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特許7493692フィーダー式お薬カレンダー作製装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】フィーダー式お薬カレンダー作製装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/04 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A61J7/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024062958
(22)【出願日】2024-04-09
【審査請求日】2024-04-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503219721
【氏名又は名称】株式会社Windy
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】中村 行延
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506127(JP,A)
【文献】特開2017-093708(JP,A)
【文献】特開2017-184877(JP,A)
【文献】特開2019-115384(JP,A)
【文献】特開2019-000593(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
「日付又は曜日と時間帯とにより特定される各服用回分の薬剤であって1種類又は複数種類の1個以上の薬剤をそれぞれ収容する各収容部であって、少なくとも患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を、横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部が、さらに1週間分となるように縦方向に7行又は横方向に7列並ぶように形成されたお薬カレンダートレイ」の各収容部内に、患者の各服用回分の薬剤がそれぞれ収容されて成るお薬カレンダーの作製装置であって、
薬剤シートから除包するまでもなくもともと個別包装されていないバラ錠であって少なくとも患者の服薬に必要な多数個のバラ錠を、必要な種類別に、予め所定の各容器内に収容しておき、前記多数個のバラ錠中の1個又は複数個を前記容器側から前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内に順次供給するバラ錠供給部であって、前記多数個のバラ錠が配置される配置部分と前記配置された多数個のバラ錠の少なくとも一部が前記配置部分から前記排出口側へ移動する細長い通路部分とを含むバラ錠供給部と、
前記通路部分中を前記バラ錠が移動又は存在しているかどうかを検知する移動検出部と、
前記移動検出部からの出力に基づいて前記通路部分と前記配置部分との接続部分又は前記通路部分内に存在するバラ錠を前記配置部分側の方向に押し戻すように移動する棒状部材と、
前記バラ錠供給部側から前記バラ錠が前記お薬カレンダートレイ側に供給されるタイミングに合わせて、前記バラ錠供給部側の供給口に前記お薬カレンダートレイの各収容部が順次対向するように前記お薬カレンダートレイを順次移動させる動作を、前記バラ錠が前記患者の服薬に必要な各収容部の全てに収容されるまで繰り返すトレイ移動部と
を備えたことを特徴とするフィーダー式お薬カレンダー作製装置。
【請求項2】
「日付又は曜日と時間帯とにより特定される各服用回分の薬剤であって1種類又は複数種類の1個以上の薬剤をそれぞれ収容する各収容部であって、少なくとも患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を、横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部が、さらに1週間分となるように縦方向に7行又は横方向に7列並ぶように形成されたお薬カレンダートレイ」の各収容部内に、患者の各服用回分の薬剤がそれぞれ収容されて成るお薬カレンダーの作製装置であって、
薬剤シートから除包するまでもなくもともと個別包装されていないバラ錠であって少なくとも患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を、必要な種類別に、予め所定の各容器内に収容しておき、前記多数個のバラ錠中の1個又は複数個を前記容器側から前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内に順次供給するバラ錠供給部と、
前記バラ錠供給部側から前記バラ錠が前記お薬カレンダートレイ側に供給されるタイミングに合わせて、前記バラ錠供給部側の供給口に前記お薬カレンダートレイの各収容部が順次対向するように前記お薬カレンダートレイを順次移動させる動作を、前記バラ錠が前記患者の服薬に必要な各収容部の全てに収容されるまで繰り返すトレイ移動部と、
前記バラ錠供給部側から供給される患者の服薬に必要な複数種類の各バラ錠が前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内にそれぞれ収容された後、前記各お薬カレンダートレイの各収容部内の各バラ錠を封止しないまま、前記複数の各お薬カレンダートレイを上下に重ねてそれらを袋などの包装部材内に真空パックする真空パック部と
を備えたことを特徴とするフィーダー式お薬カレンダー作製装置。
【請求項3】
「日付又は曜日と時間帯とにより特定される各服用回分の薬剤であって1種類又は複数種類の1個以上の薬剤をそれぞれ収容する各収容部であって、少なくとも患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を、横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部が、さらに1週間分となるように縦方向に7行又は横方向に7列並ぶように形成されたお薬カレンダートレイ」の各収容部内に、患者の各服用回分の薬剤がそれぞれ収容されて成るお薬カレンダーの作製方法であって、
薬剤シートから除包するまでもなくもともと個別包装されていないバラ錠であって少なくとも患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を、必要な種類別に、予め所定の各容器内に収容しておき、前記多数個のバラ錠中の1個又は複数個を前記容器側から前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内に順次供給するバラ錠供給ステップと、
前記バラ錠供給ステップにおいて前記バラ錠が前記お薬カレンダートレイ側に供給されるタイミングに合わせて、前記バラ錠供給部側の供給口に前記お薬カレンダートレイの各収容部が順次対向するように前記お薬カレンダートレイを順次移動させる動作を、前記バラ錠が前記患者の服薬に必要な各収容部の全てに収容されるまで繰り返すトレイ移動ステップと、
