(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体デバイス、製造方法およびベースプレート
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02208 20210101AFI20240524BHJP
H01S 5/02224 20210101ALI20240524BHJP
H01S 5/02255 20210101ALI20240524BHJP
【FI】
H01S5/02208
H01S5/02224
H01S5/02255
(21)【出願番号】P 2023504295
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2021069736
(87)【国際公開番号】W WO2022017905
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】102020119192.8
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021103863.4
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェアク エーリヒ ゾアク
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ヒュッティンガー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン シュトラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヘアベアト ブルナー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヴァーグナー
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-151705(JP,A)
【文献】特開2011-222628(JP,A)
【文献】特開平05-198697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0041909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/02208
H01S 5/02224
H01S 5/02255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)であって、当該オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)は、
・放射(R)を生成するための少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ(2)と、
・少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)が内部で気密にカプセル化されているハウジング(3)と
を備え、
・前記ハウジング(3)はハウジングカバー(31)を含み、前記ハウジングカバー(31)は、接合手段(5)によってハウジングボディ(32)に取り付けられており、
・前記ハウジング(3)はガス交換ダクト(4)を含み、
・前記ガス交換ダクト(4)は、シール(7)によって気密に閉鎖されており、
・前記ハウジングボディ(32)は、前記放射(R)に対し非透過性のベースプレート(33)を、少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)のための支持体として含み、前記ベースプレート(33)には両面に金属製電気接続領域(6)が設けられており、前記ハウジングカバー(31)は、前記放射(R)のための放射出射窓として構成されており、
・前記ガス交換ダクト(4)は電気的にかつ光学的に機能せず、
・前記ガス交換ダクト(4)は、前記ベースプレート(33)内に設けられていて金属化部(42)を含み、前記金属化部(42)は、前記ベースプレート(33)のハウジング下面(35)上に延在し、少なくとも前記ハウジング下面(35)において前記電気接続領域(6)よりも薄く、これによって前記電気接続領域(6)は前記ハウジング下面(35)において、前記ハウジングボディ(32)から離れる方向で前記ガス交換ダクト(4)および前記シール(7)よりも突出している、
オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(3)は、正確に1つのガス交換ダクト(4)を含む、請求項1記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項3】
前記ガス交換ダクト(4)は、前記ハウジングボディ(32)の実装面(30)を上から見た平面図では、少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)の側方に設けられている、請求項1または2記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項4】
前記ハウジングボディ(32)は、前記ハウジングカバー(31)と向き合った面に支持体リング(34)を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項5】
前記シール(7)は、低融点ガラスを含むかまたは低融点ガラスであり、前記低融点ガラスは、最高500℃の融点を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項6】
前記シール(7)は、金、ガリウム
、またはガリウムとインジウム
との混合物から成る、請求項1から
4までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項7】
前記シール(7)は、金属はんだを含むかまたは金属はんだから成る、請求項1から
4までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項8】
前記シール(7)は、支持体プレート(71)と密閉層(72)とを含み、これによって前記密閉層(72)は、前記支持体プレート(71)と前記金属化部(42)との間に設けられている、請求項1から
6までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項9】
前記ガス交換ダクト(4)の平均直径は、少なくとも10μmであり最大で0.2mmであり、前記ハウジング(3)の厚さは、前記ガス交換ダクト(4)のすぐ近くでは、前記ガス交換ダクト(4)の平均直径を少なくとも2倍上回り、前記ガス交換ダクト(4)は、一部だけまたは完全に前記シール(7)によって埋められている、請求項1から8までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項10】
赤色、緑色および青色を生成するためのレーザモジュールであり、表面実装可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項11】
前記ガス交換ダクト(4)は、円筒体、切頭円錐体または二重円錐体として形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項12】
前記ハウジングカバー(31)はガラスから成り、前記ハウジングボディ(32)は少なくとも1つのセラミックをベースとしており、前記ハウジング(3)内には、前記放射(R)のための少なくとも1つの光学系(8)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項13】
ハウジング(3)を備えたオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)を製造する方法であって、請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)を製造するものであり、以下のステップを含む、すなわち、
A)少なくとも1つのガス交換ダクト(4)を有するハウジングボディ(32)に、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ(2)を装着するステップと、
B)前記ハウジングボディ(32)にハウジングカバー(31)を取り付けるステップと、
D)前記ガス交換ダクト(4)をシール(7)により閉鎖して、前記ハウジング(3)を気密封止するステップと
を含む、
オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)を製造する方法。
【請求項14】
前記ステップD)は以下のステップを含む、すなわち、
D1)前記ガス交換ダクト(4)の内面(41)を金属化部(42)によって被覆するステップと、
D2)少なくとも1つの液体合金金属(43)を前記ガス交換ダクト(4)内に取り込み前記金属化部(42)にもたらすステップと、
D3)シール(7)が形成されるように硬化させるステップであって、少なくとも1つの前記合金金属(43)を前記金属化部(42)と反応させて、少なくとも1つの前記合金金属(43)よりも高い融点を有する閉鎖合金(44)を形成するステップと
を含む、
請求項1から4,6,7および9から12までのいずれか1項を引用する請求項13記載の方法。
