(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】EPSフォールバック後にLTEからNRにリダイレクトする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20240524BHJP
H04W 48/20 20090101ALI20240524BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240524BHJP
H04W 76/19 20180101ALI20240524BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20240524BHJP
【FI】
H04W48/18 111
H04W48/20
H04W48/16 131
H04W76/19
H04W48/08
(21)【出願番号】P 2022572725
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2021091355
(87)【国際公開番号】W WO2021238582
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】202010465897.0
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515003145
【氏名又は名称】チャイナ・テレコム・コーポレーション・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHINA TELECOM CORPORATION LIMITED
【住所又は居所原語表記】31, JINRONG STREET, XICHENG DISTRICT, BEIJING 100033, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,シャオイン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジジュン
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0312809(US,A1)
【文献】特開2013-066040(JP,A)
【文献】特開2017-108463(JP,A)
【文献】OPPO, CATR, China Telecom, China Unicom,Discussion for returning back to NR in case of handover for voice[online],3GPP TSG SA WG2 #123 S2-176976,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_123_Ljubljana/Docs/S2-176976.zip>,2017年10月17日
【文献】Ericsson, Qualcomm Incorporated , Nokia? , Nokia Shanghai Bell ?, China Mobile ?, Huawei ?, HiSilicon ?,Return to NR from EPS/RAT fallback,3GPP TSG SA WG2 #133 S2-1906393,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_133_Reno/Docs/S2-1906393.zip>,2019年05月17日
【文献】Ericsson,Impacts of SRVCC,3GPP TSG RAN #83 RP-190429,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/TSG_RAN/TSGR_83/Docs/RP-190429.zip>,2019年03月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置によって実行される、EPSフォールバック後にLTEセルからNRセルにリダイレクトする方法であって、
前記ユーザ装置によって、VoLTEの音声ベアラが解放された後、前記LTEセルとの無線リソース制御(RRC)接続を維持し、前記ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、
隣接NRセルの優先度が
隣接LTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に従って、前記ユーザ装置の隣接セルのサービス品質を測定することと、
前記ユーザ装置によって、隣接NRセルであるNRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、該NRセルにリダイレクトすることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記セル接続状態周波数優先度は、LTEシステムによって設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記EPSフォールバックは、スタンドアロン(SA)下での音声サービスに使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ装置によって、LTEシステムからサービス品質測定命令と前記セル接続状態周波数優先度に関する情報とを受信することをさらに含み、
前記LTEシステムからの前記サービス品質測定命令に応答して前記サービス品質が測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ装置によって、前記サービス品質測定結果をLTEシステムに送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ装置によって、前記LTEシステムからリダイレクト命令を受信することをさらに含み、
前記リダイレクト命令は、前記NRセルのサービス品質測定結果が前記所定の閾値に達することに応答して、前記LTEシステムから送信され、
前記ユーザ装置は、前記リダイレクト命令に応答して前記NRセルにリダイレクトされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザ装置による前記NRセルへの前記リダイレクトは、
