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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】足場用支柱
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/16 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
E04G5/16 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020055763
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155969
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】513103483
【氏名又は名称】木下 雅仁
(74)【代理人】
【識別番号】100178504
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 健人
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100228511
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彩秋
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅仁
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190124(JP,A)
【文献】実開昭59-122344(JP,U)
【文献】特開2018-048552(JP,A)
【文献】特開2012-233382(JP,A)
【文献】特開昭60-026765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00-7/34
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場用支柱は、柱体と、四つの放射壁と受部材を備え、前記柱体は上下に分断した円筒体であって、
前記放射壁は、分断する前記柱体間に介在して上下の前記柱体を連結し、前記柱体の軸からそれぞれ放射状に延びており、
前記受部材は、隣り合う前記放射壁間に固定する四ブロック体から構成し、且つ、前記各ブロック体は前記放射壁の上下中間位置に配置しており、前記各ブロック体の上面には足場用資材を保持するための貫通孔が形成してあり、
前記放射壁及び前記受部材は、前記柱体の外周から突出しないことを特徴とする足場用支柱。
【請求項2】
前記貫通孔の高さ位置は、前記各放射壁間の同一高さ位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の足場用支柱。
【請求項3】
前記貫通孔の高さ位置は、異なる高さ位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の足場用支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の建設や補修の際に組み立てられる一側足場等に用いられる足場用支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の建設や補修の際に組み立てられる一側足場には、側壁に平面視略コ字形状の受け金具を有する支柱を用い、受け金具にクサビ式の足場用資材を打ち込んで固定するものや(特許文献1)、側壁にフランジを有する支柱を用い、フランジを足場用資材の挟持部で上下から挟み込み、ロックピンを打ち込んで固定するもの(特許文献2)が提案されている。
出願人も以前、特許文献3に示した受け金具が突出しない、持ち運びが容易で利便性の高い足場用支柱を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-371708号公報
【文献】特開2012-092550号公報
【文献】特開2019-190124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の支柱は、支柱の側壁から受け金具やフランジが突出しているため、多数の支柱を積み重ねるとかさ張ってしまい、運搬の際に不便であった。また、突出する受け金具やフランジに引っ掛かり、作業の手間が掛かることもあった。
また、特許文献3の足場用支柱のように、支柱内部に芯材となる鋼棒を通すことで、重量が嵩むことに加えて、足場用支柱の製造が容易にならない可能性があった。
そこで、本発明は上記事情を鑑み、製造が容易で、軽量且つ運搬しやすく利便性の高い足場用支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
足場用支柱は、柱体と、四つの放射壁と受部材を備え、前記柱体は上下に分断した円筒体であって、前記放射壁は分断する前記柱体間に介在して上下の前記柱体を連結し、前記柱体の軸からそれぞれ放射状に延びており、前記受部材は、隣り合う前記放射壁間に固定する四ブロック体から構成し、且つ、前記各ブロック体は前記放射壁の上下中間位置に配置しており、前記各ブロック体の上面には足場用資材を保持するための貫通孔が形成してあり、前記放射壁及び前記受部材は、前記柱体の外周から突出しないことを特徴とする。
【0006】