前記バラ錠供給ステップにより患者の服薬に必要な複数種類の各バラ錠が前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内にそれぞれ収容された後、前記各お薬カレンダートレイの各収容部内の各バラ錠を封止しないまま、前記複数の各お薬カレンダートレイを上下に重ねてそれらを袋などの包装部材内に真空パックする真空パックステップと
を含むことを特徴とするフィーダー式お薬カレンダー作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はお薬カレンダー作製装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調剤薬局においては、医療機関が発行する処方箋の情報に基づいて各患者に交付する薬剤を「お薬カレンダー」の形にして交付することが広く行われている。このお薬カレンダーは現在、様々なタイプのものが存在しているが、一般的には、調剤薬局側が特に服薬管理が困難な高齢患者などのために、1日に1~4回程度の各服用回別にそれぞれ纏め又は一包化した薬剤(1つ又は複数の種類の1個又は複数個の薬剤)を一日分及び1週間分に纏めてカレンダーのように配置して成るものが代表的である。
【0003】
図7はこのようなお薬カレンダーの一例を示すものである。図7に示すお薬カレンダーを作製する場合、調剤薬局側は、日付又は曜日と時間帯とにより特定される各服用回に対応する1種類又は複数種類の1個又は複数個の薬剤から成る各服用回分の薬剤をそれぞれ収容する凹状の各収容部43であって患者の1日当たりの服用回数にそれぞれ対応する各収容部43を横方向又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分(例えば1~4回の服用回分)の各収容部43が、さらに1週間分となるように縦方向に7行又は横方向に7列並ぶように形成されたお薬カレンダートレイ41を用意しておく。
【0004】
そして調剤薬局側は、前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内にそれぞれ患者の各服用回別の薬剤(1種類又は複数種類の1個又は複数個の薬剤)を収容した後、前記各収容部43内の薬剤を封止する蓋シート42を上方から貼り付けてお薬カレンダーを作製し、患者側に交付する。患者側では、前記交付されたお薬カレンダーを自宅の壁などに掛けて各服用回毎に前記各収容部43から1回服用分の薬剤を取り出して服用する。これにより、高齢の患者などでも容易に服薬の適正な管理を実現することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7049071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述のようなお薬カレンダーは、高齢の患者などにとって適正な服薬管理のために極めて有効な手段ではあるが、そのようなお薬カレンダーを作製するために、従来は、各PTPシートから薬剤を除包し、除包した複数の薬剤を一包化して(又は各服用回分として纏めて)、それらを前記お薬カレンダートレイの各収容部内にそれぞれ収容するという極めて煩雑な作業を行う必要があった。そのため、お薬カレンダーを作製するときの作製時間が長くなり、作製コストも高くなってしまう、PTPシートを除包するためにはPTPシート中の各収容部(例えば各薬剤をアルミシートで封止した状態で収容するドーム状凸部)を押圧する必要があるがその際に薬剤が割れてしまうことがある、前記各収容部(ドーム状凸部)を押圧して除包する際に生じたアルミシートの破片がお薬カレンダーの収容部の中に薬剤と一緒に混入してしまう、などの問題があった。また、従来のお薬カレンダーの作製作業においては、お薬カレンダートレイの各収容部に薬剤を供給するとき、薬剤の供給口を、前記お薬カレンダートレイの各収容部にそれぞれ対向するように水平方向に順次移動させてから薬剤を供給するようにしていたので、お薬カレンダートレイの各収容部内への薬剤の供給作業に時間がかかってしまう、という問題があった。さらに従来のお薬カレンダーの作製作業においては、薬剤師が作業台に設置した1つ又は2つのお薬カレンダートレイに対して薬剤を供給するようにし、前記1つ又は2つのお薬カレンダートレイに対する薬剤供給が終わると、薬剤供給作業をいったん中断して、薬剤師などが別のお薬カレンダートレイを新たに作業台に設置する必要があるため、多数個のお薬カレンダーを連続的に効率よく作製することができない、という問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、お薬カレンダーの作製作業を効率化して時間を短縮させ且つ低コスト化させることができ、PTPシートから除包する薬剤が除包の際などに割れてしまうことを防止することができ、PTPシートから除包する際に生じたアルミシートの破片がお薬カレンダートレイの各収容部内に薬剤と一緒に混入してしまうことを防止することができるお薬カレンダー作製装置及び方法を提供することを目的とする。また本発明は、お薬カレンダートレイの各収容部内への薬剤の供給・分配のための作業時間を短縮することができるお薬カレンダー作製装置及び方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、多数個のお薬カレンダーを連続的に効率よく作製することができるお薬カレンダー作製装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するための本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製装置は、「日付又は曜日と時間帯とにより特定される各服用回分の薬剤であって1種類又は複数種類の1個以上の薬剤をそれぞれ収容する各収容部であって、少なくとも患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を、横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部が、さらに1週間分となるように縦方向に7行又は横方向に7列並ぶように形成されたお薬カレンダートレイ」の各収容部内に、患者の各服用回分の薬剤がそれぞれ収容されて成るお薬カレンダーの作製装置であって、薬剤シートから除包するまでもなくもともと個別包装されていないバラ錠であって少なくとも患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を、必要な種類別に、予め所定の各容器内に収容しておき、前記多数個のバラ錠中の1個又は複数個を前記容器側から前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内に順次供給するバラ錠供給部と、前記バラ錠供給部側からのバラ錠が前記お薬カレンダートレイ側に供給されるタイミングに合わせて、前記バラ錠が供給される供給口に対し前記お薬カレンダートレイの各収容部が順次対向するように前記お薬カレンダートレイを順次移動させる動作を、前記バラ錠が前記患者の服薬に必要な各収容部の全てに収容されるまで繰り返すトレイ移動部とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製装置においては、前記バラ錠供給部側からのバラ錠の供給を受ける受給位置に配置された前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内にそれぞれ患者の服薬に必要な種類及び個数のバラ錠が供給されたとき、前記お薬カレンダー用トレイを前記受給位置から他の場所に移動させ、前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイを新たに配置するトレイチェンジャーを備えるようにしてもよい。