前記ユーザ装置によって、前記LTEセルとの前記RRC接続を切断し、前記NRセルとのRRC接続を確立することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザ装置の隣接NRセルが複数存在する場合、前記ユーザ装置は、前記サービス品質測定結果が前記所定の閾値に達する隣接NRセルのうち前記サービス品質測定結果が最も良好な隣接NRセルであるNRセルにリダイレクトされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザ装置の隣接NRセルが複数存在する場合、前記ユーザ装置は、前記所定の閾値に達する前記サービス品質測定結果が最初に検出された隣接NRセルであるNRセルにリダイレクトされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
無線通信システムのユーザ側のユーザ装置であって、
命令を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記命令を実行して、以下の動作、
VoLTEの音声ベアラが解放された後、LTEセルとの無線リソース制御(RRC)接続を維持し、該ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、
隣接NRセルの優先度が
隣接LTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に従って、該ユーザ装置の隣接セルのサービス品質を測定することと、
隣接NRセルであるNRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、該NRセルにリダイレクトすることと、
を行う処理回路と、
を備えるユーザ装置。
【請求項11】
前記セル接続状態周波数優先度は、LTEシステムによって設定される、請求項10に記載のユーザ装置。
【請求項12】
前記処理回路は、以下の動作、
LTEシステムからサービス品質測定命令と前記セル接続状態周波数優先度に関する情報とを受信すること、を行うようにさらに構成され、
前記LTEシステムからの前記サービス品質測定命令に応答して前記サービス品質が測定される、請求項10に記載のユーザ装置。
【請求項13】
前記処理回路は、以下の動作、
前記サービス品質測定結果をLTEシステムに送信すること、を行うようにさらに構成される、請求項10に記載のユーザ装置。
【請求項14】
前記処理回路は、以下の動作、
前記LTEシステムからリダイレクト命令を受信すること、を行うようにさらに構成され、
前記リダイレクト命令は、前記NRセルのサービス品質測定結果が前記所定の閾値に達することに応答して、前記LTEシステムから送信され、
該ユーザ装置は、前記リダイレクト命令に応答して前記NRセルにリダイレクトされる、請求項13に記載のユーザ装置。
【請求項15】
前記NRセルへの前記リダイレクトは、
前記LTEセルとの前記RRC接続を切断し、前記NRセルとのRRC接続を確立することを含む、請求項10に記載のユーザ装置。
【請求項16】
前記処理回路は、該ユーザ装置の隣接NRセルが複数存在する場合、前記サービス品質測定結果が前記所定の閾値に達する隣接NRセルのうち前記サービス品質測定結果が最も良好な隣接NRセルであるNRセルにリダイレクトするように構成される、請求項10に記載のユーザ装置。
【請求項17】
前記処理回路は、該ユーザ装置の隣接NRセルが複数存在する場合、前記所定の閾値に達する前記サービス品質測定結果が最初に検出された隣接NRセルであるNRセルにリダイレクトするように構成される、請求項10に記載のユーザ装置。
【請求項18】
無線通信システムの制御側の電子機器であって、
命令を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記命令を実行して、以下の動作、
VoLTEの音声ベアラが解放された後、ユーザ装置との無線リソース制御(RRC)接続を維持すること、
前記ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、
隣接NRセルの優先度が
隣接LTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に関する情報を、前記ユーザ装置に送信することと、
隣接NRセルであるNRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、前記ユーザ装置を該NRセルにリダイレクトするように、リダイレクト命令を前記ユーザ装置に送信することと、
を行う処理回路と、
を備える電子機器。
【請求項19】
前記処理回路は、以下の動作、
前記ユーザ装置にサービス品質測定命令を送信すること、を行うようにさらに構成され、
前記サービス品質は、前記サービス品質測定命令に応答して測定される、請求項18に記載の電子機器。
【請求項20】
コンピュータ上で実行されると、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法
を実施するコンピュータ可読命令を
有するコンピュータ
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月28日に出願された中国特許出願第202010465897.0号の優先権を主張するものであり、その開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、移動体通信の分野に関し、特に、EPSフォールバック後にLTE(Long Term Evolution)からNR(New Radio)にリダイレクトする方法及び装置に関する。
【0003】
3GPP標準では、LTEと5G NRが独立して展開されるスタンドアロン(SA)ネットワーキングと、LTEと5G NRがデュアルコネクティビティで展開される非スタンドアロン(NSA)ネットワーキングの2種類のネットワーキングが定義されている。その中で、SA下での音声ソリューションは、最初は5G NRから4G LTEへのフォールバック(EPS(Evolved Packet System)フォールバック)のソリューションを用いる。すなわち、
図1に示すように、5Gネットワーク上で動作するユーザ装置(UE)が音声通話を開始したり、音声通話を着信したりすると、5GのNGC(Next Generation Core)ネットワークから4GのEPC(Evolved Packet Core)ネットワークへのハンドオーバのフローを経て、4GネットワークのVoLTE(Voice over Long-Term Evolution)技術により音声サービスが行われる。
【0004】
通常、音声サービスが終了した後、UEはまずアイドル状態になり、UEとLTEセルとの間の無線リソース制御(RRC)接続が解除され、その後、UEは再選択(reselection)機能によりNRセルに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、再選択プロセスには長い遅延があり、その結果、ユーザエクスペリエンスが低下する。そのため、UEがEPSフォールバック後にLTEセルからNRセルに迅速にリダイレクトするための技術を研究する必要がある。
