(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電力変換器とその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
(21)【出願番号】P 2019211006
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】519417676
【氏名又は名称】株式会社アパード
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】竹下 隆晴
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-116021(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192399(WO,A1)
【文献】特開2012-253968(JP,A)
【文献】国際公開第2014/057577(WO,A1)
【文献】特開2013-243852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次回路と2次回路とがトランスを介して接続された電力変換器であって、
前記1次回路は、スイッチング素子を有する回路が設けられ、
前記2次回路は共振キャパシタをそれぞれ並列に接続した4個のダイオードを含むダイオード整流回路と平滑キャパシタとが並列接続され、
前記2次回路は受動素子のみで構成されると共に前記平滑キャパシタに接続される出力側にリアクトルを含まない回路であって前記トランスの漏れインダクタンスと前記共振キャパシタとの共振回路が形成されたことを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
前記1次回路はキャパシタとHブリッジ回路とが並列に接続され、
前記Hブリッジ回路は、4つの前記スイッチング素子を有する請求項1記載の電力変換器。
【請求項3】
前記1次回路は入力に対して直列接続された2つのキャパシタの両端とハーフブリッジ回路とが並列に接続され、
前記ハーフブリッジ回路は、直列接続された2つの前記スイッチング素子を有し、
前記2つのキャパシタの直流中性点と2つの前記スイッチング素子の直流中性点とがそれぞれ前記トランスの1次回路側に接続された請求項1記載の電力変換器。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、前記スイッチング素子の寄生容量、又は前記スイッチング素子に並列接続されたキャパシタのいずれか又は両方によりソフトスイッチングを実現する請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力変換器。
【請求項5】
前記トランスの鉄芯を1次回路と2次回路とに分離できるように構成した請求項1乃至4のいずれか1項記載の電力変換器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電力変換器において、
前記
1次回路に方形波電圧を発生させるための制御信号を入力することを特徴とする電力制御方法。
【請求項7】
請求項
6記載の電力変換器において、
前記方形波電圧の周波数を制御することにより前記2次回路の出力電力を調整することを特徴とする電力制御方法。
【請求項8】
請求項2記載の電力変換器において、
前記トランスの1次側端子の電圧が零である期間Tdを制御することにより、前記
1次回路の周波数を変更することなく前記2次回路の出力電力を調整することを特徴とする電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換器、特に、単方向に電流を導通及び遮断することが可能な双方向スイッチ回路を用いた電力変換器とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のDC-DC電力変換器の回路構成として、以下のものが挙げられる。
(1)高周波変圧器の2次側にダイオード整流回路と直流コンデンサを接続したもの(例えば、非特許文献1における
図2(a)等)、
(2)2次側ダイオード整流回路の出力にリアクトルを挿入したもの(特許文献1における
図1等)
(3)1次側にキャパシタを直列に接続したLLCコンバータを採用するもの(例えば、特許文献2における
図1等)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】R. W. D. Doncker,D. M. Divan,and M. H. Kheraluwala: “ A three-phase soft-switched high-power-density dc/dc converter for high-power applications”,IEEE Trans. Ind. Appl.,Vol. 27,No. 1,pp. 63-73,1991. (特に、Fig.2(a))