【0010】
また、本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製装置において、前記バラ錠供給部には、前記多数個のバラ錠を収容すると共にそれらを排出口側から排出する整列トレイが複数個備えられており、前記各整列トレイには当該整列トレイを振動させて前記多数個のバラ錠中の少なくとも一部を前記排出口側の方向に移動させる振動部が備えられていてもよい。
【0011】
また本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製装置においては、前記複数個の各整列トレイはそれぞれ、互いに大きさ又は形状が異なる複数種類のバラ錠をそれぞれ収容し排出するのに適した大きさ又は形状となるように、互いに異なる大きさ又は形状に形成されてもよい。また前記フィーダー式お薬カレンダー作製装置においては、互いに異なる大きさ又は形状に形成された整列トレイが存在する場合において、患者の処方箋データに基づいて、当該患者に処方される薬剤に適した大きさ又は形状を有する整列トレイに関する情報を取得して出力する整列トレイ特定部をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
また本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製装置において、前記整列トレイは、多数個のバラ錠が配置される配置部分と前記配置された多数個のバラ錠の少なくとも一部を前記配置部分から前記排出口側へ移動させる細長い通路部分とを含むものであり、前記通路部分中を前記バラ錠が移動又は存在しているかどうかを検知する移動検出部と、前記移動検出部からの出力に基づいて前記通路部分と前記配置部分との接続部分又は前記通路部分内に存在するバラ錠を前記配置部分側の方向に押し戻すように移動又は作動する棒状部材とが備えられていてもよい。
【0013】
また本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製装置における前記バラ錠供給部は、一列に並ぶように配置された複数個の整列トレイの各排出口の全てに共通に対向する受入れ口とその下方に配置された前記お薬カレンダートレイの収容部に対向する供給口とを有する案内通路を備えており、前記案内通路は、前記一列に並ぶように配置された複数個の整列トレイの各排出口側からそれぞれ排出されるバラ錠を前記受入れ口を介して受け入れてそのバラ錠を前記お薬カレンダートレイの各収容部に対向する位置まで移動させて前記供給口から前記各収容部内に供給するものであってもよい。
【0014】
また本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製方法は、「日付又は曜日と時間帯とにより特定される各服用回分の薬剤であって1種類又は複数種類の1個以上の薬剤をそれぞれ収容する各収容部であって、少なくとも患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を、横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部が、さらに1週間分となるように縦方向に7行又は横方向に7列並ぶように形成されたお薬カレンダートレイ」の各収容部内に、患者の各服用回分の薬剤がそれぞれ収容されて成るお薬カレンダーの作製方法であって、薬剤シートから除包するまでもなくもともと個別包装されていない多数個のバラ錠を、複数種類別に予め用意しておくバラ錠準備ステップと、患者の処方箋情報に基づいて、少なくとも患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を、必要な種類別に、機械装置により自動的に又は手作業により、バラ錠供給部に収容するバラ錠収容ステップと、前記バラ錠供給部側からのバラ錠が前記1つのお薬カレンダートレイの各収容部内にそれぞれ順次供給されるように、前記供給の動作とタイミングを合わせて前記お薬カレンダートレイを順次水平方向に所定距離だけ移動させながら、前記お薬カレンダートレイの各収容部内に前記バラ錠を供給し、このような動作を、前記1つのお薬カレンダートレイの各収容部の必要な全てに対し前記バラ錠が収容されるまで繰り返すバラ錠供給ステップと、前記バラ錠供給ステップにより患者の服薬に必要な種類及び個数のバラ錠が前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内にそれぞれ供給され収容されたとき、トレイチェンジャーにより自動的に、前記お薬カレンダー用トレイを前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所へ移動させて前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイを新たに配置するトレイ交換ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0015】
さらに本発明によるフィーダー式お薬カレンダー作製方法においては、前記バラ錠供給ステップにより前記複数のお薬カレンダートレイの各収容部内に患者の服薬に必要な種類及び個数の薬剤がそれぞれ収容された後、前記複数のお薬カレンダートレイの各収容部内の薬剤を封止しないまま、前記複数のお薬カレンダートレイを上下に重ねてそれらを袋などの容器内に真空パックする真空パックステップをさらに含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、薬剤シートから除包するまでも無くもともと個別包装されていないバラ錠であって少なくとも患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を、必要な種類別に、予め前記バラ錠供給部に備えられた容器内に収容しておき、このように収容したバラ錠を外部に排出して、前記お薬カレンダートレイの各収容部内に供給するようにしている。よって、本発明によれば、従来よりお薬カレンダーの作製業務を煩雑化・高コスト化させる最大の原因となっていた薬剤シート(PTPシートなど)から薬剤を取り出す除包動作を不要とすることができるので、お薬カレンダーの作製業務を大幅に効率化・低コスト化することができ、また前記除包のために行われる薬剤シートへの押圧等で錠剤が割れてしまうという不都合を防止することができ、さらに前記除包のために行われる薬剤シートへの押圧等で生じた薬剤封止用のアルミシートの破片がお薬カレンダートレイの各収容部内に薬剤と一緒に混入してしまうという不都合も防止することができる。
