(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】トイレ空間の照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20240527BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240527BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20240527BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20240527BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240527BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20240527BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/175
H05B47/165
H05B47/115
(21)【出願番号】P 2023080444
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2019058001の分割
【原出願日】2019-03-26
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高尾 綾
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】松井 春奈
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 俊洲
(72)【発明者】
【氏名】永石 昌之
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-169901(JP,A)
【文献】特開2017-195039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0070424(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0089550(US,A1)
【文献】国際公開第2017/104104(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/155
H05B 45/10
H05B 45/20
H05B 47/175
H05B 47/165
H05B 47/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間に設置される第1照明装置と、
前記トイレ空間において、前記第1照明装置とは異なる位置に設置される第2照明装置と、
予め記憶された使用者の動作
に対応する現在の使用者の動作に基づいて、前記第1照明装置および前記第2照明装置の照度または色温度を制御可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記
現在の使用者の動作に基づいて、前記第1照明装置および前記第2照明装置の照度または色温度を同時に変更可能であり、
少なくとも前記制御装置が変更する前記第1照明装置および前記第2照明装置の照度または色温度の変更量が、前記第1照明装置と前記第2照明装置とで異なる状態を複数有し、前記制御装置は、前記
現在の使用者の動作に基づいて、前記複数の状態から所定の状態を選択可能としていることを特徴とするトイレ空間の照明制御システム。
【請求項2】
前記
現在の使用者の動作とは前記使用者のジェスチャーであることを特徴とする請求項1に記載のトイレ空間の照明制御システム。
以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ空間の照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ空間は排泄行為を行う空間である一方で、プライベートな空間であるため、使用者個々の好みに合わせた快適性が求められている。そこで、特許文献1では、トイレ室内の天井に配置された照明の照度や色調を任意に調節することが可能な照明コントロールボックスを用いることで、使用者の好みに合わせた快適なトイレ空間を演出することが記載されている。また、特許文献2には、天井からの単一の照明装置だけでは装飾的な雰囲気が出しづらいことから、スポット的に手元や足元を照らす照明や装飾用の照明を設け、それらの照度を使用者が任意に調節することで、トイレ空間の雰囲気を使用者の好みに合わせることが可能なトイレ空間照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-166586号公報
【文献】特開2010-182680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載された照明装置のように、複数の照明装置に対して個別のスイッチが設けられている場合、煩雑な操作が求められるため使い勝手が良くないという課題が生じる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、使用者による煩雑な操作を必要とすることなく、簡便に複数の照明装置の照度または色温度を制御することが可能なトイレ空間の照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、トイレ空間に設置される第1照明装置と、そのトイレ空間において、第1照明装置とは異なる位置に設置される第2照明装置と、トイレ空間内の使用者の操作を受け付ける操作装置と、その操作装置に対する使用者による操作に基づいて、第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度を制御可能な制御装置と、を備え、制御装置は、操作装置に対する使用者による単一の操作に基づいて、第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度を同時に変更可能であることを特徴とする