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-233121号公報 (特に、
図1)
【文献】特開2017-204972号公報 (特に、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記(1)のような回路構成では、高周波変圧器の電圧利用率が低く、トランスの巻数比を1としたときに2次側直流電圧が1次側に比較して低くなる問題点がある。上記(2)のような回路構成では、スイッチング時にトランスの漏れインダクタンスとダイオード整流回路のダイオードの寄生容量により、LC共振によりサージ電圧が生じてスイッチング素子を破壊するおそれがある。実用的には、サージ電圧の発生を防止するか又はスイッチング素子の破壊を防止する必要があり、回路構成が複雑となる。上記(3)のような回路構成では、共振周波数を制御するために1次側電圧を制御する必要がある。すなわち、パラメータ変化に伴う共振周波数の追従が必要になるだけでなく精密な制御を必要とし、制御性の点で好ましくない。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡素な回路構成でありながらソフトスイッチングを実現できる単方向スイッチ回路を用いた単方向絶縁型DC-DC電力変換器とその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態では、1次側にHブリッジ回路、トランス、2次側にダイオード整流回路を持つDC-DC変換器において、2次側ダイオード整流回路のそれぞれのダイオードに並列にキャパシタを接続して、ダイオードの転流時にトランスの漏れインダクタンスとLC共振をさせる回路構成を採用する。
【0008】
具体的には、本発明に係る電力変換器は、以下のように構成される。
1次回路と2次回路とがトランスを介して接続された電力変換器であって、
前記1次回路は、スイッチング素子を有する回路が設けられ、
前記2次回路は共振キャパシタ(Cr)をそれぞれ並列に接続した4個のダイオード(U+,U-,V+,V-)を含むダイオード整流回路と平滑キャパシタ(C2)とが並列接続され、
前記2次側回路において、前記トランスの漏れインダクタンス(L)と前記共振キャパシタ(Cr)との共振回路が形成された電力変換器。
【0009】
このような構成によれば、1次回路のスイッチング素子をソフトスイッチングでき、損失を低減できる。
ここで、「ソフトスイッチング」とは、電圧又は電流がゼロとなった状態でスイッチングを行なうものであるが、電圧がゼロの状態で行なうZVS(Zero Voltage Switching)が、好適に利用される。
なお、トランス(変圧器)は、商用電力の周波数より高い周波数に対応した高周波トランスが好適に使用される。高周波トランスを用いることにより回路を小型に構成できる。
【0010】
このような構成によれば、スムーズに電流の符号反転を実現し、(高周波)変圧器の周波数を、共振周波数より遅い周波数として、独立に選定することが可能となる。
共振周波数を(高周波)変圧器の周波数より高く設定できるので、例えばLLCコンバータに比較して共振用のキャパシタやインダクタを小さくできるので、回路を小型にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】各スイッチの導通状態と高周波トランスの電圧、電流波形を示す図
【
図3】2次側ダイオード整流回路の各転流動作を示す図
【
図4】高周波トランスの周波数と共振周波数の比f
s/f
oに対する出力電力P
outの特性を示す図
【
図5】1次側回路のスイッチR-,S+からスイッチR+,S-に転流する場合の回路の動作モードと高周波トランスの1次電圧波形v
1を示す図
【
図7】モード切換タイミング(モード2-2)による出力電力の制御方法を説明する動作波形図
【
図8】モード切換タイミング(モード2-3)による出力電力の制御方法を説明する動作波形図
【
図9】1次電圧v
1が零となる期間T
dに対する出力電力特性図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
なお、1次回路のソフトスイッチング回路は、例えばHブリッジ回路、ハーフブリッジ回路が使用できるが、これに限定されず、何れの回路も使用され得る。
【0013】
(本発明の基本的な考え方)