【0017】
また本発明においては、前記バラ錠供給部側からのバラ錠を前記お薬カレンダートレイの各収容部にそれぞれ供給するとき、前記バラ錠供給部側の供給口に対して前記各収容部が順次対向するように、前記トレイ移動部により、前記お薬カレンダートレイを順次、所定距離だけ移動させるようにしたので、前記バラ錠供給部側からのバラ錠の前記各収容部への供給を効率的に行えるようになる。特に本発明では、前述のように、薬剤を供給する薬剤供給部側を順次移動させるのではなく、薬剤の供給を受けるお薬カレンダートレイ側を順次移動させるようにしたので、前記各収容部への各薬剤の供給作業を、より短時間で行えるようになる。
【0018】
また本発明においては、前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内にそれぞれ患者の服薬に必要な種類及び個数のバラ錠が供給されたとき、前記トレイチェンジャーにより、前記お薬カレンダー用トレイを前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所に移動させると共に前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイを新たに配置するようにしたので、多数個のお薬カレンダートレイに対して連続的に薬剤を供給することができ、多数個のお薬カレンダーの作製作業を大幅に効率化させることできる。
【0019】
また本発明において、前記バラ錠供給部の構成を、前記多数個のバラ錠を薬剤の種類別に前記複数個の各整列トレイ内にそれぞれ収容し、前記振動部により前記整列トレイを振動させることにより前記整列トレイ内のバラ錠を前記整列トレイの排出口側の方向に移動させて前記排出口側から排出するようにしたときは、前記整列トレイ内に収容されたバラ錠を前記お薬カレンダートレイ側に移動させる動作を、正確に且つスムーズに行うことができる。
【0020】
また本発明において、前記各整列トレイを、複数種類別に互いに大きさ又は形状が異なるバラ錠を収容し排出するのにそれぞれ適した大きさ又は形状となるように形成したときは、前記収容されたバラ錠を前記整列トレイ内から正確に且つスムーズに排出させられるようになる。また例えば、前記互いに異なる大きさ又は形状を有する整列トレイが存在する場合に、患者の処方箋情報から患者に処方される薬剤を取得し、その取得された薬剤(種類別に大きさ又は形状が異なる薬剤)にそれぞれ適した大きさ又は形状を有する整列トレイを特定等する情報を取得してその情報を出力するようにしたときは、複数種類のバラ錠を前記各整列トレイ内に収容する作業を効率的にかつ正確に行えるようになる。
【0021】
また本発明において、前記整列トレイの前記通路部分中をバラ錠が適正に移動又は存在しているかどうかを検出し(移動検出部)、前記バラ錠が移動又は存在していないとき、棒状部材(回転バーなど)を作動・移動させて前記通路部分と前記配置部分との接続部分又は前記通路部分内に存在するバラ錠を前記配置部分側の方向に押し戻すようにしたときは、前記バラ錠が詰まりなどで前記通路部分を適正に移動又は存在していないときでも、前記の詰まりなどを無くして前記通路部分中をバラ錠が適正に移動又は存在させるようにして、前記お薬カレンダートレイの各収容部への薬剤供給をスムーズに行わせることができる。
【0022】
また本発明において、一列に並ぶように配置された複数個の整列トレイの各排出口から排出されるバラ錠を、前記複数個の整列トレイの各排出口の全てに共通に対向する受入れ口から受け入れて、そのバラ錠を案内通路(バラ錠が前記受入れ口から下方のお薬カレンダートレイの各収容部に近接し対向する供給口へと移動するのを案内する案内通路)内を移動させて、前記供給口から前記お薬カレンダートレイの各収容部内に供給するようにしたときは、前記複数のバラ錠の種類別に配置される各整列トレイが多数個にのぼる場合でも、前記一列に並ぶように配置された複数個の整列トレイ側からそれぞれ排出されるバラ錠を、前記受入れ口から共通に受け入れてそれを移動させて下方の前記供給口から前記お薬カレンダートレイの各収容部内へ供給する作業を、極めてスムーズかつ容易に行えるようになる。
【0023】
また本発明による前記お薬カレンダーの作製方法では、薬剤シートから除包すること無く、もともと個別包装されていない多数個のバラ錠を、複数種類別に予め用意しておくバラ錠準備ステップと、各患者毎にその処方箋情報に基づいて当該患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を必要な種類別にバラ錠供給部に収容するバラ錠収容ステップと、前記各お薬カレンダートレイ中の各収容部に対しそれぞれ前記バラ錠供給部に収容された各バラ錠を順次供給するバラ錠供給ステップと、前記バラ錠供給部から必要な種類及び個数のバラ錠が前記お薬カレンダー用トレイの各収容部内に収容されたとき、トレイチェンジャーにより、前記お薬カレンダー用トレイを前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所へ移動させて前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイを新たに配置するトレイ交換ステップとを含むようにしている。
【0024】
よって、本発明に係るフィーダー式お薬カレンダー作製方法によれば、従来よりお薬カレンダー作製業務を煩雑化・高コスト化させる最大の原因となっていた薬剤シートから薬剤を取り出す除包動作を不要とすることができるので、お薬カレンダー作製業務を大幅に効率化・低コスト化することができ、前記除包のために行われる薬剤シートへの押圧等で錠剤が割れてしまうという不都合を防止することができ、さらに前記除包のために行われる薬剤シートへの押圧等で生じた薬剤封止用のアルミシートの破片がお薬カレンダートレイの各収容部内に薬剤と一緒に混入してしまうという不都合も防止することができる。さらに本発明による方法によれば、前記お薬カレンダー用トレイの各収容部にそれぞれ、当該患者の服薬に必要な種類及び個数のバラ錠が供給されたとき、前記トレイチェンジャーにより、前記バラ錠の供給が終わったお薬カレンダー用トレイは前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所に移動させると共に前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイ(前記バラ錠の前記各収容部への供給が未だ行われていないもの)を新たに配置するようにしたので、多数の各お薬カレンダートレイの各収容部への薬剤の供給を連続的に行うことが可能になり、多数個のお薬カレンダーの作製作業を効率化させることができる。