このように構成された本発明によれば、トイレ空間に設置される第1照明装置と、トイレ空間において、第1照明装置とは異なる位置に設置される第2照明装置の照度または色温度を、操作装置に対する使用者による単一の操作で同時に変更することを可能にした。
これによって、使用者による煩雑な操作を必要とすることなく、第1照明装置および第2照明装置からなる複数の照明装置の照度または色温度の変更を、操作装置に対する単一の操作によって簡便に制御することが可能なトイレ空間の照明制御システムを提供することができる。
ここで、本発明において「トイレ空間」とは、少なくとも1つの便器が設置された個室ブース(個室空間)を複数備えた共有トイレ空間も含むものとする。
【0007】
本発明において、好ましくは、制御装置が変更する第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度の変更量が、第1照明装置と第2照明装置とで異なる。
このように構成された本発明によれば、使用者がより細かく変更したい方の照明装置に対しては、使用者による単一の操作に基づいて制御装置が変更する照度または色温度の変更量を下げることが可能となる。これによって、使用者による煩雑な操作を必要とすることなく、より簡便に使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0008】
本発明において、好ましくは、トイレ空間の天井に設置される第1照明装置と、その第1照明装置よりも低い位置に設置される第2照明装置と、を備え、制御装置が変更する第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度の変更量が、第2照明装置よりも前記第1照明装置の方が小さい。
照明装置の照度または色温度が変更されることによって使用者が感じるトイレ空間の雰囲気の変化は、トイレ空間内全体に影響をもたらすように天井に設置されて光を照射する第1照明装置への依存度が高い。
このように構成された本発明によれば、トイレ空間の雰囲気の変化に強い影響を与える第1照明装置の照度または色温度の変更量を、第2照明装置の照度または色温度の変更量よりも小さくすることで、第2の照明装置と比較して第1照明装置を細かく制御することが可能となる。これによって、使用者による煩雑な操作を必要とすることなく、より簡便に使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0009】
本発明において、好ましくは、制御装置が変更する第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度の変更量は、操作装置に対して使用者が操作可能な範囲において、曲線または少なくとも2つ以上の異なる傾きを有する直線によって設定される。
第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度を変更することによって、使用者の好みに応じてトイレ空間の雰囲気を変更可能である。ここで、一般的に心地よいと感じる領域は細かな調整を可能とし、一般的に人が心地よくないと感じる領域は粗い調整に留めることによって、本発明に係るトイレ空間の照明制御システムの使い勝手をさらに向上させることが可能となる。
このように構成された本発明によれば、第1照明装置および第2照明装置の照度または色温度の変更量が、操作装置に対して使用者が操作可能な範囲において、上述した心地よいと感じる領域は曲率が大きい緩やかな曲線あるいは小さい傾きを有する直線によって設定され、心地よくないと感じる領域は曲率が小さい急な曲線あるいは大きい傾きを有する直線によって設定されることによって、使用者による煩雑な操作を必要とすることなく、より簡便に使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトイレ空間の照明制御システムによれば、使用者による煩雑な操作を必要とすることなく、簡便に複数の照明装置の照度または色温度を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムが設けられたトイレ空間の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムのブロック図でである。
【
図3】本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムによる複数の照明装置の照度を段階的に制御することを表した概念図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムによる複数の照明装置の照度を連続的に制御することを表した概念図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係るトイレ空間の照明制御システムにおいて、トイレ空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置の参考図である。
【
図6】本発明の第2実施例に係るトイレ空間の照明制御システムにおいて、トイレ空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置の参考図である。
【
図7】本発明の第3実施例に係るトイレ空間の照明制御システムにおいて、トイレ空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置の参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一実施形態を示すものである。以下の実施形態で示される構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などはあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムが設けられたトイレ空間に設置された個室空間の側面図である。
