(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電流刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2022070296
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2017143144の分割
【原出願日】2017-07-25
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591032518
【氏名又は名称】伊藤超短波株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【氏名又は名称】福地 武雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大悟
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002901(WO,A1)
【文献】特開2016-202445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋収縮を起こさせない微弱な電気信号を出力する出力部と、前記出力部を制御する制御部を備えた電流刺激装置であって、
前記電気信号は、前記電気信号が付与された者が前記電気信号を感知できない出力である第2出力による前記電気信号を出力する場合であって前記電流刺激装置が正常に動作している場合において、前記出力部は、
少なくとも出力開始時または出力終了時或いは定期的に、前記第2出力に代えて、前記電気信号が付与された者が前記電気信号を感じる出力である第1出力による前記電気信号を一時的に出力する電流刺激装置。
【請求項2】
前記電気信号の出力が前記第2出力から前記第1出力へ段階的に変更される請求項1に記載の電流刺激装置。
【請求項3】
前記電気信号の出力が前記第1出力から前記第2出力へ段階的に変更される請求項1または請求項2に記載の電流刺激装置。
【請求項4】
前記第1出力を定期的に出力する場合において、前記電気信号の出力が後続して行われる場合の前記第1出力の継続時間が、前記電気信号の出力が終了する場合に使用される前記第1出力の継続時間と異なる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電流刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間が感知できない微弱電流を発生させる電流刺激装置に関し、より詳しく述べると経皮を電流刺激することにより筋出力の向上または低下をさせる電流刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流刺激により身体機能を回復させる装置として、筋収縮をさせることで筋出力を向上させるEMSが知られている。EMSとは、Electrical Muscle Simulationのことであり、外部から電気的に運動神経を刺激することで、その神経に繋がる筋肉を収縮させたり弛緩させたりして、効率的な筋力トレーニングを行わせる装置である。
【0003】
筋組織に対し強度の負荷をかけ、筋繊維を破壊した後に修復することで筋肉を肥大化し、筋出力を向上させることで身体の運動機能障害を回復させる装置である。それゆえ、EMSは筋収縮を引き起こすような強い電流刺激を与える。しかしながら、筋肉に突然強度の電流刺激を与えると刺激が強すぎるので、設定電流へ徐々に電流を上げていく「電流のかけ方」に様々な工夫がされている(例えば引用文献1)。
【0004】
EMSは強い電流刺激により筋肉を収縮させたり弛緩させたりして、効率的な筋力トレーニングを行わせ、筋肉を肥大化させるものである。その結果として筋出力が向上するものであり、筋が肥大化するまでは筋出力を向上させることはできない。つまり、即時的に筋出力を向上させることはできないという課題があった。
【0005】
一方、即時的に筋出力を向上又は低下させることができる、或いは、医療機関に罹ることなく簡易に過度な筋収縮を弛緩させることができる技術がある(例えば引用文献2)。この技術では複数の矩形パルスで構成され電流パルス群を人体に供給するに際し、電流を徐々に上昇させるランプアップタイムと前記設定電流から徐々に電流を下降させるランプダウンタイムとを制御し、特にランプアップタイムとランプダウンタイムを1秒より大きくすることで筋出力を向上させ、逆に1秒より小さくすることで筋出力を低下させることができる。ここで使用するパルスの出力は、例えば450μAであって、人間が電気刺激を感知できない出力(以後、無感の出力)が使用されている。この無感の出力ではパルスによる痛みはもちろん、筋肉の収縮が発生することも、パルスが供給されていることも人は感じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-225810号公報
