構成(reframe)し得る。例えば、車両100が、屋根付きガレージに駐車されている場合、夜間に使用されている場合、又は他の日影のある環境にいる場合、動的な陰影付けは不要又は望ましくない場合がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の光センサ120は、ユーザに入射する光を示す信号を出力する、1人又は複数の乗員に向けられたセンサを含み得る。例えば、1つ又は複数の光センサ120はカメラを含むことができ、制御部102は、乗員が受ける光のレベルを判定するために、カメラによって撮られた画像を処理するためのロジックを実行することができる。制御部102は、乗員(又は乗員の一部)の露出のレベルを評価し且つ乗員(又はその一部)が既に陰影付けされているか又は陰影付けが必要かどうかを判定するための評価尺度を利用し得る。乗員又はその一部が所定の閾値を超える光の露出のレベルを有すると判定される場合、制御部102は、乗員の陰影の好みにしたがって乗員を動的に陰影付けするために、動的な陰影付けシステム101を作動し得る。
【0030】
車両100の乗員の陰影の好みを制御/入力するために、車両100は、ユーザ入力デバイス140を含み得る。ユーザ入力デバイス140は、通信パス104を介して動的な陰影付けシステム101の他のモジュールと通信可能に結合され得る。ユーザ入力デバイス140は、機械的、光学的又は電気的な信号を、通信パス104を用いて送信可能なデータ信号に変換することが可能な任意のデバイスであり得る。具体的には、ユーザ入力デバイス140は、物理的な動きを、例えば、ボタン、スイッチ、ノブ、マイクロフォン、キーボード、タッチスクリーンなどの通信パス104を介して送信され得るデータ信号に変換する任意の数の可動オブジェクトを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス140は、近距離無線通信などを介して動的な陰影付けシステム101の他のモジュールと通信可能に結合されたスマートフォン、タブレット、ラップトップなどの個人用のスマートデバイスであり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス140は、窓130自体を含み得る。例えば、ユーザは、1つ又は複数の乗員センサ110からの信号に基づいて制御部102によって決定されるような場所でフロントガラスに触れることができ、フロントガラスのその部分は陰影になることができる。ユーザのフロントガラスとの不注意な接触をフィルタにかけるために、ユーザがフロントガラスに触れている時間は、ユーザによるフロントガラスとの所定の時間を超える接触が動的な陰影付けシステム101へのユーザ入力を示すように、1つ又は複数の乗員センサ110を使用して制御部102によって監視され得る。例えば、2秒を超える接触は、動的な陰影付けをユーザの好みに合わせて調整するためのユーザ入力とユーザの意図とを示し得る。
【0032】
乗員は、ユーザ入力デバイス140を使用して、例えば陰影の色の好み、陰影の位置の好み、身体部分の陰影付けの好み、不透明な陰影付けの好み(opacity shading preferences)など、様々な陰影の好みを制御部102に入力し得る。例が図2A-2Dに示されている。本明細書でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス140は、ユーザが、例えば、記号、単語、画像などを含むメッセージをユーザ入力デバイス140に入力することを可能にし、制御部102は、窓130の動的な陰影付けを用いてユーザの入力を表示するためのロジックを実行し得る。例が図3A-3Dに示される。
【0033】
ここで、図2A図2Dを参照すると、窓130の動的な陰影付けの様々な非限定的な例の実装が例示されている。図2A-2Dのそれぞれは、車両100の乗員室134内に位置付けられた第1の乗員112A及び第2の乗員112Bを有する車両100を例示する。図2Aでは、第1の車両乗員112Aには動的な陰影付け132Aが提供されている一方で、第2の乗員112Bには提供されていない。上述したように、これはいくつかの理由によるものであり得る。例えば、第1の車両乗員112Aの陰影の好みは第1の車両乗員112Aが陰影付けを望んだことを示す一方で、第2の車両乗員112Bの陰影の好みは第2の車両乗員112Bが陰影付けを望まなかったことを示す。