【0014】
図1に示すように、トイレ空間の照明制御システム1は、第1照明装置100と、第2照明装置200と、操作装置300と、制御装置400とを有する。なお、
図1ではトイレ空間としてトイレの個室空間(個室ブース)を示すが、本発明のトイレ空間は個室空間に限定されない。
【0015】
図1においては、第1照明装置100は、便座3を有する大便器5が備えられたトイレ空間10の天井7に設置され、第2照明装置200は、第1照明装置100よりも低い位置に設置される。第1照明装置100及び第2照明装置200は、照度または色温度を変更することが可能な照明であり、例えばLED(Light Emitting Diode)や蛍光灯、白熱電球、有機EL(Electro Luminescence)照明などを用いることができる。特に寿命の長いLEDが好ましく、異なる照度や色温度に調光可能な単一のLEDや、異なる照度または色温度を有する複数のLEDなどを用いることが好ましい。また、第1照明装置100及び第2照明装置200は、電球形状の照明機器に限られず、パネル形状や棒形状、あるいはボタン形状等の任意の形状で構成された照明機器を用いることができる。また、第1照明装置100及び第2照明装置200は、天井面に直接設置されるシーリングライト型の他、天井から吊り下げるペンダントライト型、所定箇所を強調して照らすスポットライト型、シャンデリア型、シーリングファンに設置されるシーリングファン型、スタンドライト型、天井面に埋め込まれるダウンライト型、壁面に取り付けるブラケットライト型等、トイレ空間10の演出もあわせて自由に選択することができる。なお、トイレ空間10における第1照明装置100及び第2照明装置200の配置位置は任意に変更可能である。また、第1照明装置100及び第2照明装置200は、トイレ空間10にそれぞれ単数設置してもよいが、複数設置することにより、より効果的にトイレ空間を使用者の好みに合わせることが可能となる。
【0016】
第2照明装置200は、トイレ空間10の床面9から第1照明装置100までの高さaに対して、その高さ方向における半分の高さbで仕切られたA-A線よりも下方に設けられることが好ましい。これによって、第1照明装置100による光が到達し難い領域に対して、効果的に第2照明装置200による光を到達させることが可能となり、使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0017】
また、第2照明装置200は、トイレ空間10に備えられた大便器5に設けられた便座3の中央であるB―B線よりも前方に向けられることが好ましい。これによって、便座3に着座した使用者の目線の先であるトイレ空間10の前方領域に対して、効果的に第2照明装置200による光を到達させることが可能となり、使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0018】
操作装置300は、トイレ空間10内に設置され、使用者による操作を受け付ける装置である。操作装置300は、使用者による第1照明装置100及び第2照明装置200の明るさを変更するため操作のみを受け付ける装置であってもよく、また、便座装置などのトイレ空間10に設けられたその他の設備に対する操作も受け付けることが可能な装置であってもよい。操作装置300の具体的な構成については、
図4~6を用いて後述する。
【0019】
制御装置400は、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度または色温度を制御する装置である。制御装置400は、操作装置300に対する使用者による単一の操作に基づいて、制御信号を第1照明装置100及び第2照明装置200に送信する。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムのブロック図である。
【0021】
図2に示すように、制御装置400には、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度または色温度を変更する装置である。そのため、制御装置400は、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度または色温度を上昇もしくは低下するために予め設定された制御プログラムに従って各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)410と、CPU410で各種演算処理を実行するために必要な制御プログラムや制御データなどが予め格納されたROM(Read Only Memory)420と、同じくCPU410で各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM(Random Access Memory)430と、操作装置300から送信される使用者による操作に基づく信号を入力してCPU410の処理可能な信号に変換する入力処理回路440と、CPU410での演算結果に応じて第1照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に信号を出力する出力処理回路450と、を備えている。
【0022】
以下、
図3及び
図4を参照しつつ、本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムによる複数の照明装置に対する制御について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムによる複数の照明装置の照度を段階的に制御することを表した概念図である。
図4は、本発明の実施形態に係るトイレ空間の照明制御システムによる複数の照明装置の照度を連続的に制御することを表した概念図である。
【0023】
