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特許7493659顔面運動評価システム、及び、リハビリテーション支援システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】顔面運動評価システム、及び、リハビリテーション支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240524BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61B5/11 120
A61B5/107 110
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023166282
(22)【出願日】2023-09-27
【審査請求日】2023-09-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523370211
【氏名又は名称】長谷部 孝毅
(73)【特許権者】
【識別番号】523370222
【氏名又は名称】児嶋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 孝毅
(72)【発明者】
【氏名】児嶋 剛
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-081088(JP,A)
【文献】特開2008-204200(JP,A)
【文献】特開2021-051400(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0106151(KR,A)
【文献】児嶋 剛 他,3次元顔認証システムによるリアルタイム顔面神経麻痺評価,Facial Nerve Research Japan,2022年05月25日,Vol.41,p.10-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61H 1/00 - 1/02
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面運動評価システムであって、
インタフェース装置と、処理回路とを含み、
前記処理回路は、前記インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、前記処理回路は、
(1)顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る複数の変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての健側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率について、前記顔面の特定の部位における前記複数の変動値の全てについての平均左右比率を算出するステップ(2)と
を実行するものである、
顔面運動評価システム。
【請求項2】
前記顔面の特定の部位が、眉であり、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
眉の近傍の所定の複数組の2点についての、2点間距離の合計値が最大になった時の、合計距離と、
眉の近傍の所定の複数点についての最大移動速度と
を含む、
請求項1に記載の顔面運動評価システム。
【請求項3】
前記顔面の特定の部位が、頬であり、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
頬の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値と、
頬の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と
を含む、
請求項1に記載の顔面運動評価システム。
【請求項4】
前記顔面の特定の部位が、口角であり、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値と、
口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と
を含む、
請求項1に記載の顔面運動評価システム。
【請求項5】
前記顔面の特定の部位が、鼻翼であり、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
鼻翼の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値と、
鼻翼の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値と
を含む、
請求項1に記載の顔面運動評価システム。
【請求項6】
顔面運動評価システムであって、
インタフェース装置と、処理回路とを含み、
前記処理回路は、前記インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、前記処理回路は、
(1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)
を実行するものであ
前記顔面の特定の部位は、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、及び、下顎を含み、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される前記変動値は、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度
を含む、顔面運動評価システム。
【請求項7】
リハビリテーション支援システムであって、
インタフェース装置と、処理回路とを含み、
前記処理回路は、前記インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、前記処理回路は、顔面の特定の部位の、患側の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示しており、
更に、前記処理回路は、
(1)顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る複数の変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての、前記動作を指示された患側とは反対側の、非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率について、前記顔面の特定の部位における前記複数の変動値の全てについての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
(3)算出した平均左右比率が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(3)と
を実行するものである、
リハビリテーション支援システム。
【請求項8】
前記顔面の特定の部位が、口角であり、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値と、
口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と
を含む、
請求項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項9】
リハビリテーション支援システムであって、
インタフェース装置と、処理回路とを含み、
前記処理回路は、前記インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、前記処理回路は、顔面の第1の特定の部位の、患側の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示しており、
更に、前記処理回路は、
(1)第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位について、前記顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る複数の変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記第2の特定の部位についての、前記動作を指示された患側とは反対側の、非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率について、前記顔面の第2の特定の部位における変動値の全てについての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
(4)算出した平均左右比率が所与の非静止閾値より大きければ、前記第2の特定の部位が非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(4)と
を実行するものである、
リハビリテーション支援システム。
【請求項10】
前記顔面の第1の特定の部位が、目であり、
前記顔面の第2の特定の部位が、口角であり、
前記顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値と、
口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と、
正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異と
を含む、
請求項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項11】
前記顔面の第1の特定の部位が、目であり、
前記顔面の第2の特定の部位が、眉であり、
前記顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
眉の近傍の所定の複数組の2点についての、2点間距離の合計値が最大になった時の、合計距離と、
眉の近傍の所定の複数点についての最大移動速度と
を含む、
請求項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項12】
前記顔面の第1の特定の部位が、口角であり、
前記顔面の第2の特定の部位が、眉であり、
前記顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値が、
眉の近傍の所定の複数組の2点についての、2点間距離の合計値が最大になった時の、合計距離と、
眉の近傍の所定の複数点についての最大移動速度と
を含む、
