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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ルーフ付きトライク
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/02 20130101AFI20240524BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240524BHJP
   B60P 3/34 20060101ALI20240524BHJP
   A61G 3/08 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B62K5/02
B60P3/00 A
B60P3/34 Z
A61G3/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024010664
(22)【出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-01-29
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597116252
【氏名又は名称】村山 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 哲夫
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-158487(JP,A)
【文献】特開2001-341647(JP,A)
【文献】特開平01-309819(JP,A)
【文献】特開昭63-008081(JP,A)
【文献】特開2003-127749(JP,A)
【文献】特開2021-075237(JP,A)
【文献】特開昭63-212185(JP,A)
【文献】特許第6246975(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0042514(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/02
B62K 7/00
B62D 63/02
B60P 3/00
A61G 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った福祉車両仕様のルーフ付きトライクであって、
前記ボディパネルは、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側とラゲッジスペース側とを隔離する隔離壁を設けて成り、
前記運転席スペース側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネルを設けて成り、
前記ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドアを設けて成り、
前記ボディパネルの後方には跳ね上げ式のテールゲートと、乗降用のスロープゲートを備えて成り、
身体障害者が乗車する車椅子は、前記エンジンカバーパネルを跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成されて成り、
付添人がテールゲートとスロープゲートを開閉して車椅子を乗り込ませることによって、身体障害者が車椅子に乗車した状態で運転することができることを特徴とするルーフ付きトライク。
【請求項2】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った福祉車両仕様のルーフ付きトライクであって、
前記ボディパネルは、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側とラゲッジスペース側とを隔離する隔離壁を設けて成り、
前記運転席スペース側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネルを設けて成り、
前記ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドアを設けて成り、
前記ボディパネルの後方には自動で開閉する跳ね上げ式のテールゲートと、乗降用のスロープゲートを備えて成ると共にダッシュボードパネル内に備えられる電動ウインチを設けて成り、
身体障害者が乗車する車椅子は、前記エンジンカバーパネルを跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成されて成り、
身体障害者がテールゲートとスロープゲートを遠隔操作によって自動的に開閉し、電動ウインチを作動させて車椅子をトライク内に引き込むことで、車椅子に乗車した状態で運転することができることを特徴とするルーフ付きトライク。
【請求項3】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った貨物車両仕様のルーフ付きトライクであって、
前記ボディパネルは、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口にはセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側とラゲッジスペース側とを隔離する隔離壁を設けて成り、
前記運転席スペース側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネルの上部に着脱自在の運転座席を備えて成り、
前記ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドアを設けて成り、
前記ボディパネルの後方には跳ね上げ式のテールゲートと、乗降用のスロープゲートを備えて成り、
運転者がテールゲートとスロープゲートを開閉して荷物を運搬車に積載した状態で運転することができることを特徴とするルーフ付きトライク。
【請求項4】
前記ボディパネルの乗降口に内側から装着する乗降口カバーシートを備えると共に、前記跳ね上げ式のテールゲートを利用して車内空間を拡張する車内空間拡張手段を備えて成ることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか記載のルーフ付きトライク。
【請求項5】
前記ボディパネルの乗降口の運転席スペース側に内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネルを装着すると共に、該乗降口の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風雨カウルを設けて成ることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか記載のルーフ付きトライク。
【請求項6】
