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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】熱誘導性湾曲を低減した半導体構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240524BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20240524BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20240524BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240524BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240524BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L27/04 P
H01L27/04 D
H01L21/82 W
H01L21/82 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022523295
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020048880
(87)【国際公開番号】W WO2021080692
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】16/661,272
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】タイハッチ,マシュー,シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイランコート,ジャーロッド
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-223839(JP,A)
【文献】特開平07-273296(JP,A)
【文献】特開2010-245351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/812
H01L 29/778
H01L 21/338
H01L 21/822
H01L 21/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)構造であって、当該MMIC構造は、
ダイヤモンド又は炭化ケイ素(SiC)を含む熱伝導性基板と、
該熱伝導性基板に直接配置されたアクティブ半導体デバイスであって、
前記熱伝導性基板の上面の第1の部分に配置された窒化ガリウム(GaN)を含む下部エピタキシャル半導体層と、
該下部エピタキシャル半導体層に配置された窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を含む上部エピタキシャル半導体層と、
前記下部エピタキシャル半導体層の外面と、前記上部エピタキシャル半導体層の外面とに形成された窒化シリコン(SiNx)を含むパッシブ層とを含む、アクティブ半導体デバイスと、
前記熱伝導性基板の前記上面の第2の部分に直接配置されたパッシブ電気デバイスと、
前記アクティブ半導体デバイスのエッジと前記パッシブ電気デバイスとの間のギャップに配置された電気相互接続であって、前記熱伝導性基板に直接配置される電気相互接続と、を含む、
MMIC構造。
【請求項2】
前記アクティブ半導体デバイスは、メサ状(mesa-like)構造である、請求項1に記載のMMIC構造。
【請求項3】
半導体構造であって、当該半導体構造は、
ダイヤモンド又は炭化ケイ素(SiC)を含む熱伝導性基板と、
該熱伝導性基板の上面に配置されたメサ構造を含むアクティブデバイスであって、
前記熱伝導性基板の上面の第1の部分に配置された窒化ガリウム(GaN)を含む下部エピタキシャル半導体層と、
該下部エピタキシャル半導体層に配置された窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を含む上部エピタキシャル半導体層と、
前記下部エピタキシャル半導体層の外面と、前記上部エピタキシャル半導体層の外面とに形成された窒化シリコン(SiNx)を含むパッシブ層とを含む、アクティブデバイスと、
前記熱伝導性基板の前記上面に配置されたパッシブデバイスであって、該パッシブデバイスの底部が、前記熱伝導性基板の前記上面に直接配置される、前記パッシブデバイスと、
前記アクティブデバイスのエッジと前記パッシブデバイスとの間のギャップに配置された電気相互接続であって、前記熱伝導性基板に直接配置される電気相互接続と、を含む、
半導体構造。
【請求項4】
半導体構造を形成するための方法であって、当該方法は、