【0025】
さらに本発明において、患者の服薬に必要な種類及び個数の薬剤が前記各収容部内に収容されたお薬カレンダートレイを、蓋シートを付着させて前記各収容部内の薬剤を封止しないまま、上下に重ねた状態にして袋などの容器内に真空パックするようにしたときは、調剤薬局などのユーザー側が薬剤が収容されたお薬カレンダートレイを直ちに使用するのではなく臨時薬などとして長期間保存しておきたいと希望するとき、薬剤が収容されたお薬カレンダートレイを容易に真空パックして長期間保存することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るフィーダー式お薬カレンダー作製装置を示す斜視図である。
図2】(a)は本実施形態の正面図、(b)はその側面図である。
図3】(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態の一部を拡大して示す斜視図である。
図4】本実施形態におけるバラ錠供給部の構成を示す斜視図である。
図5】本実施形態における蓋シート付着部及び真空パック部などの概略構成を説明するための斜視図である。
図6】本実施形態に係るフィーダー式お薬カレンダー作製方法において複数個のお薬カレンダートレイ(既に各収容部内に薬剤が収容されたもの)を真空パックするときの動作の一例(機械装置により自動的に行う場合ではなく手作業による場合の一例)を示す斜視図である。
図7】(a)は従来のお薬カレンダートレイの各収容部内に収容された薬剤を封止するために使用される蓋シートの一例を示す斜視図、(b)は従来のお薬カレンダートレイの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係るフィーダー式お薬カレンダー作製装置及びこれを使用した作製方法について、図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るフィーダー式お薬カレンダー作製装置を示す斜視図、図2(a)は本実施形態の正面図、図2(b)はその側面図、図3(a)及び(b)は本実施形態の一部を拡大して示す斜視図である。
【0028】
図1~3において、1は作業台、2は前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43が後述の薬剤フィーダー3などから構成される薬剤供給部側から順次排出されるバラ錠の供給を受けられるように前記お薬カレンダートレイ41を水平方向に所定距離だけ順次移動させる例えばXYテーブルなどにより構成されるトレイ移動機構部、3は複数の種類別に予め用意された多数のバラ錠を収容しておきこの収容したバラ錠を1個ずつ所定のタイミングで排出する薬剤フィーダー(詳しくは後述するが図4に示す複数個の整列トレイ11などにより構成される)、4は前記トレイ移動機構部2に配置されたお薬カレンダートレイ41の各収容部43に薬剤が供給される様子を後で予定される調剤監査などのために画像として記録する画像記録カメラ、5は前記トレイ移動機構部2及び前記薬剤フィーダー3などを操作又は監視等するためのタッチパネルである。
【0029】
また図1~3において、6は前記トレイ移動機構部2において1個(又は複数個)のお薬カレンダートレイ41の各収容部43内への薬剤供給が終了したとき、そのお薬カレンダートレイ41を他の場所に移動させて、他のお薬カレンダートレイ41(各収容部43内への薬剤供給が未だ行われていないもの)を前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)に新たに交換的に配置する供給側トレイチェンジャー、7は患者が使用した後の(又は新たに製造された)お薬カレンダートレイを予備的に回収して載置しておきそれらを所定のタイミングで前記供給側トレイチェンジャー6側に追加的に移動させる回収側トレイチェンジャー、8は前記作業台1の下方に配置された引き出しである。また図1~3において、9は、図4に関して後述する各切り出し口12から排出された各薬剤がその下方に配置されたお薬カレンダートレイ41の各収容部43の方向に移動するように案内する案内通路(図1~3に示す例では平面が略逆三角形状の薄型容器)、9a(図3(b)参照)は図1~3に示すように一列に並べられた多数個の各整列トレイ11(図4参照)側からそれぞれ排出されるバラ錠の全てを共通に受け入れられるように水平方向に細長い形状に形成された受入れ口、9bは前記案内通路9の下端に形成された供給口であってその下方に位置する前記各収容部43内に対向するように配置され前記バラ錠を前記各収容部43内に放出・供給する供給口である。
【0030】
次に図4は前記薬剤フィーダー3の構成を示す斜視図である。図4において、11は予め用意した多数個のバラ錠(複数種類別の、PTPシートから除包するまでもなく、製薬会社などから購入した、もともと個別包装されていないバラ錠)を収容しておく整列トレイ、11aは前記整列トレイ11中の多数個のバラ錠を配置・収容しておく比較的面積の大きい配置部分、11bは前記整列トレイ11の配置部分11a内のバラ錠の少なくとも一部を前記整列トレイ11の排出口側(さらに後述の切り出し口12側)に向けて移動させるための比較的細長い通路部分である。前記整列トレイ11は、図示左側の配置部分11aから図示右側の通路部分11bへ行くにしたがって徐々に下降するように、所定角度だけ傾斜して配置されている。
【0031】
また図4において、12は、前記整列トレイ11の通路部分11bの図示右側の先端部分(排出口)から排出されたバラ錠を受けて前記案内通路9内に排出する切り出し口である。前記切り出し口12は、例えば、前記整列トレイ11の通路部分11bの先端側(排出口側)に近接し対向するように配置された板状部材により構成されている。
【0032】
また図4において、13は、前記整列トレイ11の配置部分11a内のバラ錠の一部が前記配置部分11aから前記通路部分11bへ移動しさらに前記通路部分11b内を前記整列トレイ11の図示右側の排出口側(さらに前記切り出し口12側)方向に移動するように、振動モーター14により前記整列トレイ11を振動させる振動プレートである。
【0033】
また図4において、15は前記整列トレイ11の通路部分11b内をバラ錠が存在又は移動しているかどうか(例えばバラ錠が通路部分11b内で詰まって移動できなくなっているかどうか)を検知する在荷センサ(例えば画像センサなどで構成される)、16は前記通路部分11b内をバラ錠が詰まりなどのため存在又は移動していないとき、前記在荷センサ15からの出力を受けて前記通路部分11b(又は前記通路部分11bと前記配置部分11aとの接続部分)内に存在するバラ錠を前記配置部分11aの方向に押し戻すように、詰まり防止モーター17により回転する詰まり防止用の回転バーである。
【0034】