前記ボディパネルの運転席スペース側の乗降口に着脱自在の風雨吹き込み防止手段を設けて成ることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか記載のルーフ付きトライク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、必要に応じて車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした福祉車両仕様のルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができる貨物車両仕様のルーフ付きトライクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来における福祉車両仕様のルーフ付きトライクに関する提案は、例えば、後輪が1輪で前輪が2輪の原動機を備えた三輪車両と、該三輪車両のボディを形成する車体とで構成され、車体の後輪側に形成された後部乗車口に、該後部乗車口を開閉自在に閉塞すると共に、乗車時に車椅子用のスロープになる揺動自在な乗車スロープを設け、前輪上に形成したフロアに運転スペースと助手席とを設けると共に、後輪上に形成したフロアから運転スペースまで車椅子で移動可能に形成し、該運転スペースに車椅子を固定する固定具を備えた「車椅子用三輪車両」(特許文献-1)が提案されている。
【0003】
一方、本発明のルーフ付きトライクは、全長2.2m、全幅1.0m、全高1.65m、総排気量125cc~全長2.5m、全幅1.3m、全高2.0m、総排気量250cc以下で製造されている。
また、車両構造としては、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)における側車付二輪自動車(通称トライク)については、『跨がり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放された自動車』の法令基準に準じて製造されている。
【0004】
しかしながら、係る「車椅子用三輪車両」(特許文献-1)の提案は、車椅子用の三輪車両としているが、構造的には、四輪のワンボックスカーの形状を有して形成されており、運転席の横に助手席が設けられている。車体の前方部にエンジン駆動部が配置されている。後部乗車口から運転席までの移動経路が直線的でなく、また必要以上に移動距離が長い。車椅子の設置形態が跨がり式の座席構成ではない。乗車口の設置個所が運転席の側方の位置に解放されていない等、道路運送車両法の側車付二輪自動車の法的仕様基準に準じた形状に製作されていないものであり、加えて本発明のルーフ付きトライクと比して運転席スペースとラゲッジスペースを分離する隔離壁が設けられていないことや、前輪が二輪であることから操舵構造が複雑であるといった相違点があるものであった。
【0005】
また、駆動装置を備えた車椅子において、該駆動装置を備えた車椅子の車椅子本体に乗員が座って乗車することのできる座席を有する室内を形成すると共に、該座席の前面に乗員が運転操作することのできるハンドルを備えた「駆動装置を備えた車椅子」(特許文献-2)が提案されている。
【0006】
しかしながら、係る「駆動装置を備えた車椅子」(特許文献-2)の提案は、駆動装置を備えた車椅子の考案とされているが、構造的には車椅子の構成要素を備えていないことや、ハンドルがバーハンドルでないことから実質的には三輪自動車の考案であるものと判断されるもので、本発明の身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にしたルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができるルーフ付きトライクとは、発明の構成が大きく異なるものである。
【0007】
本出願人は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、従来より普及しているルーフ付きトライクと比して、車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に車中泊を可能にしたルーフ付きトライクの提供ができないものかという構想の下、身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした福祉車両仕様のルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができる貨物車両仕様のルーフ付きトライクを開発し、本発明における「ルーフ付きトライク」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2021-75237号公報
【文献】実開昭61-193881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を鑑みてなされるもので、身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、必要に応じて車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした福祉車両仕様のルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができる貨物車両仕様のルーフ付きトライクの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるカーテントは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った福祉車両仕様のルーフ付きトライクであって、前記ボディパネルは、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側とラゲッジスペース側とを隔離する隔離壁を設けて成り、前記運転席スペース側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネルを設けて成り、前記ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドアを設けて成り、前記ボディパネルの後方には跳ね上げ式のテールゲートと、乗降用のスロープゲートを備えて成り、身体障害者が乗車する車椅子は、前記エンジンカバーパネルを跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成されて成り、付添人がテールゲートとスロープゲートを開閉して車椅子を乗り込ませることによって、身体障害者が車椅子に乗車した状態で運転することができる手段を採る。
【0011】