【0006】
本開示は、ユーザ装置がEPSフォールバック後にLTEセルからNRセルに迅速にリダイレクトされることができるように、EPSフォールバック後にLTEセルからNRセルにリダイレクトする方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態の一態様によれば、ユーザ装置によって実行される、EPSフォールバック後にLTEセルからNRセルにリダイレクトする方法が提供される。この方法は、前記ユーザ装置によって、VoLTEの音声ベアラが解放された後、前記LTEセルとの無線リソース制御(RRC)接続を維持し、前記ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、隣接NRセルの優先度が隣接LTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に従って、前記ユーザ装置の隣接セルのサービス品質を測定することと、前記ユーザ装置によって、隣接NRセルであるNRセルのサービス品質の測定結果が所定の閾値に達する場合に、該NRセルにリダイレクトすることとを含む。
【0008】
本開示の実施形態の別の態様によれば、無線通信システムのユーザ側のユーザ装置が提供される。前記ユーザ装置は、処理回路を備え、前記処理回路は、VoLTEの音声ベアラが解放された後、LTEセルとの無線リソース制御(RRC)接続を維持し、該ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、隣接NRセルの優先度が隣接LTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に従って、該ユーザ装置の隣接セルのサービス品質を測定し、隣接セルであるNRセルのサービス品質の測定結果が所定の閾値に達する場合に、該NRセルにリダイレクトするように構成される。
【0009】
本開示の実施形態の別の態様によれば、無線通信システムの制御側の電子機器が提供される。この電子機器は、処理回路を備え、前記処理回路は、VoLTEの音声ベアラが解放された後、ユーザ装置との無線リソース制御(RRC)接続を維持し、前記ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、隣接NRセルの優先度が隣接LTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に関する情報を前記ユーザ装置に送信し、隣接NRセルであるNRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、前記ユーザ装置を該NRセルにリダイレクトするように、リダイレクト命令を前記ユーザ装置に送信するように構成される。
【0010】
本開示の実施形態の別の態様によれば、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が提供される。この命令は、ユーザ装置のプロセッサによって実行されると、該プロセッサに、上述したEPSフォールバック後にLTEセルからNRセルにリダイレクトする方法を実行させる。
【0011】
本開示の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【0012】
本開示の実施形態又は関連技術における技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態又は関連技術の説明で使用する必要のある添付図面を以下に簡単に紹介する。以下に説明する添付図面は、本開示の実施形態の一部に過ぎないことが明らかである。当業者は、創造的な努力が含まれないという前提で、これらの添付図面に従って他の添付図面も取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来の音声サービスにおけるEPSフォールバックを示す概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る、EPSフォールバックの音声サービス、及びLTEセルからNRセルへのユーザ装置のリダイレクトを示す例示的な概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る、EPSフォールバックの音声サービス後のユーザ装置のLTEセルからNRセルへのリダイレクトを示す例示的なシグナリングのフローチャートである。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムのユーザ側のユーザ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムのユーザ側のユーザ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムの制御側の電子機器の構成例を示すブロック図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムの制御側の電子機器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本開示の様々な例示的な実施形態を詳細に説明する。なお、特に明記しない限り、これらの例で説明する構成要素及び工程の相対的な配置、数値表現、並びに数値は、本開示の範囲を限定するものではない。同時に、説明を容易にするために、添付図面に示される種々の部品の寸法は、実際の比例関係に従って描かれていないことを理解されたい。
【0015】
少なくとも1つの例示的な実施形態に関する以下の説明は、実際には単なる例示であり、本開示及びその適用又は使用に対するいかなる限定として決して役立たないものとする。
【0016】
当業者に公知の技術、方法、及び装置については、詳細には説明しない。ただし、当該技術、方法、及び装置は、該当する場合には、明細書の一部とみなさなければならない。ここで示され議論される全ての例の中で、いかなる特定の値も、制限的であるというよりむしろ単に例示的であると解釈されるべきである。したがって、例示的な実施形態における他の例は、異なる値を有することができる。なお、以下の図面において、同様の符号及び文字は同様の項目を示すものであるため、1つの図面において項目が定義された場合には、以降の図面においてその項目について更に説明する必要はない。
【0017】
典型的には、無線通信システムは、少なくとも制御側と端末側とを含み、制御側の装置は、端末側の1つ又は複数の装置に通信サービスを提供することができる。
【0018】
