(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】非可逆サーキュレータを用いた再構成可能な広帯域な高周波フィルタ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/213 20060101AFI20240524BHJP
H03H 7/01 20060101ALI20240524BHJP
H03H 7/52 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H01P1/213 Q
H03H7/01 A
H03H7/52
(21)【出願番号】P 2022573643
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(86)【国際出願番号】 US2021030977
(87)【国際公開番号】W WO2021247186
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-30
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジャオヤン シー.
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン,アジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ソリック,ジェイソン シー.
(72)【発明者】
【氏名】モートン,マシュー エー.
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047218(WO,A1)
【文献】特開2007-311986(JP,A)
【文献】特開平07-046001(JP,A)
【文献】実開平02-062804(JP,U)
【文献】特開昭56-116301(JP,A)
【文献】特開平05-029806(JP,A)
【文献】特開2005-268898(JP,A)
【文献】米国特許第05546057(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149551(US,A1)
【文献】特開昭49-015304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00-1/397
H01P 5/00-9/04
H03H 1/00-3/00
H03H 5/00-7/21
H03H 7/30-7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの非可逆サーキュレータと;
複数の反射フィルタ素子と;
を備えるシステムであって、各々の反射フィルタ素子は、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータから無線周波数(RF)信号を受信し、フィルタリングされたRF信号を、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータに提供するように構成されており;
前記反射フィルタ素子は、異なる周波数における前記RF信号の振幅を修正するように構成された振幅変更リフレクタを備えて
おり、
前記振幅変更リフレクタの各々は、複数のパスを有するNパス・フィルタを備えており、各パスはスイッチとキャパシタを備えており、
前記システムは、
前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータのスイッチのための第1の制御信号を生成するように構成された第1のクロック・ディバイダ及び第1の発振器と;
前記Nパス・フィルタのスイッチのための第2の制御信号を生成するように構成された少なくとも1つの第2のクロック・ディバイダ及び少なくとも1つの第2の発振器と;
前記第1の制御信号及び第2の制御信号が所望の逐次的なパルス信号となるように、前記第1のクロック・ディバイダの動作及び前記第2のクロック・ディバイダの動作を制御するように構成されたコントローラと;
を更に含むシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータと前記振幅変更リフレクタは、広帯域な再構成可能なフィルタリング・システムを形成している、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記振幅変更リフレクタの各々はバンド・パス・フィルタ又はバンド・ストップ・フィルタを備えている、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて:
前記振幅変更リフレクタのうちの少なくとも幾つかはバンド・パス・フィルタを備えており;及び
前記振幅変更リフレクタのうちの少なくとも幾つかはバンド・ストップ・フィルタを備えている、システム。
【請求項5】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記Nパス・フィルタの各パスにおいて、前記キャパシタは、前記スイッチと負荷抵抗に結合された一方端と、グランドに結合された他方端とを有する、システム。
【請求項6】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記Nパス・フィルタの各パスにおいて、前記キャパシタは、前記スイッチに結合された一方端と、負荷抵抗に結合された他方端とを有する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて:
前記反射フィルタ素子は複数の回路ブランチを形成し;
前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータは、RF入力信号を受信し、RF出力信号を提供するように構成されており、前記RF出力信号は、前記反射フィルタ素子のうちの少なくとも1つによって修正された前記RF入力信号を表現し;及び
前記回路ブランチのうちの少なくとも1つは、前記RF出力信号を生成するように選択的に使用されるように構成されている、システム。
【請求項8】
請求項
7に記載のシステムにおいて:
前記コントローラは、前記RF出力信号を生成するために使用される前記回路ブランチのうちの1つ以上を選択するために、前記
第1の制御信号においてパルスのシーケンスを生成することを前記
第1のクロック・ディバイダに行わせ
るように構成され
ている、システム。
