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特許7493681電池セルのインピーダンス測定充放電治具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電池セルのインピーダンス測定充放電治具
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240524BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240524BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20240524BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M50/569
G01R31/389
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023516782
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 KR2022012415
(87)【国際公開番号】W WO2023022563
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0110464
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヒョン・キム
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-030763(JP,A)
【文献】特開2016-029994(JP,A)
【文献】特開平07-198765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0264296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 50/569
G01R 31/389
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1充放電バスバーを一側部の上面に備えた固定ブロックと、
前記固定ブロックにスライド可能に結合され、前記固定ブロックの一側部と反対側の他側部の上面に第2充放電バスバーを備えた可動ブロックと、
前記固定ブロックの底面にスライド可能に結合される移動ブロックと、
前記固定ブロックの一側部と前記可動ブロックの他側部にそれぞれ固定され、前記固定ブロックおよび前記可動ブロックの底面に沿って延長される電線と、を含み、
前記移動ブロックより前記可動ブロックに近い固定ブロックの底面側に第1ロッドが突出して設けられ、前記固定ブロックの一側部から延長される電線が前記第1ロッドに乗って旋回して前記固定ブロック側に復帰する軌跡の第1ループを形成し、
前記移動ブロックに第2ロッドが突出して設けられ、前記第1ループから延長される電線が前記第2ロッドに乗って旋回して前記可動ブロック側に向かう軌跡の第2ループを形成し、
前記可動ブロックが固定ブロックに対してスライド移動するときに、前記移動ブロックが前記可動ブロックと同じ方向に連動移動することによって、前記第1ループ及び第2ループの長さが調節されて前記電線の張力変化を吸収する、電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項2】
前記固定ブロックの一側部側に一端が設けられ、他端は前記移動ブロックに結合され、前記移動ブロックを前記固定ブロックの一側に引くように力を加える弾性部材を備える、請求項1に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項3】
前記電線は、前記固定ブロックおよび前記可動ブロックの幅方向両側に沿って並んで延長される信号線とセンシング線を含み、
前記第1ロッドは、前記固定ブロックの幅方向両側に設けられる第1信号線ロッドおよび第1センシング線ロッドの第1ロッド対で構成され、
前記移動ブロックは、前記第1信号線ロッドおよび第1センシング線ロッドの間に設けられ、前記第2ロッドは、前記移動ブロックの幅方向両側に設けられる第2信号線ロッドおよび第2センシング線ロッドの第2ロッド対で構成される、請求項2に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項4】
前記可動ブロックが前記固定ブロックの上面にスライド可能に結合される、請求項3に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項5】
前記固定ブロックおよび前記可動ブロックのうちの一つの幅方向両側にガイドスリットが形成され、前記固定ブロックおよび前記可動ブロックのうちの他の一つに前記ガイドスリットに挿入されるスライド支持部材が設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項6】
前記スライド支持部材は、前記ガイドスリットに挿入され、前記固定ブロックまたは前記可動ブロックにねじ結合される本体部と、前記ガイドスリットより大きな幅の頭部とを有する、請求項5に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項7】
前記固定ブロックの底面にガイドレールが設けられ、前記移動ブロックは前記ガイドレールにスライド可能に結合される、請求項1に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項8】
前記第1ロッドおよび前記第2ロッドの端部には拡張部が形成される、請求項1に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項9】
前記固定ブロックの一側部の底部にインピーダンス測定ボードが結合され、
前記固定ブロックの一側部に固定された電線が延びて前記インピーダンス測定ボードに連結され、前記可動ブロックの他側部に固定された電線が延びて前記第2充放電バスバーに結合される、請求項1に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項10】
前記第1充放電バスバーと前記インピーダンス測定ボードとを連結する電線をさらに備える、請求項9に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項11】
前記可動ブロックが前記固定ブロックの底面にスライド可能に結合され、
前記可動ブロックは枠状のフレーム部で形成され、前記移動ブロックが前記フレーム部の内側に位置し、前記移動ブロックと対向する前記可動ブロックのフレーム部の内側面が前記移動ブロックのストッパー面として作用する、請求項3に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項12】