本発明の基本的な回路構成の特徴は、スイッチング素子を有する回路により方形波等を発生させる1次回路と、受動素子のみで構成され整流回路とLC共振回路との組合わせで構成される2次回路とをトランスにより電磁結合する回路構成を採用した単方向絶縁型DC-DC電力変換器を採用した点にある。簡単な回路構成でありながら供給電力は1次回路のスイッチング周波数により調整でき、また、2次回路側が受動素子のみで構成されるため、トランスの鉄心で1次回路側と2次回路側とを分離できる利点がある。以下、図面を参照して具体的な回路図について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電力変換器(10)の回路図を示す。本回路は、単方向絶縁型DC-DC電力変換器であり、1次回路(1)側はHブリッジ回路が設けられ、2次回路(2)側はダイオード整流回路で構成され、それらが高周波トランスTrで結合される。なお、1次回路及び2次回路をそれぞれ単に「1次側」、「2次側」と表記する場合がある。高周波トランスTrを単に「トランス」と表記する場合がある。
【0015】
1次側Hブリッジ回路は4つのスイッチング素子R+,R-,S+,S-で構成される。スイッチング素子には、逆並列のダイオードが接続される。スイッチング素子の寄生容量(浮遊容量)はCsと表す。1次側Hブリッジ回路は、入力直流電圧Vinを高周波の方形波交流電圧v1に変換する。
【0016】
なお、高周波トランスTrの漏れインダクタンスをLで表記し、高周波トランス全体の漏れインダクタンスを2次側での換算値として表している。漏れインダクタンスが小さい場合には、トランスに直列にリアクトルを接続し、高周波トランス自体の漏れインダクタンスと挿入したリアクトルを含めて漏れインダクタンスL(インダクタンスL)としている。トランスの1次巻線と2次巻線の巻数をそれぞれn1、n2としたとき、巻数比a(=n1/n2)を用いて、1次電圧v1の2次換算値はv1’(=v1/a)と表される。
【0017】
2次側ダイオード整流回路は、共振キャパシタCrをそれぞれ並列に接続した4個のダイオードU+,U-,V+,V-と平滑キャパシタC2とで構成される。ここで、共振キャパシタCrの容量は、ダイオードの寄生容量(例えば数nF~10nF程度)よりも相対的にかなり大きな値(例えば数十nF~1μF、具体的には100nF~1μF、典型的には500nF~1μF)である。2次側ダイオード整流回路は高周波方形波電圧を出力直流電圧Voutに変換する。
なお、寄生容量が十分に大きい(例えば数十nF~1μF)ダイオード(容量を大きく設計したダイオード)を用いることで、実質的に共振キャパシタCrをダイオードに内蔵した構成とすることもできる。この場合、共振キャパシタCrをダイオード外部に設ける必要がなく、小型に構成することができる。
【0018】
本実施形態で示す2次側回路の特徴は、インダクタンスLとキャパシタC
rとの共振を用いる点にあり、他の構成は用途によって適宜変更可能である。例えば、
図1では、2次側出力に直流電源が接続されているが、直流負荷が接続されていてもよい。例えば、2次電池の充電回路といった用途であれば
図1のように直流電源として表されるが、DC-DCコンバーターとして使用する場合、例えば鉄道の架線から鉄道に電力を変換する場合は、直流負荷として表される。
【0019】
図2は、
図1の絶縁型DC-DC電力変換回路の各スイッチの導通状態と高周波トランスの電圧、電流波形を示す。
図2の横軸は時間である。
図2では、説明の簡単化のために、高周波トランスの巻数比a=1とし、さらに、入出力直流電圧を等しいとしたV
in=V
outの場合である。1次側Hブリッジ回路においては、R,S相のスイッチング位相を180度ずらして、各スイッチのデューティ50%で通電することで、入力直流電圧V
inを振幅とし、周波数f
s(=1/2T
s ;高周波波形の半周期T
s)の方形波交流電圧を1次電圧v
1として発生する。
図2の1次電圧v
1の波形に、1次電圧v
1の変化に伴う動作モードとして<モード1-1>から<モード1-4>の各区間を示す。2次電圧v
2は1次電圧v
1に対して遅れ電圧になる。高周波トランスの励磁電流は1次、2次電流に比較して十分小さいとして励磁電流を無視すれば、高周波トランスの1次電流i
1と2次電流i
2は等しくなる。
図2の1次電流i
1、2次電流i
2に示す方形波状の電流が得られる。波形の詳細は後に詳しく導出する。1次電流i
1、2次電流i
2の波形と共に、2次側ダイオード整流回路の転流に伴う動作モードとして<モード2-1>から<モード2-4>の各区間を示す。
【0020】
図3は、2次側ダイオード整流回路の各転流動作を示す図であり、Hブリッジ回路のスイッチングにより1次電圧が負から正に切り換わったときの2次側ダイオード整流回路において、ダイオードU-,V+がそれぞれダイオードU+,V-に転流するときの各モードにおける回路動作を示している。
図3の転流前の<モード2-1>では、1次側スイッチR-,S+が導通し、1次電圧v
1’は、入力直流電圧-V
in(=-V
out)になり、2次電流i
2はダイオードU-とV+が導通して負の電流-I
nが流れている。2次電圧v