本開示において、無線通信システムの「制御側」とは、その通常の意味の全範囲を含み、一般的に、信号フローを送信して制御を行う通信システムの側、例えば、リダイレクトをトリガする通信システムの側を指す。同様に、「端末/ユーザ側」という用語は、その通常の意味の全範囲を含み、対応して、信号フローを受信して制御に従った動作を行う通信側、例えば、リダイレクトを行うように制御される通信システムの側を指すことができる。一例として、「制御側」の装置は、通信システムにおける「基地局」を含むことができ、「端末側」の装置は、対応して通信システムにおける「ユーザ装置」を含むことができる。
【0019】
本開示において、「基地局」という用語は、その通常の意味の全範囲を含み、無線通信システム(wireless communication system)又は無線システム(radio system)の一部として、通信を容易にする少なくとも無線通信局を含む。一例として、基地局は、例えば、4G通信規格に従うeNB、5G通信規格に従うgNB、リモートラジオヘッド(Remote Radio Head)、無線アクセスポイント、ドローンコントロールタワー、又は同様の機能を実行する通信装置であってもよい。
【0020】
本開示において、「制御側の電子機器」は、その通常の意味の全範囲を含み、例えば、無線通信システム又は無線システムの一部として、リダイレクトの制御を容易にする装置を含むことができる。なお、本開示では、「制御側の電子機器」と「基地局」とを互換的に用いてもよいし、「制御側の電子機器」を「基地局」の一部として実装してもよい。
【0021】
本開示において、用語「ユーザ装置」又は「UE」は、その通常の意味の全範囲を含み、無線通信システム又は無線システムの一部として、通信を容易にする少なくともユーザ装置を含む。一例として、ユーザ装置は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、車載通信装置等のユーザ装置、又はそれらの要素であってよい。
【0022】
5G時代に入り、低遅延、高効率、低コストのネットワーク伝送に対する要求がますます高まっている。4GネットワークのVoLTE技術と同様に、5Gネットワークの展開でも5Gユーザの音声サービスに対する要求を考慮する必要がある。5Gネットワークの音声サービスには、データサービス及び音声サービスを共に5Gネットワークで伝送する、5G NRのみに基づくVoNR(Voice over New Radio)の音声ソリューションが考えられる。しかしながら、5Gネットワークを展開する初期段階では、5Gネットワークの適用範囲は小さい。VoNRソリューションを使用すると、信頼性が低くなり、ユーザエクスペリエンスが低下する。したがって、現段階では、音声サービスのソリューションとして、通常、5G NRから4G LTEへのフォールバック(EPS Fallback)のソリューションが使用される。
【0023】
EPS フォールバック技術は、5G NRが音声サービスを提供しないことを意味する。5Gネットワーク下で動作するユーザ装置が音声通話を開始するか又は音声通話を着信して、NR上で音声ベアラを確立する必要がある場合、ユーザ装置のリダイレクト又はハンドオーバプロセスがトリガされる。ユーザ装置はLTEネットワークにフォールバックし、VoLTE技術によりユーザ装置に音声サービスが提供される。
【0024】
通常、EPSフォールバックのユーザ装置は5G NR上にある。5Gネットワークへの登録後、ユーザ装置は5Gネットワークを介してIPマルチメディアサブシステム(IMS)ネットワークに登録され、IMSシグナリングは5Gネットワーク上で伝送される。ユーザ装置が音声通話を開始して、又は着信音声通話要求を受信して音声ベアラを確立すると、ユーザ装置は4Gネットワークにフォールバックし、VoLTEを介して音声サービスを実行する。音声サービスが終了した後、ユーザ装置は、まずアイドル状態になり、LTEセルとのRRC接続が解除された後、再選択機能を介してNRセルに接続される。具体的には、再選択の主なプロセスは以下の通りである。1.ユーザ装置は、優先度に基づくすべての無線アクセス技術(RAT)周波数を評価し、2.ユーザ装置は、システムブロードキャストメッセージによって送信された各周波数帯キャリアの一般的な周波数優先度に従って、関連するすべての周波数のセルをソートして、無線リンク品質を比較し、3.再選択されるターゲットセルのアクセシビリティを確認し、4.ターゲットセルが再選択される。しかしながら、上記の再選択プロセスは、長い遅延を有し、その結果、ユーザエクスペリエンスが低下する。
【0025】
上記に鑑みて、本開示は、ユーザ装置が、EPSフォールバック後にLTEセルからNRセルにリダイレクトするための技術を提供する。LTEシステムにおいて接続状態周波数優先度(NRセルの優先度がLTEセルの優先度より高い)を設定し、NRへのリダイレクトの測定トリガ機能を追加することで、ユーザ装置が、EPSフォールバック後にLTEセルからNRセルに速やかに復帰できるようにする。具体的には、EPSフォールバックの音声サービスの後、VoLTE音声ベアラが解放されると、ユーザ装置とLTEシステムとの間のRRC接続が維持され(アイドル状態にならず)、LTEシステムは、隣接セルのサービス品質の測定を開始するようにユーザ装置をトリガする。NRセルが優先的に測定される。NRセルのサービス品質が所定のしきい値に達する場合、ユーザ装置をNRセルにリダイレクトすることにより、復帰のための遅延が低減され、ユーザエクスペリエンスが最適化される。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態に係る、EPSフォールバックの音声サービス後にLTEセルからNRセルにUEをリダイレクトする原理及びフローについて、
図2及び
図3を参照して以下に詳細に説明する。
【0027】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る、EPSフォールバックの音声サービス及びLTEセルからNRセルへのユーザ装置のリダイレクトを示す例示的な概略図である。
【0028】
図2に示すように、ステップS1において、UEはNRネットワーク上に存在する。次に、ステップS2において、音声サービスが確立されたことをNRシステムが検出すると、LTEシステムにEPSフォールバックが行われる。次に、ステップS3において、音声通話が終了した後、VoLTE音声ベアラが解放され、UEはLTEセルとのRRC接続を維持し、LTEのリダイレクト測定トリガ機能が、隣接セルのサービス品質の測定を開始するようにUEをトリガする。このステップにおいて、LTEは、NRセルの優先度がLTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度をさらに設定してUEに送信することができる。次に、ステップS4において、NRセルの優先度が高いため、UEが接続状態である場合には、隣接NRセルの測定が優先され、隣接NRセルのサービス品質が所定の閾値に達する場合、UEはこの隣接NRセルにリダイレクトされ、NRネットワーク下でのデータサービスを継続する。