請求項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項13】
リハビリテーション支援システムであって、
インタフェース装置と、処理回路とを含み、
前記処理回路は、前記インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、前記処理回路は、顔面の特定の部位の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示しており、
更に、前記処理回路は、
(1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)と、
(2)測定した変動値が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(2)と
を実行するものであ
前記顔面の特定の部位は、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、及び、下顎を含み、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される前記変動値は、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度
を含む、リハビリテーション支援システム。
【請求項14】
リハビリテーション支援システムであって、
インタフェース装置と、処理回路とを含み、
前記処理回路は、前記インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、前記処理回路は、顔面の第1の特定の部位の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示しており、
更に、前記処理回路は、
(1)第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)と、
(2)測定した変動値が所与の非静止閾値より大きければ、前記第2の特定の部位が非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(2)と
を実行するものである、
リハビリテーション支援システム。
【請求項15】
前記顔面の特定の部位は、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、び、下顎を含み、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される前記変動値は、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離、
顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点により形成される面積の変動、及び、
・顔面の特定の部位に関する所定の3点により形成される角度の変動
を含む、請求項14に記載のリハビリテーション支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、顔の各器官の動作を評価する顔面運動評価システム、及び、顔の各器官の動作のリハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システムに関する
【背景技術】
【0002】
顔面運動に変化が起こる疾患は多数ある。代表的なものとして、顔面神経麻痺は、通常片側の顔面神経の障害により、片方の顔の表情が弱くなったり、失われたりする病気である。麻痺の程度の評価については、長年、評価者の経験に基づく主観的な評価方法が用いられてきた。ここで、主観的な評価方法として、例えば、40点法(柳原法)などが挙げられる。
【0003】
また、顔面神経麻痺の他にも仮面用顔貌として知られるように、パーキンソン病やうつ病では顔全体の表情に乏しくなる。
【0004】
疾患の有無に関わらず顔面の運動は個人毎に異なるため、顔面運動の評価は機械に委ね難いものとされていた。一方で、顔面運動の定量的かつ信頼性の高い評価手段は、常に、患者及び臨床医の双方にとって必要とされてきた。これらを踏まえて、近年、スマートフォンやタブレット端末を含むハードウエアや画像処理を含むソフトウエアの発展により、コンピュータを用いた顔面運動の評価システムが様々に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-36734号公報
【文献】特表2022-533464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
但し、現在までに提案されている顔面運動評価システムは、例えば、鼻、目、頬、口などの各器官の相対的な距離・位置を示す等、顔面の静的な様子を評価するものが多い。これに対し、顔面神経の診断においては、短時間(例えば、数秒間)、更には瞬間における、各器官の動作の評価を為し得る手段が求められている。また、短時間における各器官の具体的な動作の評価を為し得る手段は、顔面神経麻痺のためのリハビリテーション支援システムにて非常に有用である。
【0007】
本開示は、顔の各器官の短時間における動作を適切に評価する顔面運動評価システム、及び、顔の各器官の短時間における動作を適切に評価する機能を利用して顔面の器官や部位のリハビリテーションを実効的に行うリハビリテーション支援システムを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決する顔面運動評価システムである。本開示の顔面運動評価システムは、インタフェース装置と、処理回路とを含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路は、
(1)顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る複数の変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての健側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-3)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率について、前記顔面の特定の部位における前記複数の変動値の全てについての平均左右比率を算出するステップ(2)と
を実行するものである。
【0009】
また、本開示の顔面運動評価システムは、インタフェース装置と、処理回路とを含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路は、
(1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)
を実行するものである。
前記顔面の特定の部位は、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、及び、下顎を含み、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される前記変動値は、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度
を含む。
【0010】
また、本開示のリハビリテーション支援システムは、インタフェース装置と、処理回路とを、含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路は、顔面の特定の部位の、患側の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示している。 更に、処理回路は、
(1)顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る複数の変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての、前記動作を指示された患側とは反対側の、非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率について、前記顔面の特定の部位における前記複数の変動値の全てについての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
(3)算出した平均左右比率が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(3)と
を実行するものである。
【0011】
また、本開示のリハビリテーション支援システムは、インタフェース装置と、処理回路とを含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路は、顔面の第1の特定の部位の、患側の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示している。 更に、処理回路は、
(1)第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位について、前記顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る複数の変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記第2の特定の部位についての、前記動作を指示された患側とは反対側の、非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率について、前記顔面の第2の特定の部位における前記複数の変動値の全てについての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
(4)算出した平均左右比率が所与の非静止閾値より大きければ、前記第2の特定の部位が非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(4)と
を実行するものである。
【0012】
また、本開示のリハビリテーション支援システムは、インタフェース装置と、処理回路とを含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、前記処理回路は、顔面の特定の部位の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示している。 更に、処理回路は、
(1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)と、
(2)測定した変動値が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(2)と
を実行するものである。