2は、出力直流電圧-V
outになり、1次、2次電圧が等しいので、一定値-I
nの2次電流i
2が流れる。ダイオードU-とV+の並列キャパシタの電圧は零で、ダイオードU+とV-の並列キャパシタは出力直流電圧V
outに充電される。
図2の時刻t=t
2においてHブリッジ回路のスイッチをR-,S+からR+,S-に切り換えて、1次電圧v
1’が-V
inからV
inに変化すると、<モード2-2>に移る。
図3の<モード2-2>に移ってもインダクタンスLによる2次電流の連続性からダイオードU-とV+が導通し続ける。<モード2-2>の2次側回路の電圧方程式は次式で与えられる。
【0021】
【0022】
ここで、<モード2-2>における1次電圧v1’=Vin=Vout、2次電流初期値i2(t2)=-Inを(1)式に代入して、<モード2-2>の2次電流i2(t)が次式で得られる。
【0023】
【0024】
図2に示すように<モード2-2>では、2次電流i
2(t)は一定の傾きで零に向かって増加していく。2次電流i
2(t)が時刻t=t
3で零になると<モード2-2>が終了する。<モード2-2>の期間T
2=t
3-t
2は、(3)で与えられる。
【0025】
時刻t=t
3で2次電流i
2(t
3)=0になると、2次側回路における全てのダイオードが非導通状態になり、
図3の<モード2-3>に移る。<モード2-3>が始まる時刻t=t
3におけるダイオードU-,V+の並列キャパシタの初期電圧は共に零であり、ダイオードU+,V-の並列キャパシタの初期電圧は共にV
outである。<モード2-3>では、インダクタLと4個のキャパシタC
rの共振回路が構成される。回路の対称性から2次電流の半分の電流i
2/2が各キャパシタに流れる。<モード2-3>における電圧方程式が次式で与えられる。
【0026】
【0027】
1次電圧v1’=Vin=Vout、2次電流初期値i2(t3)=0をそれぞれ(5)式に代入して解くと、<モード2-3>の2次電流i2(t)が次式で得られる。
【0028】
【0029】
2次電流i
2(t)は、共振角周波数ωo(=2πf
o=1/√(LC
r))の電流が流れる。2次電圧v
2は、(6)式の2次電流i
2(t)を用いて次式で得られる。
【0030】
(6)、(7)式の2次電流i
2、2次電圧v
2は、
図2に示すように正弦波波形になる。2次電流i
2、2次電圧v
2がそれぞれI
n、V
outになると、ダイオードU+,V-の並列キャパシタの電圧も共に零になり、時刻t=t
4で<モード2-3>は終了する。
図2において、時刻t=t
4における位相は、π/2であり、2次電流i
2の振幅I
nと<モード2-3>の期間T
3=t
4-t
3は、(6)、(7)式から次式で得られる。
【0031】
【0032】
(3)式の<モード2-2>の2次電流i2、(4)式の<モード2-2>の期間T2は、(8)式をそれぞれ代入して、次式に書き換えられる。
【0033】
【0034】
時刻t=t
4でダイオードU+,V-の並列キャパシタの電圧が共に零になると、ダイオードU+,V-が導通し、
図3の<モード2-4>に移る。<モード2-4>の2次側回路の電圧方程式は次式で与えられる。
【0035】
【0036】
ここで、<モード2-4>における1次電圧v
1’=V
in=V
out、2次電流初期値i
2(t
4)=I
nを(12)式に代入して、<モード2-4>の2次電流i
2(t)が次式で得られる。
【0037】
図2に示すように<モード2-4>では、2次電流i
2(t)は一定値になる。Hブリッジ回路がスイッチングをして1次電圧が正から負に切り換わることで、<モード2-4>が終了する。
【0038】
2次回路の動作から各ダイオードは、いずれも並列キャパシタ電圧が零の状態でスイッチングする。すなわち、ダイオードのリカバリー損失は発生しないので、電力損失が発生せず、極めて高効率になる。出力電力Poutは、出力電流ioutを用いて、高周波トランスの半周期Tsの平均電力として次式で得られる。
【0039】
【0040】
出力電力Poutの制御は、高周波トランスの周波数fsにより調整できる。(14)式の出力電力Poutを,高周波トランスの周波数fs(=1/2Ts)と共振周波数fo(=1/(2π√(LCr)))を用いて書き直すと、次式が得られる。
【0041】
【0042】
図4は、(14)式に基づいて、高周波トランスの周波数と共振周波数の比f
s/f
oに対する出力電力P
outの特性を示す。共振周波数f
oは回路パラメータで決まり、一定値であり、トランスの周波数f
sを高くすることで、出力電力P
outを低減できる。
図4では、高周波トランスの周波数と共振周波数の比(f
s/f
o)=1/4を定格出力P
out=1と基準化して表している。(14)式の出力電力P
outが成立する高周波トランスの最大周波数(f
s/f
o)