また、本発明におけるルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った福祉車両仕様のルーフ付きトライクであって、前記ボディパネルは、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側とラゲッジスペース側とを隔離する隔離壁を設けて成り、前記運転席スペース側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネルを設けて成り、前記ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドアを設けて成り、前記ボディパネルの後方には自動で開閉する跳ね上げ式のテールゲートと、乗降用のスロープゲートを備えて成ると共にダッシュボードパネル内に備えられる電動ウインチを設けて成り、身体障害者が乗車する車椅子は、前記エンジンカバーパネルを跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成されて成り、身体障害者がテールゲートとスロープゲートを遠隔操作によって自動的に開閉し、電動ウインチを作動させて車椅子をトライク内に引き込むことで、車椅子に乗車した状態で運転することができる手段を採る。
【0012】
また、本発明におけるルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った貨物車両仕様のルーフ付きトライクであって、前記ボディパネルは、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口にはセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側とラゲッジスペース側とを隔離する隔離壁を設けて成り、前記運転席スペース側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネルの上部に着脱自在の運転座席を備えて成り、前記ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドアを設けて成り、前記ボディパネルの後方には跳ね上げ式のテールゲートと、乗降用のスロープゲートを備えて成り、運転者がテールゲートとスロープゲートを開閉して荷物を運搬車に積載した状態で運転することができる手段を採る。
【0013】
また、本発明におけるルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの乗降口に内側から装着する乗降口カバーシートを備えると共に、前記跳ね上げ式のテールゲートを利用して車内空間を拡張する車内空間拡張手段を備えて成る手段を採る。
【0014】
また、本発明におけるルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの乗降口の運転席スペース側に内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネルを装着すると共に、該乗降口の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風雨カウルを設けて成る手段を採る。
【0015】
また、本発明におけるルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの運転席スペース側の乗降口に着脱自在の風雨吹き込み防止手段を設けて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0016】
本発明におけるルーフ付きトライクによれば、身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、必要に応じて車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした福祉車両仕様のルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができる貨物車両仕様のルーフ付きトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、二輪のオートバイと比較すると、停車中やごく低速でも自立するため、停車中にスタンドや運転者の足で車体を支える必要がなく、低速走行が容易である。また、二輪のオートバイを運転することが困難な身体障害者が手軽に乗れると共に、二輪のオートバイより積載能力と安定性が優れているのと同時に、四輪の自動車よりも小回りが利く普通自動車免許で運転することができ、さらに自動二輪車免許を必要としない。さらに二輪のオートバイと比べて転倒の心配が少ないことや、自動車と比べて疾走感が得られるなど、車とオートバイの優れた両面を持ち合わせている、といった優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、維持費用的には、任意保険料ならびに自動車税が軽自動四輪車と比較して割安である上、車検や車庫証明が不要であり、さらに車両購入費、駐車料金、ガソリン燃費が割安である、といった優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、道路幅が狭い商店街の路地走行を容易とする一方、長距離ドライブ旅行時においての高速道路走行が可能、といった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、普通自動車免許(AT可)で運転することができる上、軽量小型であることから女性や主婦など運転技術が未熟な人でも容易に運転することができると共に、日常の買い物や子供の送迎に関してチョイ乗り感覚で容易に運転することができる、といった優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした福祉車両仕様のルーフ付きトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、福祉車両仕様のルーフ付きトライクとしては、介護送迎業会社、地方自治体、病院、介護施設、公用車などに広く利用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、貨物車両仕様のルーフ付きトライクとしては、個人の趣味で利用するゴルフ、釣り、山登り、キャンプ、サーフィン、買い物、通勤通学車としてや、業務用としては、自動車製造会社、新車販売ディラー店、中古車販売店、自動車修理工場、農協、ガソリンスタンド、カーショップ、バイクショップ、キャンピングカー販売会社、ホームセンター、レンタカー会社、デリバリー業者、ピザ、すし屋、蕎麦屋などの出前配達業者、シェアリース会社、農作業車、郵便配達車、宅配業者、移動販売業者、大型レジャーランド、タクシー会社、観光案内業者、鉄道会社、警察署、警備会社、公用車、訪問販売車、乳酸菌飲料配達車、新聞配達業者などに販売することができる、といった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、ボディパネルのテールゲートを利用して車内空間の拡張を図る車内空間拡張手段を備えることによって、キャンプ時においては二人までの車中泊が可能となると共に、日常生活時においては書斎としや、趣味部屋として利用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、乗降口を乗降口カバーシートのスナップロックボタンならびに後部サイドドアおよびテールゲートでもって全て施錠することによって、車内空間が完全に施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる、といった優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの運転席側の乗降口に着脱自在のハーフサイドドアを備えて成る手段を採ることによって、運転中において車内への風雨の吹き込みを防ぐことができると共に、乗降時においても容易に乗り降りができる、といった優れた効果を奏する。