【請求項9】
少なくとも1つの非可逆サーキュレータを使用して無線周波数(RF)入力信号を受信するステップと;
複数の反射フィルタ素子のうちの少なくとも1つを使用してRF出力信号を生成するステップであって、各々の反射フィルタ素子は、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータからRF信号を受信し、フィルタリングされたRF信号を、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータに提供するように構成されている、ステップ;
を含み、前記反射フィルタ素子は、異なる周波数における前記RF信号の振幅を修正するように構成された振幅変更リフレクタを備えており;
前記RF出力信号は、前記少なくとも1つの反射フィルタ素子により修正された前記RF入力信号を表して
おり、
前記振幅変更リフレクタの各々は、複数のパスを有するNパス・フィルタを備えており、各パスはスイッチとキャパシタを備えており、
前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータのスイッチのための第1の制御信号と前記Nパス・フィルタのスイッチのための第2の制御信号とが所望の逐次的なパルス信号となるように、前記第1の制御信号を生成する第1のクロック・ディバイダの動作と前記第2の制御信号を生成する第2のクロック・ディバイダの動作とは、コントローラにより制御される、方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法において、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータと前記振幅変更リフレクタは、広帯域な再構成可能なフィルタリング・システムを形成している、方法。
【請求項11】
請求項
9に記載の方法において、前記振幅変更リフレクタの各々はバンド・パス・フィルタ又はバンド・ストップ・フィルタを備えている、方法。
【請求項12】
請求項
9に記載の方法において:
前記振幅変更リフレクタのうちの少なくとも幾つかはバンド・パス・フィルタを備えており;及び
前記振幅変更リフレクタのうちの少なくとも幾つかはバンド・ストップ・フィルタを備えている、方法。
【請求項13】
請求項
9に記載の方法において:
前記第1の制御信号は、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータのスイッチのためのオーバーラップしていないパルスを有する制御信号
であり、前記方法は、
前記Nパス・フィルタの各々について、前記Nパス・フィルタのスイッチのためのオーバーラップしていないパルスを有する制御信号を
前記第1の制御信号として生成するステッ
プ;
を更に含む方法。
【請求項14】
請求項
9に記載の方法において:
前記第1の制御信号は、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータのスイッチに提供される制御信号
であり、及び
前記第2の制御信号は、前記反射フィルタ素子のスイッチに提供される制御信号
であり、前記方法は、
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号におけるオーバーラップしていないパルスのシーケンスを
変更することにより、前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータと前記反射フィルタ素子とを含むシステムを再構成するステップ;
を更に含む方法。
【請求項15】
請求項
9に記載の方法において:
前記反射フィルタ素子は複数の回路ブランチを形成し;
前記回路ブランチのうちの1つ以上は、前記RF出力信号を生成するように選択的に使用される、方法。
【請求項16】
請求項
15に記載の方法において:
前記少なくとも1つの非可逆サーキュレータのスイッチのための制御信号を生成するステップと;
前記制御信号においてパルスのシーケンスを生成して、前記RF出力信号を生成するために使用される前記回路ブランチのうちの1つ以上を選択するステップと;
更に含む方法。
【請求項17】
請求項9ないし16のうちの何れか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は一般に通信システムに関連する。より具体的には、本開示は、非可逆サーキュレータを用いた再構成可能な広帯域な高周波フィルタに関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 無線通信システムは今日の社会ではユビキタスになっている。場合によっては、無線通信システムは、広範囲な動作周波数にわたって有効に動作する能力を有することを必要とする。例えば、様々なマイクロ波通信システムは、300MHzないし300GHzの範囲内の周波数を使用する可能性があり、何らかの個々のマイクロ波通信システムは、その周波数範囲のうちの幅広いサブセット内の周波数を使用することを必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本開示は、非可逆サーキュレータ(non-reciprocal circulator)を使用する再構成可能な広帯域な高周波フィルタに関連する。
【0004】
[0004] 第1の実施形態において、システムは、少なくとも1つの非可逆サーキュレータと、複数の反射フィルタ素子とを含む。各々の反射フィルタ素子は、少なくとも1つの非可逆サーキュレータから無線周波数(RF)信号を受信し、フィルタリングされたRF信号を、少なくとも1つの非可逆サーキュレータに提供するように構成されている。反射フィルタ素子は、異なる周波数におけるRF信号の振幅を修正するように構成された振幅変更リフレクタを含む。
【0005】
[0005] 第2の実施形態において、方法は、少なくとも1つの非可逆サーキュレータを用いてRF入力信号を受信するステップを含む。方法はまた、複数の反射フィルタ素子のうちの少なくとも1つを用いてRF出力信号を生成するステップを含む。各々の反射フィルタ素子は、少なくとも1つの非可逆サーキュレータからRF信号を受信し、フィルタリングされたRF信号を、少なくとも1つの非可逆サーキュレータに提供するように構成されている。反射フィルタ素子は、異なる周波数におけるRF信号の振幅を修正するように構成された振幅変更リフレクタを含む。RF出力信号は、少なくとも1つの反射フィルタ素子により修正されたRF入力信号を表している。