【文献】特開2016-202445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように無感の出力を使用すると、使用者が出力を感知できないので、使用者がパルス供給を行ったつもりでも、実質的にパルスが正常に供給されないという場合が発生する。例えば、スイッチを押し損ねた場合、装置の操作を誤った場合、装置が故障している場合、バッテリの残量が少なく途中で停止するなど動作が不安定となる場合、ケーブルが外れた場合、ケーブルが断線した場合、使用する導子が劣化等によって正常にパルスを人体に供給できなくなった場合等である。これらの場合には実質的にパルスが人体に供給されていない状態であっても、使用者がそれに気づくことはまれであり、ほとんどの場合において使用者はそれに気づくことができず、多くの使用者は実質的にパルスが供給されない状態で装置を使用し続けて、一向にその効果が得られない等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記した課題を解決するために本発明において以下のような手段を講じた。即ち本発明の電流刺激装置は、筋収縮を起こさせない微弱な電気信号を出力する出力部と、前記出力部を制御する制御部を備えた電流刺激装置であって、前記電気信号は、前記電気信号が付与された者が前記電気信号を感知できない出力である第2出力による前記電気信号を出力する場合であって前記電流刺激装置が正常に動作している場合において、前記出力部は、少なくとも出力開始時または出力終了時或いは定期的に、前記第2出力に代えて、前記電気信号が付与された者が前記電気信号を感じる出力である第1出力による前記電気信号を一時的に出力することを特徴としている。
【0009】
(2)さらに本発明の電流刺激装置は、前記電気信号の出力が前記第2出力から第1出力へ段階的に変更されることを特徴としている。
【0010】
(3)さらに本発明の電流刺激装置は、前記電気信号の出力が前記第1出力から前記第2出力へ段階的に変更されることを特徴としている。(4)さらに本発明の電流刺激装置は、前記第1出力を定期的に出力する場合において、前記電気信号の出力が後続して行われる場合の前記第1出力の継続時間が、前記電気信号の出力が終了する場合に使用される前記第1出力の継続時間と異なることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、無感の出力と、人間が電気刺激を感知できるような出力(以後、有感の出力)を併用するので装置の正常な動作を使用者が容易に知ることができ、使用者が安心して使用できる使い勝手のよい装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明にかかる電流刺激装置100の正面図である。
【
図2】本発明にかかる電流刺激装置のブロック図である。
【
図3】本発明にかかる電流刺激装置100の出力の模式図である。
【
図4】本発明にかかる電流刺激装置100の出力の制御を示す説明図である。
【
図5】本発明にかかる電流刺激装置100の出力の制御を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
通常、筋の収縮は、脳が神経を通じて動かしたい筋に命令を出し、その命令を受けて筋が受けることによって生じる。通常は、最大の命令でも筋の約60%~70%の筋力しか発揮されないと考えられている。何故なら、筋の持つ筋力を100%発揮すると、腱や骨、関節、さらには筋自身に負担がかかりすぎるため、一種の防衛措置として100%の命令がされない様に制御されている。この筋に伝わる約60%~70%の命令量を増やす事で筋出力を向上させ、命令量を減らす事で筋出力を低下させると考えられる。本明細書において、この筋に伝わる約60%~70%の命令量を増やす事を促通と定義し、命令量を減らす事を抑制と定義する。つまり、促通により筋出力が向上し、抑制では筋出力を低下させる。
【0014】
図1に本発明を施した電流刺激装置100を示す。電流刺激装置100は筋収縮を起こさせない微弱電流(マイクロカレント)を発生させて、経皮的に刺激を与えることで、その神経に付随する筋肉の筋出力を向上又は低下させことができる、図に示すように、電流刺激装置100は微弱電流を発生させる本体10と、その電流を印加する導子14及び本体10と導子を電気的に接続するケーブルから構成される。
【0015】
電流刺激装置100の正面には、各種スイッチ(操作スイッチ)が設けられている。11は電源スイッチである。12はスタート/ストップスイッチである。また、電流刺激装置100の下面には導子14を接続する出力口が設けられている。
【0016】
出力モードとしては、筋出力を向上させる第1出力モードと、筋出力を低下させる第2出力モードがある。この出力モードは装置ごとに固定したモードとしてもよいし、両方のモードをユーザーが選択するものとしてもよい。