III-V族半導体エピタキシャル層を有する熱伝導性基板を、ダイヤモンド又は炭化ケイ素(Sic)を含む前記熱伝導性基板の上面で該熱伝導性基板と直接接触して提供するステップであって、前記III-V族半導体エピタキシャル層は、前記熱伝導性基板上に配置された下部エピタキシャル半導体層と、該下部エピタキシャル半導体層上に配置された上部エピタキシャル半導体層とを含む、ステップと、
アクティブ半導体デバイスを形成するための前記熱伝導性基板の上面上の第1の位置と、パッシブデバイスを形成するための前記熱伝導性基板の前記上面上の第2の位置とを決定するステップと、
該決定した第1の位置での前記熱伝導性基板の前記上面に前記III-V族半導体エピタキシャル層を残しながら、前記決定した第2の位置にある前記III-V族半導体エピタキシャル層の部分を除去するステップと、
前記決定した第1の位置で前記III-V族半導体エピタキシャル層上に直接アクティブ半導体デバイスを形成し、前記第2の位置で直接前記パッシブデバイスを形成するステップと、
前記アクティブ半導体デバイスのエッジと前記パッシブデバイスとの間のギャップに電気相互接続を形成するステップであって、前記電気相互接続は、前記熱伝導性基板に形成され、該熱伝導性基板に直接接触する、ステップと、を含み、
前記アクティブ半導体デバイスを形成するステップは、前記下部エピタキシャル半導体層の外面と前記上部エピタキシャル半導体層の外面とに、窒化シリコン(SiNx)を含むパッシブ層を形成するステップを含む、
方法。
【請求項5】
半導体構造を形成するための方法であって、当該方法は、
アクティブ半導体デバイス、パッシブデバイス、及び前記アクティブ半導体デバイスを前記パッシブデバイスに接続する電気的相互接続を有する回路のようなMMIC回路図を設計するステップと、
設計したMMIC回路図から、従来のマスク生成ソフトウェアプログラムを使用して、前記設計したMMIC回路を製造するためのマスクセットを生成するステップであって、該マスクセットは、ダイヤモンド又は炭化ケイ素(SiC)である熱伝導性基板に直接結合又は形成されたIII-V族半導体エピタキシャル層のアクティブ領域にアクティブ半導体デバイスを形成するための第1の一連のマスクと、前記パッシブデバイスをパッシブ領域で前記アクティブ領域の外側の前記熱伝導性基板に直接形成し及び該熱伝導性基板と直接接触させるための第2の一連のマスクと、前記アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、前記パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された電気相互接続の部分を有する電気相互接続を、前記アクティブ領域の外側の前記熱伝導性基板に直接形成し及び該熱伝導性基板と直接接触させるための第3の一連のマスクと、を含む、ステップと、
前記熱伝導性基板と、該熱伝導性基板の上面に直接結合又は成長した前記III-V族半導体エピタキシャル層とを含むウェーハを提供するステップであって、前記III-V族半導体エピタキシャル層は、前記熱伝導性基板上に配置された下部エピタキシャル半導体層と、該下部エピタキシャル半導体層上に配置された上部エピタキシャル半導体層とを含む、ステップと、
前記第1の一連のマスクを使用して、半導体のメサ状構造を形成し、この構造では、前記アクティブ半導体デバイスが前記エピタキシャル層の部分に形成され、前記メサ状構造の外側の前記エピタキシャル層の部分をエッチング除去し、前記III-V族半導体エピタキシャル層の前記メサ状構造上に前記アクティブ半導体デバイスを形成するステップと、
前記第2の一連のマスクを使用して、前記パッシブデバイスを前記パッシブ領域で前記アクティブ領域の外側の前記熱伝導性基板に直接形成し及び該熱伝導性基板と直接接触させるステップと、
前記第3の一連のマスクを使用して、前記アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、前記パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された電気的相互接続の部分を有する電気相互接続を、前記アクティブ領域の外側で前記熱伝導性基板上に直接形成し及び該熱伝導性基板に直接接触して、前記熱伝導性基板上に直接形成するステップと、を含み、