前記顔面の特定の部位は、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、び、下顎を含み、
前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される前記変動値は、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度
を含む。
【0013】
更に、本開示のリハビリテーション支援システムは、インタフェース装置と、処理回路とを含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路は、顔面の第1の特定の部位の動作を指示するメッセージを前記インタフェース装置を介して示している。 更に、処理回路は、
(1)第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)と、
(2)測定した変動値が所与の非静止閾値より大きければ、前記第2の特定の部位が非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(2)と
を実行するものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示の顔面運動評価システムを利用することにより、顔の各器官や部位の短時間における動作を、左右比という観点から適切に評価することができ、変動量という観点から適切に把握することができる。更に、本開示のリハビリテーション支援システムは、顔の各器官や部位の短時間における動作を、左右比という観点から適切に評価する機能及び変動量という観点から適切に把握する機能を利用して、顔面の器官や部位のリハビリテーションを実効的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施形態に係る顔面運動評価システムのシステム構成図である。
図2図2は、本開示にて利用する3次元顔認識システムが設定する、顔面を基準として構成される3次元相対座標系における、複数(例えば、1220個)の所定の点群(以下、「顔認識システムによる点群」という。)を示す図である。
図3図3は、本開示にて利用する顔認識システムが用いる、スマートフォンにおける赤外線センサ、前面カメラ、及び赤外線照射部を模式的に示す図である。
図4図4(a-1)及び図4(a-2)は、顔認識システムによる点群における、眉の近傍の所定の二組の2点間距離を示す図である。図4(a-3)及び図4(a-4)は、顔認識システムによる点群における、眉の近傍の所定の点を示す図である。
図5図5は、顔認識システムによる点群における、眼瞼内部を示す図である。
図6A図6Aは、顔認識システムによる点群における、頬の近傍の所定の複数点を示す図である。
図6B図6B(b-1)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、安静時の角度を示す図である。図6B(b-2)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、口角挙上運動中の角度を示す図である。
図7A図7A(a-1)は、顔認識システムによる点群における、口角の近傍の所定の複数点を示す図である。図7A(a-2)は、図7A(a-1)の、口角の近傍の所定の複数点付近の拡大図である。
図7B図7B(b-1)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、安静時の角度を示す図である。図7B(b-2)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、口角挙上運動中の角度を示す図である。
図7C図7C(c-1)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、安静時の角度を示す図である。図7C(c-2)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、口角挙上運動中の角度を示す図である。
図8図8は、顔認識システムによる点群における、鼻翼の近傍の所定の複数点を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るリハビリテーション支援システムのシステム構成図である。
図10図10は、第2の実施形態に係るリハビリテーション支援システムの画面例を示す図である。
図11A図11Aは、第1の実施形態に係る顔面運動評価システムにおける評価値算出処理を表すフローチャートを示す図である。
図11B図11Bは、第2の実施形態に係る顔面運動評価システムにおける変動値測定処理を表すフローチャートを示す図である。
図11C図11Cは、第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システムにおける評価値算出及び動作判定処理を表すフローチャートを示す図である。
図11D図11Dは、第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システムにおける評価値算出及び注意通知処理を表すフローチャートを示す図である。
図11E図11Eは、第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システムにおける変動値測定及び動作判定処理を表すフローチャートを示す図である。
図11F図11Fは、第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システムにおける変動値測定及び注意通知処理を表すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0017】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0018】
1.[第1の実施形態]
以下、添付の図面を参照して、本開示の好ましい第1の実施形態を説明する。第1の実施形態に係る顔面運動評価システムは、顔面神経麻痺における顔面運動の評価のために有用である。
【0019】
1.1.[システム構成]
図1は、第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2の全体システム構成図である。第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、携帯端末6にて稼働する。
【0020】
なお、図9に示すように、本開示の第2の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’も、第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2が稼働する携帯端末6にて、動作し得る。
【0021】
携帯端末6は、例えば、タブレット端末やスマートフォン等の、携帯式の計算機デバイスである。携帯端末6は、撮像素子と、撮像素子を制御する撮像制御手段を含む。即ち、例えば、図3に示すように、携帯端末6は、赤外線センサ20、前面カメラ22、及び赤外線照射部24を備える。携帯端末6は、外部ネットワーク8に繋がる。なお、携帯端末6は、タブレット端末やスマートフォンの携帯式の計算機デバイスに限定されるものではなく、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)やワークステーションコンピュータであってもよい。
【0022】
外部ネットワーク8は、例えば、インターネットであり、(以下で説明する)インタフェース装置10を介して携帯端末6と接続する。顔面運動評価システム2は、携帯端末6で稼働する(例えば、)ネイティブアプリに依るものであり、よって、携帯端末6は、外部ネットワーク8に接続するアプリストアサーバ4から顔面運動評価システムに係るアプリケーションプログラムをダウンロードすることにより、携帯端末6において顔面運動評価システム2を構築する。なお、顔面運動評価システム2はネイティブアプリに依るもので無くてもよく、ウェブアプリやハイブリッドアプリに依るものであってもよい。
【0023】
図1に示すように、携帯端末6は、インタフェース装置10、処理回路12、及びメモリ14を備える。
【0024】
インタフェース装置10は、ネットワーク端子、映像入出力端子、USB端子、カメラ、ポインティングデバイス、キーボード、マウス等を含む、外部とデータを遣り取り可能なインタフェースユニットである。ここでのデータは、例えば、顔面に係る画像データである。取得後、これらのデータは、携帯端末6内部のメモリ14等の記憶部に記録され得る。
【0025】
処理回路12は、プロセッサにより構成される。ここでのプロセッサは、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)やGPU(Graphics Processing Unit;画像処理ユニット)を包括するものである。第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2の各種処理は、各種プログラムを処理回路12が実行することによって実現される。
【0026】
メモリ14は、携帯端末6内部のデータ書き換えが可能な記憶部であり、例えば、多数の半導体記憶素子を含むRAM(Random Access Memory)により構成される。メモリ14は、処理回路12が様々な処理を実行する際の、具体的なコンピュータプログラムや、変数値や、パラメータ値等を一時的に格納する。なおメモリ14は、いわゆるROM(Read Only Memory)を含んでもよい。ROMには、以下で説明する顔面運動評価システム2の各種処理を実現するアプリケーションプログラムが予め格納されている。処理回路12がROMからアプリケーションプログラムを読み出し、RAMに展開することにより、処理回路12が当該アプリケーションプログラムを実行することが可能になる。
【0027】
第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、Swift等のコンピュータ言語を用いて構築されている。顔面運動評価システム2の構築のために用いられ得るコンピュータ言語はこれらに限定されるものでは無く、勿論、他のコンピュータ言語が用いられてもよい。
【0028】