【0027】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの運転席側の乗降口の中段から下段にかけて着脱自在の巻き取り式の防風雨シートまたは差し込み式の防風雨パネルを備えて成る手段を採ることによって、運転中において車内への風雨の吹き込みを防ぐことができると共に、不使用時には、ラゲッジスペース内にコンパクトに格納できる、といった優れた効果を奏する。
【0028】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、ラゲッジスペースを保冷車仕様としたり、貨物配送車仕様の業務用配達車として使用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0029】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、ラゲッジスペースが後部サイドドアと隔離壁とテールゲートとによって騒音や風雨が吹き込まない完全個室状態にすることができる、といった優れた効果を奏する。
【0030】
また、本発明におけるルーフ付きトライクによれば、後部サイドドアの窓ガラス部に遮蔽フィルムを貼付することによって、完全なプライバシー空間が確保できる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明のルーフ付きトライクの実施形態を示す説明図である。 (実施例1)
図2】本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例2)
図3】本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例3)
図4】本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例4)
図5】本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例5)
図6】本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例6)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明におけるルーフ付きトライク10は、身体障害者Sが車椅子Kに乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、必要に応じて車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした福祉車両仕様のルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができる貨物車両仕様のルーフ付きトライク10とした手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
尚、本発明のルーフ付きトライク10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
また、本発明のルーフ付きトライク10は、道路運送車両法の第2条別表第一では軽自動車の内、軽二輪の範囲について、二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)施行規則の全長2.2m以下、全幅1.0m以下、全高1.65m以下、総排気量125cc以下および、全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2.0m以下、総排気量250cc以下の施行規則外の大排気量のバイクを利用した大型トレイク仕様とすることも可能である。
本発明の明細書の記載内容においては、エンジン式のルーフ付きトライク10を基に説明しているが、EV式のルーフ付きトライク10においても動力伝達構造以外は基本的に略同一である。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明のルーフ付きトライクの実施形態を示す説明図である。
図1(a)は本発明のルーフ付きトライク10の全体斜視図である。
図1(b)は付添人Tがテールゲート22とスロープゲート23を手動で開扉し、身体障害者Sが乗車した車椅子Kを車内に押し込む状態を示す断面図である。
図1(c)は車椅子Kに乗車した身体障害者Sが運転席位置に移動し、付添人Tがテールゲート22とスロープゲート23を手動で閉扉する状態を示す断面図である。
図1(d)は付添人Tが同乗する場合は、ラゲッジスペース18に標準仕様の車椅子C(折り畳み機能がある車椅子)を搭載し、その車椅子Cに付添人Tが同乗する状態を示す断面図である。
本発明におけるルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆った福祉車両仕様のルーフ付きトライク10であって、ボディパネル11は、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口14を設け、該乗降口14のセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離する隔離壁16を設けて成り、運転席スペース17側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネル13を設けて成り、ラゲッジスペース18側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドア19を設けて成り、ボディパネル11の後方には跳ね上げ式のテールゲート22と、乗降用のスロープゲート23を備えて成り、身体障害者Sが乗車する車椅子Kは、エンエンジンカバーパネル13を跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成されて成り、付添人Tがテールゲート22とスロープゲート23を開閉して車椅子Kを乗り込ませることによって、身体障害者Sが車椅子Kに乗車した状態で運転することができる手段を採る。