前記アクティブ半導体デバイスを形成するステップは、前記下部エピタキシャル半導体層の外面と前記上部エピタキシャル半導体層の外面とに、窒化シリコン(SiNx)を含むパッシブ層を形成するステップを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体構造、より具体的には、熱誘導性湾曲(thermally induced bow)を低減した半導体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で知られているように、構造が互いに結合(bind:接合)/成長する不一致の2つの材料を有する場合に、熱膨張係数(CTE)等の異なる材料特性により、構造は湾曲する。この湾曲は、半導体デバイスの性能及び歩留まりの低下として現れる、ウェーハ製造の困難につながる。高出力モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の製造に使用されるそのような構造の1つは、底部材料として、その熱伝導率が高いため、例えば、ダイヤモンド(1000~2000の範囲の熱伝導率を有する)又は炭化ケイ素(SiC)(120W/(m・K)のオーダーの熱伝導率を有する)等の高熱伝導率基板と、この基板の上面全体に形成又は結合されるIII族窒化物(例えば、窒化ガリウム(GaN))等の半導体材料基板であって、その上にFET等のアクティブデバイスが、GaN材料の部分、マッチングネットワーク等のパッシブデバイス、コンデンサ及び抵抗等のパッシブコンポーネントに載るメサ型の半導体構造として製造される、半導体材料基板と、GaNの部分にもある相互接続伝送ラインと、を使用する。しかしながら、GaN上でのダイヤモンドの直接成長又は高温での結合により、100mm(ミリメートル)ウェーハの場合に、熱膨張係数(CTE)CTE誘起自立型ウェーハ湾曲>1mmが形成される。この湾曲は、半導体デバイスの性能及び歩留まりの低下として現れる、ウェーハ製造の困難につながる。
【0003】
以下を含む多くの論文及び出版物がこの湾曲の問題に取り組んでいる。J. Thompson, G. Tepolt, L. Racz, A. Mueller, T. Langdo, D. Gauthier, B. Smith, Draper Laboratory “Embedded Package Wafer Bow Elimination Techniques”, http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp =&arnumber = 5898491; Paulo Ki、Quanzhong Jiang, Wang N. Wang, and Duncan W. E. Allsopp “Stress Engineering During the Fabrication of InGaN/GaN Vertical Light Emitting Diodes for Reducing the Quantum Confined Stark Effect”, http://ieeexplore.ieee.org/document/7728035/; Nga P. Pham, Maarten Rosmeulen, George Bryce, Deniz S. Tezcan, B. Majeed, Haris Osmanv, Imec, Kapeldreef 75, B-3001 Leuven, Belgium “Wafer bow of substrate transfer process for GaNLLED on Si 8 inch”, http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?arnumber=6507078。
【0004】
高熱伝導性基板、例えばダイヤモンド又は炭化ケイ素(SiC)を使用するそのような構造の1つが図1に示される。基板の上面の一部にアクティブデバイス、例えばHEMT FETが形成され、基板の上面の別の部分にパッシブデバイス、例えば抵抗器が形成される。抵抗器及びFETは、電気的相互接続によって電気的に相互接続される。パッシブデバイスは、例えばインダクタ、コンデンサであり得、電気的相互接続は、パワースプリッタ、パワーコンバイナ、カプラ、例えば、ハイブリッドカプラ、直交カプラ、移相シフタ、入力整合ネットワーク、出力整合ネットワーク等であり得ることを理解すべきである。半導体層、ここでは例えば窒化ガリウム(GaN)が、高熱伝導性基板の上部全体に配置されることに留意されたい。半導体層の一部は、アクティブデバイス(ここではFET)にアクティブ領域を提供するメサ型の半導体構造である一方、半導体層の他の部分は、パッシブデバイスと電気的相互接続の部分とをその上に形成している。示されるように、誘電性パッシベーション層、ここでは例えば窒化ケイ素がこの構造の上に形成される。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)構造が提供され、このMMIC構造は、熱伝導性基板と;この基板の上面の第1の部分に配置された半導体層と;半導体層に配置されたアクティブ半導体デバイス層と;基板の上面の第2の部分に直接配置されたパッシブ電気デバイスと;を含む。一実施形態では、アクティブデバイスは、メサ状(mesa-like)構造である。
【0006】
一実施形態では、半導体構造が提供され、この半導体構造は、熱伝導性基板と;この基板の上面の層上に配置されたメサ構造を含むアクティブデバイスと;基板の上面に配置されたパッシブデバイスと;を含み、パッシブデバイスの底部が、基板の上面に直接配置される。
