(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ポリプロピレン改質剤及びその製造方法、ポリプロピレン組成物、並びに及びポリプロピレン材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 8/00 20060101AFI20240524BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20240524BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20240524BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20240524BHJP
C08G 18/63 20060101ALI20240524BHJP
B29B 9/10 20060101ALI20240524BHJP
B29B 9/12 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C08F8/00
C08L51/06
C08L23/10
C08L71/02
C08G18/63 030
B29B9/10
B29B9/12
(21)【出願番号】P 2022523492
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2020083948
(87)【国際公開番号】W WO2021077689
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】201911002015.0
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520335934
【氏名又は名称】国家能源投資集団有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA ENERGY INVESTMENT CORPORATION LIMITED
(73)【特許権者】
【識別番号】520380978
【氏名又は名称】北京低▲タン▼清▲潔▼能源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】于 芳
(72)【発明者】
【氏名】梁 文斌
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 伊
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 国▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 春波
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-171515(JP,A)
【文献】特開昭58-204043(JP,A)
【文献】特開平08-143743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08G
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造法(1)として極性モノマーグラフト化ポリプロピレンを成分Aに接触させて反応押出及び造粒を行うことを含む方法であり、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレン中の極性モノマーは、成分Aと化学反応可能なものであるか、又は、
製造法(2)として極性モノマーグラフト化ポリプロピレンを成分A’に接触させて反応押出及び造粒を行うことを含む方法であり、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレン中の極性モノマーは、成分A’と化学反応可能なものであり、
製造法(1)において、前記極性モノマーは、無水マレイン酸、アクリル酸
、メタクリル酸
、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、エポキシアクリレート、アクリルアミドから選ばれた少なくとも1つであり、前記成分Aは、ポリイソシアネート及びポリエチレンオキシドから選ばれた少なくとも1つであり、
製造法(2)において、前記極性モノマーは
、エポキシアクリレート、
及び三量体アリルイソシアヌレー
トから選ばれた少なくとも1つであり、前記成分A’は、アミン基含有物質から選ばれた少なくとも1つであり、前記アミン基含有物質は、化合物I及び化合物IIから選ばれ、前記化合物Iは、アミン基、エーテル結合、及びアリール基を含む有機物であり、前記化合物IIはポリアミンであり、
製造法(1)中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンと成分Aの総重量を基準として、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの使用量は95~99.8重量%、前記成分Aの含有量は0.2~5重量%であり、
製造法(2)中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンと成分A’の総重量を基準として、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの使用量は95~99.8重量%、前記成分A’の含有量は0.2~5重量%である、
ことを特徴とするポリプロピレン改質剤の製造方法。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネートから選ばれた1つまたは複数である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記化合物Iは、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、フェノキシアニリン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、及び3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテルから選ばれた1つまたは複数であり、