【0035】
本発明のルーフ付きトライク10の車両寸法としては、道路運送車両法の第2条別表第一では軽自動車の内、軽二輪の範囲の二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)施行規則内の標準サイズ仕様については、全長2.2m、全幅1.0m、全高1.65m、総排気量125ccで形成され、ロングサイズ仕様については、全長2.5m、全幅1.3m、全高2.0m、総排気量250ccで形成される。
【0036】
車両構造としては、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)における側車付二輪自動車(通称トライク)については、『跨がり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放された自動車』仕様に準じて形成される。
【0037】
ボディパネル11は、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口14を設け、該乗降口14のセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離する隔離壁16を設けて成り、運転席スペース17側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネル13を設けて成り、ラゲッジスペース18側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドア19を設けて成り、ボディパネル11の後方には跳ね上げ式のテールゲート22と、乗降用のスロープゲート23を備えて形成される。
【0038】
ダッシュボードパネル12には、三輪トライクの操作ハンドル部が内蔵され、さらに反射防止機能付きの計器類及びトライク運転に関連する操作スイッチ類が装備され、ドリンクホルダーやグローブボックス、補助バッテリー類が格納される。
【0039】
エンジンカバーパネル13は、運転席スペース側の長手方向中央には三輪バイクのエンジン駆動部を覆う形で形成され、運転時は、身体障害者Sが車椅子Kに乗車した状態でエンジンカバーパネル13を跨ぐ形で乗車する。
さらにボディパネル11の前方に設けられた通気取り込み口36から外気が取り入れられて運転座席37のエンジン部周辺に外気の通り道が確保されることでエンジン熱や騒音、ガソリン臭などが運転座席37側内へ回り込むのを遮断する構造を有して形成される。
【0040】
乗降口14は、ボディパネル11の運転席側となる側面両側を常時解放する形状に設けられ、中央部には運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離する隔離壁16が設けられている。
【0041】
センターピラーフレーム15は、ボディパネル11の略中央に設けられ、衝突時の車体剛性を高めるロールバーとしての役割と、運転席スペース17とラゲッジスペース18とを隔離する隔離壁16の取り付け支柱の役割を果たす目的で設けられる。
【0042】
隔離壁16は、乗降口14に設けられるセンターピラーフレーム15を支柱として運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離するもので、例えば、アコーディオン式カーテン16aや、折れ戸式引き戸16bによって形成される。
【0043】
アコーディオン式カーテン16aは、ラゲッジスペース18に乗車する同乗者の前方の視界を確保するために透明な樹脂製素地で形成されるアコーディオン式のカーテンであって、運転時は透明なカーテンで前方視を確保する構造で形成される。
【0044】
折れ戸式引き戸16bは、ラゲッジスペース18に乗車する付添人Tの前方の視界を確保するために透明の樹脂製パネルで形成される折り畳み式の引き戸であって、運転時は透明な引き戸で前方視を確保する構造で形成される。
【0045】
運転席スペース17は、エンジンカバーパネル13の上方に配置され、通常座席シートがある位置には車椅子Kの座面がエンジンカバーパネル13を跨ぐ形状に形成される。
また、運転席スペース17の後方に設けられる隔離壁16の両側には、ラゲッジスペース18の冷房と暖房を行うポータブル式の冷房機と暖房機が格納される小物入れ付きの収納ボックス(図示省略)が設置される。
【0046】
ラゲッジスペース18は、側方に開閉される後部サイドドア19と、前方に配置されている隔離壁16と、ボディパネル11の後方に備えられているテールゲート22とスロープゲート23によって個室状態が確保される。
【0047】
後部サイドドア19は、ラゲッジスペース18に装着される乗降用の開閉ドアであって、昇降式ガラスドアを内蔵している。ラゲッジスペース18への乗降が容易にできる共に、ラゲッジスペース18の室内への風雨の吹き込みを防ぐ目的で設けられる。
また、後部サイドドア19ならびに隔離壁16、テールゲート22を施錠することで、ラゲッジスペース18が完全に個室状態となるため所持品の盗難防止対策が図られる。
【0048】
テールゲート22は、ボディパネル11の後方に備えられるハッチバック式の開閉ドアである。
【0049】
スロープゲート23は、ボディパネル11の後方に備えられる乗降用のスロープ式の踏板ドアであって、スロープ距離を調節できる伸縮機能を備えて形成される。
【0050】
通気取り込み口36は、ボディパネル11の前方に設けられ、運転中の前方の空気を車内に取り込んでエンジン熱、騒音、ガソリン臭を車内に滞留させることなく車外に放出する目的で設けられる。
【0051】
車椅子Kは、エンジンカバーパネル13を跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成され、通常仕様の車椅子Cに備えられている折り畳み構造を備えない形状で形成される。
【0052】
本発明のルーフ付きトライク10を運転するまでの手順を示す。
(1)付添人Tがルーフ付きトライク10のテールゲート22とスロープゲート23を手動で開扉する。
(2)付添人Tが身体障害者Sが乗車した車椅子Kを車内に押し込む。(図1b参照)
(3)身体障害者S自身が乗車した車椅子Kを運転席側となる所定の定位置まで移動した後、ロックする。
(4)付添人Tがテールゲート22とスロープゲート23を手動で閉扉する。(図1c参照)
(5)長距離運転する場合、ラゲッジスペース18に標準仕様の車椅子C(折り畳み機能がある車椅子)を積載し、その車椅子Cに付添人Tが同乗することで、身体障害者Sと付添人Tが交替で運転することができる。(図1d参照)
【0053】
以上で構成される本発明のルーフ付きトライク10は、身体障害者Sが車椅子Kに乗車したままの状態で付添人Tが同乗することができるルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例2】