更に、第1の実施形態に係る携帯端末6の処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係る画像データに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて多数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。ここでの顔認識システムは、例えば、Apple社の提供する3次元顔認証システムであるFaceIDで使用されている(Class名)「ARFacegeometry」に依るシステムであり、(図3に示すような)前面カメラ22を用いて顔面の画像処理を行うことに加えて、赤外線照射部24により赤外線照射を行い、これにより赤外線センサ20を用いて顔面を立体的に把握することにより、リアルタイムの3次元トラッキングを行う。なお「ARFacegeometry」はApple社提供の開発キットである。ここでの顔認識システムは、顔面上に配置された1220点の3次元座標を取得することが可能である。更に、当該顔認識システムでは、顔自体を基準とする相対座標系によって座標が決定されるので、顔の位置や向きが変化しても顔表面に配置された点の3次元座標は変化しないものである。よって、本開示の顔認識システムは、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて1220個の所定の点を設定するものとしている。
【0029】
図2は、本開示にて利用される顔認識システムが設定する、顔面を基準として構成される3次元相対座標系における、複数(例えば、1220個)の所定の点群(以下、「顔認識システムによる点群」という。)を示す図である。1220個の点群は、携帯端末6のディスプレイ面にて、携帯端末6のディスプレイ面と正対する操作者の顔面の鏡像として、表示される。なお、図2では示していないが、1220個の所定の点の各々には、全て固定的に番号が付されている(図4図8参照)。
【0030】
本開示にて利用するべき顔認識システムは、Apple社の提供する3次元顔認証システムであるFaceIDで利用されているARFacegeometryに依るシステムに限定されるものではなく、顔表面にて顔自体を基準として構成される相対座標系にて多数の点を設定し得る、顔認識のためのシステムであればよい。
【0031】
1.2.[システムの動作]
顔面運動評価システム2の操作者、即ち、被評価者による、顔面運動評価システム2の操作、及び、それに対する顔面運動評価システム2の動作を、以下説明する。
【0032】
顔面運動評価システム2の操作者は、先ず、携帯端末6にて顔面運動評価システム2の稼働を開始させる。ここで、顔面運動評価システム2にて、操作者(被評価者)の健側(及び患側)が自動により若しくは手動により設定され得る。
【0033】
操作者(被評価者)は、携帯端末6のディスプレイ面を眺めつつ、両目を閉じる、片目ずつ目を閉じる、眉を挙上する、口角を挙げてほほ笑む、等の、顔面の運動を行う。その際、顔面運動評価システム2は、前面カメラ22や赤外線センサ20などのインタフェース装置10を介して取得するリアルタイムの顔面に係るデータ、更には、それら顔面に係るデータから生成される顔認識システムによる点群に基づいて、以下の評価値算出処理を行う。図11Aは、以下の評価値算出処理を表すフローチャートを示す図である。
【0034】
[評価値算出処理]
[1]顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)。
[1-1]顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)。
[1-2]測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての健側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)。
[2]前記ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップ(2)。
【0035】
上記[2]で算出された平均左右比率が、その特定の部位の、運動の評価値である。つまり、部位の健側を基準として患側がどの程度運動し得るかを示す、部位についての平均左右比率が「評価値」とされる。
【0036】
第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2における、上述の評価値算出処理にて、顔面の特定の部位は、例えば、眉、目、頬、口角、鼻翼などである。また、「所定の短時間」は、簡易な顔面運動を行うのに十分な時間であり、例えば、3秒や、5秒などである。
【0037】
更に、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値の例は、以下の(1-1)、(1-2)、(2-1)、(3-1)、(3-2)、(3-3)、(4-1)、(4-2)、(4-3)、(4-4)、(5-1)、(5-2)、(5-3)の通りである。
((1)特定の部位が「眉」である場合)
(1-1)眉の近傍の所定の複数組の2点についての、2点間距離の合計値が最大となった時の、合計距離。
(1-2)眉の近傍の所定の複数点についての最大移動速度。
((2)特定の部位が「目」である場合)
(2-1)眼瞼内部の面積の、閉眼時である最縮小時と、開眼時である安静時との差異。
((3)特定の部位が「頬」である場合)
(3-1)頬の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値。
(3-2)頬の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値。
(3-3)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異。
((4)特定の部位が「口角」である場合)
(4-1)口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値。
(4-2)口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値。
(4-3)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異。
(4-4)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異
((5)特定の部位が「鼻翼」である場合)
(5-1)鼻翼の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値。
(5-2)鼻翼の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値。
【0038】
上述(1-1)~(5-2)の、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値(の最大値)の例について、図4図8を用いて説明する。
【0039】
[変動値の最大値の例に関する説明]
【0040】
(1)特定の部位が「眉」である場合について
図4(a-1)及び図4(a-2)は、顔認識システムによる点群における、眉の近傍の所定の複数組の2点間距離を示す図である。図4(a-1)は、安静時のものであり、図4(a-2)は、眉挙上時のものである。例えば、左側の眉の近傍では、複数組の2点として、(329-1150),(328-1151),(327-1152),(335-1153),(197-1154),(198-1155)の五組を想定している。右側の眉については、これら五組の点に対応する点が想定される。図4(a-1)及び図4(a-2)では、(329-1150),(328-1151)の二組のみ線分で結んでいる。図4(a-2)が、「眉の近傍の所定の複数組の2点についての、2点間距離の合計値が最大となった時の、合計距離」を、示し得る、顔認識システムによる点群の図である。
【0041】
図4(a-3)及び図4(a-4)は、顔認識システムによる点群における、眉の近傍の所定の複数点を示す図である。図4(a-3)は、安静時のものであり、図4(a-3)は、眉挙上時のものである。例えば、左側の眉の近傍では、複数点として、329,328,327,335,197,198の五点を想定している。右側の眉については、これら五点に対応する点が想定される。図4(a-3)及び図4(a-4)では、329のみ円で囲んでいる。図4(a-4)が、「眉の近傍の所定の複数点についての最大移動速度」を、示し得る、顔認識システムによる点群の図である。
【0042】
(2)特定の部位が「目」である場合について
図5は、顔認識システムによる点群における、眼瞼内部を示す図である。つまり、左目縁の周囲の、1085-(連番)-1108の24点を結ぶことにより、左目の眼瞼内部及びその面積を示している。右目については、これら24点に対応する点が眼瞼内部を示す点として想定される。この面積が最も縮小した時(即ち、閉眼時)と、安静時(即ち、開眼時)との差異が、「眼瞼内部の面積の、閉眼時である最縮小時と、開眼時である安静時との差異」となる。
【0043】
(3)特定の部位が「頬」である場合について
図6Aは、顔認識システムによる点群における、頬の近傍の所定の複数点を示す図である。例えば、図6Aに示す、右側の頬の近傍では、複数点として、600,601,785,821の四点を想定している。左側の頬については、これら四点の点に対応する点が想定される。図6Aでは、600,601,785,821の夫々が円で囲まれている。これらの、夫々の四点についての合計移動距離の最大値が「頬の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値」となる。更に、これらの、夫々の四点についての、平均移動速度の最大値が、「頬の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値」となる。
【0044】
図6B(b-1)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、安静時の角度を示す図である。図6B(b-2)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、口角挙上運動中の角度を示す図である。正中線上の眉間の点及び鼻頭の点は、15,7の点である。右側の頬では、頬の近傍の所定の点は、600の点である。左側の頬については、この点(600)に対応する点が想定される。これらの、各頬についての、三点により為す角度の、安静時と口角挙上運動中との差異が、「正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、頬の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異」となる。
【0045】
(4)特定の部位が「口角」である場合について