【0017】
図2は、本体10のブロック図を示す。本体10は制御部202、後述のパルス群を生成する出力部である波形生成部204、タイマ207、ユーザーIF部201、電源部206、バッテリ203等から構成される。制御部202はCPUやメモリの他、各部と接続する為のインターフェース部を内蔵し、電流刺激を与える電気信号を生成する波形生成部204、一定時間の出力を計時するタイマ207、電源スイッチ11やスタート/ストップスイッチ12に接続されたユーザーIF部201に接続されてこれらを制御する。バッテリ203から供給される電力は電源部206によって所定の一定電圧値、例えば5Vに制御されて制御部202を介して各部に供給される。
【0018】
波形生成部204の生成するパルスは、筋収縮を起こさせないレベルの電流パルスであって、具体的には20mA以下の電流であり、本実施例は出力を20mA以下としているので筋収縮を起こすことが無い。
【0019】
次に制御部202について述べる。制御部202は後述のランプアップタイムやホールドタイム、ランプダウンタイムやオフタイムについての時間制御もおこなっている。尚、制御部202に内蔵されているメモリは制御プログラム用ROMや作業用RAM等の他、パルスのパラメータやその他のパラメータを格納している。
【0020】
電流刺激装置100は次のように使用される。使用者が導子14を、促通や抑制の効果を得たい筋肉の上、或いはその近傍(以下、所定部位という)に貼り付ける。導子14を所定部位に貼り付けた後、電源スイッチ11を押して電源を投入し装置本体を起動させ、スタート/ストップスイッチ12を押すと、その情報はユーザーIF部201を介して制御部202に送られ、制御部202は後述する電気信号を出力するように波形生成部204に指示を出し、振幅その他の制御を行う。制御部202からの情報や指示に基づいて波形生成部204によって出力される電気信号はケーブルに接続されている導子14に供給される。波形生成部204に対して出力を指示したことに同期してタイマ207に計時を指示し、タイマ207が所定時間、例えば5分の計測を開始する。タイマ207の計測に関する情報、例えば所定の時間が経過した情報は制御部202にフィードバックされて、当該フィードバックにより、制御部202は波形生成部204への電力供給を停止することによって電気信号の出力を停止する。
【0021】
ここで、最初にスタート/ストップスイッチ12が押されることによって第1出力モード(後述)が開始される。続けてスタート/ストップスイッチ12を押すと第2出力モード(後述)が開始され、さらにスタート/ストップスイッチ12を押すとパルスの出力は停止される。本明細書において、パルスを人体或いは所定部位に付与することを施術と称する。
【0022】
尚、本体10は1チャネル、即ち電極パッド2枚を一組とする導子14を1組使用する構成であるが2チャンネル以上とし、チャンネルごとにモード選択スイッチを設けてチャンネルごとにモードを選択することができるような構成にしてもよい。
【0023】
導子14は公知技術の導子でよく、例えば粘着パットによる導子でも構わない。或いは吸引カップを使用して導子を吸引力によって所定部位に吸着させてもよく、或いはベルト等によって所定部位に巻きつけるようにして固定してもよい。
【0024】
図3は電流刺激装置100の出力するパルスの一例を説明した図である。この図は、電流刺激装置100が出力するパルスを模式的に示しており、横軸は時間で縦軸は電流値を示す。このように、電流刺激装置100は、例えば(a)のように、出力が徐々に大きくなる第1パルス群と一定の出力が維持されている第2パルス群と出力が徐々に小さくなる第3パルス群から構成される第4パルス群を出力する。換言すると、第1パルス群は、パルス群を構成する各パルスの振幅が徐々に大きくなるパルス群である、又は第1出力の第1パルスと当該第1出力よりも大きな出力により当該第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群、或いは第1振幅の第1パルスと当該第1振幅よりも大きな振幅により当該第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群と言える。第2パルス群は、複数のパルス群の振幅が第2パルス群においては一定であるパルス群である、又は第2出力の複数のパルスで構成されるパルス群、或いは第2振幅の複数のパルスで構成されるパルス群であると言える。第3パルス群は、パルス群を構成する各パルスの振幅が徐々に小さくなるパルス群である、又は第3出力の第3パルスと当該第3出力よりも小さな出力により当該第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群、或いは第3振幅の第3パルスと当該第3振幅よりも小さな振幅により当該第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群と言える。