【請求項15】
・前記金属化部(42)は、金および/または銅を含むかまたは金および/または銅から成り、
・前記合金金属(43)は、水銀および/またはガリウムを含むかまたは水銀および/またはガリウムから成り、
・前記硬化を15℃以上150℃以下の温度で実施し、少なくとも2時間継続させる、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)を製造するものであり、以下のプロセスステップを含み、すなわち、
A)前記ハウジングボディ(32)に少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)を装着するステップと、
B)前記ハウジングボディ(32)に前記ハウジングカバー(31)を取り付けるステップであって、前記接合手段(5)を処理するための第1の雰囲気(A1)を前記ハウジング(3)内に存在させるステップと、
C)前記ハウジング(3)内の前記第1の雰囲気(A1)を、開放されている前記ガス交換ダクト(4)を通して第2の雰囲気(A2)と置き換えるステップと、
D)前記ガス交換ダクト(4)を前記シール(7)で閉鎖して、前記ハウジング(3)を気密封止するステップと
を含み、前記プロセスステップを記載順に実施する、
請求項13から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記第1の雰囲気(A1)は保護ガス雰囲気であり、前記第2の雰囲気(A2)は酸素を含有する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)のためのベースプレート(33)であって、
・前記ベースプレート(33)は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ(2)のための支持体として構成されており、
・前記ベースプレート(33)には両面に、少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)を電気的に結線するための金属製電気接続領域(6)が設けられており、
・当該ベースプレート(33)内にガス交換ダクト(4)が設けられており、前記ガス交換ダクト(4)は金属化部(42)を含み、
・少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)のための実装面(30)とは反対側に位置する、当該ベースプレート(33)の下面(35)において少なくとも、前記金属化部(42)は前記電気接続領域(6)よりも薄く、
・前記電気接続領域(6)は前記下面(35)において、当該ベースプレート(33)から離れる方向で前記ガス交換ダクト(4)よりも突出しており、
・前記ガス交換ダクト(4)は、前記実装面(30)を上から見た平面図では、少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(2)のために設けられた領域の側方に設けられており、前記電気接続領域(6)から電気的に絶縁されており、
・前記ガス交換ダクト(4)は前記下面(35)において、最大で1%の割合を有し、
・当該ベースプレート(33)は可視光に対し非透過性であり、
・前記ガス交換ダクト(4)は電気的かつ光学的に機能しない、
オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)のためのベースプレート(33)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプトエレクトロニクス半導体デバイスに関する。さらに本発明は、かかるオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造する方法に関する。さらに本発明は、かかるオプトエレクトロニクス半導体デバイスのためのベースプレートに関する。
【0002】
解決すべき課題は、耐用期間が長いオプトエレクトロニクス半導体デバイスを提示することである。
【0003】
この課題は特に、独立請求項の特徴を備えたオプトエレクトロニクス半導体デバイス、製造方法およびベースプレートによって解決される。従属請求項には好ましい発展形態が記載されている。
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは1つまたは複数のオプトエレクトロニクス半導体チップを含む。少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、特に可視光である放射を生成するように構成されている。複数のオプトエレクトロニクス半導体チップが設けられているならば、それらは好ましくは、それぞれ異なる波長の放射を生成するために、つまり特に青色、緑色および赤色の光を生成するために用いられ、したがってオプトエレクトロニクス半導体チップの動作を制御して様々な色の光を放出させることができる。少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、好ましくはレーザダイオードであるが、発光ダイオード、略してLED、またはレーザダイオードと発光ダイオードとの組み合わせを使用することもできる。
【0005】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体デバイスはハウジングを含む。少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体デバイスは、このハウジング内にカプセル化されている。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングは気密封止されており、したがって少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、気密にカプセル化されてハウジング内に収容されている。つまりハウジングの内部と外部との間で、酸素、窒素または水蒸気といった物質の大幅な交換は行われない。気密封止とはたとえば、ハウジングの漏れ率が、特に室温において、最大で5×10-9Pa・m3/sまたは最大で5×10-8Pa・m3/sまたは最大で5×10-7Pa・m3/sである、ということを意味する。これによって、半導体デバイスの長い耐用期間を達成することができる。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングはハウジングカバー、特に正確に1つのハウジングカバーを含む。たとえばガラスから成るハウジングカバーは、接合手段によってハウジングのハウジングボディに取り付けられている。ハウジングボディはたとえば、1つまたは複数のセラミックをベースとしており、あるいは少なくとも1つの半導体材料または少なくとも1つの金属をベースともしている。この接合手段はたとえば、金属はんだまたはガラスはんだといったはんだであるか、または択一的に有機材料をベースにすることができる接着剤でもある。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングはガス交換ダクトを含む。ガス交換ダクトは、開放された状態においてハウジング内部のキャビティと外部周囲との間のガス交換を可能にするように構成されている。ガス交換ダクトは好ましくは、半導体デバイスの製造中しか必要とされず、したがって完成した半導体デバイスにおいて機能しなくてよい。ガス交換ダクトは特に、ハウジングの全体寸法に比べて小さい。
【0009】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは、1つまたは複数のシールによって気密に閉鎖されている。つまりハウジングの気密封止は製造プロセスの枠内で、特にガス交換ダクトをシールにより閉鎖することによって初めて達成される。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体デバイスは、放射を生成するための少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップと、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップが内部で気密にカプセル化されているハウジングとを含む。ハウジングはハウジングカバーを含み、これは接合手段によってハウジングボディに取り付けられている。さらにハウジングはガス交換ダクトを含み、これはシールによって気密に閉鎖されている。
【0011】
RGBレーザモジュールなどの半導体デバイスは好ましくは、不活性ガス雰囲気内またはフォーミングガス雰囲気内に収容され、しかもその中で動作させられる。つまりこのようにした場合には、半導体デバイスの周囲を取り囲んで、好ましくは酸素不含かつ水不含の、または実質的に酸素不含かつ水不含の雰囲気が存在する。しかしながらハウジング内部において、特にレーザファセットのところで、オプトエレクトロニクス半導体チップから送出されるレーザ放射の光出射領域内に、好ましくは酸素含有雰囲気が発生させられている。
【0012】
つまりオプトエレクトロニクス半導体チップが高品質でカプセル化されていないと、時間が経過するにつれてハウジング内部の酸素の割合が減少し、このことによって耐用期間が短くなるおそれがある。よって、半導体デバイスの耐用期間全体にわたってハウジング内で酸素を十分に保持する目的で、動作開始時にキャビティ内の酸素含有量が比較的高くなるようにしておかなければならない。