図3に示すように、照明制御システム1が、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度を段階的に変更する構成である場合、制御装置400は、操作装置300を介した使用者による入力情報に基づいて、L1、L2、L3、L4の4段階の内、いずれか1つの段階の照度を選択し、第1照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に制御信号を送信する。
【0024】
例えば、使用者が操作装置300に対して、トイレ空間10を現状よりも明るくする単一の操作を行った場合、制御装置400は、現状の照度よりも1段階上の明るさとして定められている照度を選択し、第1照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に制御信号を送信する。
【0025】
つまり、現状の第1照明装置100及び第2照明装置200の照度がL1の段階であった場合、制御装置400は、L1よりも1段階上の明るさとして定められているL2の照度を選択し、第1の照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に制御信号を送信する。
【0026】
また、
図4に示すように、照明制御システム1が、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度を連続的に変更する構成である場合、制御装置400は操作装置300を介した使用者による入力情報に基づいて、L1~L4の範囲内で、いずれか1つの照度を選択し、第1照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に制御信号を送信する。
【0027】
例えば、使用者が操作装置300に対して、トイレ空間10を現状よりも明るくする単一の操作を行った場合、制御装置400は使用者からの操作量に応じて、現状の照度よりも明るい照度を選択し、第1照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に制御信号を送信する。
【0028】
つまり、現状の第1照明装置100及び第2照明装置200の照度がL1であった場合、制御装置400は、使用者からの操作量に基づいて、L1よりも明るく、且つL1~L4の範囲内である、L1.8や、L2.3などの照度を選択し、第1照明装置100及び第2照明装置200に対して同時に制御信号を送信する。
【0029】
上述したような、制御装置400が変更する第1照明装置100及び第2照明装置200の照度の変更量は、
図3に示すように、L1~L4の範囲内で同一の傾きを有する直線によって設定される態様であっても構わないが、
図4に示すように、L1~L4の範囲内で2つ以上の異なる傾きを有する直線によって設定される態様であっても構わない。なお、図示はしていないが、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度の変更量は、曲線によって設定される態様であっても構わない。
【0030】
但し、L1~L4の範囲内において、使用者の多くが微調整したくなる照度は、L1付近のかなり暗めな照度や、L4付近のかなり明るめな照度ではなく、L2やL3の付近である適度な明るさの照度である。ここで、
図3に示すように、L1~L4の範囲内における第1照明装置100及び第2照明装置200の照度の変更量が、常に同一の傾きによって設定されてしまうと、多くの使用者が微調整したいL2やL3の付近も、ほとんどの使用者が微調整しないL1やL4の付近も、同程度の調整のしやすさとなってしまう。
【0031】
そのため、より多くの人が微調節したい領域における第1照明装置100及び第2照明装置200の照度の変更量を、多くの人が微調節しない領域における変更量に対して、小さくすることで、使用者が自分好みのトイレ空間10をより簡単に演出しやすくすることが可能となる。
【0032】
つまり、制御装置400が変更する第1照明装置100及び第2照明装置200の照度の変更量は、操作装置300に対して使用者が操作可能な範囲であるL1~L4において、L2~L3のような一般的に心地よいと感じる範囲は、曲率が大きい緩やかな曲線あるいは小さい傾きを有する直線によって設定され、L1~L2およびL3~L4のような一般的に心地よくないと感じる範囲は、曲率が小さい急な曲線あるいは大きい傾きを有する直線によって設定されることが好ましい。
【0033】
また、第1照明装置100の照度の変更量と第2照明装置200の照度の変更量は、
図3に示すように、第2照明装置200の変更量よりも第1照明装置100の変更量の方が小さい態様であっても構わないが、
図4に示すように、第1照明装置100の変更量と第2照明装置200の変更量とが同一の態様であっても構わない。
【0034】
但し、
図1に示したように、第1照明装置100が天井に設置されており、第2照明装置200が第1照明装置100よりも低い位置に設置されていた場合、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度が変更されることによって使用者が感じるトイレ空間10の雰囲気の変化は、トイレ空間10内全体に影響をもたらすように天井に設置された第1照明装置100への依存度が高い。
【0035】
ここで、照度を変更することでトイレ空間10の雰囲気の変化に大きな影響を与える第1照明装置100の照度の変更量を第2照明装置200の照度の変更量よりも小さくすることで、使用者が自分好みのトイレ空間10をより簡単に演出しやすくすることが可能となる。
【0036】
なお、
図3及び
図4は第1照明装置100及び第2照明装置200の照度を例に説明を行ったが、色温度に対しても同様である。
【実施例】
【0037】
以下、
図5~
図7を参照しつつ、本発明の実施例に係る個室空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置について説明する。