前記化合物IIは、アルキルジアミン、アルキレンジアミン、アルキレントリアミン、アルキレンテトラアミン、アルキレンペンタミン、及びアリールジアミンから選ばれた1つまたは複数である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
製造法(1)又は(2)における極性モノマーグラフト化ポリプロピレンと成分A又は成分A’の総重量を基準として、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの使用量は97~99.5重量%、前記成分A又は成分A’の含有量は0.5~3重量%である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンのグラフト率は、0.1~3%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記反応押出の温度は150~220℃である、請求項1乃至5の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の製造方法により製造されたポリプロピレン改質剤。
【請求項8】
請求項7に記載のポリプロピレン改質剤及びポリプロピレンを含有するポリプロピレン組成物であって、
前記組成物の総重量を基準として、前記ポリプロピレン改質剤の含有量は2~20%である、ポリプロピレン組成物。
【請求項9】
請求項7に記載のポリプロピレン改質剤とポリプロピレンを180~220℃で混合してから押出造粒を行うことを含むポリプロピレン材料の製造方法であって、
ポリプロピレン改質剤とポリプロピレンの総重量を基準として、前記ポリプロピレン改質剤の含有量は2~20%である、ポリプロピレン材料の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法により製造されたポリプロピレン材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン材料の分野に関し、具体的には、ポリプロピレン改質剤の製造方法及び当該製造方法により製造されたポリプロピレン改質剤、ポリプロピレン組成物、並びにポリプロピレン材料の製造方法及び当該製造方法により得られたポリプロピレン材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは、汎用プラスチックであり、原料由来が広く、価格が低廉で、密度が小さく、融点が高く、無毒で、化学腐食に耐え、回収が簡便で、分解が簡便であるなどの利点を有する。荷造り、軽工業、建築、電子、電気機器、自動車などの業界に必要不可欠な原材料となっており、現在最も発展速度の速い熱可塑性樹脂の一つである。現在市販されているポリプロピレンの大部分は半結晶性、線状のポリマーである。柔軟な長鎖高分子構造及び高結晶化傾向を有するため、その軟化点が融点に近接しており、その溶融結晶化温度に達したと、その溶融粘度が急速に低下していき、結晶化過程において大量の結晶化熱が放出され、その溶融粘度及び溶融強度がさらに低下していく。従って、通常のポリプロピレンでは、溶融強度が小さく、靭性が悪く、溶融垂れ下り抵抗性(sag resistance)が悪く、熱成形性及び発泡性がかなり悪いので、その適用分野が制限されている。
【0003】
高溶融強度ポリプロピレンは発泡、熱成形、押出塗布などの高付加価値分野に適用でき、より広い市場見通しがあり、その研究開発は著しい経済的効果及び社会的効果を有する。従って、高溶融強度を有するポリプロピレンの開発は、近年の材料学研究のホットスポットとなっている。現在、ポリプロピレンの溶融強度を高める方法としては、ポリプロピレン架橋の開始、グラフトによる改質、他の樹脂との混合改質などが挙げられる。
【0004】
混合改質は、通常のポリプロピレン製品の溶融強度を向上するための簡単な手段である。通常のポリプロピレンは直鎖構造を主としたものであり、その各分子構造にはメチル基を含み、ほとんど枝分れ又は架橋がない。高溶融強度ポリマー、エラストマー、又は低融点コポリマーを添加することによって、ポリプロピレンの融点及び剛性が低減し、良好な加工性能が得られる。このような方法は、CN105037952A、CN105153546A、CN104987588A、USP4940736などにより開示されている。
【0005】
架橋による改質は、線状PPに長鎖分岐を生じさせることで、溶融強度を向上する目的を達成することができる。USP5047446、USP5414027、USP5541236などは共に、Himont社の照射架橋による高溶融強度ポリプロピレンの製造に関する技術である。
【0006】
CN101125947Aでは、長鎖分岐構造を含む高溶融強度ポリプロピレン及びその製造方法が開示されている。かかる技術により開示された長鎖分岐構造を含む高溶融強度ポリプロピレンの製造方法の手順は、以下の通りである。成分Aと抗酸化剤及び熱安定剤を混合釜内で十分に混合した後、供給口から60~200g/minの速度で反応型二軸押出機内に投入し、成分Bの有機溶液を二軸押出機の一側から押出機内に投入し、超臨界二酸化炭素流体を二軸押出機の他側から押出機内に投入した。二軸押出機は、第1加熱領域が180~220℃、その他の加熱領域が140~220℃であった。押出造粒を行った結果、高溶融強度ポリプロピレン樹脂が得られた。成分Aは、グラフト率が0.3%より大きな極性モノマー溶融グラフト化ポリプロピレンポリマー、成分Bは、アミン系またはアルコール系化合物であった。かかる技術は、アミン系やアルコール系化合物中のアミノ基またはヒドロキシル基がポリプロピレングラフト化物の官能基と反応して長鎖分岐構造を生じることにより、溶融強度を高める目的を達成した。かかる技術ではサンプルの力学的特性、メルトフローレートが測定されたが、溶融強度の測定データが提供されなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】CN105037952A