【0013】
他方、温度が高められたときに接合手段が酸化するのを阻止する目的で、ハウジングをシーリングするときには好ましくは、酸素不含の雰囲気または酸素含有量が少ない雰囲気が存在している。かかる酸化は、はんだ付け品質の低下ひいてはハウジングの密閉性の低下および/またははんだ付け時の歩留まりの低下をもたらすおそれがある。
【0014】
したがって半導体デバイスの動作中と製造中とで、雰囲気に対し異なる要求が課される。本明細書で説明する半導体デバイスにおけるガス交換ダクトを用いることによって、ハウジングを組み立てる際と最終的な動作中とで、互いに独立してそれぞれ異なる雰囲気を準備することができ、その結果、ハウジングの密閉性の向上とオプトエレクトロニクス半導体チップの耐用期間の増加とを達成可能とすることができる。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジング内には、正確に1つのガス交換ダクトだけしか取り付けられていない。これにより達成されるのは、ハウジングの密閉性がガス交換ダクトのシールによってもほとんど損なわれない、ということである。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは、電気的にかつ光学的にかつ好ましくは機械的にも機能しない。つまりガス交換ダクトは、さらにそれに付随してシールも、半導体デバイスの規定どおりの動作中、ハウジングの密閉保持を除けば、動作に関連する機能を果たさない。特に、動作中に生成された放射の成分は、ガス交換ダクトおよびシールに全く衝突しないかまたはほとんど衝突せず、また、ガス交換ダクトおよびシールを介して電流は全く流れないかほとんど流れず、好ましくは接地電位とは異なる特定の電圧も加わらない。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングボディはベースプレートを含み、これは好ましくは動作中に生成される放射線に対して非透過性である。ベースプレートは、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップのための支持体として用いられる。つまりベースプレートは、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップのための実装面を成している。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、ベースプレートの少なくとも1つの主面に、好ましくは両面に、金属製電気接続領域が設けられている。接続領域はたとえば、電気導体路および/または電気コンタクト面として形成されている。特に接続領域は、はんだ付けによる接触接続のために、かつ/またはボンディングワイヤを取り付けるために構成されている。
【0019】
ベースプレートのそれぞれ異なる面の対応する接続領域は好ましくは、ビアとも称される電気スルーホールを介して、互いに電気的に接続されている。ここで考えられるのは、実装面を上から見た平面図では、スルーホールをベースプレートのもっぱら内部にしか設けず、つまりベースプレートの電気絶縁材料により周囲全体を取り囲むようにすることである。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングカバーは、動作中に生成された放射のための放射出射窓として構成されている。この目的でハウジングカバーには、1つまたは複数の光学的に作用するコーティングを設けることができ、たとえば反射防止コーティングおよび/または光学フィルタ層を設けることができる。さらにハウジングカバーを、少なくとも部分的に光学系として形成することができ、したがってハウジングカバーをたとえばレンズとして作用させることができる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトはベースプレート内に設けられており、特にもっぱらベースプレート内にしか設けられていない。つまりガス交換ダクトは、後で半導体デバイスが取り付けられた状態ではもはや見えないハウジング下面にあるものとすることができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは1つまたは複数の金属化部を含む。好ましくは、少なくとも1つの金属化部は、少なくともハウジング下面において電気接続領域よりも薄い。つまり特にハウジング下面における電気接続領域は、ハウジングボディから離れる方向でガス交換ダクトおよびシールよりも突出している。択一的に電気接続領域は、シールと同一平面上で終端しているか、またはガス交換ダクトとも同一平面上で終端している。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは、実装面を上から見た平面図では、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップの側方に設けられている。これにより、ガス交換ダクトにより半導体チップに及ぼされる立体的な影響が阻止され、または最小限に抑えられる。好ましくは、ガス交換ダクトは、しかも電気接続領域の側方に位置しており、かつ/または電気接続領域から電気的に絶縁されている。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトはハウジングカバー内に設けられており、特にハウジングカバー内にしか設けられていない。この場合、ガス交換ダクトは好ましくは、放射の影響を阻止するかまたは最小限に抑える目的で、動作中に生成される放射の放射経路に対し離間されて配置されている。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングボディは、ハウジングカバーと向き合った面に1つまたは複数の支持体リングを含む。かくして少なくとも1つの支持体リングは、ハウジングボディとハウジングカバーとの間のスペーサとして作用する。支持体リングの幾何学形状および/または支持体リングの個数によって、ハウジング内のキャビティの高さを効率的に調整することができる。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは支持体リング内に設けられており、特にもっぱら支持体リング内にしか設けられていない。ガス交換ダクトのかかる配置によって、ハウジングの横方向の広がりを、特にベースプレートのサイズを、低減可能とすることができる。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、シールは低融点ガラスを含むか、または低融点ガラスから成る。低融点ガラスは好ましくは、最高で500℃または最高で400℃または最高で350℃の融点を有する。ガラスはたとえばガラスはんだである。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、シールは、金属または金属合金を含むか、または少なくとも1つの金属または少なくとも1つの金属合金から成る。特にシールは、金を含むかまたは金から成る。このケースではシールはたとえば、ボンディングワイヤのためのスタッドバンプから、またはたとえば摩擦溶接によって、たとえばサーモソニックボンディングによって、取り付けられた金の小プレートから、形成されている。これが適用されるのは特に、ガス交換ダクトが金属化部を有する場合である。
【0029】
さらに考えられるのは、シールは金合金から成るかまたは金合金を含み、たとえばAuGa2を含み、またはAu,GaおよびInを有する合金を含むようにすることである。これに加えて考えられるのは、シールはCu,Ni,Zn,SnをHgとの組み合わせで含むか、またはこれらから成るようにすることである。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、シールは金属はんだであり、または金属はんだから成る。はんだはたとえば、AuSnのような軟質はんだである。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、シールは支持体プレートおよび密閉層を含み、または支持体および密閉層から成る。この場合、密閉層は、支持体プレートとガス交換ダクトとの間に設けられている。密閉層は、特に金のように摩擦溶接可能な金属から成り、あるいは金属はんだまたはガラスはんだからも成る。密閉層を、支持体プレート上に面全体にわたり取り付けることができ、またはフレームとして支持体プレートの周縁部だけに設けることができ、または択一的に、支持体プレートの中央領域だけに設けることもできる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトの平均直径は、少なくとも2μmまたは少なくとも5μmまたは少なくとも10μmまたは少なくとも20μmである。択一的にまたは付加的に、平均直径は、最大で0.4mmまたは最大で0.2mmまたは最大で0.1mmまたは最大で0.05mmである。たとえば平均直径は、2μm以上200μm以下または5μm以上80μm以下または20μm以上80μm以下である。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングの厚さは、ガス交換ダクトのすぐ近くでは、ガス交換ダクトの平均直径を少なくとも2倍または少なくとも4倍上回っている。つまりハウジングの厚さに対し相対的に、特にベースプレート、支持体リングまたはハウジングカバーの厚さに対し相対的に、ガス交換ダクトは細い。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは部分的に、たとえば少なくとも5%まで、かつ/または最大で50%まで、または最大で20%まで、シールによって埋められている。つまりガス交換ダクトの大部分には、シールを設けなくてよい。