【0007】
一実施形態では、半導体構造は、アクティブデバイスとパッシブデバイスとを相互接続する電気的相互接続を含み、電気的相互接続の底面が、基板の上面に直接配置される。
【0008】
一実施形態では、半導体構造を形成するための方法が提供され、この方法は、III-V族半導体エピタキシャル層を有するダイヤモンド基板を、ダイヤモンド基板の上面でダイヤモンド基板と直接接触して提供するステップと;アクティブ半導体デバイスを形成するためのダイヤモンド基板の上面上の第1の位置と、パッシブデバイスを形成するためのダイヤモンド基板の上面上の第2の位置とを決定するステップと;決定した第1の位置でのダイヤモンド(基板)の上面にIII-V族半導体エピタキシャル層を残しながら、決定した第2の位置にあるIII-V族半導体エピタキシャル層の部分を除去するステップと;決定した第1の位置でIII-V族半導体エピタキシャル層上に直接アクティブデバイスを形成し、第2の位置で直接パッシブデバイスを形成するステップと;を含む。
【0009】
一実施形態では、半導体構造を形成するための方法が提供され、この方法は、アクティブ半導体デバイス、パッシブデバイス、及びアクティブデバイスをパッシブデバイスに接続する電気的相互接続を有する回路のようなMMIC回路概略を設計するステップと;
設計したMMIC回路図から、従来のマスク生成ソフトウェアプログラムを使用して、設計したMMIC回路を製造するためのマスクセットを生成するステップであって、マスクセットは、熱伝導性基板に直接結合又は形成されたIII-V族半導体エピタキシャル層のアクティブ領域にアクティブ半導体デバイスを形成するための(第1の)一連のマスクと、パッシブデバイスをパッシブ領域でアクティブ領域の外側の基板に直接形成し及び基板と直接接触させるための第2の一連のマスクと、アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に配置された電気相互接続の部分を有する電気相互接続を、アクティブ領域の外側の基板に直接形成し及び基板と直接接触させるための第3の一連のマスクと、を含む、生成するステップと;
熱伝導性基板と、熱伝導性基板の上面に直接結合又は成長したIII-V族半導体エピタキシャル層とを含むウェーハを提供するステップと;
第1の一連のマスクを使用して、半導体のメサ状構造を形成し、この構造では、アクティブデバイスがエピタキシャル層の部分に形成され、メサ状構造の外側のエピタキシャル層の部分をエッチング除去し、III-V族半導体エピタキシャル層のメサ状構造上にアクティブ半導体デバイスを形成するステップと;
第2の一連のマスクを使用して、パッシブデバイスをパッシブ領域でアクティブ領域の外側の基板上に直接形成し及び基板と直接接触させるステップと;
第3の一連のマスクを使用して、アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に配置された電気相互接続の部分を有する電気相互接続を、アクティブ領域の外側で基板上に直接形成し及び基板に直接接触させて、基板上に直接形成するステップと;を含む。
【0010】
一実施形態では、基板は、ダイヤモンド又は炭化ケイ素(SiC)である。
【0011】
本発明者らは、そのような配置(構成)により、ウェーハ製造プロセスの初期に、エピタキシャル層上に形成するための発熱するアクティブデバイスの位置が特定されると、例えば、エピタキシャル層がそのようなパッシブデバイス及び電気相互接続の動作に必要とされない場合に、パッシブデバイス及び電気相互接続のパッシブデバイスのエピタキシャル層上のIgG/AlGaN部分を、基板の上面から除去することができることを認識した。GaN/AlGaN表面の大部分を除去し、表面の大部分がパッシブデバイス及び電気的相互接続に使用されることに発明者が注目することにより、ダイヤモンド又はSiC基板が主に残される。この表面は非常に滑らかで、伝送ライン及びパッシブデバイス等のモノリシック特徴の製造をサポートする。最も重要なことは、エピタキシー層の大部分が除去され、ウェーハの全体的な応力及び湾曲が減少し、エピタキシャル層の影響を受ける複合材料としてではなく、ダイヤモンド又はSiC基板の特性に戻ることである。こうして、半導体製造プロセス及び複合ウェーハ基板が提供され、ここで、発熱するアクティブデバイス領域からのエピタキシャル材料の大部分がエッチング除去され、それによりアクティブデバイス及びMMIC動作の最小カバレッジをサポートする。こうして、機能的なMMICトランジスタ回路を提供しながら、複合基板全体のウェーハ湾曲を引き起こす加熱効果を低減するために、エピタキシャル層は、重要な領域;発熱するアクティブデバイス領域にのみ残される。
【0012】