図7A(a-1)は、顔認識システムによる点群における、口角の近傍の所定の複数点を示す図である。図7A(a-2)は、図7A(a-1)の、口角の近傍の所定の複数点付近の拡大図である。図7A(a-1)及び図7A(a-2)に示す、右側の口角の近傍では、複数点として、823,824,825,826,684,638,678,639,834,835,836,837の12点を想定している。左側の口角については、これら12点に対応する点群が想定される。図7A(a-1)及び図7A(a-2)では、823,824,825,826,684,638,678,639,834,835,836,837の点群が、円などの線で囲まれている。これらの、夫々の12点についての合計移動距離の最大値が「口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値」となる。更に、これらの、夫々の12点についての、平均移動速度の最大値が、「口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値」となる。
【0046】
図7B(b-1)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、安静時の角度を示す図である。図7B(b-2)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、口角挙上運動中の角度を示す図である。正中線上の眉間の点及び鼻頭の点は、15,7の点である。右側の口角では、口角の近傍の所定の点は、825の点である。左側の口角については、この点(825)に対応する点が想定される。これらの、各口角についての、三点により為す角度の、安静時と口角挙上運動中との差異が、「正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異」となる。
【0047】
図7C(c-1)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、安静時の角度を示す図である。図7C(c-2)は、顔認識システムによる点群における、正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、口角挙上運動中の、特に右の口角の挙上運動中の、角度を示す図である。これらの、各口角についての、三点により為す角度の、安静時と口角挙上運動中との差異が、特に、右の口角についての、「正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異」となる。なお、左の口角については、左の口角の挙上運動中の、角度が用いられなければならない。
【0048】
(5)特定の部位が「鼻翼」である場合について
図8は、顔認識システムによる点群における、鼻翼の近傍の所定の複数点を示す図である。例えば、図8に示す、右側の鼻翼の近傍では、複数点として、652,655,732,743,729,651,653,747,760,727,748の11点を想定している。左側の鼻翼については、これら11点の点に対応する点が想定される。図8では、652,655,732,743の点群と、729,651,653,747の点群と、760,727,748の点群との、各々が、線で囲まれている。これらの、右側左側夫々の11点についての、合計移動距離の最大値が「鼻翼の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値」となる。更に、これらの、右側左側夫々の11点についての、平均移動速度の最大値が、「鼻翼の近傍の所定の複数点の平均移動速度の最大値」となる。
【0049】
[変動値の最大値の例に関する説明・終了]
【0050】
[評価値の出力・表示について]
第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、各々の、顔面の特定の部位についての「評価値」を、運動評価の結果として、例えば以下のように、携帯端末6のディスプレイ面に表示することができる。
【0051】
【表1】

ここでは、患側の口角及び鼻翼が、他の部位に比べて動きにくいことが示されている。
【0052】
顔面運動評価システム2は、顔面の特定の部位の全て(例えば、眉、目、頬、口角、鼻翼)について「評価値」を加算平均して、顔面全体の評価値として算出することもできる。よって、顔面運動評価システム2は、顔面全体の評価値を運動評価の結果として携帯端末6のディスプレイ面に表示することができる。表1の例では、運動評価の結果は「(90+90+90+60+60)/5=78%」となる。
【0053】
更に、顔面運動評価システム2は、評価値の大小に応じて、想定される顔面麻痺の程度を表示することもできる。例えば、顔面全体の評価値が略100%に近ければ、「顔面運動に問題は見られません。」と表示し、顔面全体の評価値が所定の閾値(例えば、90%)より小さければ、「顔面運動に左右差があります。」と表示する、等を行うことができる。
【0054】
1.3.[まとめ]
第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、インタフェース装置10と、処理回路12とを含む。処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に処理回路12は、
(1)顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての健側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
を実行するものである。
【0055】
第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2を利用することにより、顔の各器官や部位の短時間における動作を、左右比という観点から適切に評価することができる。
【0056】
2.[第2の実施形態]
第1の実施形態に続いて、本開示の好ましい第2の実施形態を開示する。なお、第2の実施形態に係る顔面運動評価システムは、第1の実施形態に係る顔面運動評価システムと略同様のものである。従って、両者の差異を中心に以下説明する。
【0057】
2.1.[システム構成]
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、図1に示す第1の実施形態に係る顔面運動評価システムと同様のシステム構成を備える。
【0058】
2.2.[システムの動作]
【0059】
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2の操作者、即ち、被評価者による、顔面運動評価システム2の操作、及び、それに対する顔面運動評価システム2の動作を、第1の実施形態と第2の実施形態との差異を中心に、以下説明する。
【0060】
顔面運動評価システム2の操作者は、先ず、携帯端末6にて顔面運動評価システム2の稼働を開始させる。
【0061】
操作者(被評価者)は、携帯端末6のディスプレイ面を眺めつつ、両目を閉じる、片目ずつ目を閉じる、眉を挙上する、口角を挙げてほほ笑む、口を開ける、顎を下げる等の、顔面の運動を行う。その際、顔面運動評価システム2は、前面カメラ22や赤外線センサ20などのインタフェース装置10を介して取得するリアルタイムの顔面に係るデータ、更には、それら顔面に係るデータから生成される顔認識システムによる点群に基づいて、以下の変動値測定処理を行う。図11Bは、以下の変動値測定処理を表すフローチャートを示す図である。
【0062】
[変動値測定処理]
[1]顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)。
【0063】
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2における、上述の変動値測定処理にて、顔面の特定の部位は、例えば、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、頸部、下顎などである。また、「所定の短時間」は、簡易な顔面運動を行うのに十分な時間であり、例えば、4秒や、6秒などである。
【0064】
更に、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される変動値は、例えば、・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離、
顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点により形成される面積の変動、
・顔面の特定の部位に関する所定の3点により形成される角度の変動、
等である。
【0065】
なお、上述のように、図4図8は、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の例を示している。
【0066】
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、複数の、顔面の特定の部位について、同時に並行して[変動値測定処理]を行うことができる。更に、第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、或る顔面の特定の部位に関して、複数の変動値(例えば、「顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離」と、「顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度」)を同時に測定するように並行して[変動値測定処理]を行うことができる。
【0067】
[変動値の出力・表示について]
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、各々の、顔面の特定の部位についての「変動値」を、運動測定の結果として、携帯端末6のディスプレイ面に表示することができる。
【0068】
更に、例えば、顔面運動評価システム2は、顔面の特定の部位の全て(例えば、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、口角、鼻翼、口唇、頸部、下顎、など)について「所定の複数点の平均移動距離」を加算平均して、顔面全体の運動の値として算出し、携帯端末6のディスプレイ面に表示することができる。
【0069】
2.3.[まとめ]
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、インタフェース装置10と、処理回路12とを含む。処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させており、
更に、処理回路12は、