【0035】
択一的に、シールはガス交換ダクトを覆っているだけであり、ガス交換ダクトを埋めておらず、あるいは末端だけしか埋めておらず、たとえば最大で1%まで、または最大で5%まで、または最大で10%まで、埋めている。さらに択一的に、シールは、ガス交換ダクトを完全に埋めることができ、またはほぼ完全に、たとえば少なくとも90%まで、または95%まで、埋めることができる。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体デバイスは、赤色、緑色および青色の光を生成するためのレーザモジュールであり、つまりRGBモジュールである。したがって半導体デバイスは好ましくは、互いに独立して動作を制御可能でありそれぞれ異なる色で発光する複数のレーザダイオードを含む。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは表面実装可能である。つまりハウジングは、SMTすなわちSurface Mount Technologyを用いて、プリント基板のような外部の接続支持体に取り付け可能である。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトは、円筒体、切頭円錐体または二重円錐体として形成されている。好ましくは、ガス交換ダクトは、円筒形の形状または切頭円錐台の形状を有する。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングカバーはガラス、セラミックまたはサファイアから成る。この場合、ハウジングカバーは、好ましくは一体的に形成されている。択一的に、ハウジングカバーを複数の構成要素から構成することができ、たとえばガラスまたはサファイアから成る放射出射窓と組み合わせて、セラミックプレートから構成することができる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、ハウジングボディは、1つのセラミックまたは複数のセラミックをベースとしている。たとえばハウジングボディは、AlNから成るベースプレートと、AlNまたはAl2O3から成る支持体リングとを含む。ハウジングボディが少なくとも1つのセラミックをベースとしている、ということによって表すことができるのは、ハウジングボディの唯一の電気絶縁性の材料が、この少なくとも1つのセラミックである、ということである。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、動作中に生成される放射のための少なくとも1つの光学系が、ハウジング内に設けられている。少なくとも1つの光学系はたとえば、偏向ミラー、MEMSミラーのような可動ミラー、および/または集光レンズのような集束構成要素である。
【0042】
さらに、たとえば上述の実施形態のうちの1つまたは複数に関連して説明したようなオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するための方法が提示される。よって、オプトエレクトロニクス半導体デバイスの特徴は、この方法についても開示されており、その逆もまた同様である。
【0043】
少なくとも1つの実施形態において、この方法は、ハウジングを備えたオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するために用いられ、以下のステップを特に記載順序で含む。すなわち、
A)少なくとも1つのガス交換ダクトを有するハウジングボディに、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを装着するステップ、
B)ハウジングボディにハウジングカバーを取り付けるステップ、および
D)ガス交換ダクトをシールにより閉鎖して、ハウジングを気密封止するステップ。
【0044】
少なくとも1つの実施形態において、この方法は、オプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するために用いられ、以下のステップを好ましくは記載順序で含む。すなわち、
A)ハウジングボディに少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを装着するステップ、
B)ハウジングボディにハウジングカバーを取り付けるステップであって、接合手段を処理するための第1の雰囲気をハウジング内に存在させるステップ、
C)ハウジング内の第1の雰囲気を、開放されているガス交換ダクトを通して第2の雰囲気と置き換えるステップ、および
D)ガス交換ダクトをシールで閉鎖して、ハウジングを気密封止するステップ。
【0045】
このようにすれば、第1の雰囲気によって、ハウジングカバーとハウジングボディとの間の高品質の接合箇所を達成することができ、その後、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップの動作に最適化された第2の雰囲気をハウジング内に充填することができる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の雰囲気は、保護ガス雰囲気、不活性雰囲気および/またはフォーミングガス雰囲気である。
【0047】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の雰囲気は酸素を含有している。たとえば第2の雰囲気は、乾燥および/または浄化された空気によって形成され、これはこの場合には実質的に酸素、窒素およびアルゴンならびにCO2から成る。したがってハウジングを充填する際の第2の雰囲気の酸素の割合は、好ましくは10%以上30%以下であり、特に約21%である。第2の雰囲気の露点温度は、好ましくは最大で-60℃または-80℃であり、このため第2の雰囲気はほとんど水不含である。
【0048】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトの閉鎖には、少なくとも1つの金属化部によりガス交換ダクトの内面をコーティングすることが含まれる。たとえば金属化部は、金および/または銅を含むか、または金および/または銅から成る。金属化部を単一の金属層から形成することができる。択一的に、金属化部を複数の金属層から構成することができ、これらの金属層を交互に取り付けることもできる。金属化部が内面に限られたものとする必要はなく、したがって金属化部を任意選択的に、ガス交換ダクトにじかに接するハウジングの領域に延在させることができる。
【0049】
ハウジングボディに少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを装着する前にすでに、金属化部の形成を実施することができる。つまりステップD)の一部をステップA)の前にすでに行うことができ、ステップD)の仕上げを、ステップA)、B)および/またはC)の後に初めて実施することができる。
【0050】
少なくとも1つの実施形態によれば、金属化部は、ガス交換ダクトの平均直径の少なくとも5%または少なくとも10%または少なくとも20%である厚さを有する。択一的にまたは付加的に、この厚さは平均直径の最大で30%または最大で20%である。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトの閉鎖には、ガス交換ダクトに少なくとも1つの合金金属を取り込むことが含まれる。合金金属は、取り込む際に好ましくは液状である。これによって、少なくとも1つの合金金属が金属化部と接触し、金属化部と反応することができる。たとえば合金金属はガリウムであり、あるいは特に金ベースの金属化部のためには、ガリウムとインジウムとの混合物であり、あるいは合金金属は、特に銅、ニッケル、スズおよび/または亜鉛をベースとする金属化部のためには、水銀である。取り込みは特に室温またはほぼ室温で行われ、たとえば少なくとも15℃、または少なくとも25℃、および/または最大で75℃、または最大で55℃、または最大で40℃において行われる。好ましくは、合金金属は金属化部の材料とは異なっている。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によれば、ガス交換ダクトの閉鎖には、シールが形成されるように硬化させることが含まれており、その際に少なくとも1つの合金金属が金属化部と反応する。この硬化は特にアマルガム化である。かくして、硬化または完全に反応することによって閉鎖合金が形成され、この閉鎖合金は特に好ましくは、特にかつてはほぼ室温で液状であった少なくとも1つの合金金属よりも高い融点を有する。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によれば、硬化またはアマルガム化はほぼ室温で行われ、たとえば少なくとも15℃または少なくとも50℃または少なくとも80℃の温度で行われる。択一的にまたは付加的にこの温度は、最大で250℃または最大で150℃または最大で100℃である。