【0029】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る、EPSフォールバックの音声サービス後のユーザ装置のLTEセルからNRセルへのリダイレクトを示す例示的なシグナリングのフローチャートである。なお、リダイレクトの主なステップについては後述する。当然のことながら、本実施形態に係るリダイレクト方法は、他の必要なステップを含む。
【0030】
図3に示すように、SAのEPS フォールバック技術の下で、LTEシステムは、VoLTEを介してUEに音声サービスを提供する。ステップS101において、VoLTEの音声ベアラは解放されるが、UEはLTEセルとのRRC接続を維持する。次に、ステップS102において、UEは、LTEシステムからサービス品質測定命令及びセル接続状態周波数優先度に関する情報を受信する。本実施形態では、LTEシステムによりセル接続状態周波数優先度が設定され、NRセルの優先度がLTEセルの優先度よりも高く設定されることで、UEの隣接NRセルのサービス品質の測定が優先される。次に、ステップS103において、LTEシステムからのサービス品質測定命令に応答して、UEは、セル接続状態周波数優先度に従って、UEの隣接NRセルのサービス品質を測定する。上述したように、ここでは、NRセルの優先度がLTEセルの優先度よりも高いため、UEは、隣接NRセルのサービス品質を測定することを優先する。次に、ステップS104において、UEは、サービス品質測定結果をLTEシステムに送信する。その後、ステップS105において、LTEシステムは、隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達するか否かを判定し、所定の閾値に達する場合にはUEに対してリダイレクト命令を送信する。次に、ステップS106において、UEはLTEシステムからリダイレクト命令を受信する。次に、ステップS107において、UEは、リダイレクト命令に応答して隣接NRセルにリダイレクトする。
【0031】
なお、ステップS107の前において、UEは常にLTEシステムとのRRC接続を維持している。本実施形態では、ステップS107において、UEは、LTEセルとのRRC接続を切断し、隣接NRセルとのRRC接続を確立することにより、隣接NRセルへのリダイレクト処理を完了する。
【0032】
いくつかの実施形態では、UEの近傍に複数の隣接NRセルが存在する場合、サービス品質の測定結果が所定の閾値に達するNRセルが検出されたときに、UEをNRセルにリダイレクトするようにしてもよい。そうでなければ、検出は継続される。以下、このような方法を中心に紹介する。
【0033】
また、他の実施形態では、UEは、サービス品質測定結果が所定の閾値に達するNRセルのうち、最も良好なサービス品質測定結果を有するNRセルにリダイレクトされてもよい。この場合、UEは、複数の隣接NRセルのサービス品質を測定し、複数のNRセルのサービス品質測定結果をLTEシステムに送信する。LTEシステムは、サービス品質測定結果の各々が所定の閾値に到達したか否かを判定し、サービス品質測定結果が所定の閾値に到達するNRセルのうち、サービス品質測定結果が最も良好なNRセルを判定し、UEはこのNRセルにリダイレクトされる。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態に係る、ユーザ装置がEPSフォールバック後にLTEセルからNRセルにリダイレクトするための方法を上述した。以下、本実施形態に係る無線通信システムのユーザ側のユーザ装置について説明する。
【0035】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムのユーザ側のユーザ装置10の構成例を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、本開示の実施形態に係るユーザ装置10は、処理回路100と、メモリ101と、通信部102とを備える。
【0037】
本実施形態によれば、処理回路100は、VoLTEの音声ベアラが解放された後にLTEセルとのRRC接続を維持し、ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を測定することが優先されるように、NRセルの優先度がLTEセルの優先度よりも高く設定されたセル接続状態周波数優先度に従ってユーザ装置の隣接セルのサービス品質を測定し、隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、隣接NRセルにリダイレクトするように構成することができる。
【0038】
ユーザ装置10の構成例において、処理回路100は、汎用プロセッサであってもよいし、例えばASIC等の専用処理回路であってもよい。例えば、処理回路100は、回路(ハードウェア)や中央処理装置(CPU)で構成することができる。また、処理回路100は、回路(ハードウェア)や中央処理装置を動作させるためのプログラム(ソフトウェア)を有してもよい。このプログラムは、メモリ101に記憶されてもよいし(例えば、メモリ101に配置されたもの)、外部から接続された外部記憶媒体に記憶されて、ネットワーク(例えば、インターネット)を介してダウンロードされてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、処理回路100は、受信部1001を含むことができる。受信部1001は、LTEシステムからサービス品質測定命令、及びセル接続状態周波数優先度に関する情報を受信するように構成されることができる。本実施形態では、セル接続状態周波数優先度は、LTEシステムによって設定される。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、処理回路100は、サービス品質測定部1002をさらに備えることができる。サービス品質測定部1002は、LTEシステムからのサービス品質測定命令に応答して、セル接続状態周波数優先度に従って、ユーザ装置10の隣接セルのサービス品質を測定するように構成されることができる。ここで、ユーザ装置10の隣接NRセルのサービス品質が優先的に測定される。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、処理回路100は、送信部1003をさらに備えることができる。送信部1003は、LTEシステムによるその後の判定のために、サービス品質測定結果をLTEシステムに送信するように構成されることができる。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、受信部1001は、LTEシステムからリダイレクト命令を受信するようにさらに構成されることができる。リダイレクト命令は、隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達することに応答してLTEシステムから送信される。