(1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)
を実行するものである。
【0070】
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2を利用することにより、顔の各器官や部位の短時間における動作を、変動値(変動量)という観点から適切に把握することができる。
【0071】
3.[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態に続いて、本開示の好ましい第3の実施形態を開示する。なお、第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システムは、第1及び第2の実施形態に係る顔面運動評価システムと類似するものである。従って、両者の差異を中心に以下説明する。第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システムは、顔面神経麻痺に対するリハビリテーションの支援のために有用である。
【0072】
3.1.[システム構成]
図9は、第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’の全体システム構成図である。32の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、第1及び第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2と同様に、携帯端末6にて稼働する。
【0073】
第1及び第2の実施形態と同様に、携帯端末6は、例えば、タブレット端末やスマートフォン等の、携帯式の計算機デバイスである。携帯端末6は、撮像素子と、撮像素子を制御する撮像制御手段を含む。即ち、例えば、図3に示すように、携帯端末6は、赤外線センサ20、前面カメラ22、及び赤外線照射部24を備える。携帯端末6は、外部ネットワーク8に繋がる。
【0074】
外部ネットワーク8は、例えば、インターネットであり、インタフェース装置10を介して携帯端末6と接続する。リハビリテーション支援システム2’も、携帯端末6で稼働するネイティブアプリであってよく、よって、携帯端末6は、外部ネットワーク8に接続するアプリストアサーバ4からリハビリテーション支援システム2’に係るアプリケーションプログラムをダウンロードすることにより、携帯端末6においてリハビリテーション支援システム2’を構築し得る。
【0075】
図9に示す携帯端末6も、インタフェース装置10、処理回路12、及びメモリ14を備える。これらのインタフェース装置10、処理回路12、及びメモリ14は、いずれも、第1及び第2の実施形態における携帯端末6と同様のものである。
【0076】
更に、第3の実施形態に係る携帯端末6の処理回路12も、第1及び第2の実施形態と同様に、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係る画像データに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて多数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。ここでの顔認識システムも、例えば、Apple社の提供する3次元顔認証システムであるFaceIDで使用されている(Class名)「ARFacegeometry」に依るシステムであり、前面カメラ22、赤外線照射部24、及び赤外線センサ20等を用いて、リアルタイムの3次元トラッキングを行う。よって、ここでの顔認識システムも、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて1220個の所定の点を設定するものである(図2参照)。ここでの顔認識システムも、「ARFacegeometry」に依るものに限定されるのではなく、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて多数の点を設定し得る、顔認識のためのシステムであればよい。
【0077】
3.2.[システムの動作]
リハビリテーション支援システム2’の操作者による、リハビリテーション支援システム2’の操作、及び、それに対するリハビリテーション支援システム2’の動作を、以下説明する。
【0078】
リハビリテーション支援システム2’の操作者は、先ず、携帯端末6にてリハビリテーション支援システム2’の稼働を開始する。
【0079】
続いて、リハビリテーション支援システム2’にて、操作者の顔面の健側(及び患側)が、自動により若しくは手動により設定され得る。リハビリテーション支援システム2’によるリハビリテーションでは、顔面の部位の、患側のもののみを運動させることが中心となる。つまり、患側が動作側となり、健側が非動作側となる。
【0080】
リハビリテーションを行う顔面の部位は、目(閉眼、開眼)、口角が中心となる。以下で示すリハビリテーションも、例として、目(閉眼、開眼)、口角に対して行われるものとしている。
【0081】
3.2.1.[リハビリテーション支援システムにおける動作判定]
例えば、患側が右側であるとき、リハビリテーション支援システム2’は、携帯端末6のディスプレイ面に(図10に示すように)「右目だけを閉じて下さい」と表示する。表示に合わせるように、リハビリテーション支援システム2’の操作者は動作を行おうとする。ここで、リハビリテーション支援システム2’により右目が十分に動作していると判定されれば、リハビリテーション支援システム2’のディスプレイ面に、例えば「適切に閉眼できています」と表示される(図10(1)参照。)。このように、特定の部位の動作が十分・適切であるような場合、リハビリテーション支援システム2’における携帯端末6の処理回路12は、以下の評価値算出及び動作判定処理を行う。以下の「評価値算出」の処理は、第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2における携帯端末6の処理回路12が実行する[評価値算出処理]と同じものである。よって、下記[2]で算出される平均左右比率は、その特定の部位の運動の評価値である(但し、部位の健側ではなく、部位の非運動側が基準となる)。特定の部位の動作が十分・適切であるということは、算出された平均左右比率が所与の動作閾値より大きい(ステップ(3))ということである。また、図10に示す例では、特定の部位は「目」である。処理回路12は、ステップ[3]にて発する第1の通知に従って、インタフェース装置10を介して動作が適切である旨(例えば、「適切に閉眼できています」)を表示する。図11Cは、以下の評価値算出及び動作判定処理を表すフローチャートを示す図である。
【0082】
[評価値算出及び動作判定処理]
[1]顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)。
[1-1]顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)。
[1-2]測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)。
[2]前記ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップ(2)。
[3]算出した平均左右比率が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(3)。
【0083】
上述の評価値算出及び動作判定処理にて、顔面の特定の部位は、前述のように、目、口角などである。また、「所定の短時間」は、簡易な顔面運動を行うのに十分な時間であり、例えば、3秒や、5秒などである。
【0084】
更に、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値の例は、第1の実施形態においても説明したように、以下の(2-1)、(4-1)、(4-2)、(4-3)、(4-4)の通りである。
((2)特定の部位が「目」である場合)
(2-1)眼瞼内部の面積の、閉眼時である最縮小時と、開眼時である安静時との差異。
((4)特定の部位が「口角」である場合)
(4-1)口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値。
(4-2)口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値。
(4-3)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異。
(4-4)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異
【0085】
上述(2-1)、(4-1)~(4-4)の、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値(の最大値)の例については、[第1の実施形態]の[変動値の最大値の例に関する説明]~[変動値の最大値の例に関する説明・終了]にて説明している。
【0086】
3.2.2.[リハビリテーション支援システムにおける注意通知]
また、「右目だけを閉じて下さい」との表示に合わせるようにリハビリテーション支援システム2’の操作者が動作を行おうとする際、リハビリテーション支援システム2’により右の口角が動作してしまっている(連動している)と判定されれば、リハビリテーション支援システム2’のディスプレイ面に、例えば「口も同時に動いてしまっています」と表示される(図10(2)参照。)。このように、リハビリテーションの対象である第1の特定の部位とは異なる、第2の特定の部位が連動してしまっているような場合、リハビリテーション支援システム2’における携帯端末6の処理回路12は、以下の評価値算出及び注意通知処理を行う。以下の「評価値算出」の処理は、上述の、本実施形態(第3の実施形態)に係るリハビリテーション支援システム2’における携帯端末6の処理回路12が実行する[評価値算出及び動作判定処理]の評価値算出と同じものである。よって、下記[2]で算出される平均左右比率は、その第2の特定の部位の運動の評価値である。第2の特定の部位が連動してしまっている、即ち、相応の連動が生じている、ということは、算出された平均左右比率が所与の非静止閾値より大きい(ステップ(4))ということである。また、図10(2)に示す例では、第2の特定の部位は「口角」である。処理回路12は、ステップ[4]にて発する第2の通知に従って、インタフェース装置10を介して他の部位の連動が発生しているという注意通知(例えば、「口も同時に動いてしまっています」)を表示する。図11Dは、以下の評価値算出及び注意通知処理を表すフローチャートを示す図である。