本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】先行技術による、アクティブデバイスをパッシブデバイスに電気的に接続したMMICの部分の簡略化した断面の概略図である。
図2】本開示による、アクティブデバイスをパッシブデバイスに電気的に接続した図5のMMICの部分の簡略化した断面の概略図である。
図3A図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3B図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3C図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3D図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3E図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3F図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3G図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3H図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3I図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3J図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3K図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3L図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3M図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3N図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3O図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3P図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3Q図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3R図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図3S図2のMMICを形成するために使用されるプロセスのその製造の段階での簡略化した断面の概略図である。
図4】本開示による、図2のMMICを製造するために使用されるステップを示すプロセスフローチャートである。
図5】本開示による、MMICをその上に形成したチップの上面図の簡略化した概略図である。 様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで図2を参照すると、MMIC10は、単結晶又は結晶性の熱伝導性基板12(ここでは例えば、ダイヤモンド又はSiC)上に形成されて示されている。MMIC10は、発熱するアクティブデバイス(ここでは例えば、HEMT FET14)、パッシブデバイス16(ここでは例えば、抵抗器)を含み、アクティブデバイス14及びパッシブデバイス16は、電気相互接続18によって電気的に相互接続される。この実施形態におけるHEMT FET14は、ダイヤモンド基板12の上面11に下部エピタキシャルIII-N族層20(ここではGaN)、及び下部エピタキシャル上部エピタキシャル層20に上部エピタキシャル上層22(ここではAlGaN)を有するメサ型半導体構造19である。FET14は、示されるように、下部エピタキシャルIII-N族層20及び上部エピタキシャル上層22の外面に形成された誘電性パッシベーション層29(ここでは例えば、SiNx)を有する。示されるように、ソース接点及びドレイン接点24、26は、それぞれ、エピタキシャルAlGaN層22とオーミック接触して形成される。示されるように、ソース電極及びドレイン電極28、30は、それぞれ、ソース接点及びドレイン接点上に形成される。示されるように、ゲート電極32は、エピタキシャルAlGaN層22とショットキー接触で形成され、ソース接点24とドレイン接点26との間の電荷(キャリア)の流れを制御する。パッシブデバイス16の底部は、基板12の上面11に配置され、上面11と直接接触していることに留意されたい。示されるように、メサ型半導体構造19のエッジ19Eとパッシブデバイス16のエッジ16Eとの間にギャップ(GAP)があることにも留意されたい。電気相互接続18の底部の部分が、熱伝導性基板12の上面11に配置され、上面11と直接接触していることにも留意されたい。
【0015】