代替として、制御部102は、制御部102が動的な陰影付け132Aを調整して第1の車両乗員112Aのみを陰影付けするように、1つ又は複数の光センサ120からの光信号に基づいて、第2の車両乗員112Bではなく第1の車両乗員112Aに入射する太陽光又は光の点があると判定した可能性もある。図2Bを参照すると、第1の車両乗員112Aに対する動的な陰影付け132Bの位置は同じであるが、この例では、第1の車両乗員112Aのユーザの好みの設定は、制御部102に動的な陰影付け132Bの不透明度を調整させる。例示されるように、図2Aに例示される動的な陰影付け132Aは、図2Bに例示される動的な陰影付け132Bよりも不透明である。
【0034】
図2C及び図2Dは、図2A及び図2Bに示されたものと同様の動的な陰影付け132C及び132Dにおける同様の不透明度の違いを例示する。しかしながら、この場合、第1の車両乗員112A及び第2の車両乗員112Bの両方は、動的な陰影付け132C/132Dが両方のユーザを同時に陰影付けするように、同じ陰影の好みを有する。しかしながら、陰影の好みの様々な組み合わせが、動的な陰影付けシステム101により達成可能である。例えば、各車両乗員112A及び112Bは、例えば、不透明度だけでなく、色、陰影付けされる身体部分(例えば、髪、腕、顔など)などを調整し得る。上述したように、いくつかの実施形態では、動的な陰影付け(例えば、132A、132B、132C及び/又は132D)は、ユーザの位置及び/又はユーザに対する太陽又は他の光源の位置に基づいて調整され得る。
【0035】
上述のように、いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス140は、ユーザが記号、テキスト、画像などのうちの1つを含むメッセージをユーザ入力デバイス140に入力することを可能にすることができ、制御部102は窓130の動的な陰影付けを用いてユーザの入力を表示するためのロジックを実行することができる。例えば、メッセージのサイズ、方向、陰影の不透明度及び陰影の色などの特性は、ユーザ入力デバイス140への入力に基づいて調整可能であり得る。ここで、図1と併せて図3A-3Dを参照すると、車両100は、車両100の乗員室134内に第1の車両乗員112A及び第2の車両乗員112Bを含むものとして例示されている。図3Aでは、乗員の1人は、ユーザ入力デバイス140を使用して、テキスト「速度を落とします」を入力し得る。制御部102は、このユーザ入力に基づいて、テキスト「速度を落とします」を示すように動的な陰影付け136Aを調整する。同様に、図3Bでは、制御部102は、ユーザ入力に基づいて、「赤ちゃん乗車中」と読めるように動的な陰影付け136Bを調整している。斯かるテキストは、利用可能なメニューからユーザによって選択されることができ、又は、キーボード、マイク、タッチスクリーンなどを使用してユーザによって入力されることができる。図3A及び3Bに示されるテキストは、限定的ではなく、ユーザによって入力され得る可能な例示的なテキストを単に例示しているだけであることに留意されたい。図3C及び3Dは、記号(例えば、それぞれ緊急時記号及び低バッテリ記号)を示すように構成された動的な陰影付け138A、138Bを例示する。
【0036】
いくつかの実施形態では、動的な陰影付けは、広告を示すために調整され得る。広告は、リモートデバイス又はサーバからの通信(例えば、無線通信)を通じて動的な陰影付けシステム101と対にされ得る。例えば、広告は、ネットワークインターフェースハードウェアを使用して、リモートサーバ又はユーザのデバイス(スマートフォン、タブレットなど)から記憶又はダウンロードされ得る。実施形態では、動的な陰影付けは、限定ではないが、記号、絵文字、(例えば、携帯電話などのタッチスクリーン装置に入力された)手描きなどの画像を示し得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、例えば、タブレット又はスマートフォンを用いて、動的な陰影付けシステム101に図面を入力し得る。メッセージの特性は、ユーザ入力デバイス140上のユーザ入力に基づいて調整可能である。メッセージの表示は、車両100の乗員が車両100の外部の他の人と通信することを可能にし得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス140は、ユーザが、車両100の外側の視界を車両100の特定の点に遮るための好みに基づいて車両100の動的な陰影付けを制御することを可能にし得る。例えば、親又は介護者は、車窓を通してなど、子供の視界を遮るように車両100の動的な陰影付けを制御し得る。