【0087】
[評価値算出及び注意通知処理]
[1]第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位について、前記顔面の第2の特定の部位に関する、一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)。
[1-1]顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)。
[1-2]測定した変動値の最大値の、前記第2の特定の部位についての非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)。
[2]前記ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップ(2)。
[4]算出した平均左右比率が所与の非静止閾値より大きければ、非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(4)。
【0088】
上述の評価値算出及び注意通知処理にて、顔面の第1の特定の部位が目であるとき、顔面の第2の部位、即ち、連動しやすい部位は、口角、眉などである。顔面の第1の特定の部位が口角であるとき、顔面の第2の部位、即ち、連動しやすい部位は、目、眉などである。また、「所定の短時間」は、簡易な顔面運動を行うのに十分な時間であり、例えば、3秒や、5秒などである。
【0089】
更に、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の最大値の例は、第1の実施形態においても説明したように、以下の(1-1)、(1-2)、(2-1)、(4-1)、(4-2)、(4-3)、(4-4)の通りである。
((1)第2の特定の部位が「眉」である場合)
(1-1)眉の近傍の所定の複数組の2点についての、2点間距離の合計値が最大となった時の、合計距離。
(1-2)眉の近傍の所定の複数点についての最大移動速度。
((2)第2の特定の部位が「目」である場合)
(2-1)眼瞼内部の面積の、閉眼時である最縮小時と、開眼時である安静時との差異。
((4)第2の特定の部位が「口角」である場合)
(4-1)口角の近傍の所定の複数点の、合計の移動距離の最大値。
(4-2)口角の近傍の所定の複数点の、平均移動速度の最大値。
(4-3)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、口角の近傍の所定の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異。
(4-4)正中線上の眉間の点及び鼻頭の点と、正中線上の口唇の点とによる、角度の、安静時と口角挙上運動中との差異
【0090】
上述(1-1)~(1-2)、(2-1)、(4-1)~(4-4)の、顔面の(第2の)特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値(の最大値)の例については、[第1の実施形態]の[変動値の最大値の例に関する説明]~[変動値の最大値の例に関する説明・終了]にて説明している。
【0091】
[結果のメッセージの出力・表示について]
第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、動作判定処理の結果の評価メッセージ、及び、注意通知処理の結果の注意メッセージをディスプレイ面に表示することができる。
【0092】
図10(1)に示すように、顔面の特定の部位である右目の動作が十分・適切である場合、ディスプレイ面に「適切に閉眼できています」と表示される。このとき同時に、適切な動作をしている右目全体に円を付して表示することもできる。
【0093】
また、図10(2)に示すように、顔面の特定の部位とは異なる、第2の特定の部位である右の口角にて連動が生じている場合、ディスプレイ面に「口も同時に動いてしまっています」と表示される。このとき同時に、連動が生じている右の口角全体に円領域を付して表示することもできる。
【0094】
3.3.[まとめ]
第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、
インタフェース装置10と、処理回路12とを含む。処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、前記処理回路は、顔面の特定の部位の、患側の動作を指示するメッセージをインタフェース装置10を介して示している。
更に、処理回路12は、
(1)顔面の特定の部位について、前記顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
(3)算出した平均左右比率が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(3)と
を実行するものである。
【0095】
また、第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、
インタフェース装置10と、処理回路12とを含む。処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路12は、顔面の第1の特定の部位の、患側の動作を指示するメッセージをインタフェース装置を介して示している。
更に、処理回路12は、
(1)第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位について、前記顔面の第2の特定の部位に関する、一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、以下のサブステップ(1-1)とサブステップ(1-2)を実行するステップ(1)と、
(1-1)顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ(1-1)、
(1-2)測定した変動値の最大値の、前記第2の特定の部位についての非運動側を基準とする左右比率を算出するサブステップ(1-2)、
(2)前記ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップ(2)と、
(4)算出した平均左右比率が所与の非静止閾値より大きければ、非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(4)と
を実行するものである。
【0096】
第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、顔の各器官や部位の短時間における動作を左右比という観点から適切に評価する機能を利用して、顔面の器官のリハビリテーションを実効的に行うことができる。
【0097】
4.[第4の実施形態]
第3の実施形態に続いて、本開示の好ましい第4の実施形態を開示する。第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システムは、第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システムと略同様のものである。従って、両者の差異を中心に以下説明する。
【0098】
4.1.[システム構成]
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、図9に示す第3の実施形態に係るリハビリテーション支援システムと同様のシステム構成を備える。
【0099】
4.2.[システムの動作]
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’の操作者による、リハビリテーション支援システム2’の操作、及び、それに対するリハビリテーション支援システム2’の動作を、第3の実施形態と第4の実施形態との差異を中心に、以下説明する。
【0100】
リハビリテーション支援システム2’の操作者は、先ず、携帯端末6にてリハビリテーション支援システム2’の稼働を開始させる。
【0101】
4.2.1.[リハビリテーション支援システムにおける動作判定]
リハビリテーション支援システム2’は、携帯端末6のディスプレイ面に『顔面の特定の部位を動作せよ』という旨を表示する。表示に合わせるように、リハビリテーション支援システム2’の操作者は動作を行おうとする。ここで、リハビリテーション支援システム2’により特定の部位が十分に動作していると判定されれば、リハビリテーション支援システム2’のディスプレイ面に、例えば『顔面の特定の部位が十分に動いている』という旨が表示される。このように、特定の部位の動作が十分・適切であるような場合、リハビリテーション支援システム2’における携帯端末6の処理回路12は、以下の[変動値測定及び動作判定処理]を行う。図11Eは、以下の変動値測定及び動作判定処理を表すフローチャートを示す図である。以下の「変動値測定」の処理は、第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2における携帯端末6の処理回路12が実行する[変動値測定処理]と同じものである。特定の部位の動作が十分・適切であるということは、測定された測定値が所与の動作閾値より大きい(ステップ(2))ということである。処理回路12は、ステップ(2)にて発する第1の通知に従って、インタフェース装置10を介して動作が適切である旨(例えば、『顔面の特定の部位が十分に動いている』という旨)を表示する。
【0102】
[変動値測定及び動作判定処理]
[1]顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)。
[2]測定した変動値が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(2)。
【0103】
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’における、上述の変動値測定処理にて、顔面の特定の部位は、例えば、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、頸部、下顎などである。また、「所定の短時間」は、簡易な顔面運動を行うのに十分な時間であり、例えば、4秒や、6秒などである。
【0104】
更に、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される変動値は、例えば、・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度、