【文献】CN105153546A
【文献】CN104987588A
【文献】USP4940736
【文献】USP5047446
【文献】USP5414027
【文献】USP5541236
【文献】CN101125947A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、従来技術による高溶融強度ポリプロピレンと通常の線状ポリプロピレンを混合すると、後者の溶融強度をある程度向上させることができるが、線状ポリプロピレンの力学的特性の低下を招くことが多く、このことによっても改質ポリプロピレン材料の適用が制限されている。従って、ポリプロピレンの溶融強度を向上しつつ、その力学的特性を保証することの可能な新規なポリプロピレン改質剤が至急求められている。
【0009】
本発明の目的は、通常の線状ポリプロピレンに導入されることにより、ポリプロピレンの溶融強度及び力学的特性を著しく向上することの可能なポリプロピレン改質剤及びその製造方法、用途、ポリプロピレン組成物、並びにポリプロピレン材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様によれば、
製造法(1)又は製造法(2)中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンを成分Aに接触させて反応させてから押出造粒を行った後、乾燥させることを含む方法であり、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレン中の極性モノマーは、成分Aと化学反応可能なものであり、
製造法(1)において、前記極性モノマーは、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルネオデカノエト(Vinyl neodecanoate)、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、エポキシアクリレート、三量体アリルイソシアヌレート、アクリルアミドから選ばれた少なくとも1つであり、前記成分Aは、ポリイソシアネート及びポリエチレンオキシドから選ばれた少なくとも1つであり、
製造法(2)において、前記極性モノマーは、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、エポキシアクリレート、三量体アリルイソシアヌレート、及びアクリルアミドから選ばれた少なくとも1つであり、前記成分Aは、ポリイソシアネート、ポリエチレンオキシド、及びアミン基含有物質から選ばれた少なくとも1つであり、前記アミン基含有物質は、化合物I及び化合物IIから選ばれた少なくとも1つであり、前記化合物Iは、アミン基、エーテル結合、及びアリール基を含む有機物であり、前記化合物IIはポリアミンであり、
各製造法中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンと成分Aの総重量を基準として、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの使用量は95~99.8重量%、前記成分Aの含有量は0.2~5重量%である、
ポリプロピレン改質剤の製造方法が提案されている。
【0011】
本発明の第2態様によれば、上記した製造方法により製造されたポリプロピレン改質剤が提案されている。
【0012】
本発明の第3態様によれば、本発明に記載のポリプロピレン改質剤及びポリプロピレンを含有するポリプロピレン組成物が提案されている。
【0013】
本発明の第4態様によれば、本発明に記載のポリプロピレン改質剤とポリプロピレンを180~220℃で混合してから押出造粒を行った後、乾燥させることを含むポリプロピレン材料の製造方法が提案されている。
【0014】
本発明の第5態様によれば、本発明に記載の方法により製造されたポリプロピレン材料が提案されている。
【0015】
本発明によるポリプロピレン改質剤によれば、物理混合法によって相対的小さな添加量でポリプロピレンを改質することに加えて、ポリプロピレン材料の溶融強度及び力学的特性の向上を実現することもでき、なお、ポリプロピレン材料の組成及び製造プロセスが簡単で、低コストの特徴を有する。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点について、以下の[発明を実施するための形態]部分で詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。本明細書で記述される発明を実施するための形態は、本発明を説明及び解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないとは、理解されるべきであろう。
【0018】
本発明の第1態様によれば、製造法(1)又は製造法(2)中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンを成分Aに接触させて反応させてから押出造粒を行った後、乾燥させることを含むポリプロピレン改質剤の製造方法が提案されている。
【0019】
前記製造法(1)において、極性モノマーグラフト化ポリプロピレン中の極性モノマーは、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルネオデカノエト、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、エポキシアクリレート、三量体アリルイソシアヌレート、及びアクリルアミドから選ばれた少なくとも1つであり、前記成分Aは、ポリイソシアネート及びポリエチレンオキシドから選ばれた少なくとも1つであり、選ばれた極性モノマーと選ばれた成分Aが併用されて前記反応押出過程中に化学反応が発生する。
【0020】
好ましくは、前記アクリレートは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及びイソオクチルアクリレートから選ばれた少なくとも1つであり、前記メタクリル酸エステルは、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、及びメタクリル酸2-ヒドロキシエチルから選ばれた少なくとも1つである。