【0043】
処理回路100は、リダイレクト部1004をさらに含むことができる。リダイレクト部1004は、リダイレクト命令に応答して、ユーザ装置10を隣接NRセルにリダイレクトするように構成されることができる。具体的には、いくつかの実施形態では、隣接NRセルにリダイレクトするステップは、LTEセルとのRRC接続を切断することと、隣接NRセルとのRRC接続を確立することとを含む。また、リダイレクト部1004は、ユーザ装置10の近傍に複数の隣接NRセルが存在する場合には、サービス品質測定結果が所定の閾値に達するNRセルを検出したときに、ユーザ装置10をNRセルにリダイレクトするようにしてもよい。あるいは、他の実施形態では、リダイレクト部1004は、サービス品質測定結果が所定の閾値に達したNRセルのうち、サービス品質測定結果が最も良好なNRセルにユーザ装置10をリダイレクトしてもよい。
【0044】
また、いくつかの実施形態では、ユーザ装置10は、
図4に破線で示されるメモリ101及び通信部102をさらに備えることができる。さらに、ユーザ装置10は、図示しない他の部材、例えば、無線周波数リンク、ベースバンド処理部、ネットワーク・インターフェース、プロセッサ、又はコントローラ等を含んでもよい。処理回路100は、メモリ101及び/又は通信部102に関連付けられてもよい。例えば、処理回路100は、データアクセスのためにメモリ101に直接又は間接的に接続されてもよい(例えば、その間の他の部材と接続されてもよい)。他の例として、処理回路100は、通信部102に直接又は間接的に接続され、通信部102を介して無線信号を送信したり、通信部102を介して無線信号を受信したりしてもよい。
【0045】
メモリ101は、処理回路100で生成された各種情報、処理回路100により利用される各種情報(例えば、サービス品質測定結果等)、ユーザ装置10を動作させるためのプログラムやデータ、及び通信部102から送信されるデータ等を記憶する。メモリ101は、処理回路100内又はユーザ装置10の外部に配置することもできるため、破線で示されている。メモリ101は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリとすることができる。例えば、メモリ101は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、又はフラッシュメモリを含むことができるが、これらに限定されない。
【0046】
通信部102は、処理回路100の制御下で電子機器と通信するように構成されることができる。一例では、通信部102は、送信機又は送受信機として実装されてもよく、アンテナアレイ及び/又は無線周波数リンクなどの通信部材を含むことができる。いくつかの実施形態において、通信部102は、処理回路100で決定されたサービス品質測定結果を電子機器に送信してもよい。いくつかの実施形態では、通信部102は、本開示に係る実施形態で説明されるプロセスに必要なシグナリングを送受信することもできる。
【0047】
図4では、処理回路100を通信部102から分離して示しているが、処理回路100は通信部102を含むように実装されてもよい。また、処理回路100は、ユーザ装置10内の1つ又複数の他の部材を含むように実装されてもよいし、ユーザ装置10自体として実装されてもよい。実際の実装では、処理回路100は、チップ(例えば、単一のウェハを含む集積回路モジュール)、ハードウェア構成要素、又は完全な製品として実装されることができる。
【0048】
なお、上記各部は、実現される特定の機能に応じて分割された論理モジュールに過ぎず、特定の実装形態を限定するものではない。例えば、各部は、ソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアの組合せの形態で実装することができる。実際の実装では、上記種々の構成部は、それぞれ独立した物理的エンティティとして実装されてもよいし、単一のエンティティ(例えば、プロセッサ(CPUやDSP等)、又は集積回路等)によって実装されてもよい。また、上記種々の構成部は、実際には存在していなくてもよいことを示すために、図中に点線で示しており、これら構成部によって実現される動作/機能は、処理回路自体によって実現されてもよい。
【0049】
図5は本開示のいくつかの実施形態に係る、無線通信システムのユーザ側のユーザ装置の動作を示すフローチャートである。
【0050】
図5に示すように、VoLTEの音声ベアラが解放された後、ユーザ装置10はLTEセルとのRRC接続を維持する。ステップS501において、ユーザ装置10は、LTEシステムからサービス品質測定命令とセル接続状態周波数優先度に関する情報を受信する。次に、ステップS502において、LTEシステムからのサービス品質測定命令に応答して、ユーザ装置10は、セル接続状態周波数優先度に従って、隣接セルのサービス品質を測定する。セル接続状態の周波数優先度は、NRセルの優先度がLTEセルの優先度よりも高く設定されており、ユーザ装置10の隣接NRセルのサービス品質が優先して測定される。次に、ステップS503において、ユーザ装置10は、サービス品質測定結果をLTEシステムに送信する。
【0051】
メモリ101は、処理回路100で生成された各種情報、処理回路100により利用される各種情報(例えば、サービス品質測定結果等)、ユーザ装置10を動作させるためのプログラムやデータ、及び通信部102から送信されるデータ等を記憶する。メモリ101は、ユーザ装置10内又はユーザ装置10の外部に配置することもできるため、破線で示されている。メモリ101は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリとすることができる。例えば、メモリ101は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、又はフラッシュメモリを含むことができるが、これらに限定されない。
【0052】
以上、本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムのユーザ側のユーザ装置について説明した。以下、本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムの制御側の電子機器について説明する。