【0054】
図2は、本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図2(a)は身体障害者Sが遠隔装置38を操作してテールゲート22とスロープゲート23を開扉する状態を示す断面図である。
図2(b)は身体障害者Sが遠隔操作で電動ウインチ24を作動させて、車椅子Kをスロープゲート23上に引き上げる状態を示す断面図である。
図2(c)は身体障害者Sが乗車した車椅子Kを運転席側となる所定の位置まで引き進めてロックし、身体障害者Sが遠隔操作して跳ね上げ式のテールゲート22と、乗降用のスロープゲート23を閉扉する状態を示す断面図である。
図2(d)は付添人Tが同乗する状態を示す断面図である。
本発明のルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆った福祉車両仕様のルーフ付きトライク10であって、ボディパネル11は、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口14を設け、該乗降口14のセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離する隔離壁16を設けて成り、運転席スペース17側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネル13を設けて成り、ラゲッジスペース18側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドア19を設けて成り、ボディパネル11の後方には自動で開閉する跳ね上げ式のテールゲート22と、乗降用のスロープゲート23を備えて成ると共にダッシュボードパネル12内に備えられる電動ウインチ24を設けて成り、車椅子Kは、エンジンカバーパネル13を跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成される手段を採る。
【0055】
テールゲート22は、ボディパネル11の後方に設けられ、遠隔操作によって自動で開閉する機能を備える。
【0056】
スロープゲート23は、ボディパネル11の後方に設けられ、遠隔操作によって自動で開閉する機能を備える。
【0057】
電動ウインチ24は、ダッシュボードパネル12内に備えられ、牽引ロープ24aの先端に備えられた牽引フックを車椅子Kに引っ掛けて運転する所定の定位置まで引き込む。
【0058】
車椅子Kは、エンジンカバーパネル13を跨いた状態で車内移動できる構造を有して形成され、折り畳み構造を備えない形状で形成される。前方部には電動ウインチ24の牽引フックが引っ掛けられる引っ掛けリングが備えられる。
【0059】
本発明のルーフ付きトライク10を運転するまでの手順を示す。
(1)身体障害者Sが遠隔装置38を操作してテールゲート22とスロープゲート23を開扉する。(図2a参照)
(2)身体障害者Sが遠隔操作で電動ウインチ24を作動させて車椅子Kをスロープゲート23上に引き上げる。(図2b参照)
(3)身体障害者Sが乗車した車椅子Kを運転席側となる所定の定位置まで引き込んでロックする。(図2c参照)
(4)身体障害者Sが遠隔操作してテールゲート22とスロープゲート23を閉扉する。(図2c参照)
尚、スロープゲート23を伸縮式することによって、スロープゲート23を上方に傾けた状態で身体障害者S自身が手動で格納することができる。
(5)同乗者Gがいる場合は、ラゲッジスペース18に標準仕様の車椅子C(折り畳み機能がある車椅子)を積載し、その車椅子Cに同乗者Gが同乗する。(図2d参照)
長距離運転する場合、身体障害者Sと同乗者Gが交替で運転することができる。
【0060】
以上で構成される本発明のルーフ付きトライク10は、身体障害者Sが乗車した車椅子Kのまま単独で運転することができるルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例3】
【0061】
図3は、本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図3(a)は運転者Dがテールゲート22とスロープゲート23を手動で開扉する状態を示す断面図である。
図3(b)は運転者Dが貨物を積載した運搬車U(カーゴまたは手押し車)を押してスロープゲート23上に押し上げる状態を示す断面図である。
図3(c)は運転者Dが貨物を積載した運搬車Uをラゲッジスペース18の定位置まで押し進め、ロックし、テールゲート22とスロープゲート23を手動で閉扉する状態を示す断面図である。
図3(d)は運転者Dが運搬車Uに積載した荷物をラゲッジスペース18に収納した後、運転座席37に乗車する状態を示す断面図である。
本発明のルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆った貨物車両仕様のルーフ付きトライク10であって、ボディパネル11は、運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口14を設け、該乗降口14にはセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離する隔離壁16を設けて成り、運転席スペース17側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネル13の上部に着脱自在の運転座席37を備えて成り、ラゲッジスペース18側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドア19を設けて成り、ボディパネル11の後方には跳ね上げ式のテールゲート22と、乗降用のスロープゲート23を備えて成る手段を採る。
【0062】
運転座席37は、跨座型の運転席であって、運転席スペース17側の車幅中央位置には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネル13上に着脱・回転自在に設けられる。
【0063】
本発明のルーフ付きトライク10を運転するまでの手順を示す。
(1)運転者Dがルーフ付きトライク10のテールゲート22とスロープゲート23を手動で開扉する。(図1a参照)
(2)運転者Dが貨物を積載した運搬車U(カーゴまたは手押し車)を押してスロープゲート23上に押し上げる。(図1b参照)
(3)運転者Dが貨物を積載した運搬車Uをラゲッジスペース18の定位置まで押し進め、ロックする。
(4)運転者Dがテールゲート22とスロープゲート23を手動で閉扉する。(図1c参照)
(5)運転者Dが運搬車Uに積載した荷物をラゲッジスペース18に収納した後、運転座席37に乗車する。(図1d参照)
【0064】