【0021】
前記製造法(2)において、極性モノマーグラフト化ポリプロピレン中の極性モノマーは、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、エポキシアクリレート、三量体アリルイソシアヌレート、及びアクリルアミドから選ばれた1つまたは複数であり、前記成分Aは、ポリイソシアネート、ポリエチレンオキシド、及びアミン基含有物質から選ばれた少なくとも1つであり、選ばれた極性モノマーと選ばれた成分Aが併用されて前記反応押出過程中に化学反応が発生する。
【0022】
前記製造法(2)において、前記成分Aがアミン基含有物質である場合、少なくとも1つの前記極性モノマーとの併用により、製造法(1)と同様に、ポリプロピレンの高溶融強度のみならず、ポリプロピレンの力学的特性も向上する効果を奏することができる。
【0023】
本発明の製造方法によれば、各製造法中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンと成分Aの総重量を基準として、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの使用量は95~99.8重量%、前記成分Aの含有量は0.2~5重量%である。
【0024】
好ましくは、各製造法中の極性モノマーグラフト化ポリプロピレンと成分Aの総重量を基準として、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの使用量は97~99.5重量%、前記成分Aの含有量は0.5~3重量%である。
【0025】
本発明の製造方法によれば、前記ポリイソシアネートは、前記極性モノマーと化学反応可能な任意のポリイソシアネートであり得る。一般的には、前記ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート(CAS NO.:25656-78-4)から選ばれた1つまたは複数である。前記ジフェニルメタンジイソシアネートは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートであることが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法によれば、前記ポリエチレンオキシドの分子量は50×104~200×104g/molである。
【0027】
本発明の製造方法によれば、前記アミン基含有物質は、化合物I及び化合物IIから選ばれた少なくとも1つであり、好ましくは、化合物Iから選ばれた少なくとも1つ、または化合物IIから選ばれた少なくとも1つである。前記化合物Iは、アミン基、エーテル結合、及びアリール基を含む有機物であり、前記化合物IIはポリアミンである。しかも、前記化合物Iと前記化合物IIとは異なるものである。
【0028】
発明を実施するための一形態によれば、前記化合物Iは、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、フェノキシアニリン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、及び3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテルから選ばれた1つまたは複数であり、好ましくは、フェノキシアニリン及び/又は3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテルである。
【0029】
前記化合物IIは、アルキルジアミン、アルキレンジアミン、アルキレントリアミン、アルキレンテトラアミン、アルキレンペンタミン、及びアリールジアミンから選ばれた1つまたは複数であり、例えばC2~12のアルキルジアミン、C2~12のアルキレンジアミン、C2~12のアルキレントリアミン、C2~12のアルキレンテトラアミン、C2~12のアルキレンペンタミン、及びC6~18のアリールジアミンから選ばれた1つまたは複数であり得る。
【0030】
発明を実施するための一形態によれば、前記化合物IIは、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、及び1,12-ジアミノドデカンから選ばれた1つまたは複数であり、好ましくは、ジエチレントリアミン及び/又は1,9-ジアミノノナンである。
【0031】
本発明において、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレン(ポリ(プロピレン-グラフト-極性モノマー)とも呼ばれる)は、市販により得られたものであっても、溶液グラフト法、溶融グラフト法、固相グラフト法、放射グラフト法などの本分野に周知の方法により得られたものであってもよい。一実施形態によれば、前記溶融グラフト法による前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの製造は、前記極性モノマー(1~10%)をポリプロピレン(90~99%)、開始剤(0.1~3%)と均一に混合した後、二軸押出機内に投入して溶融及び押出を行い、押出機の温度を160~230℃、押出機の回転数を100~400r/min、フィードレートを5~15Hzに設定し、水槽による冷却後に造粒を行い、生成物を乾燥させ、その結果、極性モノマーグラフト化ポリプロピレンが得られたことを含む。前記開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ビス(tert.ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、及び2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンから選ばれた少なくとも1つであり得る。
【0032】