前記可動ブロックが前記固定ブロックの底面にスライド可能に結合され、
前記可動ブロックと前記移動ブロックがギア結合によって結合される、請求項1に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項13】
前記電線は、前記固定ブロックおよび可動ブロックの幅方向両側に沿って並んで延長される信号線とセンシング線を含み、
前記第1ロッドは、前記固定ブロックの幅方向両側に設けられる第1信号線ロッドおよび第1センシング線ロッドの第1ロッド対で構成され、
前記移動ブロックは、前記第1信号線ロッドの内側および第1センシング線ロッドの内側でそれぞれ前記固定ブロックにスライド可能に結合される信号線用の移動ブロックおよびセンシング線用の移動ブロックの移動ブロック対で構成され、前記第2ロッドは前記移動ブロックの幅方向両側に設けられる第2信号線ロッドおよび第2センシング線ロッドの第2ロッド対で構成される、請求項12に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項14】
前記可動ブロックは、枠状のフレーム部と、前記フレーム部の内側中央部に前記可動ブロックの長手方向に延長され、両側面に第1ねじ山が形成された長手方向軸とを備え、
前記センシング線用の移動ブロックおよび前記信号線用の移動ブロックは、前記可動ブロックの幅方向両側に位置したフレーム部と前記長手方向軸との間に配置され、前記長手方向軸と対向する前記移動ブロックの側面に第2ねじ山が形成され、
前記センシング線用の移動ブロックと長手方向軸との間、および前記信号線用の移動ブロックと長手方向軸との間に設けられたギアトレーンを介して前記長手方向軸と前記移動ブロックが結合される、請求項13に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【請求項15】
前記ギアトレーンは、第1ねじ山に噛み合う第1ギアおよび前記第2ねじ山に噛み合う第2ギアで構成され、前記第1ギアと前記第2ギアは、前記可動ブロックが移動する距離の1/2の距離のみ前記センシング線用の移動ブロックおよび前記信号線用の移動ブロックが移動するように設定されるギア比で互いに結合される、請求項14に記載の電池セルのインピーダンス測定充放電治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルのインピーダンス測定充放電治具に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、充放電治具の長さの変化にかかわらず、インピーダンス測定用電線の長さと張力を一定に保つことができるインピーダンス測定充放電治具に関するものである。
【0003】
本出願は、2021年8月20日付の韓国特許出願第10-2021-0110464号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0004】
近年、充放電が可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広く使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などに起因する大気汚染などを解決するための対策として提示されている電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても注目されている。従って、二次電池を使用するアプリケーションの種類は、二次電池の長所により非常に多様化しており、今後は今よりは多くの分野と製品に二次電池が適用されると予想される。
【0005】
このような二次電池は、電極と電解液の構成によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類されることもあり、そのうち電解液の漏液の可能性が少なく、製造が容易なリチウムイオンポリマー電池の使用量が増えている。一般的に、二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池および角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池に分類される。電池ケースに内蔵される電極組立体は、正極、負極、および上記正極と上記負極との間に介在された分離膜構造からなる充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻取したジェリーロール型と、所定のサイズの多数の正極と負極を分離膜が介在された状態で順次に積層したスタック型に分類される。
【0006】
このような二次電池は、安全性および性能を検査するために多様なテストを行うことができる。その中で、電池セルのインピーダンスを測定することにより電池の安全性および性能を評価する方法が信頼性を得ている。このように電池セルのインピーダンスを測定することにより寿命と容量、充電状態などの主要因子を推定することができる。
【0007】
電池セルのインピーダンスは、測定導線(電線)の長さの変化や動きによって測定結果が変わる。長さが短くインピーダンス値が大きい円筒形電池の場合は電線の影響が比較的少ないが、長さが長くインピーダンス値が小さい中大型のパウチ型電池の場合は、電線の長さや動きに応じて測定されるインピーダンス値のばらつきが大きい。このような電池セルのインピーダンスは、電池セルの長手方向に変位可能な充放電治具に電池セルを設けて測定することができる。
【0008】
具体的には、電池セルの極性の異なるリードを充放電治具の両側に設けられた充放電バスバーにそれぞれ設置し、上記充放電バスバーに電線を連結してインピーダンスを測定する。この場合、上記充放電治具は、電池の種類および大きさに応じて電池セルの長手方向に変位されて、多様な電池セルに対してインピーダンスを測定することができる。しかし、充放電治具が変位すると、充放電バスバーに設けられた電線も共に変位して電線の張力が変化する。電線の張力が変化すると、インピーダンス測定経路に位置する電線の長さも変化するため、インピーダンスを正確に測定することができない。すなわち、インピーダンス測定時の電線の長さおよび張力の変化に応じて外部磁場が可変してノイズが大きくなり、測定時のごとにインピーダンス値が可変されるため、インピーダンスを高い精度で測定できないという問題がある。このような問題は、電池セルの長さが長くインピーダンス値が小さい中大型のパウチ型電池の場合にさらに深刻である。
【0009】