maxは、
図2の2次電流i
2(t)の波形において、電流値I
nの期間が零になる場合で、次式で得られる。
【0043】
【0044】
高周波トランスの最大周波数は(f
s/f
o)
max=1.22となり、このとき、
図4では定格出力の0.23まで出力電力を低減できている。高周波トランスの周波数f
sを、(f
s/f
o)
maxから定まる値より高い周波数にすると、(14)式は成立しないが、さらに出力電力P
outの低減は可能である。
【0045】
次に、Hブリッジ回路のソフトスイッチング転流について説明する。
図1では、1次側Hブリッジ回路のスイッチング素子の並列キャパシタC
sが寄生容量であるとして説明したが、スイッチのソフトスイッチングをするために、別途キャパシタを並列に外付けしても良い。以下では並列にキャパシタを外付けした場合を含め、スイッチング素子の並列静電容量をC
sとして説明する。
【0046】
図5は、1次側Hブリッジ回路のスイッチR-,S+からスイッチR+,S-に転流する場合の回路の動作モードと高周波トランスの1次電圧波形v
1を示す。
転流前の<モード1-1>では、スイッチR-,S+がいずれも導通しており、1次電圧v
1は負の入力直流電圧-V
inを発生している。1次電流i
1として、負の一定電流-I
nがスイッチR-,S+を流れている。スイッチR-,S+の並列キャパシタの電圧は共に零で、スイッチR+,S-の並列キャパシタの電圧は共に入力直流電圧V
inに充電される。スイッチR-,S+を非導通状態にしたときに、並列キャパシタ電圧が零なので、スイッチR-,S+は零電圧スイッチング(ZVS: Zero Voltage Switching)される。
【0047】
スイッチR-,S+を非導通状態にすることで、
図5の<モード1-2>に移る。<モード1-2>では、負荷電流の連続性から1次電流i
1は負の電流-I
nに保たれ、4個の並列キャパシタC
sに流れる。スイッチR-,S+の並列キャパシタの電圧は零から増加していき、スイッチR+,S-の並列キャパシタの電圧は減少していく。これらのキャパシタ電圧の変化により、1次電圧v
1は、負の入力直流電圧-V
inから正の入力直流電圧V
inまで変化する。1次電圧v
1が正の入力直流電圧V
inになったときに、スイッチR+,S-の並列キャパシタ電圧は共に零になり、スイッチR+,S-の並列ダイオードが導通する。スイッチR+,S-の並列ダイオードの導通により、<モード1-3>に移る。<モード1-3>の期間中に、スイッチR+,S-が導通するためのゲート信号を与える。並列ダイオードが導通状態になっているので、スイッチにゲート信号を与えても、逆バイアスされスイッチは導通しない。既に述べたように1次電流i
1は零に向かって一定の傾きで増加していく。そして、1次電流i
1が負から正になることで、<モード1-4>に移る。1次電流i
1の符号が負から正に変化してスイッチR+,S-が導通するときには、並列キャパシタ電圧は零のままであり、ZVSを実現できる。他のスイッチングにおいても同様にソフトスイッチングができ、スイッチング損失を低減できる。
【0048】
以上のように、第1の実施形態によれば、簡単な回路構成で効率良くスイッチング損失を低減できる効果を得ることができる。
また、更なる効果として、出力側の電力の制御を容易に実行することができ、特に、低出力側の制御性が向上する。上記の通り、(14)式より出力側の電力はスイッチング周波数により調整できるが、Poutの値が0.23以下の制御性が悪くなり、わずかな周波数変動により大きく出力が変動してしまうが、第1の実施形態によれば、(14)式によらず出力側の電力を制御することが可能となる。その結果、例えば、出力電力の供給対象、例えば蓄電池等の充電レベルが一定値を越えたあとは供給電力を極めて小さく制御するといったことも可能となる。この具体的な方法については第3の実施形態において詳述する。
【0049】
(第2の実施形態)~1次側ハーフブリッジ回路による回路構成~
図6は、第1の実施形態における
図1の1次側Hブリッジ回路をハーフブリッジ回路(1’)に置き換えた回路である。入力直流電圧は2V
inで、2個のキャパシタC1を直列接続して入力直流電圧2V
inの直流中性点を設けている。2個のキャパシタC1の直流電圧は、共にV
inになる。高周波トランスの2個の入力端子の片側をR相の出力端子に接続し、もう片方を直流中性点に接続する。ハーフブリッジは、2個のスイッチング素子R+,R-で構成される。スイッチング素子には、逆並列のダイオードが内蔵され、スイッチング素子の寄生容量をC
sとしている。
【0050】
図2に示すHブリッジ回路を用いた絶縁型DC-DC電力変換回路の動作波形は、S相のスイッチング信号を無視すれば、
図6のハーフブリッジ回路を用いた回路の動作波形としてそのまま適用できる。すなわち、スイッチング素子R+を導通することで、高周波トランスの1次電圧v