一実施形態によれば、前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンのグラフト率は、0.1~3%、好ましくは0.5~2%である。前記極性モノマーグラフト化ポリプロピレンの230℃、2.16kgでの溶融指数(MI)は30~600g/10min、好ましくは45~350g/10minである。
【0033】
本発明の製造方法によれば、前記反応押出方式としては、普通の操作に従って行うことができ、本発明の場合、反応押出温度は150~220℃であることが好ましい。押出機の回転数は、例えば50~100r/min、フィードレートは、例えば3~8Hzであり得る。前記反応押出は、種々の二軸押出機内で行われることができる。押出造粒後、生成物を80~95℃で30~120min乾燥させる。
【0034】
本発明の第2態様によれば、本発明の第1態様に記載の製造方法により製造されたポリプロピレン改質剤が提案されている。前記ポリプロピレン改質剤としては、通常のポリプロピレンと低い割合で物理的に混合することができ、ポリプロピレンの高溶融強度の保証に加えて、ポリプロピレンの力学的特性の向上も可能となり、熱成形及び押出塗布などの高付加価値分野での用途が拡大していく。このため、本発明では、前記ポリプロピレン改質剤を含有するポリプロピレン組成物、並びに当該ポリプロピレン改質剤が導入されたポリプロピレン材料及びその製造方法が提案されている。
【0035】
本発明の第3態様によれば、本発明に記載のポリマー改質剤及びポリプロピレンを含有するポリプロピレン組成物が提案されている。
【0036】
前記ポリプロピレン組成物の総重量を基準として、前記ポリプロピレン改質剤の含有量は好ましくは2~20%、より好ましくは5~10%である。
【0037】
本発明の第4態様によれば、本発明に記載のポリプロピレン改質剤とポリプロピレンを180~220℃で混合してから押出造粒を行った後、乾燥させることを含むポリプロピレン材料の製造方法が提案されている。
【0038】
ポリプロピレン改質剤とポリプロピレンの総重量を基準として、前記改質剤の含有量は好ましくは2~20%、好ましくは5~10%である。
【0039】
本発明において、前記ポリプロピレンについて特に限定されておらず、溶融強度の向上が必要な既存の任意の線状ポリプロピレンであってもよい。
【0040】
本発明の方法によれば、混合押出の条件は本分野における普通の選択であり得る。本発明の場合、例えば、押出機の回転数は50~100r/min、フィードレートは3~5Hzであり得る。
【0041】
本発明の方法によれば、前記乾燥の条件は、温度80~95℃、時間30~120minを含む。
【0042】
本発明の第5態様によれば、上記した方法により製造されたポリプロピレン材料が提案されている。
【0043】
以下、本発明について詳しい例示的な実施例を用いてさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
以下の実施例及び比較例において、
(1)主な原料
無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン:ブランド番号がPO1020、エクソンモービルから購入、グラフト率が1.2%、MIが348g/10min
ポリエチレンオキシド:分子量が1,000,000g/mol、アラジン試薬から購入
ポリプロピレンL5E89:通常の線状ポリプロピレン、神華石炭製油化工有限会社の包頭石炭化学支社から購入
ポリプロピレンWB130:高溶融強度ポリプロピレン、ボレアリス社から購入
PE100:ブランド番号が3490、ボレアリス社から購入
(2)性質の測定
サンプルの赤外分光分析は、島津IRPresidge-21型フーリエ変換赤外分光光度計を用いて行われた。
ポリプロピレン材料の溶融強度は、Rheotens71.97型メルト伸張レオメーター(ドイツのGoettfert社製)を用いて測定され、測定温度が200℃である。ダイ径は2mm、ローラの初期回転数は20mm/s、ローラ加速度は2.4mm/s、ダイからローラまでの距離は65mmである。
ポリプロピレン材料の力学的特性の測定基準は、次の通りである。
【0045】
【0046】
実施例1
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
アクリル酸メチルグラフト化ポリプロピレン(グラフト率が1.0%、MIが52g/10min)を98.0部秤取して、ポリエチレンオキシド2.0部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を190℃、押出機の回転数を50r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン改質剤が得られた。
ポリプロピレン改質剤サンプルを赤外分光分析したところ、赤外スペクトルにおいて、1722cm-1でカルボニル基の特徴吸収ピークが現れ、1145cm-1、1118cm-1、および1090cm-1の吸収ピークがC-O-C基の対称及び非対称伸縮振動ピークであり、3000~2750cm-1が-CH2基の非対称振動吸収ピークであることが分かった。このことから明らかなように、アクリル酸メチルとポリエチレンオキシドが反応し、且つ製造された製品は目安製品である。
【0047】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤10部を90部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0048】
比較例1
ポリプロピレン改質剤の製造過程中に、ポリエチレンオキシドを質量比1:1の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル及びテトラエチレンペンタミンに置換した点で違う以外、実施例1の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。
製造されたポリプロピレン材料の性質はそれぞれ表1に示す通りである。
【0049】
実施例2
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