したがって、充放電治具の変位にかかわらず、電池セルの長さおよび張力を一定に保ち、インピーダンスを測定し得る装置の開発が必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0134518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するために案出されたものであって、充放電治具の長さの変化にかかわらずインピーダンス測定用電線の長さと張力を一定に保つことができるインピーダンス測定充放電治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電池セルのインピーダンス測定充放電治具は、第1充放電バスバーを一側部の上面に備えた固定ブロックと、上記固定ブロックにスライド可能に結合され、上記固定ブロックの一側部と反対側の他側部の上面に第2充放電バスバーを備えた可動ブロックと、上記固定ブロックの底面にスライド可能に結合された移動ブロックと、上記固定ブロックの一側部と上記可動ブロックの他側部にそれぞれ固定されて、上記固定ブロックおよび可動ブロックの底面に沿って延長される電線と、を含み、上記移動ブロックより上記可動ブロックに近い固定ブロックの底面側に第1ロッドが突出して設けられ、上記固定ブロックの一側部から延長される電線が上記第1ロッドに乗って旋回して上記固定ブロック側に復帰する軌跡の第1ループを形成し、上記移動ブロックに第2ロッドが突出して設けられ、上記第1ループから延長される電線が上記第2ロッドに乗って旋回して上記可動ブロック側に向かう軌跡の第2ループを形成し、上記可動ブロックが固定ブロックに対してスライド移動するとき、上記移動ブロックが可動ブロックと同じ方向に連動移動することによって、上記第1及び第2ループの長さが調節されて上記電線の張力変化を吸収することを特徴とする。
【0013】
一例として、上記固定ブロックの一側部側に一端が設けられ、他端は上記移動ブロックに結合され、上記移動ブロックを上記固定ブロックの一側に引くように力を加える弾性部材を備えることができる。
【0014】
具体例として、上記電線は上記固定ブロックおよび可動ブロックの幅方向両側に沿って並んで延長される信号線とセンシング線を含み、上記第1ロッドは上記固定ブロックの幅方向両側に設けられる第1信号線ロッドおよび第1センシング線ロッドの第1ロッド対で構成され、上記移動ブロックは上記第1信号線ロッドおよび第1センシング線ロッドの間に設けられ、上記第2ロッドは移動ブロックの幅方向両側に設けられる第2信号線ロッドおよび第2センシング線ロッドの第2ロッド対で構成され得る。
【0015】
一例として、上記可動ブロックを上記固定ブロックの上面にスライド可能に結合することができる。
【0016】
また、上記固定ブロックおよび可動ブロックのうち一つの幅方向両側にガイドスリットが形成され、上記固定ブロックおよび可動ブロックのうち他の一つに上記ガイドスリットに挿入されるスライド支持部材が設けられ得る。
【0017】
上記スライド支持部材は、上記ガイドスリットに挿入されて上記固定ブロックまたは可動ブロックにねじ結合される本体部と、上記ガイドスリットより大きな幅の頭部とを有することができる。
【0018】
一例として、上記固定ブロックの底面にガイドレールが設けられ、上記移動ブロックは上記ガイドレールにスライド可能に連結することができる。
【0019】
一例として、上記第1ロッドおよび第2ロッドの端部には拡張部を形成することができる。
【0020】
また、上記固定ブロックの一側部の底部にインピーダンス測定ボードが結合され、上記固定ブロックの一側部に固定された電線が延びて上記インピーダンス測定ボードに連結され、上記可動ブロックの他側部に固定された電線が延びて上記第2充放電バスバーに結合することができる。
【0021】
ここで、上記第1充放電バスバーと上記インピーダンス測定ボードとを連結する電線をさらに備えることができる。
【0022】
本発明の他の実施形態として、上記可動ブロックが上記固定ブロックの底面にスライド可能に結合され、上記可動ブロックは枠状のフレーム部で形成され、上記移動ブロックが上記フレーム部の内側に位置し、上記移動ブロックと対向する上記可動ブロックのフレーム部の内側面が上記移動ブロックのストッパー面として作用することができる。
【0023】
本発明の別の実施形態として、上記可動ブロックが上記固定ブロックの底面にスライド可能に結合され、上記可動ブロックと上記移動ブロックはギア結合によって結合されることができる。
【0024】
具体的には、上記電線は、上記固定ブロックおよび可動ブロックの幅方向両側に沿って並んで延長される信号線とセンシング線を含み、上記第1ロッドは、上記固定ブロックの幅方向両側に設けられる第1信号線ロッドおよび第1センシング線ロッドの第1ロッド対で構成され、上記移動ブロックは、上記第1信号線ロッドの内側および第1センシング線ロッドの内側でそれぞれ上記固定ブロックにスライド可能に結合される信号線用の移動ブロックおよびセンシング線用の移動ブロックの移動ブロック対で構成され、上記第2ロッドは、移動ブロックの幅方向両側に設けられる第2信号線ロッドおよび第2センシング線ロッドの第2ロッド対で構成されることができる。
【0025】
より具体的には、上記可動ブロックは、枠状のフレーム部と、上記フレーム部の内側中央部に上記可動ブロックの長手方向に延長されて両側面に第1ねじ山が形成された長手方向軸とを備え、上記センシング線用の移動ブロックおよび信号線用の移動ブロックは、上記可動ブロックの幅方向両側に位置するフレーム部と上記長手方向軸との間に配置され、上記長手方向軸と対向する上記移動ブロックの側面に第2ねじ山が形成され、上記センシング線用の移動ブロックと長手方向軸との間および信号線用の移動ブロックと長手方向軸との間に設けられたギアトレーンを介して、上記長手方向軸と上記移動ブロックとを結合することができる。
【0026】
この場合、上記ギアトレーンは、第1ねじ山に噛み合う第1ギアおよび上記第2ねじ山に噛み合う第2ギアで構成され、上記第1ギアと第2ギアは、上記可動ブロックが移動する距離の1/2の距離ほど上記センシング線用の移動ブロックおよび信号線用の移動ブロックが移動するように設定されるギア比で互いに結合されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る電池セルのインピーダンス測定充放電治具は、充放電治具の長さが変化しても電線の張力および長さを一定に保ち、電池セルのインピーダンスを高い精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の平面図である。
図3】本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の側面図である。
図4】本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の底面図である。
図5】本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の作動状態図である。
図6】本発明の他の実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の構造および作動状態を示す概略図である。