図5は、本発明の第1実施例に係るトイレ空間の照明制御システムにおいて、トイレ空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置の参考図である。
図6は、本発明の第2実施例に係るトイレ空間の照明制御システムにおいて、トイレ空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置の参考図である。
図7は、本発明の第3実施例に係るトイレ空間の照明制御システムにおいて、トイレ空間内に設置され、使用者による操作を受け付ける操作装置の参考図である。
【0038】
図5Aおよび
図5Bに示すように、本発明の第1実施例において、操作装置300は、使用者による接触に基づいて、所定の範囲内で段階的に定められた、第1照明装置100及び第2照明装置200の照度または色温度に関する情報(以下、入力情報と称する)を制御装置400に送信する態様を備える。
【0039】
図5Aは、ボタン式と称されるものであり、使用者による「制御モードの選択(明るさの選択)」という単一の操作、又は使用者による「上昇または下降の選択」という単一の操作に応じて、段階的に定められた入力情報を制御装置400に送信する。
図5Bは、座標式と称されるものであり、使用者による「座標位置の選択」という単一の操作に応じて、座標ごとに段階的に定められた入力情報を制御装置400に送信する。
【0040】
図5Aおよび
図5Bに示した、ボタン式および座標式の態様によれば、操作装置300は、所定の範囲内で段階的に定められた入力情報を制御装置400に送信するため、第1照明装置100及び第2照明装置200によって演出されるトイレ空間10の雰囲気が、一般的に人が心地よくないと感じる領域から外れることが無い。これによって、一般的に人が心地よいと感じる領域内で、使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0041】
図6Aおよび
図6Bに示すように、本発明の第2実施例において、操作装置300は、所定の範囲内で連続的に定められた入力情報を、使用者が直感的に選択することが可能な態様を備える。
【0042】
図6Aは、ダイヤル式と称されるものであり、使用者による「ダイヤルの回転」という単一の操作に伴うダイヤルの回転量に応じて、連続的に定められた入力情報を制御装置400に送信する。また、図示はしないがローラー式もこれと同様である。
図6Bは、スライド式と称されるものであり、使用者による「スライドバーの移動」という単一の操作に伴うスライドバーの移動量に応じて、連続的に定められた入力情報を制御装置400に送信する。
【0043】
図6Aおよび
図6Bに示した、ダイヤル式およびスライド式の態様によれば、操作装置300は、所定の範囲内で連続的に定められた入力情報を直感的に選択することが可能であるため、段階的に定められた入力情報を選択する必要がある第1実施例と比較して、より簡便に入力情報を選択することができる。また、選択可能な入力情報が段階的に定められていないため、一般的には人が心地よいと感じる領域だけでなく、一般的には人が心地よくないと感じない領域を含めたより広い領域で、より細かく使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0044】
図7に示すように、本発明の第3実施例において、操作装置300は、予め記憶されたジェスチャーに対応する入力情報を、使用者の接触を必要とすることなく選択することが可能な態様を備える。
【0045】
図7は、ジェスチャー式と称されるものであり、使用者による「ジェスチャー動作」という単一の操作に応じて、予め記憶されたジェスチャー動作に対応する入力情報を制御装置400に送信する。
【0046】
図7に示した、ジェスチャー式の態様によれば、操作装置300は、非接触で使用者による単一の操作を受け付ける。これにより、トイレ空間内の設備に触れたくない使用者が衛生面を気にすることなく本発明に係るトイレ空間の照明制御システムを使用することが可能となる。また、本態様によれば、予め記憶されたジェスチャー動作に対応する入力情報を制御装置400に送信するため、家庭などの特定された異なる複数の使用者が利用するトイレ空間であれば、一度使用者の好みに合わせた入力情報を記憶させてしまえば、前の使用者がいかなる状態に調光していようとも、単一の操作で確実に使用者の好みに合った雰囲気を演出することが可能となる。
【0047】
また、図示しないが第4実施例として、単一の操作として音声により操作指示を入力することができる操作装置300を用いることができる。上述したジェスチャー入力と同様に、非接触で使用者の単一の操作が可能であるため衛生面で有益であり、家庭等の使用者が特定される使用環境下においては、入力情報の記憶により、単一の操作により使用者の好みを再現することができる。
【0048】
この場合、操作装置300は音声を入力するためのマイクを備え、入力処理回路440を介して入力された音声情報を制御装置400内で音声認識する。音声認識は例えばROM420に格納された辞書を参照し、認識した単語、フレーズに応じて、制御装置400は、その単語やフレーズにあらかじめ割り当てられた第1照明装置と第2照明装置の照度または色温度に変更する。例えば使用者による「明るく」との発声に応じて段階的に第1照明装置及び第2照明装置の照度を上昇させ、「暗く」との発声に応じて段階的に第1照明装置及び第2照明装置の照度を低下させることができる。また使用者による発声の大きさや長さに応じて、照度や色温度の変更量を調整できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・照明制御システム
3・・・便座
5・・・大便器
7・・・天井
9・・・床面
10・・・トイレ空間
100・・・第1照明装置
200・・・第2照明装置
300・・・操作装置
400・・・制御装置
410・・・CPU
420・・・ROM
430・・・RAM
440・・・入力処理回路
450・・・出力処理回路