【0054】
少なくとも1つの実施形態によれば、硬化またはアマルガム化は、少なくとも1時間または少なくとも2時間または少なくとも5時間の持続時間にわたり実施される。択一的にまたは付加的に、硬化またはアマルガム化は、最大で30日または最大で5日または最大で48時間、継続する。
【0055】
ここで考えられるのは、硬化またはアマルガム化を、保護ガス雰囲気など特定のガス雰囲気、たとえば窒素またはアルゴン、によって促進させることである。さらに硬化またはアマルガム化を任意選択的に、比較的高い雰囲気圧で、または液体合金金属の液圧で行うことができる。たとえば雰囲気圧および/または液圧は、硬化中またはアマルガム化中、少なくとも一時的に1barまたは2barまたは5barを上回る。ここで考えられるのは、ガス交換ダクトが完全に閉鎖される前に、雰囲気圧を標準圧力まで減じることであり、かつ/またはガス交換ダクトが完全に閉鎖された後に液圧を増加させることである。
【0056】
さらに、上述の実施形態のうちの1つまたは複数に関連して説明したような、オプトエレクトロニクス半導体デバイスのためのベースプレートが提示される。よって、オプトエレクトロニクス半導体デバイスの特徴は、このベースプレートについても開示されており、その逆もまた同様である。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、ベースプレートは、オプトエレクトロニクス半導体デバイスのために設けられている。ベースプレートは、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップのための支持体として構成されており、このベースプレートには両側に、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを電気的に結線するための金属製電気接続領域が、設けられている。ベースプレートには、金属化部を含むガス交換ダクトが設けられている。少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップのための実装面とは反対側に位置する、ベースプレートの下面において少なくとも、金属化部は電気接続領域よりも薄い。さらに電気接続領域は下面において、ベースプレートから離れる方向でガス交換ダクトよりも突出している。ガス交換ダクトは、実装面を上から見た平面図では、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップのために設けられた領域の側方に設けられており、好ましくは電気接続領域から電気的に絶縁されている。さらにガス交換ダクトは下面において、この下面を上から見た平面図では、最大で1%または最大で0.2%の面積の割合を有する。
【0058】
本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスはたとえば、プロジェクションの用途において、または仮想現実もしくは拡張現実(英語ではVirtual RealityまたはAugmented Reality)のための眼鏡において使用される。このことは特に、気密封止されたハウジングのコンパクトな構造形式により可能となる。
【0059】
以下では、本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイス、本明細書で説明する方法、および本明細書で説明するベースプレートについて、実施例に基づき図面を参照しながらさらに詳しく説明する。その際に同じ参照符号は、個々の図面において同じ要素を表す。ただしこの場合、縮尺どおりには描かれておらず、理解しやすくするために個々の要素がむしろ誇張された大きさで描かれている場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのベースプレートを概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1によるベースプレートを概略的に示す断面図である。
【
図3】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するための方法の1つの実施例のステップを概略的に示す断面図である。
【
図4】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するための方法の1つの実施例のステップを概略的に示す断面図である。
【
図5】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するための方法の1つの実施例のステップを概略的に示す断面図である。
【
図6】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するための方法の1つの実施例のステップを概略的に示す断面図である。
【
図7】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスを製造するための方法の1つの実施例のステップを概略的に示す断面図である。
【
図8】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図9】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図10】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を概略的に示す断面図である。
【
図11】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を製造するためのプロセスステップを概略的に示す断面図である。
【
図12】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を製造するためのプロセスステップを概略的に示す断面図である。
【
図13】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を製造するためのプロセスステップを概略的に示す断面図である。
【
図14】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を製造するためのプロセスステップを概略的に示す断面図である。
【
図15】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を製造するためのプロセスステップを概略的に示す断面図である。
【
図16】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例を製造するためのプロセスステップを概略的に示す断面図である。
【
図17】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのハウジングを概略的に示す断面図である。
【
図18】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの1つの実施例を上から概略的に示す平面図である。
【
図19】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのベースプレートを概略的に示す断面図である。
【
図20】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの1つの実施例を斜め上から概略的に示す斜視図である。
【
図21】
図20のオプトエレクトロニクス半導体デバイスを概略的に示す斜視断面図である。
【
図22】
図20のオプトエレクトロニクス半導体デバイスを斜め下から概略的に示す斜視図である。
【
図23】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのハウジングを概略的に示す断面図である。
【
図24】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのハウジングを概略的に示す断面図である。
【
図25】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのハウジングを概略的に示す断面図である。
【
図26】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のための製造方法のステップを概略的に示す断面図である。
【
図27】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のための製造方法のステップを概略的に示す断面図である。
【
図28】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のための製造方法のステップを概略的に示す断面図である。
【
図29】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のための製造方法のステップを概略的に示す断面図である。
【
図30】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のための製造方法のステップを概略的に示す断面図である。
【