図7】本発明の別の実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の構造および作動状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は彼自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づいて本発明の技術的な思想に符合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0030】
本出願において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、それは他の部分の「真下に」にある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」に配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明について詳細に説明する。
【0032】
図1図4は、本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の斜視図、平面図、側面図および底面図である。
【0033】
本発明に係る電池セルのインピーダンス測定充放電治具1000は、一側部の上面に第1充放電バスバーUB1、LB1を備えた固定ブロック100と、上記固定ブロック100にスライド可能に結合され、上記固定ブロック100の一側部と反対側の他側部の上面に第2充放電バスバーUB2、LB2を備えた可動ブロック200と、上記固定ブロック100の底面にスライド可能に結合された移動ブロック300と、上記固定ブロック100の一側部と上記可動ブロック200の他側部にそれぞれ固定され、上記固定ブロック100および可動ブロック200の底面に沿って延長される電線L1、L2と、を含む。そして、上記移動ブロック300より上記可動ブロック200に近い固定ブロック100の底面側に第1ロッドR1、R1’が突出して設けられ、上記固定ブロック100の一側部から延長される電線L1、L2が上記第1ロッドR1、R1’に乗って旋回して上記固定ブロック100側に復帰する軌跡の第1ループ11を形成し、上記移動ブロック300に第2ロッドR2、R2’が突出して設けられ、上記第1ループl1から延長される電線L1、L2が上記第2ロッドR2、R2’に乗って旋回して上記可動ブロック200側に向かう軌跡の第1ループ12を形成し、上記可動ブロック200が固定ブロック100に対してスライド移動するとき、上記移動ブロック300が可動ブロック200と同じ方向に連動移動することによって、上記第1及び第2ループ(l1、l2)の長さが調節されて上記電線L1、L2の張力変化を吸収することを特徴とする。
【0034】
本発明の電池セルのインピーダンス測定充放電治具1000は、電池セルの充放電中に電池セル10のインピーダンスを測定するためのものである。したがって、上記充放電治具の上面には電池セル10が設けられる(図1および図3参照)。
【0035】
また、電池セル10の充放電のために、上記充放電治具の両側に上記電池セルの電極リード11、12がそれぞれ結合される第1充放電バスバーUB1、LB1および第2充放電バスバーUB2、LB2を備えている。第1充放電バスバーUB1、LB1は固定ブロック100の一側部の上面に設けられ、第2充放電バスバーUB2、LB2は上記固定ブロック100の一側部と反対側の他側部の可動ブロック200の上面に設けられる。本実施形態では、第1充放電バスバーUB1、LB1および第2充放電バスバーUB2、LB2を設けるために、上記固定ブロック100および可動ブロック200の一側部と他側部の上面に第1バスバーフレーム部110および第2バスバーフレーム部210がそれぞれ設けられる。上記第1および第2バスバーフレーム部110、210には第1及び第2バスバーフレーム111、211がそれぞれ備えられ、このフレームには第1充放電バスバーUB1、LB1および第2充放電バスバーUB2、LB2が挿入されるバスバー設置穴111a、211aが形成される。上記第1充放電バスバーUB1、LB1および第2充放電バスバーUB2、LB2は、バスバー設置穴111a、211aに挿入されて位置するが、電池セルの電極リード11、12との結合および電線L1、L2連結のために、上記バスバー設置穴111a、211aの前端および後端に充放電バスバーの一部がそれぞれ突出するように設けられる。
【0036】
上記第1充放電バスバーUB1、LB1および第2充放電バスバーUB2、LB2は、それぞれアッパーバスバーUB1、UB2とローワーバスバーLB1、LB2で構成される。上記第1および第2バスバーフレーム111、121のバスバー設置穴111a、211aの前方に突出したアッパーバスバーUB1、UB2とローワーバスバーLB1、LB2との間に電池セルの両側から導出された電極リード11、12が挟まれて充放電するようになっている。上記バスバーフレーム111、121のバスバー設置穴111a、211aの前方下部には支えフレーム112、212が形成され、上記第1及び第2充放電バスバーのローワーバスバーLB1、LB2が上記支えフレーム112、212上に設置される。第1充放電バスバーUB1、LB1側に支えフレーム112の下部に設けられた部材Tは、第2充放電バスバーUB2、LB2と高さを合わせるための補強支持台である。第1及び第2充放電バスバーのアッパーバスバーUB1、UB2は、上記ローワーバスバーLB1、LB2と間隔をおいて上記ローワーバスバーLB1、LB2の上に設けられる。上記アッパーバスバーUB1、UB2の設置のために、上記第1および第2バスバーフレーム部110、210は、上記バスバー設置穴111a、211aの前方上部にアッパーバスバー結合フレーム113、213が突出形成されている。上記アッパーバスバー結合フレーム113、213には、ボルト軸構造のアッパーバスバー調整ハンドル114、214が設けられる。
【0037】
一方、上記アッパーバスバー結合フレーム113、213と上記第1及び第2充放電バスバーのアッパーバスバーUB1、UB2との間には絶縁体115、215が設けられ、上記絶縁体は上記アッパーバスバーUB1、UB2の上部に結合される。上記アッパーバスバー調整ハンドル114、214は上記アッパーバスバー結合フレーム113、213を介して上記絶縁体115、215にねじ結合される。したがって、上記アッパーバスバー調整ハンドル114、214を回転させると、上記絶縁体115、215およびアッパーバスバーUB1、UB2が上下に昇降し、これにより電池セルの電極リード11、12を上記アッパーバスバーUB1、UB2とローワーバスバーLB1、LB2との間に挿入および脱去する作業を簡便に行うことができる。
【0038】
上記の第1及び第2充放電バスバーを充放電治具に設ける構造は一例に過ぎず、上記の構造に限定されるものではない。電池セル10の電極リード11、12を第1及び第2充放電バスバーのアッパーバスバーUB1、UB2とローワーバスバーLB1、LB2との間に挟み込むことができる構造であれば、上記バスバーフレーム部と異なる構造のバスバーフレーム部も採用可能である。