1は、入力直流電圧の上側キャパシタC1に接続され、キャパシタ電圧V
inになる。スイッチング素子R-を導通することで、高周波トランスの1次電圧v
1は、入力直流電圧の下側キャパシタC1に接続され、負のキャパシタ電圧-V
inになる。
【0051】
したがって、Hブリッジ回路を用いたときと同様に1次電圧v
1として振幅V
inの方形波交流波形が得られる。ハーフブリッジ回路を用いた回路において、高周波トランスおよび2次側回路については
図1のHブリッジ回路を用いた回路と同じであり、
図2の2次電圧v
2、1次電流i
1、2次電流i
2の各波形が得られる。2次側回路においては、ダイオードのリカバリー損失を発生しない高効率な動作ができる。
【0052】
第1の実施形態で説明したように、出力電力Poutの制御は、(15)式により、高周波トランスの周波数fs(=1/2Ts)により調整できる。また、1次側ハーフブリッジ回路のソフトスイッチングも実現できる。
【0053】
図6のハーフブリッジ回路においてスイッチR-からスイッチR+への転流について説明する。スイッチR-が導通している状態では、1次電圧v
1は負の入力直流電圧-V
inで、1次電流i
1は負の電流-I
nがスイッチR-に流れている。また、スイッチR-の並列キャパシタの電圧は零である。スイッチR-を非導通にしたときには、スイッチR-の並列キャパシタの電圧が零であり、ZVSが実現される。1次電流i
1に引き続き負の電流-I
nが流れることで、スイッチR+の並列キャパシタの電圧は、V
inから減少し、零電圧になると、スイッチR+の並列ダイオードが導通する。1次電圧v
1は正の入力直流電圧V
inとなり、1次電流i
1も負の電流-I
nから零に向けて増加していく。1次電流i
1が負の間にスイッチR+に導通信号を与えれば、1次電流i
1が負から正に変化して、ダイオードからスイッチR+に電流が転流するときにおいても、並列キャパシタの電圧は零であり、ZVSが実現される。したがって、全ての転流でソフトスイッチングを実現でき、スイッチング損失を低減できる。
【0054】
本実施形態で示す2次側回路は、第1の実施形態と同じであり、インダクタンスLとキャパシタンスC
rとの共振を用いている点に特徴がある。従って、他の構成は用途によって適宜変更可能である。例えば、
図6では、2次側出力に直流電源が接続されているが、直流負荷が接続されていてもよい。例えば、2次電池の充電回路といった用途であれば
図6のように直流電源として表されるが、DC-DCコンバーターとして使用する場合、例えば鉄道の架線から鉄道に電力を変換する場合は、直流負荷として表される。
【0055】
以上のように、1次側回路としてハーフブリッジ回路を用いてもDC-DC電力変換器を構成することができる。第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、1次側回路の構成が簡単であり、さらに小型な、或いは安価なDC-DC電力変換器を得ることができる。なお、出力側の電力の制御は(15)式よりスイッチング周波数により調整できる。
【0056】
(第3の実施形態)~Tdを制御することによる送電電力制御方法~
上記第1及び第2の実施形態で説明したように、いずれの回路構成においても(14)式により、2次回路の電力は1次回路のスイッチング周波数を変化させることで制御できる。しかし、第1の実施形態において説明する回路構成によれば、1次電圧v1が零となる期間Tdを制御することができるため、周波数制御によらず2次側電力を制御することが可能となる。
【0057】
本実施形態では、第1の実施形態で説明する回路において、1次電圧v1が零となる期間Tdを制御することにより実現される電力制御方法について説明する。
【0058】
(1)<モード2-2>における電力低減制御方法
図1の単方向絶縁型DC-DC電力変換回路の高周波トランスの周波数f
sが一定値の状態で、出力電力P
outを1次側Hブリッジ回路のスイッチングパターンで制御する方法を説明する。
図2の動作波形が最大出力電力時であり、1次電圧v
1として振幅V
inの方形波交流波形を出力している。
図7の動作波形が、出力電力P
outの調整のために電力を少し低減した場合である。電力低減の基本的な考え方は、S相のスイッチの切り換えタイミングを期間T
dだけ遅らせ、1次電圧v
1の方形波波形において、電圧が零となる期間T
dを設けて1次電圧v
1の実効値を低減する方法である。
図7の動作波形では、1次電圧v
1が零になる期間T
dに新たなモードが加わっただけで、期間T
d以外の波形は、
図2の最大出力電力時の波形と同じである。
図7の動作波形では、1次電圧v
1が零になる期間T
dを<モード2-21>、1次電圧v
1がV
inになる期間を<モード2-22>として、2モードに分離している。(1)式の<モード2-2>の2次側回路電圧方程式に、1次電圧v