【0006】
[0006] 第3の実施形態において、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体は命令を含み、命令は、実行されると、少なくとも1つのコントローラに、少なくとも1つの非可逆サーキュレータと複数の反射フィルタ素子とを含むシステムを再構成するステップを実行させる。各々の反射フィルタ素子は、少なくとも1つの非可逆サーキュレータからRF信号を受信し、フィルタリングされたRF信号を、少なくとも1つの非可逆サーキュレータに提供するように構成されている。反射フィルタ素子は、異なる周波数におけるRF信号の振幅を修正するように構成された振幅変更リフレクタを含む。少なくとも1つのコントローラに、システムを再構成するステップを実行させる命令は、少なくとも1つのコントローラに、各々の非可逆サーキュレータの複数のスイッチに提供される制御信号におけるオーバーラップしないパルスのシーケンスを変更するステップを行わせ、何れの反射フィルタ素子が少なくとも1つの非可逆サーキュレータに導電的に結合されるかを選択的に制御する命令を含む。
【0007】
[0007] 他の技術的な特徴は、以下の図面、明細書、及び特許請求の範囲から当業者にとっては容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008] 本開示のより完全な理解のために、添付の図面とともに以下の説明を参照する。
【
図1】[0009]
図1は、本開示による広帯域な再構成可能な高周波フィルタリングをサポートする例示的な非可逆サーキュレータに基づくフィルタリング回路を示す。
【
図2】[0010]
図2は、本開示による広帯域の再構成可能な高周波フィルタリングをサポートする、より具体的な例示的な非可逆サーキュレータに基づくフィルタリング回路を示す。
【
図3A】[0011]
図3A及び
図3Bは本開示による例示的な非可逆サーキュレータとその動作例を示す。
【
図3B】[0011]
図3A及び
図3Bは本開示による例示的な非可逆サーキュレータとその動作例を示す。
【
図4】[0012]
図4は、本開示による非可逆サーキュレータに基づく再構成可能なフィルタリング・システムをサポートする例示的なアーキテクチャを示す。
【
図5】[0013]
図5は、本開示による再構成可能な広帯域な高周波フィルタリングのための方法例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014] 以下に説明する
図1ないし5、及び本開示の原理を説明するために使用される様々な実施形態は、単なる例示であるに過ぎず、如何なる方法によっても本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者は、本開示の原理が任意のタイプの適切に配置されたデバイスやシステムにおいて実装されてもよいことを理解するであろう。
【0010】
[0015] 上述のように、無線通信システムは今日の社会ではユビキタスになっている。場合によっては、無線通信システムは、広範囲の動作周波数にわたって有効に動作する能力を有することを必要とする。例えば、様々なマイクロ波通信システムは、300MHzないし300GHzの範囲内の周波数を使用することが可能であり、何らかの個々のマイクロ波通信システムは、その周波数範囲の幅広いサブセット内の周波数を使用することを必要とする可能性がある。特定の例として、マイクロ波通信システムは、約2GHzないし約18GHzの周波数範囲にわたって動作又は掃引するように再構成可能であることを必要とする可能性がある。これは、通信システムが、異なる周波数を処理するために異なる時点で使用されることが可能な異なるフィルタを含むことをしばしば要求する。
【0011】
[0016] 本開示は、再構成可能な広帯域の高周波フィルタリングを提供するために使用されることが可能な種々の非可逆サーキュレータに基づくフィルタを提供する。これらのサーキュレータに基づくフィルタは、マイクロ波フロントエンド又はその他のより大きなシステムで使用されることが可能である。以下においてより詳細に説明されるように、サーキュレータに基づくフィルタの各々は、一般に、少なくとも1つの非可逆サーキュレータと、非可逆サーキュレータに結合された複数の反射フィルタ素子(反射バンド・パス又はバンド・ストップ・フィルタなど)とを含む。
【0012】
[0017] 非可逆サーキュレータは、無線周波数(RF)入力信号を受信し、RF入力信号を第1の反射フィルタ素子に提供することが可能であり、第1の反射フィルタ素子は、RF入力信号を、フィルタリングされたRF信号として非可逆サーキュレータへ反射して返すことが可能である。所望であれば、フィルタリングされたRF信号は、第2の反射フィルタ素子に提供されることが可能であり、これは、フィルタリングされたRF信号を、2回フィルタリングされたRF信号として非可逆サーキュレータへ反射して返すことが可能である。非可逆サーキュレータは、反射フィルタ素子によって提供されるフィルタリングに基づいて、1つ以上の所望の特性を有するRF出力信号を提供することが可能である。RF入力信号をフィルタリングするために使用される1つ又は複数の反射フィルタ素子は、必要とされる又は望まれるように、変更されることが可能であり、異なる反射フィルタ素子は、経時的に異なる方法でRF入力信号をフィルタリングするために、経時的に使用されることが可能である。
【0013】
[0018] 実装に依存して、本件にこけるサーキュレータに基づくフィルタは、窒化ガリウム(GaN)を使用する実装などにより、高度に再構成可能であり且つ高度に線形であるとすることが可能である。また、場合によっては、所望の機能を提供するために、反射フィルタ素子の少なくとも一部が、非可逆サーキュレータに選択的に接続されたり、非可逆サーキュレータから切断されたりすることが選択的に可能である。このようにして、必要とされる又は望まれるように、サーキュレータに基づくフィルタを使用して、無線通信システム又はその他のシステムにおいて、再構成可能な広帯域な高周波フィルタリング機能を実現することが可能である。
【0014】
[0019] これらのサーキュレータに基づくフィルタは、高電力若しくはその他の無線通信又はその他の機能をサポートするために、任意の数のアプリケーションで使用することができる。例えば、サーキュレータに基づくフィルタは、いわゆる“5G”基地局又はその他の高電力基地局で使用することが可能である。他の例として、これらのサーキュレータに基づくフィルタを使用して、種々のデバイス内の種々のRFフロントエンドを置き換えてもよいし、又は送信/受信モジュール集積回路として実装されてもよい。