【0039】
本発明のインピーダンス測定充放電治具1000は、インピーダンス測定のために電線L1、L2を備える。上記電線L1、L2は、インピーダンス測定のために交流信号を印加するための信号線L1と、上記印加された信号に対する電池セルからの応答をセンシングするセンシング線L2とが典型的に含まれる。また、必要に応じて電源と連結される電源線(図示せず)を含むことができる。配線を簡便にするために、上記電源線はセンシング線とねじって結合することができる。交流信号にノイズが発生するのを防止するために、上記電源線を信号線に結合することは避けることが好ましい。
【0040】
上記電線L1、L2は、充放電治具の上部に設けられる電池セル10との干渉を避けるために、固定ブロック100および可動ブロック200の底面に沿って延長設置される。また、後述する可動ブロック200のスライド移動時に電線L1、L2の長さが可変することを防止するために、上記電線L1、L2は、固定ブロック100の一側部と可動ブロック200の他側部にそれぞれ固定される。すなわち、上記固定ブロック100の一側部と可動ブロック200の他側部との間に延長される電線L1、L2の長さは一定に保たれる。
【0041】
図4を参照すると、電線L1、L2を固定ブロック100の一方側部と可動ブロック200の他側部に固定するために所定の固定治具150、240が設けられる。
【0042】
本発明に係る電池セルのインピーダンス測定充放電治具1000は、電池セルの電極リードがそれぞれ結合される第1および第2充放電バスバーを両側に備え、電池セルの長手方向に変位が可能な充放電治具である。充放電治具の変位は、固定ブロック100に対して上記可動ブロック200がスライドして相対移動することによって達成される。
【0043】
可動ブロック200と固定ブロック100とのスライド結合は、ガイドスリット220とスライド支持部材120との結合により行うことができる。例えば、上記固定ブロック100および可動ブロック200のうちの一つの幅方向両側にガイドスリット220が形成され、上記固定ブロック100および可動ブロック200のうちの他の一つに上記ガイドスリットに挿入されるスライド支持部材120を設けることができる。上記スライド支持部材120が上記ガイドスリット220に沿ってスライドすることによって、上記可動ブロック200が固定ブロック100に沿ってスライドすることができる。このとき、ガイドスリット220は、固定ブロック100および可動ブロック200のうちいずれか一つに設けられればよい。図1図4の実施形態においては、ガイドスリット220が可動ブロック200の幅方向両側に形成され、スライド支持部材120が固定ブロック100の幅方向両側に形成される。しかしながら、後述する図6および図7の実施形態では、ガイドスリット220が固定ブロック100に形成され、スライド支持部材120が可動ブロック200に形成されている。
【0044】
図1の要部拡大図に示すように、上記スライド支持部材120は上記ガイドスリット220に挿入され、上記固定ブロック100にねじ結合されるか(図1図4の実施形態)または可動ブロック200にねじ結合される(図6、7の実施形態)本体部と、上記ガイドスリットより大きな幅の頭部とを有することができる。上記頭部はガイドスリット220より大きい幅を有するため、ガイドスリット220から上記スライド支持部材120の離脱を防止し、これにより可動ブロック200が固定ブロック100から離脱されることを防ぐことができる。また、上記スライド支持部材120の本体部は、ねじ山を備え、固定ブロック100または可動ブロック200にねじ結合される。そのため、上記ねじ結合の程度を調整して可動ブロック200を固定ブロック100に固定することができる。すなわち、図1の要部拡大図に示すように、可動ブロック200の移動が完了した後、上記頭部を下方に移動するようにスライド支持部材120をさらに回転させると、上記頭部が上記ガイドスリット220の両側縁を押圧することになり、上記可動ブロック200を固定ブロック100に固定することができる。
【0045】
上記可動ブロック200は、上記固定ブロック100の上面または底面にスライド可能に結合することができる。図1図4の実施形態では、可動ブロック200が上記固定ブロック100の上面に結合されるが、図6図7の実施形態では可動ブロック200が固定ブロック100の底面にスライド可能に結合される。本明細書では、上記ガイドスリット220とスライド支持部材120との結合により可動ブロック200が固定ブロック100にスライド可能に結合されるが、これに限定されない。例えば、可動ブロック200および固定ブロック100のうちいずれか一つの幅方向両側にガイドレールを形成し、可動ブロック200および固定ブロック100のうち他の一つの幅方向両側に上記ガイドレールと結合するガイド溝を形成することができる。その他、機械分野で適用される多様な形態のスライド結合構造を可動ブロック200と固定ブロック100との間に導入することができる。
【0046】
上記固定ブロック100の一側部の上部および上記固定ブロック100の一側部と反対となる可動ブロック200の他側部の上部には、第1及び第2充放電バスバーがそれぞれ設けられ、上記固定ブロック100の一側部の下部および上記固定ブロック100の一側部と反対となる可動ブロック200の他側部の下部には、支えフレーム130、230が設けられている。上記支えフレーム130、230は、上記固定ブロック100および可動ブロック200と結合され、上記可動ブロック200の他側部または他側部の支えフレーム230を上記固定ブロック100に移動させて充放電治具を変位させることができる。
【0047】
上述したように、インピーダンス測定のために固定ブロック100および可動ブロック200の底面に設けられる電線L1、L2は、固定ブロック100の一側部と可動ブロック200の他側部にそれぞれ固定されるため、その電線L1、L2の長さは一定に保たれる。ここで、上記電線L1、L2は、固定ブロック100の一側部の底面または可動ブロック200の他側部の底面に固定設置することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、固定ブロック100の一側部に連結された支えフレーム130、可動ブロック200の他側部に連結された支えフレーム230に固定されることができる。すなわち、本発明において、電線L1、L2が固定ブロック100の一側部および可動ブロック200の他側部に固定されるということは、上記一側部および他側部に直接固定されることはもちろん、上記一側部および他側部に結合される他の部材に固定される場合まで含む。
【0048】