また図4において、18は前記整列トレイ11の排出口側及び前記切り出し口12側から1個のバラ錠が前記案内通路9内に排出されたかどうかを検出する薬剤通過センサ、19は前記整列トレイ11の排出口側及び前記切り出し口12側から1個のバラ錠が前記案内通路9内に排出されたとき前記薬剤通過センサ18からの出力に基づいて前記切り出し口12のシャッター(図示省略)を閉じる切り出しソレノイド(なお前記切り出しソレノイド19は、下方に配置されたお薬カレンダートレイ41の移動に対応して出力される調剤システムの制御部からの信号により、前記シャッターを開けるように作動することもある)、20は前記振動プレート13による前記整列トレイ11側の振動が前記切り出し口12及び前記切り出しソレノイド19側に伝わるのを防ぐためのダンパー(緩衝器)である。
【0035】
次に本実施形態における前記薬剤フィーダー3の動作を図1図4を参照して説明する。調剤薬局側の調剤システムが患者の処方箋データを取得し且つその患者側がお薬カレンダーを希望している場合、本実施形態では、調剤システムの制御部(図示省略)により、前記入力された処方箋データに基づいて、当該患者の処方に必要な薬剤の種類(さらに種類毎に互いに異なる、バラ錠の大きさ又は形状)に適した大きさ又は形状を有している整列トレイ11を特定・選択し、その特定・選択情報を例えば前記タッチパネル5などに表示し、薬剤師側はこの情報に基づいて当該特定・選択された整列トレイ11内に前記処方に必要な種類のバラ錠を収容する。あるいは、前記の場合、調剤システムの制御部が、自動的に(前述のように薬剤師などの行為を必要とすることなく)、前記処方箋データに基づいて当該患者の処方に必要な薬剤の種類に適した大きさ又は形状を有する整列トレイ11を特定・選択し、前記特定・選択した整列トレイ11内に対し、図示しない公知の錠剤供給機構などにより自動的に、前記患者の処方に必要な種類及び必要な個数以上のバラ錠を収容させるようにしてもよい。
【0036】
前記整列トレイ11側に前記患者の服薬に必要な種類で必要な個数以上のバラ錠を収容した後、前記振動プレート13により前記整列トレイ11を振動させると、前記整列トレイ11(前述のように図4の右側部分が下がるように所定角度だけ傾斜して配置されている)内の多数個のバラ錠は前記配置部分11aから前記通路部分11b内を排出口側及び前記切り出し口12側の方向に移動し、前記切り出し口12から前記案内通路9内に排出される。
【0037】
図2(b)及び図3(b)などに示すように、前記案内通路9の受入れ口9aは、前記一列に並ぶように配置された多数個の前記各整列トレイ11の各排出口及び前記各切り出し口12の全てに共通に対向するように細長い形状に形成されて水平方向に配置されている。すなわち前記各切り出し口12側からそれぞれ排出された各バラ錠は、前述のように多数個の切り出し口12の全てに共通に対向するような細長い形状に形成された受入れ口9aにより、共通に受け入れられる。この受け入れられた各バラ錠は、案内通路9(前記受入れ口9aからその下方に配置されたお薬カレンダートレイ41の各収容部43に近接し対向する供給口9bへとバラ錠の移動を案内する案内通路であって、図1~3の例では平面視で略逆三角形状の薄型容器から成る案内通路9)により図示下方に移動され、さらに前記お薬カレンダートレイの各収容部43に対向するように配置された供給口9bから、前記各収容部43内に放出・供給される。
【0038】
他方、以上に述べた前記整列トレイ11、前記切り出し口12及び前記案内通路9の動作と連動するように、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)は、前記お薬カレンダートレイ41中の各収容部43が前記案内通路9の供給口9b側からの薬剤の供給をそれぞれ受けられるように、前記お薬カレンダートレイ41をX-Y方向に順次、所定距離毎に移動させ位置決めする。具体的には、前記案内通路9の供給口9b側から1個のバラ錠が前記1個の収容部43内に向けて供給されると、その後、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)が、前記お薬カレンダートレイ41を水平方向に所定距離だけ移動させて他の収容部43を前記供給口9bに対向させるので、これにより前記バラ錠が前記各収容部43内に供給、収容される。前記バラ錠の供給が行われると、前記薬剤通過センサ18又は前記画像記録カメラ4からの出力などに基づいて前記切り出しソレノイド19が作動して前記切り出し口12のシャッター(図示省略)が閉じられる。前記シャッターは、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)が再び前記お薬カレンダートレイ41を更に所定距離だけ水平方向に移動させて他の収容部43(未だバラ錠が収容されていないもの)が前記供給口9と対向する位置まで移動したとき、前記薬剤の供給を行うように、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)側からの出力を受けた調剤システムの制御部により、再び開かれる。
【0039】
以上に述べたお薬カレンダートレイ41の所定距離毎の水平方向の移動、前記案内通路9の供給口9bからのバラ錠の前記各収容部43内への供給、及び前記シャッターの開閉などの一連の各動作は、1つのお薬カレンダートレイ41の各収容部43内に対して当該トレイ41で収容されるべき患者の服薬に必要な薬剤が全て供給されるまで、繰り返される。そして、1つのお薬カレンダートレイ41の各収容部43に対し患者の服薬に必要な薬剤が全て供給された後は、そのことを検知した調剤システムの制御部により前記供給側トレイチェンジャー6が作動し、前記薬剤供給が済んだお薬カレンダートレイ41に替えて他の未だ薬剤供給されていないお薬カレンダートレイ41が前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)上に交換的に配置される。その後も、前記一連の各動作が連続的に繰り返される。
【0040】
前述のようにして前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)により前記各お薬カレンダートレイ41の各収容部43への薬剤供給が行われると、それらの薬剤供給が行われた各お薬カレンダートレイ41は別の作業台に移動されて、そこで調剤監査及び蓋シート(表紙)42の貼り付けが行われる。調剤監査は、前記画像記録カメラ4で取得、記録された、前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内に薬剤が供給、収容された状態を示す画像などを利用して行われる。
【0041】
調剤監査が行われた後は、前記薬剤供給が行われたお薬カレンダートレイ41の中から後述する真空パックの対象となる複数個のお薬カレンダートレイ41を除いた残りのお薬カレンダートレイ41に対し、前記各収容部43内の薬剤を封止する蓋シート42を貼り付ける動作が行われる。図5はこのようなお薬カレンダートレイ41への蓋シート42の貼り付け動作などを示す図で、図5(a)及び図5(c)は前記貼り付け動作などを側面側から示した図、図5(b)は平面側から示した図である。