【0053】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムの制御側の電子機器20の構成例を示すブロック図である。
【0054】
図6に示すように、本開示の実施形態に係る電子機器20は、処理回路200と、メモリ201と、通信部202とを備える。
【0055】
本実施形態によれば、処理回路200は、VoLTEの音声ベアラが解放された後にユーザ装置とのRRC接続を維持し、ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質を優先して測定できるように、NRセルの優先度をLTEセルの優先度よりも高く設定したセル接続状態周波数優先度に関する情報をユーザ装置に送信し、隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、当該隣接NRセルにユーザ装置がリダイレクトされるようにリダイレクト命令をユーザ装置に送信するように構成することができる。
【0056】
電子機器20の構成例において、処理回路200は、汎用プロセッサの形態であってもよいし、ASIC等の専用処理回路の形態であってもよい。例えば、処理回路100は、回路(ハードウェア)や中央処理装置(CPU)により構成することができる。また、処理回路200は、回路(ハードウェア)や中央処理装置を動作させるためのプログラム(ソフトウェア)を有してもよい。このプログラムは、メモリ201に記憶されてもよいし(例えば、メモリ201に配置されたもの)、外部から接続された外部記憶媒体に記憶されて、ネットワーク(例えば、インターネット)を介してダウンロードされてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、処理回路200は送信部2001を含むことができる。送信部2001は、セル接続状態周波数優先度に関する情報をユーザ装置に送信するように構成されることができる。セル接続状態周波数優先度は、NRセルの優先度がLTEセルの優先度よりも高く設定されているため、ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質が優先して測定されることができる。いくつかの実施形態によれば、送信部2001は、サービス品質測定命令をユーザ装置に送信するようにさらに構成されてもよく、サービス品質は、サービス品質測定命令に応答して測定される。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、処理回路200は、受信部2002をさらに備えることができる。受信部2002は、ユーザ装置から隣接セルのサービス品質測定結果を受信するように構成されることができる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、処理回路200は、判定部2003をさらに含むことができる。判定部2003は、隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達するか否かを判定することができる。また、ユーザ装置の近傍に複数の隣接NRセルが存在し、サービス品質測定結果が所定の閾値に達するNRセルのうち、サービス品質測定結果が最も良好なNRセルにユーザ装置をリダイレクトすることが望ましい場合、判定部2003は、サービス品質測定結果が所定の閾値に達するNRセルのうち、サービス品質測定結果が最も良好なNRセルを決定することもできる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、送信部2001は、隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合に、当該隣接NRセルにユーザ装置がリダイレクトされるように、リダイレクト命令をユーザ装置に送信するように構成されることができる。
【0061】
また、いくつかの実施形態によれば、処理回路200は、設定部2004をさらに備えてもよい。設定部2004は、音声サービスを行う前に、LTEシステムにおけるセル接続状態周波数優先度を予め設定し、本実施形態に係るEPSフォールバック後のリダイレクト処理においてセル接続状態周波数優先度を呼び出すことができるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、設定部2004は、セル接続状態周波数優先度を定期的にリセットするように構成することができる。あるいは、他の実施形態において、設定部2004は、LTEネットワークが変化した場合に、セル接続状態の周波数優先度をリセットするように構成されてもよい。
【0062】
また、電子機器20は、
図6に破線で示すメモリ201と通信部202とをさらに備えてることができる。さらに、電子機器20は、無線周波数リンク、ベースバンド処理部、ネットワーク・インターフェース、プロセッサ、又はコントローラ等の図示しない他の構成要素を含むこともできるが、これらについてはここでは詳細に説明しない。処理回路200は、メモリ201及び/又は通信部202と関連付けられてもよい。例えば、処理回路200は、データアクセスのためにメモリ201に直接又は間接的に接続されてもよい(例えば、その間の他の部材と接続されてもよい)。他の例として、処理回路200は、通信部202に直接又は間接的に接続され、通信部202を介して無線信号を送信したり、通信部202を介して無線信号を受信したりしてもよい。
【0063】
メモリ201は、処理回路200で生成された各種情報、処理回路200により利用される各種情報(例えば、セル接続状態周波数優先度に関する情報、又はサービス品質測定命令等)、電子機器20を動作させるためのプログラムやデータ、通信部202から送信されるデータ等を記憶することができる。メモリ201は、電子機器20内又は電子機器20の外部に配置することもできるため、破線で示されている。メモリ201は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリとすることができる。例えば、メモリ201は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、又はフラッシュメモリを含むことができるが、これらに限定されない。
【0064】
通信部202は、処理回路200の制御下でユーザ装置と通信するように構成することができる。一例では、通信部202は、送信機又は送受信機として実装されてもよく、アンテナアレイ及び/又は無線周波数リンクなどの通信部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、通信部202は、サービス品質測定命令、セル接続状態周波数優先度に関する情報、及び処理回路200で決定されたリダイレクト命令をユーザ装置に送信することができる。いくつかの実施形態では、通信部202は、本開示に係る実施形態で説明されるプロセスに必要なシグナリングを送受信することもできる。