本発明は、電線L1、L2の長さが固定されるほか、可動ブロック200の移動により電線L1、L2が移動するとき、その電線L1、L2の張力も一定に保つ構造を有する。このために、本発明は、上記固定ブロック100の底面にスライド可能に結合される移動ブロック300を備える。また、上記固定ブロック100の底面側に電線L1、L2が掛けられて支持される第1ロッドR1、R1’が備えられ、上記移動ブロック300に上記電線L1、L2が掛けられて支持される第2ロッドR2、R2’を備えている。上記移動ブロック300のスライド結合は、ガイドレールおよびガイド溝との結合であってもよい。例えば、図3および図4によく示されるように、固定ブロック100の底面にガイドレール140を設け、移動ブロック300のガイド溝をこのガイドレールに結合することができる。もちろん、固定ブロック100の底面にガイド溝を形成し、移動ブロック300にガイドレールを設ける構造も可能である。
【0049】
図3および図4を参照すると、上記第1ロッドR1、R1’は、上記移動ブロック300より上記可動ブロック200に近い固定ブロック100の底面側に突出して設けられる。すなわち、上記第2ロッドR2、R2’は、上記第1ロッドR1、R1’より固定ブロック100に近い側で上記移動ブロック300上に突出して設けられる。
【0050】
これにより、図4に示すように、上記固定ブロック100の一側部から延長される電線L1、L2が上記第1ロッドR1、R1’に乗って旋回して上記固定ブロック100側に復帰する軌跡の第1ループl1を形成し、上記第1ループl1から延長される電線L1、L2が上記第2ロッドR2、R2’に乗って旋回して上記可動ブロック200側に向かう軌跡の第2ループl2を形成する。本発明は、上記第1及び第2ループの長さを可変させながら電線L1、L2の張力変化を吸収することを技術的思想としている。すなわち、本発明は、上記可動ブロック200が固定ブロック100に対してスライド移動するとき、上記移動ブロック300が可動ブロック200と同じ方向に連動移動することによって、上記第1及び第2ループの長さが調節されて上記電線L1、L2の張力変化を吸収することを特徴とする。
【0051】
例えば、可動ブロック200を固定ブロック100の方に移動させると、可動ブロック200に固定された電線L1、L2が共に移動して、固定ブロック100と可動ブロック200との間に設けられた電線L1、L2の張力が緩み得る。この場合、上記移動ブロック300を上記可動ブロック200の移動に連動して可動ブロック200と同じ方向に移動させると、上記移動ブロック300の第2ロッドR2、R2’にかかる電線L1、L2も一緒に移動することになる。これにより、上記電線L1、L2の張力が回復し、電線L1、L2が再びタイトに維持される。逆に、可動ブロック200を上記固定ブロック100から遠ざかるように移動させると、上記可動ブロック200に固定された電線L1、L2に張力が過度にかかり得る。この場合、可動ブロック200の移動に連動して上記移動ブロック300を可動ブロック200と同じ方向(すなわち、固定ブロック100から遠ざかる方向)に移動させると、移動ブロック300の第2ロッドR2、R2’にかかる電線L1、L2も共に移動することになる。これにより、上記電線L1、L2にかかる張力が解消される。
【0052】
図4を参照すると、上記固定ブロック100および可動ブロック200の幅方向両側に沿って並んで信号線L1とセンシング線L2とが延長される。上記信号線L1とセンシング線L2は、それぞれ固定ブロック100の一側部と可動ブロック200の他側部に固定され、固定ブロック100および可動ブロック200の底面に沿って延長される。上記電線L1、L2の数に応じて、上記第1ロッドR1、R1’は、上記固定ブロック100の幅方向両側に設けられる第1信号線ロッドR1および第1センシング線ロッドR1’の第1ロッド対で構成される。上記移動ブロック300は、上記第1信号線ロッドR1および第1センシング線ロッドR1’の間に設けられ、上記第2ロッドR2、R2’も上記電線L1、L2の数に応じて、移動ブロック300の幅方向両側に設けられる第2信号線ロッドR2および第2センシング線ロッドR2’の第2ロッド対で構成される。上記第1ロッド(対)および第2ロッド(対)の端部には、電線L1、L2がロッドから離脱することを防止するために拡張部が形成されている(図3参照)。
【0053】
上記移動ブロック300を可動ブロック200と同じ方向に連動移動させる機構は様々であり得る。本実施形態では、固定ブロック100の一側部側の方に一端が設けられ、他端が上記移動ブロック300に結合される弾性部材Sを設けて、移動ブロック300と可動ブロック200の連動移動を達成している。上記弾性部材Sは、上記移動ブロック300を固定ブロック100の一側に引くように力(弾性力)を加えている。
【0054】
上記弾性部材Sによる上記移動ブロック300および可動ブロック200の連動移動過程および張力変化吸収過程について図5を参照して説明する。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の作動状態図である。
【0056】
図5の(a)の図面は、可動ブロック200が固定ブロック100に対して停止した状態で、上記弾性部材Sが上記移動ブロック300に対して力を加えている状態を図示している。この状態で図5の(b)のように可動ブロック200を固定ブロック100から遠ざかるように引っ張ると、可動ブロック200の他側部に設けられた電線L1、L2が引っ張られる。これにより、上記電線L1、L2が巻かれて第2ループl2を形成する第2ロッドR2、R2’が上記可動ブロック200の移動方向に移動することになる。すなわち、上記第2ロッドの対を備えた移動ブロック300が上記可動ブロック200と同じ方向に移動することになる。移動ブロック300が移動することにより、上記可動ブロック200に連結された電線L1、L2にかかる張力が解消される。この場合、上記移動ブロック300は、上記弾性部材Sの弾性力に抵抗して上記可動ブロック200側に移動する。すなわち、可動ブロック200の移動に伴う電線L1、L2の張力上昇、移動ブロック300の連動移動に伴う張力の下降または吸収が上記弾性部材Sの弾性力の助けを受けてスムーズに行われる。
【0057】
一方、図5の(a)の状態から図5の(c)のように可動ブロック200が固定ブロック100に向かって移動する場合について説明する。この場合は、可動ブロック200が固定ブロック100側に移動するにつれて、可動ブロック200に固定された電線L1、L2の張力が低下するが、上記弾性部材Sが上記移動ブロック300および第2ロッドR2、R2’を引っ張りながら上記移動ブロック300を固定ブロック100側に移動する。したがって、低下した張力は、上記移動ブロック300の移動および弾性部材Sの弾性力の作用によって再び回復される。
【0058】
上記移動ブロック300および第2ロッドR2、R2’の移動に応じて、上記第2ロッドR2、R2’に乗って旋回する第2ループl2の長さが可変され、これにより、上記固定ブロック100に設けられた第1ロッドR1、R1’に乗って旋回する第1ループl1の長さも可変される。