ここで図3A図3Sを参照すると、図2に表示されるMMIC10を形成するためのプロセスが示される。こうして、基板12、下部半導体層20、及び上部半導体層22を提供した後に(図3A)、マスク34が、AlGaN層22の上面の部分に形成され、そのような部分は、メサ型半導体構造19(図2)が形成される基板12の表面11の上にある(図3B)。次に、図3Cに示されるように、表面を適切なエッチャントに曝露して、下部GaN半導体層22の上部露出部分及び下部半導体層20の上部のみを除去する。マスク34を取り外した後の構造が図3Dに示される。基板12の上面11全体が、下部GaN層20のエッチングされていない部分で覆われていることに留意されたい。
【0016】
ここで図3Eを参照すると、マスク40は、アクティブデバイス(ここではFET14(図2))が形成されるメサ型半導体構造19の部分の上に形成される。示されるように、下部GaN半導体層20のエッチングされていない部分の露出部分全体(マスクされていない部分)が、基板12の上面11まで下方向にエッチングされる。次に、マスク40を取り外して、図3Fに示される構造が生成される。
【0017】
図3Gを参照すると、示されるように、マスク42は、図3Gに示されるような構造の上に形成され、そのようなマスク42は、AlGaNの上部半導体層22の部分を露出させるための窓又は開口部44を有しており、ソース及びドレインオーミック接点24、26をそれぞれ形成する。
【0018】
図3Hに示されるように、マスク42を取り外し、構造の表面が、SiNxパッシベーション材料29で覆われる。
【0019】
図3Iを参照すると、マスク44は、堆積したパッシベーション材料29の部分に形成され、そのような部分は、アクティブデバイス(ここではFET14(図2))が形成されるメサ型半導体構造19の部分の上にある。パッシベーション(19)の露出した部分全体(マスクされていない部分)は、図3Jに示されるように、基板12の上面11まで下方向にエッチングで除去される。パッシベーション29もマスクされ得、後でパッシブ構造が形成される層に役立つことにも留意されたい。
【0020】
次に、マスク44を取り外し、図3Kに示される構造が残る。熱伝導性基板12の上面は、アクティブデバイス(ここではFET14(図2))が形成されるメサ型半導体構造19の部分の外側に露出していることに留意されたい。
【0021】
ここで図3Lを参照すると、ゲート接点32(図2)が形成されるパッシベーション材料29の部分の上に窓又は開口部47を有する新しいマスク46が形成される。
【0022】
ここで図3Mを参照すると、マスク46を含む構造(図3L)は、適切なエンチャントに曝されて、図3Mに示されるように、ゲート接点32が形成されるAlGaN層22の表面の部分を露出させる。
【0023】
ここで図3Nを参照すると、マスク48は、ゲート金属32によってAlGaN層22へのショットキー接触を行う開口部を有する構造の上に堆積される。次に、ゲート金属32は、マスク48の上に堆積され、そしてその中の開口部を通して、ショットキー接点32(図2)が作製及び処理されて、そのようなショットキーゲート接点32を作製するAlGaN層22の部分に堆積される。マスク48が、取り外され、持ち上げられ、それによりその上のゲート金属32の部分が除去され、それにより図3Oに示されるようなショットキーゲート接点32が形成される。
【0024】
ここで図3Pを参照すると、マスク50は、それぞれ、ソース接点及びドレイン接点24、26の上のパッシベーション材料29の部分(ソース電極及びドレイン電極28、30(図2)がそれぞれ形成される構造の部分)の上に窓又は開口部23を有する構造の上に形成される。図3M及び図3Nと同様のプロセスを通じて、ソース接点及びドレイン接点24、26が、露出され、次に、ソース及びドレイン電極金属の堆積のためにマスクされる。
【0025】
ここで図3Qを参照すると、ソース電極及びドレイン電極の金属は、窓を通してそれぞれソース接点及びドレイン接点24、26に堆積され、示されるように、マスクが持ち上げられ、それによりソース電極及びドレイン電極に利用されない金属の部分が除去される。
【0026】
図3Rの上部を参照すると、マスク52は、窓53を有する構造の上に形成され、パッシブデバイス16(図2)(ここでは、この例では抵抗器)が形成される場所を露出させる。示されるように、抵抗性材料(ここでは例えば窒化タンタル(TaN))が窓53を通して堆積され、パッシブデバイス16が形成される。パッシブデバイス16は、熱伝導性基板12に直接形成され、熱伝導性基板12と直接接触していることが示されることに留意されたい。また、パッシブデバイス16は、基板12の上部に直接ある代替形態として、パッシベーション層29の上部にも形成され得ることに留意されたい。また、図2に関連して上で説明したギャップ(GAP)が、アクティブデバイス(ここではFET14(図2))が形成されるメサ型半導体構造19の部分のエッジと、パッシブデバイスのエッジとの間に存在することにも留意されたい。