各パルス群では、一例として周波数50Hz、パルス幅200μsecの矩形パルスが使用される。振幅は各パルス群によって図のように変化するが、第2パルス群の振幅として例えば450μAを使用している。ここでT1は第1パルス群の継続時間、即ちランプアップタイムを、T2は第2パルス群の継続時間、即ちホールドタイムを、T3は第3パルス群の継続時間を、即ちランプダウンタイムを、T4は第4パルス群の休止時間、即ちオフタイムを示している。同図(b)は(a)をさらに模式的に示した図であり、第1パルス群と第3パルス群を三角形で示し、第2パルス群を四角形で示している。
【0025】
第1出力モードについて説明する。第1出力モードは、筋出力を向上させるモードであり、ランプアップタイムとランプダウンタイムを1秒より大きくした出力モードである。つまり、設定した電流まで1秒より長い時間をかけて徐々上げていき、その設定した電流にて数秒間出力した後、1秒より長い時間をかけて徐々に電圧を下げていく制御である。このような制御は制御部202にて行う。
【0026】
第2出力モードは、筋出力を抑制するモードであり、ランプアップタイムとランプダウンタイムを1秒より小さくした出力モードである。つまり、設定した電流まで1秒より短い時間で出力を上げていき、その電流にて数秒間出力した後、1秒より短い時間で電流を下げていく制御である。このような制御は制御部202にて行う。
【0027】
第1出力モードを使用すると促通の効果がえられ、第2出力モードを使用すると抑制の効果が得られる。使用者がどちらの効果を必要とするかによって第1出力モードを使用するか第2出力モードを使用するか決定することができる。ここでは第1出力モードが使用されたとして説明する。但し第2出力モードが使用された場合であっても本発明に対する以降の説明は同様に適用される。
【0028】
ランプアップタイムとランプダウンタイムとしては、好ましくは1.1秒から4.0秒の範囲で促通の効果があり、特に促通の効果があるのは1.1秒から3.0秒の範囲である。一方、ランプアップタイムとランプダウンタイムとしては、好ましくは0.1から0.9秒の範囲で抑制の効果がある。
【0029】
図4は本発明による第4パルス群の出力の制御を示している。横軸は時間で縦軸は電流値を示している。ここでは第4パルス群の出力として第2パルス群の振幅を使用して説明する。第2パルス群の振幅を制御することによって、第1パルス群の最大の振幅値と第3パルス群の最大の振幅も連動して制御される。この様子を
図3(b)に示している。この図における左側の第4パルス群Xは第2パルス群の振幅が小さい場合を示し、右側の第4パルス群Yは第2パルス群の振幅が大きい場合を示している。即ち、第2パルス群の振幅が変更されても、第1パルス群における振幅の変化の割合、及び第3パルス群における振幅の変化の割合が制御されるだけでT1やT3は変化しないように制御されて、波形生成部204が電気信号としてこれらの第4パルス群を出力する。
【0030】
本発明においては
図4(a)のように電気信号の出力開示時に一時的に第1出力が使用され、その後、第2出力が使用される。即ち施術開始直後は第1出力である出力1で出力されるが、出力開始から所定時間の時間T41経過後から出力は第2出力である出力2に変更される。換言すれば、波形生成部204は第2パルス群の出力として第1出力の後に第2出力を使用して電気信号を生成する、或いは第2出力に代えて第1出力を一時的に使用して電気信号を生成する。即ち、本発明においては、有感の出力の後に無感の出力が行われ、所定部位には有感のパルスの後に無感のパルスが供給される。
【0031】
出力2は上記の如く450μAであるが、出力1としては一例として3mAとしている。この出力1は人間がパルスを供給されていることを気づくことができるが、筋収縮を起こさせない範囲の出力であればよい。以後、人間がパルスを供給されていることを気づくことができるが、筋収縮が生じない出力のパルスを有感パルスといい、逆にパルスを供給されていることすら気付かないような出力のパルスを無感パルスという。尚、有感パルスは筋収縮を起こさせないだけでなく、パルス供給による痛みを感じないパルスであればさらに望ましく、即ち、使用者が不快に感じない程度の出力であるのが望ましく、具体的には数mA以下とするのがよい。所定部位が比較的敏感な部分であれば、例えば出力1として950μA程度としてもよい。当該950μAや3mAを使用した第4パルス群を使用した電気信号のような有感の電気パルスを無感パルスと併用しても、当該有感パルスのようにその出力がこのように比較的小さい又はパルスの供給が比較的短時間である場合には無感パルスと同様な効果がえられ、無感パルスによる施術を阻害することはない。例えば有感パルスの使用が無感パルスの効果を低下させたり、有感パルスの使用した時間に応じて施術時間を長くしたり、有感パルスを使用することによる不具合や弊害はない。従って有感パルスを一時的に使用することは無感パルスによる施術をより効果的に行うことにつながる。