【0038】
動的な陰影付けシステム101は、いくつかの実施形態では、通信パス104を介して制御部102と通信可能に結合された緊急システム160を含み得る。緊急システム160は、起こり得る緊急事態を示す信号を出力する様々なモジュールを含み得る。緊急事態は、限定されないが、機械的な不具合、差し迫っている機械の不具合(例えば、エンジンのオーバーヒート、オイル低下(low oil)など)、車両100への衝撃、又は緊急事態を示すユーザ入力デバイス140へのユーザ入力を含み得る。斯かる実施形態では、緊急システム160は、緊急事態を示す緊急出力信号を出力するように構成され得る。また、図3Cを参照すると、制御部102は、その後、緊急システム160の緊急出力信号に基づいて緊急事態が発生していると判定するためのロジックを実行し、窓130の動的な陰影付け138Aを用いて緊急信号を表示するために窓130の動的な陰影付け138Aを自動的に調整し得る。図3Cは、動的な陰影付けを用いて緊急信号を表示するための可能な実装を例示する。他の実施形態では、緊急を示す他の記号が考えられ、例えば「助けて!」という単語が表示され得る。
【0039】
上述したように、動的な陰影付けシステム101は、バッテリセンサ150をさらに含み得る。バッテリセンサ150は、通信パス104を介して動的な陰影付けシステム101の制御部102と通信可能に結合され得る。バッテリセンサ150は、車両100のバッテリ(図示せず)と動作可能に結合され、車両100のバッテリの充電レベルを示す充電レベル信号を出力するように構成され得る。例えば、ハイブリッド及び/又は電動車両100は、車両100を動かすための電力を提供するためにバッテリに依存し得る。いくつかの実施形態では、制御部102は、バッテリセンサ150によって出力される充電レベル信号に基づいてバッテリの充電レベルを判定するためのロジックを実行して、図3Dに例示されるように、所定の充電レベル未満であると制御部102が判定したときの窓130の動的な陰影付けを用いて、低バッテリ信号を表示するために窓130の動的な陰影付けを自動的に調整し得る。例えば、50%未満の充電レベル、40%未満の充電レベル、30%未満の充電レベル、20%未満の充電レベル、10%未満の充電レベルなどは、制御部102に、窓130の動的な陰影付けを用いて低バッテリ信号を自動的に表示するためのロジックを実行させ得る。緊急又は低バッテリ記号の自動表示は、他の人(例えば、緊急対応者/良きサマリア人(good Samaritans))が状況を迅速に評価して車両100の乗員を支援することを可能にする。
【0040】
ここで、本明細書に記載された実施形態は、車両用の動的な陰影付けシステムを対象とすることを理解されたい。特に、本開示に係る動的な陰影付けシステムは、動的な陰影付け用に構成される窓と、車両内の様々な乗員の陰影の好みに基づいて窓の陰影付けを制御するためのロジックを実行する制御部と、を含む。したがって、車両の乗員は、自分の好みにしたがって動的な陰影付けを制御し得る。これは、入射光を遮断することによって乗員が車両の内部温度をより適切に制御することを可能にする。更なる実施形態では、動的な陰影付けシステムは、ユーザがメッセージ(例えば、単語及び/又は記号)を入力することを可能にするユーザ入力デバイスを含むことができ、制御部は、窓の動的な陰影付けを調整してユーザのメッセージを表示することができる。したがって、車両の乗員は、車両の外側の人々と容易に通信し得る。
【0041】
「実質的に(substantially)」及び「約(about)」という用語は、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因され得る固有の不確実性の度合いを表すために本明細書で利用され得ることに留意されたい。また、本明細書では、これらの用語は、定量的な表現が問題の主題の基本的な機能に変化を生じさせることなく言及された参照から異なり得る度合いを表すために利用される。
【0042】