【0015】
[0020]
図1は、本開示による広帯域な再構成可能な高周波フィルタリングをサポートする例示的な非可逆サーキュレータに基づくフィルタリング回路100を示す。
図1に示すように、回路100は、一般に、少なくとも1つの非可逆サーキュレータ102と、非可逆サーキュレータ102に結合された複数の反射フィルタ素子104a-104nとを含む。実装に応じて、回路100は、単一の非可逆サーキュレータ102又は複数の非可逆サーキュレータ102を含んでもよい。また、適切な任意の数及び種類の反射フィルタ素子104a-104nが、各々の非可逆サーキュレータ102に結合されてもよい。更に、複数の非可逆サーキュレータ102が存在する場合、非可逆サーキュレータ102に結合される反射フィルタ素子104a-104nの数及び種類は、同一であってもいし、異なっていてもよい。
【0016】
[0021] 各々の非可逆サーキュレータ102は、複数の入力/出力ポート106を含み、各々のI/Oポートは、RF信号を受信し及び/又はRF信号を提供するように構成されている。また、各々の非可逆サーキュレータ102は、1つのポート106で受信したRF信号が一方向に(この特定の例では時計回りに)進行し、次のイネーブルにされている又はアクティブなポートを介して出力されることを可能にするように構成されている。この例では、非可逆サーキュレータ102は、第1のポート106においてRF入力信号108を受信し、RF入力信号108は、第2のポートを介して第1の反射フィルタ素子104aに出力されることが可能である。また、非可逆サーキュレータ102は、第2のポート106で入力信号(第2のポート106を介して以前に出力された信号の修正されたバージョンを表す)を受信することが可能であり、入力信号は、第3ポートを介して第2の反射フィルタ素子104bに出力されることが可能である。最終ポート106はRF出力信号110を提供する。ここで、RF入力信号108をRF出力信号110に変換するために、反射フィルタ素子104a-104nのうちの1つ、一部、又は全てを使用することが可能である。
【0017】
[0022] 非可逆サーキュレータ102は、RF信号が、異なる入力と出力の間を非可逆的な方法で循環できるように構成された適切な任意の構造を含む。語句“非可逆的(non-reciprocal)”は、同じポートにおけるフォワード信号とリバース信号(入信号と出信号を意味する)が異なる経路を進行することを示し、これは、時計回り又は反時計回り方向(但し、両方ではない)で信号の進行を可能にすることを支援する。幾つかの実施態様において、非可逆サーキュレータ102は、電界効果トランジスタ(FET)又はその他のトランジスタに基づく非可逆サーキュレータを表す。非可逆サーキュレータ102の一実装例は次の文献に記載されている(これは、全体的に参照により本件に援用される):
Nagulu et al., “Ultra Compact, Ultra Wideband, DC-1GHz CMOS Circulator Based on Quasi-Electrostatic Wave Propagation in Commutated Switched Capacitor Networks,” 2020 IEEE Radio Frequency Integrated Circuits Symposium, August 2020, pages 55-58
[0023] 反射フィルタ素子104a-104nの各々は、非可逆サーキュレータ102を介して進行するRF信号をフィルタリングし、フィルタリングされた信号を非可逆サーキュレータ102に戻すように構成されている。反射フィルタ素子104a-104nの厳密な構成及び機能は、実装に応じて異なる可能性がある。例えば、一部のケースにおいて、RF入力信号108は、反射フィルタ素子104a-104nの全てを順に通過して、所望の周波数応答を達成し、所望のRF出力信号110を生成する。他のケースにおいて、RF入力信号108は、反射フィルタ素子104a-104nのうちの1つ又は幾つか(全てではない)を順に通過して、所望の周波数応答を達成し、所望のRF出力信号110を生成し、RF入力信号108をフィルタリングするために使用される反射フィルタ素子104a-104nは、(例えば、RF入力信号108又はRF出力信号110の周波数及び/又は所望の周波数応答に基づいて)制御されることが可能である。特定の例として、トランジスタ・スイッチ又はその他のデバイスを使用して、非可逆サーキュレータ102と各々の反射フィルタ素子104a-104nとの間のRF信号の通過を選択的に遮断又は許容してもよい。反射フィルタ素子104a-104nの各々は、回路100の異なる“ブランチ(branch)”を表すと言うことができる。
[0024] 反射フィルタ素子104a-104nの各々は、非可逆サーキュレータ102からのRF信号をフィルタリングし、フィルタリングされたRF信号を非可逆サーキュレータ102に戻すように構成された適切な任意の構造を含む。以下に、反射フィルタ素子104a-104nの実装例が与えられており、その場合に、反射フィルタ素子104a-104nは、広帯域な高周波フィルタ・システムにおける回路を実装するために使用される。しかしながら、反射フィルタ素子104a-104nは、任意の他の所望のフィルタリング機能を提供するために使用されてもよい。
【0018】
[0025]
図1は、広帯域な再構成可能な高周波フィルタリングをサポートする非可逆サーキュレータに基づくフィルタリング回路100の一例を示しているが、
図1には様々な変更を加えることが可能である。例えば、各々の非可逆サーキュレータ102は、適切な任意の数のポート106を有する可能性があり、適切な任意の数の反射フィルタ素子104a-104nに結合されてもよい。また、
図1の種々の構成要素は、組み合わせられてもよいし、更に細分されてもよいし、複製されてもよいし、省略されてもよいし、又は再配置されてもよく、追加の構成要素が特定の必要性に応じて追加されてもよい。
【0019】
[0026]
図2は、本開示による広帯域な再構成可能な高周波フィルタリングをサポートする、より具体的な例示的な非可逆サーキュレータに基づくフィルタリング回路200を示す。