アクリル酸グラフト化ポリプロピレン(グラフト率が1.2%、MIが67g/10min)を98.5部秤取して、2,4-トリレンジイソシアネート1.5部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を190℃、押出機の回転数を50r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン改質剤が得られた。
【0050】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤10部を90部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0051】
実施例3
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
アクリルアミドグラフト化ポリプロピレン(グラフト率が1.0%、MIが64g/10min)を99部秤取して、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート1部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を180℃とした。押出機の回転数を50r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90で30min乾燥させた結果、ポリプロピレン改質剤が得られた。
【0052】
ポリプロピレン改質剤サンプルを赤外分光分析したところ、赤外スペクトルにおいて、3325cm-1がN-H結合の伸縮振動ピーク、2937cm-1が飽和アルカンにおけるC-H結合の特徴吸収ピーク、エステル基における-C=O結合の伸縮振動が1670cm-1にあり、その変形振動が1560cm-1にあることが分かった。このことから明らかなように、アクリルアミドとイソシアネートが反応し、且つ製造された製品は目安製品である。
【0053】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤5部を95部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0054】
実施例4~6
実施例4~6によるポリプロピレン改質剤の製造過程中に、アクリルアミドグラフト化ポリプロピレンを、等質量の無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルグラフト化ポリプロピレン(グラフト率が1.8%、MIが76g/10min)、エポキシアクリレートグラフト化ポリプロピレン(グラフト率が1.4%、MIが159g/10min、以下では同じ)にそれぞれ置換した点で違う以外、実施例3の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。製造されたポリプロピレン材料の性質はそれぞれ表1に示す通りである
【0055】
実施例7
ポリプロピレン改質剤の製造過程中に、アクリルアミドグラフト化ポリプロピレンの使用量を95部、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を5部に調整した点で違う以外、実施例3の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。
製造されたポリプロピレン材料の性質はそれぞれ表1に示す通りである。
【0056】
実施例8
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
三量体アリルイソシアヌレートグラフト化ポリプロピレン(グラフト率が1.6%、MIが78g/10min)を99.3部秤取して、フェノキシアニリン0.7部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を200℃とした。押出機の回転数を70r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で70min乾燥させた結果、ポリプロピレン改質剤が得られた。
【0057】
ポリプロピレン改質剤サンプルを赤外分光分析したところ、赤外スペクトルにおいて、1660cm-1が尿素における-C=O結合の伸縮振動による特徴ピーク、1550cm-1が尿素における-C=O結合の変形振動による特徴ピーク、3400cm-1が尿素における-N-H結合の伸縮振動ピークであることが分かった。このことから明らかなように、イソシアネート基とアミノ基が反応して尿素を生成し、且つ製造された製品は目安製品である。
【0058】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤5部を95部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0059】
比較例2
ポリプロピレン改質剤の製造過程中に、三量体アリルイソシアヌレートグラフト化ポリプロピレンを等質量の無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンに置換した点で違う以外、実施例8の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。
製造されたポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0060】
比較例3
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンを99.3部秤取して、フェノキシアニリン0.4部及びp-フェニレンジアミン0.3部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を200℃とした。押出機の回転数を70r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で70min乾燥させた結果、ポリプロピレン改質剤が得られた。