前記貫通孔の高さ位置は、隣り合う前記各放射壁間の同一高さ位置に配置されていること、さらに、前記貫通孔の高さ位置が、異なる高さ位置に配置されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放射壁は、柱体の軸からそれぞれ放射状に延び、受部材は隣り合う前記放射壁間に嵌合した水平状態で前記放射壁の上下中間位置に配置されていること、前記放射壁及び前記受部材は前記柱体の外周から突出しないことで、手摺やブラケット等の足場用資材の端部を受部材に係止させることが可能であり、支柱から突出する受け金具やフランジ等を有しないので、積み重ねてもかさ張ることなく持ち運びが容易で利便性が高い。加えて、放射壁は、上下に分断された柱体間に介在し、柱体同士を連結する構成としているため、柱体の長さの分だけ放射壁を必要とせず、その分だけ足場用支柱の重量を軽減することができ、且つ、柱体と放射壁の連結部分のみを溶接等で固定すれば良いので製造も容易になる。
そして、四つの放射壁を有することによって、支柱としての強度が高い。
また、放射壁に嵌合した前記受部材内面で仕切られた貫通孔が、前記放射壁の放射軸側に形成されているため、クサビ部や挟み込み式足場用資材にも対応でき従来と同じ構成の足場を組み立てることができる。
さらに、前記受部材が、隣り合う前記各放射壁間の同一高さ位置に配置すれば、一箇所で四方向から足場用資材を固定でき、また、各放射壁間の隣り合う受部材同士が、異なる高さ位置に配置すれば、例えば前後及び左右の異なる方向へ段違いで足場用資材の端部を係止させることができるので汎用性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態の足場用支柱であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図2】(a)は図1のII-II線断面図、(b)は図1のII’-II’線断面図である。
図3】第二実施形態の足場用支柱であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図4】(a)は図3のIV-IV線断面図、(b)は図3のIV’-IV’線断面図であり、(c)は図3のIV’’-IV’’線断面図である。
図5】(a)(b)は、本発明の足場用支柱の第一実施例にクサビ式の足場用資材を取り付ける際の説明図である。
図6】(a)(b)は、本発明の足場用支柱の第二実施例にクサビ式の足場用資材を取り付ける際の説明図である。
図7】(a)(b)は、本発明の足場用支柱に挟み込み式の足場用資材を取り付ける際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の足場用支柱1は、柱体2、四つの放射壁3と受部材4を備える。
【0010】
本発明の第一実施形態の足場用支柱1は、図1及び図2に示すように、上下長手方向に設置する柱体2、2の間に放射壁3が介在する。柱体2は円筒体であって、各放射壁3は前記円筒体の軸500からそれぞれ放射状に、略等間隔に配置して延びている。
また、前記受部材4は隣り合う前記放射壁3、3間に嵌合され、水平状態で前記放射壁3の上下中間位置に配置されている。
そして、前記放射壁3及び前記受部材4は前記柱体2の外周から突出しないものとしてある。
【0011】
前記受部材4は、隣り合う前記放射壁3、3間に嵌合した水平状態で前記放射壁3の上下中間位置に配置されるため、平面が略扇形で、足場資材を固定するための必要な強度を得るための厚みを有する。
図1では四つの放射壁3で形成される各空間の同一高さ位置に配置され、前記柱体2の外周から突出しないように外縁は弧状となって、前記柱体2の外周面と同じか、又は、外周面よりも内側(軸500側)に形成してもよい。
受部材4は、柱体2から突出しないものであれば形態は限定されないが、後述する足場用資材100のクサビ部101を挿入した際の強度を考慮して、柱体2の外周から軸500側にある程度厚みを設けることが望ましい。
【0012】
そして、受部材4と、嵌合した放射壁3、3間に、足場用資材100のクサビ部101が挿入可能な貫通孔5が形成されている。
すなわち、貫通孔5は、放射壁3、3の放射軸側に受部材4の内面(内縁)に仕切られて形成される。
貫通孔5の大きさは、足場用資材100のクサビ部101を挿入できるほどの大きさであり、受部材4の上下高さ方向の寸法(厚み)は、足場用資材100のクサビ部101が嵌め込まれて固定できるほどの大きさである。
受け部材4は一枚板でもよく、上下高さ方向の寸法(厚み)との良好な関係で、側面が鉤型、コ型或いはロ型として強度を得てもよい。
放射壁3同士で形成された空間において、受け部材4の上方からクサビ部101が挿入され、クサビ部101を形成された貫通孔5に嵌め込んで足場を支承するものである。
【0013】
また、後述する挟み込み式の足場用資材200を連結する場合、受部材4の上下高さ方向の寸法(厚み)は、挟持可能であれば特に限定されるものではない。
挟み込み式の足場用資材200を用いる場合、受部材4の厚みは薄い方が適しているといえる。
そして、挟み込み式の足場用資材200を用いる場合に受部材4の高さ方向の寸法を小さくするときにも、ロックピン300等との強度を考慮することは当然である。
【0014】
足場用支柱1は上方から下方に向かって、柱体2、放射壁3、中間部に受部材4を備える放射壁3、柱体2の順に形成してある。
柱体2と放射壁3、及び放射壁3と受部材4とは溶着により容易に構成でき、必要があれば任意の補強材を介在させて溶接すればよい。
放射壁3と中間部の受部材4を、一つの取付部6とすると、取付部6は足場用支柱1の長手方向に一定の間隔で複数設けてあることになる。