図2に示すように、回路200は、非可逆サーキュレータ102と反射フィルタ素子104a-104nとを含む。ここで、反射フィルタ素子104a-104nの各々は、バンド・パス・フィルタ202又はバンド・ストップ・フィルタ204のうちの1つ(又は、それぞれが入力スイッチによって制御される等の場合には双方)を含む。各フィルタ202又は204は、一般に、一部の周波数を反射する一方、他の周波数を遮断するように動作する。より具体的には、バンド・パス・フィルタ202は、概して、特定の範囲内(通過帯域)に該当する周波数を反射し、他の周波数をブロックする一方、バンド・ストップ・フィルタ204は、概して、特定の範囲内(阻止帯域)に該当する周波数を除く全ての周波数を反射する。本質的に、この場合における反射フィルタ素子104a-104nは、ブロックされた周波数の振幅を変化させるので(一般的には、ゼロまで下げる)、「振幅変更」リフレクタとして機能する。
【0020】
[0027] ここで、反射フィルタ素子104a-104nは、異なる周波数応答を有するフィルタ202及び/又は204のような、様々なバンド・パス・フィルタ202及び/又は様々なバンド・ストップ・フィルタ204を含むことが可能である。実装に応じて、反射フィルタ素子104a-104nの全てがバンド・パス・フィルタ202を含んでもよいし、或いは全てがバンド・ストップ・フィルタ204を含んでもよいし、或いはバンド・パス・フィルタ202とバンド・ストップ・フィルタ204の組み合わせが、反射フィルタ素子104a-104nにおいて使用されてもよい。しかしながら、本開示は、バンド・パス・フィルタ及びバンド・ストップ・フィルタを使用することに限定されないこと、及び、1つ以上のロー・パス・フィルタ及び/又は1つ以上のハイ・パス・フィルタのような、他の又は追加のタイプのフィルタが回路200において使用されてもよいこと、に留意されたい。
【0021】
[0028] この回路200を使用して、フロントエンド・システム又はその他のシステムの特定のニーズを満たすために、所望の複素周波数応答を得ることが可能である。例えば、RF入力信号108が、1つ以上の反射フィルタ素子104a-104nの内の1つ以上のフィルタ202、204を通過して、RF出力信号110を生成することを可能にするために、トランジスタ・スイッチ又はその他のデバイスが使用されてもよい。所与の何らかの時間に使用される特定のフィルタ202、204及び反射フィルタ素子104a-104nは、所望の周波数応答に基づいて異なる可能性がある。換言すれば、RF入力信号108は、所望の周波数応答を得るために、回路200の1つ以上の選択されたブランチを制御可能に通過することが可能である。その結果、回路200は、広い範囲の動作周波数にわたって動作することが可能な広帯域な再構成可能なフィルタリング・システムを作成するために使用されることが可能である。
【0022】
[0029]
図2は、広帯域な再構成可能な高周波フィルタリングをサポートする非可逆サーキュレータに基づくフィルタリング回路200のより具体的な一例を示しているが、
図2には様々な変更を加えることが可能である。例えば、非可逆サーキュレータ102は、任意の適切な数のポート106を含み、任意の適切な数の反射フィルタ素子104a-104nに結合されてもよく、各々の反射フィルタ素子104a-104nは、任意の適切な数及びタイプのフィルタを含んでもよい。また、一部の反射フィルタ素子104a-104nは、非フィルタ関連素子(non-filter-related components)を含んだり、或いは非フィルタ関連機能を実行したりすることが可能である。更に、
図2の種々の構成要素は、組み合わせられてもよいし、更に細分されてもよいし、複製されてもよいし、省略されてもよいし、又は再配置されてもよく、追加の構成要素が特定の必要性に応じて追加されてもよい。
【0023】
[0030]
図3A及び
図3Bは、本開示による例示的な非可逆サーキュレータ102及びその動作を示す。
図3Aに示すように、非可逆サーキュレータ102は、少なくとも1つのエネルギ蓄積デバイス302と複数のスイッチ304a-304dとを含み、これらは共通ノード306に結合されている。エネルギ蓄積デバイス302は、1つ以上のキャパシタ又はインダクタ(1つ以上のhigh-Qキャパシタ又はインダクタ等)のような電磁エネルギを蓄積し、放出するように構成された任意の適切な構造を含む。各スイッチ304a-304dは、スイッチによりRF信号の通過を選択的に許容にするために、クローズにされ(導電状態になる)及びオープンにされる(非導電状態になる)ように構成される。例えば、RF入力信号108を共通ノード306に提供するために、スイッチ304aはクローズにされることが可能である。共通ノード306から1つ以上の反射フィルタ素子104a-104nへRF信号を提供するために、1つ以上のスイッチ304b-304cがクローズにされることが可能である。スイッチ304dは、共通ノード306からのRF出力信号110を提供するためにクローズにされることが可能である。各スイッチ304a-304dは、FET又はその他のトランジスタのような電気的な接続を選択的に形成及び遮断するように構成された任意の適切な構造を含む。
【0024】
[0031] 非可逆サーキュレータ102はここでは4つのスイッチ304a-304dを含んでいるが、これは例示のためだけであるにすぎないことに留意されたい。非可逆サーキュレータ102は、実装に応じて、4つより少ない又は4つより多いスイッチ304a-304dを含んでもよい。例えば、非可逆サーキュレータ102は、RF入力信号108を受信するための1つのスイッチと、RF出力信号110を提供するための1つのスイッチと、非可逆サーキュレータ102に結合された各々の反射フィルタ素子104a-104nのための1つのスイッチとを含んでもよい。
【0025】
[0032]
図3Bに示すように、タイミング
図350は、非可逆サーキュレータ102のスイッチ304a-304dの動作例を示す。ここで、タイミング
図350は、スイッチ304aの制御信号Fs1を表すライン352と、スイッチ304bの制御信号Fs2を表すライン354と、スイッチ304cの制御信号Fs3を表すライン356と、スイッチ304dの制御信号Fs4を表すライン358とを含む。各々の制御信号は、関連するスイッチ304a-304dが導電状態である場合を定めるパルス360を含む。
【0026】