1’=0、2次電流初期値i
2(t
2)=-I
n、(8)式をそれぞれ代入して、<モード2-21>の2次電流i
2(t)が次式で得られる。
【0059】
【0060】
すなわち、(17)式の<モード2-21>の2次電流の傾きdi2/dtは、(2)式の<モード2-2>の傾きに対して1/2になっているので、<モード2-21>の最大の期間Tdは、<モード2-2>の期間T2=√(LCr)の2倍になる。したがって、<モード2-21>の期間T21=Tdの範囲は、次式で与えられる。
【0061】
【0062】
ここで、(18)式に時刻t=t2+Tdを代入して、<モード2-22>の2次電流初期値i2(t2+Td)が次式で得られる。
【0063】
【0064】
また、(1)式の<モード2-2>の2次側回路電圧方程式に、1次電圧v1’=Vin=Vout、(20)式の2次電流初期値i2(t2+Td)、(8)式をそれぞれ代入して、<モード2-22>の2次電流i2(t)が次式で得られる。
【0065】
【0066】
<モード2-22>の終了時刻t3では、(21)式の2次電流i2(t3)=0になるので、終了時刻t3および<モード2-22>の期間T22は次式で得られる。
【0067】
【0068】
導出した全モードの2次電流波形をもとに、出力電力Poutを計算すると次式が得られ、1次電圧v1が零となる期間Tdにより出力電力Poutを制御できる。
【0069】
【0070】
(2)<モード2-3>における電力低減制御方法
1次電圧v1が零となる期間Tdが
2√(LCr)以上になると、
図7の<モード2-3>の範囲まで、1次電圧v1が零となるので、(6)式の2次電流i2の共振波形が変化する。
図8は、1次電圧v1が零となる期間Tdが
2√(LCr)以上になった場合の2次電圧v2、1次電流i1、2次電流i2の各波形を示す。
図8の動作波形では、時刻t3とt4の間で、1次電圧v1が零になる期間T31を<モード2-31>、1次電圧v1がVinになる期間T32を<モード2-32>として、2モードに分離している。また、<モード2-1>の2次電流i2の電流値-Imの絶対値Imは、(8)式のIn(>Im)に比較して小さくなる。
図8の<モード2-1>は、
図3の転流前の<モード2-1>の回路接続になり、1次側スイッチR-,S+が導通し、1次電圧v1’は、入力直流電圧-Vinが掛かり、2次電流i2はダイオードU-とV+が導通して負の電流-Imが流れている。
図8の時刻t=t2においてHブリッジ回路のスイッチをR-からR+に切り換えて、1次電圧v1’が-Vinから0に変化すると、<モード2-21>に移る。<モード2-21>における1次電圧v1’=Vin=Vout、2次電流初期値i2(t2)=-Imを(1)式に代入して、<モード2-21>の2次電流i2(t)が次式で得られる。
【0071】
【0072】
図8に示すように<モード2-21>では、2次電流i
2(t)は一定の傾きで零に向かって増加していく。2次電流i
2(t)が時刻t=t
3で零になると<モード2-21>が終了する。<モード2-21>の期間T
21=t
3-t
2は、(27)式で与えられる。
【0073】
【0074】
時刻t=t
3で2次電流i
2(t
3)=0になると、2次側回路における全てのダイオードが非導通状態になり、
図3の<モード2-31>に移る。<モード2-31>が始まる時刻t=t
3におけるダイオードU-,V+の並列キャパシタの初期電圧は共に零であり、ダイオードU+,V-の並列キャパシタの初期電圧は共にV
outである。<モード2-3>では、インダクタLと4個のキャパシタC
rの共振回路が構成される。回路の対称性から2次電流の半分の電流i
2/2が各キャパシタに流れ、(5)式の電圧方程式が成立する。1次電圧v
1’=0、2次電流初期値i
2(t
3)=0をそれぞれ(5)式に代入して解くと、<モード2-31>の2次電流i
2(t)が次式で得られる。
【0075】
【0076】
2次電圧v2は、(28)式の2次電流i2(t)を用いて次式で得られる。
【0077】
【0078】
(28)、(29)式の2次電流i
2、2次電圧v
2は、
図8に示すように正弦波波形になる。時刻t=t
3+T
31の2次電圧v
2、2次電圧v
2は、それぞれ次式で得られる。
【0079】
【0080】
時刻t=t3+T31で、Hブリッジ回路のスイッチをS+からS-に切り換わると、1次電圧v1=Vinがスッテプ的に上昇し、新たな共振動作となる。<モード2-32>における電圧方程式が次式で与えられる。
【0081】
【0082】
1次電圧v1’=Vin=Vout、2次電流初期値i2(t3+T31)を(32)式に代入して解くと、<モード2-32>の2次電流i2(t)が次式で得られる。
【0083】
【0084】