図31】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのガス交換ダクトを概略的に示す断面図である。
【
図32】本明細書で説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施例のためのガス交換ダクトを概略的に示す断面図である。
【0061】
図1および
図2には、オプトエレクトロニクス半導体デバイス1のためのベースプレート33の1つの実施例が示されている。ベースプレート33は好ましくは、支持構成要素としてセラミックボディ37を含む。さらに、好ましくは平坦なベースプレート33は、セラミックボディ37上に取り付けられた複数の金属製電気接続領域6を含む。接続領域6の厚さはたとえば、少なくとも30μmであり、最大で0.3mm、特に約0.1mmである。
【0062】
実装面30および反対側の下面35における対応する接続領域6は、電気スルーホール36を介して相互に接続されている。スルーホール36は、部分的または完全に特に金属によって満たされており、したがってこれらのスルーホール36は気密である。
【0063】
実装面30における最大の接続領域6は、図示されていない少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ、特にレーザダイオード、のためのコンタクト領域として設けられている。
【0064】
これに加えベースプレート33はガス交換ダクト4を含み、これはベースプレート33ひいてはセラミックボディ37を完全に貫通している。かくしてガス交換ダクト4は、ベースプレート33を貫通する貫通開口部を成している。好ましくはガス交換ダクト4は、たとえばニッケルから成るかまたはニッケルを有する金属化部42を含む。金属化部42は接続領域6よりも著しく薄い。たとえば金属化部42の厚さは、ベースプレート33の対応する面上における接続領域6の厚さの最大で10%、または最大で20%、または最大で60%である。このことは好ましくは、他の全ての実施例についても適用される。
【0065】
ガス交換ダクト4の周囲を取り囲む金属化部42の幅は、下面35または実装面30を上から見た平面図では、たとえば下面35または実装面30におけるガス交換ダクト4の内径の少なくとも1倍または少なくとも2倍および/または最大で10倍または最大で5倍である。上から見た平面図では、金属化部42はたとえば丸く、特に円形または多角形で形成されている。このことは好ましくは、他の全ての実施例についても適用される。
【0066】
金属化部42を、実装面30および下面35に設けることもでき、ガス交換ダクト4の側壁を完全に覆うこともできる。金属化部42は好ましくは、接続領域6から電気的に分離されている。
【0067】
図3~
図7には、オプトエレクトロニクス半導体デバイス1のための製造方法の1つの実施例が示されている。
図3によれば、ハウジングボディ32が準備される。ハウジングボディ32を一体的に形成することができる。択一的に、ハウジングボディ32は、ベースプレート33および支持体リング34から構成されており、
図3では破線によりシンボリックに表されている。この場合、ベースプレート33を、
図1および
図2に示したように構築することができる。したがってハウジングボディ32はキャビティ39を有する。
【0068】
図4によれば、キャビティ39内で接続領域6上に、たとえばはんだ付けによってオプトエレクトロニクス半導体チップ2が取り付けられる。図面を簡単にするため、
図3~
図7には1つの接続領域6および1つの半導体チップ2だけしか示されておらず、ただし好ましくは、複数の半導体チップ2と複数の接続領域6とが設けられている。
【0069】
図5のステップにおいて、ハウジングボディ32上にハウジングカバー31が取り付けられ、これによってハウジング3が出来上がる。この場合、ハウジングカバー31とハウジングボディ32との間の接合は、たとえば軟質はんだ、特にAuSn、である接合手段5の処理によって行われる。
【0070】
ハウジングカバー31とハウジングボディ32との間の高い接合品質を保証する目的で、この場合、第1の雰囲気A1が存在している。第1の雰囲気A1は、好ましくはフォーミングガスまたは不活性ガスである。第1の雰囲気A1により特に、接合手段5における酸化物層の形成が阻止される。
【0071】
したがってハウジングカバー31によって、ハウジングボディ32から離れる方向においてキャビティ39が閉鎖される。これにより、キャビティ39内にも同様に第1の雰囲気A1が存在している。
【0072】
図6のステップにおいて、第1の雰囲気A1が第2の雰囲気A2と置き換えられる。このことは特に、ハウジング3の周囲が排気されることによって行われ、つまり第1の雰囲気A1が除去される。その結果として第2の雰囲気A2が適用される。
【0073】
かくして、ガス交換ダクト4を通過して第1の雰囲気A1が吸い出され、第2の雰囲気A2がキャビティ39内に取り込まれる。第2の雰囲気A2はたとえば、酸素の割合が約21%の乾燥させられた空気である。第2の雰囲気A2の酸素の割合が高いことによって、半導体チップ2のレーザファセットに場合によっては堆積する有機成分を酸化させることができ、そのようにして半導体デバイス1の耐用期間を延ばすことができる。
【0074】
第1および/または第2の雰囲気A1、A2は、好ましくはほぼ常圧で存在している。つまり室温したがって294Kでは、第1の雰囲気A1および/または第2の雰囲気A2の圧力は、好ましくは0.8bar以上1.2bar以下である。
【0075】
図7によれば最終的に、ガス交換ダクト4がシール7によって固定的かつ持続的に閉鎖され、これによってハウジング3が気密封止される。その際に考えられるのは、他の全ての実施例と同様に、シール7をガス交換ダクト4の外側にしか取り付けないことであり、これによってガス交換ダクト4自体にはシール7が設けられないままとなる。
【0076】
図8には、オプトエレクトロニクス半導体デバイス1のさらなる実施例が示されている。キャビティ39内に付加的に光学系8、たとえば偏向プリズム、が取り付けられている。この光学系8を用いることで、動作中に生成され好ましくは可視レーザ光である放射Rが、ハウジングカバー31へと向かう方向でハウジングカバー31を貫通して案内される。この目的でハウジングカバー31は好ましくは両面に、光学的に作用するそれぞれ1つの図示されていないコーティング、特に反射防止コーティング、を有する。
【0077】
さらに
図8におけるハウジング3は、ハウジングカバー31、支持体リング34、およびベースプレート33から構成されていて、これらはそれぞれ接合手段5によって互いに接合されている。ガス交換ダクト4は、半導体チップ2の側方において、しかも電気接続領域6の側方において、ベースプレート33内に設けられている。ここでも図面を簡単にするために、1つの接続領域6だけしか示されておらず、ただし好ましくは、特にハウジング下面35にも、複数の接続領域6が設けられている。
【0078】
ガス交換ダクト4をシール7で完全に埋めることができる。キャビティ39は、第2の雰囲気A2で充填されている。
【0079】
その他の点では、
図1~
図7に関して述べたことが
図8についても同じように適用される。
【0080】
図9の実施例には、ガス交換ダクト4がハウジングカバー31内に設けられており、しかも規定どおりの動作では、動作中に生成される放射が到達しない領域に設けられていることが示されている。ハウジングカバー31はたとえばガラスから成る。その他の点では、
図1~
図8に関して述べたことが
図9についても同じように適用される。
【0081】
図10の実施例には、ガス交換ダクト4がたとえばセラミックの支持体リング34内に設けられており、したがって好ましくは実装面30に対し平行に延在していることが示されている。ガス交換ダクト4は、任意選択的に二重円錐体として形成されており、その際に円筒体の中央区間を設けることができる。
図1~
図9に示したガス交換ダクト4の円筒体の代わりに、それぞれかかる二重円錐体のガス交換ダクト4を使用することもできる。
【0082】
他の全ての実施例と同様に、ハウジングカバー31を放射通過領域において光学系8cとして形成することができる。付加的に偏向光学系8bを設けることができ、さらなる任意選択事項として、少なくとも1つの半導体チップ2に集束光学系8aが設けられている。
【0083】
さらに他の全ての実施例の場合と同様に、ハウジングカバー31がハウジングボディ32と同一平面上で終端しなければならない、ということは必須ではない。図面を簡単にするため、他の全ての実施例の場合と同様に、ボンディングワイヤなど少なくとも1つの半導体チップ2のための電気接続手段は示されていない。
【0084】
その他の点では、
図1~
図9に関して述べたことが
図10についても同じように適用される。
【0085】
図11~
図16には、シール7をガス交換ダクト4に取り付けることができる様々な方法が示されている。かくして
図7のステップに対応するこれらの方法は、それぞれ1つの特定の種類のガス交換ダクト4についてだけしか示されていないけれども、明示的には示されていない他のタイプのガス交換ダクト4のためにも、これらを同様の手法で利用することができる。図示されている限りでは、その際に接続領域6はそれぞれ、ガス交換ダクト4の好ましくは設けられている金属化部42よりも厚く、ただし他の構成も可能である。
図11~