取付部6は、後述する手摺やブラケット等の足場用資材100,200を取り付けることが可能であり、足場用支柱1の長さや用途に応じて取付部6を設ける場所や数は任意に決定してよい。
【0015】
次に本発明の第二実施形態の足場用支柱11について説明する。第二実施形態の足場用支柱11は、図3及び図4に示すように、足場用支柱11は、柱体2、四つの放射壁3と受部材4を備え、前記柱体2は円筒体であって、前記放射壁3は前記上下の柱体2、2間に介在すると共に、前記柱体2の軸からそれぞれ放射状に延びていること、前記受部材4は隣り合う前記放射壁3、3間に嵌合した水平状態で前記放射壁3の上下中間位置に配置されていること、前記受部材4が足場用資材100,200の取付部6となる点では第一実施形態の足場用支柱1と同じであるが、前記受部材4が、前記各放射壁3、3間の隣り合う受部材4同士が、異なる高さ位置に配置されている構成が異なっている。
【0016】
詳しくは、受部材4は二つの第一受部材41,41と二つの第二受部材42,42から構成される。第一受部材41及び第二受部材42は、それぞれ隣接する放射壁3と放射壁3の間において周方向に形成してあり、第一受部材41,41同士と、第二受部材42,42同士は、足場用支柱11の軸500に対して軸対象に配置されている。つまり、図3において便宜上、紙面手前側を前側、奥側を後側とすると、第一受部材41,41は高さ方向の同じ位置において前後に対向して形成されており、第二受部材42,42は高さ方向の同じ位置において左右に対向して形成されている。そして、第一受部材41と、第二受部材42は、足場用支柱11の長手方向に位置がずれている。つまり、図4に示すように、第一受部材41,41が位置する高さには、第二受部材42,42は形成されていない。
【0017】
本発明の足場用支柱1、11は、足場を組み立てる際には、従来から用いられている種々の足場用資材を用いることができる。例えば、図5に示すようなクサビ部101を端部に有するクサビ型の足場用資材100を本発明の足場用支柱1に連結する場合、まず、図5(a)に示すように、クサビ部101を貫通孔5に差し込む。次いで、図5(b)に示すように、クサビ部101が二つの放射壁3と受部材4で形成された空間に嵌め込まれるよう、足場用資材100をハンマーで打ち込んで固定させる。
クサビ部101を挿入する取付部6は足場の構成によって任意の場所を選択することが可能であり、一つの取付部6に前後左右、複数の方向からそれぞれ足場用資材100を取り付けることも可能である。
このようなクサビ式足場用資材100は、図6に示すように、第二実施形態の足場用支柱11にも適用できる。
【0018】
また、図7に示すように、受部材4を挟持可能に形成された挟み込み式の足場用資材200を本発明の足場用支柱1に連結する場合、まず、図7(a)に示すように、足場用資材200の端部に形成された挟持部201を受部材4に差し込んで、受部材4をくわえ込ませる。
次に、図7(b)に示すように、ロックピン300を挟持部201に設けた孔202に挿し込んで、前記二つの孔202、202の中間に位置する貫通孔5の空間を貫通させることによって、取付部6に固定され、足場用資材200を支承する。
このような挟持式足場用資材200は、第二実施形態の足場用支柱11にも適用できる。
【0019】
このように構成した足場用支柱1によれば、放射壁3は、柱体2の軸500から外方へ向かってそれぞれ放射状に延び、長手方向に沿って形成してあり、受部材4は、柱体2と柱体2の間において、長手方向に間隔を開けて放射壁3の上下位置に二箇所設けてあり、手摺やブラケット等の足場用資材100,200のクサビ部101や挟持部201を貫通孔5の内部において係止させることが可能であり、放射壁3は柱体2の外周から突出しないことにより、柱体2から突出する受け金具やフランジ等を有しないので、積み重ねてもかさ張ることなく持ち運びが容易で利便性が高い。また、四つの放射壁3を有することによって、支柱としての強度が高く、さらに、四つの放射壁3と受部材4に設けた貫通孔5によって、一箇所で四方向から足場用資材100,200を固定できるので、汎用性が高い。
【0020】
また、受部材4が二つの第一受部材41,41及び二つの第二受部材42,42から構成される足場用支柱11とし、第一受部材41と第二受部材42がそれぞれ隣接する放射壁3と放射壁3の間において形成してあり、第一受部材41,41同士と第二受部材42,42同士は、柱体2の軸500に対して軸対称に配置され、第一受部材41と第二受部材42は、支柱の長手方向に位置がずれている構成とすれば、例えば前後及び左右の異なる方向へ段違いで足場用資材100,200を係止させることができるので汎用性が高く、また、従来と略同じ構成の足場を組み立てることができる。
【0021】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、第一受部材と第二受部材は便宜上、前後左右に設けてあると記載したが、足場用支柱の前後左右は組み立てる足場の構成や足場用資材によって自由に定めることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 足場用支柱(第一実施形態)
2 柱体
3 放射壁
4 受部材
5 貫通孔
6 取付部
11 足場用支柱(第二実施形態)
41 第一受部材
42 第二受部材
100 足場用資材
101 クサビ部
200 足場用資材
201 挟持部
202 孔
300 ロックピン
500 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7