[0033] ここに見られるように、制御信号におけるパルス360は、順に発生している。換言すれば、異なる制御信号のパルス360は、互いにオーバーラップしておらず、従ってスイッチ304a-304dのうちの1つのみが、任意の時点で導電状態にある。制御信号におけるパルス360の逐次的な使用は、非可逆サーキュレータ102を介して循環的にRF信号を搬送することを可能にする。幾つかの実施形態において、パルス360は、反復する時間インターバル中にこの逐次的な方法で発生し、ここで、インターバルの期間は、Tsで示される。ここで、各パルス660は、Ts/Nとして定義される持続時間を有することが可能であり、ここで、Nはスイッチ304a-304dの数を表し、スイッチは、RF入力信号108を所望の反射フィルタ素子104a-104nへ通過させ、RF出力信号110を出力するために能動的に使用される。また、エネルギ蓄積デバイス302はここではN×Fsの周波数で反射を生成することが可能であり、ここで、Fsは、RF入力信号108の周波数を示す。
【0027】
[0034] 制御信号中の逐次的なパルス360のシーケンスを変更することによって、非可逆サーキュレータ102を通るRF信号の循環を再構成することが可能であることに留意すべきである。その結果、処理中にRF信号が続く非可逆サーキュレータ102への及びそこからの回路の1つ以上のブランチは、制御信号中の逐次的なパルス360のシーケンスを調整することによって変更されることが可能である。制御信号における逐次的なパルス360のシーケンスは、プロセッサ又はその他の制御デバイスを使用すること等により、任意の適切な方法で制御することが可能である。
【0028】
[0035] 非可逆サーキュレータ102は、任意の適切な材料を用いて任意の適切な方法で実装されることが可能である。例えば、一部の実施形態では、フェライト・ベースの非可逆サーキュレータ102は、シングル接合又はマルチ接合法を用いて、自己バイアス・ヘキサフェライトを用いて、又は集中素子を用いて、実装されてもよい。他の実施形態では、電子ベースの非可逆サーキュレータ102は、時空変調(spatio-temporal modulation)を使用して実施されてもよいし、スイッチ・ベースで実施されてもよいし、又は逐次的にスイッチングされる遅延ラインを使用して実施されてもよい。電子ベースの非可逆サーキュレータ102は、Nウェイ又はNパス設計をサポートし、準サーキュレータ、又はアクティブ・サーキュレータを表してもよい。電子ベースの非可逆サーキュレータ102は、線形時変動作をサポートしてもよいし、能動又は受動ミキサとして動作してもよい。非可逆サーキュレータ102の更に他の実施形態は、バルク音響波デバイス、スピン波/トポロジカル・アイソレータ、又はジョセフソン接合に基づいていてもよい。更に、非可逆サーキュレータ102の実施形態は、シングル・エンド又は差動であってもよい。
【0029】
[0036]
図3A及び3Bは、非可逆サーキュレータ102及びその動作の一例を示しているが、
図3A及び3Bに種々の変更を加えることが可能である。例えば、スイッチ304a-304d及び関連する制御信号の数は、必要とされる又は望まれるように、変更することが可能である。特定の例として、RF入力信号108が、反射フィルタ素子104a-104nのうちの1つ又は幾つか(全てではない)を通過する場合、使用される反射フィルタ素子104a-104nのための制御信号は、逐次的なパルスを含んでもよく、不使用の反射フィルタ素子104a-104nのための制御信号は、パルスを含まなくてもよい。また、本件特許明細書に記載されている回路において、適切な他の任意の非可逆サーキュレータが使用されてもよい。
【0030】
[0037]
図4は、本開示による非可逆サーキュレータに基づく再構成可能なフィルタリング・システムをサポートする例示的なアーキテクチャ400を示す。
図4に示すように、アーキテクチャ400は、非可逆サーキュレータ402を含み、これは上述の非可逆サーキュレータ102と同一又は類似であってもよい。ここで、非可逆サーキュレータ402は、RF入力信号を受信し、RF出力信号を提供する。非可逆サーキュレータ402は、また、反射フィルタ素子404a-404bにも結合され、その各々は、Nパス反射フィルタ406a又は406b(或いは、各々が入力スイッチによって制御される等の場合には両方)を含む。Nパス反射フィルタ406aでは複数のパスの各々がスイッチ及びキャパシタを含み、キャパシタはスイッチ及び負荷抵抗に結合された一方端と、グランドに結合された他方端とを含む。Nパス反射フィルタ406bでは、複数のパスの各々がスイッチ及びキャパシタを含み、キャパシタはスイッチに結合された一方端と、負荷抵抗に結合された他方端とを有する。
【0031】
[0038] 各々のNパス反射フィルタ406a又は406bにおけるスイッチは、オーバーラップしない制御信号Fc11-Fc1n,Fc21-Fc2nなどを使用して順次開閉されることが可能である。例えば、反射フィルタ素子404aにおいては、Nパス反射フィルタ406aへの入力信号は、スイッチ制御周波数Fc1で完全に吸収され、Nパス反射フィルタ406aは、周波数Fc1で反射ノッチフィルタとして機能する。同様に、Nパス反射フィルタ406bへの入力信号は、スイッチ制御周波数Fc1で完全に反射され、Nパス反射フィルタ406bは、周波数Fc1で反射バンドパス・フィルタとして機能する。
【0032】
[0039] クロック・ソース408においては、所望の周波数Fsで動作する発振器410がクロック信号を生成するために使用されることが可能であり、クロック・ディバイダ412(例えば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)クロック・ディバイダ)は、非可逆サーキュレータ402のためのオーバーラップしていない制御信号を生成するために使用されることが可能である。同様に、複数のクロック・ソース414の各々において、所望の周波数Fc1、Fc2などで動作する発振器416がクロック信号を生成するために使用されることが可能であり、クロック・ディバイダ418(CMOSクロック・ディバイダ等)は、反射フィルタ素子404a-404bのうちの1つについて、オーバーラップしていない制御信号を生成するために使用されることが可能である。一部のケースでは、各々の反射フィルタ素子404a-404bは、自身の関連するクロック・ソース414であって、その反射フィルタ素子内のNパス反射フィルタ406a又は406bに関する制御信号を生成するもの、を有していてもよい。別のケースでは、反射フィルタ素子404a-404bは、共通クロック・ソース414(共通クロック・ソース414からの制御信号のカスタマイズされた修正を伴うか又は伴わないもの)を共有することが可能である。