【0032】
時間T41は、一例として20秒が使用される。このT41はパルス供給が開始されたこと、即ち施術が開始されたことを使用者に気づかせるのに十分な長さであればよい。但し、長すぎる場合は、例え有感パルスが痛みも与えないし筋収縮も発生させないといえども、使用者によっては不快と感じる可能性もあり、長すぎると望ましくない。
【0033】
出力1は使用者が不快に感じない程度の出力であるので、T41が逆に短すぎる、例えば1つの第4パルス群にだけ有感パルスが使用されるなら使用者が出力に気が付かない場合もあり望ましくない。以上からT41は10秒から40秒程度が望ましい。
【0034】
無感の出力をのみが使用される場合は、使用者が出力を感知できず、スタート/ストップスイッチ12の押し損ねや、バッテリの残量が少ないことに起因して適切な出力がされていないことを知ることができず、それに使用者が気づかない不具合がある。ところが上記のように出力開始後に有感の出力を使用することで、使用者はパルスが所定部位に供給されていることを容易に知ることができ、逆に出力開始直後に有感の電気刺激が得られない場合に使用者は容易に適切な出力がされていないことを知ることができ、当該不具合を容易に回避できる。例えばスイッチ操作を誤ったことや導子14が劣化していることに容易に気づいて操作をやり直したり或いは導子14の貼り直しや交換などを行ったり等の改善が即座に行える。さらに無感の出力では使用者が電気刺激を感じることができないので、本当に電気信号が出力されているか、即ち装置が正常に動作しているか疑問を抱く場合がある。ところが一時的な有感の電気刺激である施術開始時の有感パルスが使用される為に装置の正常な動作を使用者が容易に知ることができ、出力を実感することによって、その効果を向上させることができる。
【0035】
図4(b)は本発明における他の例を示している。同図(a)はT41経過後にパルスの出力が出力1から出力2に直接的に変更されている。一方、同図(b)はパルスの出力は出力1から出力2に徐々に、又は段階的に変化する、即ち第4パルス群の出力が段階的に低下させる制御を模式的に示している。例えばパルスの出力は出力1においては3mAであったが、時間T41経過後に2.5mA、2mA、1.5mA、1mAと段階的に制御して最終的に出力2である450μAとする制御でもよい。同図(a)のような制御では、使用者はT41経過後に突然有感パルスによる電気刺激を感じなくなるが、同図(b)の制御を使用した場合は有感パルスによる電気刺激を徐々に感じなくなるので使用者はよりストレスを感じないのでより望ましい。
【0036】
本発明による他の実施例を示す。有感の出力は、上記では施術開始時に使用されるがこれに限定されず、有感の出力は施術終了時、即ち出力停止前(出力停止時)にも使用することができる。例えば出力が終了する30秒前から無感の出力の代わりに有感の出力に切り替えることによって間もなく出力が終了することを使用者に知らせることができる。無感の出力が使用される場合は、いつ出力が終了したか使用者が知ることができないという不具合があったが、出力の終了間際に有感の出力が使用されるので使用者は容易にその終了を知ることができる。
【0037】
図5はこの場合の出力制御を示している。まず、(a)は施術が終了するT51前にパルスの出力が出力2から出力1に変更される制御を示している。同図(b)ではパルスの出力は出力2から出力1に徐々に、或いは段階的に変化する。換言すれば、波形生成部204は第2パルス群の出力として第1出力の前に第2出力を使用して電気信号を生成する、或いは第2出力に代えて第1出力を一時的に使用して電気信号を生成する。
【0038】
同図(b)の制御では、例えばパルスの出力は出力2においては450μAであったが、出力終了の時間T51前から1mA、1.5mA、2mA、2.5mA、3mAと段階的に制御して最終的に出力1である3mAとする制御でもよい。同図(a)のような制御では、使用者は施術終了のT51前から突然有感パルスを感じるようになるが、同図(b)の制御を使用した場合は有感パルスを徐々に感じるようになるので使用者はよりストレスを感じないのでより望ましい。
【0039】
上記のような制御では、主に第2出力による電気信号を使用するが一時的に第1出力を使用していると言える。このような一時的な有感の出力は出力の開始時又は出力の終了時だけでなく、出力の開始時と終了時の両方で使用することもできる。即ち、
図4と
図5の制御を併用することもできる。
【0040】