特定の実施形態が本明細書で例示及び説明されているが、特許請求された主題の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が行われ得ることを理解されたい。さらに、特許請求された主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、斯かる態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求された主題の範囲内の斯かる全ての変更及び修正を網羅することが意図される。
【0043】
[例1]
車両の動的な陰影付けシステムであって、
前記車両の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す信号を出力するように構成された1つ又は複数の乗員センサと、
動的な陰影付け用に構成された窓と、
前記1つ又は複数の乗員センサ及び前記窓と通信可能に結合された制御部であって、前記1人又は複数の乗員のそれぞれの陰影の好みにしたがって前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に基づいて前記窓の領域を陰影付けするためのロジックを実行する、前記制御部と、
を備える、動的な陰影付けシステム。
[例2]
前記制御部と通信可能に結合されたユーザ入力デバイスをさらに備え、前記1人又は複数の乗員のそれぞれは、前記1人又は複数の乗員のそれぞれに関連付けられた前記陰影の好みを前記制御部に入力し得る、例1に記載の動的な陰影付けシステム。
[例3]
前記制御部は、
前記1つ又は複数の乗員センサを用いて前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を監視し、
前記1人又は複数の乗員の動きに基づいて前記窓の動的な陰影付けの位置を調整する、
ためのロジックを実行する、例1に記載の動的な陰影付けシステム。
[例4]
前記制御部と通信可能に結合され且つ光の点の位置を示す光信号を出力するように構成された1つ又は複数の光センサを備える、例1に記載の動的な陰影付けシステム。
[例5]
前記制御部は、
前記1つ又は複数の光センサを用いて、前記光の点の位置を監視し、
前記光の点の動きに基づいて前記窓の動的な陰影付けの位置を調整する、
ためのロジックを実行する、例4に記載の動的な陰影付けシステム。
[例6]
前記制御部と通信可能に結合され且つ太陽の位置を示す太陽信号を出力するように構成された1つ又は複数の光センサを備え、前記制御部は、
前記1つ又は複数の乗員センサを用いて前記1人又は複数の乗員のそれぞれの前記位置を監視し、
前記1つ又は複数の光センサを用いて前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に対する前記太陽の位置を監視し、
前記1人又は複数の乗員の動きと、前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置に対する前記太陽の動きに基づいて前記窓の動的な陰影付けの位置を調整する、
ためのロジックを実行する、例1に記載の動的な陰影付けシステム。
[例7]
前記1人又は複数の乗員のそれぞれの前記陰影の好みは、身体領域の陰影の好みと、陰影の不透明性の好みと、陰影の色の好みと、のうちの少なくとも1つを含む、例1に記載の動的な陰影付けシステム。
[例8]
動的な陰影付けシステムであって、
動的な陰影付け用に構成された窓と、
ユーザ入力デバイスと、
前記窓及びユーザ入力デバイスと通信可能に結合された制御部であって、前記窓の前記動的な陰影付けを調整して前記ユーザ入力デバイスから受け取ったメッセージを表示するためのロジックを実行する、前記制御部と、
を備える、動的な陰影付けシステム。
[例9]
前記メッセージの特性は、前記ユーザ入力デバイスへのユーザ入力に基づいて調整可能である、例8に記載の動的な陰影付けシステム。
[例10]
前記特性は、陰影の色及び陰影の不透明性のうちの少なくとも1つを含む、例9に記載の動的な陰影付けシステム。
[例11]
前記窓は、車両の窓であり、
前記制御部は、緊急事態を示す緊急出力信号を出力するように構成された前記車両の緊急システムと通信可能に結合され、
前記制御部は、
前記緊急システムの前記緊急出力信号に基づいて緊急事態が発生していることを判定し、