【0027】
ここで図3Sを参照すると、図3Rのマスク52は、取り外され、示されるように、ドレイン接点30を露出し、且つパッシブデバイス16の一端53の上に延びる窓55を有する新しいマスク54と交換される。電気的相互接続18のための金属は、窓を通して堆積され、それにより、ドレイン接点30をパッシブデバイス16に接続する。次に、マスク54が取り外されて、図2に示されるMMIC10が製造される。
【0028】
ここで図4を参照すると、図2に示される部分を有するMMICを製造するための簡略化したフローチャート及び図3A図3Sに関連して上で説明したステップが示される。こうして、MMIC回路概略図が設計され(ステップ401)、そのような回路は、アクティブ半導体デバイス、パッシブデバイス、及びアクティブ半導体デバイスとパッシブデバイスとを電気的に相互接続するための電気的相互接続を有する。設計したMMIC回路図から、任意の従来のマスク生成ソフトウェアプログラムを使用して、設計したMMIC回路を製造するためのマスクセットを生成する(ステップ402)。マスクセットは、熱伝導性基板に直接結合又は形成されたIII-V族半導体エピタキシャル層のアクティブ領域にアクティブ半導体デバイスを形成するための第1の一連のマスクと、パッシブデバイスをパッシブ領域でアクティブ領域の外側の基板に直接形成し及び基板と直接接触させるための第2の一連のマスクと、アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に配置された電気相互接続の部分とを有する電気相互接続を、アクティブ領域の外側の基板に直接形成し及び基板と直接接触させるための第3の一連のマスクと、を有する。熱伝導性基板12と、熱伝導性基板の上面に直接結合又は成長したIII-V族半導体エピタキシャル層22(図5A)とを含むウェーハを提供する(ステップ403)。第1の一連のマスク34、40、42、44、46、48を使用して、半導体のメサ状構造19を形成し、この構造では、アクティブデバイス14は、エピタキシャル層22の部分に形成され、メサ状構造19の外側のエピタキシャル層22の部分をエッチング除去し、III-V族半導体エピタキシャル層22のメサ状構造上にアクティブ半導体デバイス14を形成する(ステップ404)。第2の一連のマスクを使用して、パッシブデバイスをパッシブ領域でアクティブ領域の外側の基板上に直接形成し及び基板と直接接触させる(ステップ405)。第3の一連のマスクを使用して、アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、パッシブデバイス16の電気接触領域上の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に配置された電気的相互接続18の部分を有する電気相互接続18を、アクティブ領域の外側で基板上に直接形成し及び基板と直接接触させて、基板12上に直接形成する(ステップ406)。
【0029】
ここで図5を参照すると、MMIC10を形成したチップの平面図の簡略化した概略図が示される。MMIC10は、図2に示されるように複数のHEMT FET、複数のパッシブデバイス(ここでは抵抗器、コンデンサ、インダクタ)、及び電気的相互接続(ここでは例えば、マイクロストリップ又はコプレーナ導波路(CPW)等のマイクロ波伝送ライン)を含む。図3に示されるように、この実施形態におけるHEMT FETは、図2に関連して上で説明したように、ダイヤモンド基板12の上面13上に配置される下部エピタキシャルIII-N族層20(ここではGaN)、及び下部エピタキシャル上部エピタキシャル層20上に配置される上部エピタキシャル上層22(ここではAlGaN)を有するメサ構造18である。点線で示される2DEGチャネル24は、下部エピタキシャル上部エピタキシャル層20の上部に形成される。FET14aは、図2及び図3A図3Sに関連して上で説明したように形成される誘電性パッシベーション層29(ここでは例えば、SiNx)を有する。エピタキシャルIII-N族層20を有する基板12の上面11上の唯一の領域は、メサ構造19であることが確認される。より具体的には、基板12の上面11上の唯一の領域は、アクティブデバイス14である。こうして、メサ19は、基板12の上面11の露出部分によって互いに分離される。
【0030】
こうして、図5を参照すると、基板の上面のはるかに大きな部分が、パッシブデバイス及び電気的相互接続を形成するために使用されるエピタキシャルIII-N族層20を欠いている(void)間に、FETがメサ構造19によって占有されることに留意されたい。
【0031】