【0033】
[0040] この例では、電力センサ420を使用して、RF出力信号の電力を感知し、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ又は広帯域シンセサイザのようなコントローラ422に測定値を提供することが可能である。コントローラ422は、約2GHzないし約18GHz、又は適切な他の何らかの周波数範囲のような所望の周波数範囲にわたって、各クロック・ソース414の周波数Fc1、Fc2等を掃引させることが可能である。これは、例えば、ブロッカー信号を感知してそれに対処することを支援するために使用されることが可能である。また或いは代替的に、コントローラ422はクロック・ソース408又はクロック・ソース414からの制御信号における逐次的なパルスの発生を制御するために使用されることが可能である。例えば、コントローラ422は、RF入力信号を処理するためにどの(1つ以上の)反射フィルタ素子404a-404bが使用されるべきであるかを決定することが可能であり、コントローラ422は、クロック・ディバイダ412の動作を制御して、非可逆サーキュレータ402のスイッチに対して所望の逐次的なパルスを生成することが可能である。また、コントローラ422は、オプションとして、RF入力信号を処理するために使用されるべき、Nパス・フィルタ406a又は406b内のスイッチのタイミングを決定することが可能であり、コントローラ422は、クロック・ディバイダ418の動作を制御して、Nパス・フィルタ406a又は406bのスイッチのための所望の逐次的なパルスを生成することが可能である。
【0034】
[0041] 幾つかの実施形態では、
図4の破線424内に示される種々の構成要素は、GaNベースの高電子移動度トランジスタ(high-electron-mobility transistor,HEMT)デバイスを使用して実装されてもよい。また、一部の実施形態において、
図4の破線426内に示される種々の構成要素は、高周波シリコン・オン・インシュレータ(RFSOI)CMOS FETベースのデバイスを使用して実装されてもよい。しかしながら、アーキテクチャ400は、適切な他の任意の数のデバイスを使用して、適切な他の任意の方法で実装されてもよいことに留意されたい。
【0035】
[0042] 各々のコントローラ422は、クロック・ディバイダ412,418による制御信号の生成を制御すること等により、アーキテクチャ400の1つ以上の構成要素の動作を制御するように構成された適切な任意の構造を含む。例えば、コントローラ422は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、特定用途向け集積回路、又は個別論理デバイスのような1つ以上の処理デバイス428を含んでもよい。コントローラ422はまた、ランダム・アクセス・メモリ、リード・オンリー・メモリ、ハード・ドライブ、フラッシュ・メモリ、光ディスク、又はその他の適切な揮発性若しくは不揮発性のストレージ・デバイスのような1つ以上のメモリ430を含んでもよい。コントローラ422は、ネットワーク・インターフェース・カード又は無線トランシーバのような他のシステム又はデバイスとの通信をサポートし、有線又は無線ネットワーク又は直接的な接続を介した通信を促す1つ以上のインターフェース432を更に含むことが可能である。
0043]
図4は、非可逆サーキュレータに基づく再構成可能なフィルタリング・システムをサポートするアーキテクチャ400の一例を示しているが、
図4には様々な変更を加えることが可能である。例えば、任意の他の適切なアーキテクチャは、1つ以上の所望のフィルタリング機能を実行するために、1つ以上の非可逆サーキュレータに基づくフィルタを使用することが可能である。また、
図4における種々の構成要素は、特定の必要性に応じて、組み合わされたり、更に細分されたり、複製されたり、省略されたり、又は再配置されたりしてもよく、また追加的な構成要素が追加されてもよい。
【0036】
[0044]
図5は、本開示による広帯域の再構成可能な高周波フィルタリングを行うための方法例500を示す。説明を容易にするために、方法500は、
図4のアーキテクチャ400のようなより大きなシステムで使用されることが可能な
図1又は2の回路100又は200を使用して実行されるものとして説明される。しかしながら、方法500は、任意の適切なデバイスを使用して、及び任意の適切なシステムで実行されてもよい。
【0037】
[0045]
図5に示すように、RF入力信号をフィルタリングするために使用される1つ以上の反射フィルタ素子が、ステップ502において識別される。これは、例えば、コントローラ422、又は、RF入力信号108をフィルタリングするために使用される1つ以上の反射フィルタ素子104a-104nを特定するその他の構成要素を含んでもよい。これは、実装によって様々な方法で生じる可能性がある。例えば、反射フィルタ素子104a-104nのシーケンスは、周波数範囲の掃引中に直列に使用されてもよいし、又は、反射フィルタ素子104a-104nの周波数応答は、所望の周波数応答をもたらす1つ以上の反射フィルタ素子104a-104nを選択するために使用されてもよい。
【0038】
[0046] 制御信号の生成は、ステップ504において、RF入力信号が1つ以上の識別された反射フィルタ素子に提供されるように制御される。これは、例えば、少なくとも1つの非可逆サーキュレータ102のスイッチに提供される制御信号において逐次的なパルスを生成するために、コントローラ422、又はクロック・ソース816を制御する他の構成要素を含んでもよい。これらの制御信号におけるパルスは、RF入力信号108が、反射フィルタ素子104a-104nの内の1つ、幾つか、又は全部を通過するかどうかを(特定の要件に応じて)制御する。
【0039】
[0047] RF入力信号は、ステップ508において非可逆サーキュレータで受信され、ステップ510において1つ以上の識別された反射フィルタ素子を用いてフィルタリングされる。これは、例えば、RF入力信号108を、反射フィルタ素子104a-104nのうちの1つに渡し、フィルタリングされたRF信号を、その反射フィルタ素子から受け取る非可逆サーキュレータ102を含んでもよい。これはまた、フィルタリングされたRF信号を、別の反射フィルタ素子104a-104nに渡し、2回フィルタリングされたRF信号を、その反射フィルタ素子から受け取る非可逆サーキュレータ102を含んでもよい。これは、RF入力信号108をフィルタリングするために使用される、特定された反射フィルタ素子104a-104nの数に基づいて、任意の回数生じる可能性がある。ステップ510において、RF出力信号は非可逆サーキュレータから提供される。これは、例えば、RF出力信号110を出力する非可逆サーキュレータ102を含んでもよく、RF出力信号は、少なくとも1つの反射フィルタ素子104a-104nによって修正されたRF入力信号108を表す。