【0059】
したがって、本発明によれば、上記移動ブロック300が可動ブロック200と同じ方向に連動移動することによって、上記第1及び第2ループの長さが調節されて上記電線L1、L2の張力変化が吸収される。これにより、固定ブロック100と可動ブロック200に固定される上記電線L1、L2は、その長さが一定に保たれながらも、可動ブロック200の移動時に張力も一定に保つことができる。インピーダンスを測定するための信号線とセンシング線の長さと張力が一定になると、電線L1、L2の長さ変化または張力変化によって生じる電線L1、L2の長さ変化が防止される。これにより、電線L1、L2の長さの可変に伴うノイズの発生を防止して、電池セルのインピーダンスをより正確に測定することができる。
【0060】
図1図4を参照すると、上記固定ブロック100の一側部の底部にインピーダンス測定ボード400が結合される。図示のように、インピーダンスを測定する測定ボード400が充放電治具に設けられると、インピーダンス測定のために上記電線L1、L2を外部に長く導出する必要がない。これにより、インピーダンス測定の精度をさらに高めることができる。インピーダンス測定ボード400を支持するために、測定ボード支持部410がインピーダンス測定ボード400に結合される。
【0061】
インピーダンス測定のための回路を完結するために、上記固定ブロック100の一側部の固定治具150に固定された電線L1、L2が延長されて上記インピーダンス測定ボード400に連結される。160は、この延長された電線がインピーダンス測定ボード400に結合される結合部(固定治具)を示す。上記可動ブロック200の他側部の固定治具240に固定された電線L1、L2が延長されて上記第2充放電バスバーに結合されることができる。上記第2充放電バスバーに延長される電線L1’、L2’は、結合部材Cによって上記第2充放電バスバーに結合される(図3参照)。また、上記第1充放電バスバーと上記インピーダンス測定ボード400を連結する電線L1”、L2”がさらに備えられ、これにより、上記インピーダンス測定ボード400によるインピーダンス測定回路が完成する。上記電線L1”、L2”も結合部材Cによって第1充放電バスバーと結合される。参考として本発明では4端子法によりインピーダンスを測定するために図2のように、アッパーバスバーUB1、UB2を2つの分離された金属ブロックで形成しており、上記アッパーバスバーUB1、UB2の金属ブロックに信号線とセンシング線の電線L1、L2がそれぞれ連結される。
【0062】
(第2実施形態)
図6は、本発明の他の実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の構造および作動状態を示す概略図である。
【0063】
本実施形態は、弾性部材Sが固定ブロック100’の一側部と上記移動ブロック300’を結合して設けられた点は第1実施形態と同一である。第2実施形態は、可動ブロック200’が固定ブロック100’の上面ではない底面にスライド可能に結合され、移動ブロック300’をガイドするガイドレール120’が固定ブロック100の幅方向両側に対で形成された点が異なる。
【0064】
また、可動ブロック200'が枠状のフレーム部Fで形成され、上記移動ブロック300’が上記フレーム部Fの内側に位置する点も第1実施形態と異なる。上記移動ブロック300’を上記フレーム部Fの内側に位置させると、上記移動ブロック300’と対向する可動ブロック200’のフレーム部の内側面F1が移動ブロック300’のストッパー面として作用できる。
【0065】
具体的には、図6の(a)を参照すると、移動ブロック300’は、可動ブロック200’のフレーム部Fの内側で上記固定ブロック100’のガイドレール120’にスライド可能に結合される。この状態は、可動ブロック200’が固定ブロック100’からできるだけ遠ざかるように配置され、可動ブロック200’のフレーム部の内側面F1が移動ブロック300’の正面に接触している。すなわち、この場合は、弾性部材Sが上記移動ブロック300’を引っ張るとしても、上記移動ブロック300’が上記フレーム部の内側面F1に塞がれて固定ブロック100’側に移動することができない。このような点で、上記フレーム部の内側面F1は、上記移動ブロック300’のストッパー面として作用する。
【0066】
図6の(a)の状態で可動ブロック200’を固定ブロック100’側に移動させると、可動ブロック200’のフレーム部Fが移動ブロック300’側から離間するため、上記移動ブロック300’は、上記弾性部材Sの弾性力によって固定ブロック100’側に連動移動される(図6の(b)参照)。可動ブロック200’がさらに移動すると、移動ブロック300’も従って連動移動し、弾性部材Sの弾性力が作用しなくなると移動ブロック300’が停止される(図6の(c)参照)。したがって、本実施形態においても、可動ブロック200’の移動に伴う電線L1、L2の張力下降、移動ブロック300の連動移動に伴う張力上昇または吸収が、上記弾性部材Sの弾性力の助けを受けてスムーズに行われる。
【0067】
図6の(d)は、上記図6の(a)のA-A線による側断面図を示したものである。図示のように、固定ブロック100’の幅方向両側に形成されたガイドスリット120’に沿って移動ブロック300’の幅方向両側に形成されたスライド支持部材220’がガイドされる。また、移動ブロック300’は、固定ブロック100’の底面に設けられた2つのガイドレール140、140’に結合される2つのガイド溝を備えて上記固定ブロック100にスライド可能に結合されることがよく表れている。また、上記固定ブロック100’の幅方向両側および移動ブロック300’の幅方向両側に第1ロッドR1、R1’および第2ロッドR2、R2’がそれぞれ設けられた様子が示されている。
【0068】
一方、上記可動ブロック200’は、フレーム部Fの他に加えて可動ブロック200’の長手方向に延長される長手方向軸250を備えている。本実施形態では、上記長手方向軸250の厚さがフレーム部の厚さより薄く形成されており、上記移動ブロック300が上記フレーム部Fの内側で上記長手方向軸250上に支持されている。(図6の(a)および図6の(d)参照)。
【0069】
(第3実施形態)
図7は、本発明の別の実施形態の電池セルのインピーダンス測定充放電治具の構造および作動状態を示す概略図である。
【0070】
本実施形態は、移動ブロック300”と上記可動ブロック200”の連動移動構造であって、第1及び第2実施形態とは異なるギア結合構造を採用している。すなわち、本実施形態は、上記可動ブロック200”が上記固定ブロック100”の底面にスライド可能に結合され、上記可動ブロック200”と上記移動ブロック300”がギア結合によって結合される。
【0071】