【0042】
本実施形態では、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)により前記各お薬カレンダートレイ41の各収容部43への薬剤供給が行われると、図5(a)及び(b)に示すように、それらを別の作業台に移動させて蓋シート42の貼り付けを行う。この蓋シート42の貼り付けのため一連の動作は、手作業により行われてもよいし、従来より公知の機械装置により自動的に行われるようにしてもよい。なお図5(c)に示す例では、上下に重ねられた複数個のお薬カレンダートレイ41(薬剤が供給済みのもの)が存在しているとき、その側方に配置された蓋シート42が持ち上げられ前記複数個のお薬カレンダートレイ41の上側に移動させられ、その上方から下降させられる。これにより前記蓋シート42がお薬カレンダートレイ41の上面側に貼り付けられて、前記各収容部43内の薬剤の封止が行われる。なお、前記蓋シート42には、例えば、横方向(又は縦方向)に朝、昼、夕、及び寝る前などの1日分の各服薬時間帯などの情報が前記各収容部43に対応するように印刷等で表示され、且つ縦方向に1週間分の7行(又は横方向に1週間分の7列)だけ前記各収容部43に対応するように前記各服薬時間帯などの情報が印刷等で表示されている。
【0043】
次に、本実施形態においては、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)により各薬剤の供給が行われた後のお薬カレンダートレイ41の多くは、前述のように蓋シート42が貼り付けられて前記各薬剤が封止されるが、一部のお薬カレンダーシート41は、例えば急な臨時薬として使用するなどの目的から、前記蓋シート42の貼り付けによる前記各薬剤の封止を行わないままの状態にある前記複数個のお薬カレンダーシート41を、上下方向に重ねて、真空パックにするようにしている。このような真空パックは、前記別の作業台(図5の符号31参照)で、手作業で又は公知の真空パック機器32などの機械装置により自動的に、行われる。図6はこのような真空パックを手作業で行う場合を示す図で、図6(a)は前述のような複数個のお薬カレンダートレイ41を蓋シート42の貼り付け前の状態のまま手作業で上下に重ねる動作を示す図、図6(b)はこのように上下に重ねた複数個のお薬カレンダートレイ41を従来より公知の簡易型真空パック機32aなどを使用して手作業で真空パックする動作を示す図である。
【0044】
以上説明したように、本実施形態においては、薬剤シート(PTPシートなど)から除包するまでも無く、もともと個別包装されていないバラ錠であって、少なくとも患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を、必要な種類別に、予め各整列トレイ11内に収容しておき、このように収容した前記整列トレイ11内のバラ錠を、前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内に供給するようにしている。よって、本実施形態によれば、従来よりお薬カレンダー作製業務を煩雑化・高コスト化させる最大の原因となっていた薬剤シート(PTPシートなど)から薬剤を取り出す除包動作を不要とすることができるので、お薬カレンダー作製業務を大幅に効率化・低コスト化することができ、また前記除包のために行われる薬剤シートへの押圧等で錠剤が割れてしまうという不都合を防止することができ、さらに前記除包のために行われる薬剤シートへの押圧等で生じた薬剤封止用のアルミシートの破片がお薬カレンダートレイの各収容部内に薬剤と一緒に混入してしまうという不都合も防止することができる。
【0045】
また本実施形態においては、前記整列トレイ11内のバラ錠を前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内にそれぞれ供給するとき、前記案内通路9の供給口9bに対して前記各収容部43が順次対向するように、前記トレイ移動機構部2(XYテーブルなど)により、前記お薬カレンダートレイ41を順次、所定距離だけ水平方向に移動させるようにしている。よって、本実施形態によれば、前記整列トレイ11内のバラ錠の前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内への供給を効率的に行えるようになる。特に本実施形態では、前記バラ錠を供給する側(前記の整列トレイ11の排出口、前記切り出し口12及び前記供給口9bの側)を順次移動させるのではなく、前記バラ錠の供給を受けるお薬カレンダートレイ41側を順次移動させるようにしたので、前記各収容部43内への各薬剤の供給作業をより短時間で行えるようになる。
【0046】
また本実施形態においては、前記お薬カレンダー用トレイ41の各収容部43内にそれぞれ患者の服薬に必要な種類及び個数のバラ錠の全てが供給されたとき、前記供給側トレイチェンジャー6により、前記お薬カレンダー用トレイ41(既に薬剤が供給・収容されたもの)を前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所に移動させると共に前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイ41(未だ薬剤が供給・収容されていないもの)を新たに配置するようにしたので、多数個のお薬カレンダートレイに連続的に薬剤を供給することができ、多数個のお薬カレンダーの作製作業を大幅に効率化させることできる。
【0047】
また本実施形態においては、前記薬剤を供給する側の構成を、前記多数個のバラ錠を前記整列トレイ11内に収容し、前記振動プレート13により前記整列トレイ11を振動させることにより前記整列トレイ11内のバラ錠を前記整列トレイ11の排出口側の方向に移動させて前記排出口側から排出させるようにしたので、前記バラ錠の前記整列トレイ11側からの排出の動作を、正確に且つスムーズに行うことができる。
【0048】
また本実施形態においては、前記各整列トレイ11を、複数種類別に互いに大きさ又は形状が異なるバラ錠を収容し排出するのにそれぞれ適した大きさ又は形状となるように形成したので、前記収容されたバラ錠を前記整列トレイ11側から(さらに前記切り出し口12及び前記供給口9b側から)正確に且つスムーズに供給できるようになる。なお特に本実施形態では、前述のように互いに異なる大きさ又は形状を有する整列トレイ11が存在する場合に、患者の処方箋情報などから患者に処方される薬剤を取得し、その取得された薬剤(種類別に大きさ又は形状が異なる薬剤)にそれぞれ適した大きさ又は形状を有する整列トレイ11を特定又は選択等する情報を取得してその情報を出力するようにしたので、バラ錠を前記整列トレイ11内に収容する作業を効率的にかつ正確に行えるようになる。
【0049】