以上で構成される本発明のルーフ付きトライク10は、運転者Dが荷物を運搬車Uに積載した状態で運転することができると共に、ラゲッジスペース18を保冷車仕様や移動販売仕様、宅配仕様とすることができ、さらに運転座席37を着脱・回転自在に設けることで就寝スペース29が確保されることで車中泊を可能とするルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例4】
【0065】
図4は、本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図4(a)は本発明のルーフ付きトライク10に車内空間拡張手段25を装着した状態を示す断面図である。
図4(b)は本発明のルーフ付きトライク10の乗降口14に乗降口カバーシート26と拡張テント27を装着した状態を示す側面図である。
本発明におけるルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の乗降口14に内側から装着する乗降口カバーシート26を備えると共に、跳ね上げ式のテールゲート22を利用して車内空間を拡張する車内空間拡張手段25を備えて成る手段を採る。
【0066】
車内空間拡張手段25は、テールゲート22と、乗降口カバーシート26と、拡張テント27と、就寝パネル28とから構成される。
【0067】
乗降口カバーシート26は、車中泊時に乗降口14の内側から開口されている全領域をスナップロックボタン26a等で施錠して塞ぐことによって車内に就寝スペース28を確保する。
また、側方にファスナー開口部を設けることによって乗降口14が乗降口カバーシート26で塞がれている状態であっても側方から自由に出入りできる仕様とすることもできる。
また、乗降口14を乗降口カバーシート26のスナップロックボタン26aならびに後部サイドドア19を施錠することによって、車内空間が完全に施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる。
【0068】
拡張テント27は、前方と下方が開口する略縦型直方形のテントシートから成るもので、上端部はクリップによってテールゲート22の縁周部が挟持固定され、下端部は通し穴にペグを打ち込むことにより軟弱な地盤や強風時の拡張テント27のバタつきを抑える手段として設けられるものである。(図示省略)
また、後方面に出入口ファスナーを設けることで後方からの乗り降りを可能にすることもできる。
【0069】
就寝パネル28は、踏板状の矩形のパネルプレートで形成され、補強リブ構造によって剛性を高めた金属または樹脂製の所要の長さと幅と厚みをもって形成される。
【0070】
就寝スペース29は、複数の就寝パネル支持金具およびアングル部材と、数枚の就寝パネル28によって床面Fが平坦になることで形成される。
また、運転席スペース17とラゲッジスペース18の床面Fから下に位置するスペースには、床下収納スペース35を確保することができる。
【0071】
本発明のルーフ付きトライク10の車内に就寝スペース29を確保する手順を示す。
(1)左側の乗降口14の内側から乗降口カバーシート26をスナップロックボタン26aで施錠して左側の乗降口14を塞ぐ。
(2)隔離壁16のアコーディオン式カーテン16aまたは折れ戸式引き戸16bを開扉する。
(3)右側の乗降口14の内側から乗降口カバーシート26をスナップロックボタン26aで施錠して右側の乗降口14を塞ぐ。
(4)ラゲッジスペース18内に格納されていた複数の就寝パネル28を複数の就寝パネル支持金具およびアングル部材を用いてエンジンカバーパネル13の高さに合わせて設置する。
(5)テールゲート22を水平状態まで跳ね上げる。
(6)スロープゲート23を水平状態まで下降させる。
(7)水平状態を保ったテールゲート22に拡張テント27を被せる。
(8)拡張テント27とテールゲート22の縁周部をクリップで止める。
(9)拡張テント27とテールゲート開口段部をクリップで止める。
(10)就寝パネル28によって床面Fが平坦になることによってトライク本体の車内に就寝スペース29が確保される。
【0072】
以上で構成される本発明のルーフ付きトライク10は、就寝パネル28上に身体障害者Sが就寝、ごろ寝、休憩ができるルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例5】
【0073】
図5は、本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図5(a)は、本発明のルーフ付きトライク10にサイドバイザーパネル20ならびに防風雨カウル21を装着した状態を示す全体斜視図である。
図5(b)は、本発明のルーフ付きトライク10にサイドバイザーパネル20ならびに防風雨カウル21を装着した状態を示す側面図である。
本発明のルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の乗降口14の運転席スペース17側に内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネル20を装着すると共に、該乗降口14の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風雨カウル21を設けて成る手段を採る。
【0074】
乗降口14は、ボディパネル11の運転席側となる側面両側を常時解放する形状に設けられ、上部には横からの風雨の吹き込みを防止する役割を果たすサイドバイザーパネル20が備えられ、前方部には前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たす防風雨カウル21が設けられる。
【0075】
サイドバイザーパネル20は、ボディパネル11の運転席スペース17の乗降口14の上方に備えられるもので、ヒンジによって内外両側に跳ね上げられる透明な樹脂パネルで形成されることで左右両側の視界を確保することができると共に、横からの風雨の吹き込みを防止することを目的として設けられる。また、内側に跳ね上げる場合は、運転席スペース17の内側天井近くまで跳ね上げて格納する。外側に跳ね上げる場合は、防風雨カウル21に干渉しない範囲で斜め上方に跳ね上げた状態で運転走行する。
【0076】
防風雨カウル21は、ボディパネル11の前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たすもので、乗降口14の上方および前方に延設して形成されるボディ一体型または後付けよって取り付けられる風雨除けのカウルである。尚、防風雨カウル21を後付けする場合は、車幅寸法内に収まるように取付けられる。
【0077】
以上で構成される本発明のルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の運転席スペース17の乗降口14にサイドバイザーパネル20ならびに防風雨カウル21を設けることによって、運転時において視界を遮ることなく側方からの車内への風雨の吹き込みを防止することができる。
【実施例6】
【0078】