【0040】
[0048]
図5は、広帯域な再構成可能な高周波フィルタリングを行うための方法500の一例を示しているが、
図5に対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、一連のステップとして示されているが、
図5の様々なステップは、オーバーラップしたり、並列に生じたり、異なる順序で生じたり、又は任意の回数で生じたりしてもよい。特定の例として、フィルタリングの間に識別され且つ使用される反射フィルタ素子104a-104nは、周波数掃引の間などの間に、経時的に変化することが可能である。
【0041】
[0049] 様々な回路が上記で説明されているが、異なる回路からの特徴の組み合わせが一緒に使用されてもよいことに留意すべきである。例えば、クロック・ソース408は、非可逆サーキュレータ102のための制御信号を生成するために回路100又は200の何れかにおいて使用されることが可能であり、コントローラ422(電力センサ420を伴うか又は伴わないもの)が、非可逆サーキュレータ102のための制御信号を調整するために、回路100又は200の何れかで使用されてもよい。従って、上述の1つ以上の図に示される何れの特徴も、必要とされる又は望まれるように、上述の別の図の回路において使用されてもよい。
【0042】
[0050] 幾つかの実施形態において、この特許明細書で説明されている様々な機能は、コンピュータ読み取り可能なプログラム・コードから形成され且つコンピュータ読み取り可能な媒体に組み込まれるコンピュータ・プログラムによって実現又はサポートされる。「コンピュータ読み取り可能なプログラム・コード」という語句は、ソース・コード、オブジェクト・コード、及び実行可能なコードを含む任意の種類のコンピュータ・コードを含む。「コンピュータ読み取り可能な媒体」という語句は、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、コンパクト・ディスク(CD)、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、又はその他のタイプのメモリのような、コンピュータによってアクセス可能な任意のタイプの媒体を含む。「非一時的な」コンピュータ読み取り可能な媒体は、一時的な電気信号又はその他の信号を伝送する有線、無線、光、又はその他の通信リンクを除外する。非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体は、データが永久的に記憶されることが可能な媒体と、データが記憶され且つ後に上書きされることが可能な媒体、例えば書き換え可能な光ディスク又は消去可能な記憶装置を含む。
【0043】
[0051] この特許明細書を通じて使用される特定の言葉及び語句の定義を述べることは有益であろう。用語「アプリケーション」及び「プログラム」は、適切なコンピュータ・コード(ソース・コード、オブジェクト・コード、又は実行可能なコードを含む)における実装に適合した、1つ以上のコンピュータ・プログラム、ソフトウェア構成要素、命令のセット、手順、機能、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ、又はそれらの一部を指す。用語「通信する」及びその派生形は、直接的及び間接的な通信双方を包含する。用語「含む(include)」及び「備える(comprise)」並びにそれらの派生語は、限定を伴わない包含を意味する。用語「又は」は、包括的なものであり、「及び/又は」を意味している。語句「~に関連する」及びその派生語は、~を含む、~の中に含まれる、~に相互接続される、~を含む、~の内部に含まれる、~に又は~と接続される、~に又は~と結合される、~と通信可能である、~と協働する、交互配置される、並置される、~に近接する、~に又は~と結びつく、~を有する、~の性質を有する、~に対する又は~との関係を有する、又はこれらに類するものを意味する可能性がある。語句「~の少なくとも1つ」は、項目のリストとともに使用される場合、リスト化された項目の1つ以上の様々な組み合わせが使用される可能性があること、及びリスト内の唯1つの項目が必要とされる可能性があることを意味する。例えば、「A、B及びCのうち少なくとも1つ」は、以下の組み合わせ:A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、並びに、A及びB及びC、のうちの何れかを含む。
【0044】
[0052] 本開示の説明は、如何なる特定の要素、ステップ、又は機能も、クレームの範囲に含まれなければならない本質的又は重要な要素であることを意味するものとして理解されるべきではない。特許される対象事項の範囲は、許可されたクレームによってのみ定められる。更に、“~のための手段”又は“~のためのステップ”という厳密な言葉が特定のクレームで明示的に使用され、機能を特定する具体的な語句が続いていない限り、添付のクレーム又はクレーム要素の何れについてもクレームは35U.S.C.§112(f)を発動させるものではない。クレーム内の「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」のような用語(ただし、これらに限定されない)の使用は、クレーム自体の特徴によって更に修正又は増強されたものとして、当業者に知られた構造を指すように理解され且つ意図されるものであり、35U.S.C.§112(f)を発動するようには意図されていない。
【0045】
[0053] 本開示は、特定の実施形態及び一般的に関連する方法を説明しているが、これらの実施形態及び方法の代替例及び置換列は当業者にとって明らかであろう。従って、例示的な実施形態の上述の説明は、本開示を定義したり、制約したりするものではない。以下のクレームによって定められるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の変形、置換、及び代替も可能である。