(33)式の1行目の項は時刻t=t3+T31で1次電圧v1’=Voutに変化したことによる共振電流であり、2行目の項は時刻t=t3+T31以前からの共振電流項である。3行目はこれら2項を1つの共振電流として表した式である。<モード2-32>の2次電圧v2は、(33)式の2次電流i2(t)を用いて次式で得られる。
【0085】
【0086】
時刻t=t4で2次電圧v2(t4)=Voutになると、ダイオードU+,V-の並列キャパシタの電圧が零になり、ダイオードU+,V-が導通し、<モード2-32>が終了する。時刻t=t4で(34)式の第2項が零になり、<モード2-32>の期間T32を用いて期間t4-t3=T31+T32と表せるので、次式にて期間T32が求まる。
【0087】
【0088】
時刻t=t4は、(35)式を用いて、期間T31の関数として次式で与えられる。
【0089】
【0090】
(36)式のt4を(33)式に代入して2次電流i2(t4)=Imが次式で得られる。
【0091】
【0092】
期間T31が長くなれば、2次電流値Imが小さくなり、送電電力を低減できる。期間T31=π√(LCr)のとき、2次電流値Im=0になるので、期間T31は零からπ√(LCr)の範囲で制御すれば良い。
<モード2-4>の期間t>t4では、(12)式の電圧方程式が成立し、1次電圧v1’=Vin=Voutからdi2/dt=0になり、一定値の2次電流i2(t4)=Imが流れる。
(27)式に(37)式のImを代入して、期間T21が次式で得られる。
【0093】
【0094】
1次電圧が零となる期間Tdは期間T31を用いて次式で得られる。
【0095】
【0096】
期間T31の最大値π√(LCr)のときの1次電圧が零となる期間の最大値Td maxは、次式で得られる。
【0097】
【0098】
図8の2次電圧v
2と2次電流i
2から期間T
sの出力電力P
outは、次式で表される。
【0099】
【0100】
(41)式に、(37)式のIm、(35)式のT32、(38)式のT21を代入して、出力電力Poutは次式で表される。次式で表される。
【0101】
【0102】
図9は、(39)式の1次電圧が零となる期間T
dに対する(42)式の出力電力P
outを表している。
図9は高周波トランスの周波数と共振周波数の比f
s/f
o=π√(LC
r)/T
s=1/4の場合で、T
s=4π√(LC
r)である。1次電圧の零電圧期間T
dを長くするほど、2次電流値I
mは減少していき、出力電力P
outも低減する。したがって、1次電圧の零電圧期間T
dにより、出力電力P
outを制御できる。
【0103】
以上の説明では、高周波トランスの巻数比をa=1とし、さらに、入出力直流電圧を等しいとしたVin=Voutの場合について説明をしたが、入出力直流電圧がVin/a=Voutの場合においても同様の動作波形が得られる。入出力直流電圧がVin/a≠Voutの場合においては、上記の説明で2次電流波形が一定値であったときに、1次と2次電圧の差によって2次電流波形に傾きが発生するなどの誤差を生じる場合があるが、説明した基本的な機能は同様に得られる。
【0104】
(第4の実施形態)~出力電力制御と1次、2次回路の分離~
図1および
図6の本発明回路構成において、2次回路はいずれも受動素子で構成されるため、制御する必要がない。したがって、1次回路の直流電圧V
inと1次電流i
1を検出して、1次回路の周波数f
sまたは零電圧の期間T
dにより出力電力P
outを制御できる。また、高周波トランスの1次巻線鉄心と2次巻線鉄心で分離できるようにすれば、1次回路と2次回路を物理的に分離することが可能となる。送電時のみ1次回路と2次回路を結合して使用できる。
【0105】
たとえば、電力供給側である1次回路を地上側、2次回路を車両側へ置き、送電時(車両への充電中)のみ高周波トランスの1次、2次の鉄心を近づけることで、送電(充電)が可能である。送電中以外は、物理的にトランスの鉄芯(コア)が(独立)分離している一方、送電中(充電中)は、鉄心間に働く電磁力により1次、2次鉄心を結合でき、送電が可能になる。このように非放射型の磁界結合方式非接触電力伝送にも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る電力変換器は、送電する電力に応じて、種々の用途に用いられる2次電池の充電器、鉄道その他産業機器など、あらゆる製品分野で広く用いることができ、適用可能な応用範囲が広く、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0107】
10 電力変換器
1 1次回路(Hブリッジ回路)
1’ 1次回路(ハーフブリッジ回路)
2 2次回路
C1 キャパシタ
C2 (平滑)キャパシタ
Cr 共振キャパシタ
Cs 寄生容量
U+,U-,V+,V- ダイオード
R+,R-,S+,S- スイッチング素子
Tr トランス
L インダクタンス