図6は、本発明のルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
本発明のルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の運転席スペース17側の乗降口14に着脱自在の風雨吹き込み防止手段30を設けて成る手段を採る。
【0079】
風雨吹き込み防止手段30は、例えば、ハーフサイドドア31または防風雨シート32または防風雨パネル33で形成される。
図6(a)は、本発明のルーフ付きトライク10の乗降口14に着脱自在のハーフサイドドア31を備えた状態を示す側面図である。
【0080】
ハーフサイドドア31は、運転席スペース17の乗降口14の下方領域(上方領域は解放されている)に着脱自在に装着されるサイドドアである。
降雨時においては、運転席スペース17の乗降口14の乗降ステップ部34への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物の車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、開閉するに際しては、防風雨カウル21と干渉するため、防風雨カウル21をハーフサイドドア31の高さ位置で切断するか、ハーフサイドドア31の開閉角度を制限する必要がある。
【0081】
ハーフサイドドア31の仕様は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車(通称トライク)における『運転者席の側方が解放された自動車』の施行規則に準じて装着されるものである。
【0082】
図6(b)は、本発明のルーフ付きトライク10の乗降口14に防風雨シート32を備えた状態を示す側面図である。
防風雨シート32は、ボディパネル11の運転席スペース17の乗降口14の任意の中段から下段(図示は中段から下段にかけて複数(一枚であってもよい)装着した状態を示す。)にかけて着脱自在に備えられる巻き取り式の幅広防風雨シートであって、材質は例えば、帆布またはシートベルト地で形成され、降雨時においては、運転席スペース17の乗降口14の乗降ステップ部34への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物の車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、防風雨シート32は、運転席スペース17の乗降口14を完全に塞閉するものではなく、サイドバイザーパネル20との間に常時隙間を形成して運転席スペース17のウインドウガラスの曇りを発生させない構造としている。
【0083】
図6(c)は、本発明のルーフ付きトライク10の乗降口14に防風雨パネル33を備えた状態を示す側面図である。
防風雨パネル33は、運転席スペース17の乗降口14の少なくても幅寸法を有してボディパネル11の運転席スペース17の乗降口14の任意の中段から下段(図示は下段のみに装着した状態を示す)にかけて着脱自在に備えられる差し込み式の防風雨パネル33であって、材質は例えば、強化プラスチック板または軽量補強鋼板で形成され、降雨時においては、運転席スペース17の乗降口14の乗降ステップ部34への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物の車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、防風雨パネル33は、運転席スペース17の乗降口14を完全に塞閉するものではなく、サイドバイザーパネル20との間に常時隙間を形成して運転席スペース17のウインドウガラスの曇りを発生させない構造としている。
【0084】
以上における防風雨シート32および防風雨パネル33の仕様は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車(通称トライク)における『運転者席の側方が解放された自動車』の施行規則に準じて装着される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のルーフ付きトライクは、身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができると共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にし、さらに荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができるもので、本発明の「ルーフ付きトライク」は、産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0086】
10 ルーフ付きトライク(トライク本体)
11 ボディパネル
12 ダッシュボードパネル
13 エンジンカバーパネル
14 乗降口
15 センターピラーフレーム
16 隔離壁
16aアコーディオン式カーテン
16b折れ戸式引き戸
17 運転席スペース
18 ラゲッジスペース
19 後部サイドドア
20 サイドバイザーパネル
21 防風雨カウル
22 テールゲート
23 スロープゲート
24 電動ウインチ
24a牽引ロープ
25 車内空間拡張手段
26 乗降口カバーシート
26aスナップロックボタン
27 拡張テント
28 就寝パネル
28a就寝パネル受けフック
29 就寝スペース
30 風雨吹き込み防止手段
31 ハーフサイドドア
32 防風雨シート
33 防風雨パネル
34 乗降ステップ部
35 床下収納スペース
36 通気取り込み口
37 運転座席
38 遠隔装置
K 車椅子(折り畳み機能がない車椅子)
C 標準仕様の車椅子(折り畳み機能がある車椅子)
U 運搬車
S 身体障害者
T 付添人
D 運転者
G 同乗者
F 床面
【要約】      (修正有)
【課題】身体障害者が車椅子に乗車した状態でトライク本体の後方から直接乗り入れて運転することができる福祉車両仕様のルーフ付きトライクと、荷物を運搬車に積載した状態でトライク本体に乗り入れることができる貨物車両仕様のルーフ付きトライクを提供する。
【解決手段】三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆い、該ボディパネルの運転席側となる側面両側には常時開口する乗降口14を設け、乗降口にはセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペース17側とラゲッジスペース18側とを隔離する隔離壁16を設けて成り、運転席スペース側の長手方向中央には三輪バイクのエンジン駆動部を覆うエンジンカバーパネル13を設けて成り、ラゲッジスペース側の側面両側には外側に開閉する後部サイドドア19を設けて成り、ボディパネルの後方にはテールゲート22とスロープゲート23を備えて成る手段を採る。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6