さらに、上記のような一時的な有感の出力は電気信号の出力開始時と出力の終了時だけでなく、定期的に有感の出力を使用することによって、即ち、第2出力に代えて第1出力を一時的に使用して電気信号を生成することによって、使用者に装置が正常に動作していることと共に時間経過を知らせることもできる。例えば出力が1分継続されるたびに有感の出力を第4パルス群の2回分における第2パルス群で行ってもよい。さらに出力が後続して行われる場合の有感の出力の継続時間を、出力が終了する場合に使用される有感の出力の継続時間と変えることで、例えば15秒間において有感パルスを使用することで使用者が有感刺激を感じた時に、出力が終了するのか単なる時間経過を示すのか容易に判断できるのでより望ましい。
【0041】
また、促通モード、抑制モードの出力はユーザーが任意に変更できるようにしてもよい。例えば、5段階の出力レベル調整スイッチを設けて、ユーザーの好みの出力としてもよい。尚、記載したパラメータは一例であって、このパラメータに限定するわけではなく、均等の範囲に及ぶことを注意的に記載しておく。例えば、パルスは正負の成分或いは正負のパルスを持つ場合に限定されず、正パルス又は負パルスのみであってもよく、正負のパルスを使用する場合でもオフセットされて正の成分と負の成分が異なるようなパルスであってもよい。或いは矩形パルスに限らず、三角波等の他の形状のパルスであってもよい。
【0042】
本発明に係る他の電流刺激装置は、筋収縮を起こさせない微弱な電気信号を出力する出力部を備え、前記電気信号は、第1パルス群と、第2パルス群と第3パルス群を少なくとも含み、前前記第1パルス群は、第1出力の第1パルスと、前記第1出力よりも大きな出力により前記第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含み、前記第2パルス群は、第2出力の複数のパルスで構成され、前記第3パルス群は、第3出力の第3パルスと、前記第3出力よりも小さな出力により前記第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含み、前記出力部は前記第2出力として、前記電気信号が付与された者が、前記電気信号を感じる第1出力の後に前記電気信号を感知できない第2出力を使用することを特徴としている。
【0043】
さらに本発明の他の電流刺激装置は、筋収縮を起こさせない微弱な電気信号を出力する出力部を備え、前記電気信号は、第1パルス群と、第2パルス群と第3パルス群を少なくとも含み、前前記第1パルス群は、第1出力の第1パルスと、前記第1出力よりも大きな出力により前記第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含み、前記第2パルス群は、第2出力の複数のパルスで構成され、前記第3パルス群は、第3出力の第3パルスと、前記第3出力よりも小さな出力により前記第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含み、前記出力部は前記第2出力として、前記電気信号が付与された者が、前記電気信号を感知できる第1出力の前に前記電気信号を感知できない第2出力を使用することを特徴としている。
【0044】
さらに本発明の他の電流刺激装置は、筋収縮を起こさせない微弱な電気信号であって前記電気信号を与えられた者が前記電信号を感知できない第2出力の電気信号を出力する出力部を備え、前記電気信号は、第1パルス群と、第2パルス群と第3パルス群を少なくとも含み、前前記第1パルス群は、第1出力の第1パルスと、前記第1出力よりも大きな出力により前記第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含み、前記第2パルス群は、第2出力の複数のパルスで構成され、前記第3パルス群は、第3出力の第3パルスと、前記第3出力よりも小さな出力により前記第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含み、前記出力部は前記第2出力として、前記第2出力に代えて、前記電気信号を感知できるような第1出力による前記電気信号を一時的に使用することを特徴としている。
さらに本発明の他の電流刺激装置は、筋収縮を起こさせない微弱な電気信号を出力する出力部と、前記出力部を制御する制御部を備えた電流刺激装置であって、前記電気信号は、前記電気信号が付与された者が前記電気信号を感知できない出力である第2出力による前記電気信号を出力する場合であって前記電流刺激装置が正常に動作している場合において、前記出力部は、前記第2出力に代えて、前記電気信号が付与された者が前記電気信号を感じる出力である第1出力による前記電気信号を一時的に出力することを特徴としている。
さらに、前記電気信号の出力が前記第1出力から前記第2出力へ段階的に変更されることを特徴としている。
【符号の説明】
【0045】
10 本体
11 電源スイッチ
12 スタート/ストップスイッチ
14 導子
100 電流刺激装置
201 ユーザーIF部
202 制御部
203 バッテリ
204 波形生成部
206 電源部
207 タイマ