また本実施形態においては、前記整列トレイ11の前記通路部分11b内をバラ錠が適正に移動又は存在しているかどうかを検出し(移動検出部)、前記バラ錠が移動又は存在していないとき、前記回転バー16を回転させて前記通路部分11bと前記配置部分11aとの接続部分又は前記通路部分11b内に存在するバラ錠を前記配置部分11a側の方向に押し戻すようにしたので、前記バラ錠が詰まりなどで前記通路部分11b内を適正に移動又は存在していないときでも、前記詰まりなどを無くして前記通路部分11b内をバラ錠が適正に移動又は存在させるようにして、前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43への薬剤供給をスムーズに行うようにすることができる。
【0050】
また本実施形態においては、図1~3に示すように一列に並べられた多数個の整列トレイ11の各排出口及び各切り出し口12側からそれぞれ排出されるバラ錠を、前記各切り出し口12の全てに共通に対向するように細長い形状に形成された受入れ口9aで受け入れて、その受け入れたバラ錠を前記案内通路9で移動させて下方の供給口9bから、前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内に放出・供給するようにした。よって、本実施形態によれば、前記複数のバラ錠の種類毎に配置される各整列トレイ11が多数個にのぼる場合でも、それらの前記の多数個の整列トレイ11及び各切り出し口12側からそれぞれ排出されるバラ錠を共通に1つの受入れ口9aで受け入れて、それを前記案内通路9内で移動させて下方の供給口9bから前記お薬カレンダートレイ41の各収容部43内に放出・供給する動作を、極めてスムーズに行えるようになる。
【0051】
また本実施形態による前記お薬カレンダーの作製作業では、PTPシートから除包すること無く、もともと個別包装されていない多数個のバラ錠を複数種類別に予め用意しておき(バラ錠準備ステップ)、各患者毎にその処方箋情報に基づいて患者の服薬に必要な個数以上の多数個のバラ錠を必要な種類別にバラ錠供給部に収容し(バラ錠収容ステップ)、1個のお薬カレンダートレイ41中の各収容部43に対しそれぞれ前記整列トレイ11に収容された各バラ錠を順次供給し(バラ錠供給ステップ)、前記整列トレイ11側からの必要な種類及び個数のバラ錠が前記切り出し口12及び前記供給口9bを介して前記お薬カレンダー用トレイ11の各収容部43内に収容され終わったとき、供給側トレイチェンジャー6により、前記お薬カレンダー用トレイ41を前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所に移動させて前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイ41を新たに交換的に配置する(トレイ交換ステップ)ようにしている。
【0052】
よって、本実施形態に係るフィーダー式お薬カレンダー作製方法によれば、従来よりお薬カレンダー作製業務を煩雑化・高コスト化させる最大の原因となっていたPTPシートから薬剤を取り出す除包動作を不要とすることができるので、お薬カレンダー作製業務を大幅に効率化・低コスト化することができ、また前記除包のために行われるPTPシートへの押圧等で錠剤が割れてしまうという不都合を防止することができ、さらに前記除包のために行われるPTPシートへの押圧等で生じた薬剤封止用のアルミシートの破片がお薬カレンダートレイの各収容部内に薬剤と一緒に混入してしまうという不都合も防止することができる。さらに本実施形態に係る方法によれば、前記お薬カレンダー用トレイ41の各収容部43内にそれぞれ患者の服薬に必要な種類及び個数のバラ錠が供給されたとき、前記供給側トレイチェンジャー6により、前記バラ錠の供給が終わったお薬カレンダー用トレイ41を前記バラ錠の供給を受ける受給位置から他の場所に移動させると共に、前記受給位置に他のお薬カレンダー用トレイ41(未だバラ錠の前記各収容部43への供給が行われていないもの)を新たに配置するようにしたので、多数のお薬カレンダートレイ41の各収容部43への薬剤の供給を連続的に行うことが可能になり、多数個のお薬カレンダーの作製作業を効率的に行うことができる。
【0053】
さらに本実施形態では、患者の服薬に必要な種類及び個数の薬剤が前記各収容部43内に収容されたお薬カレンダートレイ11に対しその上方から前記蓋シート42を付着させて前記各収容部43内の薬剤を封止する(蓋シート付着部)だけでなく、患者の服薬に必要な種類及び個数の薬剤が前記各収容部43内に収容された複数個のお薬カレンダートレイ41を、前記薬剤を封止しないまま(前記蓋シート42を付着させないまま)上下に重ねた状態にして真空パックすることもできる(真空パック部32)ようにしたので、調剤薬局などのユーザー側が薬剤が収容されたお薬カレンダートレイを直ちに使用するのではなく臨時薬などとして長期間保存しておきたいと希望するとき、それらを容易に真空パックして長期間保存することが可能になる。
【0054】
なお、我が国などでは現在、お薬カレンダーの作製の自動化・効率化への強いニーズが存在しているところ、一包化を含む調剤業務の外部委託、すなわち調剤業務を同一社内外を問わず高度に機械化の進んだ別の大規模調剤薬局などに委託し受託側で調剤した薬剤は委託薬局経由であるいはそのままダイレクトに患者宅に配送することを容認することが議論されている。本発明は、このような現在の状況の下で前記ニーズに有効に応えることができる解決策である。
【符号の説明】
【0055】
1,31 作業台
2 トレイ移動機構部(XYテーブルなどにより構成)
3 薬剤フィーダー
4 画像記録カメラ
5 タッチパネル
6 供給側トレイチェンジャー
7 回収側トレイチェンジャー
8 引き出し
9 案内通路
9a 受入れ口
9b 供給口
11 整列トレイ
11a 整列トレイ11の配置部分
11b 整列トレイ11の通路部分
12 切り出し口
13 振動プレート
14 振動モーター
15 在荷センサ
16 回転バー
17 詰まり防止モーター
18 薬剤通過センサ
19 切り出しソレノイド
20 ダンパー(緩衝器)
32 真空パック機器
32a 簡易型真空パック機
41 お薬カレンダートレイ
42 蓋シート
43 収容部
【要約】
【目的】お薬カレンダーの作製作業を効率化して時間を短縮させ且つ低コスト化させることができ、PTPシートから除包する薬剤が除包の際などに割れてしまうことを防止することができ、PTPシートのアルミシートの破片がお薬カレンダートレイの各収容部内に薬剤と一緒に混入してしまうことを防止することができるお薬カレンダー作製装置及び方法を提供する。
【構成】薬剤シートから除包するまでもなくもともと個別包装されていないバラ錠を予め所定の各容器内に収容し、この収容されたバラ錠をお薬カレンダー用トレイの各収容部内に順次供給し、前記供給のタイミングに合わせて、前記お薬カレンダートレイを順次移動させるようにしたお薬カレンダー作製装置及び方法である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7