【0065】
図6では、処理回路200を通信部202から分離して示しているが、処理回路200は通信部202を含むように実装されてもよい。さらに、処理回路200は、電子機器20内に1つ又は複数の他の部材を含むように実装されてもよく、又は、処理回路200は、電子機器20自体として実装されてもよい。実際の実装では、処理回路200は、チップ(例えば、単一のウェハを含む集積回路モジュール)、ハードウェアコンポーネント、又は完全な製品として実装することができる。
【0066】
なお、上記各部は、実現される特定の機能に応じて分割された論理モジュールに過ぎず、特定の実装形態を限定するものではない。例えば、各部は、ソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアの組合せの形態で実装されることができる。実際の実装では、上記種々の構成部は、それぞれ独立した物理的エンティティとして実装されてもよいし、単一のエンティティ(例えば、プロセッサ(CPUやDSP等)、又は集積回路等)によって実装されてもよい。また、上記種々の構成部は、実際には存在しなくてもよいことを示すために、図中に点線で示しており、これら構成部によって実現される動作/機能は、処理回路自体によって実現されてもよい。
【0067】
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係る無線通信システムの制御側の電子機器の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図7に示すように、VoLTEの音声ベアラが解放された後、電子機器20は、ユーザ装置とのRRC接続を維持する。ステップS701において、電子機器20は、サービス品質の測定命令と、セル接続状態周波数優先度の情報とをユーザ装置に送信する。セル接続状態周波数優先度は、ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質が優先的に測定されるように、NRセルの優先度をLTEセルの優先度よりも高く設定される。サービス品質測定命令に従って隣接NRセルのサービス品質が測定される。次に、ステップS702において、電子機器20は、ユーザ装置からサービス品質測定結果を受信する。次に、ステップS703において、電子機器20は、ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達するか否かを判定する。ユーザ装置の隣接NRセルのサービス品質測定結果が所定の閾値に達する場合(ステップS703でYes)には、ステップS704において、電子機器は、ユーザ装置がユーザ装置の当該隣接NRセルにリダイレクトされるように、ユーザ装置にリダイレクト命令を送信する。一方、サービス品質測定結果が所定の閾値に達するユーザ装置の隣接NRセルが存在しない場合(ステップS703でNo)には、電子機器は、ステップS702に戻り、ユーザ装置からサービス品質測定結果を受信し続ける。
【0069】
いくつかの実施形態では、ユーザ装置の近傍に複数の隣接NRセルが存在し、各々のサービス品質測定結果が所定の閾値に達するNRセルうちサービス品質測定結果が最も良好なNRセルにユーザ装置がリダイレクトされることが望ましい場合には、ステップS703とステップS704との間に、各々の測定結果が所定の閾値に達するNRセルのうちサービス品質測定結果が最も良好なNRセルを決定するステップが追加されてもよい。
【0070】
また、本実施形態によれば、電子機器20は、音声サービスが実行される前に、LTEシステムにおけるセル接続状態周波数優先度を予め設定して、本実施形態に係るEPSフォールバック後のリダイレクトプロセスにおいてセル接続状態周波数優先度を呼び出すことができるようにする。いくつかの実施形態では、電子機器20は、セル接続状態周波数優先度を定期的にリセットすることができる。あるいは、他の実施形態では、電子機器20は、LTEネットワークが変化したときに、セル接続状態周波数優先順位をリセットすることができる。
【0071】
上述したように、本開示に係る方法及び装置は、SAシステム下でのEPSフォールバックソリューションに適用することができる。LTEシステムにおいて、接続状態周波数優先度を設定し、NRへのリダイレクトの測定トリガ機能を追加することにより、SAシステムを迅速に展開し、構築コストを削減するだけでなく、ユーザ装置をNRネットワークにリダイレクトする際の遅延を低減し、ユーザエクスペリエンスを向上させ、音声サービス終了後のシステム間の動作による悪影響を回避する。具体的には、一例として、本開示の方法に係るNRセルへのリダイレクトの遅延は約0.5秒であり、これは従来の方法と比較して約3秒短縮され、それによってリダイレクトの遅延を大幅に減少させる。
【0072】
ここでは、本開示に係るEPSフォールバック後のLTEセルからNRセルへのリダイレクトの方法及び装置について詳細に説明した。本開示の概念を不明瞭にすることを避けるために、当技術分野で周知のいくつかの詳細については説明しない。上記の説明によれば、当業者は、ここに開示された技術的解決策をどのように実施するかを十分に理解するであろう。
【0073】
本開示の方法及びシステムは、多くの方法で実施することができる。例えば、本開示の方法及びシステムは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェア、ハードウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせによって実施することができる。本方法のステップに関する上記のシーケンスは、単に例示目的のためのものであり、本開示の方法のステップは、別段の指定がない限り、上記に具体的に記載されたシーケンスに限定されない。さらに、いくつかの実施形態では、本開示は、記録媒体に記録されたプログラムとして実施することもでき、そのプログラムは、本開示による方法を実施するためのコンピュータ可読命令を含む。従って、本開示は、本開示に係る方法を実行するためのプログラムを格納する記録媒体も含む。
【0074】
本開示のいくつかの特定の実施形態は、例を用いて詳細に説明されてきたが、当業者は、上記例が例示の目的のみであり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、上記実施形態に対する変更を行うことができることは、当業者には理解されるべきである。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。