図16に示されていないプロセスステップは、好ましくはそれぞれ
図3~
図6に関連して説明したのと同じ手法で行われる。
【0086】
図11によれば、シール7は低融点ガラスにより形成されており、このガラスは、たとえばホットスタンプおよび/または取り付けノズルである閉鎖工具9によって、金属化部42上およびガス交換ダクト4上に取り付けられ、かつ/または押圧される。低融点ガラスが金属化部42と接合することによって、ガス交換ダクト4の気密封止された閉鎖が行われる。完成したシール7は、ベースプレート33から離れる方向で接続領域6から突出している。
【0087】
金属化部42は、横断面で見ると好ましくはH字形に形成されており、したがって金属化部42はガス交換ダクト4の側壁を完全に周囲全体で覆っている。しかも金属化部42は、ガス交換ダクト4が貫通するデバイスの主面において、本来のダクトの周囲全体を取り囲んで延在している。つまり
図11の場合、金属化部42は比較的薄い厚さで、ベースプレート33の実装面30上および下面35上に延在している。
【0088】
接続領域6は、ここでは好ましくは3つの金属層6a,6b,6cによって形成されている。ベースプレート33に隣接して配置された比較的厚い層6aは、たとえば金または銅から成る。中間層6bは特にニッケルから成り、他の層6a,6bを包囲することができる第3の層6cは、たとえば金、パラジウムおよび/または白金から成る。この場合に金属化部42は下面35に、たとえば以下のようにして形成されている。すなわち、たとえばレーザアブレーションにより層6cが除去されていて、このようにして中間層6bが露出させられるのである。実装面30においてガス交換ダクト4の金属化部42は、3つ層6a,6b,6c全てを含むことができる。ここで最も内側の層6aは金属化部42において、好ましくは接続領域6におけるものよりも著しく薄く、たとえば少なくとも4倍および/または最大で20倍薄い。
【0089】
かくしてシーリングポイントを、デバイス表面よりも後退させることができる。つまり特別に平坦なハウジング下面35を保証できるようにする目的で、シーリングポイント、特にガス交換ダクト4におけるシール7の取り付けポイント、を接続領域6の外面とは異なる高さに位置させることができる。図示されているものとは異なり、他の全ての実施例においても可能であるように、この目的でハウジング下面35に、シール7のための凹部を設けることができる。
【0090】
これに対し
図12には、好ましくは金から成る金属ボールまたはスタッドバンプによってシール7が形成されることが示されており、これは摩擦溶接によって金属化部42に取り付けられる。つまり閉鎖工具9を、ボンディングワイヤ工具および/またははんだ装置とすることができる。
【0091】
図13によれば、シール7は支持体プレート71によって形成されており、この支持体プレート71には密閉層72が設けられている。このケースでは、閉鎖工具9をボンディング工具とすることができる。支持体プレート71はたとえば、ケイ素などの半導体材料から成り、または金属からも成る。密閉層72は特に金層である。金属化部42がたとえば金から成るならば、シール7を金と金との接合によって、特に摩擦溶接によって、実現することができる。
【0092】
密閉層72を備えた支持体プレート71の代わりに、比較的厚い、特に金から成る、一体的な金属小プレートを、シール7のために利用することもできる。
【0093】
図14の場合、支持体プレート71のためのガラスプレートと、密閉層72としてのガラスはんだとから、シール7が形成される。
図14における図面とは異なり、支持体プレート71上に面全体にわたって密閉層72を取り付けることもできる。この場合にはたとえば、密閉層72を溶融してハウジングカバー31と接合するレーザが、閉鎖工具9として使用されるようにして、シール7が形成される。択一的に、閉鎖工具9は加熱ヘッドである。よって、ガス交換ダクト4に金属化部が設けられていないようにすることができる。
【0094】
さらに
図14には、ガス交換ダクト4が任意選択的に切頭円錐体の形状を有することが示されている。同じことは、他の全ての実施例において可能である。
【0095】
図15の実施例の場合には、シール7がガラス滴の被着により実施される。ガラス滴は、高温分注法を用いて、好ましくはガラスプレートであるハウジングカバー31上にじかに被着される。閉鎖工具9として、特にガラス分注ヘッドが用いられる。シール用の低融点はんだガラスは、ガス交換ダクト4内に流入し、これを気密に閉鎖する。好ましくは融点が著しく低いこの種のガラスはんだによって、半導体デバイス1は熱的に損傷させられない。かくしてこのプロセスによって、ハウジングカバー31内にガラスとガラスとの複合体が生成される。
【0096】
しかも
図15には、接合手段5がハウジングカバー31、任意選択的な支持体リング34およびベースプレート33よりも後退させられて取り付けられている、たとえば
図13におけるものとは異なり、接合手段5がハウジングカバー31、任意選択的な支持体リング34およびベースプレート33と同一平面上で終端していることが示されている。両方の構成は、それぞれ全ての実施例において可能である。
【0097】
ハウジングカバー31の平坦な外面を達成する目的で、ハウジングカバー31にはガス交換ダクト4の領域に、図示されていない凹部を設けることができ、これによってシール7をハウジングカバー31内に下降させることができ、このようにすれば実装面30から離れる方向でシール7がハウジングカバー31を越えて突出することはない。相応のことを、他の全ての実施例においても、たとえば
図7によるベースプレート33に関しても、また、たとえば
図10による支持体リング34に関しても、適用することができる。
【0098】
図16によれば、閉鎖工具9は、はんだボールリザーバ9a、ノズル9bおよびレーザ9cを含む。これにより、加熱されたはんだボール、特にAuSnから成るはんだボール、をガス交換ダクト4に向けて出射し、金属化部42と接合させることができる。このプロセスは極めて迅速に行うことができるので、酸素含有の第2の雰囲気A2における高温のはんだボールの酸化をほぼ阻止することができる。
【0099】
図11~
図16の場合、シール7は略示されていてそれぞれガス交換ダクト4のところにだけに存在し、ガス交換ダクト4内には存在していない。これとは異なり、シール7がそれぞれほんの少しガス交換ダクト4を埋めることもでき、これについては
図17を参照されたい。
【0100】
【0101】
図18には、オプトエレクトロニクス半導体デバイス1が、赤色光用のレーザダイオード2Rと、緑色光用のレーザダイオード2Gと、青色光用のレーザダイオード2Bとを含むことが示されている。つまり半導体デバイス1はRGBレーザモジュールである。このことは好ましくは、他の全ての実施例についても適用される。
【0102】
さらに
図18には任意選択事項として、他の全ての実施例においても可能であるように、2つ以上のガス交換ダクト4を設けることができることが示されている。とはいえ、正確に1つのガス交換ダクト4だけしか設けられていないバリエーションが好ましい。
【0103】
その他の点では、
図1~
図17に関して述べたことが
図18についても同じように適用される。
【0104】
さらに
図19には、ガス交換ダクト4の金属化部42を、接続領域6の層42a,42b,42cのうちの1つ層だけから、特に最も下側の層42aから、構成することができることが示されている。同じことは、他の全ての実施例についても適用される。
【0105】
金属化部42の上面において、つまり特に層42aの上面において、
図19にハッチングで示唆されているように、薄い酸化物層を形成することができる。層42aがたとえばニッケルとして形成されているならば、酸化物層はNiOから成る。このことは特に、シール7として低融点ガラスを用いた気密封止にとって有利であり、これについては特に
図11を参照されたい。
【0106】
図20~
図22には、オプトエレクトロニクス半導体デバイス1のさらなる実施例が示されている。この場合、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ2は任意選択的に、サブマウントとも称される中間支持体38上に設けられている。少なくとも1つのガス交換ダクト4は、たとえばベースプレート33内に設けられている。ハウジング下面35に、複数の金属製電気接続領域6を取り付けることができる。たとえば、比較的大きい4つの接続領域6が、ハウジング下面35の中央領域に設けられている。これらの比較的大きい接続領域6は任意選択的に、比較的小さい複数の接続領域6によって周囲全体で取り囲まれている。
【0107】
【0108】
図23~
図25には、ハウジング3内のガス交換ダクト4を、ハウジングカバー31内に(
図23を参照)、支持体リング34内に(
図24参照)、またはベースプレート33内に(
図25参照)、設けることができることが示されている。
図23~
図25の構成による組み合わせも可能である。さらに
図23~
図25には、任意選択的にそれぞれ中間支持体38を設けることができることが示されている。
【0109】
図23~
図25によれば、好ましくは中間支持体38ならびに半導体チップ2の取り付け前にすでに、ガス交換ダクト4にそれぞれ金属化部42が設けられている。
【0110】
その他の点では、
図1~
図22に関して述べたことが
図23~