本開示によるモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)構造は、熱伝導性基板と;この基板の上面の第1の部分に配置された半導体層と;半導体層に配置されたアクティブ半導体デバイスと;基板の上面の第2の部分に直接配置されたパッシブ電気デバイスと;を含むことを理解すべきである。MMIC構造は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を、独立して又は組み合わせて含み得る:アクティブデバイスは、メサ状(mesa-like)構造である;半導体構造は、アクティブデバイスとパッシブデバイスとを相互接続する電気的相互接続を含み、電気的相互接続の底面が、基板の上面に直接配置される;又は、アクティブデバイスとパッシブデバイスとを相互接続する電気的相互接続を含み、電気的相互接続は、基板に直接配置され、基板と間接的に接触する。
【0032】
ここで、本開示による半導体構造は、熱伝導性基板と;基板の上面の層上に配置されたメサ構造含むアクティブデバイスと;基板の上面に配置されたパッシブデバイスと;を含み、パッシブデバイスの底部が、基板の上面に直接配置されることも理解すべきである。
【0033】
本開示による半導体構造を形成するための方法は、III-V族半導体エピタキシャル層を有する基板を、ダイヤモンド基板の上面でダイヤモンド基板と直接接触して提供するステップと;アクティブ半導体デバイスを形成するための基板の上面上の第1の位置と、パッシブデバイスを形成するための基板の上面上の第2の位置を決定するステップと;決定した第1の位置での基板の上面にIII-V族半導体エピタキシャル層を残しながら、決定した第2の位置にあるIII-V族半導体エピタキシャル層の部分を除去するステップと;決定した第1の位置でIII-V族半導体エピタキシャル層上に直接アクティブデバイスを形成し、第2の位置で直接パッシブデバイスを形成するステップと;を含むことも理解すべきである。
【0034】
本開示による半導体構造を形成するための方法は、
アクティブ半導体デバイス、パッシブデバイス、及びアクティブデバイスをパッシブデバイスに接続する電気的相互接続を有する回路のようなMMIC回路図を設計するステップと;
設計したMMIC回路図から、従来のマスク生成ソフトウェアプログラムを使用して、設計したMMIC回路を製造するためのマスクセットを生成するステップであって、マスクセットは、熱伝導性基板に直接結合又は形成されたIII-V族半導体エピタキシャル層のアクティブ領域にアクティブ半導体デバイスを形成するための第1の一連のマスクと、パッシブデバイスをパッシブ領域でアクティブ領域の外側の基板に直接形成し及び基板と直接接触させるための第2の一連のマスクと、アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に配置された電気相互接続の部分とを有する電気相互接続を、アクティブ領域の外側の基板上に直接形成し及び基板と直接接触させるための第3の一連のマスクと、を含む、生成するステップと;
熱伝導性基板と、熱伝導性基板の上面に直接結合又は成長したIII-V族半導体エピタキシャル層とを含むウェーハを提供するステップと;
第1の一連のマスクを使用して、半導体のメサ状構造を形成し、この構造では、アクティブデバイスがエピタキシャル層の部分に形成され、メサ状構造の外側のエピタキシャル層の部分をエッチング除去し、III-V族半導体エピタキシャル層のメサ状構造上にアクティブ半導体デバイスを形成するステップと;
第2の一連のマスクを使用して、パッシブデバイスをパッシブ領域でアクティブ領域の外側の基板に直接形成し及び基板と直接接触させるステップと;
第3の一連のマスクを使用して、アクティブ半導体デバイスの電気接点上の第1の端部、パッシブデバイスの電気接触領域上の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に配置された電気相互接続の部分とを有する電気相互接続を、アクティブ領域の外側で基板上に直接形成し及び基板と直接接触させて、基板上に直接形成するステップと;を含むことも理解すべきである。
この方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を、独立して又は組み合わせて含み得る:基板は、ダイヤモンド又は炭化ケイ素(SiC)である;又はアクティブデバイスとパッシブデバイスとを相互接続する電気的相互接続を形成するステップを含み、電気的相互接続は、基板上に形成され、基板と間接的に接触する。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態について説明してきた。それにもかかわらず、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されよう。例えば、MMC回路は、図2に示されるものとは異なる場合がある。さらに、パッシブデバイスは、アクティブデバイスの形成後に形成され得る。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図3P
図3Q
図3R
図3S
図4
図5