緊急事態が発生していると前記制御部が判定したとき、前記窓の前記動的な陰影付けを自動的に調整して、前記窓の前記動的な陰影付けを用いて緊急信号を表示する、
ためのロジックを実行する、例8に記載の動的な陰影付けシステム。
[例12]
前記窓は、車両の窓であり、
前記制御部は、前記車両のバッテリの充電レベルを示す充電レベル信号を出力するように構成されたバッテリセンサと通信可能に結合され、
前記制御部は、
前記バッテリセンサによって出力された前記充電レベル信号に基づいて前記バッテリの前記充電レベルを判定し、
前記充電レベル信号が所定の充電レベル未満であると前記制御部が判定するとき、前記窓の前記動的な陰影付けを自動的に調整して、前記窓の前記動的な陰影付けを用いて低バッテリ信号を表示する、
ためのロジックを実行する、例8に記載の動的な陰影付けシステム。
[例13]
車両の動的な陰影付けシステムであって、
前記車両の1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を示す信号を出力するように構成された1つ又は複数の乗員センサと、
動的な陰影付け用に構成された窓と、
ユーザ入力デバイスと、
前記窓、前記1つ又は複数の乗員センサ及び前記ユーザ入力デバイスと通信可能に結合された制御部であって、前記1人又は複数の乗員のそれぞれの陰影の好み及び前記ユーザ入力デバイスから受け取ったメッセージにしたがって前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置の少なくとも1つに基づいて前記窓の領域を陰影付けするためのロジックを実行する、前記制御部と、
を備える、動的な陰影付けシステム。
[例14]
前記制御部は、
前記1つ又は複数の乗員センサを用いて前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を監視し、
前記1人又は複数の乗員の動きに基づいて前記窓の動的な陰影付けの位置を調整する、
ためのロジックを実行する、例13に記載の動的な陰影付けシステム。
[例15]
前記制御部と通信可能に結合され且つ光の点の位置を示す光信号を出力するように構成された1つ又は複数の光センサを備える、例13に記載の動的な陰影付けシステム。
[例16]
前記制御部は、
前記1つ又は複数の光センサを用いて前記光の点の位置を監視し、
前記光の点の動きに基づいて前記窓の動的な陰影付けの位置を調整する、
ためのロジックを実行する、例15に記載の動的な陰影付けシステム。
[例17]
前記制御部と通信可能に結合され且つ前記1人又は複数の乗員のそれぞれに対する太陽の位置を示す太陽信号を出力するように構成された1つ又は複数の光センサを備え、前記制御部は、
前記1つ又は複数の乗員センサを用いて前記1人又は複数の乗員のそれぞれの位置を監視し、
前記1つ又は複数の光センサを用いて前記1人又は複数の乗員のそれぞれに対する前記太陽の位置を監視し、
前記1人又は複数の乗員の動き及び前記窓に対する前記太陽の動きに基づいて前記窓の動的な陰影付けの位置を調整する、
ためのロジックを実行する、例13に記載の動的な陰影付けシステム。
[例18]
前記1人又は複数の乗員のそれぞれの前記陰影の好みは、身体部分の陰影の好み、陰影の不透明性の好み及び陰影の色の好みのうちの少なくとも1つを含む、例13に記載の動的な陰影付けシステム。
[例19]
前記制御部は、緊急事態を示す緊急出力信号を出力するように構成された前記車両の緊急システムと通信可能に結合され、
前記制御部は、
緊急事態が発生していると前記制御部が判定したとき、前記窓の前記動的な陰影付けを自動的に調整して、前記窓の前記動的な陰影付けを用いて緊急信号を表示する、
ためのロジックを実行する、例13に記載の動的な陰影付けシステム。
[例20]
前記制御部は、前記車両のバッテリの充電レベルを示す充電レベル信号を出力するように構成されたバッテリセンサと通信可能に結合され、
前記バッテリセンサによって出力された前記充電レベル信号に基づいて前記バッテリの前記充電レベルを判定し、
前記充電レベル信号が所定の充電レベル未満であると前記制御部が判定するとき、前記窓の前記動的な陰影付けを自動的に調整して、前記窓の前記動的な陰影付けを用いて低バッテリ信号を表示する、
ためのロジックを実行する、例13に記載の動的な陰影付けシステム。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D