図25についても同じように適用され、また、その逆も同様である。
【0111】
図26~
図30には、少なくとも1つのガス交換ダクト4のシールに関する、1つの可能な製造方法のいくつかのステップが示されている。少なくとも1つのガス交換ダクト4の封止とは関係ない残りのプロセスステップは、わかりやすくするため
図26~
図30には示されていない。たとえば、少なくとも1つのガス交換ダクト4は、
図25と同様にベースプレート33内に設けられている。ただしこれとは異なり、少なくとも1つのガス交換ダクト4を、ここで説明する製造方法において同様に、たとえば
図23または
図24に従い、支持体リング34内および/またはハウジングカバー31内に設けることができる。
【0112】
図26によればたとえば、ガス交換ダクト4を含むベースプレート33が準備される。たとえば、ガス交換ダクト4は円筒体として形成されている。特に、任意選択的な中間支持体38ならびに半導体チップ2の取り付け前にすでに、ガス交換ダクト4の内面41に金属化部42が、たとえばスパッタリング、蒸着および/または電気めっきを用いて生成される。
【0113】
金属化部42の厚さは、たとえばガス交換ダクト4の平均直径の少なくとも10%であり、かつ/または最大で25%である。ガス交換ダクト4の平均直径は、たとえば少なくとも10μmであり、かつ/または最大で0.1mmである。金属化部42はたとえば、金から、または銅、ニッケル、亜鉛および/またはスズから成る。
【0114】
図27には、ガス交換ダクト4上に、たとえば分注ヘッドである閉鎖工具9が取り付けられることが示されている。好ましくは閉鎖工具9は、ガス交換ダクト4の周囲を取り囲む領域上に固定されて押圧され、これによって閉鎖工具9は、ガス交換ダクト4の周囲を取り囲んで封止する。
【0115】
図28のステップにおいて、閉鎖工具9によって液体合金金属43がガス交換ダクト4内に取り込まれ、たとえば押し込まれる。合金金属43は、特にほぼ室温でまたは室温よりもいくらか高められた温度で適用され、これはたとえばガリウム、ガリウムとインジウムとの混合物、または水銀である。
【0116】
ここで考えられるのは、合金金属43がガス交換ダクト4を不完全にしか埋めないようにすることであり、これについては
図28を参照されたい。択一的に、合金金属43がガス交換ダクト4を完全に埋めて、閉鎖工具9とは反対側のガス交換ダクト4の外面まで達することができ、これについては
図29を参照されたい。合金金属43は、金属化部42に対し好ましくは濡れ性であり、また、任意選択的に、ガス交換ダクト4の周囲を取り囲むハウジング3の材料に対して非濡れ性である。
【0117】
図30には、合金金属43が金属化部42と反応し、それによってガス交換ダクト4を気密封止する閉鎖合金44が形成されることが示されている。この反応は特にアマルガム化である。この反応をたとえば、室温または室温よりもいくらか高められた温度で行うことができる。ここで考えられるのは、この反応中、少なくとも一時的に、たとえば加熱のために、または圧力を及ぼすために、閉鎖工具9をまだ設けておくこと、あるいは
図30に示されているように閉鎖工具9をすでに取り除いておくことである。
【0118】
閉鎖合金44を形成する際、合金金属43および/または金属化部42を完全に使い果たす必要はない。したがって任意選択的に、内壁41にまだ残留金属化部42’が残されていてもよい。余分な合金金属43を、ガス交換ダクト4の閉鎖後に必要に応じて除去することができ、たとえば温水の噴射によって、低いパーセンテージのKOHもしくはHClなどの希酸を用いて、または緩衝されたフッ化水素酸を用いて、除去することができる。ガス交換ダクト4の周囲を取り囲むハウジング3の材料は、たとえば窒化ケイ素、ガラス、および/またはケイ素である。
【0119】
図31および
図32にさらに示されているのは、ガス交換ダクト4を円筒体として形成できるだけでなく、横断面で見て、たとえば両凹状(
図31参照)または両凸状(
図32参照)に形成することもできる、ということである。
【0120】
その他の点では、
図1~
図25に関して述べたことが
図26~
図32についても同じように適用され、また、その逆も同様である。
【0121】
かくして特に
図26~
図32の方法を用いて、ガリウム合金または水銀合金とのアマルガム反応を用いることで、孔4の気密シーリングを達成することができる。特に後の製造ステップにおける気密シーリングにより、簡単に制御可能な周囲条件のもとで、たとえば保護ガスのもとで、所期の製品特性を実現することができる。このことは、たとえばレーザモジュールまたはLEDモジュールを湿気から保護する目的で、それらのモジュールの製造について特に当てはまるが、ただしそれについて当てはまるだけではない。
【0122】
つまり、たとえば小さい孔4を介して中空のデバイス内で所望のガス雰囲気を作り出し、この雰囲気のもとで大きい温度負荷を加えずに孔4をシーリングする目的で、孔4の気密シーリングが達成される。このシーリングは、比較的高い温度に対し、かつ機械的に、耐性があり、十分に気密な状態であるのが望ましい。
【0123】
本明細書で説明する方法によれば、30℃を上回る温度ではガリウム、室温ではガリウム・インジウム、または同様に室温では水銀など、低融点合金金属43を単に分注するだけで、内側が金属化された小さい孔4(ビアとも称する)を、つまりはハウジング3により取り囲まれた中空を、持続的かつ気密に閉鎖することができる。孔の内壁41つまり金属化部42と、分注される液体合金金属43との金属の割合を適切に選択すれば、安定した高融点の閉鎖合金44が得られる。
【0124】
閉鎖合金44は、温度に依存する硬化時間後、分注された液体金属43よりも著しく高い融点を有する。孔4の適切な形状により、合金形成に固有の膨張によって機械的に密に閉じられたシステムがもたらされる。
【0125】
例示的な材料の組み合わせは以下のとおりである。
・孔の内壁41における金属化部42、閉鎖合金44の約60%:金。これにより金属化部42の酸化が発生せず、したがって合金金属43との反応が酸化物層によって妨害されない。
・分注される合金金属43、閉鎖合金44の40%:100%のガリウム、または70%のガリウムと30%のインジウムとから成る混合物。ここで挙げたパーセンテージ表記は特に、最大で15%または最大で5%の許容差を伴って適用される。
・択一的に、銅またはニッケル、亜鉛、スズから成る、孔の内壁41における金属化部42、および分注される合金金属43:水銀。
【0126】
ガリウムは、多くの材料を単独で極めて良好に湿らせる。孔4内への押し込みによって接触が強制的に行われ、合金形成が開始されると、成分Gaと金属化部42の金属とは、硬化に至るまで結合されたままである。圧力状態に起因してGaを持続的に孔4内に流入させることが困難な状況であれば、場合によっては外圧制御が必要である。硬化または完全に反応してしまうまでにいくらかの時間がかかる場合もあり、これは温度を高めればより迅速に進行する。ただし温度が高すぎると、AuとGaとの反応は発熱を伴って進行する可能性があるため、過度に高い温度を適用するのは望ましくない。
【0127】
説明した方法は、プロセス技術的にほぼ室温で簡単に実施可能であり、関与する材料の取り扱いも簡単である。この方法は、多くの周囲雰囲気およびガスと適合性があり、しかも真空中または減圧下でも実施可能である。液体ガリウムまたは液体水銀の蒸気圧は著しく低いことから、硬化してしまう前にハウジング3内では何もGaまたはHgによって不所望に汚染されない。
【0128】
図面に示されている構成要素は、特段の記載がないかぎり、好ましくは記載順に上下に、特にじかに上下に続いている。図中、接触していない構成要素は、好ましくは互いに間隔を有する。また、線が互いに平行に描かれているかぎり、関連づけられた面も好ましくは同じく互いに平行に配向されている。さらに、図示された構成要素相互間の相対的ポジションは、特段の記載がないかぎり、図面に正確に再現されている。
【0129】
本明細書で説明した発明は、実施例に基づく記載によって限定されるものではない。むしろ本発明は、あらゆる新たな特徴ならびに特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、このことは特に、特許請求の範囲における特徴のあらゆる組み合わせを、たとえその特徴またはその組み合わせ自体が明示的に特許請求の範囲または実施例に記載されていないにしても、包含するものである。
【0130】
本願は、独国特許出願第102020119192.8号および第102021103863.4号の優先権を主張するものであり、ここでこれらを参照したことによりその開示内容が取り込まれるものとする。
【符号の説明】
【0131】
1 オプトエレクトロニクス半導体デバイス
2 オプトエレクトロニクス半導体チップ
3 ハウジング
30 実装面
31 ハウジングカバー
32 ハウジングボディ
33 ベースプレート
34 支持体リング
35 ハウジング下面
36 電気スルーホール
37 セラミックボディ
38 中間支持体
39 キャビティ
4 ガス交換ダクト
41 ガス交換ダクトの内面
42 金属化部
42’ 残留金属化部
43 合金金属
44 閉鎖合金
47 酸化物層
5 接合手段
6 金属製電気接続領域
7 シール
71 支持体プレート
72 密閉層
8 光学系
9 閉鎖工具
A1 第1の雰囲気
A2 第2の雰囲気