・顔面の特定の部位に関する所定の複数点により形成される面積の変動、
・顔面の特定の部位に関する所定の3点により形成される角度の変動、
等である。
【0105】
なお、上述のように、図4図8は、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の例を示している。
【0106】
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、複数の、顔面の特定の部位について、同時に[変動値測定処理]を行うことができる。更に、第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、或る顔面の特定の部位に関して、複数の変動値(例えば、「顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離」と、「顔面の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度」)を同時に測定するように並行して[変動値測定処理]を行うことができる。
【0107】
4.2.2.[リハビリテーション支援システムにおける注意通知]
また、『顔面の特定の部位を動作せよ』という旨の表示に合わせるようにリハビリテーション支援システム2’の操作者が動作を行おうとする際、リハビリテーション支援システム2’により、別の特定の部位が動作してしまっている(連動している)と判定されれば、リハビリテーション支援システム2’のディスプレイ面に、例えば『顔面の別の特定の部位も動いてしまっている』という旨が表示される。リハビリテーションの対象である第1の特定の部位とは異なる、第2の特定の部位が連動してしまっている場合、リハビリテーション支援システム2’における携帯端末6の処理回路12は、以下の[変動値測定及び注意通知処理]を行う。図11Fは、以下の変動値測定及び注意通知処理を表すフローチャートを示す図である。以下の「変動値測定」の処理は、上述の、本実施形態(第4の実施形態)に係るリハビリテーション支援システム2’における携帯端末6の処理回路12が実行する[変動値測定及び動作判定処理]の変動値測定と同様のものである。第2の特定の部位が連動してしまっている、即ち、相応の連動が生じている、ということは、測定された変動値が所与の非静止閾値より大きい(ステップ(2))ということである。処理回路12は、ステップ(2)にて発する第2の通知に従って、インタフェース装置10を介して他の部位の連動が発生しているという注意通知(例えば、『顔面の別の特定の部位も動いてしまっている』という旨)を表示する。
【0108】
[変動値測定及び注意通知処理]
[1]第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)。
[2]測定した変動値が所与の非静止閾値より大きければ、非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(2)。
【0109】
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’における、上述の変動値測定及び注意通知処理にて、顔面の第2の特定の部位は、リハビリテーションの対象である第1の特定の部位とは異なる部位であり、且つ、例えば、右眉、左眉、右目、左目、右頬、左頬、右口角、左口角、右鼻翼、左鼻翼、口唇、頸部、下顎などである。また、「所定の短時間」は、簡易な顔面運動を行うのに十分な時間であり、例えば、4秒や、6秒などである。
【0110】
更に、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定される変動値は、例えば、
・顔面の第2の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離、
・顔面の第2の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度、
・顔面の第2の特定の部位に関する所定の複数点により形成される面積の変動、
・顔面の第2の特定の部位に関する所定の3点により形成される角度の変動、
等である。
【0111】
なお、上述のように、図4図8は、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の例を示している。
【0112】
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、複数の、顔面の特定の部位について、同時に[変動値測定及び注意通知処理]を行うことができる。更に、第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、或る顔面の第2の特定の部位に関して、複数の変動値(例えば、「顔面の第2の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動距離」と、「顔面の第2の特定の部位に関する所定の複数点の平均移動速度」)を同時に測定するように並行して[変動値測定及び注意通知処理]を行うことができる。
【0113】
[結果のメッセージの出力・表示について]
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、動作判定処理の結果の評価メッセージ、及び、注意通知処理の結果の注意メッセージをディスプレイ面に表示することができる。まず、例えば、顔面の特定の部位(「部位A」とする。)の動作が十分・適切である場合、ディスプレイ面に「部位Aが適切に動作しています」と表示される。また、顔面の特定の部位(部位A)とは異なる、第2の特定の部位(「部位B」とする。)にて連動が生じている場合、ディスプレイ面に「部位Bも同時に動いてしまっています」と表示される。
【0114】
4.3.[まとめ]
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、インタフェース装置10と、処理回路12とを含む。処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路12は、顔面の特定の部位の動作を指示するメッセージをインタフェース装置10を介して示している。更に、処理回路12は、
(1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)と、
(2)測定した変動値が所与の動作閾値より大きければ、動作していることを示す第1の通知を発するステップ(2)と
を実行するものである。
【0115】
また、第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、インタフェース装置10と、処理回路12とを含む。処理回路12は、インタフェース装置10を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。更に、処理回路は、顔面の第1の特定の部位の動作を指示するメッセージをインタフェース装置10を介して示している。更に、処理回路12は、
(1)第1の特定の部位とは異なる、顔面の第2の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するステップ(1)と、
(2)測定した変動値が所与の非静止閾値より大きければ、非静止であることを示す第2の通知を発するステップ(2)と
を実行するものである。
【0116】
第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、顔の各器官や部位の短時間における動作を変動値(変動量)という観点から適切に把握する機能を利用して、顔面の器官のリハビリテーションを実効的に行うことができる。
【0117】
5.[他の実施形態]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、第1の実施形態と第2の実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0118】
第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、顔面の全点(例えば、本開示では122点)の個々について、所定の短時間内での、移動距離、及び、平均移動速度を計測することもできる。顔面の全点について移動距離を加算する、若しくは、加算平均を採ることにより、顔面全体での運動の値を算出することができる。
【0119】
第1及び第2の実施形態に係る顔面運動評価システム2、及び、第3及び第4の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、いずれも、顔面の部位の動作に係るデータを、経時的に保存することができる。それら経時的に保存されるデータを用いて、第1の実施形態に係る顔面運動評価システム2は、顔面の動作の経時的変化の評価を行うことができる。また、第2の実施形態に係るリハビリテーション支援システム2’は、それら経時的に保存されるデータを用いて、リハビリテーションの経時的な効果の有無を判断することができる。
【0120】
また、実施形態を説明するために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0121】
また、上述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【符号の説明】
【0122】
2・・・顔面運動評価システム、2’・・・リハビリテーション支援システム、4・・・アプリストアサーバ、6・・・携帯端末、8・・・外部ネットワーク、10・・・インタフェース装置、12・・・処理回路、14・・・メモリ。
【要約】
【課題】顔の器官の短時間の動作を適切に評価する顔面運動評価システムを開示する。
【解決手段】システムはインタフェース装置と処理回路とを含む。処理回路は、インタフェース装置を介して取得される顔面に係るデータに基づき、顔表面にて顔自体を基準として構成される3次元相対座標系にて複数の所定の点を設定する顔認識システムを稼働させている。処理回路は、(1)顔面の特定の部位について、顔面の特定の部位に関する一つ以上の点を用いて測定され得る変動値の全てに亘って、(1-1)顔面の特定の部位に関する一つ以上の点についての所定の短時間内での変動値を測定するサブステップ及び(1-2)測定した変動値の最大値の、前記特定の部位についての健側を基準とする左右比率を算出するサブステップを、実行するステップと、(2)ステップ(1)にて算出された、左右比率についての平均左右比率を算出するステップと、を実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F