本実施形態で、可動ブロック200”が固定ブロック100”の上面ではない底面にスライド可能に結合され、移動ブロック300”をガイドするガイドレール120”が固定ブロック100”の幅方向両側に対で形成された点が第1実施形態と異なる。
【0072】
本実施形態においても、上記電線L1、L2は、上記固定ブロック100”および可動ブロック200”の幅方向両側に沿って並んで延長される信号線とセンシング線を含む。これにより、上記第1ロッドR1、R1’は、上記固定ブロック100”の幅方向両側に設けられる第1信号線ロッドR1および第1センシング線ロッドR1’の第1ロッド対で構成される。
【0073】
本実施形態では、移動ブロック300”が2つ備えられる点が第1及び第2実施形態と異なる。上記移動ブロック300”は上記第1信号線ロッドの内側および第1センシング線ロッドの内側でそれぞれ上記固定ブロック100にスライド可能に結合される信号線用の移動ブロック300”およびセンシング線用の移動ブロック300”の移動ブロック対で構成される。これにより、上記第2ロッドR2、R2’も移動ブロック300”の幅方向両側に設けられる第2信号線ロッドR2および第2センシング線ロッドR2’の第2ロッド対で構成される。
【0074】
上記可動ブロック200”と移動ブロック300”のギア結合構造は次の通りである。
【0075】
上記可動ブロック200”は、枠状のフレーム部Fと、上記フレーム部Fの内側中央部に上記可動ブロック200”の長手方向に延長されて両側面に第1ねじ山251が形成された長手方向軸250を備える。また、上記センシング線用の移動ブロック300”および信号線用の移動ブロック300”は、上記可動ブロック200”の幅方向両側に位置したフレーム部Fと上記長手方向軸250との間に配置され、上記長手方向軸250と対向する上記移動ブロック300”の側面に第2ねじ山が形成される。
【0076】
上記センシング線用の移動ブロック300”と長手方向軸250との間、および信号線用の移動ブロック300”と長手方向軸250との間に設けられたギアトレーンを介して上記長手方向軸250と上記移動ブロック300が結合される。
【0077】
この場合、上記ギアトレーンは、第1ねじ山251に噛み合う第1ギアG1および上記第2ねじ山に噛み合う第2ギアG2で構成され、上記第1ギアG1と第2ギアG2は、上記可動ブロック200”が移動する距離の1/2の距離ほど上記センシング線用の移動ブロック300”および信号線用の移動ブロック300”が移動するように設定されるギア比で互いに結合される。
【0078】
具体的には、図7の(a)を参照すると、センシング線用の移動ブロック300”と信号線用の移動ブロック300”は、上記第1および第2ギアG1、G2を介在して上記可動ブロック200”のフレーム部Fに形成された長手方向軸250とギア結合されている。この状態は、可動ブロック20”が固定ブロック100”からできるだけ遠ざかるように配置された状態である。
【0079】
図7の(a)の状態で可動ブロック200”を固定ブロック100”側に移動させると、可動ブロック200”の長手方向軸250が固定ブロック100”側に移動し、長手方向軸の第1ねじ山251に噛み合った第1ギアG1が回転する。これにより、第1ギアG1と結合された第2ギアG2も回転し、第2ギアG1と噛み合った第2ねじ山を有する移動ブロック300”(センシング線用の移動ブロックおよび信号線用の移動ブロック)が固定ブロック100”側に連動移動する(図7の(b)参照)。可動ブロック200”がさらに移動すると、移動ブロック300”も上記ギア結合により連動移動し、可動ブロック200”の移動が終了した時点でギア回転が停止するため、移動ブロック300”が停止される(図7の(c)参照)。
【0080】
本実施形態においても、可動ブロック200”の移動に伴う電線L1、L2の張力下降、移動ブロック300”の連動移動に伴う張力上昇または吸収が、上記ギア結合の助けを受けてスムーズに行われる。この場合、上記第1ギアG1と第2ギアG2のギア比を調整して、可動ブロック200”の移動に対する移動ブロック300”の移動距離を調整することができる。これにより、移動ブロック300”の第2ロッドR2、R2’に支持される電線L1、L2の張力も一定に調整することができる。例えば、上記第1ギアと第2ギアのギア比を上記可動ブロック200”が移動する距離の1/2の距離ほど上記センシング線用の移動ブロック300”および信号線用の移動ブロック300”が移動するように設定することができる。
【0081】
図7の(d)は、上記図7の(a)のB-B線による側断面図を示したものである。図示のように、固定ブロック100”の幅方向両側に形成されたガイドスリット120”に沿って移動ブロック300”の幅方向両側に形成されたスライド支持部材220”がガイドされる。また、移動ブロック300”は、固定ブロック100”の底面に設けられた2つのガイドレール140、140’にそれぞれ結合される2つの移動ブロックで構成され、その下部に第2信号線ロッドR2および第2センシング線ロッドR2’を備えている。また、上記固定ブロック100”の幅方向両側に第1ロッドR1、R1’が設けられた様子が示されている。
【0082】
また、可動ブロック200”は、フレーム部Fの中央に可動ブロックの長手方向に延長される長手方向軸250を備えており、上記長手方向軸250と上記移動ブロック300との間には、第1及び第2ギアG1、G2がギア結合されたことが示されている。上記第1および第2ギアは固定ブロック100”の底面に設置されて安定的に支持されることができる。
【0083】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【0084】
なお、本明細書では上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が用いられているが、これらの用語は説明の便宜のためのものであり、対象となる物体の位置や観察者の位置などによって変わり得ることは自明である。
【符号の説明】
【0085】
10:電池セル
11、12:電極リード
100、100'、100'':固定ブロック
110:第1バスバーフレーム部
120:ガイドスリット
130:支えフレーム
140:ガイドレール
150:固定治具
160:固定治具
200、200'、200'':可動ブロック
210:第2バスバーフレーム部
220: スライド支持部材
230:支えフレーム
240:固定治具
300、300'、300'':移動ブロック
R1、R1':第1ロッド
R2、R2':第2ロッド
L1、L2:電線
l1、l2:第1ループ、第2ループ
S:弾性部材
F:フレーム部
F1:フレーム部の内側面
250:長手方向軸
251:第1ねじ山
G1:第1ギア
G2:第2ギア
400:インピーダンス測定ボード
410:測定ボード支持部
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7