【0061】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤5部を95部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0062】
実施例9
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
エポキシアクリレートグラフト化ポリプロピレンを98.3部秤取して、1,9-ジアミノノナン1.7部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を200℃とした。押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で30min乾燥させた結果、ポリプロピレン改質剤が得られた。
【0063】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤6部を94部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0064】
実施例10
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
メタクリル酸ジメチルアミノエチルグラフト化ポリプロピレンを97.2部秤取して、ジエチレントリアミン2.8部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を200℃とした。押出機の回転数を50r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で120min乾燥させた結果、アミン改質ポリプロピレンが得られた。
【0065】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤10部を90部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で120min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0066】
比較例4
ポリプロピレン改質剤の製造過程中に、メタクリル酸ジメチルアミノエチルグラフト化ポリプロピレンを等質量のアクリル酸グラフト化ポリプロピレンに置換した点で違う以外、実施例10の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。
製造されたポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0067】
実施例11
(1)ポリプロピレン改質剤の製造
アクリルアミドグラフト化ポリプロピレンを99.2部秤取して、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテル0.8部と十分に混合した。完全に混合した原料をHAAKE二軸押出機内に投入し、押出温度を210℃とした。押出機の回転数を50r/min、フィードレートを3Hzとした。押出造粒を行い、得られた製品を90℃で120min乾燥させた結果、アミン改質ポリプロピレンが得られた。
【0068】
(2)ポリプロピレン材料の製造
ポリプロピレン改質剤10部を90部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で120min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0069】
実施例12
ポリプロピレン改質剤の製造過程中に、アクリルアミドグラフト化ポリプロピレンを三量体アリルイソシアヌレートグラフト化ポリプロピレンに置換した点で違う以外、実施例11の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。
製造されたポリプロピレン材料の性質はそれぞれ表1に示す通りである。
【0070】
実施例13
ポリプロピレン改質剤の製造過程中に、アクリルアミドグラフト化ポリプロピレンの使用量を99.7部、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテルの使用量を0.3部に調整した点で違う以外、実施例11の方法に従ってポリプロピレン改質剤及びポリプロピレン材料を製造した。
製造されたポリプロピレン材料の性質はそれぞれ表1に示す通りである。
【0071】
比較例5
PE100を10部秤取して90部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0072】
比較例6
ポリプロピレンWB130を10部秤取して90部のポリプロピレンL5E89と均一に混合した後に、HAAKE二軸押出機内に投入して混合押出を行った。押出温度を200℃、押出機の回転数を100r/min、フィードレートを5Hzとした。造粒後、90℃で60min乾燥させた結果、ポリプロピレン材料が得られた。
当該ポリプロピレン材料の性質は表1に示す通りである。
【0073】
【0074】
表1から明らかなように、通常の線状ポリプロピレンであるL5E89の溶融強度値が8.6cNであるが、実施例1~13では、本発明によるポリプロピレン改質剤の添加によれば、製品の溶融強度が向上し、ポリプロピレン材料の引張りや曲げ等の力学的特性が改善された。比較例2及び4では、溶融強度値は、ある程度改善されたが、本発明によるポリプロピレン改質剤によって改質されたポリプロピレン材料の溶融強度値よりも著しく低く、比較例1~4のそれぞれでは線状ポリプロピレンの力学的特性が低下してしまった。従って、本発明が提案するポリプロピレン改質剤によれば、ポリプロピレンの溶融強度値及び力学的特性が著しく向上でき、その適用分野が広くなっていく。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術案に対して、本発明の技術的構想の範囲内で、各技術特徴を任意の他の適宜方式で組み合わせるような、様々な簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更及び組合せは同様に、本発明に開示された内容と見なされるべきであり、本発明の保護範囲に含まれるものとする。